JP3655166B2 - 双方向光通信装置の組立て方法および双方向光通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信時に送信と受信とを同時に行う全二重通信により双方向に光信号を送受信することのできる双方向光通信装置に関し、より詳しくはプラスチック光ファイバ等のマルチモード光ファイバを伝送媒体として、家庭内通信や電子機器間通信、LAN(Local Area Network)等に使用することのできる双方向光通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報化社会の進展に伴い、光ファイバによるネットワーク技術が注目されている。特に近年のプラスチック光ファイバ(POF:plastic optical fiber)の低損失化・広帯域化に伴い、家庭内通信や電子機器間通信への応用が進んでいる。
【0003】
従来、石英光ファイバを伝送媒体として全二重通信により信号光の送受信を行う光通信装置においては、二本の光ファイバを用いて送信光と受信光とを分離したものや、送信光と受信光とを波長により分離したものが主流であった。
【0004】
しかし、大口径のPOFの開発に伴い、一本の光ファイバでも、同一の波長で空間的に送信光と受信光とを分離する全二重通信方法が提案されている。
【0005】
このような光通信装置では、信号光の送受信を同一の光ファイバで行うことから、送信光と受信光との混信を防止する方法が重要となる。受信光に送信光が混信する原因としては、主にPOFからの反射光がある。具体的には、このような例として、(i)送信光が光ファイバに入射する時に光ファイバ端面で反射する場合(以下、近端反射と記す)と、(ii)光ファイバを伝播した送信光が光ファイバより出射する時に光ファイバ端面で反射する場合(以下、遠端反射と記す)とが挙げられる。特に、近端反射を防止するためには、受信光と、送信光の反射光とを、光ファイバ径で決定される小さな空間で分離する必要があり、双方向光通信装置の構造が複雑となると共に、組立て時の位置調整の精度を向上させる必要がある。
【0006】
従来の双方向光通信装置の組立て方法としては、例えば、特開平11−352363号公報に開示された方法が知られている。この組立て方法について、図9を参照して以下に説明する。
【0007】
組立て対象となる光送受信装置101と、参照用の光送受信装置201とは、光ファイバ301を介して配置される。光送受信装置101の発光素子111から出射された送信光は、ハーフミラー112とレンズ113とを介し、光ファイバ301を通して参照用の光送受信装置201に送られ、該参照用の光送受信装置201の受光素子214で受信される。
【0008】
同様に、参照用の光送受信装置201の発光素子211から出射された受信光は、ハーフミラー212とレンズ213とを介し、光ファイバ301を通して組立て対象となる光送受信装置101に送られ、該組立て対象となる光送受信装置101の受光素子114で受信される。
【0009】
上記光ファイバ301はコネクタ115に固定されており、発光素子111や受光素子114を有する、上記組立て対象となる光送受信装置101のパッケージ116に対して移動可能となっている。そして、このコネクタ115を、参照用の光送受信装置201の受光素子214で受信した受信光と、組立て対象となる光送受信装置101の受光素子114で受信した受信光とが共に最大となる位置で固定することにより、送信・受信効率の良い光送受信装置101を組立てることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平11−352363号公報に開示されている方式では、光ファイバ301からの近端反射を考慮していないため、全二重通信を行なう場合、送信光が光ファイバ301に入射するときの、光ファイバ301端面における反射光による混信が大きくなりやすいという問題がある。
【0011】
また、上記特開平11−352363号公報に開示されている双方向光通信装置では、発光素子111と受光素子114との位置調整機能が無いため、光ファイバ301の、コネクタ115による位置調整だけでは、送信光と受信光との両方の効率を共に良くすることは困難である。特に、発光素子111のレンズ113に対する位置ずれは、光ファイバ301への送信光の入射位置に大きく反映するため、精度良く配置する必要がある。
【0012】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、一本の光ファイバにより全二重方式での双方向光通信を行うに際し、受信光への近端反射光の混信を防止することができる双方向光通信装置を得ることができる双方向光通信装置の組立て方法並びに双方向光通信装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、上記の課題を解決するために、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子と、上記発光素子を、少なくとも上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で上記受光素子に対して移動可能に保持する保持部材とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、上記保持部材を、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の反射光量とに基づいて移動させることにより、上記発光素子を、上記受光素子に対して移動させて位置調整して、固定することを特徴としている。
【0014】
上記の方法によれば、上記保持部材を移動させて、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の反射光量とに基づいて上記保持部材の位置調整を行うことで、高精度での位置調整(アライメント)が必要な送信光学系(発光素子)をアクティブアライメントにより位置調整することができると共に、上記送信光学系(発光素子)と上記光ファイバあるいは送信光学系(受光素子)との位置調整が可能となる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる。また、送信光量と反射光量とを測定(モニタ)して上記組立てを行うことで、全二重通信、つまり、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を得ることができると共に、受信光への送信光の混信、つまり、受信光への近端反射光の混信を確実に防止することができる。また、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる双方向光通信装置の組立て方法を提供することができる。
【0015】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、上記の課題を解決するために、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、上記発光素子の位置を、上記受光素子に対して移動させて、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となる位置に調整し、固定することを特徴としている。
【0016】
上記の方法によれば、上記発光素子の位置を、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となる位置に調整し、固定することで、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を得ることができると共に、受信光への送信光の混信を確実に防止することができる。また、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量とに基づいて調整することで、高精度での位置調整(アライメント)が必要な発光素子をアクティブアライメントにより位置調整することができると共に、上記発光素子と上記光ファイバあるいは受光素子との位置調整が可能となる。また、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる双方向光通信装置の組立て方法を提供することができる。
【0017】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、上記の課題を解決するために、上記発光素子の位置調整が、上記発光素子の位置を、上記出射光量が一定値以上となる位置で粗調整した後、上記反射光量が一定値以下となる位置で微調整することにより行われることを特徴としている。
【0018】
上記の方法によれば、上記発光素子の位置を、あらかじめ送信光量により粗調整しているため、送信光が常に光ファイバに入射した範囲内で微調整が可能となる。
【0019】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、上記の課題を解決するために、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、上記発光素子の位置を、上記受光素子に対して移動させて、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に調整し、固定することを特徴としている。
【0020】
上記の方法によれば、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に調整し、固定することで、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を得ることができると共に、受信光への送信光の混信を確実に防止することができる。また、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量とに基づいて調整することで、高精度での位置調整(アライメント)が必要な発光素子をアクティブアライメントにより位置調整することができると共に、上記発光素子と上記光ファイバあるいは受光素子との位置調整が可能となる。また、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる双方向光通信装置の組立て方法を提供することができる。
【0021】
この場合、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量との差が最大となる位置に調整し、固定することで、S/N値が最大となる位置、つまり、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうためにS/N値が最良となる位置に上記発光素子を調整(位置合わせ)することができる。
【0022】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、上記の課題を解決するために、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子と、上記光ファイバに対向して配置され、上記光ファイバから出射される受信光を反射して上記受光素子に集光する反射膜とを備え、上記反射膜の一部には、上記発光素子からの送信光が通過する開口部が、上記光ファイバの送信光入射側の端面に対して平行に形成されており、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、上記発光素子の位置を、上記受光素子に対して移動させて、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射した送信光の大半を上記開口部に戻し、上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、上記発光素子の位置を、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となるか、もしくは、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に調整し、固定することを特徴としている。
【0023】
上記の方法によれば、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射した送信光の大半を上記開口部に戻すことにより、近端反射による混信を防止することができる。上記反射光量は、光ファイバの送信光入射側の端面で反射した送信光が、上記反射膜で反射して受光素子に集光される量が多いほど多くなる。一方、反射光が上記開口部に戻る量が多いほど、反射光量は少なくなる。したがって、上記送信光の光ファイバへの入射角度によって、送信光量が高く、反射光量が顕著に低下する位置範囲が存在する。また、上記発光素子の位置を、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となるか、もしくは、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に調整し、固定することで、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を得ることができると共に、受信光への送信光の混信を確実に防止することができる。また、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量とに基づいて調整することで、高精度での位置調整(アライメント)が必要な発光素子をアクティブアライメントにより位置調整することができると共に、上記発光素子と上記光ファイバあるいは受光素子との位置調整が可能となる。また、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる双方向光通信装置の組立て方法を提供することができる。
【0024】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、上記の課題を解決するために、上記発光素子の位置調整を、上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で行うことを特徴としている。
【0025】
光ファイバの光軸方向に直交する平面での発光素子の位置ずれは、光ファイバへの入射位置のずれとなる。入射位置がずれると、反射方向も変化するため、混信が生じやすくなる。このため、上記発光素子は、上記光ファイバの光軸方向に直交する平面での位置調整を、上記光ファイバの光軸方向における位置調整と比較して高精度に行う必要がある。しかし、位置決めの軸が多くなると、組立て時間が長くなる。
【0026】
そこで、上記の方法によれば、上記発光素子の位置調整を、上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で行うことで、高精度な位置調整を必要とする上記光ファイバの光軸方向に直交する平面での位置調整のみを上記した組立て方法に基づいてアクティブアライメントにより行うことで、より短時間で上記双方向光通信装置を組立てることができる。
【0027】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、上記の課題を解決するために、上記受光素子を上記光ファイバに対して移動可能とし、上記発光素子の位置調整を行なう前に、上記光ファイバの他端から入射させた光の受信光量が最大となる位置で上記受光素子を上記光ファイバに対して固定することを特徴としている。
【0028】
上記の方法によれば、受信光の受信効率をより良好にすることができる。
【0029】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、上記の課題を解決するために、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置を複数個組立てる双方向光通信装置の組立て方法であって、光ファイバの一方の端部に、本発明にかかる上述した双方向光通信装置の組立て方法により組立てた双方向光通信装置を配し、他方の端部に、組立て対象の双方向光通信装置を配し、上述した双方向光通信装置の組立て方法により組立てた双方向光通信装置を参照用の双方向光通信装置として用いて上記光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行って組立て対象の双方向光通信装置の発光素子と受光素子との位置調整を行うことを特徴としている。
【0030】
上記の方法によれば、本発明にかかる上述した双方向光通信装置の組立て方法により組立てた双方向光通信装置の動作確認、つまり、上述した双方向光通信装置の組立て方法により組立てた双方向光通信装置の発光素子および受光素子の動作確認を、組立て対象の双方向光通信装置の組立て時に行なうことが可能となり、別途、動作確認を行なうことが不要となるので、より高効率な双方向光通信装置の組立てを行うことができる。
【0031】
本発明の双方向光通信装置は、上記の課題を解決するために、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置において、上記受光素子が、上記光ファイバの送信光入射側の端面からの送信光の反射光量を測定する反射光測定部として機能すると共に、上記発光素子を、少なくとも上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で上記受光素子に対して移動可能に保持する保持部材と、上記光ファイバに対向して配置され、上記光ファイバから出射される受信光を反射して上記受光素子に集光する反射膜とを備え、上記反射膜の一部には、上記発光素子からの送信光が通過する開口部が、上記光ファイバの送信光入射側の端面に対して平行に形成されており、上記保持部材は、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の、上記光ファイバの送信光入射側の端面での反射光量とに基づいて、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射した送信光の大半を上記開口部に戻し、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となるか、もしくは、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に固定されていることを特徴としている。
【0032】
上記の構成によれば、上記双方向光通信装置が上記開口部を備えていることで、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射した送信光の大半を上記開口部に戻すことができ、近端反射による混信を防止することができる。上記反射光量は、光ファイバの送信光入射側の端面で反射した送信光が、上記反射膜で反射して受光素子に集光される量が多いほど多くなる。一方、反射光が上記開口部に戻る量が多いほど、反射光量は少なくなる。したがって、上記送信光の光ファイバへの入射角度によって、送信光量が高く、反射光量が顕著に低下する位置範囲が存在する。また、上記の構成によれば、上記保持部材が、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となるか、もしくは、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に固定されていることで、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を有すると共に、受信光への近端反射光の混信を防止することができ、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を提供することができる。
【0033】
本発明の双方向光通信装置は、上記の課題を解決するために、上記受光素子に動作バイアスを供給する受信ステムと、上記発光素子に動作バイアスを供給する送信ステムとを備え、上記受信ステムと送信ステムとが電気的に分離されていることを特徴としている。
【0034】
上記の構成によれば、上記受信ステムと送信ステムとが電気的に分離されていることで、電気的ノイズによるS/N値の低下を抑制することができる。また、発光素子の動作確認と受光素子の動作確認とを別々に行なうことができるので、何れか一方に不良があった場合、その一方を交換するだけで対応することができる。さらに、上記の構成によれば、発光素子と受光素子とを別々に動作させることができ、上記したように保持部材を設けることで、各ステムごと、発光素子と受光素子とを別々に移動させることが可能となる。したがって、発光素子と受光素子とを別々に位置調整して固定することができるので、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を提供することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明に係る実施の形態について、図1〜図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図2は、双方向光通信リンクの構成を示す概略図である。双方向光通信リンク3は、伝送するデータ信号に基づく、伝送に適した変調光(信号光)を双方向に伝送するための一本の光ファイバ2と、光ファイバ2の両端に光学的に結合するようにそれぞれ接続され、上記光ファイバ2により双方向に光信号の伝達を行う、一対の双方向光通信装置1・1とを備えている。
【0036】
上記光ファイバ2としては、例えば、POF(plastic optical fiber)等のマルチモード光ファイバが好適に用いられる。POFは、コアがPMMA(poly-methyl methacrylate)やポリカーボネート等の光透過性に優れたプラスチックからなり、クラッドは上記のコアより屈折率の低いプラスチックで構成されている。
【0037】
このような光ファイバ2では、石英光ファイバに比べそのコアの径を約200μmから約1mmと大きくすることが容易であることから、双方向光通信装置1との結合調整が容易であり、安価な双方向光通信リンク3を得ることができる。
【0038】
また、上記光ファイバ2としては、コアが石英ガラスよりなり、クラッドがポリマーで構成されたPCF(plastic clad optical fiber)を用いても良い。PCFはPOFに比べると価格が高いが、伝送損失が小さく、伝送帯域が広いという特徴がある。このため、PCFを伝送媒体とすることにより、長距離での通信やより高速での通信を行うことができる双方向光通信リンク3を得ることができる。
【0039】
図1は、本実施の形態における双方向光通信装置の概略構成を示す断面図である。また、図3(a)〜図3(d)は、上記双方向光通信装置の組立て方法を示す図であり、図3(a)は上記双方向光通信装置における受信部の構成を示し、図3(b)は、上記受信部をレセプタクルに取り付けた構成を示している。また、図3(c)は、上記双方向光通信装置における送信部の構成を示し、図3(d)は、上記送信部を、上記レセプタクル14に取付けられた受信部21に取付けた構成を示している。
【0040】
上記双方向光通信装置1は、図1および図3(d)に示すように、光信号に対する受信部21および送信部22と、上記光ファイバ2をプラグ13によって固定し、上記光ファイバ2とプラグ13とを保持するレセプタクル14とを備え、上記受信部21が上記レセプタクル14に固定され、上記送信部22が、上記レセプタクル14に取付けられた受信部21に取付けられた構成を有している。
【0041】
上記受信部21は、図1および図3(a)に示すように、光ファイバ2から出射される変調光を受信光17として受光(受信)してデータ信号を生成する受光素子5と、一端面に送信レンズ6(送信用光学部材)が設けられると共に、受信光を集光して受光素子5と結合させる集光ミラー7(受信用光学部材)と、受信ピン19を備え、該受信ピン19を介して受光素子5に動作バイアスを供給する受信ステム9とを備えている。
【0042】
上記受光素子5としては、受光した変調光の強弱を電気信号に変換し、後述する発光素子4の波長域で感度の高いフォトダイオードを使用することが望ましい。上記受光素子5としては、例えば、シリコンを材料とするPIN(positive intrinsic negative) フォトダイオードや、アバランシェフォトダイオード等を用いることができる。
【0043】
上記集光ミラー7は、例えば、PMMA(poly-methyl methacrylate)あるいはポリカーボネート等のプラスチックを材料とし、射出成形等により作製される。その凹面部には、アルミニウムや金等からなる反射膜11が形成されており、この反射膜11が光ファイバ2に対向して配置され、光ファイバ2から出射される受信光17を反射して受光素子5に集光する。
【0044】
また、集光ミラー7の反射膜11の一部には、送信光が通過するための開口部12(反射膜の無い部分)が形成されている。開口部12は光ファイバ2の端面に対して平行に形成されている。
【0045】
上記送信レンズ6は、集光ミラー7の一部に形成されたレンズであり、発光素子4からの送信光16をNA(numerical aperture)変換して光ファイバ2に結合させる。上記送信レンズ6は、集光ミラー7の反射膜11との対向面における上記開口部12の延長線上に形成されており、図1に示すように、上記受信部21に送信部22を取り付けたときに、発光素子4の近傍に配置されるようになっている。上記集光ミラー7の送信レンズ6が形成された面は、発光素子4を保護するカバー部10として用いられる。
【0046】
また、上記送信部22は、図1および図3(c)に示すように、主に、データ信号に基づく変調光を生成し、該変調光を、光ファイバ2に送信光16として入射させる発光素子4と、上記発光素子4の後方に設けられ、発光素子4の光量を一定に保持するモニタ用フォトダイオード23と、送信ピン18を備え、送信ピン18を介して発光素子4に動作バイアスや信号の変調バイアスを供給する送信ステム8と、移動可能に設けられ、上記レセプタクル14に対して位置調整が可能であり、上記発光素子4を前記光ファイバ2あるいは前記受光素子5に対して位置調整して固定する保持部材15(発光素子保持部)とを備えている。
【0047】
上記発光素子4としては、半導体レーザや、発光ダイオード(LED:light emitting diode)が用いられる。上記発光素子4の波長としては、使用する光ファイバ2の伝送損失が少ない波長で、かつ安価であることが好ましい。例えば、光ファイバ2としてPOFを用いる場合、DVD(digital video disk)等で量産効果のある、波長650nmの半導体レーザ等を用いることができる。
【0048】
上記発光素子4は送信ステム8上に配置され、送信ピン18を通して動作バイアスや信号の変調バイアスが印加される。受光素子5は受信ステム9上に配置され、受信ピン19を通して動作バイアスが印加される。
【0049】
光ファイバ2はプラグ13内に固定されており、プラグ13はレセプタクル14に抜差しすることができる。受信ステム9はレセプタクル14の一部に固定されている。また、送信ステム8はレセプタクル14に対して位置調整が可能な上記保持部材15に固定されている。これにより、双方向光通信装置1は、上記受信部21が上記レセプタクル14に固定され、上記送信部22が、上記レセプタクル14に取付けられた受信部21に取付けられた構成となっている。
【0050】
上記双方向光通信装置1による光信号の送受信(全二重通信)は、以下に示す手順(動作)により行われる。
【0051】
図1に示すように、発光素子4により生成された送信光16は、発光素子4の放射角にしたがって放射状に発散する。その後、送信レンズ6で任意の開口数に変換されて集光され、集光ミラー7の開口部12を通過して、光ファイバ2に結合する。
【0052】
一方、光ファイバ2を伝播してきた受信光17は、光ファイバ2の開口数にしたがって放射状に発散して集光ミラー7の反射膜11でほぼ全反射し、受光素子5に結合する。
【0053】
送信光16の一部は、光ファイバ2の送信光入射側の端面2aで反射するが、本実施の形態にかかる上記双方向光通信装置1では、光ファイバ2の送信光入射側の端面2aで反射した送信光の大半を集光ミラー7の開口部12に戻すことにより、近端反射による混信を防止する。
【0054】
このように、受信光学部材である集光ミラー7の一部に送信レンズ6を形成し、かつ、集光ミラー7における送信レンズ6形成面が発光素子4のカバーを兼ねることにより、発光素子4のカバーと受信光学部材とを同一の部材で形成することができ、発光素子4のカバーを別に設ける必要がないため、小型で低価格な双方向光通信装置1を得ることができる。また、送信ステム8と受信ステム9とを電気的に分離することにより、電気的ノイズが原因となるS/N値(signal to nise ratio)の低下を抑制することができると共に、発光素子4の動作確認と受光素子5の動作確認とを別々に行うことができるので、何れか一方に不良があった場合、その一方を交換するだけで対応することができる。
【0055】
一方、空間により送信光と受信光とを分離する双方向光通信装置1では、送信光16の光ファイバ2への入射角度や入射位置を高精度に制御しないと、光ファイバ2からの近端反射光が受光素子5に結合して混信の原因となる。
【0056】
本実施の形態にかかる双方向光通信装置1では、発光素子4の位置を、保持部材15を移動させることにより調整可能にしている。これにより、本実施の形態にかかる双方向光通信装置1では、双方向光通信装置1の組立て時に、この保持部材15の位置調整を行なうことにより、発光素子4を、最適な位置、例えば、送信光16の光ファイバ2に対する入射角度や入射位置が最適な位置に合わせることが可能となり、高精度での組立てが可能となる。
【0057】
次に、上記双方向光通信装置1の組立て方法について、図3(a)〜(d)を参照して以下に説明する。
先ず、受信部21を作製する。図3(a)に示すように、受信ステム9上に、位置決めブロック20a・20bを形成し、これら位置決めブロック20a・20bに合わせて、集光ミラー7および受光素子5をそれぞれ配置して固定する。受信ステム9上には、図示しないプリアンプが受光素子5の近傍に配置され、図示しないワイヤにより配線が行なわれている。また、受信ステム9上の受光素子5の下部には、電源ノイズを低減するために、図示しないコンデンサが受光素子5と並列に配置されている。
【0058】
次に、図3(b)に示すように、上記受信部21にレセプタクル14を取付ける。両者の位置合わせは、例えば、それぞれに位置決め用の基準を形成しておき、その部分を合わせることにより、パッシブアライメントにより行なうことができる。あるいは、受信部21をレセプタクル14に対して移動可能としておき、光ファイバ2の図示しない端面2b(図4参照)から光を入射させて受信部21の受光素子5で受光し、この信号(受信光量)が最大となる位置で受信部21を固定することにより、アクティブアライメントを行ってもよい。これにより、受信光の受信効率をより良好にすることができる。
【0059】
一方、送信部22は、以下のようにして作製される。先ず、図3(c)に示すように、送信ステム8に、発光素子4とモニタ用フォトダイオード23とを配置して配線を行なう。次に、保持部材15に上記送信ステム8を固定し、この時点で、発光素子4の動作確認を行なう。
【0060】
本実施の形態にかかる双方向光通信装置1では、このように、送信ステム8と受信ステム9とを分離しているため、発光素子4の動作確認と受光素子5の動作確認とを別々に行なうことができる。このため、発光素子4あるいは受光素子5の何れか一方に問題(不良)が有る場合、一方の交換のみで対応が可能となる。
【0061】
さらに、本実施の形態にかかる双方向光通信装置1では、このように、送信ステム8と受信ステム9とを分離しているため、発光素子4と受光素子5とを別々に動作させることができ、例えば上記保持部材15などを設けることで、各ステムごと、発光素子4と受光素子5とを別々に移動させることが可能となる。したがって、発光素子4と受光素子5とを別々に位置調整して固定することができるので、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を提供することができる。
【0062】
上記送信部22は、次いで、図3(d)に示すように、レセプタクル14を取付けた受信部21に、位置合わせして取り付けられる。保持部材15は、図3(d)に示すように、光ファイバ2の光軸方向であるZ方向、並びに、光ファイバ2の光軸に直交するXY平面内で移動可能となっている。そこで、上記保持部材15を、受信部21に対して、上下(X方向)、左右(Y方向)、前後(Z方向)に動かして最適位置に移動させて、図1に示すように保持部材15を受信部21に固定する。この最適位置の決定方法、つまり、受信部21に対する送信部22の位置調整について、図3(d)並びに図4〜図6に基づいて以下に説明する。
【0063】
受信部21に対する送信部22の位置調整は、図4において、組立てを行なう対象である双方向光通信装置1の送信部22の発光素子4を動作させ、発光素子4から光ファイバ2を介して出射される送信光量Psをモニタ受光器24で測定すると共に、組立てを行なう対象である双方向光通信装置1の受光素子5を動作させて、発光素子4から光ファイバ2を介して出射される送信光のうち、光ファイバ2の端面2aで反射される送信光の反射光量Prを測定することにより行われる。
【0064】
受信部21の送信レンズ6に対する発光素子4のZ方向の位置ずれは、光ファイバ2の光軸方向の焦点位置のずれとなり、XY方向の位置ずれは、光ファイバ2への入射位置のずれとなる。入射位置がずれると、反射方向も変化するため、混信が生じやすくなる。このため、Z方向に比べ、XY方向を高精度で位置決めする必要がある。また、送信部22の位置決めの軸が多くなると、組立て時間が長くなる。
【0065】
そこで、本実施の形態では、送信部22のZ方向における位置調整は、受信部21を基準として行われる。具体的には、送信部22のZ方向の位置決めは、送信部22を、レセプタクル14や受信部21のカバー部10に押し当てることによって行われ、これにより、光ファイバ2の光軸に直交するXY平面内で送信部22の位置合わせを行なっている。
【0066】
一方、送信部22のXY方向における位置調整は、送信光量Ps並びに送信光の反射光量Prを測定することにより行われる。先ず、組立てを行なう対象である双方向光通信装置1の送信部22の発光素子4を動作させ、上記送信部22を、図3(d)並びに図4に示すX方向並びにY方向に移動させることにより、発光素子4から光ファイバ2を介して出射される送信光量Ps(出射光量)の変化を、モニタ受光器24で測定する。例えば、送信部22を、基準位置からX方向に移動させて送信光量Psを測定すると、図5(a)に示すように変化する。このとき、送信部22は、例えば、送信部22のX方向における移動可能範囲の一方の端部を基準位置として、他方の端部まで移動させられる。そして、この送信光量Psの測定結果から、X方向において、全二重通信を行うのに必要なPs(th)以上の送信光量Psが得られる位置範囲X1 −X5 (以下、粗調範囲と称する)を決定する。
【0067】
前記したように、送信部22のXY方向における位置ずれは、発光素子4から光ファイバ2へ入射される送信光16(図1参照)の、光ファイバ2の送信光入射面(端面2a)に対する位置ずれとなる。したがって、送信部22をX方向あるいはY方向に移動させると、送信光16の送信レンズ6並びに集光ミラー7の開口部12への入射角度に応じて、光ファイバ2に結合され、出射される送信光の送信光量Psが変化する。光ファイバ2に対する送信光16の位置ずれが大きいほど、送信光量Psは小さくなる。逆に、光ファイバ2の光軸に対する送信光16の光軸の重なりの度合いが大きいほど送信光量Psが大きくなる。したがって、送信部22を、基準位置からX方向に移動させて送信光量Psを測定すると、図5(a)に示すように、送信光量Psは、移動量にしたがって次第に大きくなり、その後、次第に減少する。
【0068】
次に、図4において、受信部21の受光素子5を動作させることにより、上記送信光16の反射光量Prを測定する。このとき、例えば、送信光量Psの測定結果から求めた粗調範囲内で送信部22を移動し、送信部22の位置と反射光量Prとの関係を測定する。例えば、送信部22をX方向に移動させて、反射光量Prを測定すると、反射光量Prは、図5(b)に示すように変化する。そこで、粗調範囲内、つまり、X1 からX5 までの間で送信部22を移動させて、X方向において反射光量Prが、全二重通信に必要なS/N値を満足するPr(th)以下の値となる位置範囲X2 −X4 (以下、微調範囲と称する)を見つけ、このX2 からX4 までの間の位置で送信部22を固定することにより、送信部22の位置調整が行われる。
【0069】
前記したように、送信光16の一部は、光ファイバ2の送信光入射側の端面2aで反射するが、送信部22のXY方向における位置ずれは、発光素子4から光ファイバ2へ入射される送信光16の、光ファイバ2の送信光入射面(端面2a)に対する位置ずれとなり、この送信光16の入射位置のずれは、反射方向を変化させる。このとき、送信光16の光ファイバ2の送信光入射面(端面2a)に対する位置ずれにより、光ファイバ2の送信光入射側の端面2aで反射した送信光が、集光ミラー7の凹面部に設けられた反射膜11で反射して受光素子5に集光される量が多いほど反射光量Prが多くなる。一方、反射光が集光ミラー7の開口部12に戻る量が多いほど、反射光量Prは少なくなる。したがって、送信部22をX方向あるいはY方向に移動させると、図5(b)に示すように、送信光16の光ファイバ2への入射角度によって、送信光量Psが高く、反射光量Prが顕著に低下する位置範囲が存在する。
【0070】
このように、組立て対象側の双方向光通信装置1からみて光ファイバ2の送信光出射側の端面2bから出射される出射光量(送信光量Ps)を測定し、送信部22の位置(つまり、発光素子4の位置)を調整して出射光量(送信光量Ps)が一定値(Ps(th))以上となる位置で粗調整した後、上記光ファイバ2の送信光入射側の端面2aからの上記送信光16の反射光量Pr(近端反射光量)を受光素子5により測定し、上記反射光量が一定値(Pr(th))以下となる位置で上記送信部22の位置を微調整して固定することにより、反射光による混信を確実に低減することができ、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置1を得ることができる。また、上記の方法によれば、予め出射光量(送信光量Ps)を測定することにより粗調整を行なっているため、送信光16が常に光ファイバ2に入射した範囲内で微調整が可能となる。
【0071】
光ファイバ通信システムでは、一般に、その性能を、誤り率(BER:bit error rate)によって表す。これは、ある時間tの間に発生した誤りの数Neを、その時間t内に送信されたパルス(信号)の数Ntで割ったものである。BERはSN比に依存しており、システムにおける誤り率の要請と受信機(受信部)の雑音レベルとにより、必要な光信号パワーレベルの最低限界が決まる。一般に、BERは10-6から10-12 程度であるが、これは、目的とするシステム(あるいは規格)に応じて適宜決定される。
【0072】
受信した信号光量をS、反射光等による光学的ノイズをNopt、受信機アンプ等による電気的ノイズをNelとすると、SN比は、(S−Nopt)/Nelで表される。そこで、このSN比は、BERで決まる値以上に設定される。BERとSN比との関係は、確率統計的な方法により算出される。例えば、BERが10-12 である場合、SN比は、一般的には23dB以上である。
【0073】
信号光量Sは光ファイバから出射される光量(送信光量Ps)に受信効率Rを乗じた値(Ps×R)となる。Noptは近端反射による反射光量Prに、遠端反射や迷光による反射光量Pr2を加えた値(Pr+Pr2)となる。電気的ノイズNelは使用する同路特性によって決定される。
【0074】
したがって、Pr(th)、Ps(th)は、必要なBERから決まるSN比を満足する値となる。Pr(th)より反射光量Prが高い、あるいは、Ps(th)より送信光量Psが低い場合、SN比が悪化するため、BERが悪化する。反射光量Prは低いほどよいが、送信光量Psは、高すぎると、受信機(受信部)に動作パワー以上の光量が入射する場合があるため、規格等に応じて予め送信光量Psの範囲が決定されている場合がある。
【0075】
以上のように、本実施の形態において、上記送信部22は、上述したように粗調整を行った後、微調整することにより、その位置調整を行うことができるが、発光素子4、受光素子5、モニタ受光器24を同時に動作させて、送信光量Psと反射光量Prとを同時に測定し、送信光量PsがPs(th)以上であり、かつ、反射光量PrがPr(th)以下となる位置範囲で送信部22を固定することにより、位置調整を行ってもよい。
【0076】
このように、反射光量Prをモニタして送信部22の位置を決定することにより、反射光による、受信光への送信光の混信を確実に低減することができ、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置1を得ることができる。
【0077】
また、発光素子4、受光素子5、モニタ受光器24を同時に動作させて、送信光量Psと反射光量Prとを同時に測定する場合、その差、つまり、送信光量Psから反射光量Prを差し引いた値(光量P:P=Ps−Pr)をモニタし、この値が、全二重通信を行なうのに必要なS/N値を満足するP(th)以上の値が得られる位置範囲、好適には上記光量Pが最大となる位置で送信部22を固定することにより、S/Nが良好あるいは最良となる位置に送信部22を位置合わせすることが可能となる。
【0078】
例えば、前記と同様にして送信部22をX方向に移動させて、送信光量Psと反射光量Prとの差を測定すると、図6に示すように、ある範囲の位置で全二重通信を行なうのに必要なS/N値を満足するP(th)以上の光量Pが得られる。この位置は、図5(a)および図5(b)に示す測定結果において、送信光量PsがPs(th)以上であり、かつ、反射光量PrがPr(th)以下となる位置範囲X2 −X4 に対応する。
【0079】
上記の方法によれば、上記送信光量Psから反射光量Prを差し引いた値(光量P)をモニタし、この値が、全二重通信を行なうのに必要なS/N値を満足するP(th)以上の値が得られる位置範囲X2 −X4 、特に好適には、図6において、送信光量Psと反射光量Prとの差が最大となる位置X3 で送信部22を固定することにより、確実に全二重通信が可能な双方向光通信装置1を得ることが可能となる。図6において、送信光量Psと反射光量Prとの差が最大となる位置X3 は、図5(a)および図5(b)に示す測定結果において、送信光量PsがPs(th)以上であり、かつ、反射光量Prが最小の値となる位置範囲X3 に対応する。上記の方法によれば、送信光量Ps(出射光量)と反射光量Prとの差が最大になる位置に発光素子4をアライメントすることが可能となり、S/N値が最大となる位置に発光素子4を調整することが可能になる。
【0080】
なお、上記の説明では、主に、送信部22をX方向に移動させることにより、アクティブアライメントによる受信部21に対する送信部22のX方向の位置調整(つまり、送信部22の保持部材15あるいは発光素子4の、受信部21を取り付けたレセプタクル14によって保持された光ファイバ2、あるいは、受信部21の受光素子5に対する、X方向の位置調整)を行う方法について例示したが、上記の方法は、X方向における位置調整のみに適用されるものではなく、同様の方法により、Y方向の位置調整を行うことができる。
【0081】
また、XY方向に限定されず、アクティブアライメントにより、上記と同様にして送信部22のZ方向の位置調整を行ってもよい。上記と同様にしてZ方向の位置調整を行うことで、高精度で位置決めを行うことができ、よりS/N値の良好な双方向光通信装置を得ることが可能となる。
【0082】
一方、上述したように、送信部22のZ方向における位置調整を行うに際し、組立て精度が比較的緩い方向での位置調整はパッシブアライメントとし、高精度の組立てが必要な方向の位置調整をアクティブアライメントとすることで、発光素子4のZ方向における位置調整を光ファイバ2に対向する一平面内、つまり、光ファイバ2の光軸に直交するXY平面内で行うことにより、より短時間で双方向光通信装置1の組立てを行うことができる。
【0083】
受信部21に対する送信部22の位置調整は、各XYZ方向における送信光量Psと反射光量Prとの差が最大となる位置(最適位置)を中心にして、Z方向は±30μmの範囲内、XY方向は±10μmの範囲内で行われることが好ましい。
【0084】
以上のように、本実施の形態にかかる双方向光通信装置の組立て方法は、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子と、上記発光素子を、少なくとも上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で移動可能に保持する保持部材とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバ端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、上記保持部材を、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の反射光量とに基づいて位置調整して固定する方法である。
【0085】
言い換えれば、本実施の形態にかかる双方向光通信装置の組立て方法は、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行ない、前記光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、前記光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子と、前記光ファイバをプラグによって固定し、前記光ファイバとプラグを保持するレセプタクルを有する双方向光通信装置の組立て方法において、前記レセプタクルによって保持された光ファイバ、あるいは前記受光素子に対して、前記発光素子を有する発光素子保持部を位置調整する組立て方法である。
【0086】
上記の方法によれば、上記保持部材を移動させて、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の反射光量とに基づいて上記保持部材の位置調整を行うことで、高精度での位置調整(アライメント)が必要な送信光学系(発光素子)をアクティブアライメントにより位置調整することができると共に、上記送信光学系(発光素子)と上記光ファイバあるいは受信光学系(受光素子)との位置調整が可能となる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる。また、送信光量と反射光量とを測定(モニタ)して上記組立てを行うことで、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を得ることができると共に、受信光への送信光の混信、つまり、受信光への近端反射光の混信を確実に防止することができる。また、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる双方向光通信装置の組立て方法を提供することができる。
【0087】
また、本実施の形態にかかる双方向光通信装置の組立て方法は、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバ端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、上記発光素子の位置を、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となる位置に調整し、固定する方法である。
【0088】
より具体的には、本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行ない、前記光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、前記光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子と、前記光ファイバをプラグによって固定し、前記光ファイバとプラグを保持するレセプタクルを有する双方向光通信装置の組立て方法において、前記送信光の前記光ファイバの他端からの出射光量を測定し、前記発光素子の位置を調整して、前記出射光量が一定値以上となる位置で粗調整した後、送信光の前記光ファイバ端面からの反射光量を前記受光素子により測定し、前記反射光量が一定値以下となる位置で発光素子の位置を微調整し固定する方法である。
【0089】
上記の方法によれば、上記発光素子の位置を、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となる位置に調整し、固定することで、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を得ることができると共に、受信光への送信光の混信を確実に防止することができる。また、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量とに基づいて調整することで、高精度での位置調整(アライメント)が必要な発光素子をアクティブアライメントにより位置調整することができると共に、上記発光素子と上記光ファイバあるいは受光素子との位置調整が可能となる。また、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる双方向光通信装置の組立て方法を提供することができる。
【0090】
しかも、上記発光素子の位置を、あらかじめ送信光量により粗調整することで、送信光が常に光ファイバに入射した範囲内で微調整が可能となる。
【0091】
また、本実施の形態にかかる双方向光通信装置の組立て方法は、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバ端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に調整し、固定する方法である。
【0092】
より具体的には、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行ない、前記光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、前記光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを有する組立て方法であり、前記送信光の前記光ファイバ端面からの反射光量を前記受光素子により測定すると同時に、前記送信光の前記光ファイバの他端からの出射光量を測定し、前記発光素子の位置を調整して、前記出射光量と前記反射光量の差が最大となる位置で固定する方法である。
【0093】
上記の方法によれば、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に調整し、固定することで、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を得ることができると共に、受信光への送信光の混信を確実に防止することができる。また、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量とに基づいて調整することで、高精度での位置調整(アライメント)が必要な発光素子をアクティブアライメントにより位置調整することができると共に、上記発光素子と上記光ファイバあるいは受光素子との位置調整が可能となる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる双方向光通信装置の組立て方法を提供することができる。
【0094】
この場合、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量との差が最大となる位置に調整し、固定することで、S/N値が最大となる位置、つまり、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうためにS/N値が最良となる位置に上記発光素子を調整(位置合わせ)することができる。
【0095】
また、本実施の形態にかかる双方向光通信装置は、上記双方向光通信装置の組立て方法に適した構成要素を備え、該方法により組立てられる双方向光通信装置であって、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置において、上記受光素子が、上記光ファイバ端面からの送信光の反射光量を測定する反射光測定部として機能すると共に、上記発光素子を、少なくとも上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で移動可能に保持する保持部材を備え、上記保持部材が、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の反射光量とに基づいて位置調整して固定されている構成を有している。
【0096】
言い換えれば、本実施の形態にかかる双方向光通信装置は、一本の光ファイバにより空間的に送信光と受信光とを分離して、双方向に光信号の送受信を行ない、前記光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、前記光ファイバから出射される受信光を受信する受信素子とを有し、前記発光素子を前記光ファイバ、あるいは前記受光素子に対して位置調整して固定する発光素子保持部を有した構成である。
【0097】
上記の構成によれば、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の反射光量とに基づいて上記保持部材の位置調整がなされていることにより、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を有すると共に、受信光への近端反射光の混信を防止することができ、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を提供することができる。
【0098】
特に、レセプタクルによって保持された光ファイバ、あるいは受光素子に対して、発光素子を有する発光素子保持部を移動させることにより、高精度で位置調整が必要な発光素子と送信光学系との調整が可能となるため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる。そして、このとき、上記受光素子に動作バイアスを供給する受信ステムと上記発光素子に動作バイアスを供給する送信ステムとが電気的に分離されていることで、電気的ノイズによるS/N値の低下を抑制することができ、また、発光素子と受光素子との動作確認を各々別々に行うことができる。
【0099】
また、本実施の形態にかかる双方向光通信装置では、受信用光学系(受信用光学部材)の一部を発光素子のカバー部として用いていることから、小型で低コストの双方向光通信装置を得ることができる。また、本実施の形態にかかる双方向光通信装置では、カバー部に送信用光学部材を形成していることで、双方向光通信装置のさらに小型化、低コスト化を図ることができる。
【0100】
一本の光ファイバにより空間的に送信光と受信光とを分離して全二重通信を行なう従来の双方向光通信装置では、送信光と受信光とを分離し、かつ、それぞれの集光光学系を配置する必要があるため、装置が複雑で大型となり、また、高精度での組立てが必要であった。
【0101】
しかしながら、本実施の形態にかかる双方向光通信装置では、受信用光学部材に受信用光学系(受信用光学部材)と送信用光学系(送信用光学部材)とを同一部材から形成し、かつ該部材(例えば受信用光学部材)が発光素子のカバーを兼ねる構造としているため、装置の小型化・低コスト化が可能となる。また、高精度なアライメレトが必要な送信部にアクティブアライメントを採用し、この位置調整を反射光量をモニタすることにより行なっているため、反射光による混信を確実に低減し、一本の光ファイバを用いて送信光と受信光とを空間的に分離した全二重方式による通信方法を用いた双方向光通信装置においても、S/N値の良好な双方向光通信装置を得ることが可能となる。
【0102】
〔実施の形態2〕
本発明にかかる他の実施の形態について、図7に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本実施の形態では、主に、前記実施の形態1との相違点について説明するものとし、前記実施の形態1で用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
【0103】
本実施の形態では、送信ピン18を介して受光素子5に動作バイアスを供給する受信ステムと受信ピン19を介して発光素子4に動作バイアスを供給する送信ステムとが同一のステム34により構成され、光ファイバ2の左右方向で送信光16と受信光17とを空間的に分離することで混信を防止する双方向光通信装置1’について説明する。
【0104】
本実施の形態において、上記ステム34は、受光素子5がモノリシックに形成されたシリコン基板31を保持している。上記シリコン基板31上には、発光素子4と、発光素子4から放射される送信光16を反射して光ファイバ2方向に立ち上げるマイクロミラー32とが配置されている。マイクロミラー32は受光素子5の近傍に形成され、約30μm程度の高さで、ミラー面32aがシリコン基板31に対して45度程度傾斜して加工されている。マイクロミラー32は感光性ポリイミド等を母材として、エキシマレーザによるレーザアブレーション加工等により作製することができる。一方、発光素子4は、上記マイクロミラー32を挟んで上記受光素子5とは反対側の、受光素子5から離れた位置に配置されている。
【0105】
上記シリコン基板31は、移動可能に設けられ、レセプタクル14に対して位置調整が可能な保持部材15に固定されている。これにより、上記保持部材15は、上記発光素子4を、光ファイバ2に対して位置調整して固定することが可能となっている。つまり、本実施の形態でも、発光素子4の位置は、保持部材15を移動させることにより調整可能であり、双方向光通信装置1’の組立て時に、この保持部材15の位置調整を行なうことにより、高精度での組立てを可能とし、混信を防止することができる。
【0106】
また、上記光ファイバ2の光軸上には、レセプタクル14に固定されたレンズ33が設けられている。該レンズ33は、マイクロミラー32により立ち上げられた送信光16をNA変換して光ファイバ2に結合させる送信用光学部材と、光ファイバ2から出射される受信光17を集光して受光素子5に結合させる受信用光学部材とを兼ねている。
【0107】
なお、本実施の形態でも、光ファイバ2はプラグ13内に固定されており、プラグ13は、レセプタクル14に対して抜差しすることができる。
【0108】
次に、上記双方向光通信装置1’の組立て方法並びに光通信における混信防止方法について以下に説明する。
上記双方向光通信装置1’による光信号の送受信(全二重通信)は、以下のようにして行われる。マイクロミラー32で立上げられた送信光16は、レンズ33により集光されて、光ファイバ2の光軸中心からずれた位置に入射される。一方、光ファイバ2から放射される受信光17は、レンズ33で集光されて受光素子5に結合するが、受信光17のうち、光ファイバ2において送信光16が入射する位置の近傍の位置から放射される受信光17は、上記受光素子5が、マイクロミラー32を挟んで発光素子4とは反対側において、マイクロミラー32で立ち上げられ、光ファイバ2に結合された送信光16の光軸から外れた位置に形成されていることで、レンズ33により、受光素子5以外の位置に集光されるようになっている。
【0109】
これにより、上記双方向光通信装置1’では、送信光16の反射光が受信光17に混信して受光素子5に結合することを防止している。すなわち、上記双方向光通信装置1’では、光ファイバ2の左右方向(つまり、光ファイバ2における発光素子4形成部よりの位置と受光素子5形成部よりの位置)で送信光16と受信光17とを空間的に分離することで混信を防止している。
【0110】
次に、上記双方向光通信装置1’の組立て方法について以下に説明する。
先ず、送受信部として、図7に示すように、受光素子5がモノシリックに形成され、発光素子4とマイクロミラーとが搭載されたシリコン基板31を保持したステム34を形成し、配線を行なったステム34を、保持部材15に固定し、発光素子4並びに受光素子5の動作確認を行なう。
【0111】
保持部材15は、光ファイバ2の光軸方向並びに、光ファイバ2の光軸に直交する平面内で移動可能となっている。そこで、本実施の形態でも、上記保持部材15を最適位置に移動させて、保持部材15をレセプタクル14に取り付けて固定する。この最適位置の決定方法、つまり、保持部材15のレセプタクル14に対する位置調整は、前記実施の形態1と同様に、送信光16の反射光を受光素子5によりモニタすることにより行なう。すなわち、発光素子4を動作させて、発光素子4から光ファイバ2を介して出射される送信光のうち、光ファイバ2の端面2aで反射されて受光素子5に入射する反射光量Prを測定し、この値が一定値以下となると共に、発光素子4から光ファイバ2を介して出射される送信光量Psが一定値以上となる位置で保持部材15をレセプタクル14に接着して固定する。
【0112】
なお、本実施の形態でも、送信光量Psと反射光量Prとを同時にモニタして、送信光量Psと反射光量Prとの差が最大となる位置で保持部材15をレセプタクル14に固定してもよい。
【0113】
以上のように、本実の形態で示した双方向光通信装置1’の組立て方法においても、送信光16の反射光量Prをモニタしながら組立てを行なっているため、確実に混信を防止でき、一本の光ファイバ2で全二重方式の通信を行なうことが可能となる。また、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる。
【0114】
また、本実施の形態にかかる双方向光通信装置1’もまた、前記実施の形態1同様、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置において、上記受光素子が、上記光ファイバ端面からの送信光の反射光量を測定する反射光測定部として機能すると共に、上記発光素子を、少なくとも上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で移動可能に保持する保持部材を備え、上記保持部材が、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の反射光量とに基づいて位置調整して固定されている構成である。
【0115】
このため、上記の構成によれば、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の反射光量とに基づいて上記保持部材の位置調整がなされていることにより、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を有すると共に、受信光への近端反射光の混信を防止することができ、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を提供することができる。
【0116】
また、本実施の形態にかかる双方向光通信装置1’は、上記受光素子から出射される送信光を集光して光ファイバに結合させるレンズを備え、上記レンズは、上記受光素子から出射される送信光を上記光ファイバの光軸中心からずれた位置に結合させると共に、上記受光素子は、上記送信光の光軸から離れた位置に形成されている構成である。
【0117】
このため、本実施の形態では、受信光のうち、光ファイバにおいて送信光が入射する位置の近傍の位置から放射される受信光は、上記レンズにより、受光素子以外の位置に集光されることで、混信を防止している。
【0118】
なお、本実施の形態で示した構成及び組立て方法は、一例であり、もちろんその一部を変更したものによっても同様の効果を得ることが可能であることは言うまでもない。
【0119】
〔実施の形態3〕
本発明にかかるさらに他の実施の形態について、主に、図8(a)〜(d)を参照して説明すれば以下の通りである。本実施の形態では、双方向光通信装置を複数個作製する場合の組立て方法について説明するものとし、前記実施の形態1で用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
【0120】
以下の説明においては、図1に示す双方向光通信装置1を複数個作製する場合を例に挙げて説明する。各双方向光通信装置1を区別するために、説明の便宜上、図8(a)〜(d)中、1個目の双方向光通信装置1を組立てる際に用いる参照用の双方向光通信装置1を双方向光通信装置1A0 とし、1個目に組立てられる双方向光通信装置1を双方向光通信装置1A1 、2個目に組立てられる双方向光通信装置1を双方向光通信装置1A2 とし、以下、同様に、組立て順に、双方向光通信装置1A3 ,…,1An-1 , 1An と記載する。
【0121】
また、1個目の双方向光通信装置1を組立てる際に用いる参照用の双方向光通信装置1A0 の受信部21を受信部21A0 、送信部22を送信部22A0 とし、1個目に組立てられる双方向光通信装置1の受信部21を受信部21A1 、送信部22を送信部22A1とし、以下、同様の法則にしたがって、2個目,3個目,…,N−1個目,N個目の各双方向光通信装置1A2 ,1A3 ,…,1An-1 , 1An の受信部並びに送信部の部材番号を、各々、受信部21A2 ,21A3 ,…,21An-1 , 21An 、送信部22A2 ,22A3 ,…,22An-1 , 22An と記載するものとする。
【0122】
先ず、1個目の双方向光通信装置1A1 の組立て方法を説明する。1個目の双方向光通信装置1A1 は、図8(a)に示すように、参照用の送信部22A0 を有する、参照用(参照側)の双方向光通信装置1A0 から、光ファイバ2を介して送信光(送信光16;図1参照)を送信し、組立て側の双方向光通信装置1A1 の受信部21A1 における受光素子(受光素子5;図1参照)で受光し、受信光量が最大となるように受信部21A1 を位置調整してレセプタクル(レセプタクル14;図1参照)に固定する。
【0123】
具体的な固定方法としては、図3(b)および前記実施の形態1における受信部21の取り付け方法を参照するものとし、その説明は省略する。なお、ここでは、アクティブアライメントを行う場合について説明したが、前記実施の形態1にて説明したように、パッシブアライメントを行ってもよい。
【0124】
パッシブアライメントを行う場合、受信光量の測定並びにその測定結果に基づく受信部21A1 の位置調整は、前記実施の形態1における反射光量Prの測定並びにその測定結果に基づく送信部22の位置調整と同様の方法により、容易に行うことができる。なお、参照側の双方向光通信装置1A0 における参照用の送信部22A0 と参照用の受信部21A0 とは、例えば、前記実施の形態1に示した方法により、予め、最適位置に調整されている。
【0125】
次に、図8(b)に示すように、光ファイバ2の端面2aからの反射光量(反射光量Pr)を、組立て側の双方向光通信装置1A1 の受信部21A1 における受光素子で受光することにより、送信部22A1 を位置調整して固定する。送信部22A1 の具体的な位置調整の方法としては、図3(c)・(d)および図4〜図6並びに前記実施の形態1における送信部22の位置調整に関する説明を参照するものとし、その説明は省略する。これで、1個目の双方向光通信装置1A1 が完成する。
【0126】
次に、図8(b)に示すように、1個目の双方向光通信装置1A1 を参照用の双方向光通信装置として用いて、該双方向光通信装置1A1 から上記と同様の手順により送信光(送信光16;図1参照)を送信し、組立て側の双方向光通信装置1A2 の受信部21A2 で受光し、受信光量が最大となるように受信部21A2 を位置調整して固定する。
【0127】
続いて、図8(c)に示すように、光ファイバ2の端面2aからの反射光量(反射光量Pr)を、組立て側の双方向光通信装置1A2 における受信部21A2 で受光することにより、上記と同様の手順により、送信部22A2 を位置調整して固定する。これで、2個目の双方向光通信装置1A2 が完成する。
【0128】
次に、図8(c)に示すように、今度は、先の工程で得られた2個目の双方向光通信装置1A2 を参照用の双方向光通信装置として用いて、上記と同様の手順により3個目の双方向光通信装置1A3 の組立てを行う。
【0129】
以下、同様の操作を繰り返すことにより、図8(d)に示すように、N個目の双方向光通信装置1An の組立てを行う。
このとき、M個目の双方向光通信装置の送信部あるいは受信部に不良がある場合には、(M+1)個目の双方向光通信装置の組立てには、参照用の双方向光通信装置として、(M−1)個目の双方向光通信装置を用いる。
【0130】
このように、光ファイバ2における一方の端部(例えば端面2a側)に、組立て対象の双方向光通信装置1An を配し、他方の端部(例えば端面2b側)に、先に組立てた双方向光通信装置1An-1 を参照用の双方向光通信装置として配し、先に組立てた双方向光通信装置1An-1 (参照用の双方向光通信装置)の受信部21An-1 における受光素子並びに送信部22An-1 における発光素子4を基準に新たな双方向光通信装置1An の組立てを行うことで、先に組立てた双方向光通信装置1An-1 の受信部21An-1 並びに送信部22An-1 の動作確認を、新たな双方向光通信装置1An の組立てと同時に行うことが可能となる。このため、組立て後に、別途、動作確認を行なう手間を省くことができ、より効率的に双方向光通信装置1An-1 の組立てを行うことができる。
【0131】
なお、上記図8(a)〜(d)では、組立て側と参照側とを区別するために、光ファイバ2の端面2a側に組立て対象の双方向光通信装置を配し、光ファイバ2の端面2b側に参照用の双方向光通信装置を配する構成としたが、光ファイバ2の端面2a、端面2bは、それぞれ、組立ての対象となる双方向光通信装置からみて送信光出射側の端面か受信光入射側の端面かを区別したものであり、先に組立てた、N−1番目の双方向光通信装置1An-1 はそのままとし、新たに組立てるN番目の双方向光通信装置1An を、上記光ファイバ2における、参照用の双方向光通信装置配置側端部(つまり、先に組立てた、N−1番目の双方向光通信装置1An-1 配置側端部)とは反対側の端部に配することで、出射光量(送信光量Ps)の測定には、基準となる、N−1番目の、参照用の双方向光通信装置1An-1 (受光素子)を用いて、上記組立て方法により組立てを行った後、N+1番目の新たな双方向光通信装置を組立てる際には、先に基準(参照用の双方向光通信装置(受光素子))として用いた、N−1番目の双方向光通信装置1An-1 (受光素子)を取り外し、先の組立てにより完成した、基準の双方向光通信装置として未だ使用していない、1つ前の(N番目の)双方向光通信装置1An を基準(参照用の双方向光通信装置(受光素子))として組立てを繰り返すことにより、N+1個目の、新たな双方向光通信装置を作製すればよい。
【0132】
以上のように、本実施の形態にかかる双方向光通信装置の組立て方法は、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置を複数個組立てる双方向光通信装置の組立て方法であって、光ファイバの一方の端部に、前記実施の形態1または2に記載の双方向光通信装置の組立て方法により組立てた双方向光通信装置を配し、他方の端部に、組立て対象の双方向光通信装置を配し、前記実施の形態1または2に記載の双方向光通信装置の組立て方法により組立てた双方向光通信装置を参照用の双方向光通信装置として用いて上記光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行って組立て対象の双方向光通信装置の発光素子と受光素子との位置調整を行う方法である。
【0133】
言い換えれば、本実施の形態にかかる双方向光通信装置の組立て方法は、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行ない、前記光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、前記光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを有する双方向光通信装置を複数個組立てる組立て方法において、前記実施の形態1または2に記載の双方向光通信装置の組立て方法により作成した参照用双方向光通信装置を光ファイバ他端に配置し、前記参照用双方向光通信装置の発光素子および受光素子を基準に新たな双方向光通信装置の組立てを行う方法である。
【0134】
上記の方法によれば、参照用の双方向光通信装置の動作確認、つまり、前記実施の形態1または2に記載の双方向光通信装置の組立て方法により組立てた双方向光通信装置の発光素子および受光素子の動作確認を、組立て対象の双方向光通信装置の組立て時に行なうことが可能となり、別途、動作確認を行なうことが不要となるので、より高効率な双方向光通信装置の組立てを行うことができる。
【0135】
【発明の効果】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、以上のように、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子と、上記発光素子を、少なくとも上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で上記受光素子に対して移動可能に保持する保持部材とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、上記保持部材を、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の反射光量とに基づいて移動させることにより、上記発光素子を、上記受光素子に対して移動させて位置調整して、固定する方法である。
【0136】
それゆえ、高精度での位置調整が必要な発光素子をアクティブアライメントにより位置調整することができると共に、上記発光素子と上記光ファイバあるいは受光素子との位置調整が可能となる。また、送信光量と反射光量とをモニタして上記組立てを行うことで、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を得ることができると共に、受信光への送信光の混信を確実に防止することができる。また、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる双方向光通信装置の組立て方法を提供することができるという効果を奏する。
【0137】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、以上のように、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、上記発光素子の位置を、上記受光素子に対して移動させて、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となる位置に調整し、固定する方法である。
【0138】
それゆえ、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を得ることができると共に、受信光への送信光の混信を確実に防止することができる。また、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量とに基づいて調整することで、高精度での位置調整が必要な発光素子をアクティブアライメントにより位置調整することができると共に、上記発光素子と上記光ファイバあるいは受光素子との位置調整が可能となる。また、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる双方向光通信装置の組立て方法を提供することができるという効果を奏する。
【0139】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、以上のように、上記発光素子の位置調整が、上記発光素子の位置を、上記出射光量が一定値以上となる位置で粗調整した後、上記反射光量が一定値以下となる位置で微調整することにより行われる方法である。
【0140】
それゆえ、粗調整により送信光が常に光ファイバに入射した範囲内で微調整を行うことができるという効果を奏する。
【0141】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、以上のように、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、上記発光素子の位置を、上記受光素子に対して移動させて、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に調整し、固定する方法である。
【0142】
それゆえ、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を得ることができると共に、受信光への送信光の混信を確実に防止することができる。また、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量とに基づいて調整することで、高精度での位置調整が必要な発光素子をアクティブアライメントにより位置調整することができると共に、上記発光素子と上記光ファイバあるいは受光素子との位置調整が可能となる。また、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる双方向光通信装置の組立て方法を提供することができるという効果を奏する。
【0143】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、以上のように、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子と、上記光ファイバに対向して配置され、上記光ファイバから出射される受信光を反射して上記受光素子に集光する反射膜とを備え、上記反射膜の一部には、上記発光素子からの送信光が通過する開口部が、上記光ファイバの送信光入射側の端面に対して平行に形成されており、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、上記発光素子の位置を、上記受光素子に対して移動させて、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射した送信光の大半を上記開口部に戻し、上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、上記発光素子の位置を、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となるか、もしくは、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に調整し、固定する方法である。
【0144】
それゆえ、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を得ることができると共に、受信光への送信光の混信を確実に防止することができる。また、上記発光素子の位置を、上記出射光量と反射光量とに基づいて調整することで、高精度での位置調整が必要な発光素子をアクティブアライメントにより位置調整することができると共に、上記発光素子と上記光ファイバあるいは受光素子との位置調整が可能となる。また、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる。このため、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を得ることができる双方向光通信装置の組立て方法を提供することができるという効果を奏する。
【0145】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、以上のように、上記発光素子の位置調整を、上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で行う方法である。
【0146】
それゆえ、高精度な位置調整を必要とする上記光ファイバの光軸方向に直交する平面以外での位置調整には上記した組立て方法に基づいたアクティブアライメントを採用していないので、位置決めの軸を少なくし、より短時間で上記双方向光通信装置を組立てることができるという効果を奏する。
【0147】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、以上のように、上記受光素子を上記光ファイバに対して移動可能とし、上記発光素子の位置調整を行なう前に、上記光ファイバの他端から入射させた光の受信光量が最大となる位置で上記受光素子を上記光ファイバに対して固定する方法である。
【0148】
それゆえ、受信光の受信効率をより良好にすることができるという効果を奏する。
【0149】
本発明の双方向光通信装置の組立て方法は、以上のように、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置を複数個組立てる双方向光通信装置の組立て方法であって、光ファイバの一方の端部に、本発明にかかる上述した双方向光通信装置の組立て方法により組立てた双方向光通信装置を配し、他方の端部に、組立て対象の双方向光通信装置を配し、上述した双方向光通信装置の組立て方法により組立てた双方向光通信装置を参照用の双方向光通信装置として用いて上記光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行って組立て対象の双方向光通信装置の発光素子と受光素子との位置調整を行う方法である。
【0150】
それゆえ、本発明にかかる上述した双方向光通信装置の組立て方法により組立てた双方向光通信装置の発光素子および受光素子の動作確認を、組立て対象の双方向光通信装置の組立て時に行なうことが可能となり、別途、動作確認を行なうことが不要となるので、より高効率な双方向光通信装置の組立てを行うことができるという効果を奏する。
【0151】
本発明の双方向光通信装置は、以上のように、光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置において、上記受光素子が、上記光ファイバの送信光入射側の端面からの送信光の反射光量を測定する反射光測定部として機能すると共に、上記発光素子を、少なくとも上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で上記受光素子に対して移動可能に保持する保持部材と、上記光ファイバに対向して配置され、上記光ファイバから出射される受信光を反射して上記受光素子に集光する反射膜とを備え、上記反射膜の一部には、上記発光素子からの送信光が通過する開口部が、上記光ファイバの送信光入射側の端面に対して平行に形成されており、上記保持部材は、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の、上記光ファイバの送信光入射側の端面での反射光量とに基づいて、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射した送信光の大半を上記開口部に戻し、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となるか、もしくは、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に固定されている構成である。
【0152】
それゆえ、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なうために適したS/N値を有すると共に、受信光への近端反射光の混信を防止することができ、受信光の受信効率と送信光の送信効率との両方を共に良好にすることができる高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を提供することができるという効果を奏する。
【0153】
本発明の双方向光通信装置は、以上のように、上記受光素子に動作バイアスを供給する受信ステムと、上記発光素子に動作バイアスを供給する送信ステムとを備え、上記受信ステムと送信ステムとが電気的に分離されている構成である。
【0154】
それゆえ、電気的ノイズによるS/N値の低下を抑制することができる。また、発光素子の動作確認と受光素子の動作確認とを別々に行なうことができるので、何れか一方に不良があった場合、その一方を交換するだけで対応することができる。さらに、上記の構成によれば、発光素子と受光素子とを別々に動作させることができ、上記したように保持部材を設けることで、各ステムごと、発光素子と受光素子とを別々に移動させることが可能となる。したがって、発光素子と受光素子とを別々に位置調整して固定することができるので、高性能で歩留まりの良い双方向光通信装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態にかかる双方向光通信装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】 図1に示す双方向通信リンクの概略構成を示す模式図である。
【図3】 (a)〜(d)は、図1に示す双方向光通信装置の組立て方法を示す図である。
【図4】 本発明の一実施の形態にかかる双方向光通信装置を組立てる際に、送信部の位置調整を行う方法を説明する模式図である。
【図5】 (a)は、本発明の一実施の形態にかかる双方向光通信装置の送信部のX方向の位置と送信光量との関係を示すグラフであり、(b)は、本発明の一実施の形態にかかる双方向光通信装置の送信部のX方向の位置と反射光量との関係を示すグラフである。
【図6】 本発明の一実施の形態にかかる双方向光通信装置の送信部のX方向の位置と、送信光量と反射光量との差との関係を示すグラフである。
【図7】 本発明の他の実施の形態にかかる双方向光通信装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】 (a)〜(d)は、複数個の双方向光通信装置の組立て方法を示す説明図である。
【図9】 従来の双方向光通信装置の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 双方向光通信装置
1A0 双方向光通信装置
1A1 双方向光通信装置
1A2 双方向光通信装置
1A3 双方向光通信装置
1An-1 双方向光通信装置
1An 双方向光通信装置
2 光ファイバ
2a 端面
2b 端面
3 双方向光通信リンク
4 発光素子
5 受光素子
8 送信ステム
9 受信ステム
15 保持部材
16 送信光
17 受信光
18 送信ピン
19 受信ピン
21 受信部
21A0 受信部
21A1 受信部
21A2 受信部
21A3 受信部
21An-1 受信部
21An 受信部
22 送信部
22A0 送信部
22A1 送信部
22A2 送信部
22An-1 送信部
22An 送信部
23 モニタ用フォトダイオード
24 モニタ受光器
34 ステム
Ps 送信光量(出射光量)
Pr 反射光量
Claims (10)
- 光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子と、上記発光素子を、少なくとも上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で上記受光素子に対して移動可能に保持する保持部材とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、
上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、
上記保持部材を、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の反射光量とに基づいて移動させることにより、上記発光素子を、上記受光素子に対して移動させて位置調整して、固定することを特徴とする双方向光通信装置の組立て方法。 - 光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、
上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、
上記発光素子の位置を、上記受光素子に対して移動させて、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となる位置に調整し、固定することを特徴とする双方向光通信装置の組立て方法。 - 上記発光素子の位置調整が、上記発光素子の位置を、上記出射光量が一定値以上となる位置で粗調整した後、上記反射光量が一定値以下となる位置で微調整することにより行われることを特徴とする請求項2記載の双方向光通信装置の組立て方法。
- 光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、
上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、
上記発光素子の位置を、上記受光素子に対して移動させて、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に調整し、固定することを特徴とする双方向光通信装置の組立て方法。 - 光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子と、上記光ファイバに対向して配置され、上記光ファイバから出射される受信光を反射して上記受光素子に集光する反射膜とを備え、上記反射膜の一部には、上記発光素子からの送信光が通過する開口部が、上記光ファイバの送信光入射側の端面に対して平行に形成されており、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置の組立て方法であって、
上記発光素子の位置を、上記受光素子に対して移動させて、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射した送信光の大半を上記開口部に戻し、上記光ファイバから出射される送信光の出射光量と、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射して上記受光素子に入射される送信光の反射光量とを測定し、
上記発光素子の位置を、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となるか、もしくは、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に調整し、固定することを特徴とする双方向光通信装置の組立て方法。 - 上記発光素子の位置調整を、上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で行うことを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の双方向光通信装置の組立て方法。
- 上記受光素子を上記光ファイバに対して移動可能とし、
上記発光素子の位置調整を行なう前に、上記光ファイバの他端から入射させた光の受信光量が最大となる位置で上記受光素子を上記光ファイバに対して固定することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の双方向光通信装置の組立て方法。 - 光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置を複数個組立てる双方向光通信装置の組立て方法であって、
光ファイバの一方の端部に、請求項1〜7の何れか1項に記載の双方向光通信装置の組立て方法により組立てた双方向光通信装置を配し、他方の端部に、組立て対象の双方向光通信装置を配し、請求項1〜7の何れか1項に記載の双方向光通信装置の組立て方法により組立てた双方向光通信装置を参照用の双方向光通信装置として用いて上記光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行って組立て対象の双方向光通信装置の発光素子と受光素子との位置調整を行うことを特徴とする双方向光通信装置の組立て方法。 - 光ファイバに送信光を入射させる発光素子と、光ファイバから出射される受信光を受信する受光素子とを備え、一本の光ファイバにより双方向に光信号の送受信を行なう双方向光通信装置において、
上記受光素子が、上記光ファイバの送信光入射側の端面からの送信光の反射光量を測定する反射光測定部として機能すると共に、
上記発光素子を、少なくとも上記光ファイバの光軸方向に直交する平面内で上記受光素子に対して移動可能に保持する保持部材と、
上記光ファイバに対向して配置され、上記光ファイバから出射される受信光を反射して上記受光素子に集光する反射膜とを備え、
上記反射膜の一部には、上記発光素子からの送信光が通過する開口部が、上記光ファイバの送信光入射側の端面に対して平行に形成されており、
上記保持部材は、上記光ファイバからの送信光の出射光量と、上記受光素子により測定される送信光の、上記光ファイバの送信光入射側の端面での反射光量とに基づいて、上記光ファイバの送信光入射側の端面で反射した送信光の大半を上記開口部に戻し、上記出射光量が一定値以上であり、かつ、上記反射光量が一定値以下となるか、もしくは、上記出射光量と反射光量との差が一定値以上となる位置に固定されていることを特徴とする双方向光通信装置。 - 上記受光素子に動作バイアスを供給する受信ステムと、上記発光素子に動作バイアスを供給する送信ステムとを備え、上記受信ステムと送信ステムとが電気的に分離されていることを特徴とする請求項9記載の双方向光通信装置。
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