JP3680452B2 - 膜処理システムの異常検知方法および制御方法 - Google Patents
膜処理システムの異常検知方法および制御方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は膜処理システムの異常検知方法および制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水処理プロセスでは、種々の計測器を用いて水質監視制御を行っている。中でも処理水濁度の測定は、計測器によって容易に水処理プロセスの異常検知を行うことが可能であり、数ある水質監視項目の中でも最も重要な類に属する。
水処理プロセスでは、従来の沈殿池や急速ろ過池などを使用した砂ろ過法に代わって、最近普及しはじめている方法として膜処理法がある。この方法を膜処理システムの中心となる装置は、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルローズなどの有機膜やセラミック膜などの材質から成り、膜の中に多数の微細な孔があいている精密ろ過膜(MF膜)や限外ろ過膜(UF膜)などを使用して構成した膜モジュールで、原水を前処理設備で粗大な固形物などを除去した後に、この膜モジュールを通すことによって、一定の大きさ以上の懸濁質や細菌、コロイド成分などの不純物を除去して、水の浄化を行なうものである。
【0003】
従来法と比較したこの方法の長所は、1)一定以上の大きさの懸濁質や細菌はほぼ100%除去できる、2)凝集剤の使用を低減あるいは不要にできる、3)設備用地面積を大幅に低減できる、4)自動運転で維持管理が容易でシステムの安定性が高い、ことなどである。一方短所は、1)色、臭い、味などに関与する溶解性成分は完全に除去できない、2)逆洗などの物理的な洗浄で膜の元のろ過性能が出なくなった場合には、薬品洗浄や膜の交換が必要になる、ことなどで、実用上は定期点検や複合処理によりこの短所を補っている。
【0004】
膜モジュールの形状の方式としては、ポンプでケーシング内に原水を圧入するケーシング収納方式と、膜モジュールをそのまま水槽に浸漬し、ポンプや水位差によって原水吸引する槽浸漬方式とがある。また、これらの膜モジュールの通水方式としては、膜への供給水の全量をろ過し、分離された懸濁質などを定期的に逆洗などにより洗浄する、砂ろ過と同様の方法の全量ろ過方式と、膜への供給水の膜面に対して平行に流し、懸濁質などが膜面に付着することを防ぎながらろ過を行なうクロスフローろ過方式とがある。これらの膜モジュールの形状と通水方式にもそれぞれの特長があり、用途により使い分けられている。
【0005】
この膜処理システムにおいても濁度計によって処理水の測定が行われている。しかし、膜処理システムでの処理水の濁度は通常0.1度以下であり、従来の水処理プロセスである砂ろ過による処理水と比較して濁度がかなり低い。そのために、光の試料中の平均的な透過割合を測定する濁度計では原理的に低感度であり、一部の膜の亀裂によるわずかな原水の処理水側への流出の検知は困難である。
【0006】
そこで、処理水中の微粒子の個数濃度を測定する機能を持つ微粒子カウンタを処理水の水質監視に用いる場合がある。微粒子カウンタは濁度計と比較して感度がよく、処理水の異常を早期に発見できるが、微粒子の個数濃度が増加すると数え落としによる誤差が生じるという問題がある。膜処理水の測定は膜が正常な領域(微粒子計数可能)から異常な領域(濁度測定可能)まで広レンジにわたって定量的に測定できることが望ましいが、微粒子計数と濁度測定どちらも可測範囲があり、膜処理水の測定に適した広レンジにわたる測定はできない。
【0007】
そこで、本発明者らが出願中の特願平08−080392号では、通常の微粒子カウントの機能に加えて、数え落としが生じるまでに微粒子が含まれている高濃度の処理水の測定は、変動解析による演算による微粒子個数濃度の算出と、濁度の測定との機能を併せ持った装置を考案し、広レンジにわたる測定を可能としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように膜処理水の異常検知には微粒子カウンタが適しており、膜処理システムの異常検知は微粒子の個数濃度のみをモニタしておけば通常は問題がない。しかし、微粒子の個数が多い場合には、微粒子による散乱光パルスが重なり合うためにパルスカウントが不正確になって、微粒子カウンタの測定値は実際の値より極端に小さくなる可能性がある。そのために、処理水中への急激な濁質の流入などは検知できない可能性がある。一方、濁度は微粒子の個数が少ない場合には、濁度の測定値はほとんどゼロであり、異常検知に対する感度が低い。したがって膜処理システムの異常検知は、微粒子カウンタ、あるいは濁度のモニタの片方だけでは不十分である。
【0009】
また、膜処理プロセスだけでは原理的に色度成分の除去を完全には行えないために、膜処理システムでは、凝集やオゾン、あるいは活性炭などのいわゆる複合処理を行うことがある。このときに、膜処理プロセスに異常が起きて処理水の色度が上昇する場合や、複合処理に異常が起きて原水水質の変化に複合処理が対応できず、色度成分の除去が充分でない場合がある。微粒子カウンタや濁度計では処理水中の色度成分の測定は不可能で、処理水色度の上昇は検知できない。また、色度の上昇は微粒子個数濃度や濁度の上昇と必ずしも同時に起きないために、特に複合処理のみに異常が起きたり、複合処理の制御が原水水質の変化に対応できなかった場合には、微粒子の個数濃度や濁度は上昇しないにもかかわらず処理水の色度は上昇することになる。
【0010】
以上述べたように、膜処理プロセスでは膜の厚さ1枚で処理前の原水と処理水が隔てられているだけであるので、従来の砂濾過と比較して、異常検知については十分に注意を払った高感度の方法を採用する必要がある。また、複合処理を含めた水処理プロセスの異常検知には、微粒子カウンタや濁度計だけでは不十分である。
【0011】
一方、実際の膜処理システムは様々な形態のものがあるが、主に数本から数十本の膜モジュールで構成されている。浄水場などにおいて、膜処理システムの異常検知を行なう場合に、一部の膜モジュールの異常によって、システムの全体を停止させることは望ましくない。また、異常のある膜モジュール部分だけ適当な方法で水の供給を止めた場合でも、通常は全体の膜モジュールに対する異常のあった膜モジュールの本数の割合によるが、通常は加圧ポンプの特性から残りの正常な膜にかかる圧力が高くなり、そのために膜破断が起きやすくなったり、膜の目詰まりを促進してしまうという問題がある。
【0012】
上記のように膜処理システムは膜モジュールの異常を検知するだけでなく、安定した処理水の提供を行うためには異常のある膜モジュールの数に応じた制御を行なう必要がある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述の問題の中で膜の亀裂発生や膜の破断という膜モジュールの異常の問題に対しては次に述べる方法により解決することとする。
【0014】
膜モジュールの異常検知の方法としては、特願平08−080392号に記載の、膜処理水について拡張された微粒子の粒径および個数濃度の測定ができる微粒子カウンタ(以下にパーティクルセンサと記載することがある)を使用して、膜処理水に光ビームを照射させ、前記処理水中の微粒子による散乱光パルスの数、あるいは光遮断パルスの数が設定値PL を越えた場合に警報信号PS を出力する機能と、前記光ビームの散乱光量の設定時間内における平均値が所定のしきい値ML を越えた場合、あるいは前記光ビームの透過光量の設定時間内における平均値が所定のしきい値mL を下回った場合にも警報信号MS を出力する機能を合わせ持たせることとする。ここで、警報信号PS は微粒子カウンタが計数可能な微粒子数の少ない領域での正常値の管理限界PL に、また警報信号MS は微粒子数が多くなってパルスの重なりが生じる領域での正常値の管理限界ML やmL に対応する。そして、膜処理水をモニタし、もし膜に破断や亀裂などの異常が起きたことで、膜処理水中に微粒子が流入したとき、前記装置からの警報信号PS と警報信号MS のうち、少なくとも一つの信号が水質監視制御システムに対して出力された場合には、膜処理プロセスに異常があったと判断することとする。この方法により、確実な膜の異常検知ができるようになる。
【0015】
次に、膜処理システムの処理水色度の上昇を検知できないという問題に対しては、色度計を膜処理、あるいは複合処理の後段に設置する方法により解決することとする。色度計により処理水をモニタし、凝集、オゾン、あるいは活性炭などのいわゆる複合処理を膜処理と合わせて行う際、前記複合処理に異常が起きたり、複合処理が原水水質の変化に対応できず、色度成分の除去が充分に行われなかったことが原因して、前記処理水中の色度が設定値CL を越えた場合に警報信号CS を出力する。さらに、この色度の測定を上記の膜モジュールの異常検知の方法と組み合わせることにより、複合処理を含めた膜処理システム全体の異常検知をより確実に行うことができるようになる。
【0016】
また、膜モジュールの異常が検知された場合の膜処理システムとしての運転制御の問題に関しては次の方法により解決することとが一般的である。上述した異常検知の方法では、膜モジュール毎や膜モジュールが数本から数十本単位にまとまった膜処理システム毎に設置し、さらに場合によっては色度による異常検知方法を、複合処理の後段に設置し、異常が検知されたときに出力される警報信号PS またはMS またはCS により、異常があった前記膜モジュール、あるいは前記膜処理システムに接続されている電磁弁を自動的に閉じ、異常検知された水が処理水側に流出するのを防ぎ、残りの正常な膜モジュールで膜処理を行う。ただし、この制御法では、異常な膜モジュールの数が多くなると、電磁弁を閉じることにより正常な膜モジュールへの負荷が増えるという問題が新たに生じる。
【0017】
このために、もし前記装置からの信号が水質監視制御システムに向けて出力され、膜異常などの警報信号PS またはMS またはCS が出力された場合には、前記水質監視制御システムから異常のあった前記膜モジュール、あるいは前記膜処理システムに接続されている電磁弁を自動的に閉じ、残りの正常な膜モジュールあるいは膜処理システムによって、引き続き膜処理を行い、前記異常のあった膜モジュール、あるいは前記膜処理システムの量に応じて、水質監視制御システムにてポンプの出力をコントロールすることとする。この方法によって、電磁弁を閉じることにより、正常な膜モジュールに規定されている耐圧以上の圧力がかかるのを防ぐ、または正常な膜モジュールにかかる圧力が膜処理の最適条件から外れるのを防ぐことができる。
【0019】
以上、膜モジュールの異常検知の方法により、膜の僅かな亀裂等の異常、つまり処理水の微粒子カウントが可能な領域から、膜の著しい破断による処理水中への急激な濁質の流入、つまり微粒子カウントはできないが光ビームの散乱光量あるいは透過光量の設定時間内における平均値から測定は可能である領域まで確実な膜異常検知が出来るようになり、また、色度計で処理水をモニタする方法によって、膜や複合処理の異常による処理水の色度上昇を検知できるようになる。これら膜モジュールの異常検知の方法と色度の検知とを組み合わせることによって、複合処理を含めた膜処理システム全体の異常検知をより確実に行うことができるようになる。
【0020】
膜異常が検知された場合の膜モジュールや膜処理システムの制御方法については、異常のあった膜モジュールや膜処理システムに各々接続されている電磁弁を閉じ、水質監視制御システムで異常な膜モジュールあるいは膜処理システムの量に応じてポンプの出力をコントロールすれば、正常な膜モジュールに規定されている耐圧以上の圧力がかかるのを防ぐことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
膜モジュールの異常検知と膜異常が検知された場合の膜モジュールや膜処理システムの制御とについて、実施例を説明する。図1と図2には、膜モジュールの異常検知の参考例を示す。
【0022】
図1は、膜処理水に光ビームを照射させ、前記処理水中の微粒子による散乱光パルスの数、あるいは光遮断パルスの数が設定値を越えた場合に警報信号PS を出力する機能と、前記処理水中の微粒子による散乱光量、あるいは透過光量から演算される濁度が設定値を越えた場合にも警報信号DS を出力する機能を合わせ持った装置によって、膜処理水を測定した時のデータである。時刻to1において膜にわずかな亀裂が生じ、その亀裂が進行していくと共に、膜処理水の微粒子個数濃度P1 と濁度D1 が増加している。ここでは、時刻tp1において微粒子個数濃度が設定値PL を越えたところで、微粒子カウンタの異常判断による警報信号PS が出力されているが、この時刻では濁度の顕著な上昇は見られないので濁度計測の機能による警報信号は出力されない。濁度は設定値DL を越える時刻tD1において、はじめて濁度の警報信号DS が出力されている。この例のように膜のわずかな亀裂による処理水の異常を検知するには、微粒子個数濃度をモニタすることの方が有効である。
【0023】
しかし、図2のように時刻to2において著しい破断が膜に生じ、一気に処理水側へ微粒子が流出した場合には、前記装置にて微粒子を正確に数えることができず、微粒子個数濃度P2 の測定値は実際の値より小さくなってしまうので、この図のように場合によっては警報信号PS を出力できないこともある。一方、濁度D2 は時刻tD2で設定値DL を越え、警報信号DS を出力する。上記のように膜が著しく破断して、急激な処理水側への微粒子の流出があった場合には、微粒子個数濃度をモニタしているだけでは、異常を検知できない可能性があり、この場合濁度のモニタが有効である。
【0024】
図1と図2の参考例では、微粒子個数濃度と濁度の測定を行える装置を用いているが、請求項1に記載したような膜モジュールの異常検知の方法でも同様の効果を得ることができる。実施例であるこの方法では、膜処理水中の微粒子による散乱光パルスの数、あるいは光遮断パルスの数が設定値PL を越えた場合に警報信号PS を出力する機能と、前記光ビームの散乱光量の設定時間内における平均値が所定のしきい値ML を越えた場合、あるいは前記光ビームの透過光量の設定時間内における平均値が所定のしきい値mL を下回った場合にも警報信号MS を出力する機能を合わせ持った装置を用いる。この場合、第1の方法での実施例で示した濁度計による濁度の代わりに、微粒子カウンタによる散乱光量、あるいは透過光量を光電変換した値の平均値を用いて、その測定値が所定のしきい値を越えた場合、警報信号MS を出力することになり、発明の効果は同じであるが、濁度計と濁度の演算機能を設けない分だけ、コストは低く抑えることが可能である。図3から図5には、膜モジュールの異常検知の方法に色度検知を付加した請求項2に記載した膜処理システムでの異常検知の実施例を示す。
【0025】
膜モジュールによる水処理では、原水の濁度が上昇しても膜によって膜の公称孔径以上の粒子は完全に分離されるため、処理水質に大きな変化はないが、膜による色度成分の除去は不完全なため、原水中の色度成分の上昇は処理水質に影響を及ぼし、かつ膜の目詰まりの進行が濁度の上昇の効果と比較して早い。したがって、色度成分の除去や微粒子を公称孔径以上の大きさに成長させることを目的として、膜処理プロセスの前段で凝集プロセスを行う場合がある。図3には凝集プロセス4と膜処理プロセス1を組み合わせた膜処理システムを示した簡単なフロー図であり、膜モジュールの異常検知用のパーティクルセンサ2と色度計3を膜処理の後段に設置してある。
【0026】
図4は、図3の膜処理システムの膜処理プロセス1の上流側で測定した、原水の濁度DO4と色度CO4の径時変化の様子を示した例である。ここでは、時刻tSIにおいて原水の濁度が設定値DOLを越えたために凝集剤の注入率Sを増加させ、時刻tSRにおいて原水の濁度が設定値DOLを下回ったために色度CO4が低下するのを待たずにて凝集剤の注入率Sを低下させている。
【0027】
図5は、図3の膜処理システムの膜処理プロセス1の下流側で、上記の原水の測定と同時に測定した、処理水の微粒子個数濃度P5 と色度C5 の径時変化の様子を示した例である。処理水側では微粒子個数濃度P5 の増加は認められないが、処理水側の色度C5 は上昇している。ここでは色度が設定値CL を越えた時刻tC5 で、色度計3から警報信号CS を出力することにより、凝集剤の注入率の制御が誤っていることを検知できている。図6と図7には、複数の膜モジュールの異常検知の方法に色度検知を付加した請求項3に記載した膜処理システムでの異常検知と制御の実施例を示す。
【0028】
図6は3組の膜モジュール11a〜11cの下流側に請求項1あるいは請求項2記載の3組のパーティクルセンサ12a〜12cを設置した様子をあらわした全量ろ過方式の膜処理システムのフロー図である。
図7は、図6のパーティクルセンサで測定した微粒子濃度P7 とP7Aとの径時変化の様子を示した例である。この図に示すように正常な膜モジュールの処理水側の微粒子濃度はP7 のように安定した値で推移している。ここで膜モジュール11aが時刻to7で破断した場合には、パーティクルセンサ12aの微粒子個数濃度P7Aが時刻tP7に設定値PL を越え、警報信号PS が水質監視制御システムに対して出力される。水質監視システムはこの警報信号PS を受けると同時に、図6に示す膜モジュールの下流側の電磁弁16aを閉じ、図7のようにポンプの回転数Rを落とす。上記の電磁弁16aを閉じることで、一部の膜モジュールに異常があっても、残りの正常な膜モジュール11b〜11cによって運転は継続することができ、ポンプの回転数を落とすことで電磁弁を閉めていない残りの正常な膜モジュールへの圧力負荷を軽減することができる。この効果は、膜に規定以上の圧力負荷がかかることによる膜破断の危険性を低減し、安定した処理水の提供を行うばかりでなく、膜の目詰まりの促進を防ぐことができ、膜の薬品洗浄の周期を長くすることができる。
【0029】
なお、複数の膜モジュールに異常があった場合は、異常のあった膜モジュールのラインに接続されているすべての電磁弁を閉じ、ポンプの回転数は正常な膜モジュールの数によって決定され、制御される。また、電磁弁はエアーオペレイト弁でも上記と同様な効果が得られ、ろ過方式はクロスフローろ過でも同様な効果が得られる。図8と図9には、複数の膜処理システムに異常検知の方法を付加した大規模な膜処理システムでの異常検知と制御の参考例を示す。
【0030】
図8はそれぞれ膜モジュールが数本から数十本単位でまとまった3組の膜処理システム21a〜21cの下流側に請求項1あるいは請求項2記載の3組のパーティクルセンサ22a〜22cを設置した様子をあらわした全量ろ過方式の膜処理システムのフロー図である。ここで、膜処理システム21a、21bならびにポンプ25a、25bは運転しており、電磁弁26a、26b、27a、27bは開けられているが、予備システムである膜処理システム21c、ポンプ25cは運転しておらず、電磁弁26c、27cは閉じられている。
【0031】
図9は、図8のパーティクルセンサで測定した微粒子濃度P7 とP7Aとの径時変化の様子を示した例である。この図に示すように正常な膜処理システムの処理水側の微粒子濃度はP9 のように安定した値で推移している。ここで膜処理システム21aに異常があり、時刻to9において微粒子個数濃度P9Aが設定値PL を越えたとき、パーティクルセンサ22aの微粒子個数濃度P9Aが時刻tP9に設定値PL を越え、警報信号PS が水質監視制御システムに対して出力される。水質監視システムはこの警報信号PS を受けると同時に、電磁弁26a、27aを閉じ、ポンプ25aを停止することで、異常のあった膜処理システムの運転を停止し、処理水の安全を確保することができる。また同時に電磁弁27cを開け、タイマTを起動し、ポンプまで膜供給水が到達するまでの既知の時間だけ待った後、時刻tN9にてポンプ25cを起動し、電磁弁26cを開ける信号Nを発信して、予備モジュールへの通水を開始することで、異常のあった膜処理システムの運転を停止しても、正常時の膜処理水量を維持することとができる。
【0032】
また、電磁弁はエアーオペレイト弁でも上記と同様な効果が得られ、ろ過方式はクロスフローろ過でも同様な効果が得られる。
【0033】
【発明の効果】
本発明は膜処理システム、あるいは凝集やオゾン、活性炭などの複合処理をあわせた水処理システムの異常検知方法と、膜の異常検知がなされた後の膜処理の運転方法にかかわるものであり、本発明により確実な異常検知が可能になり、また異常検知がなされた場合には、異常な膜モジュールあるいは膜処理システムを運転停止して処理系から切り離し、残った正常な膜モジュールあるいは膜処理システムで運転を継続し、その際、膜モジュールに規定以上の圧力がかからないようにポンプの運転制御によってシステムをコントロールすることを可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】膜に亀裂が生じた時の膜処理水の微粒子個数濃度と濁度の経過と、警報信号PS と警報信号DS との関係を示す図
【図2】膜に著しい破断が生じた時の膜処理水の微粒子個数濃度と濁度の経過と、警報信号PS と警報信号DS との関係を示す図
【図3】凝集プロセスと膜処理プロセスとを組み合わせた膜処理システムのフロー図
【図4】原水の濁度と色度の経過と、凝集剤の注入率との関係を示す図
【図5】膜処理水の微粒子個数濃度と色度の経過と、警報信号CS との関係を示す図
【図6】膜処理システムのフロー図
【図7】膜に異常が生じた時の膜処理水の微粒子個数濃度の経過と、警報信号PS とポンプの回転数との関係を示す図
【図8】膜処理システムのフロー図
【図9】膜に異常が生じた時の膜処理水の微粒子個数濃度の経過と、警報信号PS と 予備システム用タイマーと稼動命令信号との関係を示す図
【符号の説明】
1: 膜処理プロセス
2: パーティクルセンサ
3: 色度計
4: 凝集プロセス
5: ポンプ
11a〜11c: 膜モジュール
12a〜12c: パーティクルセンサ
15: ポンプ
16a〜16c: 電磁弁
17a〜17c: 電磁弁
21a〜21c: 膜処理システム
22a〜22c: パーティクルセンサ
25: ポンプ
26a〜26c: 電磁弁
27a〜27c: 電磁弁
Claims (3)
- 膜処理水の微粒子の粒径および個数濃度の測定を利用した膜処理システムの異常検知方法であって、膜処理水に光ビームを照射させ、前記処理水中の微粒子による散乱光パルスの数、あるいは光遮断パルスの数が設定値PLを越えた場合に警報信号PSを出力する機能と、前記光ビームの散乱光量の設定時間内における平均値が所定のしきい値MLを越えた場合、あるいは前記光ビームの透過光量の設定時間内における平均値が所定のしきい値mLを下回った場合にも警報信号MSを出力する機能を合わせ持った装置によって、膜処理水をモニタし、膜に破断や亀裂などの異常が起きたことで、膜処理水中に微粒子が流入したとき、前記装置からの警報信号PSと警報信号MSのうち、少なくとも一つの信号が水質監視制御システムに対して出力された場合には、膜処理プロセスに異常があったと判断することを特徴とする膜処理システムの異常検知方法。
- 膜処理水の色度の測定を利用した膜処理システムの異常検知方法であって、色度計により処理水をモニタし、凝集、オゾン、あるいは活性炭などのいわゆる複合処理を膜処理と合わせて行う際、前記複合処理に異常が起きたり、複合処理が原水水質の変化に対応できず、色度成分の除去が充分に行われなかったことが原因して、前記処理水中の色度が設定値CLを越えた場合に警報信号CSを出力することを特徴とする膜処理システムの異常検知方法。
- 膜処理水の微粒子の粒径および個数濃度ならびに濁度の測定、あるいは色度の測定を利用した膜処理システムの異常検知方法および制御方法であって、
請求項1記載の異常検知方法を、膜モジュール毎、あるいは膜モジュールが数本から数十本単位にまとまった膜処理システム毎に設置し、または請求項2記載の異常検知方法を複合処理の後段に設置し、前記装置からの信号が水質監視制御システムに向けて出力され、膜異常の警報信号PSまたはM S またはCSが出力された場合には、前記水質監視制御システムから異常のあった前記膜モジュール、あるいは前記膜処理システムに接続されている電磁弁を自動的に閉じ、残りの正常な膜モジュールあるいは膜処理システムによって、引き続き膜処理を行い、前記異常のあった膜モジュール、あるいは前記膜処理システムの量に応じて、水質監視制御システムにてポンプの出力をコントロールし、電磁弁を閉じることにより、正常な膜モジュールに規定されている耐圧以上の圧力がかかるのを防ぐ、または正常な膜モジュールにかかる圧力が膜処理の最適条件から外れるのを防ぐことを特徴とする膜処理システムの異常検知方法および制御方法。
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