JP3654194B2 - 耐歪み時効特性に優れた高強度鋼材とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、引張強さが760MPa以上の耐歪み時効特性に優れた高張力鋼材に関し、より詳しくは天然ガスや原油を輸送するラインパイプや各種圧力容器などの溶接構造物を製造するのに使用して好適な鋼材(鋼板、鋼管、形鋼、棒鋼など)とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ガスや原油を長距離輸送するパイプラインにおいて、輸送コストの低減は普遍的なニーズであり、操業圧力の上昇による輸送効率の改善が必要とされている。操業圧力を高めるには、従来からの強度グレードのラインパイプの肉厚を増加させる方法が考えられる。しかし、この方法は、現地での溶接施工能率を低下させる他、構造物の質量増加による施工効率の低下を生じさせる問題がある。
【0003】
これに対し、ラインパイプの素材自体を高強度化して肉厚の増大を制限するニーズが高まっており、現在、API(米国石油協会)においてX80グレード(引張強さ620MPa以上)鋼が規格化され、実用に供されてきた。
【0004】
さらに、高強度なラインパイプ用材としては、特開平8−199292号公報および同8−269546号公報に示されるように、Mn含有量を高めに設定したX100グレード(引張強さ760MPa以上)超級の高強度鋼がある。
【0005】
しかし、ラインパイプの主力であるUOE鋼管に代表される大径の溶接鋼管やERW鋼管に代表される中小径の溶接鋼管は、素材の鋼板の管状への成形が室温下、すなわち冷間加工でおこなわれ、いわゆる加工歪みが生じるため、素材の鋼板に高性能な材料(鋼)からなるものを用いても、製品の溶接鋼管では素材の鋼板の特性が保持されない可能性がある。
【0006】
また、冷間加工に供せられない鋼材においても、溶接時や熱処理時に生じる熱歪み、および構造部材として長期間使用される間に生ずる歪みなどの歪みが部分的に蓄えられる場合がある。
【0007】
こうした歪みは、5%以下の小さな歪み量であるが、歪んだ鋼材がさらに長期間使用される場合には、歪み時効による鋼材の劣化に留意する必要がある。
【0008】
なお、歪み時効は、鋼材が室温下で長期間使用されることによって生ずるが、コーティング処理などのために鋼材が100〜250℃に加熱されることによって促進する。
【0009】
歪み時効による鋼材の劣化は、引張強さが392MPa以上や490MPa以上級の従来から多用されている鋼材においてもある程度生ずることは知られているが、歪み時効処理材のシャルピー衝撃試験などにより実用上ほとんど問題のないことが確認されている。
【0010】
これに対し、引張強さが620MPa以上の前述したX80グレード鋼級以上の高強度鋼においては、歪み時効による鋼材の劣化についての系統的な調査がされていないのが現状である。特に、シャルピー特性などの靭性低下だけではなく、引張試験時の一様伸びの低下など、加工硬化特性に対する対策を講じる必要がある。
【0011】
しかし、一般に、金属材料は高強度化するほど伸び、延性、特に一様伸び特性が低下するため、歪み時効処理に伴う加工硬化に起因する特性劣化の対策が必要になると考えられている。
【0012】
本発明者が、引張強さ760MPa以上の種々の溶接構造用鋼材について検討した結果、多くの溶接構造用鋼材で、歪み量3%の冷間加工後、250℃に1時間保持後空冷する時効処理後に、靭性および加工硬化特性の劣化が生じることが判明した。特に、一様伸びについては、著しい低下が生じる場合があり、構造部材としての安全性を損なう可能性があった。しかしながら、こうした高強度鋼の問題に対し、耐歪み時効特性を向上させて構造用材料としての安全性を高める技術は、皆無といっていいほどなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたもので、その目的は、引張強さが760MPa以上の耐歪み時効特性と溶接部靭性に優れた高張力鋼材、より具体的には良好な靭性と溶接性を有するとともに、その溶接部の靭性に優れ、例えば、3%歪み時効処理後の一様伸び率が歪み時効処理前の一様伸び率の0.6倍以上というような歪み時効処理後においても優れた加工硬化特性と低温靭性を有する溶接鋼管などの溶接構造用物の素材として用いて好適な鋼板に代表される高強度鋼材とその製造法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を達成するために、引張強さが760MPa以上の溶接構造物用の高強度鋼材の高靭化、溶接性の向上および耐歪み時効特性の向上に対し、種々検討を行った結果、以下のことを知見した。
(a)歪み時効の直接の原因となるNとCの含有量、および高強度鋼材の歪み時効を促進するSi、PおよびO(酸素)の含有量を制限、具体的には式「A=50N+C+0.3Si+10(P+O)(ここで、各元素記号は鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味する)」で定義されるA値が0.35以下になるように各元素の含有量を後述する範囲内において調整すれば、歪み時効後の低温靭性と一様伸びが向上する。
(b)Nb、TiおよびAlは、引張強さ760MPa以上の高強度鋼材の歪み時効特性を軽減させる作用を有し、少なくともNb、Ti、Alの3元素を必須成分として添加するとともに、式「B=(50N+C+10O)/(4Nb+10Ti+2sol.Al)(ここで、各元素記号は鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味する)」で定義されるB値が1.6以下になるように各元素の含有量を後述する範囲内において調整すれば、時効特性感受性が低下し、歪み時効による劣化が抑制される。
(c)そして、後述する組成範囲内において上記の両式を満たす場合には、溶接性と靭性並びにその溶接部の靭性に優れ、3%の歪み時効処理後の一様伸び率が歪み時効処理前の一様伸び率の0.6倍以上という優れた加工硬化特性と良好な低温靭性を有する溶接鋼管などの溶接構造用物の素材として用いて好適な鋼板に代表される高強度鋼材が得られる。
(d)また、鋼板に代表される上記の高強度鋼材は、素材の鋼を950〜1200℃に加熱後、仕上温度850〜650℃で熱間圧延を終了し、500℃を下回らない温度域から300℃以下にまで4℃/秒以上の冷却速度で加速冷却することにより、上記3%の歪み時効処理後の一様伸び率が歪み時効処理前の一様伸び率の0.6倍以上という優れた加工硬化特性を有する製品を安定して製造可能である。
【0015】
上記の知見に基づいて完成させた本発明の要旨は、下記(1)、(2)の耐歪み時効特性に優れた高強度鋼材、下記(3)の高強度鋼材の製造方法、下記(4)の耐歪み時効特性に優れた高強度溶接鋼管および下記(5)の高強度溶接鋼管の製造方法にある。
(1)化学組成が、質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.15%以下、Mn:1.00〜2.50%、P:0.010%以下、S:0.005%以下、Nb:0.005〜0.06%、Ti:0.004〜0.025%、sol.Al:0.05%以下、N:0.0050%以下、O(酸素):0.003%以下、Cu:0〜1.5%、Ni:0〜2.5%、Mo:0〜0.80%、Cr:0〜1.0%、V:0〜0.1%、Zr:0〜0.03%、Ca:0〜0.0030%及びB:0〜0.002%並びに残部がFe及び不純物であって、下記の(1)式で定義されるA値が0.35以下、(2)式で定義されるB値が1.6以下の鋼からなり、引張強さが760MPa以上である耐歪み時効特性に優れた高強度鋼材。
【0016】
A=50N+C+0.3Si+10(P+O) ・・・・・・・・・ (1)
B=(50N+C+10O)/(4Nb+10Ti+2sol.Al) ・・・・ (2)
ここで、(1)式と(2)式中の元素記号は鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味する。
(2)鋼材が、鋼板である上記(1)に記載の高強度鋼材。
(3)質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.15%以下、Mn:1.00〜2.50%、P:0.010%以下、S:0.005%以下、Nb:0.005〜0.06%、Ti:0.004〜0.025%、sol.Al:0.05%以下、N:0.0050%以下、O(酸素):0.003%以下、Cu:0〜1.5%、Ni:0〜2.5%、Mo:0〜0.80%、Cr:0〜1.0%、V:0〜0.1%、Zr:0〜0.03%、Ca:0〜0.0030%及びB:0〜0.002%並びに残部がFe及び不純物であって、下記の(1)式で定義されるA値が0.35以下、(2)式で定義されるB値が1.6以下の鋼を、950〜1200℃に加熱後、熱間圧延をおこなって仕上温度850〜650℃で圧延を終了し、500℃を下回らない温度域から300℃以下の温度にまで4℃/秒以上の冷却速度で加速冷却する引張強さ760MPa以上の耐歪み時効特性に優れた高強度鋼材の製造法。
【0017】
A=50N+C+0.3Si+10(P+O) ・・・・・・・・・ (1)
B=(50N+C+10O)/(4Nb+10Ti+2sol.Al) ・・・・ (2)
ここで、(1) 式と(2) 式中の元素記号は鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味する。
(4)母材部が、上記(2)に記載の高強度鋼板である耐歪み時効特性に優れた高強度溶接鋼管。
(5)上記(2)に記載の高強度鋼板を、600℃以下の温度域で管状に成形し、その突き合わせ部を溶接接合する耐歪み時効特性に優れた高強度溶接鋼管の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を上記のように定めた理由について詳しく説明する。なお、以下の説明において、「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。
【0019】
まず、鋼の化学組成について説明する。
【0020】
C:0.01〜0.10%
Cは、母材の強度を確保する目的で含有させるが、0.01%未満では焼入性が不足で引張強さ760MPa以上の確保が難しく、また母材の靭性も十分ではない。一方、0.10%を超えて含有させると、母材の靭性および溶接性、さらにはその溶接熱影響部の靭性が低下するだけでなく、耐歪み時効特性の劣化が生ずる。よって、C含有量は0.01〜0.10%とした。好ましい範囲は0.01〜0.06%である。
【0021】
Si:0.15%以下
Siは、脱酸剤として通常添加されるが、その含有量が0.15%を超えると母材およびその溶接部ともに靭性低下をもたらすだけでなく、耐歪み時効特性も低下する。よって、Si含有量は0.15%以下とした。好ましい上限は0.10%である。
【0022】
Mn:1.00〜2.50%
Mnは、鋼の焼入性を向上させ、強度を高めるために添加含有させるが、その含有量が1.00%未満では、所望の強度を確保することが困難である。一方、2.50%を超えて含有させると、母材およびその溶接部ともに靭性低下を招く。よって、Mn含有量は1.00〜2.50%とした。なお、溶接部の靭性を向上させる観点からはMnは少ない方が望ましく、Mn含有量の好ましい範囲は1.00〜1.90%、より好ましい範囲は1.00〜1.70%である。
【0023】
P:0.010%以下
Pは、不純物元素であり、母材およびその溶接熱影響部の低温靭性を損なうだけでなく、溶接性をも低下させ、さらに耐歪み時効特性も低下させる。したがって、P含有量は低ければ低いほどよいが、過度な低減はコスト上昇を招くことと、0.010%までであれば特に問題ないことから、その上限を0.010%とした。好ましい上限は0.005%である。
【0024】
S:0.005%以下
Sは、上記のPと同様の不純物元素であり、母材およびその溶接熱影響部の低温靭性を損なうだけでなく、溶接性をも低下させる。したがって、S含有量は、上記のPと同様に、低ければ低いほどよいが、過度な低減はコスト上昇を招くことと、0.005%までであれば特に問題ないことから、その上限を0.005%とした。好ましい上限は0.002%である。
【0025】
Nb:0.005〜0.06%
Nbは、母材の組織を微細化させて高強度鋼の靭性を大幅に向上させるだけでなく、耐歪み時効特性に有害な元素のC、Nと結合してこれらの元素を安定化させ、耐歪み時効特性を向上させる効果がある。しかし、その含有量が0.005%未満では前記の効果が得られず、逆に0.06%を超えて含有させると母材の溶接性を損なうだけでなく、靭性および耐歪み時効特性をもかえって低下させる。よって、Nb含有量は0.005〜0.06%とした。好ましい範囲は0.005〜0.03%、より好ましい範囲は0.005〜0.02%である。
【0026】
Ti:0.004〜0.025%
Tiは、耐歪み時効特性に有害な元素のC、Nと結合してこれらの元素を安定化させ、耐歪み時効特性を大幅に向上させるだけでなく、母材およびその溶接熱影響部の組織を微細化させて高強度鋼の母材とその溶接熱影響部の低温靭性を向上させる効果がある。しかし、その含有量が0.004%未満では前記の効果が得られず、逆に0.025%を超えて含有させると耐歪み時効特性を損なうだけでなく、溶接性および靭性をもかえって低下させる。よって、Ti含有量は0.004〜0.025%とした。好ましい範囲は0.004〜0.015%である。
【0027】
sol.Al:0.05%以下
Alは、脱酸剤として添加されるが、耐歪み時効特性に有害な元素のNと結合して安定化させ、耐歪み時効特性を大幅に向上させる効果がある。このAlによる耐歪み時効特性の向上効果は極微量のsol.Al含有量で得られるが、その効果は0.002%以上のsol.Al含有量で顕著になる。しかし、その含有量がsol.Al含有量で0.05%を超えると、溶接部の靭性が劣化するだけでなく、耐歪み時効特性や溶接性がかえって低下する。よって、sol.Al含有量は0.05%以下とした。好ましい上限は0.03%である。
【0028】
N:0.0050%以下
Nは、耐歪み時効特性に極めて有害な不純物元素であり、その含有量が0.0050%を超えると、母材およびその溶接部の靭性低下が著しくなるだけでなく、他の耐歪み時効特性向上対策を講じても良好な耐歪み時効特性が得られなくなる。よって、N含有量は0.0050%以下とした。なお、N含有量は低ければ低いほど望ましく、好ましい上限は0.0030%である。
【0029】
O(酸素):0.003%以下
Oは、上記のNと同様に、耐歪み時効特性に極めて有害な不純物元素であり、その含有量が0.003%を超えると、母材およびその溶接部の靭性低下が著しくなるだけでなく、他の耐歪み時効特性向上対策を講じても良好な耐歪み時効特性が得られなくなる。よって、O含有量は0.003%以下とした。なお、O含有量は低ければ低いほど望ましく、好ましい上限は0.0020%、より好ましい上限は0.0015%である。
【0030】
以下の各元素は添加しなくもよいが、下記の範囲内で添加含有させれば、耐歪み時効特性を損なうことなく、母材および溶接熱影響部の強度、靭性および耐食性などを向上させることができる。このため、より厚肉の鋼板や強度の高い高強度鋼材などを製造する際には、必要に応じてこれら元素の1種以上を添加してもよい。
【0031】
Cu:
Cuは、焼入性を向上させ、溶接性をあまり損なうことなく母材を強靭化する作用を有し、その効果は0.1%以上の含有量で顕著になる。しかし、1.5%を超えて含有させると、母材およびその溶接部の靭性を損なうだけでなく、熱間延性を大きく低下させる場合がある。このため、添加する場合のCu含有量は0.1〜1.5%とするのがよい。
【0032】
Ni:
Niは、高強度鋼の低温靭性、脆性亀裂伝播停止性能および溶接性を改善する作用を有し、その効果は0.20%以上の含有量で顕著になる。しかし、2.5%を超えて含有させると、焼入れ−焼戻し処理によって過度の残留オーステナイトが生成し、降伏強さが低下する場合がある。このため、添加する場合のNi含有量は0.20〜2.5%とするのがよい。
【0033】
Cr:
Crは、焼入性を向上させるとともに、焼戻し処理時の析出強化によって強度および靭性を向上させる作用を有し、その効果は0.10%以上の含有量で顕著になる。しかし、1.0%を超えて含有させると、強度を過度に高め、母材およびその溶接部の靭性を損なう。このため、添加する場合のCr含有量は0.10〜1.0%とするのがよい。
【0034】
Mo:
Moは、焼入性を向上させるとともに、固溶強化によって強度および靭性を向上させる他、Nbとの複合添加時には組織の微細化を促進すると同時に適度な残留オーステナイトを鋼中に分散させて耐歪み脆化特性を向上させる作用を有し、その効果は0.10%以上の含有量で顕著になる。しかし、0.80%を超えて含有させると、強度を過度に高め、母材およびその溶接部の靭性を損なう。このため、添加する場合のMo含有量は0.10〜0.80%とするのがよい。
【0035】
V:
Vは、焼入性を向上させ、強度および靭性を向上させる他、耐歪み時効特性に有害な元素を安定化して耐歪み時効特性をも向上させる作用を有し、その効果は0.005%以上の含有量で顕著になる。しかし、0.1%を超えて含有させると、強度を過度に高め、母材およびその溶接部の靭性を損なう。このため、添加する場合のV含有量は0.005〜0.1%とするのがよい。
【0036】
Ca:
Caは、鋼中の介在物の形態を制御し、母材およびその溶接部の靭性や耐食性を向上させる他、耐歪み時効特性に有害な元素を安定化して耐歪み時効特性をも向上させる作用を有し、その効果は0.0005%の含有量で顕著になる。しかし、0.0030%を超えて含有させると、鋼の清浄度が低下し、母材およびその溶接部の靭性が低下するだけでなく、耐歪み時効特性も低下する。このため、添加する場合のCa含有量は0.0005〜0.0030%とするのがよい。
【0037】
Zr:
Zrは、鋼中の介在物の形態を制御し、母材およびその溶接部の靭性や耐食性を向上させる他、耐歪み時効特性に有害な元素を安定化して耐歪み時効特性を向上させる作用をも有し、その効果は0.005%の含有量で顕著になる。しかし、0.03%を超えて含有させると、鋼の清浄度が低下し、母材およびその溶接部の靭性が低下するだけでなく、耐歪み時効特性も低下する。このため、添加する場合のZr含有量は0.005〜0.03%とするのがよい。
【0038】
B:
Bは、焼入性を向上させ、強度および靭性を向上させる作用を有し、その効果は0.0003%以上の含有量で顕著になる。しかし、0.003%を超えて含有させると、強度を過度に高め、母材およびその溶接部の靭性を損なう。このため、添加する場合のB含有量は0.0003〜0.003%とするのがよい。
【0039】
C、Si、P、Nb、Ti、Al、NおよびOの関係:
これら元素の含有量は、上記の範囲内において、下記の(1)式で定義されるA値が0.35以下、(2)式で定義されるB値が1.6以下となる含有量でなければならない。すなわち、A値が0.35を超えるか、またはB値が1.6を超えると、歪み時効感受性が増大し、所望の耐歪み時効特性が確保できない。このことは、後述する実施例の結果からも明らかである。なお、B値の好ましい上限は0.80である。
【0040】
A=50N+C+0.3Si+10(P+O) ・・・・・・・・・ (1)
B=(50N+C+10O)/(4Nb+10Ti+2sol.Al) ・・・・ (2)
ここで、(1) 式と(2) 式中の元素記号は鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味する。
【0041】
次に、製造方法について説明する。
【0042】
素材鋼の加熱温度:
加熱温度が1200℃を超えると、その後の熱間圧延後に、歪み時効に有害な元素を安定化できず、より良好な耐歪み時効特性の確保が困難になると同時に、構造用鋼材としての良好な低温靭性を確保することも難しくなる。また、950℃未満では目的とする760MPa以上の引張強さを安定して確保することが難しくなる。このため、素材鋼の加熱温度は950〜1200℃とするのが望ましい。
【0043】
熱間圧延の仕上温度:
圧延仕上温度が850℃を超えると、仕上げ圧延後直ちに水冷(直接焼入れ)したとしても、所望の低温靭性を安定して確保することが難しくなる。また、650℃未満では目的とする760MPa以上の引張強さを安定して確保することが難しくなる。このため、熱間圧延の仕上温度は650〜850℃とするのが望ましい。好ましい範囲は700〜800℃である。
【0044】
水冷(加速冷却)開始温度:
直接焼入れ時の水冷開始温度が500℃を下回ると、圧延仕上温度が850〜650℃の範囲であっても、良好な強度および低温靭性を安定して確保することが難しくなるだけでなく、より良好な耐歪み時効特性の確保も困難になる。このため、水冷開始温度は500℃以上とするのがの望ましい。
【0045】
加速冷却速度:
熱間圧延後の加速冷却は、鋼中の残留オーステナイトの分解を防ぎ、耐歪み時効特性をより一層向上させるのに必要であるが、4℃/秒未満の冷却速度では残留オーステナイトの分解を十分に防ぐことができず、耐歪み時効特性をより一層向上させることが困難になる。このため、加速冷却速度は4℃/秒以上とするのがの望ましい。好ましくは10℃/秒以上とするのがより望ましい。なお、加速冷却速度は、速ければ速いほどよく、上限は特に定める必要はないが、あまり速くするとコスト増になりやすいので、100℃/秒以下とするのがよい。
【0046】
加速冷却の停止温度:
加速冷却時の冷却停止温度が300℃を超えると、目的とする760MPa以上の引張強さ、および所望の靭性を確保することが難しくなるだけでなく、歪み時効脆化の抑制に有効な適量の残留オーステナイトが分解し、より良好な耐歪み時効特性の確保も困難になる。このため、加速冷却の停止温度は300℃以下とするのがの望ましい。なお、加速冷却停止後、室温になるまでの間の冷却には何らの制約もなく、空冷または徐冷などすればよい。
【0047】
さらに、溶接鋼管の製造方法について説明する。
【0048】
本発明の溶接鋼管は、上記条件のもとに製造された鋼板を管状に成形し、その突き合わせ部を溶接接合して製造されるが、その際、鋼板の管状への成形は、600℃以下の温度域でおこなう必要がある。これは、成形温度が600℃を超えると、硬質相の機能を低下させる恐れがあるためである。
【0049】
鋼板の管状への成形は、成形後の鋼管外径をD(mm)、肉厚(鋼板板厚)をt(mm)とした場合、(t/D)値が0.1以下になるように成形するのが望ましい。これは、(t/D)値が0.1を超えると、靭性と耐歪み時効脆化特性が劣化し、所望の靭性と耐歪み時効脆化特性が確保しにくくなるためである。
【0050】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0051】
【実施例】
表1に示す化学組成を有する14種類の鋼からなるスラブを準備した。
【0052】
【表1】
準備した各スラブは、表2に示す種々の条件で板厚20mmの鋼板に成形した。その際、加速冷却停止温度が室温以外の各鋼板は、加速冷却後、室温になるまでの間を大気放冷(空冷)とした。
【0053】
【表2】
得られた各鋼板は、その一辺にX開先を加工して突き合わせ、入熱量7kJ/mmでサブマージドアーク溶接し、その母材からJIS Z 2201に規定される4号試験片とJIS Z 2202規定されるVノッチ試験片を採取する一方、溶接継手部から溶接熱影響部(HAZ)の幅方向中央がノッチ底に位置するJIS Z 2202規定されるVノッチ試験片を採取した。
【0054】
採取した各試験片は、引張試験とシャルピー衝撃試験に供し、母材の降伏強さ(MPa)、引張強さ(MPa)、一様伸び率(%)および破面遷移温度(vTs:℃)を調べる一方、−30℃におけるHAZのシャルピー吸収エネルギー(vE−30℃:J)を調べた。
【0055】
また、各鋼板の一部には、歪み量が1.5%と3.0%の引張歪みを付与した後、250℃に1時間加熱保持する歪み時効処理をおこない、この歪み時効処理後の各鋼板からJIS Z 2201に規定される4号試験片とJIS Z 2202規定されるVノッチ試験片を採取して引張試験とシャルピー衝撃試験に供し、一様伸び率(%)と破面遷移温度(vTs:℃)を調べ、これらの調査結果を表2に併せて示した。
【0056】
表2に示す結果からわかるように、鋼の化学組成と製造条件が本発明で規定する範囲内である試番1〜11の鋼板は、いずれも歪み時効処理前の引張強さが762MPa以上と高く、一様伸び率が3.9%以上、vTsが−78℃以下、HAZのvE−30℃が148J以上と良好であるだけでなく、3.0%の歪み時効処理後の一様伸び率が歪み時効処理前の60%以上の値を保っている。
【0058】
これに対し、前述した(2) 式で定義されるB値が本発明で規定する上限値の1.6を超える試番16や、同じく(1) 式で定義させるA値が本発明で規定する上限値の0.44を超える試番17の鋼板など、鋼の化学組成が本発明で規定する範囲を外れる試番16〜20の鋼板は、3.0%の歪み時効処理後の一様伸び率が、いずれも、歪み時効処理前の9〜37%と悪い。
【0059】
【発明の効果】
本発明の高強度鋼材、たとえば鋼板は、耐歪み時効特性に優れており、耐歪み時効特性が良好な高強度溶接鋼管のような溶接構造物を得るのに使用して好適で、産業上極めて有用である。
Claims (5)
- 化学組成が、質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.15%以下、Mn:1.00〜2.50%、P:0.010%以下、S:0.005%以下、Nb:0.005〜0.06%、Ti:0.004〜0.025%、sol.Al:0.05%以下、N:0.0050%以下、O(酸素):0.003%以下、Cu:0〜1.5%、Ni:0〜2.5%、Mo:0〜0.80%、Cr:0〜1.0%、V:0〜0.1%、Zr:0〜0.03%、Ca:0〜0.0030%及びB:0〜0.002%並びに残部がFe及び不純物であって、下記の(1)式で定義されるA値が0.35以下、(2)式で定義されるB値が1.6以下の鋼からなり、引張強さが760MPa以上である耐歪み時効特性に優れた高強度鋼材。
A=50N+C+0.3Si+10(P+O) ・・・・・・・・・・ (1)
B=(50N+C+10O)/(4Nb+10Ti+2sol.Al) ・・・・ (2)
ここで、(1)式と(2)式中の元素記号は鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味する。 - 鋼材が、鋼板である請求項1に記載の高強度鋼材。
- 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.15%以下、Mn:1.00〜2.50%、P:0.010%以下、S:0.005%以下、Nb:0.005〜0.06%、Ti:0.004〜0.025%、sol.Al:0.05%以下、N:0.0050%以下、O(酸素):0.003%以下、Cu:0〜1.5%、Ni:0〜2.5%、Mo:0〜0.80%、Cr:0〜1.0%、V:0〜0.1%、Zr:0〜0.03%、Ca:0〜0.0030%及びB:0〜0.002%並びに残部がFe及び不純物であって、下記の(1)式で定義されるA値が0.35以下、(2)式で定義されるB値が1.6以下の鋼を、950〜1200℃に加熱後、熱間圧延をおこなって仕上温度850〜650℃で圧延を終了し、500℃を下回らない温度域から300℃以下の温度にまで4℃/秒以上の冷却速度で加速冷却する引張強さ760MPa以上の耐歪み時効特性に優れた高強度鋼材の製造方法。
A=50N+C+0.3Si+10(P+O) ・・・・・・・・・・ (1)
B=(50N+C+10O)/(4Nb+10Ti+2sol.Al) ・・・・ (2)
ここで、(1)式と(2)式中の元素記号は鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味する。 - 母材部が、請求項2に記載の高強度鋼板である耐歪み時効特性に優れた高強度溶接鋼管。
- 請求項2に記載の高強度鋼板を、600℃以下の温度域で管状に成形し、その突き合わせ部を溶接接合する耐歪み時効特性に優れた高強度溶接鋼管の製造方法。
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