JP3677610B2 - 酸化鉄含有二酸化チタン及びこれを含有する組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の平均粒子径及び比表面積をもつ酸化鉄含有二酸化チタン及びこれを含有する組成物に関し、更に詳しくは、適度な隠蔽力、紫外線遮断能及び分散性に優れ、組成物に配合した時にも、自然な仕上がり、つまり青白さがなく、適度な隠蔽力が得られる酸化鉄含有二酸化チタン及びこれを含有する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化学的に安定で、安全性の高い二酸化チタンは、白色顔料として各種業界で多く用いられてきている。たとえば、平均粒子径が0.2〜0.25μmの顔料級二酸化チタンはその高い隠蔽力や着色力が利用されており、また平均粒子径が0.03〜0.05μm程度の微粒子二酸化チタンは高い紫外線遮断能を持つことから、紫外線遮断剤として配合されている。しかしながら、顔料級二酸化チタンはその紫外線遮断効果を向上させるために、多量に配合すると、隠蔽力や着色力が高くなり、白くなりすぎ、その塗膜もいわゆる白塗り、白浮きなどが生じ不自然であった。また、微粒子二酸化チタンは高い紫外線遮断能を有するが、最近の紫外線防止に対する意識の高揚により、紫外線遮断効果を高めるため多量に配合すると、微粒子二酸化チタン特有の青白さが出て組成物及び塗膜等も青白く不自然な仕上がりになっていた。
これらの欠点を解消するために、ベンガラなどの無機顔料やタール色素等で着色された組成物も用いられてきたが、二酸化チタンと着色に用いたベンガラ等の着色顔料や色素との色別れを生じることがあった。また、顔料級二酸化チタン及び微粒子二酸化チタンは、分散性が良くないため、組成物に配合すると凝集し、特に化粧料などに於いては仕上がりが悪くなるという欠点も有していた。使用感に於いては、顔料級二酸化チタンを多量に配合すると、とまりがきつくなり、微粒子二酸化チタンを配合するとなめらかさがなくなるなどの欠点もあった。また更に、微粒子二酸化チタンは、UV−B領域(290〜320nm)に於ける遮断能は高いが、UV−A領域(320〜400nm)における遮断能はあまり高くないという特性がある。
これらの欠点を解消するために、従来、顔料級二酸化チタン及び微粒子二酸化チタンと酸化鉄との複合化(二酸化チタン表面への被覆や二酸化チタン結晶内部への複合)が試みられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、顔料級二酸化チタン又は微粒子二酸化チタンと酸化鉄との複合化物においては色別れの問題は解消されたにもかかわらず、顔料級二酸化チタンが本来持つ塗膜の白塗り、白浮き、特には組成物に配合したときの凝集、止まりのきつさなどの欠点、又は微粒子二酸化チタンが本来持つ多量配合時の塗膜の青白さ、特には組成物中でのなめらかさの欠如、UV−A領域(320〜400nm)における遮断能不足等の欠点を解消するには十分ではなかった。特に、酸化鉄を二酸化チタン結晶内部に複合化した微粒子二酸化チタンでは、その表面活性がより高くなり、油剤の酸化などを招いていた。
これらの欠点を解消するために、顔料級二酸化チタンと微粒子二酸化チタンの粒子径の異なる二酸化チタン、及びこれらの二酸化チタンと酸化鉄との複合化物を組み合わせて紫外線遮断能を上げたり、更には形状の異なる二酸化チタンを組み合わせて官能面を向上させたりしているが、よりよい効果を得るためには、配合比や配合量を限定する必要があり、また、分散性を向上させるために予め油分散物や水分散物に調製して配合するなど煩雑な前処理を行うことから、満足できるものは得られていなかった。
そこで適度な隠蔽力、紫外線遮断能(UV−A及びUV−B遮断能)及び分散性に優れ、組成物に配合した時、青白さがなく適度に隠蔽されている状態である自然な仕上がりが得られる酸化鉄含有二酸化チタンが望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる事情に鑑み、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、特定の粒子径、比表面積及び特定の粒度分布、更には、特定の組成比をもつ酸化鉄含有二酸化チタンが適度な隠蔽力、紫外線遮断能(UV−A及びUV−B遮断能)及び分散性に優れ、これを含有する組成物自体及びその塗膜は、仕上がりが自然で、紫外線遮断能にも優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、平均粒子径が0.10μmを超えて0.14μm以下で、比表面積が10m2/g〜30m2/gの範囲に調製された酸化鉄含有二酸化チタンであり、且つ全粒子中70重量%以上が平均粒子径の±0.03μmである酸化鉄含有二酸化チタンを含有することを特徴とする化粧料である。更には、上記の酸化鉄含有二酸化チタンが、二酸化チタン含量が97.0〜99.5重量%および酸化鉄含量が0.5〜3.0重量%の酸化鉄含有二酸化チタンである化粧料である。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の平均粒子径が0.10μmを超えて0.14μm以下で、且つ二酸化チタン含量が97.0〜99.5重量%で酸化鉄含量が0.5〜3.0重量%である酸化鉄含有二酸化チタン(以下「本発明の鉄含有二酸化チタン」と記述する)は、平均粒子径が0.10μmを超えて0.14μm以下で、比表面積が10m2/g〜30m2/gであり、且つ全粒子中の70重量%以上が平均粒子径の±0.03μmであればその形状は球状、板状、扁平状、針状、紡錘状、不定形等いずれのものであっても構わない。
【0006】
本発明の鉄含有二酸化チタンを調製する方法は、平均粒子径が0.10μmを超えて0.14μm以下で、比表面積が10m2/g〜30m2/gであり、且つ全粒子中の70重量%以上が平均粒子径の±0.03μmである鉄含有二酸化チタンが得られれば、いずれの方法でも調製ができる。具体的には、まず硫酸チタニルあるいは四塩化チタンの加水分解、四塩化チタンの直接酸化ないしチタンアルコキシドの加水分解等の従来公知の方法によって、少なくとも0.10μmよりも小さい平均粒子径に調製された二酸化チタン得る。これをを焼成し、粒子を成長させることによって、その一次粒子の平均粒子径がおおよそ0.10μm〜0.14μmの範囲内にあり、任意の平均粒子径を持つ二酸化チタンを得る。
次いで、この二酸化チタンに酸化鉄を含有する方法は、従来公知の方法を用いることができ特に限定するものではないが、前記所望の平均粒子径に調製された二酸化チタンの表面に硫酸鉄あるいは塩化鉄等の加水分解によって水酸化鉄を析出後、焼成する方法等を挙げることができる。または、前記方法によって、少なくとも0.10μmよりも小さい平均粒子径に調製された二酸化チタンの表面に硫酸鉄あるいは塩化鉄等の加水分解によって水酸化鉄を析出後、830℃〜880℃の範囲に於いて焼成する方法等を挙げることもできる。かかる方法によって得られた焼成物は、エネルギー流体ミル等の粉砕機による粉砕、水簸等による分級、または用途に応じて水洗あるいは表面処理を施すことができる。
【0007】
本発明の鉄含有二酸化チタンの平均粒子径が0.10μm以下の場合には、微粒子酸化チタンに特徴的な、青白く不自然な仕上がりの組成物となる傾向が顕著に現れ、0.14μmを超えると顔料級酸化チタンに特徴的な白塗りや白浮きが生じて厚ぼったく不自然な仕上がりの組成物となる傾向が顕著に現れる。
また、本発明の鉄含有二酸化チタンは、全粒子中の70重量%(以下、単に「%」で示す)以上が平均粒子径の±0.03μmの範囲に含まれる。この範囲の鉄含有二酸化チタンは組成物に配合したとき、更に良好な分散状態が得られ、これを配合した組成物、特に化粧料は更に使用感及び紫外線遮断などの光学的特性が向上する。また、この粒度分布であれば、仕上がりがきれいな組成物とすることが可能である。
【0008】
本発明の鉄含有二酸化チタンに含有される酸化鉄量は、0.5〜3.0重量%の範囲であれば組成物自体及びその塗膜の仕上がりが自然であり、紫外線遮断効果も優れるという点で特に好ましい。
【0009】
本発明の鉄含有二酸化チタンは、更に目的に応じて、例えば金属酸化物、金属水酸化物、フッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、ロウ、油脂、炭化水素等で表面処理して用いることが可能である。また、本発明の鉄含有二酸化チタンは、粒子径、比表面積又は形状の異なる2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の鉄含有二酸化チタンは、化粧料、塗料、インキ、プラスチック、繊維、ゴム等の各種組成物に配合することができる。
本発明の鉄含有二酸化チタンを含有する化粧料の剤型は、粉末状、粉末固型状、クリーム状、乳液状、ローション状、油性固型状、油性液状、ペースト状等のいずれであってもよく、特にメークアップ化粧料、スキンケア化粧料、ヘアケア化粧料等とすることが好ましい。効果がより発現する点ではメークアップ化粧料が最も好ましい。本発明のメークアップ化粧料としては、ファンデーション、白粉、ほほ紅、口紅、美爪料、アイ製品、日焼け止め化粧料、コンシーラー等が挙げられる。化粧料中の本発明の鉄含有二酸化チタンの配合量は、その化粧料の特質に応じて任意に選択されるが、官能上の特性及び効果の発現において、0.1〜50%が好ましい。
【0011】
本発明の化粧料には通常化粧料に用いられる成分を必要に応じて適宜配合することが出来る。粉体としては、例えば、タルク、カオリン、セリサイト、マイカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸等の無機体質顔料、酸化亜鉛等の無機白色顔料、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、カーボンブラック等の無機着色顔料、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等のパール剤、タール系色素、天然色素等の有機着色顔料、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ポリスチレン、ポリエチレンパウダー、結晶セルロース、N−アシルリジン等の有機粉体が挙げられる。なお、これら粉体は、フッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、ロウ、油脂、炭化水素等を用いて表面処理を施したものであってもよい。また、特に本発明の鉄含有二酸化チタンの利点を損なわない範囲において、様々な平均粒子径及び粒度分布や形状を有する顔料級二酸化チタン又は微粒子二酸化チタン及びこれらの酸化鉄等との複合化物を併用することも可能である。
油分としては、例えば、オリーブ油、ひまし油、ホホバ油、ミンク油等の油脂類、ミツロウ、ラノリン、キャンデリラロウ等のロウ類、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等のエステル類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、ポリオキシアルキレン変性やアルキル変性したシリコーン油、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油類等を挙げることができる。
その他、有機溶剤、樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、保湿剤、香料、水、アルコール、増粘剤等が挙げられる。
【0012】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0013】
製造実施例1:本発明の鉄含有二酸化チタン(0.12μm鉄含有二酸化チタン)
常法により硫酸チタニル溶液を加熱分解し、ろ過、洗浄した含水酸化チタンスラリーに苛性ソーダ溶液を攪拌しながら投入し、95℃で2時間加熱した。次いでこの処理物を十分洗浄して得られたスラリーに塩酸を攪拌しながら投入し、95℃で2時間加熱しチタニアゾルを作成した。この様にして得られたチタニアゾルに更に塩化第一鉄水溶液を添加しpH7.0に調整した。熟成後、ろ過及び洗浄をおこない、次いで105℃で乾燥した。これを電気炉にて850℃で2時間焼成した後、エアージェットミルにて粉砕することで平均粒子径0.12μmの鉄含有二酸化チタンを得た。次いで水簸による分級をおこない全粒子中の70%以上が平均粒子径の±0.03μmの範囲にはいるように調整し、再び乾燥し、粉砕をおこなった。
上記の方法で調製された鉄含有二酸化チタンを透過型電子顕微鏡を用いて粒子径及びその分布を測定したところ、平均粒子径は0.12μmで、全粒子中70%以上が平均粒子径の±0.03μmの範囲にはいることが確認された。
また、BET法により比表面積を測定したところ、比表面積は10m2/g〜30m2/gの範囲にはいることが確認された。
【0014】
製造比較例1:0.12μm酸化鉄・二酸化チタン混合物
顔料級二酸化チタン{酸化チタンJR−701:テイカ社製(平均粒子径0.25μm)}31.4重量部と微粒子二酸化チタン{微粒子酸化チタンP−25:デグッサ社製(平均粒子径0.03μm)}67.1重量部を混合攪拌し、平均粒子径を0.12μmとした二酸化チタン混合物を得た。これに、更にベンガラ1.5重量部を混合攪拌し、平均粒子径が約0.12μmの酸化鉄及び二酸化チタン混合物を得た。
BET法により比表面積を測定したところ、比表面積は30m2/gを超えるものであった。
【0015】
製造比較例2:鉄含有顔料級二酸化チタン
顔料級二酸化チタン{酸化チタンJR−701:テイカ社製(平均粒子径0.25μm)}を用い、特公平4−5001号公報の実施例1に記載されている方法に準じて、二酸化チタンと酸化鉄の比が98:2の鉄含有顔料級二酸化チタンを得た。
【0016】
製造比較例3:鉄含有微粒子二酸化チタン
特開平5−330825号公報の実施例に準じて、平均粒子径0.03μm,酸化鉄含量3%の鉄含有微粒子二酸化チタンを得た。
【0017】
(試験方法)
製造実施例1の0.12μm鉄含有二酸化チタンと製造比較例1〜3記載の各鉄含有(及び混合)二酸化チタンについて特定波長域における遮断率及び分散性を測定した。
【0018】
(1)遮断率
石英板上にポリビニルピロリドンのアルコール溶液を25μmのドクターブレードを用いて塗布した。アルコール蒸発後、粘着面に柔らかいブラシにて各鉄含有二酸化チタン(及び混合物)を均一に塗布し、測定用検体とした。
上記検体について島津自記分光光度計UV−265FW及び同ユニット積分計ISR−260にて透過率を測定した。測定波長は可視光領域(400〜800nm)、UV−A領域(320nm〜400nm)、UV−B領域(290nm〜320nm)とし、分光曲線を測定し、各領域の透過面積をチャートより求めた。遮断率は、下記式(1)により算出し、その結果を表1に示した。
【0019】
【数1】
【0020】
(2)分散性
各鉄含有二酸化チタンを10%濃度で1,3−ブチレングリコール中に混合し、ロールミルを用いて1回分散させたものを測定用検体とし、下記判定基準に従って、目視にて分散性を判定した。その結果も併せて表1に示した。
(判定基準)
○:分散性が良好で、凝集が観察されない。
△:分散性は良好であるが、少し凝集が観察される。
×:分散性が悪く、かなり凝集が観察される。
【0021】
【表1】
【0022】
表1から明かなように、製造実施例1の0.12μm鉄含有二酸化チタンは可視光においては、製造比較例1の酸化鉄・二酸化チタン混合物や製造比較例2の鉄含有顔料級二酸化チタンよりも遮断率が低く、透明性が高いことが示され、また紫外線領域においては、製造比較例1の酸化鉄・二酸化チタン混合物や製造比較例2の鉄含有顔料級二酸化チタンよりも遮断率が高いことが示された。製造比較例3の鉄含有微粒子二酸化チタンは可視光領域では遮断率が低く透明性は高いが、透明性が高すぎて隠蔽力は不足している。又、紫外線領域ではUV−B領域では本発明の鉄含有二酸化チタンよりも遮断率が高いが、UV−A領域では本発明の鉄含有二酸化チタンの方が遮断率が高いことが示された。
これらの鉄含有(混合)二酸化チタンを肌上に塗布したとき、その塗布膜の外観は、製造比較例3の鉄含有微粒子二酸化チタンでは隠蔽力が不足し、製造比較例1の酸化鉄・二酸化チタン混合物や製造比較例2の鉄含有顔料級二酸化チタンは白く浮いてしまい不自然な仕上がりであったのに対し、製造実施例1の鉄含有二酸化チタンでは青白さのない適度な白さの自然な外観が得られた。
本発明の鉄含有二酸化チタンは、可視光線の中〜長波長の光散乱が短波長光散乱に比べて低いことから、肌色を構成する主たる波長域(黄色〜赤色)の光は化粧膜を透過しやすく、且つ、くすんだ肌、色素沈着した肌等が有する青色系の短波長の光を化粧塗膜中で散乱するため、自然で健康的な肌色を演出する効果に優れている。
【0023】
また、分散性については、製造比較例1〜3の酸化鉄・二酸化チタン混合物,鉄含有顔料級二酸化チタン、及び鉄含有微粒子二酸化チタンは、凝集が観察されたのに対し、製造実施例1の鉄含有二酸化チタンは、分散性も良好で、凝集が観察されなかった。
【0024】
更に、塗布時の感触は、製造比較例1の酸化鉄・二酸化チタン混合物はのびが悪く、きしみ感があり、製造比較例2の鉄含有顔料級二酸化チタンはのびが悪く止まりがきつく、また製造比較例3の鉄含有微粒子二酸化チタンではきしみ感があるのに対し、製造実施例1の本発明の鉄含有二酸化チタンではのびが良くソフトな感触であった。
【0025】
製造実施例2:本発明の鉄含有二酸化チタン(0.14μm鉄含有二酸化チタン)
製造実施例1の焼成温度を880℃に変更することで平均粒子径0.14μmの鉄含有二酸化チタンを得た。
上記方法により得られた鉄含有二酸化チタンをBET法により比表面積を測定したところ、比表面積は10m2/g〜30m2/gの範囲にはいることが確認された。
【0026】
実施例1〜4及び比較例1〜3 パウダーファンデーション
表2に示す組成のパウダーファンデーションを調製し、使用性(のび・ひろがり)、隠蔽力(カバー力)、自然な仕上がり(白く厚ぼったさのなさ)、くすみのなさ(青白さのなさ)について官能評価を行い、紫外線遮断効果については透過率を測定し判定した。その結果も併せて表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
(製法)
A:成分(1)〜(8)を混合する。
B:成分(9)〜(12)を加熱溶解し混合する。
C:AとBを混合分散し、金皿に充填する。
【0029】
(評価方法)
(評価項目)
1.のび・ひろがり
2.カバー力
3.白く厚ぼったさのなさ
4.青白さのなさ
5.紫外線遮断効果
【0030】
(評価及び評価基準)
評価項目1〜4は、専門パネル16人による使用テストを行ない、5段階評価の平均点に基づいて下記基準で判定した。
評価基準
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
判定基準
◎:4.0〜5.0点
○:3.0〜4.0点未満
△:2.0〜3.0点未満
×:1.0〜2.0点未満
【0031】
評価項目5は各試料について製造実施例1及び製造比較例1〜3における試験方法を用い、以下のように紫外線遮断効果を判定した。
◎:紫外部の透過率が非常に低く、遮断効果が高い。
○:紫外部の透過率が低く、遮断効果がやや高い。
△:紫外部の透過率がやや高く、遮断効果がやや低い
×:紫外部の透過率が高く、遮断効果が劣っている。
【0032】
本発明の0.12μm鉄含有二酸化チタンを配合した実施例1〜3及び0.14μmの鉄含有二酸化チタンを配合した実施例4のパウダーファンデーションは比較例1〜3に比べ、使用性、隠蔽力、自然な仕上がり、くすみのなさ、紫外線遮断効果の点で優れたものであった。
【0033】
実施例5及び比較例4〜5:O/W型日焼け止め化粧料
表3に示す組成のO/W型日焼け止め化粧料を調製し、使用性(のび・ひろがり)、隠蔽力(カバー力)、自然な仕上がり(白く厚ぼったさのなさ)、くすみのなさ(青白さのなさ)、紫外線遮断効果について実施例1〜4及び比較例1〜3の評価方法と同様の評価を行なった。但し、紫外線遮断効果に用いた試料は石英板に直接ドクターブレードを使用して塗布した。その結果も併せて表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
(製法)
A:成分(1)〜(9)を加熱し混合分散する。
B:成分(10)〜(13)を混合分散する。
C:AとBを混合し乳化する。
D:Cに(14)〜(17)を加えて混合する。
本発明の0.12μm鉄含有二酸化チタンを配合した実施例5のO/W型日焼け止め乳液は比較例4〜5に比べ使用性、隠蔽力、自然な仕上がり、くすみのなさ、紫外線遮断効果の優れたものであった。
【0036】
実施例6及び比較例6〜7:W/O型クリーム
表4に示す組成のW/O型クリームを調製し、使用性(のび・ひろがり)、隠蔽力(カバー力)、自然な仕上がり(白く厚ぼったさのなさ)、くすみのなさ(青白さのなさ)、紫外線遮断効果について実施例1〜4及び比較例1〜3の評価方法と同様の評価を行なった。但し、紫外線遮断効果に用いた試料は、石英板に直接ドクターブレードを使用して塗布した。
【0037】
【表4】
【0038】
(製法)
A:(1)〜(9)を加えて混合分散する。
B:Aに(12)〜(13)を加えて乳化する。
C:Bに(10)〜(11)を加えて混合する。
本発明の0.12μm鉄含有二酸化チタンを配合した実施例6のW/O型クリームは比較例6〜7に比べて、使用性、隠蔽力、自然な仕上がり、くすみのなさ、紫外線遮断効果の優れたものであった。
【0039】
実施例7:コンシーラー
(成分) (%)
1.キャンデリラワックス 4.0
2.パラフィンワックス 6.0
3.ワセリン 5.0
4.メチルポリシロキサン 10.0
5.スクワラン 10.0
6.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
7.製造実施例1の鉄含有二酸化チタン 45.0
8.ナイロンパウダー 5.0
9.着色顔料 適量
10.抗酸化剤 適量
11.香料 適量
【0040】
(製法)
成分(1)〜(6)を加熱溶解した後、(7)〜(11)を加え均一に混合し、冷却固化してコンシーラーを得た。
本発明のコンシーラーは、使用性、隠蔽力、自然な仕上がり、くすみのなさ、紫外線遮断効果共に優れたものであった。
【0041】
実施例8:口紅
(成分) (%)
1.マイクロクリスタリンワックス 9.0
2.キャンデリラワックス 6.0
3.パラフィンワックス 5.0
4.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
5.トリオクタン酸グリセリル 20.0
6.スクワラン 3.0
7.赤色202号 3.0
8.黄色4号 1.0
9.製造実施例1の鉄含有二酸化チタン 0.5
10.美容成分 適量
11.香料 適量
【0042】
(製法)
成分(1)〜(6)を110℃〜120℃に加熱溶解した後、(7)〜(11)を加え均一に混合し、成型用の型に流し込み、冷却固化して口紅を製造した。
本発明の口紅は、使用性、隠蔽力、自然な仕上がり、くすみのなさ、紫外線遮断効果共に優れたものであった。
【0043】
実施例9:日焼け止め用パウダーファンデーション
(成分) (%)
1.製造実施例1の鉄含有二酸化チタン 20.0
2.微粒子酸化チタン 5.0
3.タルク 20.0
4.マイカ 残量
5.着色顔料 適量
6.ワセリン 1.0
7.流動パラフィン 1.0
8.パラメトキシケイ皮酸−2エチルヘキシル 2.0
9.ジメチルポリシロキサン 1.0
10.美容成分 適量
11.香料 適量
【0044】
(製法)
A:成分(1)〜(5)を混合する。
B:成分(6)〜(11)を加熱溶解する。
C:AとBを混合分散し、金皿に充填して日焼け止め用パウダーファンデーションを製造した。
本発明の日焼け止め用パウダーファンデーションは、適度な隠蔽力、自然な仕上がり、くすみのなさ、紫外線遮断効果、使用性に優れたものであった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の鉄含有二酸化チタンを配合した化粧料は、適度な隠蔽力を有すると共に紫外線遮断能(UV−A及びUV−B遮断能)及び分散性に優れ、自然な仕上がりが得られるものであった。
Claims (2)
- 平均粒子径が0.10μmを超えて0.14μm以下で、比表面積が10m2/g〜30m2/gの範囲に調製された酸化鉄含有二酸化チタンであり、且つ全粒子中70重量%以上が平均粒子径の±0.03μmである酸化鉄含有二酸化チタンを含有することを特徴とする化粧料。
- 酸化鉄含有二酸化チタン中の二酸化チタン含量が97.0〜99.5重量%であり、且つ酸化鉄の含量が0.5〜3.0重量%であることを特徴とする請求項1記載の化粧料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15615796A JP3677610B2 (ja) | 1996-05-28 | 1996-05-28 | 酸化鉄含有二酸化チタン及びこれを含有する組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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