JP3640694B2 - カラー受像管 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、カラー受像管に係り、特に電子銃から放出される電子ビームのビームスポットの形状を改善して、画面全域の解像度を良好にするカラー受像管に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にカラー受像管は、外囲器のパネル内面に、多数の電子ビーム通過孔の形成されたシャドウマスクと対向して、3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーンが形成され、電子銃から放出される3電子ビームを外囲器の外側に装着された偏向装置の発生する水平、垂直偏向磁界により偏向し、上記シャドウマスクを介して蛍光体スクリーンを水平、垂直走査することによりカラー画像を表示する構造に形成されている。
【0003】
このようなカラー受像管において、特に電子銃を、同一水平面上を通るセンタービームおよび一対のサイドビームからなる一列配置の3電子ビームを放出するインライン型電子銃とし、この電子銃から放出される3電子ビームを図14(a)に示すピンクッション形水平偏向磁界1H および同(b)に示すバレル形垂直偏向磁界1V からなる非斉一磁界を発生する偏向装置と組合わせて、上記一列配置の3電子ビーム2B ,2G ,2R を蛍光体スクリーン上に集中するようにしたセルフコンバーゼンス・インライン型カラー受像管が、現在カラー受像管の主流となっている。
【0004】
このインライン型カラー受像管の電子銃としては、既に各種構造のものがあるが、いずれも、一列配置の3個のカソードおよびこれらカソードからの電子放出を制御しかつ放出された電子を集束して3電子ビームを形成する第1、第2グリッドからなる電子ビーム発生部、この電子ビーム発生部から得られる3電子ビームを最終的に蛍光体スクリーン上に集束する少なくとも2個のグリッドからなる主レンズを有する。
【0005】
このセルフコンバーゼンス・インライン型カラー受像管によれば、ダイナミック・コンバーゼンス装置などの集中装置を用いることなく一列配置の3電子ビームを蛍光体スクリーン上に集中することができる。しかしこのカラー受像管においては、上記のように水平、垂直偏向磁界が非斉一であるため、画面周辺部における解像度が劣化し、この解像度の劣化が偏向角が90°から110°と大きくなるにしたがって顕著となるという問題がある。
【0006】
この画面周辺部における解像度の劣化は、図14(a)および(b)に3電子ビーム2B ,2G ,2R のうち、2R について示したように、水平偏向磁界1H により水平方向には集束が弱められ、水平偏向磁界1V により垂直方向には集束が強められることが原因であり、そのために、画面上のビームスポットは、図15に示すように、画面中央部のビームスポット3a を真円としても、周辺部のビームスポット3b は、水平方向に長い楕円状の高輝度コア部4のほかに、垂直方向に長い低輝度のハロー部5をともなう形状に歪むためである。
【0007】
このビームスポットの歪(偏向歪)を改善する手段として、電子ビーム発生部で得られる電子ビームを予備集束するプリフォーカスレンズで電子ビームを強く絞り、主レンズや偏向磁界を通過するときのビーム径を小さくすることにより、偏向歪を軽減する方法がある。しかしこの方法では、クロスオーバー径が大きくなり、画面中央部の解像度が劣化する。
【0008】
上記ビームスポットの歪を改善する他の手段として、プリフォーカスレンズを非対称レンズとする方法や、特公昭60−7345号公報に示されているように、主レンズに非対称性を付与して、電子ビームの垂直方向をアンダーフォーカス状態とすることにより、偏向歪を軽減する方法がある。さらに特開平1−236554号公報には、画面中央部の解像度を犠牲にすることなく、画面周辺部の解像度を改善する手段として、主レンズに一種の四極子レンズを付加して、電子ビームが主レンズから垂直方向には強い集束作用と発散作用を、水平方向には弱い集束作用と発散作用を受けるようにし、それにより、偏向磁界を通過する電子ビームの断面形状を、垂直方向を短径とする楕円状にして、垂直方向に強く受ける偏向歪を軽減し、また四極子レンズの電界成分を最適化して、画面中央部のビームスポットをほぼ円形にする手段が示されている。
【0009】
しかしこのような主レンズの特性を発揮させるためには、図16に示すように、主レンズを形成する筒状の第3、第4グリッドG3 ,G4 内に電界補正部材7,8を溶接するか、あるいは特開平4−332438号公報に示されているように、図17に示す構造の立体型電界補正電極9,10を配置する必要がある。しかしこのような手段は、電極構造が複雑であったり、組立時に電極が変形しやすく、かつコストアップをまねくなどの問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、セルフコンバーゼンス・インライン型カラー受像管の画面周辺部の解像度を劣化させるビームスポットの歪を改善する手段として、主レンズを形成する筒状電極内に電界補正部材を溶接するか、あるいは複雑な形状の立体型電界補正電極を配置することが知られている。しかしこのような手段は、電極構造が複雑であったり、組立時に電極が変形しやすく、かつコストアップをまねくなどの問題がある。
【0011】
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、主レンズを形成する筒状電極に簡単な構造の電界補正電極を配置し、精度よくかつ低コストでカラー受像管の画面周辺部の解像度の劣化を防止し、画面全域の解像度を良好にすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
一列配置の3個のカソードに順次隣接して蛍光体スクリーン側に配置され、カソードとともに一列配置の3電子ビームを発生する電子ビーム発生部を形成する複数個の電極、およびその3電子ビームを最終的に蛍光体スクリーン上に集束する主レンズを形成する複数個の電極からなる電子銃を備え、その主レンズが少なくとも相対的に低電位の第1電極と、この第1電極と対向する相対的に高電位の第2電極とを有するカラー受像管において、第1、第2電極にそれぞれ対向面に3電子ビームの配列方向を長軸とし直交する方向を短軸とする3電子ビーム各別の3個のバーリング部をもたない非円形電子ビーム通過孔を形成され、かつこれら第1、第2電極の少なくとも一方の電極にこれら第1、第2電極により形成される電子レンズの集束領域での3電子ビームの配列方向よりも直交する方向に強い集束作用または発散領域での3電子ビームの配列方向よりも直交する方向に強い発散作用の電界を整形調整する3個の電子ビーム通過孔を有する板状またはカップ状の電界補正電極を設けた。
【0013】
また、その電界補正電極を、電界補正電極が設けられた電極の対向面からの管軸方向最短距離をL、電界補正電極が設けられた電極の対向面の非円形電子ビーム通過孔の3電子ビーム配列方向と直交する方向の最大径をD、電界補正電極が設けられた電極の対向面の板厚をtとするとき、
0<(L−t)/D<1.5
の位置に設けた。
【0014】
【作用】
上記のように、主レンズを形成する第1、第2電極の各対向面に3電子ビームの配列方向を長軸とし直交する方向を短軸とする3電子ビーム各別の3個のバーリング部をもたない非円形電子ビーム通過孔を形成すると、第1、第2電極により形成される電子レンズの集束領域では、3電子ビームの配列方向の集束作用よりも直交する方向に集束作用を強くすることができ、発散領域では、3電子ビームの配列方向発散作用よりも直交する方向の発散作用を強くすることができる。そして第1、第2電極の少なくとも一方に3個の電子ビーム通過孔を有する板状またはカップ状の電界補正電極を配置することにより、その集束領域での集束作用および発散領域での発散作用を最適に調整して、特に画面周辺部におけるビームスポットの形状を良好にすることができる。すなわち、電界補正電極を構造の簡単な製造の容易な板状またはカップ状とすることができ、それにより、組立精度が良好となり、低いコストで特性のばらつきを抑え、画面周辺部のビームスポットの形状を改善して、画面全域の解像度を良好にすることができる。
【0015】
また、その電界補正電極を、
0<(L−t)/D<1.5
の位置に設けることにより、第1、第2電極により形成される電子レンズの集束領域での集束作用および発散領域での発散作用を最適に調整するようにすることができる。
【0016】
【実施例】
以下、図面を参照してこの発明を実施例に基づいて説明する。
【0017】
図4にその一実施例であるインライン型カラー受像管を示す。このカラー受像管は、パネル20およびこのパネル20に一体に接合されたファンネル21からなる外囲器を有し、そのパネル20の内面に、青、緑、赤に発光する垂直方向に細長いストライプ状の3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン22が設けられ、この蛍光体スクリーン22に対向して、その内側に多数の電子ビーム通過孔の形成されたシャドウマスク23が配置されている。一方、ファンネル21のネック24内に、同一水平面上を通るセンタービーム25G および一対のサイドビーム25B ,25R からなる一列配置の3電子ビーム25B ,25G ,25R を放出する後述する電子銃26が配設されている。そして、この電子銃26から放出される3電子ビーム25B ,25G ,25R をファンネル21の外側に装着された偏向装置27の発生するピンクッション形水平偏向磁界およびバレル形垂直偏向磁界により偏向して、上記蛍光体スクリーン22を水平、垂直走査することによりカラー画像を表示する構造に形成されている。
【0018】
上記電子銃26は、図1に示すように、水平方向に一列配置された3個のカソードKB ,KG ,KR 、これらカソードKB ,KG ,KR を各別に加熱する3個のヒータH、上記カソードKB ,KG ,KR の蛍光体スクリーン側に順次配置された第1乃至第4グリッドG1 〜G4 およびその第4グリッドG4 の蛍光体スクリーン側端部に取付けられたコンバーゼンス・カップCからなり、これらカソードKB ,KG ,KR 、ヒータHおよび第1乃至第4グリッドG1 〜G4 が一対の絶縁支持体(図示せず)により一体に固定された構造に形成されている。
【0019】
その第1および第2グリッドG1 ,G2 は、板状電極からなり、これら電極には、3個のカソードKB ,KG ,KR に対応して、比較的小さな3個の円形電子ビーム通過孔が一列配置に形成されている。第3グリッドG3 (第1電極)は、一対のカップ電極G31,G32の開放端を突合わせた筒状電極からなり、その第2グリッドG2 との対向面には、3個のカソードKB ,KG ,KR に対応して、第2グリッドG2 の電子ビーム通過孔よりも大きな3個の円形電子ビーム通過孔が一列配置に形成されている。また第4グリッドG4 との対向面には、図2に示すように、3個のカソードに対応して、水平方向を長軸、垂直方向を短軸とし、その短軸方向径が上記第2グリッドG2 との対向面の電子ビーム通過孔よりも大きい横長(非円形状)の3個の電子ビーム通過孔29B ,29G ,29R が一列配置に形成されている。第4グリッドG4 (第2電極)は、上記第3グリッドG3 と同様に、一対のカップ電極G41,G42の開放端を突合わせた筒状電極からなり、その第3グリッドG3 との対向面には、図2に示した電子ビーム通過孔29B ,29G ,29R と同じ大きさ形状の3個の電子ビーム通過孔30B ,30G ,30R が一列配置に形成されている。またコンバーゼンス・カップCとの対向面には、3個のカソードKB ,KG ,KR に対応して、上記第3グリッドG3 の第2グリッドG2 との対向面の電子ビーム通過孔よりも大きい3個の円形電子ビーム通過孔が一列配置に形成されている。さらにコンバーゼンス・カップCの底部にも、3個のカソードKB ,KG ,KR に対応して、上記第4グリッドG4 のコンバーゼンス・カップCとの対向面の電子ビーム通過孔と同じ大きさの3個の円形電子ビーム通過孔が一列配置に形成されている。
【0020】
さらにこの電子銃26においては、第3グリッドG3の一対のカップ電極G31,G32の突合わせ部に電界補正電極31が配置されている。この電界補正電極31は、板状電極からなり、その板面が第3グリッドG3の第4グリッドG4との対向面と平行に配置され、かつその板面に、図3に示すように、3個のカソードに対応して、第3グリッドG3の第2グリッドG2との対向面の電子ビーム通過孔よりも大きな3個の電子ビーム通過孔32B,32G,32Rが一列配置に形成されている。
【0021】
この電子銃26では、カソードKB ,KG ,KR に150V程度の直流電圧に映像信号の重畳された電圧が印加され、第1グリッドG1 を接地電位として、第2グリッドG2 に約600V、第3グリッドG3 に約7kV、第4グリッドG4 に約25kVに高電圧が印加される。
【0022】
このような電圧の印加により、カソードKB ,KG ,KR および第1、第2グリッドG1 ,G2 により、各KB ,KG ,KR からの電子放出を制御し、かつ放出された電子を集束して電子ビームを形成する電子ビーム発生部が形成され、第2、第3グリッドG2 ,G3 により、上記電子ビームを予備集束するプリフォーカスレンズがされる。さらに第3、第4グリッドG3 ,G4 により、予備集束された電子ビームを最終的に蛍光体スクリーン上に集束する主レンズが形成される。
【0023】
上記主レンズでは、相対的に低い電圧が印加される第3グリッドG3 側に集束電界が形成され、相対的に高い電圧が印加される第4グリッドG4 側に発散電界が形成される。図5(a)にその第3、第4グリッドG3 ,G4 間に形成される主レンズの水平方向の電位分布を、また同(b)に垂直方向の電位分布を示す。これら水平および垂直方向の電位分布は、ともに第3、第4グリッドG3 ,G4 の各対向部の内側に、電子ビーム通過孔29B ,29G ,29R および30B ,30G ,30R を取囲むバーリングがないため、それそれ3個の電子ビーム通過孔29B ,29G ,29R ,30B ,30G ,30R 共通の等電位線34H ,34V で示した電位分布となる。しかも水平方向には、3個の電子ビーム通過孔29B ,29G ,29R ,30B ,30G ,30R が一列配置に形成されているが、垂直方向には、他に電子ビーム通過孔などの開孔がないため、水平、垂直方向の電位分布は、それぞれ図5(a)および(b)に示したようになり、その等電位線34H ,34V の曲率は、水平方向よりも垂直方向の方が大きい。その結果、この第3、第4グリッドG3 ,G4 間に形成される主レンズは、電子ビームに対して、水平方向には、相対的に弱い集束作用と発散作用を及ぼし、垂直方向には、相対的に強い集束作用と発散作用を及ぼす。
【0024】
この主レンズの作用を光学モデルで示すと、図6のようになる。すなわち、電子ビーム25(25B ,25G ,25R )は、第3グリッド側の集束領域36では、水平方向には線FGで示すように相対的に弱い集束作用を受け、垂直方向には線FHで示すように相対的に強い集束作用を受ける。また第4グリッド側の発散領域37では、水平方向には、線GIで示すように相対的に弱い発散作用を受け、垂直方向には、線HJで示すように相対的に強い発散作用を受ける。その結果、電子ビーム25は、水平方向と垂直方向とで程度の異なる集束、発散作用を受け、偏向領域38における電子ビーム25の断面形状は、画面中央部におけるビームスポット39a が水平、垂直方向ともに同径の円形になるように設定しても、水平方向を長径、垂直方向を短径とする楕円形状となる。しかも図7に示すように、電子ビーム25が偏向装置のピンクッション形水平偏向磁界1H から受ける力Fの水平方向成分FH および垂直方向成分FV はそれぞれ小さいため、偏向後の歪は小さく、しかもこの主レンズを通って放出される電子ビーム25の水平方向の集束角をαH 、垂直方向の集束角をαV とするとき、
αH >αV
となり、垂直方向の集束角αV も小さいため、同(b)に示したように、画面周辺部に向かう電子ビーム25の断面形状40は、若干長径、短径が強調された楕円形状となる。
【0025】
その結果、画面上のビームスポットの形状は、図8に示すように、画面中央部のビームスポット40a をほほ真円とし、画面周辺部のビームスポット40b は、ハローを抑制または発生しない楕円形状とすることができ、画面中央部の解像度を劣化させることなく、画面周辺部の解像度を向上させることができる。
【0026】
ところで、主レンズが電子ビームに対して水平方向よりも垂直方向に強い集束作用および発散作用を及ぼすようにするため、従来は、図16に示したように、筒状の第3、第4グリッドG3 ,G4 内に電界補正部材7,8を溶接するか、あるいは図17に示したように、複雑な構造の立体型電界補正電極9,10を配置しなければならなかったが、この例の電子銃では、第3、第4グリッドG3 ,G4 の各対向面の電子ビーム通過孔29B ,29G ,29R ,30B ,30G ,30R を、水平方向を長軸、垂直方向を短軸とする横長形状にし、この横長形状の電子ビーム通過孔29B ,29G ,29R ,30B ,30G ,30R により、水平方向に対して垂直方向に強い集束作用と発散作用を及ぼす電界を形成し、この電界の集束、発散作用を3個の円形電子ビーム通過孔32B ,32G ,32R の形成された板状電極からなる構造簡単な電界補正電極31で調整するものとしている。このような主レンズの電界を調整する方法としては、その主レンズを構成する第3、第4グリッドG3 ,G4 の各対向面の電子ビーム通過孔の孔径などを適宜設定することでも、変化させることは可能であるが、このような方法は、主レンズの特性の変化が大きく、電界を適正に調整することがきわめて困難である。しかしこの例の電子銃のように、主レンズを構成する第3、第4グリッドG3 ,G4 の一方の電極内に板状の電界補正電極31を配置すると、水平方向に対して垂直方向に強い集束作用と発散作用を及ぼす所望の電界を容易に形成することができるようになる。
【0027】
この場合、その電界補正電極31は、主レンズの電界内に設けることが必要であり、図9に示すように、第3グリッドG3 の第4グリッドG4 との対向面から電界補正電極31までの管軸方向最短距離をL、第3グリッドG3 の第4グリッドG4 との対向面の電子ビーム通過孔29B ,29G ,29R (29G のみ図示)の配列方向(3電子ビーム配列方向)と直交する方向の最大径をD、第3グリッドG3 の第4グリッドG4 との対向面の板厚をtとするとき、下記数1
【数1】
0<(L−t)/D<1.5
の位置に電界補正電極31を設けることにより、第3、第4グリッドG3 ,G4 により形成される主レンズの電界を最適に調整することができる。
【0028】
つぎに、他の実施例について説明する。
【0029】
前記実施例1では、主レンズを構成する第3グリッドを構成する一対のカップ電極の突合わせ部に板状の電界補正電極を配置したが、図10(a)に示す電子銃では、その主レンズを構成する第3、第4グリッドG3 ,G4 のうち、特に第3グリッドG3 を筒状電極G33とカップ電極G32とで構成し、そのカップ電極G32を第4グリッドG4 側に配置し、これら筒状電極G33とカップ電極G32の突合わせ部にカップ状の電界補正電極31が配置された構造に形成されている。このカップ状の電界補正電極31は、同(b)に示すように、水平方向に一列配置の3個のカソードに対応して、3個の円形電子ビーム通過孔32B ,32G ,32R が形成され、その各電子ビーム通過孔32B ,32G ,32R のまわりにバーリング42が設けられた構造に形成されている。
【0030】
このような電界補正電極31についても、前記数1の関係に配置することにより、第3、第4グリッドG3 ,G4 により形成される主レンズの電界を最適に調整して、図8に示したように、画面中央部のビームスポットをほぼ真円とし、周辺部でハローを抑制または発生しない楕円形状とすることができ、画面中央部の解像度を劣化させることなく、画面周辺部の解像度を向上させることができる。
【0031】
また、前記実施例では、主レンズを構成する第3、第4グリッドのうち、第3グリッドを構成する一対のカップ電極の突合わせ部に板状の電界補正電極を配置したが、図11に示す電子銃は、主レンズを構成する第3、第4グリッドG3 ,G4 のうち、第4 グリッドG4 を構成する一対のカップ電極G41,G42の突合わせ部に板状の電界補正電極31が配置された構造に形成されている。
【0032】
このように第4 グリッドG4 に板状の電界補正電極31を配置しても、第4グリッドG4 の第3グリッドG3 との対向面から電界補正電極31までの管軸方向最短距離をL、第4グリッドG4 の第3グリッドG3 との対向面の電子ビーム通過孔30B ,30G ,30R (30G のみ図示)の配列方向と直交する方向の最大径をD、第4グリッドG4 の第3グリッドG3 との対向面の板厚をtとするとき、前記数1の関係にすることにより、第3、第4グリッドG3 ,G4 により形成される主レンズの電界を最適に調整して、図8に示したように、画面中央部のビームスポットをほぼ真円とし、周辺部でハローを抑制または発生しない楕円形状とすることができ、画面中央部の解像度を劣化させることなく、画面周辺部の解像度を向上させることができる。
【0033】
また、前記実施例では、主レンズを構成する第3、第4グリッドのうち、いずれか一方の電極の突合わせ部に電界補正電極を配置したが、図12に示すように、主レンズを構成する第3、第4グリッドG3 ,G4 の両方の電極の突合わせ部に電界補正電極31a ,31b を配置しても、同様にこれら第3、第4グリッドG3 ,G4 により形成される主レンズの電界を最適に調整して、図8に示したように、画面中央部のビームスポットをほぼ真円とし、周辺部でハローを抑制または発生しない楕円形状とすることができ、画面中央部の解像度を劣化させることなく、画面周辺部の解像度を向上させることができる。
【0034】
さらに、前記実施例では、電界補正電極に一列配置の3個のカソードに対応して3個の円形電子ビーム通過孔を形成したが、図13(a)に示すように、この電界補正電極31の3個の円形電子ビーム通過孔32B ,32G ,32R は、水平方向に一列配置の3個のカソードに対応して、水平方向を長軸、垂直方向を短軸とする3個の横長の電子ビーム通過孔32B ,32G ,32R としても、前記数1の位置に配置することにより、同様の効果をもつ電子銃を構成することができる。また同(b)に示すように、センタービーム通過孔32G と一対のサイドビーム通過孔32B ,32R の形状を異ならしめても、同様の効果をもつ電子銃を構成することができる。
【0035】
なお、上記実施例では、4個の電極からなるバイポテンシャル型電子銃について説明したが、この発明は、他の構造の電子銃にも適用可能である。
【0036】
【発明の効果】
一列配置の3個のカソードに順次隣接して蛍光体スクリーン側に配置され、カソードとともに一列配置の3電子ビームを発生する電子ビーム発生部を形成する複数個の電極、およびその3電子ビームを最終的に蛍光体スクリーン上に集束する主レンズを形成する複数個の電極からなる電子銃を備え、その主レンズが少なくとも相対的に低電位の第1電極と、この第1電極と対向する相対的に高電位の第2電極とを有するカラー受像管において、第1、第2電極のそれぞれ対向面に3電子ビームの配列方向を長軸とし直交する方向を短軸とする3電子ビーム各別の3個のバーリング部をもたない非円形電子ビーム通過孔を形成し、かつこれら第1、第2電極の少なくとも一方の電極にこれら第1、第2電極により形成される電子レンズの集束領域での3電子ビームの配列方向よりも直交する方向に強い集束作用または発散領域での3電子ビームの配列方向よりも直交する方向に強い発散作用の電界を整形調整する3個の電子ビーム通過孔を有する板状またはカップ状の電界補正電極を設けると、第1、第2電極により形成される電子レンズの集束領域では、3電子ビームの配列方向の集束作用よりも直交する方向に集束作用を強くすることができ、発散領域では、3電子ビームの配列方向発散作用よりも直交する方向の発散作用を強くすることができる。そして第1、第2電極の少なくとも一方に板状またはカップ状の電界補正電極を配置することにより、その集束領域での集束作用および発散領域での発散作用を最適に調整でき、電界補正電極を構造の簡単な製造の容易な板状またはカップ状とすることにより、組立精度が良好となり、低いコストで電子銃の特性のばらつきを抑え、画面周辺部のビームスポットの形状を改善して、画面全域の解像度を向上させることができる。
【0037】
また、その電界補正電極を、電界補正電極が設けられた電極の対向面からの管軸方向最短距離をL、電界補正電極が設けられた電極の対向面の非円形電子ビーム通過孔の3電子ビーム配列方向と直交する方向の最大径をD、電界補正電極が設けられた電極の対向面の板厚をtとするとき、
0<(L−t)/D<1.5
の位置に設けることにより、第1、第2電極により形成される電子レンズの集束領域での集束作用および発散領域での発散作用を最適に調整するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)はこの発明の一実施例であるインライン型カラー受像管の電子銃の構成を示す平面図、図1(b)は側面図である。
【図2】上記電子銃の第3グリッドを構成する第4グリッド側のカップ電極の構造を示す斜視図である。
【図3】上記電子銃の第3グリッド内に配置される電界補正電極の構造を示す平面図である。
【図4】この発明の一実施例であるインライン型カラー受像管の構成を示す図である。
【図5】図5(a)は上記電子銃の主レンズの水平方向の電位分布を示す図、図5(b)は垂直方向の電位分布を示す図である。
【図6】上記主レンズの電子ビームに対する作用を説明するための光学モデル図である。
【図7】電子ビームに対する偏向装置のピンクッション形水平偏向磁界の作用を説明するための図である。
【図8】上記電子銃から放出される電子ビームの画面上のビームスポットの形状を示す図である。
【図9】上記電界補正電極の配置位置を説明するための図である。
【図10】図10(a)はこの発明の他の実施例の電子銃の要部構成を示す図、図10(b)はその電界補正電極の構造を示す図である。
【図11】この発明の異なる他の実施例の電子銃の要部構成を示す図である。
【図12】この発明のさらに異なる他の実施例の電子銃の要部構成を示す図である。
【図13】図13(a)および(b)はそれぞれ電子ビーム通過孔の形状が異なる電界補正電極を示す平面図である。
【図14】図14(a)はセルフコンバーゼンス・インライン型カラー受像管に装着される偏向装置のピンクッション形水平偏向磁界を示す図、図14(b)はバレル形垂直偏向磁界を示す図である。
【図15】従来のセルフコンバーゼンス・インライン型カラー受像管の画面上のビームスポットの形状を示す図である。
【図16】従来の電界補正部材の配置された電子銃の要部構成を示す図である。
【図17】図17(a)は従来の立体型電界補正電極の配置された電子銃の要部構成を示す図、図17(b)はその立体型電界補正電極の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
22…蛍光体スクリーン
25B ,25R …一対のサイドビーム
25G …センタービーム
26…電子銃
29B ,29G 、29R …電子ビーム通過孔
30B ,30G 、30R …電子ビーム通過孔
31…電界補正電極
32B ,32G 、32R …電子ビーム通過孔
34H ,34V …等電位線
39a ,39b …ビームスポット
42…バーリング
C…コンバーゼンスカップ
G1 …第1グリッド
G2 …第2グリッド
G3 …第3グリッド
G4 …第4グリッド
H…ヒータ
KB ,KG 、KR …カソード
Claims (2)
- 一列配置の3個のカソードに順次隣接して蛍光体スクリーン側に配置され、上記カソードとともに一列配置の3電子ビームを発生する電子ビーム発生部を形成する複数個の電極、および上記3電子ビームを最終的に上記蛍光体スクリーン上に集束する主レンズを形成する複数個の電極からなる電子銃を備え、上記主レンズが少なくとも相対的に低電位の第1電極と、この第1電極と対向する相対的に高電位の第2電極とを有するカラー受像管において、
上記第1、第2電極はそれぞれ対向面に3電子ビームの配列方向を長軸とし直交する方向を短軸とする3電子ビーム各別の3個のバーリング部をもたない非円形電子ビーム通過孔が形成され、かつこれら第1、第2電極の少なくとも一方の電極にこれら第1、第2電極により形成される電子レンズの集束領域での3電子ビームの配列方向よりも直交する方向に強い集束作用または発散領域での3電子ビームの配列方向よりも直交する方向に強い発散作用の電界を整形調整する3個の電子ビーム通過孔を有する板状またはカップ状の電界補正電極が設けられていることを特徴とするカラー受像管。 - 請求項1記載のカラー受像管において、
電界補正電極はこの電界補正電極が設けられた電極の対向面からの管軸方向最短距離をL、上記電界補正電極が設けられた電極の対向面の非円形電子ビーム通過孔の3電子ビーム配列方向と直交する方向の最大径をD、上記電界補正電極が設けられた電極の対向面の板厚をtとするとき、
0<(L−t)/D<1.5
の位置に設けられていることを特徴とするカラー受像管。
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