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JP3635567B2 - ポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents

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JP3635567B2
JP3635567B2 JP2000343415A JP2000343415A JP3635567B2 JP 3635567 B2 JP3635567 B2 JP 3635567B2 JP 2000343415 A JP2000343415 A JP 2000343415A JP 2000343415 A JP2000343415 A JP 2000343415A JP 3635567 B2 JP3635567 B2 JP 3635567B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた難燃性を発現するポリオレフィン系樹脂組成物、それを用いてなる電線被覆用又はシース用の熱可塑性樹脂、及び、絶縁電線に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂は、近年、廃プラスチックの処理や環境ホルモンの問題から、環境に優しい材料として注目されている。具体的には、ポリ塩化ビニル系樹脂の代替材料として、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が検討されている。
【0003】
しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は、非極性であるため、印刷性、接着性、難燃性等の機能を発現させることは非常に困難である。特に、ポリオレフィン系樹脂は最も燃焼性の高い樹脂の一つであるので、難燃性を発現させることは最も困難な課題となっており、現状では、含ハロゲン難燃剤をポリオレフィン系樹脂中に練り込むことによって対処している例が多い。
【0004】
含ハロゲン難燃剤は、難燃化の効果も高く、成型性の低下や成型体の機械的強度の低下も比較的少ないが、これを使用した場合、成型加工時や燃焼時に多量のハロゲン系ガスを発生するおそれがあり、発生したガスにより機器が腐食したり、人体への影響が懸念されたりするので、安全性の面からハロゲン含有化合物を使用しない、いわゆるノンハロゲン難燃化処理方法が強く望まれている。
【0005】
ポリオレフィン系樹脂のノンハロゲン難燃化技術の一つとして、燃焼時に有毒なガスを発生しない、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の金属化合物をポリオレフィン系樹脂に添加する方法が特開昭57−165437号公報や特開昭61−36343号公報等に開示されている。
【0006】
しかしながら、易燃性のポリオレフィン系樹脂に充分な難燃性を付与するためには、上記金属化合物を多量に添加する必要があり、その結果、得られる成型体の機械的強度が著しく低下し、実用に供することが難しいという問題点がある。
【0007】
上記金属化合物のなかでも、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物をポリオレフィン系樹脂に添加した場合は、燃焼時において被膜層を形成することができず、脆い灰分が露出し、残渣が脱落していくため、断熱層としての機能を早期に失ううえに、材料の変形による延焼をくい止めることができないという問題点がある。
【0008】
また、リン系難燃剤をポリオレフィン系樹脂に添加し、燃焼時における表面被膜形成による酸素遮断効果を利用し、難燃性を発現させる方法が提案されている。しかしながら、易燃性のポリオレフィン系樹脂に充分な難燃性を付与するためには、多量のリン系難燃剤を添加する必要があり、その結果、得られる成型体の機械的強度が著しく低下し、実用に供することが難しいという問題点がある。
【0009】
リン系難燃剤をポリオレフィン系樹脂に添加した場合は、局所的に被膜を形成するものの、強固な被膜層を連続層として形成することはできない。また、局所的に形成される被膜の機械的強度は非常に弱く、燃焼時において、脆い灰分が露出し、残渣が脱落していくため、断熱層としての機能を早期に失ううえに、材料の変形による延焼をくい止めることができないという問題点がある。
【0010】
また、特開平6−2470号公報では、ポリオレフィン系樹脂に、赤リン又はリン化合物、及び、膨張性黒鉛が添加された樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物は、酸素指数から見た場合には、充分な難燃性を有するものの、局所的にしか被膜を形成できず、強固な被膜層を連続層として形成することができない。また、局所的な被膜の機械的強度は非常に弱く、燃焼時において、脆い灰分が露出し、残渣が脱落していくため、断熱層としての機能を早期に失ううえに、材料の変形による延焼をくい止めることができないという問題点がある。
【0011】
このため、ポリオレフィン系樹脂は、例えば、シート状に成型した難燃材料として壁の裏打ち材に使用した場合、表面を1000℃に加熱した場合の裏面の温度を260℃以下に抑えるという耐火試験や防火試験の基準を満たすことができず、耐火性が不充分であるだけでなく、耐火試験や防火試験において脆い灰分だけが残り、残渣が脱落するため、断熱層としての機能を早期に失うという問題点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、難燃性に優れ、特に燃焼時の形状保持効果によって優れた難燃性を発現し、かつ、機械的強度及び熱的特性にも優れるポリオレフィン系樹脂組成物、それを用いてなる電線被覆用又はシース用の熱可塑性樹脂、及び、絶縁電線を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.1〜100重量部からなるポリオレフィン系樹脂組成物であって、50kW/mの加熱条件下で30分間加熱し燃焼することにより得られた燃焼残渣を0.1cm/sで圧縮したときの降伏点応力が4.9×10Pa以上であるポリオレフィン系樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
【0014】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.1〜100重量部からなるものである。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂は、重合性二重結合を有するオレフィン系単量体を重合してなるものである。
【0015】
上記オレフィン系単量体としては特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンや、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン等が挙げられる。これらのオレフィン系単量体は、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
【0016】
上記ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、プロピレンの単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体又はブロック共重合体、ブテンの単独重合体、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエンの単独重合体又は共重合体等が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0017】
上記ポリオレフィン系樹脂のなかでも、エチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、エチレン又はプロピレンとこれらと共重合可能なα−オレフィンとの共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、又は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体が好適に用いられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
【0018】
上記ポリオレフィン系樹脂の分子量及び分子量分布としては特に限定されないが、重量平均分子量が5000〜500万であることが好ましく、より好ましくは2万〜30万であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.1〜80であることが好ましく、より好ましくは1.5〜40である。
本発明で用いられる層状珪酸塩は、層間を含む結晶構造中に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物である。
【0019】
上記層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物;バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられ、なかでもモンモリロナイト及び膨潤性マイカが好適に用いられる。これらの層状珪酸塩は、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
上記層状珪酸塩は、天然品であっても良く、合成品であっても良い。
【0020】
上記層状珪酸塩としては、下記式(1)で定義される形状異方性効果の大きいスメクタイト系粘土鉱物や膨潤性マイカを用いることが、ポリオレフィン系樹脂組成物及び成型体の機械的強度やガスバリア性向上の観点からより好ましい。
形状異方性効果=結晶表面(a)の面積/結晶表面(b)の面積…(1)
上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量としては特に限定されないが、50〜200ミリ等量/100gであることが好ましい。50ミリ等量/100g未満であると、イオン交換により結晶層間にインターカレートされるカチオン系界面活性剤の量が少なくなるため、層間が充分に非極性化されないことがあり、一方、200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固となり、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0021】
上記交換性陽イオンとしては特に限定されず、例えば、ナトリウムやカリウム等の一価の金属イオンが挙げられる。
その他の金属イオンで交換性陽イオンを交換する場合には、イオン交換することにより層状珪酸塩の酸性度がイオン交換前より向上する効果を有する金属イオンで交換することが好ましい。層状珪酸塩の酸性度が向上すると、ポリオレフィン系樹脂やポリオレフィン系樹脂に添加する添加剤との反応性が向上し易くなって、層状珪酸塩の分散性が向上する。
【0022】
本発明で用いられる層状珪酸塩は、結晶構造中の交換性陽イオンが二価の金属イオンでイオン交換されていることが好ましい。二価を超える金属イオンでイオン交換されると、層状珪酸塩の層間結合力が強くなって、層間剥離(デラミネーション)が進行しなくなることがある。
【0023】
上記二価の金属イオンとしては特に限定されず、例えば、ニッケル、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。これらの金属イオンでイオン交換することにより層状珪酸塩の酸性度を向上させる効果は、ニッケル、マグネシウム、カルシウムの順に大きくなる。
【0024】
ニッケル、マグネシウム、カルシウム等の二価の金属イオンでイオン交換することにより、層状珪酸塩の結晶薄片の水酸基の酸性度が向上することは、例えば、NISHIHAMAらにより「Clay Materials」(1997,32,p645〜651)等で報告されている。上記二価の金属イオンのなかでも、焼結時の結晶薄片同士の結合力が向上し、強固な焼結被膜を形成し易くなることから、ニッケルイオンやマグネシウムイオンが好ましい。
【0025】
本発明で用いられる層状珪酸塩は、その結晶構造中にカチオン系界面活性剤を含有することが好ましい。層状珪酸塩の結晶構造中にカチオン系界面活性剤を含有させる方法としては、例えば、層状珪酸塩の結晶構造中に交換性陽イオンとして存在する金属イオンの一部又は全てをカチオン系界面活性剤で交換する方法が挙げられる。
上記カチオン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
【0026】
上記4級アンモニウム塩としては特に限定されず、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩等の四級アンモニウム塩構造を有する(共)重合体等が挙げられる。これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。なお、本明細書において、(共)重合体とは、重合体又は共重合体を意味する。
【0027】
上記4級アンモニウム塩構造を有する(共)重合体としては特に限定されず、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基等を有する(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体や、これらの(メタ)アクリル系モノマーと他の(メタ)アクリル系モノマー及び/若しくはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーとの共重合体等を塩酸等で4級アンモニウム塩化することにより得られる(共)重合体が挙げられる。これらの4級アンモニウム塩構造を有する(共)重合体は、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
【0028】
上記カチオン系界面活性剤として、酸素含有割合の高い(共)重合体やスチレン等の芳香族環を有する(共)重合体が用いられると、有機不燃被膜の形成が促進されるため、難燃性が向上する。また、上記層状珪酸塩の層間に交換性陽イオンとして含有される金属イオンが長鎖(共)重合体で交換されると、層状珪酸塩が剥離分散し易くなり、燃焼時に均一な無機焼結被膜が形成されるため、難燃性が向上する。
【0029】
上記4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩(DTPB)、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0030】
上記カチオン系界面活性剤として4級ホスホニウム塩を用いることにより、燃焼時に層状珪酸塩の層間にインターカラントが固定化しやすくなり、難燃性向上効果が大きくなる。これは、4級アンモニウム塩やその他のインターカラントよりも4級ホスホニウム塩の方がそれ自体の難燃性が高いことによる。
【0031】
また、4級ホスホニウム塩はリンを含むので、後述するリン系化合物が有する機能と同様に、燃焼時に表面被膜を形成し、酸素遮断効果を発揮する。この場合、難燃剤としてリン系化合物を単独でポリオレフィン系樹脂に添加した場合と比較して、層状珪酸塩の結晶薄片近傍にリン成分が存在することになるので、結晶薄片とリン成分との相互作用により、より効果的な被膜形成が行われる。
【0032】
上記4級ホスホニウム塩のなかでも、炭素数6以上のアルキル基を有する4級アルキルホスホニウム塩が好適に用いられる。アルキル基の炭素数が6未満であると、アルキルホスホニウムイオンの親水性が強くなって、層状珪酸塩の層間を充分に非極性化することができなくなることがある。
【0033】
本発明で用いられる層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、ポリオレフィン系樹脂組成物中で5層以下の状態で分散するものを含むことが好ましい。
上記層状珪酸塩の層数とその割合は、透過型電子顕微鏡撮影により算出することができる。
【0034】
上記層状珪酸塩の平均層間距離とは、微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離であり、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、即ち、広角X線回折測定法により算出できるものである。
【0035】
上記平均層間距離が3nm以上であると、層状珪酸塩の層間にポリオレフィン系樹脂が進入しやすくなるので、層状珪酸塩の結晶薄片層が5層以下となるように分離し、界面面積が増加する。3nm以上に層間が開裂していることは、層状珪酸塩が燃焼時等に分散しやすい状態にあることを意味し、更に5層以下に分散している状態は、層間の相互作用が弱まっていることにより、層状珪酸塩の積層体の一部が分散していることを意味する。従って、上記層状珪酸塩が、平均層間距離が3nm以上であり、ポリオレフィン系樹脂組成物中で5層以下に分散するものを含むものであると、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、難燃性、機械的強度及びガスバリア性等の機能を発現しやすくなる。
【0036】
上記平均層間距離は6nm以上であることがより好ましい。平均層間距離が6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が殆ど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片のポリオレフィン系樹脂中での分層状態が離砕安定化の方向に進行する。
【0037】
結晶状態で多数の層をなす層状珪酸塩が層剥離することにより、結晶薄片の数や層状珪酸塩の界面面積が増加し、なおかつ、結晶薄片間の距離が小さくなるので、燃焼時において層状珪酸塩の結晶薄片が移動することにより焼結体が形成し易くなると考えられる。
【0038】
本発明で用いられる層状珪酸塩は、総層状珪酸塩の10重量%以上が5層以下に分散していることが好ましい。より好ましく20重量%以上である。また、5層以下に分散していれば、上記の通りの効果が得られるが、3層以下に分層していれば、より効果的であり好ましい。更に効果的な分層状態として単離層状薄片化していること好ましい。
【0039】
即ち、上記層状珪酸塩が、上記平均層間距離3nm以上であり、ポリオレフィン系樹脂組成物中で5層以下に分散するものを含むものであると、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は難燃被膜となり得る焼結体を形成し易くなる。この焼結体は、分散が進行すればするほど、燃焼時の早い段階で形成されるため、外界からの酸素の供給のみならず、燃焼により発生する可燃ガスも遮断することができるので、優れた難燃性が発現される。
【0040】
本発明で用いられる層状珪酸塩は、端面の水酸基と化学結合し得るか又は化学親和性を示す官能基を有する化合物により処理されていても良い。
上記水酸基と化学結合し得るか又は化学親和性を示す官能基としては特に限定されず、例えば、アルコキシル基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、無水マレイン酸基、イソシアネート基、アルデヒド基等の水酸基との化学親和性が高い官能基が挙げられる。
【0041】
上記水酸基と化学結合し得るか又は化学親和性を示す官能基を有する化合物としては特に限定されず、例えば、上記の各種官能基を含有するシラン化合物、チタネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、アルコール類等が挙げられるが、なかでもシラン化合物が好適に用いられる。これらの化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0042】
上記シラン化合物としては特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0043】
上記層状珪酸塩の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部である。0.1重量部未満であると、焼結体を形成することが困難となり、得られるポリオレフィン系樹脂組成物及び成型体の難燃性が不充分となり、一方、100重量部を超えると、得られるポリオレフィン系樹脂組成物及び成型体の比重が大きくなって、実用性が損なわれる。好ましくは5〜100重量部である。
【0044】
上記ポリオレフィン系樹脂中に層状珪酸塩を分散させる方法としては、例えば、(1)有機化処理を施した層状珪酸塩を使用する方法、(2)層状珪酸塩存在下で発泡させることにより分散させる方法等が挙げられる。上記の(1)法及び(2)法は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。これらの分散方法を用いることにより、上記ポリオレフィン系樹脂中に層状珪酸塩をより均一且つ微細に分散させることができる。
【0045】
上記の(1)層状珪酸塩に有機化処理を施す方法としては、例えば、(1−1)層状珪酸塩が結晶構造中に交換性陽イオンとして含有する金属イオンを上記カチオン系界面活性剤により交換する方法、(1−2)層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、水酸基と化学結合し得るか又は化学親和性を示す官能基、及び/又は、反応性官能基を分子末端に1個以上有する化合物により化学修飾する方法、(1−3)層状珪酸塩の結晶表面を、アニオン性界面活性能を有する試剤、及び/又は、アニオン性界面活性能を有し、かつ、分子鎖中のアニオン部位以外に反応性官能基を1個以上有する試剤により化学修飾する方法等が挙げられる。これらの方法は、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
【0046】
上記の(2)層状珪酸塩存在下で発泡させることにより分散させる方法としては、例えば、(2−1)ポリオレフィン系樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.1〜100重量部からなる組成物に対し、常温常圧でガス状の化合物を高圧下で含浸させ、次いで、このガス状の化合物を組成物内で気化させて発泡体を形成せしめることにより分散させる方法、(2−2)層状珪酸塩の層間に予め熱分解型発泡剤を含有させ、その熱分解型発泡剤を加熱により分解させて発泡構造を形成せしめることにより分散させる方法等が挙げられる。これらの方法は、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
【0047】
上記層状珪酸塩が層間で剥離し、その結晶薄片がポリオレフィン系樹脂中に分散すればするほど、結晶薄片間平均距離が小さくなり、燃焼時において上記層状珪酸塩の結晶薄片の移動による焼結体が形成し易くなる。また、上記層状珪酸塩の結晶薄片が分散すればするほど、ポリオレフィン系樹脂−層状珪酸塩複合材料の弾性率やガスバリア性は著しく向上する。
【0048】
上記のいずれの現象も、層状珪酸塩とポリオレフィン系樹脂との界面面積が結晶薄片の分散度の向上に伴い増大することによる。即ち、上記ポリオレフィン系樹脂と層状珪酸塩との接着面においてポリオレフィン系樹脂の分子運動が拘束されることにより、ポリオレフィン系樹脂の弾性率等の機械的強度が増大するので、結晶薄片の分散度が向上すればするほど、より効率的にポリオレフィン系樹脂の機械的強度を増大させることができる。
【0049】
また、ポリマー中では無機物に比較してガス分子の方がはるかに拡散しやすいので、複合材料中をガス分子が拡散する際には、無機物を迂回しながら拡散する。従って、本発明においても、層状珪酸塩の結晶薄片の分散度が向上すればするほど、より効率的にポリオレフィン系樹脂のガスバリア性を増大させることができる。
【0050】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、50kW/mの加熱条件下で30分間加熱して燃焼することにより得られた燃焼残渣を0.1cm/sで圧縮したときの降伏点応力が4.9×10Pa以上であるものである。
【0051】
ポリオレフィン系樹脂組成物の焼結体が難燃被膜としての機能を発現するためには、燃焼終了時まで焼結体が形状を保持していることが必要であるが、ポリオレフィン系樹脂組成物の燃焼残渣を圧縮する際に降伏点が存在しないと、微小な力で燃焼残渣が崩壊する。また、降伏点が存在しても、降伏点応力が4.9×10Pa未満であると、同様に微小な力で燃焼残渣の崩壊が起こる。好ましくは1.5×10Pa以上である。
【0052】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、50kW/mの加熱条件下で30分間加熱し燃焼したときの最大発熱速度が800kW/m以下であることが好ましい。800kW/mを超えると、燃焼時の火勢が強すぎるので、ポリオレフィン系樹脂組成物の燃焼を抑えにくい。より好ましくは400kW/m以下である。
【0053】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、更に、難燃性を向上させるために、リン系化合物、金属水酸化物、又は、メラミン誘導体を含有することが好ましい。上記リン系化合物、金属水酸化物及びメラミン誘導体は、それぞれ単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
【0054】
上記リン系化合物としては特に限定されず、例えば、赤リン、ポリリン酸アンモニウム、下記一般式(1)で表されるリン化合物等が挙げられる。なかでも下記一般式(1)で表されるリン化合物が好適に用いられる。これらのリン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
(R)(OR)P=O (1)
式中、R及びRは、水素原子、炭素数1〜16のアルキル基又はアリール基を示し、Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜16のアルキル基、アルコキシル基、アリール基又はアリーロキシ基を示し、R、R及びRは、それぞれ同じであっても良いし、異なっていても良い。上記炭素数が16を超えると、リンの相対含有率が低くなるので、難燃性付与効果が不充分となることがある。
【0055】
上記赤リンとしては、耐湿性向上のためや、ポリオレフィン系樹脂に添加して混練する際の自然発火を防止するために、表面が樹脂で被覆されているものが好ましい。
上記ポリリン酸アンモニウムとしては、メラミン変性等の表面処理が施されているものであっても良い。
【0056】
上記一般式(1)で表されるリン化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチル−プロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。これらのリン化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0057】
上記リン系化合物の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.5〜100重量部であることが好ましい。0.5重量部未満であると、充分な難燃性向上効果を得られないことがあり、一方、100重量部を超えると、ポリオレフィン系樹脂組成物から得られる成型体の機械的強度が低下することがある。より好ましくは2〜50重量部である。
【0058】
上記金属水酸化物としては特に限定されず、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、ドーソナイト、アルミン酸カルシウム、二水和石膏等が挙げられるが、なかでも水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムが好適に用いられる。これらの金属水酸化物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。2種類以上の金属水酸化物を併用すると、それぞれの金属水酸化物が異なる温度で分解脱水反応を開始するので、より高い難燃性付与効果を得ることができる。
【0059】
また、上記金属水酸化物は、表面処理剤により表面処理が施されているものであっても良い。上記表面処理剤としては特に限定されず、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ポリビニルアルコール系表面処理剤、エポキシ系表面処理剤、高級脂肪酸系表面処理剤等が挙げられる。これらの表面処理剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0060】
上記金属水酸化物の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.5〜100重量部であることが好ましい。0.5重量部未満であると、充分な難燃性向上効果が得られないことがあり、一方、100重量部を超えると、難燃性はより向上するものの、比重の増大や柔軟性の欠如等の不具合が発生することがある。より好ましくは20〜60重量部である。
【0061】
上記金属水酸化物は、燃焼時の高熱下で吸熱脱水反応を起こすので、吸熱して水分子を放出することにより燃焼場の温度を低下させ、消火する効果を発揮する。また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は層状珪酸塩を含有しているので、金属水酸化物による難燃性向上効果はより増大される。これは、上記層状珪酸塩の燃焼時における被膜形成に基づく難燃性向上効果と金属水酸化物の吸熱脱水反応に基づく難燃性向上効果とが競合的に起こり、それぞれの効果が助長されることによる。
【0062】
上記メラミン誘導体としては特に限定されず、例えば、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、リン酸メラミン、これらに表面処理が施されたもの等が挙げられる。これらのメラミン誘導体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。上記表面処理としては、金属水酸化物に施される処理と同様の処理が挙げられる。
【0063】
上記メラミン誘導体の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.5〜100重量部であることが好ましい。0.5重量部未満であると、充分な難燃性向上効果が得られないことがあり、一方、100重量部を超えると、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の物性を低下させたり、層状珪酸塩が焼結被膜を形成することが阻害されることがある。より好ましくは1〜30重量部である。
【0064】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、更に、難燃性を向上させるために、上記層状珪酸塩以外の珪酸塩化合物を含有することが好ましい。
上記珪酸塩化合物としては特に限定されず、例えば、ウォラストナイト、ゾノトライト等の珪酸カルシウム類;タルク、活性白土、カオリンクレー、セピオライト、イモゴライト等の粘土鉱物類;シリカ系バルーン類等が挙げられるが、なかでも上記層状珪酸塩との親和性や粒子径の選択性に優れることから、タルクが好適に用いられる。これらの珪酸塩化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0065】
また、上記珪酸塩化合物としては、層状珪酸塩とは異なる平均粒子径を有しているものが好ましい。上記層状珪酸塩とは異なる平均粒子径を有している珪酸塩化合物を本発明のポリオレフィン系樹脂組成物中に添加することにより、燃焼時に層状珪酸塩や珪酸塩化合物等の無機成分が焼結体として燃焼表面を被覆し易くなって、強固な難燃被膜を形成し易くなる。
【0066】
上記珪酸塩化合物の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.5〜20重量部であることが好ましい。0.5重量部未満であると、充分な難燃性向上効果が得られないことがあり、一方、20重量部を超えると、ポリオレフィン系樹脂組成物から得られる成型体の機械的強度が低下したり、比重が高くなりすぎることがある。より好ましくは2〜10重量部である。
【0067】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、更に、難燃性を向上させるために、金属酸化物を含有することが好ましい。
上記金属酸化物としては特に限定されず、例えば、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化クロム(II)、酸化クロム(III)、酸化クロム(VI)、酸化アルミニウム、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(V)、酸化イットリウム(III)、酸化インジウム(I)、酸化インジウム(II)、酸化インジウム(III)、酸化カリウム、酸化銀(I)、酸化銀(II)、酸化ゲルマニウム(II)、酸化ゲルマニウム(IV)、酸化コバルト(II)、酸化コバルト(III)、酸化スズ(II)、酸化スズ(IV)、酸化セシウム、酸化タリウム(I)、酸化タリウム(III)、酸化タングステン(IV)、酸化タングステン(VI)、酸化チタン(II)、酸化チタン(III)、酸化チタン(IV)、酸化亜鉛、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化バリウム、酸化マンガン(II)、酸化マンガン(III)、酸化マンガン(IV)、酸化マンガン(VII)、酸化モリブデン(IV)、酸化モリブデン(VI)、酸化リチウム、酸化ルテニウム(IV)、酸化ルテニウム(VIII)等が挙げられる。これらの金属酸化物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0068】
上記金属酸化物は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物が燃焼する際の有機不燃被膜の形成を促進する触媒として働き、より強固な有機不燃被膜を形成させることにより、高難燃性を発現させる機能を有する。
【0069】
上記金属酸化物の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましい。0.1重量部未満であると、充分な難燃性向上効果が得られないことがあり、一方、10重量部を超えると、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の物性が低下することがある。より好ましくは0.2〜5重量部である。
【0070】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、更に、難燃性を向上させるために、ポリオレフィン系樹脂に対して反応性を示す官能基を有するセグメント(A)ブロックとポリオレフィン系樹脂に対して親和性を有するセグメント(B)ブロックとからなるAB型ブロック共重合体を含有することが好ましい。
上記セグメント(A)ブロックにおける官能基としては、層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基と化学結合し得る官能基や化学親和性を有する官能基であれば特に限定されず、例えば、カルボキシル基、エポキシ基等が挙げられる。
【0071】
上記セグメント(A)ブロックとしては、上記官能基を分子中に多数有しているものが好ましい。また、上記セグメント(A)ブロックの分子量としては特に限定されないが、1×10〜5×10であることが好ましい。5×10を超えると、セグメント(A)ブロックの自由度が低下して、層状珪酸塩との反応性が阻害されることがある。
【0072】
上記セグメント(B)ブロックは、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物において主成分として用いられるポリオレフィン系樹脂と同じ種類のものであることが好ましく、より好ましくは全く同じポリオレフィン系樹脂である。
また、上記セグメント(B)ブロックの分子量としては特に限定されないが、1×10〜5×10であることが好ましい。5×10を超えると、セグメント(B)ブロックの自由度が低下して、充分な分散性向上効果が得られないことがある。
【0073】
上記セグメント(A)ブロックとセグメント(B)ブロックとからなるAB型ブロック共重合体は、ABA型ブロック共重合体とは異なり、ポリオレフィン系樹脂に対して反応性を示す官能基を有するセグメント(A)ブロックとポリオレフィン系樹脂に対して親和性を有するセグメント(B)ブロックとが両端に位置しているため、上記層状珪酸塩の層間剥離を効率的に促進させることができると共に、層状珪酸塩のポリオレフィン系樹脂中への分散性を向上させることができる。
【0074】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、更に、難燃性を向上させるために、芳香族系水酸基を有する化合物を含有することが好ましい。
上記芳香族系水酸基を有する化合物としては、ラジカルを捕捉し得るものであれば特に限定されず、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロキシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}2,4,8,10−テトラオキシサスピロ[5,5]ウデカン、p−フェニルフェノール、没食子酸等が挙げられる。これらの芳香族系水酸基を有する化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0075】
上記芳香族系水酸基を有する化合物は、燃焼時の高熱下でポリオレフィン系樹脂が熱分解して燃焼性のガスになる過程において、分解生成物であるラジカルを捕捉することにより、燃焼反応を遅延させる機能を発揮する。
【0076】
上記芳香族系水酸基を有する化合物の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜30重量部であることが好ましい。0.01重量部未満であると、充分な難燃性向上効果を得られないことがあり、一方、30重量部を超えると、ポリオレフィン系樹脂組成物の物性を低下させたり、層状珪酸塩が焼結被膜を形成するのを阻害することがある。より好ましくは0.05〜10重量部である。
【0077】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の課題達成を阻害しない範囲内で必要に応じて、例えば、ポリオレフィン系樹脂の結晶を微細化して物性を均一化させるための結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、加工助剤、難燃剤、帯電防止剤等の各種添加剤が添加されても良い。
【0078】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、種々の方法により作製することができる。本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法としては特に限定されず、例えば、(1)必須成分であるポリオレフィン系樹脂及び層状珪酸塩と、含有することが好ましい上記の各種難燃性向上剤や必要に応じて添加される各種添加剤を、押出機、二本ロール、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法、(2)上記ポリオレフィン系樹脂と層状珪酸塩との両者が溶解する有機溶媒中で複合(混合)する方法、(3)遷移金属錯体を含有する層状珪酸塩を用いてオレフィン系単量体を重合して複合する方法等が挙げられる。
【0079】
上記の(3)法において用いられる遷移金属錯体としては、オレフィン系単量体を重合させ得るものであれば特に限定されず、例えば、4、5、10、11族の金属錯体等が挙げられる。
【0080】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の用途としては特に限定されず、難燃性が要求される用途に広く用いることができるが、例えば、電線被覆、シース、化粧シート等が挙げられ、なかでも電線被覆用及びシース用の樹脂に好適に用いられる。電線被覆用及びシース用の樹脂には、火災時に電線を介して延焼することを防ぐために難燃性が必要とされる(JIS C 3005)。
【0081】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を用いてなり、電線被覆用又はシース用として用いられる熱可塑性樹脂もまた、本発明の1つである。また、上記熱可塑性樹脂を用いてなる絶縁電線もまた、本発明の1つである。
【0082】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「重量部」を意味する。
【0083】
(実施例1)
1.遷移金属錯体による層状珪酸塩中の金属イオンの交換
モンモリロナイト(商品名「ベンゲルA」、豊順鉱業社製)5gと蒸留水495gとをビーカー中に投入し、更に層間距離を拡張するためにキシレン(試薬、和光純薬工業社製)を添加し、モーター攪拌機を用いて常温で約2時間攪拌し、モンモリロナイトの膨潤スラリーを調製した。次いで、ジシクロペンテジエニルチタンジクロリド・ジステアリルジメチルアンモニウム0.27gを上記膨潤スラリー中に添加し、モーター攪拌機を用いて、常温で24時間攪拌を行った後、遠心分離装置にて固形分を分離した。上記固形分に付着している不要分を除去するために、蒸留水中に上記固形分を再度分散後、遠心分離装置にて固形分を分離する操作を更に2回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機を使用して50℃で48時間真空乾燥して得られた組成物を、遷移金属錯体含有有機層状珪酸塩として使用した。収量は5.10gであった。これをMMT−Aとした。
【0084】
2.エチレンの重合
300mLの耐圧ガラス容器内をアルゴン置換した後、先に調製した遷移金属錯体含有有機層状珪酸塩(ジシクロペンテジエニルチタンジクロリド・ジステアリルジメチルアンモニウム添加モンモリロナイト)であるMMT−Aを5.00g添加し、トルエン150mLに溶解させた。更にメチルアルモキサン(10重量%トルエン溶液、アルドリッチ社製)30mLを10分かけてシリンジより滴下した。次いで、エチレンガスを容器内に導入し、系内を1.1kg/cmに保ちながら、0℃で4時間重合を行った。反応後、系内にメタノール300mLを加えて反応を停止させ、沈殿した重合物を回収して、層状珪酸塩/重合体複合体組成物(I)13.5gを得た。
【0085】
得られた層状珪酸塩/重合体複合体組成物(I)について、フーリエ変換型赤外分光計(FT−IR)を用いて解析を行い、ポリエチレン由来の721cm−1のピークを観測した。更に、熱重量測定装置(TGA)にて解析した結果、得られた層状珪酸塩/重合体複合体組成物(I)中の無機成分量は46重量%であった。
【0086】
3.ポリエチレン樹脂と層状珪酸塩の複合
小型押出機(商品名「TEX30」、日本製鋼所社製)中に、ポリエチレン樹脂(商品名「HB530」、日本ポリケム社製)と層状珪酸塩/重合体複合体組成物(I)とを重量比で92.3/7.7となるようにフィードし、設定温度200℃で溶融混練し、押し出されたストランドをペレタイザーでペレット化した。得られたペレットを200℃に温調した熱プレスにより厚さ3mm又は厚さ100μmの板状物に成型して、評価用サンプルを作製した。
【0087】
(実施例2)
1.遷移金属錯体・アルキルアンモニウム塩含有有機層状珪酸塩の合成
モンモリロナイト(商品名「ベンゲルA」、豊順鉱業社製)5gと蒸留水495gとを1Lのビーカー中に投入し、更に層間距離を拡張するためにキシレン(試薬、和光純薬工業社製)を添加し、モーター攪拌機を用いて常温で約2時間攪拌し、モンモリロナイトの膨潤スラリーを調製した。次いで、ジシクロペンタジエニルチタンジクロライド0.27gを上記膨潤スラリー中に添加し、モーター攪拌機を用いて、常温で24時間攪拌を行った。更に、カチオン系界面活性剤としてジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(和光純薬工業社製)2.88g及び濃塩酸0.001gを上記膨潤スラリーに添加し、モーター攪拌機を用いて常温で8時間攪拌を行った後、遠心分離装置にて固形分を分離した。上記固形分に付着している不要分を除去するために、蒸留水中に上記固形分を再度分散後、遠心分離装置にて固形分を分離する操作を更に2回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機を使用して50℃で48時間真空乾燥して得られた組成物を遷移金属錯体・アルキルアンモニウム塩含有有機層状珪酸塩として使用した。収量は8.01gであった。これをMMT−Bとした。
【0088】
2.エチレンの重合
300mLの耐圧ガラス容器をアルゴン置換した後、先に調製した遷移金属錯体・アルキルアンモニウム塩含有有機層状珪酸塩(ジシクロペンタジエニルチタンジクロライド・ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド添加モンモリロナイト)であるMMT−Bを7.00g添加し、トルエン150mLに溶解させた。更にメチルアルモキサン(10重量%トルエン溶液、アルドリッチ社製)30mLを10分かけてシリンジより滴下した。次いで、エチレンガスを容器内に導入し、系内を1.1kg/cmに保ちながら、0℃で4時間重合を行った。反応後、系内にメタノール300mLを加えて反応を停止させ、沈殿した重合物を回収して、層状珪酸塩/重合体複合体組成物(II)17.5gを得た。
【0089】
得られた層状珪酸塩/重合体複合体組成物(II)について、フーリエ変換型赤外分光計(FT−IR)を用いて解析を行い、ポリエチレン由来の721cm−1のピークを観測した。更に、熱重量測定装置(TGA)にて解析した結果、得られた層状珪酸塩/重合体複合体組成物(II)中の無機成分量は43重量%であった。
【0090】
3.ポリエチレン樹脂と層状珪酸塩との複合
小型押出機(商品名「TEX30」、日本製鋼所社製)中に、ポリエチレン樹脂(商品名「HB530」、日本ポリケム社製)と層状珪酸塩/重合体複合体組成物(II)とを重量比で92.3/7.7となるようにフィードし、設定温度200℃で溶融混練し、押し出されたストランドをペレタイザーでペレット化した。得られたペレットを200℃に温調した熱プレスにより厚さ3mm又は厚さ100μmの板状物に成型して、評価用サンプルを作製した。
【0091】
(実施例3)
ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩処理モンモリロナイト(商品名「ニューエスベンD」、豊順鉱業社製)500gをヘンシェルミキサー中で撹拌しながら、ビニルトリメトキシシラン(試薬、信越化学工業社製)の2重量%水溶液100gを3分間かけて滴下した。滴下終了後、更に10分間の撹拌を行った。得られた処理粉末を70℃に温調した減圧乾燥機中に保持し、8時間乾燥を行った。得られた粉末をMMT−Cとした。
【0092】
小型押出機(商品名「TEX30」、日本製鋼所社製)中に、ポリプロピレン樹脂(商品名「EA9」、日本ポリケム社製)とMMT−Cとを重量比で92.3/7.7となるようにフィードし、更に、ビニルトリメトキシシランに含有される不飽和結合をポリプロピレン樹脂に対してグラフト反応させることを目的として、過酸化物として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(商品名「パーヘキサ25B」、半減期1分の温度:180℃、日本油脂社製)を用いた。上記過酸化物は、プランジャーポンプを用いて、ポリプロピレン樹脂に対して0.1重量%となるように添加された。設定温度200℃で溶融混練し、押し出されたストランドをペレタイザーでペレット化した。得られたペレットを200℃に温調した熱プレスにより厚さ3mm又は厚さ100μmの板状物に成型して、評価用サンプルを作製した。
【0093】
(実施例4)
層状珪酸塩として、モンモリロナイト(商品名「ベンゲルA」、豊順鉱業社製)をジステアリルジメチル4級アンモニウム塩にて予めイオン交換したものを用いた。これをMMT−Dとした。ポリプロピレン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂と層状珪酸塩との親和性を高めるために、ポリプロピレン樹脂(商品名「EA9」、日本ポリケム社製)100部に対して15部の無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマー(商品名「ユーメックス1001」、官能基含有量:0.23mmol/g、三洋化成工業社製)を添加したものを用いた。
ラボプラストミル(東洋精機社製)中に、上記ポリプロピレン樹脂と層状珪酸塩とをフィードし、設定温度200℃で溶融混練した。組成は、ポリプロピレン樹脂/無水マレイン酸変性ポリプロピレンオリゴマー/MMT−D=82.3/10/7.7(重量比)であった。
【0094】
得られた複合組成物を溶融プレスにて200℃で5分間予熱した後、圧力9.8MPaで1分間押圧して、1mm厚さのシート状物に成型した。1mm厚さのシート状物を3cm角に切り出し、オートクレーブ中に投入し、オートクレーブを密閉して、内部温度をポリプロピレン樹脂の融点より10℃高い温度に設定した。次いで、炭酸ガスをオートクレーブ中に高圧で注入し、オートクレーブ内の内圧が16.7MPaである状態にて30分間保持した。更に、オートクレーブ内の温度をポリプロピレン樹脂の融点より10℃低い温度に設定し、この状態で一気にオートクレーブ内のガスを抜き、内圧を常圧にまで戻した。得られた発泡体を200℃に温調した熱プレスで厚さ3mm又は厚さ100μmの板状物に成型して、評価用サンプルを作製した。
【0095】
(実施例5)
小型押出機(商品名「TEX30」、日本製鋼所社製)中に、ポリプロピレン樹脂(商品名「EA9」、日本ポリケム社製)84.6部、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマー(商品名「ユーメックス1001」、官能基含有量:0.23mmol/g、三洋化成工業社製)5部、及び、MMT−Dを7.7部フィードし、設定温度200℃で溶融混練し、押し出されたストランドをペレタイザーでペレット化した。得られたペレットを200℃に温調した熱プレスで厚さ3mm又は厚さ100μmの板状物に成型して、評価用サンプルを作製した。
【0096】
(実施例6)
小型押出機(商品名「TEX30」、日本製鋼所社製)中に、ポリリン酸アンモニウム(商品名「AP422」、日本ポリオレフィン社製)5部を添加したこと以外は実施例5と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0097】
(実施例7)
ポリリン酸アンモニウム5部の代わりに、フェニルホスホン酸(大八化学社製)5部を添加したこと以外は実施例6と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0098】
(実施例8)
ポリリン酸アンモニウム5部の代わりに、高級脂肪酸処理水酸化マグネシウム(商品名「キスマ5J」、協和化学工業社製)25部を添加したこと以外は実施例6と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0099】
(実施例9)
ポリリン酸アンモニウム5部の代わりに、メラミンシアヌレート(日産化学社製)20部を添加したこと以外は実施例6と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0100】
(実施例10)
ポリリン酸アンモニウム5部の代わりに、タルク(商品名「P−6」、平均粒子径:3.7μm、日本タルク社製)5部を添加したこと以外は実施例6と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0101】
(実施例11)
ポリリン酸アンモニウム5部の代わりに、ポリプロピレンブロックとカルボン酸変性ポリプロピレンブロックとからなるブロック共重合体(商品名「CB−OM12」、セグメント(A)ブロック及びセグメント(B)ブロックの分子量:いずれも1.5×10、クラレ社製)5部を添加し、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーを添加しなかったこと以外は実施例6と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0102】
(実施例12)
ポリプロピレン樹脂及び無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーの代わりに、それぞれエチレン−アクリル酸エチル共重合体(商品名「A4250」、日本ポリオレフィン社製)及び無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー(商品名「ER403A」、日本ポリオレフィン社製)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0103】
(実施例13)
無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー(商品名「ER403A」、日本ポリオレフィン社製)を用いなかったこと以外は実施例12と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0104】
(実施例14)
ポリプロピレン樹脂及び無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーの代わりに、それぞれエチレン−アクリル酸エチル共重合体(商品名「A4250」、日本ポリオレフィン社製)及び無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー(商品名「ER403A」、日本ポリオレフィン社製)を用いたこと以外は実施例8と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0105】
(実施例15)
更に、酸化銅(II)(日進ケムコ社製)1.5部を添加したこと以外は実施例14と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0106】
(実施例16)
酸化銅(II)1.5部の代わりに、酸化スズ(II)(昭和化工社製)1.0部を添加したこと以外は実施例15と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0107】
(実施例17)
酸化銅(II)1.5部の代わりに、酸化亜鉛(堺化学工業社製)1.0部を添加したこと以外は実施例15と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0108】
(実施例18)
更に、p−フェニルフェノール2.0部を添加したこと以外は実施例14と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0109】
(実施例19)
小型押出機(商品名「TEX30」、日本製鋼所社製)中に、ポリエチレン樹脂(商品名「HB530」、日本ポリケム社製)87.3部及びMMT−Dを7.7部フィードし、設定温度200℃で溶融混練し、押し出されたストランドをペレタイザーでペレット化した。得られたペレットを200℃に温調した熱プレスで厚さ3mm又は厚さ100μmの板状物に成型して、評価用サンプルを作製した。
【0110】
(実施例20)
更に、ポリリン酸アンモニウム(商品名「AP422」、日本ポリオレフィン社製)5部を添加したこと以外は実施例19と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0111】
(実施例21)
ポリエチレン樹脂(商品名「HB530」、日本ポリケム社製)の量を85.3部とし、更にトリヒドロキシエチルイソシアヌレート(THEIC)2部を添加したこと以外は実施例20と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0112】
(実施例22)
モンモリロナイト(商品名「ベンゲルA」、豊順鉱業社製)5gと蒸留水495gとをビーカー中に投入し、モーター攪拌機を用いて常温で約2時間攪拌し、モンモリロナイトの膨潤スラリーを調製した。次いで、ドデシルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.27gを上記膨潤スラリー中に添加し、モーター攪拌機を用いて常温で24時間攪拌を行った後、遠心分離装置にて固形分を分離した。上記固形分に付着している不要分を除去するために、蒸留水中に上記固形分を再度分散後、遠心分離装置にて固形分を分離する操作を更に2回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機を使用して50℃で48時間真空乾燥して得られた組成物をホスホニウム塩含有層状珪酸塩として使用した。収量は5.10gであった。これをMMT−Eとした。上記MMT−Eを熱重量測定装置(TGA)で解析したところ、MMT−E中の無機成分量は46重量%であった。
【0113】
小型押出機(商品名「TEX30」、日本製鋼所社製)中に、ポリプロピレン樹脂(商品名「EA9」、日本ポリケム社製)82.3部、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマー(商品名「ユーメックス1001」、官能基含有量:0.23mmol/g、三洋化成工業社製)7.7部及びMMT−Eを7.7部フィードし、設定温度200℃で溶融混練し、押し出されたストランドをペレタイザーでペレット化した。得られたペレットを200℃に温調した熱プレスで厚さ3mm又は厚さ100μmの板状物に成型して、評価用サンプルを作製した。
【0114】
(実施例23)
更に、ポリリン酸アンモニウム(商品名「AP422」、日本ポリオレフィン社製)5部を添加したこと以外は実施例22と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0115】
(実施例24)
更に、高級脂肪酸処理水酸化マグネシウム(商品名「キスマ5J」、協和化学工業社製)20部を添加したこと以外は実施例22と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0116】
(実施例25)
更に、シランカップリング剤処理水酸化マグネシウム(商品名「キスマ5PH」、協和化学工業社製)20部を添加したこと以外は実施例22と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0117】
(実施例26)
更に、メラミンシアヌレート(日産化学社製)20部を添加したこと以外は実施例22と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0118】
(実施例27)
無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーの代わりに、ポリプロピレンブロックとカルボン酸変性ポリプロピレンブロックとからなるブロック共重合体(商品名「CB−OM12」、セグメント(A)ブロック及びセグメント(B)ブロックの分子量:いずれも1.5×10、クラレ社製)を用いたこと以外は実施例22と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0119】
(実施例28)
ポリプロピレン樹脂及び無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーの代わりに、それぞれポリエチレン樹脂(商品名「HB530」、日本ポリケム社製)及び無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー(商品名「ER403A」、日本ポリオレフィン社製)を用いたこと以外は実施例22と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0120】
(実施例29)
更に、ポリリン酸アンモニウム(商品名「AP422」、日本ポリオレフィン社製)5部を添加したこと以外は実施例28と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0121】
(実施例30)
更に、高級脂肪酸処理水酸化マグネシウム(商品名「キスマ5J」、協和化学工業社製)20部を添加したこと以外は実施例28と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0122】
(実施例31)
更に、シランカップリング剤処理水酸化マグネシウム(商品名「キスマ5PH」、協和化学工業社製)20部を添加したこと以外は実施例28と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0123】
(実施例32)
更に、メラミンシアヌレート(日産化学社製)20部を添加したこと以外は実施例28と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0124】
(実施例33)
更に、水酸化マグネシウム(商品名「キスマ5J」、協和化学工業社製)20部及び酸化銅(II)(日進ケコム社製)1.5部を添加したこと以外は実施例28と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0125】
(実施例34)
無水マレイン酸変性エチレンオリゴマーの代わりに、ポリエチレンブロックとカルボン酸変性ポリエチレンブロックとからなるブロック共重合体(商品名「CB−OM22」、クラレ社製)を添加したこと以外は実施例28と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0126】
(実施例35)
モンモリロナイト(商品名「ベンゲルA」、豊順鉱業社製)5gと蒸留水495gとをビーカー中に投入し、モーター攪拌機を用いて常温で約2時間攪拌し、モンモリロナイトの膨潤スラリーを調製した。次いで、塩化ニッケル(和光純薬工業社製)0.7gを上記膨潤スラリー中に添加し、モーター攪拌機を用いて常温で4時間攪拌を行った後、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩0.7gを添加し、24時間攪拌を行ったものを、遠心分離装置にて固形分を分離した。上記固形分に付着している不要分を除去するために、蒸留水中に上記固形分を再度分散後、遠心分離装置にて固形分を分離する操作を更に2回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機を使用して50℃で48時間真空乾燥して得られた組成物をニッケルイオン交換層状珪酸塩として使用した。収量は5.10gであった。これをMMT−Fとした。上記MMT−Fを熱重量測定装置(TGA)で解析したところ、MMT−F中の無機成分量は80重量%であった。
【0127】
小型押出機(商品名「TEX30」、日本製鋼所社製)中に、ポリプロピレン樹脂(商品名「EA9」、日本ポリケム社製)82.3部、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマー(商品名「ユーメックス1001」、官能基含有量:0.23mmol/g、三洋化成工業社製)7.7部、ポリリン酸アンモニウム(商品名「AP422」、日本ポリオレフィン社製)5部及びMMT−Fを7.7部フィードし、設定温度200℃で溶融混練し、押し出されたストランドをペレタイザーでペレット化した。得られたペレットを200℃に温調した熱プレスで厚さ3mm又は厚さ100μmの板状物に成型して、評価用サンプルを作製した。
【0128】
(実施例36)
ポリプロピレン樹脂及び無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーの代わりに、それぞれポリエチレン樹脂(商品名「HB530」、日本ポリケム社製)及び無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー(商品名「ER403A」、日本ポリオレフィン社製)を用いたこと以外は実施例35と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0129】
(比較例1)
層状珪酸塩を添加せずに、ポリプロピレン樹脂(商品名「EA9」、日本ポリケム社製)を単独で用いたこと以外は実施例1と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0130】
(比較例2)
層状珪酸塩を添加せずに、ポリプロピレン樹脂(商品名「EA9」、日本ポリケム社製)100部にポリリン酸アンモニウム(商品名「AP422」、日本ポリオレフィン社製)100部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0131】
(比較例3)
層状珪酸塩を添加せずに、ポリプロピレン樹脂(商品名「EA9」、日本ポリケム社製)100部に水酸化アルミニウム(金属水酸化物)100部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0132】
(比較例4)
ポリプロピレン樹脂(商品名「EA9」、日本ポリケム社製)92.3部にイオン交換を行っていない精製モンモリロナイト(商品名「クニピアF」、クニミネ工業社製)7.7部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0133】
(比較例5)
ポリプロピレン樹脂(商品名「EA9」、日本ポリケム社製)92.3部にジステアリルジメチル4級アンモニウム塩処理モンモリロナイト(商品名「ニューエスベンD」、豊順鉱業社製)7.7部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0134】
(比較例6)
ポリプロピレン樹脂の代わりに、ポリエチレン樹脂(商品名「HB530」、日本ポリケム社製)を用いたこと以外は比較例3と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0135】
(比較例7)
ポリプロピレン樹脂の代わりに、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(商品名「A4250」、日本ポリオレフィン社製)を用いたこと以外は比較例3と同様にして、評価用サンプルを作製した。
【0136】
実施例1〜実施例36、及び、比較例1〜比較例7で得られた評価用サンプルの性能((1)平均層間距離、(2)伸度、(3)燃焼残渣の状態及び降伏点応力、(4)最大発熱速度、(5)自己消火性)を以下の方法で評価した。結果を表1及び表2に示した。
【0137】
(1)平均層間距離:X線回折測定装置(商品名「RINT1100」、リガク社製)を用いて、評価用サンプル中の層状珪酸塩の積層面の回折より得られた回折ピークの2θを測定し、下記式「ブラックの回折式」により層状珪酸塩の(001)面間隔を算出した。
λ=2dsinθ(λ=1.54d:層状珪酸塩の面間隔、θ:回折角)
上記式より得られたdを平均層間距離とした。
【0138】
(2)伸度:温度20℃、湿度50%RHの雰囲気下で、JIS K 6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準拠して、評価用サンプルのダンベル状3号形試験片の破断時伸度を750%まで測定した。750%まで破断しなかった場合は750%以上と記載し、750%未満で破断した場合は破断時伸度を記載した。
【0139】
(3)燃焼残渣の状態及び降伏点応力:ASTM E 1354「建築材料の燃焼性試験方法」に準拠して、評価用サンプルの試験片(100mm×100mm×3mm厚)にコーンカロリーメーターで50kW/mの熱線を照射して燃焼させた。次いで、燃焼残渣の状態を目視で観察すると共に、強度測定装置を用いて、燃焼残渣を0.1cm/sで圧縮した時の降伏点応力を測定した。
〔判定基準〕
○‥‥降伏点応力4.9×10Pa以上
(◎‥‥降伏点応力1.5×10Pa以上)
【0140】
(4)最大発熱速度:(3)と同様に評価用サンプルの試験片(100mm×100mm×3mm厚)をコーンカロリーメーターで50kW/mの熱線を照射して燃焼させ、最大発熱速度(kW/m)を測定した。
〔判定基準〕
○‥‥最大発熱速度 800kW/m以下
×‥‥最大発熱速度 800kW/m
【0141】
(5)自己消火性:ASTM D 2863「酸素指数によるプラスチックの燃焼性標準試験方法」に準拠して、評価用サンプルの試験片(70mm×6mm×3mm厚)を自立させて燃焼試験を行い、下記の判定基準により自己消火性を評価した。なお、本試験においては、試験片が燃焼を維持するのに必要な酸素と窒素との混合気体中の最低酸素濃度(容量%)の数値を酸素指数と呼び、所定の酸素濃度で燃焼を行ったとき、3分間以上燃焼し続けたか、又は、3分間以内に50mm以上燃焼した場合を燃焼を維持できるとし、その時の酸素濃度を試験片の酸素指数とした。即ち、酸素指数以下の酸素濃度では自己消火することを意味する。
【0142】
【表1】
Figure 0003635567
【0143】
【表2】
Figure 0003635567
【0144】
*実施例5、8、9、12、14〜19、24、25、30、31、33については自己消火性が確認できた。
表1及び表2から明らかなように、実施例1〜実施例36の本発明のポリオレフィン系樹脂組成物からなる評価用サンプルは、いずれも燃焼時に層状珪酸塩により焼結体が形成され、燃焼残渣の形状が保持されていると共に、該燃焼残渣は0.1cm/sで圧縮した時に降伏点を有し、且つ、降伏点応力が4.9×10Pa以上であった。これにより燃焼後も形状崩壊が起こらず、自己消火性に優れ、延焼の起こらない優れた難燃性を有するものであった。また、破断時伸度も全て750%以上であり、柔軟性にも優れていた。
【0145】
これに対し、表2から明らかなように、層状珪酸塩を含有させなかった比較例1〜比較例3、及び、比較例6及び比較例7のポリオレフィン系樹脂組成物からなる評価用サンプルは、燃焼残渣が生成していないか又は燃焼残渣の形状が保持されていなかったので、自己消火性が悪く、難燃性が劣っていた。また、層状珪酸塩の平均層間距離が3nm未満であった比較例4のポリオレフィン系樹脂組成物からなる評価用サンプルは、自己消火性が悪く、難燃性が劣っていた。
【0146】
また、比較例5では、層間距離は3.5nmであるものの、5層以下に分散している層状珪酸塩が存在していないことが考えられ、難燃性に大きな影響を及ぼさなかった。燃焼被膜形成においても局所的な形成にとどまり、強度も保持できていなかった。
【0147】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成よりなるので、燃焼時に層状珪酸塩による焼結体が形成され、燃焼残渣の形状が保持される。これにより、燃焼後も形状崩壊が起こらず、形状保持性、自己消火性に優れ、延焼の起こらない、優れた難燃性を有し、更に、機械的強度にも優れ、透明性も保持されるポリオレフィン系樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂の弾性率やガスバリア性といった物性を著しく改良することができると共に、分子鎖の拘束による熱変形温度の上昇に基づく耐熱性や、無機結晶による核剤効果に基づく寸法安定性等の諸物性についても大幅な向上が可能となる。

Claims (18)

  1. ポリオレフィン系樹脂100重量部、層状珪酸塩0.1〜100重量部、及び、金属水酸化物20〜60重量部からなるポリオレフィン系樹脂組成物であって、
    50kW/mの加熱条件下で30分間加熱し燃焼することにより得られた燃焼残渣を0.1cm/sで圧縮したときの降伏点応力が4.9×10Pa以上である
    ことを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. 50kW/mの加熱条件下で30分間加熱し燃焼したときの最大発熱速度が800kW/m以下であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. ポリオレフィン系樹脂は、エチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、エチレン又はプロピレンとこれらと共重合可能なα−オレフィンとの共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、及び、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. 層状珪酸塩は、モンモリロナイト及び/又は膨潤性マイカであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  5. 層状珪酸塩は、結晶構造中に交換性陽イオンとして、金属イオンを含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  6. 金属イオンの一部又は全てがカチオン系界面活性剤で交換されていることを特徴とする請求項5記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  7. カチオン系界面活性剤は、4級アンモニウム塩構造を有する(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体、又は、4級アンモニウム塩構造を有する(メタ)アクリル系モノマーと他の(メタ)アクリル系モノマー及び/若しくはスチレン系モノマーとの共重合体であることを特徴とする請求項6記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  8. カチオン系界面活性剤は、炭素数6以上のアルキル基を有する4級アルキルホスホニウム塩であることを特徴とする請求項6記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  9. 層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、ポリオレフィン系樹脂組成物中で5層以下の状態で分散するものを含むことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  10. 層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が6nm以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  11. 更に、リン系化合物及びメラミン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を0.5〜100重量部含有することを特徴とする請求項1又は2記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  12. リン系化合物は、赤リン、ポリリン酸アンモニウム及び下記一般式(1)で表されるリン化合物からなる群より選択される少なくとも1種のリン系化合物であることを特徴とする請求項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
    (R)(OR)P=O (1)
    式中、R1及びRは、水素原子、炭素数1〜16のアルキル基又はアリール基を示し、Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜16のアルキル基、アルコキシル基、アリール基又はアリーロキシ基を示し、R、R及びRは、それぞれ同じであっても良いし、異なっていても良い。
  13. 更に、層状珪酸塩以外の珪酸塩化合物0.5〜20重量部を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  14. 更に、金属酸化物0.1〜10重量部を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  15. 更に、層状珪酸塩に対して反応性を示す官能基を有するセグメント(A)ブロックとポリオレフィン系樹脂に対して親和性を有するセグメント(B)ブロックとからなるAB型ブロック共重合体を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  16. 更に、芳香族系水酸基を有する化合物0.01〜30重量部を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  17. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16記載のポリオレフィン系樹脂組成物を用いてなり、電線被覆用又はシース用として使用されることを特徴とする熱可塑性樹脂。
  18. 請求項17記載の熱可塑性樹脂を用いてなることを特徴とする絶縁電線。
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