JP3639190B2 - 物体認識装置、記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波に基づいて車両前方の物体を認識する技術に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、例えば光波,ミリ波などの送信波を照射し、その反射波を検出することによって、車両前方の物体を認識する物体認識装置が考えられている。この種の装置としては、例えば、先行車両などの障害物を検出して警報を発生する装置や、先行車両と所定の車間距離を保持するように車速を制御する装置などに適用され、それらの制御対象としての先行車両などの物体認識に利用されている。
【0003】
例えばレーザ光を送信波として用いた物体認識装置においては、レーザ光を絞ってビーム形状にして照射している。しかし、例えばそのビーム照射部に水滴が付着すると、絞ったビームが散乱されて広がってしまい、物体を実際より大きく検出してしまう。例えば車両前方の車幅方向への所定角度範囲内を検知エリアとし、そのエリア内を所定の車幅方向角度毎スキャンしながら送信波ビームがオーバーラップしないように照射していく場合、何本の送信波ビームに対応する反射波を受信したかで、物体の幅を認識できる。つまり、スキャン角度分解能をθ(°)とした場合、距離Zの位置に存在する物体の横幅Wは、以下のように求められる。
【0004】
W≒ビーム本数×θ×(π/180°)×距離Z
この式はビームがオーバーラップしないことを前提に成立するものであり、散乱されて広がってしまうとビームがオーバーラップするため、この式が成立しなくなる。具体的には、絞ったビーム状態では物体によって反射されないはずのビームまでが広がったことによって反射され、例えば通常であれば5本の反射ビームしか得られないはずのものが10本の反射ビームを得てしまうといった状況が生じ、その結果、物体幅を実際のものに比べて2倍に認識してしまうという問題が発生する。
【0005】
また、実際に物体が存在している位置とは異なる位置に存在しているように認識してしまう可能性もある。例えば、絞った送信波ビームの状態においては、認識処理において想定している認識エリア外の物体によって反射されることはないが、散乱によって送信波ビームが広がってしまうと、認識エリア外の物体によっても反射されることとなる。そのため、例えば、実際には自車と同一車線上には車両は存在せず、隣接車線にしか車両が存在しない状況であっても、あたかも自車と同一車線上に車両(先行車)が存在するように誤認識してしまう可能性がある。これによって、例えば車間制御においては、その実際には存在しない先行車を追い抜けないという不都合が生じてしまう。
【0006】
以上は、散乱によってビームが広がってしまうことによる問題を述べたが、これは要するに、装置内で想定している送信波のビーム形状が実際に照射されたビーム形状と食い違うことを原因とするものであった。このような観点からすると、散乱がない場合においても、次のような問題に着目することができる。つまり、照射される送信波のビームは、たとえレーザ光を用いさらにスリットなどによって余分な光をカットして理想に近い形状にした場合であっても、スリットで回折する光などの影響によっていわゆる「すそ野」部分に余分な光が残っている。そのため、上述の散乱を原因とする場合のように食い違い量が相対的に大きなものでなくても、装置内で想定している理論上のビーム形状と実際に照射されたビーム形状とは食い違いが生じている。特に、レーザ光ではなくミリ波などを用いた場合には、送信波における上述した「すそ野」部分による影響を原因とする食い違い量は相対的に大きなものとなる。
【0007】
そこで、本発明は、認識処理上で想定している送信波のビーム形状と実際に照射されたビーム形状との食い違いを原因とする認識精度の低下を防止可能な物体認識技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の物体認識装置によれば、レーダ手段が車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波を受信して物体を検出し、そのレーダ手段による検出結果に基づき認識手段が車両前方の物体を認識するのであるが、この際、認識手段は、反射波による受信信号を、その信号強度の車幅方向への変化度合いに基づき、前記反射波による受信信号強度の変化度合いが所定の急峻状態となっている部分に設定されたしきい値を用い、信号強度がそのしきい値以上か否かによって、散乱された前記送信波に対応する受信信号部分とそれ以外の受信信号部分とに区別する。そして、非散乱送信波に対応する受信信号部分に基づいて物体を認識する。
【0009】
この「信号強度の変化度合い」に基づくのは、受信信号強度の車幅方向への変化が、非散乱送信波に対応する受信信号部分では急峻な立ち上がり(あるいは立ち下がり)を示すのに対し、散乱送信波に対応する受信信号部分では緩やかな立ち上がり(あるいは立ち下がり)を示すという知見に基づく。
【0010】
したがって、「信号強度の変化度合い」に基づくことで、これら散乱送信波に対応する受信信号部分と非散乱送信波に対応する受信信号部分とを適切に区別することができ、物体を適切に認識するのに有効な非散乱送信波に対応する受信信号部分に基づいて物体を認識できる。つまり、散乱によって、実際に照射された送信波のビーム形状と認識処理上で想定しているビーム形状とが食い違っている場合であっても、そのことを原因とする認識精度の低下を防止できるのである。
【0011】
ここで、「信号強度の変化度合い」に基づいて散乱された送信波に対応する受信信号部分とそれ以外の受信信号部分とに区別することの実効性について補足しておく。
【0012】
受信信号強度の大小に基づく場合には、例えば、反射波による受信信号強度のピーク値から所定値低いところに設けたしきい値を用い、信号強度がそのしきい値以上か否かによって、反射波による受信信号の区別を行うことが考えられる。例えば非散乱送信波に対応する受信信号部分は、信号強度のピーク値を基準とすることである範囲内に収まることとなる。したがって、その受信信号部分の内で最も信号強度が低い部分よりも低くしきい値を設定すれば、非散乱送信波に対応する受信信号部分のみを抽出できるとも考えられる。
【0013】
このように受信信号強度の車幅方向への分布を見た場合、信号強度のピーク値から所定値低いところに設けたしきい値を横切る点がピーク値の両側に存在すれば、しきい値よりも上の信号部分を残せば特段問題はない。しかし、しきい値を横切る点がピーク値の片側にだけ存在する場合は、そのピーク値がどの信号部分のものかが明確でない。例えば散乱の有無による場合の区別を例にとれば、非散乱送信波に対応する受信信号部分のピークであるかもしれないし、散乱送信波に対応する受信信号部分のピークであるかもしれない。
【0014】
したがって、これらを区別するためには、本発明のように受信信号強度の変化度合いに基づくことが有効である。この受信信号強度の変化度合いについては、例えば請求項10に示すように、最小自乗法によって強度分布を直線近似した場合の当該直線の傾きによって得ることが考えられる。
【0015】
そして、本発明では、受信信号強度の変化度合いに基づき、反射波による受信信号強度の変化度合いが所定の急峻状態となっている部分に設定されたしきい値を用い、信号強度がそのしきい値以上か否かによって、反射波による受信信号の区別を行っている。上述したように、非散乱送信波に対応する受信信号部分では急峻な立ち上がり(あるいは立ち下がり)を示すのに対し、散乱送信波に対応する受信信号部分では緩やかな立ち上がり(あるいは立ち下がり)を示すからである。なお、このようにして区別する状況というのは、非散乱送信波に対応する受信信号部分が存在しており、しきい値を横切る点がピーク値の片側にだけ存在する場合を主に想定している。
【0016】
しかしながら、必ずしも非散乱送信波に対応する受信信号部分が存在するとも限らず、散乱送信波に対応する受信信号部分のみが存在する場合も考えられる。問題点として上述したように、絞った送信波ビームの状態においては認識エリア外の物体によって反射されることはないが、例えば散乱によって広がった送信波ビームの場合には認識エリア外の物体によっても反射されてしまうため、この場合は、散乱送信波に対応する受信信号部分のみが存在することとなる。そして、この受信信号部分は本来認識対象としない物体によるものである。したがって、このような課題を解決するのであれば、請求項2に示すように、反射波による受信信号強度の変化度合いが所定の緩やかな単調変化状態となっている場合には、その反射波に対応する認識対象物は、予定されている認識範囲外に存在すると判定することが有効である。
【0017】
なお、請求項3に示すように、「所定の緩やかな単調変化状態」となっている場合であって、且つその状態が所定の車幅方向位置に生じている場合に、その反射波に対応する認識対象物は、予定されている認識範囲外に存在すると判定してもよい。具体的には、認識範囲を車幅方向に見た場合の両端付近に「緩やかな単調変化状態の受信信号強度分布」が生じている場合に適用する。これによって認識エリア外にある物体をより適切に排除でき、上述した問題点、すなわち、実際には自車と同一車線上には車両は存在せず、隣接車線にしか車両が存在しない状況であっても、あたかも自車と同一車線上に車両(先行車)が存在するように誤認識してしまい、例えば車間制御においてその実際には存在しない先行車を追い抜けない、といった不都合を解消できる。さらに言えば、所定の緩やかな単調変化状態」という条件だけの場合は、例えば認識エリアの中央部分にこのような受信信号強度分布が生じている場合にも適用されてしまうが、例えば自車の間近に存在する先行車の一部からの反射波による場合もこのような強度分布になる可能性がある。したがって、車幅方向位置も加味することで、より適切な判定が可能となる。
【0018】
一方、請求項11に示すように、認識手段が受信信号部分の区別のためにしきい値を用いていることを前提とした場合には、そのしきい値を、認識した物体の大きさに基づいて変更設定することが考えられる。例えば図6(a)に示すように車両前方に2台の車両が併走している状況を想定した場合、反射波の受信信号強度の分布は図6(b)のようになる。つまり、それぞれの車両のリフレクタに対応する部分の信号強度が各々ピークになっている。この際、受信信号強度の分布全体について見た場合のピークから所定値下がったしきい値を設定した場合、図6(b)のように、2台の車両を1つの物体として認識してしまう可能性がある。つまり、物体認識に際して不要な信号部分まで採用してしまっている。そこで、認識した物体の大きさに基づいてしきい値を変更設定する。具体的には、請求項12に示すように、認識した物体の車幅方向長さが所定範囲内に収まるまでしきい値を変更設定することが考えられ、その所定範囲内とは、例えば認識対象が車両であるならば、車両が取り得る最大幅を基準に設定すればよい。例えば車両が取り得る最大幅が2.5mであるならばしきい値を2.6mとするといったことである。このようにすることで、図6(c)に示すように、2台の車両を2つの物体として認識できる。
【0019】
なお、このように2台の車両を1つの物体として認識してしまっている状況だけでなく、1台の車両であっても、例えば送信波が散乱されることによって通常よりも大きく認識してしまう可能性がある。例えば本来は2mの車幅の車両を4mとして認識してしまった場合であっても、本案のように認識した物体の大きさに基づいてしきい値を変更設定することで、しきい値以下の信号部分は認識に用いないようにすることができる。
【0020】
このように物体の大きさに基づいてしきい値を変更設定する処理は、これ単独で実行してもよいし、「受信信号部分の区別」に関する処理と併用しても良い。例えば、実際には車幅が2mの車両を認識する際、物体の大きさに基づくしきい値を2.6mとして、そのしきい値以下の信号部分は認識に用いないようにした後、請求項3に示すように「散乱送信波に対応する受信信号部分と非散乱送信波に対応する受信信号部分とに区別」することで、実際の車両の大きさを認識するのに必要な受信信号部分のみをより適切に抽出することができる。もちろん、請求項7,8に示す「所定強度以上の送信波の信号部分に対応する受信信号部分とそれ以外の受信信号部分とに区別」する場合であっても同様である。
【0021】
また、本発明は「受信信号の強度変化」に基づいて所定の処理を行うが、その際、信号強度は請求項13に示すようにして得ることもできる。つまり、反射波による受信信号パルスの立ち上がりと立ち下がりの時間差(つまりパルス幅)が、その信号強度が大きくなるにつれて長くなる特性をレーダ手段が有している場合を前提とし、パルス幅に基づき、前記特性を参照して信号強度を推定するのである。これは主に、受信信号が飽和した場合の対処を考慮したものである。つまり、受信信号が飽和しなければ実際の信号強度を見ればよいのであるが、飽和している場合には推定する必要がある。その際、受信信号を増幅するアンプに例えばバイポーラトランジスタを用いていれば、少数キャリヤ蓄積効果により、飽和した場合であっても、信号強度が大きくなるにつれて受信信号パルスの立ち下がりを遅れさせることができる。その特性から、受信信号のパルス幅と信号強度との間には所定の相関関係を得ることができるため、パルス幅に基づき相関関係を参照すれば、信号強度を得ることができる。なお、飽和した場合には信号強度に関係なく一定のパルス幅を出力してしまうようなアンプも存在するが、そのような場合には適用できない。
【0022】
以上説明した物体認識装置において、認識手段が散乱送信波に対応する受信信号部分と非散乱送信波に対応する受信信号部分との区別を実行する場合にあっては、請求項4に示すようにすることも考えられる。つまり、状況推定手段によって、レーダ手段から散乱された送信波が照射され得る状況であるか否かを推定し、散乱送信波が照射され得る状況が生じていると推定された場合にのみ、散乱送信波に対応する受信信号部分と非散乱送信波に対応する受信信号部分との区別を実行するのである。このようにすることで、不要な処理を実行しないようにすると共に、「信号部分の区別」による副作用を防止できる。つまり、不要と思われる信号部分を区別して認識処理に使わないようにしているため、その信号部分に実際には必要な情報(つまり実際には認識対象とすべき物体の情報)が含まれていても排除してしまう可能性がある。したがって、「信号部分の区別」による効果が期待できない状況においては、副作用のみ生じてしまうことを防止することで、より適切な物体認識ができると考えられる。
【0023】
なお、散乱送信波が照射され得る状況としては、例えば請求項5に示すように、レーダ手段における送信波の照射部分に水滴の付着が想定される状況が考えられる。その場合であれば、請求項6に示すように、車両に搭載されたワイパが動作しているか否かによって、水滴の付着が想定される状況であるか否かを推定することが考えられる。もちろん、ワイパの動作有無以外にも推定方法は考えられる。例えば、雨滴を検出するセンサを用い、その検出結果に基づいて推定してもよい。また、例えば水たまりを走行することで水しぶきが上がり、そのような水しぶきと思われる物体を認識した場合には、水滴の付着が想定される状況であると推定してもよい。あるいは、降雨状態を物体認識装置自体の認識結果から推定してもよい。
一方、請求項7,8の物体認識装置の場合は、レーダ手段が照射する送信波が次のような性質を持つことを前提する。つまり、その送信方向での信号強度が最も大きく、車幅方向へ離れるにつれて信号強度が小さくなる分布を有し、且つ所定強度以上の信号部分が物体認識のために有効な信号部分として定められた性質を有している。上述したようにレーザ光を用いる場合であっても、「すそ野」部分には余分な光が残っており、また、レーザ光ではなくミリ波などを用いた場合には相対的に大きな「すそ野」部分が存在することとなる。但し、「すそ野」部分の信号強度は相対的に小さいため、反射波による受信信号を、その信号強度の車幅方向への変化度合いに基づき、所定強度以上の送信波の信号部分に対応する受信信号部分とそれ以外の受信信号部分とに区別する。そして、所定強度以上の送信波の信号部分に対応する受信信号部分に基づいて物体を認識する。これによって、実際に照射された送信波のビーム形状と認識処理上想定している理論上のビーム形状とが食い違っている場合であっても、そのことを原因とする認識精度の低下を防止できる。
ここで、請求項7の物体認識装置では、受信信号強度の変化度合いに基づき、反射波による受信信号強度の変化度合いが所定の急峻状態となっている部分に設定されたしきい値を用い、信号強度がそのしきい値以上か否かによって、反射波による受信信号の区別を行っている。このような工夫を施すことの有用性に関しては請求項1の物体認識装置に関する説明にて既に述べた通りである。一方、請求項8の物体認識装置では、反射波による受信信号強度の変化度合いが所定の緩やかな単調変化状態となっている場合には、その反射波に対応する認識対象物は、予定されている認識範囲外に存在すると判定する。このような工夫を施すことの有用性に関しては請求項2の物体認識装置に関する説明にて既に述べた通りである。
【0024】
なお、請求項14に示すように、物体認識装置の認識手段をコンピュータシステムにて実現する機能は、例えば、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えることができる。このようなプログラムの場合、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。この他、ROMやバックアップRAMをコンピュータ読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明が適用された車両制御装置1について、図面と共に説明する。この車両制御装置は、自動車に搭載され、警報すべき領域に障害物が所定の状況で存在する場合に警報を出力したり、前車(先行車両)に合わせて車速を制御したりする装置である。
【0026】
図1は、そのシステムブロック図である。車両制御装置は認識・車間制御ECU3を中心に構成されている。認識・車間制御ECU3はマイクロコンピュータを主な構成として入出力インターフェース(I/O)および各種の駆動回路や検出回路を備えている。これらのハード構成は一般的なものであるので詳細な説明は省略する。
【0027】
認識・車間制御ECU3は、レーザレーダセンサ5、車速センサ7、ブレーキスイッチ9、スロットル開度センサ11から各々所定の検出データを入力しており、警報音発生器13、距離表示器15、センサ異常表示器17、ブレーキ駆動器19、スロットル駆動器21および自動変速機制御器23に所定の駆動信号を出力している。また認識・車間制御ECU3には、警報音量を設定する警報音量設定器24、警報判定処理における感度を設定する警報感度設定器25、クルーズコントロールスイッチ26、図示しないステアリングホイールの操作量を検出するステアリングセンサ27、ヨーレートセンサ28及びワイパスイッチ30が接続されている。また認識・車間制御ECU3は、電源スイッチ29を備え、その「オン」により、所定の処理を開始する。
【0028】
ここで、レーザレーダセンサ5は、図2に示すように、発光部、受光部及びレーザレーダCPU70などを主要部として次のように構成されている。発光部は、パルス状のレーザ光を、発光レンズ71及びスキャナ72を介して放射する半導体レーザダイオード(以下、単にレーザダイオードと記載)75を備えている。そして、レーザダイオード75は、レーザダイオード駆動回路76を介してレーザレーダCPU70に接続され、レーザレーダCPU70からの駆動信号によりレーザ光を放射(発光)する。また、スキャナ72にはミラー73が鉛直軸を中心に揺動可能に設けられ、レーザレーダCPU70からの駆動信号がモータ駆動部74を介して入力されると、このミラー73は図示しないモータの駆動力により揺動する。すると、レーザ光は車両前方の測定エリアの中心方向を中心にし、車幅方向の所定角度の範囲でレーザ光を不連続に掃引照射(スキャン)して出力される。本実施形態でのスキャンエリアは、0.15deg×105点(±約7.8deg)であり、このエリア内を順次走査する。具体的には、左方向から右方向へスキャンし、水平ビーム番号を0〜104とした105本の送信レーザ光ビームを0.15°おきに照射する。水平ビーム番号0が−7.8degに相当し、水平ビーム番号104が+7.8degに相当する。なお、このレーザ光はガラス板77を通して照射されるため、例えば降雨時などにこのガラス板77に水滴が付着することで、レーザ光が散乱される可能性がある。
【0029】
一方、受光部は、図示しない物体に反射されたレーザ光を受光レンズ81を介して受光し、その強度に対応する電圧を出力する受光素子83とを備えている。そして、この受光素子83の出力電圧は、アンプ85に入力される。アンプ85は入力電圧を増幅してコンパレータ87に出力する。コンパレータ87はアンプ85の出力電圧を基準電圧と比較し、出力電圧>基準電圧となったとき所定の受光信号を時間計測回路89へ出力する。
【0030】
時間計測回路89には、レーザレーダCPU70からレーザダイオード駆動回路76へ出力される駆動信号も入力され、上記駆動信号をスタートパルスPA、上記受光信号をストップパルスPBとし、2つのパルスPA,PB間の位相差(すなわち入力時間差)を2進デジタル信号に符号化する。また、ストップパルスPBのパルス幅も時間として計測する。そして、それらの値を2進デジタル信号に符号化してレーザレーダCPU70へ出力する。レーザレーダCPU70は、時間計測回路89から入力された2つのパルスPA,PB間の入力時間差及びストップパルスPBのパルス幅(受信信号強度に相当)を含む測距データを、認識・車間制御ECU3へ出力する。
【0031】
なお、本実施形態のアンプ85はバイポーラトランジスタを用いて構成されており、次のような特性を持っている。つまり、受光信号の強度が小さい場合には図2(b)に示すように飽和しないが、受光信号の強度が大きくなると図2(c)に示すようにアンプ出力が飽和してしまう(飽和電圧Vsat )。但し、二点鎖線で示すように、少数キャリヤ蓄積効果により、受光信号強度が大きければ大きいほど信号パルスの立ち下がりが遅れる特性を持っている。また、アンプ出力である信号パルスが所定のしきい値電圧よりも大きくなっている時間を示すパルス幅は、受光信号強度と相関関係があり、受光信号強度の対数に略比例している。そのため、たとえ図2(c)のようにアンプ出力が飽和して受光信号強度が直接得られなくても、パルス幅を基にし、上述の相関関係を参照すれば、受光信号強度を推定することができる。
【0032】
認識・車間制御ECU3は、このように構成されていることにより、レーザレーダセンサ5からの測距データを基にして物体を認識し、その認識物体から得た先行車の状況に合わせて、ブレーキ駆動器19、スロットル駆動器21および自動変速機制御器23に駆動信号を出力することにより車速を制御する、いわゆる車間制御を実施している。また、認識物体が所定の警報領域に所定時間存在した場合等に警報する警報判定処理も同時に実施している。この場合の物体としては、自車の前方を走行する前車やまたは停止している前車あるいは路側にあるガードレールや支柱物体等が該当する。
【0033】
続いて認識・車間制御ECU3の内部構成について制御ブロックとして説明する。レーザレーダセンサ5から出力された測距データは物体認識ブロック43に送られる。
物体認識ブロック43では、測距データとして得た距離データとスキャン角度θについては、レーザレーダ中心を原点(0,0)とし、車幅方向をX軸、車両前方方向をZ軸とするXZ直交座標に変換する。そして、この直交座標に変換し計測データに基づいて、物体の中心位置(X,Z)、大きさ(W,D)を求めると共に、中心位置(X,Z)の時間的変化に基づいて、自車位置を基準とする前車等の障害物の相対速度(Vx,Vz)を求める。さらに物体認識ブロック43では、車速センサ7の検出値に基づいて車速演算ブロック47から出力される車速(自車速)Vと上記求められた相対速度(Vx,Vz)とから物体が停止物体であるか移動物体であるかの認識種別が求められ、この認識種別と物体の中心位置とに基づいて自車両の走行に影響する物体が選択され、その距離が距離表示器15により表示される。なお、物体の大きさを示す(W,D)は、それぞれ(横幅,奥行き)である。このようなデータを持つ物体のモデルを「物標モデル」と呼ぶこととする。
【0034】
この物体認識ブロック43にて求めたデータが異常な範囲の値がどうかがセンサ異常検出ブロック44にて検出され、異常な範囲の値である場合には、センサ異常表示器17にその旨の表示がなされる。
また、ステアリングセンサ27からの信号に基づいて操舵角演算ブロック49にて操舵角が求められ、ヨーレートセンサ28からの信号に基づいてヨーレート演算ブロック51にてヨーレートが演算される。
【0035】
カーブ半径(曲率半径)算出ブロック57では、車速演算ブロック47からの車速と操舵角演算ブロック49からの操舵角とヨーレート演算ブロック51からのヨーレートとに基づいて、カーブ半径(曲率半径)Rを算出する。先行車判定ブロック53では、このカーブ半径Rおよび物体認識ブロック43にて求められた認識種別、中心位置座標(X,Z)、物体の大きさ(W,D)及び相対速度(Vx,Vz)に基づいて先行車を選択し、その先行車に対する距離Zおよび相対速度Vzを求める。
【0036】
そして、車間制御部及び警報判定部ブロック55が、この先行車との距離Z、相対速度Vz、クルーズコントロールスイッチ26の設定状態およびブレーキスイッチ9の踏み込み状態、スロットル開度センサ11からの開度および警報感度設定器25による感度設定値に基づいて、警報判定ならば警報するか否かを判定し、クルーズ判定ならば車速制御の内容を決定する。その結果を、警報が必要ならば、警報発生信号を警報音発生器13に出力する。また、クルーズ判定ならば、自動変速機制御器23、ブレーキ駆動器19およびスロットル駆動器21に制御信号を出力して、必要な制御を実施する。そして、これらの制御実行時には、距離表示器15に対して必要な表示信号を出力して、状況をドライバーに告知している。
【0037】
このような車間制御や警報判定に際しては、その前提となる物体認識が適切に行われていることが重要である。そこで、上述した物体認識ブロック43において実行される物体認識にかかる動作について、図3,4のフローチャートに従って説明する。
【0038】
図3の最初のステップであるS10では、レーザレーダセンサ5から1スキャン分の測距データの読み込みを行う。レーザレーダセンサ5でのスキャン周期は100msecとし、100msec毎にデータを取り込むこととする。
続くS20では、測距データに基づき、信号強度の弱いデータを削除する。具体的には、後述するS40で設定されたしきい値Aと有効距離(但し前回の設定値)に従い、信号強度が所定のしきい値A未満であり、且つ距離が有効距離未満の測距データを削除する。
【0039】
続くS30では、データのセグメント化を行う。上述したように、測距データとして得た距離データとスキャン角度θについては極座標系からXZ直交座標系に変換し、その変換後のデータをグルーピングしてセグメントを形成する。この様子を図5(a)に示す。本実施形態では、点認識されたデータ同士のX軸方向の距離△Xが0.2m以下、Z軸方向の距離△Zが2m以下という2条件を共に満たす場合に、その点集合を一体化してセグメントデータを求める。このセグメントデータは、一体化された点集合を含むような大きさに設定された、X軸及びZ軸に平行な2辺を持つ長方形の領域であり、中心座標(X,Z)と大きさを示すための2辺のデータ(W,D)をデータ内容とする。また、左端及び右端のビーム番号をデータとして持つものとする。続くS40では、上述したS20でのデータ削除に用いるしきい値Aと有効距離のコントロールを行う。散乱光による反射データを排除するために、受光パルス幅のしきい値及びデータ削除有効距離を適切に制御するのである。基本的な考え方としては、S30にてセグメント化されたデータに関し、横幅Wが2.6mより大きい本セグメントがあるとき、2.6mを下回るまで削除条件である受光パルス幅しきい値を1スキャン周期毎に上げていく。ここで設定されたしきい値Aは、次の周期におけるS20でのデータ削除処理で用いられることとなる。ここで「2.6m」としたのは、例えば日本の場合、トラックの最大幅はおそよ2.5mであるため、2.6m以上の横幅Wを持つ場合は、散乱光によって実際よりも大きく検出された状況であると想定されるからである。したがって、この「2.6m」という数値は、1具体例であり、認識対象が取り得る最大値が変われば、それに応じて設定すればよい。
【0040】
具体的な処理としては、以下の方法によって受光パルス幅しきい値及びデータ削除有効距離を制御する。
▲1▼横幅W>2.6m、且つ平均受光パルス幅>受光パルス幅しきい値を満たすセグメントが存在する場合
・受光パルス幅しきい値を1LSBアップ(なお、本実施形態ではパルス幅しきい値の1LSBを6.4nsecとしており、10〜20LSBの範囲でのみ変更可能とする。以下同様。)
・データ削除有効距離←該当するセグメントの距離+5m
▲2▼横幅W>2.6m、且つ平均受光パルス幅>受光パルス幅しきい値を満たすセグメントが存在しない場合
・受光パルス幅しきい値を1LSBダウン
・データ削除有効距離←該当するセグメントの距離−0.5m(ただし、35mで下限リミットするものとする。)
▲3▼但し、条件を満たすセグメントよりも近い距離に、直線路に換算した場合のX座標の絶対値<1.0m、且つ平均受光パルス幅<受光パルス幅しきい値を満たすセグメントが存在する場合
・受光パルス幅しきい値←初期値(例えば10LSB)
・データ削除有効距離←初期値(例えば35m)
これは先行車データを消すのを防止するための対処である。また、直線路に換算した場合のX座標について補足説明する。これは、もともとの物体の中心位置を(Xo,Zo)、X軸方向の幅をWoとしたとき、次の変換式により、直線路変換位置(X,Z,W)が得られることに基づいている(図5(b)参照)。
【0041】
X ← Xo−Zo2/2R
Z ← Zo
W ← Wo
R:推定Rのこと
右カーブ:符号正
左カーブ:符号負
なお、ここでは、円の方程式は、|X|≪|R|,Zという仮定のもとで、近似した。また、レーザレーダセンサ5が車両中心から離れたところに取り付けられている場合には、車両中心が原点になるようにX座標を補正するものとする。すなわち、ここでは実質的にはX座標のみ変換している。
【0042】
このようなデータ削除するしきい値と有効距離のコントロールを行うことで、次のような状況にて効果が得られる。例えば図6(a)に示すように車両前方に2台の車両が併走している状況を想定した場合、反射波の受信信号強度の分布は図6(b)のようになる。つまり、それぞれの車両のリフレクタに対応する部分の信号強度が各々ピークになっている。この際、受信信号強度の分布全体について見た場合のピークから所定値下がったしきい値を設定した場合、図6(b)のように、2台の車両を1つの物体として認識してしまう可能性がある。つまり、物体認識に際して不要な信号部分まで採用してしまっている。そこで、認識した物体の大きさに基づいてしきい値を変更設定する。具体的には、認識した物体の車幅Wが所定範囲内(2.6m)に収まるまでしきい値を変更設定する。このようにすることで、図6(c)に示すように、2台の車両を2つの物体として認識できる。
【0043】
S40の処理説明はこれで終わり、続くS50では、ワイパスイッチがオンされているか否かを判断し、オンされている場合に限って(S50:YES)、散乱光の識別・分離処理(S60)を行い、オンされていなければ(S50:NO)、S60の処理を行うことなくS70へ移行して物標化を行う。S70での物標化の内容は物体認識ブロック43についての説明の際に行ったので省略する。上述したように、ここで認識された物体は物標あるいは物標モデルと呼ばれる。
【0044】
ここで、S60で実行される散乱光の識別・分離処理について説明する。まず、基本的な考え方を説明する。処理の概要としては、反射波による受信信号を、その信号強度の車幅方向への変化に基づき、散乱送信波に対応する受信信号部分と非散乱送信波に対応する受信信号部分とに区別する。なお、散乱光は、上述したように例えばレーザレーダセンサ5の発光部にあるガラス板77に水滴が付着することで生じる。そして、物体認識には、非散乱送信波に対応する受信信号部分のみを用いるようにする。ここでは、次のような2つの特徴に着目した。
【0045】
▲1▼散乱送信波に対応する受信信号部分と非散乱送信波に対応する受信信号部分とでは信号強度に約100倍以上の違いがある。つまり、非散乱送信波に対応する受信信号部分の信号強度の方がそれだけ大きい。
▲2▼受信信号強度の車幅方向への変化が、非散乱送信波に対応する受信信号部分では急峻な立ち上がり(あるいは立ち下がり)を示すのに対し、散乱送信波に対応する受信信号部分では緩やかな立ち上がり(あるいは立ち下がり)を示す。
【0046】
したがって、これらの特徴に基づいた識別・分離を行う。なお、信号強度については、上述のレーザレーダセンサ5のアンプ85の説明でも述べたように、受光信号のパルス幅(受光パルス幅とも称す。)は受光信号強度と相関関係があり、受光信号強度の対数に略比例している。そのため、受光パルス幅を基にして上述の相関関係を参照すれば、受光信号強度を推定することができる。したがって、ここでは受光信号強度そのものを用いるのではなく、受光パルス幅を用いて処理を行う。
【0047】
具体的には、図7(a)に示すように、横軸を水平ビーム番号、縦軸を受光パルス幅[nsec]として測距データをプロットする。そして、受光パルス幅の最大値から所定値だけ引いた値をしきい値Bに設定する。そのしきい値Bを横切る点の傾きが急峻であれば、それより上を本来の信号部分(つまり非散乱光による受光信号部分)、下を散乱光による受光信号部分と判断できる。一方、しきい値Bを横切る点の傾きが緩やかであれば、基本的には全体が散乱光による受光信号部分と判断する。
【0048】
それでは、S60で実行される散乱光の識別・分離処理の詳細について図4のフローチャート等を参照して説明する。
図4のS601でセグメント番号iを1にする。セグメントには0から順番に番号が付いており、その番号をiとする。なお、以下の説明では、セグメント番号iのセグメントを「セグメントi」と表す。
【0049】
続くS603では、セグメントiが存在しているか否かを判断し、セグメントiが存在する場合には、S603以降の処理を実行し、セグメントが存在しなけば、本ルーチンを終了する。
S604では、識別・分離処理をしてよいか否かの判断を行う。具体的には、以下に示す許可条件を満たすセグメントは、S605以降の処理を実行する。
[許可条件]次の▲1▼又は▲2▼に該当する。
【0050】
▲1▼横幅W大:横幅W≧2.5m且つ構成水平ビーム数≧15
▲2▼検知エリアの両端に掛かる:左端ビーム番号<10又は右端ビーム番号≧95(つまり、検知エリアの左右端からそれぞれ1.5deg分)
許可条件を満たさない場合は(S604:NO)、そのままS613へ移行してセグメント番号iをインクリメントしてS603へ戻る。一方、許可条件を満たす場合(S604:YES)に移行するS605では、セグメントの両端ビームの間で、受光パルス幅のピークをサーチする(図7(b)参照)。そして、そのピーク値から64nsec(1LSBを6.4nsecとしているので10LSB分)下がったところにしきい値Bを設定する。これは、非散乱光に対応する受光信号部分は、信号強度のピーク値を基準として64nsec程度の範囲内には収まるとの見識から設定したものである。但し、しきい値Bは83.2nsec(=13LSB)で下限ガードする。
【0051】
このようにしてしきい値Bが設定された後は、しきい値Bを横切る点の数に応じて次のような処理を実行する。
(1)ピークの両側にしきい値Bを横切る点があるとき(S609:YES)これは、図7(c)に示すような状況であり、その場合は、しきい値Bよりも上の部分のデータを残し、しきい値Bより下の部分のデータは排除し、セグメント情報を更新する(S611)。なお、図7(d)に示すようにしきい値Bを横切る点が複数あるときには、ピークから一番離れた両端の点を抽出し、その内側のデータを残し、外側のデータを排除するものとする。なお、S611の処理後はS613へ移行し、セグメント番号iをインクリメントしてS603へ戻る。
【0052】
このように、ピークの両側にしきい値Bを横切る点がある場合は、散乱光に対応する受光信号と非散乱光に対応する受光信号とが混在している状態であり、発光部のガラス板77に水滴が付着した場合の「非散乱光に対応する受光信号部分は散乱光に対応する受光信号部分に対して信号強度が約100倍以上は大きい」という特質に基づくことで、しきい値Bよりも上の部分のデータを残し、しきい値Bより下の部分のデータは排除することで、非散乱光に対応する受光信号部分のみを適切に抽出できる。
【0053】
(2)ピークの片側にのみ、しきい値Bを横切る点があるとき(S609:NO且つS615:YES)
▲1▼図8(a)に示すように、しきい値Bを横切る点での傾きが急峻な場合(S617:YES)は、S611へ移行し、しきい値Bよりも上の部分のデータを残し、しきい値Bより下の部分のデータは排除し、セグメント情報を更新する。
【0054】
なお、ここで「傾き」は次のようにして算出する。
(a)図8(d)に示すように、しきい値Bを横切る点の左側と右側においてそれぞれ連続する3点を抽出する。但し、連続するデータが3点存在しない場合、あるいは未検出データがある場合は空きとし、存在するデータのみ使用する。
【0055】
(b)最大6点を最小自乗法を用いて直線近似し(図8(d)参照)、その直線の傾きを算出する。
また、ここで「傾きが急峻」とは、上述のようにして算出した傾き≧12.8[nsec/本]であることを指す。なお、水平ビーム番号から何本分のビームを対象としているかが判るので、その1本あたりどれだけの受光パルス幅の変化があるかを傾きとしている。
【0056】
さらに、ピークの片側にしきい値Bを横切る点が複数あるときには、上述したピークの両側の場合と同様に、ピークから一番離れた点を抽出して用いる。以下の▲2▼でも同様である。
▲2▼図8(b),(c)に示すように、しきい値Bを横切る点での傾きが緩やかな場合(S617:NO)は、ピークの位置が検知エリアの境界付近か否かによって、次のように対処する。なお、ここで「傾きが緩やか」とは、上述のようにして算出した傾き<12.8[nsec/本]であることを指す。
【0057】
まず、図8(b)に示すように、ピーク時の水平ビーム番号が20未満あるいは85以上のときには、ピークの位置が検知エリアの境界付近であるとして(S619:YES)、セグメントごと削除する(S625)。
一方、図8(c)に示すように、ピーク時の水平ビーム番号が20以上85未満のときには、ピークの位置が検知エリアの境界付近でないとして(S619:NO)、全てのデータをそのまま残す。つまり、何ら処理をせずにS613へ移行する。
【0058】
▲3▼しきい値Bを横切る点での傾きが算出不能の場合には、全てのデータをそのまま残す。この場合は、S617及びS619にて共に否定判断され、何ら処理をせずにS613へ移行することとなる。
なお、傾きは、しきい値Bを横切る点の左側と右側においてそれぞれ連続する3点を抽出して求めることを上述したが、その抽出された点が2個未満の場合には「傾きが算出不能」とする。
【0059】
このように、しきい値Bを横切る点がピークの片側にだけ存在する場合は、そのピークがどの信号部分のものかが明確でない。つまり、非散乱光に対応する受光信号部分のピークであるかもしれないし、散乱光に対応する受光信号部分のピークであるかもしれない。したがって、これらを区別するためにしきい値B前後での強度変化の傾きに着目し、傾きが急峻であれば「非散乱光に対応する受光信号部分」が存在すると判定し、傾きが緩やかであれば「散乱光に対応する受光信号部分」が存在すると判定する。そして、当然ながら非散乱光に対応する受光信号部分のみを残す。
【0060】
但し、単に「傾きが緩やか」という条件だけの場合は、検知エリアの中央部分に緩やかな受光信号強度分布が生じている場合にも適用されてしまうが、例えば自車の間近に存在する先行車の一部、より具体的にはリフレクタのような相対的に強度の高い受光信号が得られる部分ではなく、車体(ボデー)の一部のように相対的に強度の低い受光信号しか得られないような部分を、全スキャンエリアに渡り検知している場合にもこのような緩やかな強度変化しかない状態となる可能性がある。したがって、本実施形態では、傾きが緩やかな場合であって(S617:NO)、ピークの位置が検知エリアの境界付近である場合(S619:YES)に限り削除し(S625)、ピークの位置が検知エリアの境界付近ではなく中央部分に生じている場合(S619:NO)は削除せずに残している。これによって、「散乱光が検知エリア外の物体に反射されることにより、実際には自車と同一車線上には存在せず隣接車線にしか存在しない車両を、あたかも自車と同一車線上に車両(先行車)が存在するように誤認識してしまう状況」を適切に判断でき、そのように確実に削除した方が好ましい場合に限ってデータ削除している。これにより、例えば車間制御においてその実際には存在しない先行車を追い抜けない、といった不都合を解消できる。
【0061】
(3)しきい値Bを横切る点がないとき(S615:NO)
▲1▼図8(e)に示すように、全体がしきい値Bを超えている場合(S621:NO)は、全てのデータをそのまま残す。つまり、何ら処理をせずにS613へ移行する。
【0062】
▲2▼図8(f),(g)に示すように、全体がしきい値Bを下回っている場合(S621:YES)は、ピークの位置が検知エリアの境界付近か否かによって、次のように対処する。
まず、図8(f)に示すように、ピーク時の水平ビーム番号が20未満あるいは85以上のときには、ピークの位置が検知エリアの境界付近であるとして(S623:YES)、セグメントごと削除する(S625)。
【0063】
一方、図8(g)に示すように、ピーク時の水平ビーム番号が20以上85未満のときには、ピークの位置が検知エリアの境界付近でないとして(S623:NO)、全てのデータをそのまま残す。つまり、何ら処理をせずにS613へ移行する。
【0064】
この(3)▲2▼の場合には、上述の(2)の場合と同様、ピークの位置に基づいて判断することで、自車近くの先行車を見失うことなく、散乱光による受光信号を排除できる。
本実施形態においては、レーザレーダセンサ5がレーダ手段に相当し、認識・車間制御ECU3の物体認識ブロック43が認識手段に相当する。また、図3の処理が認識手段としての処理の実行に相当し、その内のS50が状況推定手段としての処理の実行に相当する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態の車両制御装置1では、物体認識処理において、レーザレーダセンサ5にて検知した物体の測距データに対し、散乱光に対応する受信信号部分と非散乱光に対応する受信信号部分とを適切に区別できる。つまり、散乱によって、実際に照射された送信波のビーム形状と認識処理上で想定しているビーム形状とが食い違っている場合であっても、そのことを原因とする認識精度の低下を防止できる。
【0066】
また、図3に示すように、ワイパスイッチがオンされている場合に限って(S50:YES)、散乱光の識別・分離処理(S60)を行うようにした。このようにすることで、不要な処理を実行しないようにすると共に、「信号部分の区別」による副作用を防止できる。つまり、不要と思われる信号部分を区別して認識処理に使わないようにしているため、その信号部分に実際には必要な情報(つまり実際には認識対象とすべき物体の情報)が含まれていても排除してしまう可能性がある。したがって、「信号部分の区別」による効果があまり期待できない状況においては、副作用のみ生じてしまうことを防止することで、より適切な物体認識ができると考えられる。
【0067】
さらに、本実施形態の場合には、図3のS20において、前回のS40にて物体の大きさに基づいて変更設定したしきい値Aを用いたデータ削除を行っているので、図6(c)に示すように、2台の車両を2つの物体として認識できる。そして、このように2台の車両を2つの物体として認識する際には、物体の大きさが2.6m以下になるようにしたが、実際には2mの場合もある。したがって、S40の処理によって2.6m以下の幅を持つ物体として認識されたものに対してS60の処理をさらに行うことにより、例えば実際には車幅が2mの車両を「幅が2mの物体」として認識できることとなる。
【0068】
また、S40にてしきい値Aが適正値に制御されるまでの間でも、S60にて実際の物体の幅の認識が可能である。
なお、本発明はこのような実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得る。
【0069】
(1)例えば、上記実施形態では、散乱光に対応する受信信号部分と非散乱光に対応する受信信号部分とを適切に区別することを目的としたが、散乱が生じていない場合であっても、次のような観点での信号部分の区別をすることが考えられる。つまり、着目した問題点が「実際に照射された送信波のビーム形状と認識処理上で想定しているビーム形状との食い違い」であることを考えると、現実的にはどのような場合でも少なからずこの食い違いはある。つまり、レーザレーダセンサ5から照射されるレーザ光は、散乱がないとしても上述したようにやはり「すそ野」部分には余分な光が残っている。また、レーザ光ではなくミリ波などを用いた場合には相対的に大きな「すそ野」部分が存在することとなる。但し、「すそ野」部分の信号強度は相対的に小さいため、物体認識のために有効な信号部分としては所定強度以上の信号部分を用いる。例えばこの所定強度は、ピーク強度に所定パーセンテージとして決めることが考えられる。したがって、この「物体認識のために有効な信号部分とする基準となる所定強度」に基づくしきい値を設定することで、例えばミリ波などを用いた場合であっても、その反射波による受信信号を、信号強度変化に基づき、「所定強度以上」の送信波の信号部分に対応する受信信号部分とそれ以外、つまり「所定強度未満」の受信信号部分とに区別することができる。
【0070】
なお、この場合には散乱が生じている状況を推定するための図3のS50のような処理は不要となる。したがって、図9に示すように、S110〜S140までは図3のS10〜S40と同様の処理を実行した後、図4のS60に相当するデータの識別・分離処理(S150)を実行し、図4のS70に相当する物標化(S160)を行う。
【0071】
(2)上記実施例ではワイパスイッチ30がオンされていることで散乱光が発生する可能性がある状況であることを推定したが、これは、ワイパスイッチ30がオンであれば降雨状態であり、レーザレーダセンサ5のガラス板77に水滴が付着している可能性が高い状況であると推定したものである。したがって、ワイパスイッチ30の状態以外でも、同様の状況を推定できれば採用できる。例えば、雨滴を検出するセンサを用い、その検出結果に基づいて推定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用された車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 レーザレーダセンサに関する説明図である。
【図3】 物体認識に係る処理を示すフローチャートである。
【図4】 図3の処理中で実行される散乱光の識別・分離処理を示すフローチャートである。
【図5】 (a)は測距データのセグメント化の内容を示す説明図であり、(b)は測距データを直線路走行時の位置に変換する際の説明図である。
【図6】 図3のS40での処理内容に関する説明図である。
【図7】 図3のS60での処理内容に関する説明図である。
【図8】 図3のS60での処理内容に関する説明図である。
【図9】 別実施形態の物体認識に係る処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…車両制御装置、3…認識・車間制御ECU、5…レーザレーダセンサ、7…車速センサ、9…ブレーキスイッチ、11…スロットル開度センサ、13…警報音発生器、15…距離表示器、17…センサ異常表示器、19…ブレーキ駆動器、21…スロットル駆動器、23…自動変速機制御器、24…警報音量設定器、25…警報感度設定器、26…クルーズコントロールスイッチ、27…ステアリングセンサ、28…ヨーレートセンサ、29…電源スイッチ、30…ワイパスイッチ、43…物体認識ブロック、44…センサ異常検出ブロック、47…車速演算ブロック、49…操舵角演算ブロック、51…ヨーレート演算ブロック、53…先行車判定ブロック、55…車間制御部及び警報判定部ブロック、57…カーブ半径算出ブロック、70…レーザレーダCPU、71…発光レンズ、72…スキャナ、73…ミラー、74…モータ駆動回路、75…半導体レーザダイオード、76…レーザダイオード駆動回路、77…ガラス板、81…受光レンズ、83…受光素子、85…アンプ、87…コンパレータ、89…時間計測回路
Claims (14)
- 車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波を受信して物体を検出するレーダ手段と、
該レーダ手段による検出結果に基づき、車両前方の物体を認識する認識手段とを備えた物体認識装置であって、
前記認識手段は、
前記レーダ手段による検出結果としての反射波による受信信号を、その信号強度の車幅方向への変化度合いに基づき、前記反射波による受信信号強度の変化度合いが所定の急峻状態となっている部分に設定されたしきい値を用い、信号強度がそのしきい値以上か否かによって、散乱された前記送信波に対応する受信信号部分とそれ以外の受信信号部分とに区別し、非散乱送信波に対応する受信信号部分に基づいて物体を認識すること
を特徴とする物体認識装置。 - 車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波を受信して物体を検出するレーダ手段と、
該レーダ手段による検出結果に基づき、車両前方の物体を認識する認識手段とを備えた物体認識装置であって、
前記認識手段は、
前記レーダ手段による検出結果としての反射波による受信信号を、その信号強度の車幅方向への変化度合いに基づき、前記反射波による受信信号強度の変化度合いが所定の緩やかな単調変化状態となっている場合には、その反射波に対応する認識対象物は、予定されている認識範囲外に存在すると判定すると共に、散乱された前記送信波に対応する受信信号部分とそれ以外の受信信号部分とに区別し、非散乱送信波に対応する受信信号部分に基づいて物体を認識すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項2に記載の物体認識装置において、
前記認識手段は、前記反射波による受信信号強度の変化度合いが所定の緩やかな単調変化状態となっている場合であって、且つその状態が所定の車幅方向位置に生じている場合には、その反射波に対応する認識対象物は、予定されている認識範囲外に存在すると判定すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の物体認識装置において、
前記認識手段は、
前記レーダ手段から前記散乱された送信波が照射され得る状況であるか否かを推定する状況推定手段を備え、
その状況推定手段によって前記散乱された送信波が照射され得る状況が生じていると推定された場合にのみ、前記散乱送信波に対応する受信信号部分と非散乱送信波に対応する受信信号部分との区別を実行すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項4に記載の物体認識装置において、
前記状況推定手段は、前記散乱送信波が照射され得る状況として、前記レーダ手段における送信波の照射部分に水滴の付着が想定される状況であるか否かを推定すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項5に記載の物体認識装置において、
前記状況推定手段は、前記水滴の付着が想定される状況であるか否かを、車両に搭載されたワイパが動作しているか否かによって推定すること
を特徴とする物体認識装置。 - 車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波を受信して物体を検出するレーダ手段と、
該レーダ手段による検出結果に基づき、車両前方の物体を認識する認識手段とを備えた物体認識装置であって、
前記レーダ手段が照射する送信波は、その送信方向での信号強度が最も大きく、車幅方向へ離れるにつれて信号強度が小さくなる分布を有し、且つ所定強度以上の信号部分が物体認識のために有効な信号部分として定められた性質を有しており、
前記認識手段は、前記レーダ手段による検出結果としての反射波による受信信号を、その信号強度の車幅方向への変化度合いに基づき、前記反射波による受信信号強度の変化度合いが所定の急峻状態となっている部分に設定されたしきい値を用い、信号強度がそのしきい値以上か否かによって、前記所定強度以上の送信波の信号部分に対応する受信信号部分とそれ以外の受信信号部分とに区別し、前記所定強度以上の送信波の信号部分に対応する受信信号部分に基づいて物体を認識すること
を特徴とする物体認識装置。 - 車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波を受信して物体を検出するレーダ手段と、
該レーダ手段による検出結果に基づき、車両前方の物体を認識する認識手段とを備えた物体認識装置であって、
前記レーダ手段が照射する送信波は、その送信方向での信号強度が最も大きく、車幅方向へ離れるにつれて信号強度が小さくなる分布を有し、且つ所定強度以上の信号部分が物体認識のために有効な信号部分として定められた性質を有しており、
前記認識手段は、前記レーダ手段による検出結果としての反射波による受信信号を、その信号強度の車幅方向への変化度合いに基づき、前記反射波による受信信号強度の変化度合いが所定の緩やかな単調変化状態となっている場合には、その反射波に対応する認識対象物は、予定されている認識範囲外に存在すると判定すると共に、前記所定強度以上の送信波の信号部分に対応する受信信号部分とそれ以外の受信信号部分とに区別し、前記所定強度以上の送信波の信号部分に対応する受信信号部分に基づいて物体を認識すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項8に記載の物体認識装置において、
前記認識手段は、前記反射波による受信信号強度の変化度合いが所定の緩やかな単調変化状態となっている場合であって、且つその状態が所定の車幅方向位置に生じている場合には、その反射波に対応する認識対象物は、予定されている認識範囲外に存在すると判定すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の物体認識装置において、
前記認識手段は、前記反射波による受信信号強度の変化度合いを、最小自乗法によって強度分布を直線近似した場合の当該直線の傾きによって得ること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項1〜10のいずれかに記載の物体認識装置において、
前記認識手段は、前記受信信号部分の区別のために受信信号強度のしきい値を用い、そのしきい値を、認識した物体の大きさに基づいて変更設定すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項11に記載の物体認識装置において、
前記認識手段は、前記しきい値を、認識した物体の車幅方向長さが所定範囲内に収まるまで変更設定すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の物体認識装置において、
前記レーダ手段は、前記反射波による受信信号パルスの立ち上がりと立ち下がりの時間差が、その信号強度が大きくなるにつれて長くなる特性を有しており、
前記認識手段は、前記レーダ手段による検出結果である受信信号パルスの立ち上がりと立ち下がりの時間差に基づき、前記特性を参照して信号強度を推定すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項1〜13のいずれかに記載の物体認識装置の認識手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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