JP3632257B2 - 金型の加熱装置、加熱冷却装置及びその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金型の加熱装置、加熱冷却装置及びその方法に関するものであり、特に、射出成形前に金型の成形面を予め加熱して、射出成形品の品質の向上等を図ることができる装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、樹脂成形金型のキャビティ表面の温度を高くした状態で樹脂の射出を行うと、成形品の外観品質及び光学特性等が向上することが知られている。そして、従来のこの種の金型の加熱装置として、特公昭60−56604号公報、特開昭62−179912号公報、特開昭62−111832号公報、特開昭63−15707号公報、特開昭62−208918号公報、特開昭58−12714号公報、または特開昭58−211405号公報に掲載の技術を挙げることができる。例えば、特公昭60−56604号公報の技術は、高周波誘導加熱により、予めキャビティ表面温度を上げた状態で樹脂の射出を行う。なお、特開昭62−111832号公報及び特開昭63−15707号公報は、類似の技術を開示している。また、特開昭62−179912号公報の技術は、金型内の流路へ温水若しくは温油等の加熱媒体と冷却媒体とを交互に流通し、キャビティ温度を上下させる。なお、特開昭62−208918号公報、特開昭58−12714号公報及び特開昭58−211405号公報は、類似の技術を開示している。その他、この種の技術として、ジュール熱加熱により、または、金型に内蔵したヒータにより、金型のキャビティ表面を能動的に加熱したり、或るいは、SSI(スポットレスサーフェスインジェクション)成形法により、射出溶融樹脂によりキャビティ表面を受動的に加熱する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特公昭60−56604号公報の技術は、高周波誘導加熱を利用するため、高周波発振子等の高周波発生手段が必要となる等、設備コストが上昇する。また、一般的には、成形材料である樹脂の熱変形温度以上にキャビティ表面温度を上げる必要があるが、特開昭62−179912号公報の技術は、加熱媒体の温度が低く、加熱性能が不十分となる可能性がある。即ち、高周波誘導加熱、ジュール熱加熱、SSI成形法等の特殊な加熱方法は、加熱性能が高い反面、設備コストが増加し、また、保全性が低下するといった不具合がある。一方、金型に内蔵したヒータによる加熱、または、金型内部を流通する温水または温油による加熱等の一般的な加熱方法は、上記特殊な加熱方法と比較して、設備コストを低減でき、保全性も良好とすることができる反面、加熱性能の点で改善する余地がある。
【0004】
そこで、本発明は、良好な加熱性能を有し、かつ、設備コストを低減し、保全性を向上することができる金型の加熱装置及びその方法の提供を第1の課題とするものである。
【0005】
また、本発明は、良好な加熱冷却性能を有し、かつ、設備コストを低減し、保全性を向上することができる金型の加熱冷却装置及びその方法の提供を第2の課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかる金型の加熱冷却装置は、入子移動手段により、型締め時は、金型本体に入子の裏面を当接させると共に、型開き時には入子の裏面を金型本体から離脱して、入子の裏面と金型本体との間に所定空間を形成する。一方、外部加熱手段を、型締め時は入子と干渉しない位置に退避すると共に、型開き時には入子の成形面及び裏面のいずれかに対向する位置へ進出して熱伝達により前記成形面を直接的に、または、前記裏面を介して間接的に加熱する。更に、金型本体に設けた冷却手段を、型締め時に入子の裏面に当接し、裏面を介して前記成形面を冷却する。
【0007】
請求項2の発明にかかる金型の加熱冷却装置は、キャビティ入子移動手段により、型締め時は、金型本体にキャビティ入子の裏面を当接させ、型開き時にはキャビティ入子の裏面を金型本体から離脱して裏面と金型本体との間に所定空間を形成する。また、外部加熱手段を、型締め時はキャビティ入子と干渉しない位置に退避すると共に、型開き時にはキャビティ入子の裏面に当接する位置へ進出して熱伝導により前記裏面を介して前記キャビティ面を加熱する。更に、金型本体に設けた冷却手段を、型締め時にキャビティ入子の裏面に当接し、裏面を介して前記キャビティ面を冷却する。
【0008】
請求項3の発明にかかる金型の加熱装置は、キャビティ入子移動手段により、型締め時は、金型本体にキャビティ入子の裏面を当接させ、型開き時にはキャビティ入子の裏面を金型本体から離脱して裏面と金型本体との間に所定空間を形成する。また、第1の外部加熱手段を、型締め時はキャビティ入子と干渉しない位置に退避すると共に、型開き時にはキャビティ入子の裏面に当接する位置へ進出して熱伝導により前記裏面を介して前記キャビティ面を加熱する。一方、第2の外部加熱手段を、型締め時はキャビティ入子と干渉しない位置に退避すると共に、型開き時にはキャビティ入子のキャビティ面に所定間隙をおいて接近対向する位置へ進出して熱輻射により前記キャビティ面を加熱する。更に、金型本体に設けた冷却手段を、型締め時にキャビティ入子の裏面に当接し、裏面を介して前記キャビティ面を冷却する。
【0009】
請求項4の発明にかかる金型の加熱装置は、請求項3の発明において、第2の外部加熱手段を、キャビティ入子のキャビティ面を加工した放電加工電極により構成したものである。
【0010】
請求項5の発明にかかる金型の加熱装置は、請求項3の発明において、第2の外部加熱手段を、型開き時にキャビティ入子のキャビティ面に所定間隙をおいて接近対向する第1の加熱面と、第1の加熱面に延設され、型開き時にキャビティ入子のパーティング面に当接して熱伝導によりパーティング面を介してキャビティ面を加熱する第2の加熱面より構成したものである。
【0011】
請求項6の発明にかかる金型の加熱装置は、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の発明において、入子の少なくともキャビティ面に対応する部分の肉厚を0.5mm乃至15mmの範囲としたものである。
【0012】
請求項7の発明にかかる金型の加熱方法は、型開きに伴い、入子の裏面を金型本体から離脱して前記裏面と金型本体との間に所定空間を形成する。次に、熱源としての外部加熱手段を前記空間内へ進出し、入子の裏面に対向配置して熱伝達により前記裏面を介して前記成形面を加熱する。
【0013】
請求項8の発明にかかる金型の加熱冷却方法は、型開きに伴い、入子の裏面を金型本体から離脱して前記裏面と金型本体との間に所定空間を形成する。次に、熱源としての外部加熱手段を前記空間内へ進出し、入子の裏面に対向配置して熱伝達により前記裏面を介して前記成形面を加熱する。その後、型締めに伴い、外部加熱手段を前記空間から退避すると共に、入子の裏面に冷却手段を当接し、裏面を介して前記成形面を冷却する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は本発明の第一の実施形態の金型の加熱冷却装置による金型の冷却時を示す説明図である。図2は本発明の第一の実施形態の金型の加熱冷却装置による金型の加熱時を示す説明図である。図3は本発明の第一の実施形態の金型の加熱冷却装置の加熱手段による加熱状態を示す断面図である。図4は本発明の第一の実施形態の金型の加熱冷却装置の加熱手段を示す要部拡大断面図である。図5は本発明の第一の実施形態の金型の加熱冷却装置の冷却手段による冷却状態を示す断面図である。
【0016】
本実施形態の加熱冷却装置は射出成形金型に具体化されるものであるため、まず、射出成形金型の構造の概略について説明する。
【0017】
図1及び図2において、本実施形態の射出成形金型は、可動側ダイプレート11に可動側取付板12及びスペーサブロック13を介して可動主型14を取付けている。可動主型14の右側面には、右方へ突出する断面凸状のコア面14aが形成され、そのコア面14aにより成形空間Sの一部(内側面部)を構成している。また、前記スペーサブロック13内の空間には押出板15を介して押出ピン16が右方へ突出して固定されている。前記押出ピン16は、図1に示す型締め位置では、先端面を可動主型14のコア面14aと面一とする。また、図2に示す型開き位置で、駆動機構の駆動軸17により押出板15が右方に移動されて、押出ピン16の先端面が可動主型14のコア面14aから右方に突出し、冷却固化後の成形品の取出を容易にするようになっている。一方、固定側ダイプレート21には、固定側取付板22を介して固定背板23が固定されている。固定背板23の右側面の中央部には射出ノズル24導入用の導入凹部23aが形成されると共に、固定側取付板22及び固定側ダイプレート21の中央部には、前記導入凹部23aに連通する導入孔22a,21aがそれぞれ穿設されている。また、前記固定背板23の導入凹部23aの中心部にはスプルー23b及びランナー23cが穿設され、前記両導入孔21a,22a及び導入凹部23aを介して、射出ノズル24の先端をスプルー23bに装着するようになっている。なお、以上の構成は一般的な射出成形金型の構成と同様であるため、関連部分の詳細な説明は省略する。
【0018】
前記固定背板23は、左側面の中央部を左方に突出する断面凸状の冷却部23dとしている。前記固定背板23の冷却部23dより右側には複数の冷却孔23eが前後方向(図1及び図2中紙面と直交する方向)に延設され、冷却孔23eに冷却水等の冷却流体を流通することにより、冷却部23dの温度を低下するようになっている。前記固定背板23の左側面には、固定主型24が左右への移動自在に取付けられ、図示しない固定主型移動機構により、図1に示す型締め位置と図2に示す型開き位置との間で往復移動するようになっている。固定主型24の中央部には断熱板25を介してキャビティ入子26が嵌合固定されている。
【0019】
図3に示すように、キャビティ入子26は、成形空間Sの他部(外側面部)を形成するキャビティ面26aと、前記キャビティ面26aと反対側に位置する裏面26bとを有している。前記キャビティ入子26の左側面26dと前記固定主型24の左側面24a及び断熱板25の左側面25aとは面一とされ、パーティング面乃至パーティングラインPLを構成している。また、固定主型24の右側面24b及び断熱板25の右側面25bは面一とされると共に、前記断熱板25の中央には固定背板23の冷却部23dを密嵌する形状の収容孔25cが穿設され、断熱板25の右側面25b及びキャビティ入子26の裏面26b間に段差状の凹部が形成されている。そして、図5に示すように、型締め状態で、冷却部23dが前記収容孔25c内に密嵌され、冷却部23dがキャビティ入子26の裏面26bに密接すると共に、固定主型24の右側面24bが固定背板23の左側面23fに密接するようになっている。更に、型締め状態で、固定主型24、断熱板25及びキャビティ入子26の面一の左側面24a,25a,26dは、前記可動主型14の右側面と密接し、キャビティ入子26のキャビティ面26aと可動主型14のコア面14aとの間に断面略コ字状の成形空間Sが形成されるようになっている。なお、前記キャビティ入子26の中心部には、前記固定背板23のランナー23cに整合して連通するゲート26cが穿設されている。
【0020】
前記固定主型24、断熱板25及び図示しない固定主型移動機構により、キャビティ入子26を左右方向に往復移動するキャビティ入子移動手段が構成され、型締め時は、前記キャビティ入子26の裏面26bを金型本体としての固定背板23の左側面23fに当接させ、型開き時には、前記キャビティ入子26の裏面26bを固定背板23の左側面23fから離脱して前記裏面26bと固定背板23との間に所定間隔の空間を形成するようになっている。また、前記金型本体としての固定背板23に設けた冷却部23d及び冷却孔23eにより、型締め時に前記キャビティ入子26の裏面26bに当接し、前記裏面26bを介して前記キャビティ面26aを冷却する冷却手段が構成されている。なお、一般の射出成形金型と同様、固定主型24はガイドピン27を介して固定背板23に支持されると共に、固定主型24及び可動主型14はガイドピン27を介して左右に案内され正確な型締め位置に位置合わせされるようになっている。
【0021】
次に、本実施形態の外部加熱手段について説明する。
【0022】
本実施形態は、図3に示すように、外部加熱手段として、キャビティ面26aに対応する略四角ブロック状の第1及び第2の外部加熱手段31及び32を備えている。第1の外部加熱手段31は、第1の移動機構41により、型締め時は前記キャビティ入子26と干渉しない退避位置(図1の位置)に退避すると共に、型開き時には前記キャビティ入子26の裏面26bに密接する加熱位置(図2の位置)へ進出して熱伝導により前記裏面26bを介して前記キャビティ面26aを加熱するようになっている。なお、第1の外部加熱手段31の幅及び高さ(図中の前後寸法及び上下寸法)は、前記断熱板25の収容孔25cの幅及び高さよりそれぞれ所定値小さく設定され、第1の外部加熱手段31の前後及び上下の側面が断熱板25に当接して断熱板25を直接加熱することを防止している。第1の外部加熱手段31の寸法は、少なくとも、キャビティ面26aに対応する裏面26b部分の略全体を加熱できるよう設定し、断熱板25の収容孔25cの寸法もこれに対応して設定する。
【0023】
ここで、前記キャビティ入子26の肉厚は、裏面26b側からの熱伝導を良好とするため、少なくともキャビティ面26aに対応する部分の肉厚を15mm以下に設定することが好ましい。特に、第1の外部加熱手段31が当接する部分のキャビティ入子26の肉厚をかかる範囲に設定することがより好ましい。なお、かかる肉厚を15mmを超える値とした場合、熱電導効率が低下し、キャビテイ入子26の裏面26b側からキャビティ面26a側への熱伝達時間が長くなる可能性がある。一方、かかる肉厚は、キャビティ入子26を切削により加工する場合、0.5mm以上とすることが好ましい。かかる肉厚を0.5mm未満とした場合、キャビティ入子26の切削加工が困難となったり、加工作業性が低下する可能性がある。なお、切削以外の加工方法によりキャビティ入子26をより薄肉に加工できる場合、その下限値を例えば0.2mm程度としてもよい。しかし、下限値を0.2mm未満とした場合、キャビティ入子26が加熱時に熱変形したり、樹脂の射出圧により破損する可能性がある。
【0024】
前記第2の外部加熱手段32は、第2の移動機構42により、型締め時は前記キャビティ入子26と干渉しない退避位置(図1の位置)に退避すると共に、型開き時には前記キャビティ入子26のキャビティ面26aに所定間隙d1,d2,d3をおいて接近対向する加熱位置(図2の位置)へ進出して熱輻射により前記キャビティ面26aを加熱するようになっている。なお、第2の外部加熱手段32の幅及び高さ(図中の前後寸法及び上下寸法)は、キャビティ入子26のキャビティ面26aの幅及び高さよりそれぞれ所定値小さく設定され、第2の外部加熱手段32の前後及び上下の側面がキャビティ入子26に当接してキャビティ入子26を直接加熱することを防止している。前記第2の外部加熱手段32とキャビティ面26aとの間隙d1,d2,d3は、熱輻射効率を高めるべくできるだけ小さくすることが望ましく、好ましくは約0.2mmとする。なお、かかる間隙を0.2mm未満とした場合、第2の外部加熱手段32とキャビテイ面26aとの間に一定間隙を確保するのが困難となる可能性があり、第2の外部加熱手段32がキャビティ面26aに接触して傷付きの原因となる等の可能性がある。
【0025】
次に、第1及び第2の外部加熱手段31,32の構成の詳細について説明する。なお、第1の外部加熱手段も第2の外部加熱手段と同様の構成であるため、ここでは対応部分に対応する符号を付して重複した説明を省略する。
【0026】
第1及び第2の外部加熱手段31,32は、図4に示すように、平板状の支持板31a,32a上に平板状の熱源31b,32bを介して同じく平板状の熱板31c,32cを載置した三層構造の四角ブロック状をなしている。前記支持板31a,32aは、第1または第2の移動機構41,42側に位置し、前記第1または第2の移動機構41,42への熱伝達による影響を防止すべく、好ましくは、熱絶縁材料により形成する。また、前記熱源31b,32bは、熱板31c,32cを射出樹脂の溶融温度に対応して所望温度、例えば350℃付近まで一定時間内に加熱できるものであればよく、熱伝導率の良好な金属に公知の電気ヒータを内蔵したり、または、温油等の加熱流体を流通するようにしてもよい。更に、前記熱板31c,32cは、銅板等、熱伝導率の良好な金属より形成する。本実施形態では、第2の外部加熱手段32の熱板32cとしては、キャビティ入子26のキャビティ面26aを加工した放電加工電極を使用し、熱板32cとキャビティ面26aとの間隙d1,d2,d3を容易に一定値に維持するようにしている。なお、前記第1及び第2の移動機構41,42としては、油圧シリンダを二次元的乃至三次元的に組み合わせたもの等、公知の種々の二次元的乃至三次元的移動機構を採用することができる。
【0027】
次に、上記のように構成された本実施形態の金型の加熱冷却装置による金型の加熱冷却方法を使用した射出成形動作について説明する。なお、この射出成形動作は、CPU、ROM、RAM等からなる制御手段を使用して、ROMに予め記憶された制御プログラムに従って実施される。図6は本発明の第一の実施形態の金型の加熱冷却方法を示す工程図である。
【0028】
まず、空間形成工程としての型開き工程において、射出成形機の型締装置(図示略)を駆動して、可動側ダイプレート11、可動側取付板12及びスペーサブロック13を介して可動主型14を左方に移動し、図2の型開き位置として、固定主型24及び固定背板23との間に十分な間隔を設ける。また、これと共に、固定主型24を固定主型移動機構により左方へ移動し、キャビティ入子26の裏面26bを固定背板23から離間し、可動主型14と固定背板23との間の略中間位置に配置する。これにより、図2に示すように、固定背板23とキャビティ入子26の裏面26bとの間、及び、キャビティ入子26のキャビティ面26aと可動主型14との間に、それぞれ、所定間隔の空間が形成される。
【0029】
次に、熱板接近工程において、第1の移動機構41を駆動して、熱源31bを有する第1の外部加熱手段31を固定背板23と固定主型24との間の空間内に進出し、熱板31cをキャビティ入子26の裏面26bに対向配置する。これと同時に、第2の移動機構42を駆動して、熱源32bを有する第2の外部加熱手段32を固定主型24と可動主型14との間の空間に進出し、熱板32cをキャビティ入子26のキャビティ面26aに対向配置する。
【0030】
そして、図2及び図3に示すように、加熱工程において、第1及び第2の移動機構41,42により、第1の外部加熱手段31の熱板31cをキャビティ入子26の裏面26bに密接すると共に、第2の外部加熱手段32の熱板32cをキャビティ面26aに所定間隙d1,d2,d3を置いて接近配置する。すると、第1の外部加熱手段31の熱板31cが、キャビティ入子26の裏面26bを熱伝導により加熱し、裏面26b側から成形面としてのキャビティ面26aを間接的に加熱することになる。同時に、第2の外部加熱手段32の熱板32cが、キャビティ入子26のキャビティ面26aを熱輻射により直接加熱する。なお、この加熱工程における加熱時間は、加熱対象たるキャビティ入子26のキャビティ面26a対応部分の肉厚、射出樹脂の種類に応じたキャビティ面26aの目標加熱値、熱板31c,32cの加熱温度等に応じて適宜変更される。例えば、ABS樹脂を射出し、キャビティ入子26のキャビティ面26a対応部分の肉厚を10mmとし、キャビティ面26aの目標温度を130℃とする場合において、熱板31c,32cの加熱温度を約350℃とする場合、加熱時間は約30秒乃至40秒とする。また、かかる条件でキャビティ入子26のキャビティ面26a対応部分の肉厚を5mmに変更した場合、20秒以下の加熱時間でキャビティ面26aを上記温度と同等温度とすることができ、また、この場合、加熱時間を1分とすると、キャビティ面26a温度を約200℃とすることができる。このとき、断熱板25がキャビティ入子26の放熱を防止している。また、第2の外部加熱手段32の熱板32cを放電加工電極により構成したため、キャビティ面26aとの隙間を0.2mmという、極めて小さく、かつ、均一な間隔とすることができ、熱輻射を効率良く行うことができると共に、当接による傷付き等を防止することができる。更に、キャビティ入子26を可能な限り薄肉としたため、裏面26b側からの熱伝導を効率良く行える。なお、前記キャビティ面26a温度自体は、通常の金型温度調整技術と同様、樹脂の種類、加熱変形温度等に応じて決定される。
【0031】
その後、熱板離間工程において、第1の移動機構41により、第1の外部加熱手段31の熱板31cをキャビティ入子26の裏面26bに当接する位置から離間し、キャビティ入子26と固定背板24との間の空間から図1の退避位置に退避する。同時に、第2の移動機構42により、第2の外部加熱手段32の熱板32cをキャビティ入子26のキャビティ面26aに接近する位置から離間し、前記キャビティ入子26と可動主型14との間の空間から図1の退避位置に退避する。
【0032】
かかる後、型締め工程において、固定主型移動機構を駆動して、固定主型24を固定背板23に型締めすると共に、型締装置を駆動して、可動側ダイプレート11、可動側取付板12及びスペーサブロック13を介して、可動主型14を固定主型24及び固定背板23に対し型締めする。すると、可動主型14とキャビティ入子26が、パーティング面にて型締めされ、コア面14a及びキャビティ面26a間に成形品形状と同一形状の成形空間Sが形成されると共に、固定背板23のスプルー23b及びランナー23cが、キャビティ入子26のゲート26cに連通する。同時に、キャビティ入子26の裏面26bに固定背板23の冷却部23dが密接する。この状態で、射出ノズル24先端をスプルー23bに圧接することにより、射出ノズル24からスプルー23b、ランナ23c及びゲート26cを介して、前記成形空間S内に溶融樹脂を射出注入可能となる。
【0033】
そして、射出冷却工程の射出工程で、射出装置(図示略)から射出ノズル24を介してスプルー23bに溶融樹脂を射出注入し、ランナ23cを介してゲート26cからキャビティ面26a及びコア面14a間に形成される成形空間S内に溶融樹脂を充填する。このとき、キャビティ面26aが所望温度に加熱されているため、キャビティ面26aに接する溶融樹脂は、確実に加熱変形温度(例えば、ABS樹脂の場合160℃乃至170℃)を維持し、フローマーク、シルバーストリーク(銀条痕)等の発生を確実に防止することができる。また、射出時点で、キャビティ入子26の裏面26bに固定背板23の冷却部23dが密接しているため、固定背板23の冷却孔23eに大量の冷却水等、冷却流体を供給及び流通することにより、冷却手段としての冷却部23dによりキャビティ入子26の裏面26bを瞬時に冷却し、熱伝導によりキャビティ面26aを急速に冷却することができ、溶融樹脂の冷却固化を十分に促進することができる。このとき、キャビティ入子26を可能な限り薄肉としたため、冷却効率を向上することができる。これにより、射出樹脂が加熱変形温度以下となって迅速に冷却固化し、成形空間Sに対応する所定形状の成形品が迅速に成形される。なお、上記溶融樹脂の射出から冷却固化までの間における前記キャビティ面26aの温度勾配は、キャビティ面26aの初期設定加熱温度及び冷却部23dの設定冷却温度により適宜調整可能である。
【0034】
その後、図3に示す型開き工程で、型締め装置を駆動して、可動主型14を固定主型24から離間して型開きする。これにより、コア面14aとキャビティ面26aとが型開きされて、成形品がキャビティ面26aから離型してコア面14a上に残る。その後、製品取出工程で、押出駆動手段(図示略)を駆動し、押出ピン16をコア面14aから突出して、成形品をコア面14aから押出して離脱し、製品の取出を行う。
【0035】
以後、上記一連の工程を繰返し、所望形状の樹脂成形品を連続して得ることができる。
【0036】
このように、上記実施形態の金型の加熱冷却装置は、成形空間Sの一部を形成するキャビティ面26a及び前記キャビティ面26aと反対側に位置する裏面26bを有するキャビティ入子26に接続され、型締め時は金型本体としての固定背板23に前記キャビティ入子26の裏面26bを当接させ、型開き時には前記キャビティ入子26の裏面26bを前記固定背板23から離脱して前記裏面26bと固定背板23との間に所定空間を形成するキャビティ入子移動手段24としての固定主型24、断熱板25及び固定主型移動機構と、第1の移動機構41により、型締め時は前記キャビティ入子26と干渉しない位置に退避すると共に、型開き時には前記キャビティ入子26の裏面26bに当接する位置へ進出して、熱板31cからの熱伝導により前記裏面26bを介して前記キャビティ面26aを加熱する第1の外部加熱手段31と、第2の移動機構42により、型締め時は前記キャビティ入子26と干渉しない位置に退避すると共に、型開き時には前記キャビティ入子26のキャビティ面26aに所定間隙をおいて接近対向する位置へ進出して、熱板32cからの熱輻射により前記キャビティ面26を加熱する熱板32cを有する第2の外部加熱手段32と、前記固定背板23に設けられ、型締め時に前記キャビティ入子26の裏面26bに当接し、裏面26bを介してキャビティ面26aを冷却する冷却手段としての冷却部23d及び冷却孔23eを具備する。
【0037】
したがって、上記実施形態は、金型の加熱時には、冷却部23dがキャビティ入子26から離間され、キャビティ入子26を冷却することはないため、第1及び第2の外部加熱手段31,32によるキャビティ入子26の加熱を効率よく、かつ、迅速に行うことができる。また、金型の冷却時には、第1及び第2の外部加熱手段31,32をキャビティ入子26から退避し、キャビティ入子26を加熱することはないため、冷却部23dによるキャビティ入子26の冷却を効率よく、かつ、迅速に行うことができ、樹脂の冷却固化速度を増加することができる。その結果、加熱性能及び冷却性能をそれぞれ向上することができ、金型の加熱後の樹脂射出から、金型の冷却に伴う樹脂の固化及び取出し迄の成形サイクルを大幅に短縮することができる。また、第1及び第2の外部加熱手段31,32と冷却部23dとを、熱的に分離した形で独立して動作するため、射出樹脂の種類等に応じて、キャビティ面26a温度の最適熱勾配を容易かつ迅速に得ることができ、製品品質を向上することができる。即ち、従来のように、金型に内蔵したヒータまたは温水、温油等の加熱源による加熱の場合、加熱源自体の温度が下がりにくく、冷却時の熱応答性が十分とはいえなかったが、本実施形態は、加熱源としての第1及び第2の外部加熱手段31,32を金型から空間的に離れた位置に退避するため、被加熱源である金型絡み他場合の熱応答性を大きくすることができる。そして、樹脂材料重点開始時の金型温度を高くすることにより、成形品の外観を良好とし、かつ、型締め直後から開始する冷却部23dによる除熱作用によって金型温度を下げることにより、成形品の取出までに必要な成形サイクルを短縮することができる。換言すれば、本実施形態装置は、金型温度の大幅な変化を可能とすることで、高品質の成形品を高い成形サイクルで生産することができる。
【0038】
そして、加熱手段としては金型内蔵タイプのものでなく、第1及び第2の外部加熱手段31,32といった金型外部に配置するタイプのものを使用する一方、その熱源31b,32b自体としては、電熱ヒータ等、比較的簡単な構成の公知の熱源を用いることができるため、高周波誘導加熱またはSSI成形のような高価乃至複雑な構成を用いる場合と比較して、設備コストを大幅に低減することができると共に、その保守等も容易で、保全性を向上することができる。更に、第2の外部加熱手段32が成形品の表面品質を決定するキャビティ面26aに直接当接しないため、その傷付き及び加熱酸化による金属焼け等の品質劣化を防止することができ、製品自体の品質を良好に維持することができる。
【0039】
また、キャビティ入子26の肉厚を、少なくともキャビティ面26a対応部分で約0.5mm〜15mmの範囲とすることにより、キャビティ入子26の裏面26b側からのキャビティ面26aの加熱をより効率よく迅速に行うことができ、キャビティ面26aの温度上昇を一層増加することができる。そして、第2の外部加熱手段32の熱板32cとキャビティ面26aとの間隙d1,d2,d3を約0.2mmと小さくすることにより、第2の外部加熱手段32からの熱輻射による加熱効率を高めることができる。その結果、キャビティ面26aの加熱時間をより一層短縮化して、全体の成形サイクルを一層短くすることができる。更に、第1の外部加熱手段31の熱板31cは、成形品の品質に影響を及ぼさないキャビテイ入子26の裏面26bに直接密接するため、成形品の品質を良好に維持する一方、キャビティ面26aの加熱を一層効率よく行うことができる。
【0040】
また、キャビティ入子26を断熱板25を介して固定主型24に取付けたため、断熱板25によりキャビティ入子26に蓄えた熱の放散を防止することができる。更に、第1及び第2の外部加熱手段31,32の支持板31a,32aを熱絶縁材料により構成することにより、第1及び第2の外部加熱手段31,32からの熱放散を有効に防止することができると共に、第1及び第2の移動機構41,42への熱伝導による影響を防止することができる。
【0041】
次に、本発明による第二の実施形態を以下に説明する。なお、本実施形態においては上記第一の実施形態との相違点のみを説明し、上記第一の実施形態と同一の構成については図面に同一符号を付してその説明を省略する。
【0042】
図7は本発明の第二の実施形態の金型の加熱冷却装置の加熱手段による加熱状態を示す断面図である。
【0043】
本実施形態は、第2の外部加熱手段51の熱板対応部分の形状を第一の実施形態と相違させたものであり、その他の構成は第一の実施形態と同様である。即ち、第2の外部加熱手段51の少なくとも熱板対応部分は、型開き時に前記キャビティ入子26のキャビティ面26aに所定間隙をおいて接近対向する第1の加熱面51aと、前記第1の加熱面51aに延設され、型開き時に前記キャビティ入子26の左側面26dからなるパーティング面に当接して熱伝導により前記パーティング面を介して前記キャビティ面26aを加熱する第2の加熱面51bを有する。前記第1の加熱面51aは第一の実施形態の第2の外部加熱手段32の熱板32cと同様、キャビティ面26aとの間に所定の小さな間隙を置いて、熱輻射によりキャビティ面26aを加熱する。
【0044】
本実施形態は、第一の実施形態と同様の作用及び効果に加え、第2の外部加熱手段51によるキャビティ面26a側からのキャビティ面26aの加熱をより一層効率よくかつ短時間で行うことができるという効果を奏する。
【0045】
ところで、上記各実施形態は、金型の加熱冷却装置及びその方法に具体化して説明したが、本発明を実施する場合には、少なくともキャビティ入子移動手段及び第1または第2の外部加熱手段31,32,51からなる金型の加熱装置に具体化してもよい。更に、金型として、射出成形金型以外にも、キャビティ面の予備加熱が有効と考えられるものに具体化してもよい。
【0046】
また、上記各実施形態のように、第1または第2の外部加熱手段31,32を支持板31a,32a、熱源31b,32b及び熱板31c,32cの三層構造とすることなく、熱源を内蔵した一層構造とする等、他の構成としてもよい。なお、この場合、第二の実施形態の第2の外部加熱手段51は、少なくとも熱板部分を前記第1及び第2の加熱面51a,51bより構成する。
【0047】
そして、上記各実施形態は、第2の外部加熱手段32,51とキャビティ面26aとの間に所定間隙d1,d2,d3を設けたが、熱板32cを銅板等、キャビティ入子26より硬度の低い材料にて形成した場合、第2の外部加熱手段32,51をキャビティ面26aに当接し、直接熱伝導により加熱することも可能である。しかし、キャビティ面26aにシボ模様を設けるタイプの金型の場合、やはり第2の外部加熱手段32,51とキャビティ面26aとの間に所定の間隙を設ける必要がある。
【0048】
更に、この装置及び方法は、成形空間Sを形成するコア面14a及びキャビティ面26aの少なくとも一方の成形面を、冷却手段と熱的に分離した状態で、外部加熱手段により射出前に予備加熱するものであればよく、例えば、コア面をコア入子に設け、キャビティ面ではなくコア入子のコア面及び裏面の少なくとも一方を外部加熱手段により加熱してもよい。この場合、外部加熱手段の熱板の形状は、コア入子のコア面形状及び裏面形状にそれぞれ対応させる。また、上記各実施形態とは逆に、コア面を可動主型側ではなく固定主型側に設け、キャビティ面を可動主型側に設けてもよい。そして、冷却手段も上記実施形態のものに限定することなく、他の冷却手段も採用することができる。
【0049】
なお、本明細書中において、「金型本体」とは、キャビティ入子26またはコア入子に隣接して、これらに当接する金型部分をいい、上記実施形態では、固定背板23をいう。また、コア面をコア入子に設けてコア入子を加熱する場合、コア入子が隣接する可動背板が金型本体となる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明にかかる金型の加熱装置は、入子の裏面を、冷却手段を設けた金型本体から空間的に分離し、熱的にほぼ絶縁した状態で、外部加熱手段により入子の成形面の加熱を行うことができるため、加熱効率が向上する。また、成形面の加熱を裏面側から行うため、成形面の傷付き、加熱酸化による金属焼け等のおそれを防止することができる。更に、入子の冷却時には、外部加熱手段が金型本体から空間的に分離し、熱的にほぼ絶縁した状態で、入子の成形面の冷却を行うことができるため、冷却効率が向上する。その結果、金型温度の大幅な変化が可能となり、高品質の成形品を短い成形サイクルで生産することができる。
【0051】
請求項2の発明にかかる金型の加熱冷却装置は、キャビティ入子の裏面を、冷却手段を設けた金型本体から空間的に分離し、熱的にほぼ絶縁した状態で、外部加熱手段によりキャビティ入子の成形面の加熱を行うことができるため、加熱効率が向上する。また、成形面の加熱を裏面側から行うため、成形面の傷付き、加熱酸化による金属焼け等のおそれを防止することができる。更に、キャビティ入子の冷却時には、外部加熱手段が金型本体から空間的に分離し、熱的にほぼ絶縁した状態で、キャビティ入子の成形面の冷却を行うことができるため、冷却効率が向上する。その結果、金型温度の大幅な変化が可能となり、高品質の成形品を短い成形サイクルで生産することができる。
【0052】
請求項3の発明にかかる金型の加熱冷却装置は、キャビティ入子の裏面を、冷却手段を設けた金型本体から空間的に分離し、熱的にほぼ絶縁した状態で、第1及び第2の外部加熱手段によりキャビティ入子の成形面の加熱を行うことができるため、加熱効率が向上する。また、第1の外部加熱手段を直接キャビティ入子の裏面に当接して熱伝導により成形面を間接的に加熱するため、成形面の傷付き、加熱酸化による金属焼け等のおそれを防止し、かつ、加熱効率を一層高めることができる。一方、第2の外部加熱手段はキャビティ面を熱輻射により直接加熱するため、成形面の傷付き、加熱酸化による金属焼け等のおそれを防止し、かつ、加熱効率を一層高めることができる。更に、キャビティ入子の冷却時には、第1及び第2の外部加熱手段が金型本体から空間的に分離し、熱的にほぼ絶縁した状態で、キャビティ入子の成形面の冷却を行うことができるため、冷却効率が向上する。その結果、金型温度の大幅な変化が可能となり、高品質の成形品を短い成形サイクルで生産することができる。
【0053】
請求項4の発明にかかる金型の加熱冷却装置は、請求項3の発明に加え、第2の外部加熱手段をキャビティ面形状に対応させるために通常行う特別な加工が不要となり、部品コストを低減できると共に、第2の外部加熱手段とキャビティ面との間の所定間隙を容易に、かつ、精度良く設けることができる。
【0054】
請求項5の発明にかかる金型の加熱冷却装置は、請求項3の発明に加え、第2の外部加熱手段の第2の加熱面が、キャビティ入子のパーティング面に直接当接して、熱伝導により直近に位置するキャビティ面を効率良く加熱する。また、第1の加熱面は、熱輻射によりキャビティ面を効率良く加熱する。その結果、成形サイクルを一層短縮化することができる。
【0055】
請求項6の発明にかかる金型の加熱冷却装置は、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の発明に加え、キャビティ入子の肉厚が十分小さいため、第1の外部加熱手段によるキャビティ入子の裏面側からの熱伝導加熱をより効率良く行うことができる。
【0056】
請求項7の発明にかかる金型の加熱方法は、入子の裏面を、金型本体から空間的に分離し、熱的にほぼ絶縁した状態で、前記外部加熱手段により入子の成形面の加熱を行うことができるため、加熱効率が向上する。その結果、金型温度の大幅な変化が可能となり、高品質の成形品を短い成形サイクルで生産することができる。
【0057】
請求項8の発明にかかる金型の加熱冷却方法は、入子の裏面を、冷却手段を設けた金型本体から空間的に分離し、熱的にほぼ絶縁した状態で、外部加熱手段により入子の成形面の加熱を行うことができるため、加熱効率が向上する。また、成形面の加熱を裏面側から行うため、成形面の傷付き、加熱酸化による金属焼け等のおそれを防止することができる。更に、入子の冷却時には、前記外部加熱手段が金型本体から空間的に分離し、熱的にほぼ絶縁した状態で、入子の成形面の冷却を行うことができるため、冷却効率が向上する。その結果、金型温度の大幅な変化が可能となり、高品質の成形品を短い成形サイクルで生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第一の実施形態の金型の加熱冷却装置による金型の冷却時を示す説明図である。
【図2】図2は本発明の第一の実施形態の金型の加熱冷却装置による金型の加熱時を示す説明図である。
【図3】図3は本発明の第一の実施形態の金型の加熱冷却装置の加熱手段による加熱状態を示す断面図である。
【図4】図4は本発明の第一の実施形態の金型の加熱冷却装置の加熱手段を示す要部拡大断面図である。
【図5】図5は本発明の第一の実施形態の金型の加熱冷却装置の冷却手段による冷却状態を示す断面図である。
【図6】図6は本発明の第一の実施形態の金型の加熱冷却方法を示す工程図である。
【図7】図7は本発明の第二の実施形態の金型の加熱冷却装置の加熱手段による加熱状態を示す断面図である。
【符号の説明】
14a コア面(成形面)
23 固定背板(金型本体)
23d 冷却部(冷却手段)
23e 冷却孔(冷却手段)
24 固定主型(入子移動手段、キャビティ入子移動手段)
25 断熱板(入子移動手段、キャビティ入子移動手段)
26 キャビティ入子(入子)
26a キャビティ面(成形面)
31 第1の外部加熱手段(外部加熱手段)
32 第2の外部加熱手段(外部加熱手段)
51 第2の外部加熱手段(外部加熱手段)
51a 第1の加熱面
51b 第2の加熱面
S 成形空間
Claims (8)
- 成形空間を形成する成形面及び前記成形面と反対側に位置する裏面を有する入子に接続され、型締め時は金型本体に前記入子の裏面を当接させ、型開き時には前記入子の裏面を前記金型本体から離脱して前記裏面と金型本体との間に所定空間を形成する入子移動手段と、
型締め時は前記入子と干渉しない位置に退避すると共に、型開き時には前記入子の裏面に対向する位置へ進出して熱伝達により前記裏面を介して前記成形面を加熱する外部加熱手段と、
前記金型本体に設けられ、型締め時に前記入子の裏面に当接し、前記裏面を介して前記成形面を冷却する冷却手段と
を具備することを特徴とする金型の加熱冷却装置。 - 成形空間の一部を形成するキャビティ面及び前記キャビティ面と反対側に位置する裏面を有するキャビティ入子に接続され、型締め時は金型本体に前記キャビティ入子の裏面を当接させ、型開き時には前記キャビティ入子の裏面を前記金型本体から離脱して前記裏面と金型本体との間に所定空間を形成するキャビティ入子移動手段と、
型締め時は前記キャビティ入子と干渉しない位置に退避すると共に、型開き時には前記キャビティ入子の裏面に当接する位置へ進出して熱伝導により前記裏面を介して前記キャビティ面を加熱する外部加熱手段と、
前記金型本体に設けられ、型締め時に前記キャビティ入子の裏面に当接し、前記裏面を介して前記キャビティ面を冷却する冷却手段と
を具備することを特徴とする金型の加熱冷却装置。 - 成形空間の一部を形成するキャビティ面及び前記キャビティ面と反対側に位置する裏面を有するキャビティ入子に接続され、型締め時は金型本体に前記キャビティ入子の裏面を当接させ、型開き時には前記キャビティ入子の裏面を前記金型本体から離脱して前記裏面と金型本体との間に所定空間を形成するキャビティ入子移動手段と、
型締め時は前記キャビティ入子と干渉しない位置に退避すると共に、型開き時には前記キャビティ入子の裏面に当接する位置へ進出して熱伝導により前記裏面を介して前記キャビティ面を加熱する第1の外部加熱手段と、
型締め時は前記キャビティ入子と干渉しない位置に退避すると共に、型開き時には前記キャビティ入子のキャビティ面に所定間隙をおいて接近対向する位置へ進出して熱輻射により前記キャビティ面を加熱する第2の外部加熱手段と、
前記金型本体に設けられ、型締め時に前記キャビティ入子の裏面に当接し、前記裏面を介して前記キャビティ面を冷却する冷却手段と
を具備することを特徴とする金型の加熱冷却装置。 - 前記第2の外部加熱手段は、前記キャビティ入子のキャビティ面を加工した放電加工電極により構成したことを特徴とする請求項3記載の金型の加熱冷却装置。
- 前記第2の外部加熱手段は、型開き時に前記キャビティ入子のキャビティ面に所定間隙をおいて接近対向する第1の加熱面と、前記第1の加熱面に延設され、型開き時に前記キャビティ入子のパーティング面に当接して熱伝導により前記パーティング面を介して前記キャビティ面を加熱する第2の加熱面を有することを特徴とする請求項3記載の金型の加熱冷却装置。
- 前記入子の少なくともキャビティ面に対応する部分の肉厚を0.5mm乃至15mmの範囲としたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の金型の加熱冷却装置。
- 成形空間を形成する成形面及び前記成形面と反対側に位置する裏面を有する入子を射出成形前に加熱する金型の加熱方法において、
型開きに伴い、前記入子の裏面を前記金型本体から離間して前記裏面と金型本体との間に所定空間を形成する空間形成工程と、
熱源を有する外部加熱手段を前記空間内へ進出し、前記入子の裏面に対向配置して熱伝達により前記裏面を介して前記成形面を加熱する加熱工程と
を具備することを特徴とする金型の加熱方法。 - 成形空間を形成する成形面及び前記成形面と反対側に位置する裏面を有する入子を射出成形前に加熱する金型の加熱方法において、
型開きに伴い、前記入子の裏面を前記金型本体から離間して前記裏面と金型本体との間に所定空間を形成する空間形成工程と、
熱源を有する外部加熱手段を前記空間内へ進出し、前記入子の裏面に対向配置して熱伝達により前記裏面を介して前記成形面を加熱する加熱工程と、
型締めに伴い、前記外部加熱手段を前記空間から退避し、前記入子の裏面に冷却手段を当接し、前記裏面を介して前記成形面を冷却する冷却工程と
を具備することを特徴とする金型の加熱方法。
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