JP3601632B2 - 木綿繊維含有繊維製品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
シャツ、スラックス、ブラウス等の衣料用及び帽子、ハンカチ等繊維雑貨品として、好適なセルロース系繊維含有繊維製品に関するものであり、さらに詳しくは、製品の強力低下をおさえ、しかも防縮性、W&W(ウォッシュアンドウェア)性、プリーツ性及びパッカリング性、保型性を向上させた木綿繊維含有繊維製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セルロース系繊維のしわになり易い、収縮し易い等の欠点の改善は、永久的課題であり、縫製品においては、特に従来よりセルロース系繊維含有繊維製品のくり返し洗濯による生地と縫い糸又は生地部位間の伸縮性の差により生ずるパッカリング現象(ひきつれ現象)や製品形状での保型性の改善が強く望まれている。この問題点を改善しようとして、製品状態でのホルマリンによる気相反応を利用する試みがあるが、セルロース繊維が著しい強力低下をきたすという、新たな問題がクローズアップされ、解決が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は良好な風合いを有し、防しわ性に優れ、かつ繰り返し洗濯後のパッカリング性、W&W性、防縮性、保型性に優れ、同時に気相ホルマリン処理による強力低下を極力おさえた木綿繊維含有繊維製品を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、水中解撚処理等でコンボリューションを除いた木綿繊維の強力がコンボリューションを除く前よりも高くなることに着目し、集合体としての木綿織物中の単繊維のコンボリューションをいかにして除くかについて検討を重ねてきた。その結果、木綿繊維中の微細構造を変化させ、木綿単繊維のコンボリューションを特定数以下に減らすことによって、木綿繊維の歪みを緩和し、ひいては架橋改質した木綿繊維製品の強力低下を抑えることに有効であることを見いだした。
【0005】
すなわち、木綿を含む繊維構造物を化3又は化4で示される環状尿素化合物類を付与した後、架橋改質した繊維製品であり、繊維構造物を構成する木綿単繊維のセルロースI型の結晶構造が全結晶中50重量%未満であり、かつ、木綿単繊維のX線配向角が40゜以下であり、木綿単繊維の結合ホルマリン量が0.6重量%以上である木綿繊維含有繊維製品。
【0006】
【化3】
【0007】
【化4】
【0008】
(R 0 はH,炭素数1〜4のアルキル基又は置換したアルキル基のいずれかであり、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 およびR 6 は同種または異なる基であり、それぞれH、OH、COOR、R、ORまたはCOORのいずれかの基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基または置換アルキル基のいずれかを表し、XはC、OまたはNで、XがOの場合、R 3 とR 4 は各々存在せず、XがNの場合、R 3 あるいはR 4 が存在しない。)
【0009】
好適な実施態様としては、架橋改質する改質法が気相ホルマリン加工法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における木綿繊維含有繊維構造物とは木綿100%はもちろんのこと、他の繊維、例えば麻、亜麻、パルプ、バクテリアセルロース繊維等の天然セルロース繊維、絹、羊毛等の天然タンパク繊維、ビスコース法レーヨン(ポリノジックを含む)、銅アンモニア法レーヨン、溶剤紡糸法レーヨン等の再生セルロース繊維、アセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維との混繊、混紡、交織、交撚等で混用して得られる紡績糸、織物、編物、不織布等のことである。これら上述の構造物が晒し、反応性染料・バット染料等による先染め、反染、プリント品であってもさしつかえない。他の繊維と混用する場合、本発明の効果をよく発揮させるためには、木綿繊維の含有率は20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、さらに好ましくは50重量%以上である。
【0011】
また、本発明で言う繊維製品とは、前記の木綿繊維や混用繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたシャツ、スラックス、ブラウス、帽子、ハンカチ等の製品を意味する。
【0012】
本発明で言う結晶構造のセルロースI型とは、X線回析法により求められるものであり、P.H.Hermans & A.Weidinger:J.Appl.phys.,19 ,491−506(1948)およびB.G.Ranby:Acta Chem.Scacd.,6,116−127(1952)に記載された方法によって求められるものである。
【0013】
本発明における木綿繊維中のセルロースI型は全結晶中50重量%未満である。好ましくは40重量%未満であり、更に好ましくは30重量%未満である。50重量%以上であると、ホルムアルデヒド及び架橋長制御剤とセルロースの架橋が不均一となり、強度低下が著しく好ましくない。
【0014】
本発明は段落番号0040に記載した方法によって測定した木綿単繊維のX線配向角は40゜以下であり、好ましくは35゜以下であり、更に好ましくは30゜以下である木綿単繊維を含む繊維製品である。
【0015】
木綿繊維のホルムアルデヒドおよび架橋長制御剤による架橋は、ホルムアルデヒド蒸気(ガス)と二酸化硫黄ガスとを使用するいわゆる気相ホルマリン加工法による方法と予め架橋長制御剤と触媒を木綿繊維に付与しておき、気相ホルマリン加工する方法とが使用できる。木綿繊維は、セルロースI型の結晶構造が全結晶中50重量%未満の場合ホルムアルデヒド蒸気が均一に木綿繊単維内部に浸透し、均一な架橋を実現できる。更に、X線配向角が40゜以下であれば架橋改質後の応力集中の緩和に有利となり結果として強力保持率を改善できる。本発明で使用される架橋長制御剤は木綿単繊維の細孔構造のサイズおよび分布に即応した架橋をさせることで、架橋時の歪みを出来るだけ緩和し、強力低下・抑制に繁げることがその目的である。
【0016】
本発明で使用できる架橋長制御剤は、メチロール化可能な活性水素を有する化合物であり、これらの化合物には、次のようなものが挙げられる。ホルムアミド、アセトアミド、マロンアミド、リンゴ酸アミド、アクリルアミドなど有機カルボン酸アミド及び有機オキシカルボン酸アミド類、尿素、アリール尿素、チオ尿素、ジシアンジアミド、グアニジン、シアノ尿素、グアニルチオ尿素、ビグアニド、グアニル尿素、カルボジヒドラジドなどの尿素及びその誘導体エチルカーバメート、ヒドロキシエチルカーバメートなどの炭素数1〜4の低級アルキル又はヒドロキシアルキルカーバメート類、ベンゼンスルホアミド、p−ベンゼン・ジスルホンアミドなどのアリルスルホンアミド類、メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、n−ブタンスルホンアミド、i−ブタンスルホンアミドなどの炭素数1〜4の低級アルキルスルホンアミド類、メチレン−ビス−メタンスルホンアミド、エチレン−ビス−メタンスルホンアミド、1,3−ビス−メタンスルホンアミド、1,3−プロパン−ビス−メタンスルホンアミド等のビスースルホンアミド類などが挙げられる。
【0017】
更に、以下の化5や化6で示される環状尿素化合物類などが挙げられる。
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
R0 はH,炭素数1〜4のアルキル基又は置換したアルキル基のいずれかであり、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 およびR6 は同種または異なる基であり、それぞれH、OH、COOR、R、ORまたはCOORのいずれかの基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基または置換アルキル基のいずれかを表し、XはC、OまたはNで、XがOの場合、R3 とR4 は各々存在せず、XがNの場合、R3 あるいはR4 が存在しない。
【0021】
前期の化5および化6の化合物の内、好ましいメチロール化可能な活性水素を有する化合物としては、エチレン尿素、エチレン尿素/ホルマリン縮合物で片末端および両末端がNH基を有するエチレン尿素類、ジヒドロキシエチレン尿素などのジヒドロキシエチレン尿素類が挙げられる。より好ましくは、染色物の耐光性などからジヒドロキシエチレン尿素類が好ましい。これら架橋長制御剤の使用量はセルロースおよび木綿含有繊維構造物に対して、0.5〜20重量%である。風合いなどを考慮すると更に好ましくは、1〜5重量%である。
【0022】
本発明で使用できる柔軟剤類としては次のようなものが挙げられる。即ち、ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、水溶性シリコーンなどのシリコーン類、ポリエチレンエマルジョン類、脂肪族酸アミド類、ポリウレタン樹脂類、ポリエステル樹脂類、アクリル酸エステル類、ワックス類、ノニオン、アニオン、カチオン、両性の界面活性剤類などが挙げられる。特に、ポリエチレンエマルジョン類、シリコーン類などが風合い向上、引裂強力向上に有効である。
【0023】
本発明で使用できる潜在性酸性触媒としては、AlCl3 、Al2 (SO4 )3 、MgCl2 、Mg(H2 PO4 )2 、Zn(BF4 )2 、Zn(NO3 )2、ZnCl2 、Mg(BF4 )2 、Mg(ClO4 )2 、Al2 (OH)4 Cl2 などの各種金属塩(結晶水含有も含む)類、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールの塩酸塩などの各種アルカノールアミンの酸性塩、硝酸、塩酸、硫酸、りん酸など強酸のアンモニウム塩、蓚酸、クエン酸などの有機カルボン酸などがある。これら潜在性酸性触媒の使用量は0.1〜5重量%である。ホルムアルデヒド蒸気の処理後のキュア条件は、触媒の共存下、通常、20〜160℃で1〜60分間である。
【0024】
本発明において架橋反応の程度は、結合ホルマリン量で示されるが、必要であれば結合窒素含有量も合せて示すことができる。本発明の目的を達成するための木綿中の結合ホルマリン量は0.6重量%以上必要である。好ましくは0.8重量%以上である。結合ホルマリン量が0.6重量%未満の場合、十分な改質効果が得られない。即ちパッカリング性、W&W性、保型性、プリーツ性が不十分である。
【0025】
上記ホルマリン加工により、防しわ性に優れ、かつ繰り返し洗濯後のパッカリング性、W&W性、防縮性、保型性に優れ、同時に加工による強力低下、特に引裂強力低下を極力抑えた木綿繊維含有繊維製品が製造可能となる。
【0026】
本発明の木綿繊維含有繊維製品は、織物の場合、JIS L−1059B法(モンサント法)における乾防しわ度が270度以上であり、湿防しわ度との合計値は550度以上が好ましく、570度以上がより好ましい。特に乾防しわ度と湿防しわ度との合計値が高い程、W&W性が高くなり、パッカリング性及び保型性にも優れる。これらの防しわ性を達成できるように改質された木綿繊維が含まれる縫製品は、AATCC124−1984法におけるW&W性が3級以上かJIS L−0217の103法による洗濯 5回後のAATCC法におけるパッカリング性が 4級以上の保型性を示す。
【0027】
本発明の製造方法におけるセルロースの微細構造を変化させることができる薬剤には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチルアミン、液体アンモニア、ヒドラジン等のアルカリ、硫酸、リン酸、硝酸等の酸、塩化亜鉛、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、各種ロダン塩、ヨウ化カリウム等の塩類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。セルロース系繊維が木綿の場合、工業的には水酸化ナトリウム、液体アンモニアが好ましく、染色性の向上と洗濯後の風合いの保持が必要な場合は水酸化ナトリウム/液体アンモニアの併用系が好ましい。
【0028】
しかしながら、水酸化ナトリウムによるアルカリ処理は、セルロースの結晶構造をセルロースI型からセルロースII型へ変態させるが、この結晶変態の効率は水酸化ナトリウム濃度、アルカリ処理中のセルロース繊維のテンションの受け方及びアルカリ除去温度に大きく影響される。
【0029】
一方、液体アンモニア処理は結晶構造をセルロースI型からセルロース III型へ変態させる。この際の結晶変態効率は、セルロース中の水分率に大きく影響されるが、アンモニア除去を乾熱で行い、水分がほとんど無い場合には、結晶変態効率に対するセルロース繊維のテンションの影響は比較的少なく良好である。
【0030】
従って、セルロースI型の結晶構造を全結晶中50重量%未満にするには、水酸化ナトリウム処理では比較的高濃度で、テンションを低く、アルカリ除去温度を下げる配慮が必要である。水酸化ナトリウムの濃度は20゜Be’〜40°Be’であり、より好ましくは23°Be’〜35°Be’である。アルカリ除去時の温度は0〜100℃であるが、80℃以下が好ましい。又、テンションをゆるやかにするため、予め、液流染色機、ワッシャー、タンブラー、サンフォライズなど液体や機械的揉み効果を与えて歪を除いたのちシルケット処理することも結晶変態効率向上に有用である。
【0031】
一方、テンションがやむを得ず掛かる場合は、液体アンモニア処理を併用することで達成できる。液体アンモニアにより処理する場合、木綿繊維含有織物は液体アンモニアに2〜20秒間浸漬後、5〜90秒、望ましくは5〜20秒のタイミングを置いて熱又は蒸気によって脱アンモニア処理される。
【0032】
本発明において水酸化ナトリウムによるアルカリ処理および/または液体アンモニア処理は木綿の原綿、スライバー、紡績糸、布帛のいずれの形態で施してもかまわない。
【0033】
本発明におけるセルロースを架橋させることができる薬剤とは、気体、液体、固体、水溶液のいずれでもよいが、加熱等で容易に蒸気となって、木綿繊維内部へ浸透できるものであり、ホルムアルデヒドが好ましい。
【0034】
セルロースとホルマリンの架橋反応を円滑に進めるためには、木綿繊維中へいかにホルマリンを吸着させるかにつきる。これにはホルマリン気相加工前の縫製品を予め調湿処理することが望ましい。この際の生地水分率は5〜15重量%が好ましく、より好ましくは6〜10重量%である。ホルムアルデヒド蒸気の処理条件は、触媒の共存下、通常、80〜160℃で1〜60分間である。
【0035】
気相ホルムアルデヒド処理は、布帛の状態及び縫製品の状態のいずれでも処理できるが、縫製品にした後に処理する方が、縫製上の問題発生がなく、縫製品の形状をも効果的に固定するので、パッカリング法、保型性が著しく高くなり、好ましい実施態様である。
【0036】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例で用いた評価法を以下に示す。
引裂強力;JIS L−1096 ペンジュラム法(ヨコ方向)
W&W性;AATCC 124−1984 5段階レプリカ法にもとづいて判定を行った。5級(良好)〜1級(不良)
【0037】
パッカリング性;JIS L−0217 103法による洗濯を5回くり返した後、AATCC 88−B−1984法の縫い目5段階レプリカにより評価した。5級(良好)〜1級(不良)
【0038】
保型性;JIS L−1042 FII法による洗濯、タンブル乾燥(I−2条件)を5回くり返した後、視覚で5段階に判定した。
5(級):非常に良好
4 〃 :良好
3 〃 :普通
2 〃 :やや不良
1 〃 :非常に不良
【0039】
セルロースI型結晶の含有率(%):木綿単繊維を織編物から取り出し、X線回析法により測定した。測定は、P.H.Hermans & A.Weidinger:J.Appl.phys.,19,491−506(1948)およびB.G.Ranby:Acta Chem.Scacd.,6,116−127(1952)の方法によった。
【0040】
【従来の技術】
X線配向角:製品のたて糸を分離し、更に木綿単繊維をサンプリングした。次いで、単繊維の多数本の繊維束を治具の凹部(たて×よこ×奥行=5mm×5mm×10mm)に並べ、セルロイドの希薄溶液を少量加え単繊維同士を平行に並べた後、風乾して測定試料とした。測定は広角X線回折法により、方位角方向(0〜360°)の走査を行った。J.J.Greelyら:Text.Res.J.,26,789(1956)では(002)面を使っているが、本発明では、混晶を取り扱うため、ピーク分離しやすい(101)面を取り扱うこととし、具体的にはセルロースI型結晶の含有率が50%以上ではセルロースI型結晶の(101)面に起因する回折ピークの半価幅を、セルロースI型結晶の含有率が50%未満ではセルロース III型結晶の(101)面に起因する回折ピークの半価幅をX線配向角とした。
【0041】
結合ホルマリン量:加工布約2gを沸水中で15分間処理し、水洗、絶乾精秤後、水蒸気蒸留法により20%硫酸中で分解し、亜硫酸水素ナトリウム水溶液中に生成ホルマリンを回収し、よう素滴定法で過剰亜硫酸水素ナトリウムを酸化した後、アルカリで付加物を分解し、ホルマリンと付加した亜硫酸水素ナトリウムの量を求め、加工布重量あたりのホルマリンを重量%で示した。
【0042】
実施例1
木綿繊維(スライバー状)を−40℃の液体アンモニア中に10秒間浸漬し、次いで、脱液体アンモニア後風乾した。更に0.1重量%酢酸水溶液で中和、次いで水洗し乾燥した。こうして得た液体アンモニア処理木綿を常法により紡績し、次いで織物(40×40/134×75,目付112g/m2 )を作成し、通常の糊抜・精練・漂白した。次いで液体アンモニアに3秒間浸漬後、70%の絞り率で搾液し、16秒間のタイミングをおいた後、160℃で15秒間乾燥した。この加工布(A)を下記組成の加工液(イ)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、110℃で3分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した後、常法によりシャツを縫製した。このシャツの生地水分率を7重量%になるよう調湿し、次いで通常のホルマリン気相加工を施し、本発明のシャツを得た。得られた評価結果を表1に示した。
加工液(イ)
ジヒドロキシエチレン尿素(住友化学工業(株)製) 2重量部
キャタリストG(大日本インキ化学工業(株)製MgCl2 系架橋触媒) 3重量部
ポリエチレングリコール#200(ナカライテスク(株)製ポリエチレングリコール平均分子量200) 6重量部
パラシリコンAYR20(大原パラジウム(株)製シリコ−ン系ソフナ−) 3重量部
PEN(大日本インキ化学工業(株)製ポリエチレン系ソフナ−) 3重量部
水 83重量部
【0043】
実施例2
木綿織物(80/2×80/2/134×76,目付113g/m2 )の精練・漂白布を28°Be’水酸化ナトリウムにて常法によるシルケット処理を施し、次いで液体アンモニアに5秒浸漬後、70%の絞り率で搾液し、15秒間のタイミングをおいた後、150℃で20秒間乾燥した。
この加工布(B)を使って、実施例1と同様に加工液処理、サンフォライズ加工、シャツ縫製及びホルマリンによる気相処理を実施した。得られたシャツの評価結果を表1に示した。
【0044】
実施例3
木綿織物(80/2×80/2/134×76,目付113g/m2 )の精練・漂白布を28°Be’水酸化ナトリウムにて常法によるシルケット処理を2回繰り返し、次いで実施例2と同様に液体アンモニア処理を行い加工布(C)を得た。
この加工布(C)を使って、実施例1と同様に加工液処理、サンフォライズ加工、シャツ縫製及びホルマリンによる気相処理を実施した。得られたシャツの評価結果を表1に示した。
【0045】
実施例4
木綿織物(80/2×80/2/134×76,目付113g/m2 )の精練・漂白布を32°Be’水酸化ナトリウムにて常法によるシルケット処理を行い、次いで実施例2と同様に液体アンモニア処理を行い加工布(D)を得た。
この加工布(D)を使い、実施例1と同様に加工液処理、サンフォライズ加工、シャツ縫製及びホルマリンによる気相処理を行った。得られたシャツの評価結果を表1に示した。
【0046】
実施例5
通常の方法で糸シルケット処理を実施し、この糸を緯糸に打ち込んだ木綿織物(80/2×80/2/134×76,目付115g/m2 )の精錬・漂白布を液体アンモニアに5秒間浸漬後、70%の絞り率で搾液し、15秒間のタイミングをおいた後、150℃℃で20秒間乾燥した。
この加工布(E)を使い、実施例1と同様に加工液処理、サンフォライズ加工、シャツ縫製及びホルマリンによる気相処理を行った。得られたシャツの評価結果を表1に示した。
【0047】
比較例1
木綿織物(80/2×80/2/134×76,目付113g/m2 )の精練・漂白布(F)を使って、実施例1と同様に加工液処理、サンフォライズ加工、シャツ縫製及びホルマリンによる気相処理を実施した。得られた結果を表1に示した。
【0048】
比較例2
木綿織物(80/2×80/2/134×76,目付113g/m2 )の精練・漂白布を25°Be’水酸化ナトリウムにて常法によるシルケット処理を施した。
この加工布(G)を使って、実施例1と同様に加工液処理、サンフォライズ加工、シャツ縫製及びホルマリンによる気相処理を実施した。得られたシャツの評価結果を表1に示した。
【0049】
比較例3
木綿織物(80/2×80/2/134×76,目付113g/m2 )の精練・漂白布を32°Be’水酸化ナトリウムにて常法によるシルケット処理を施した。
この加工布(H)を使って、実施例1と同様に加工液処理、サンフォライズ加工、シャツ縫製及びホルマリンによる気相処理を実施した。得られたシャツの評価結果を表1に示した。
【0050】
比較例4
実施例2で用いた加工布(B)を用いて、実施例2と同様に加工液処理、サンフォライズ加工、シャツ縫製及びホルマリンによる気相処理を実施した。
ただし、気相処理の際のホルマリン供給量は、実施例2の半分で実施した。得られたシャツの評価結果を表1に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
本発明のシャツは、風合いが粗硬化せず防しわ性が高く、抗張力の低下が小さく、W&W性に優れ、著しくパッカリング性、保型性に優れる。比較例に示した従来法によるシャツでは、本発明のシャツのように、上記の全ての特性を満足させることは困難である。
【0053】
【発明の効果】
水酸化ナトリウム、液体アンモニア等のセルロース系繊維の結晶構造を変化させる薬剤によって、本来のセルロースI型の結晶構造を他の結晶構造へ大幅に結晶変態せしめ、更には、X線配向角を低減させることで、架橋改質後の応力緩和効果を高め、歪みの発生を極力抑えることが可能となる。こうした木綿系繊維を含有する繊維製品は、風合いが良好で、強力低下が少なく、防しわ性が高く、繰り返し洗濯後も優れたW&W性、防縮性、保型性を示す。
Claims (2)
- 木綿を含む繊維構造物を化1又は化2で示される環状尿素化合物類を付与した後、架橋改質した繊維製品であり、前記構造物中の木綿単繊維のセルロースI型の結晶構造が全結晶中50重量%未満であり、かつ、木綿単繊維のX線配向角が40゜以下であり、木綿単繊維の結合ホルマリン量が0.6重量%以上である木綿繊維含有繊維製品。
- 架橋改質が気相ホルマリン加工法によるものである請求項1記載の木綿繊維含有繊維製品。
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