JP3573441B2 - 圧力変動吸収機構の異常検出装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の圧力変動の抑制に用いられる圧力変動吸収機構の異常を検出するための圧力変動吸収機構の異常検出装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスメータ等に利用される流量計としては、例えば熱式流速センサ(フローセンサ)を用いた流量計やフルイディック発振の周波数が流体の流量と関係することを利用したフルイディック流量計があるが、これらの流量計による流量測定を正確に行うには、ガス配管内の圧力を一定に保つ必要がある。これは、圧力変動に伴って流速が変動し、測定される流量も変化するからである。そこで、このような管内圧力変動を抑制するために、圧力変動を吸収するようにした圧力変動吸収機構が利用されている。
【0003】
この圧力変動吸収機構の一般的ものとしては、底部に流体入口開口部を有すると共に側面に流体出口開口部を有する円筒状のフロートケースと、このフロートケース内に上下移動自在に収容され上流側と下流側との間の差圧に応じて浮上または下降して出口開口部の開口率を変化させる円筒状のフロートとを備えた構成のものがある。このような構成の圧力変動吸収機構では、フロートの動きによって上流側の圧力変動を吸収し、下流側の小流量計測部への圧力変動の伝達を防ぐようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、圧力変動吸収機構に何らかの異常が生じると、流量計の測定精度が低下し、ひいては正確な計量に支障をきたしてしまうという問題がある。このため、圧力変動吸収機構に異常が発生した場合には、その異常を早期に検出して、不正確な計量が行われることを防止することが望ましい。
【0005】
なお、圧力変動吸収機構が異常をきたす原因としては、流体中のダストによる場合が多い。例えば、上述のフロートケースとフロートとを備えた構成の圧力変動吸収機構では、長期間の使用により、流体中のダストがフロートケースの内周面とフロートの外周面との間の隙間や、フロートケース内の窪みまたは角に付着した場合に、フロートの移動状態が不安定となる等の異常が生ずる。そして、ダストの付着量が多くなると、フロートがダストによってフロートケースの上部に固着してしまい、圧力変動を十分に吸収できなくなり、流量計の測定精度が低下し、ひいては正確な計量に支障をきたしてしまうことになる。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、圧力変動吸収機構の異常を検出し、不正確な計量の防止を可能とする圧力変動吸収機構の異常検出装置および方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の圧力変動吸収機構の異常検出装置は、流速センサの出力信号のばらつきを判定するばらつき判定手段と、流速センサの出力信号に基づいて、流路中における流体の流量を判定する流量判定手段と、ばらつき判定手段と流量判定手段の判定結果に基づいて、圧力変動吸収機構が異常であるか否かを判定する異常判定手段とを備えたものである。
【0008】
この圧力変動吸収機構の異常検出装置では、異常判定手段によって、ばらつき判定手段における流速センサの出力信号のばらつきの判定結果と、流量判定手段における流路中における流体の流量の判定結果とに基づいて、圧力変動吸収機構が異常であるか否かが判定される。
【0009】
請求項2記載の圧力変動吸収機構の異常検出装置は、請求項1記載の異常検出装置において、異常判定手段を、ばらつき判定手段において、流速センサの出力信号のばらつきが一定範囲以上であると判定され、且つ、流量判定手段において、流量が零とみなされると判定された場合に、圧力変動吸収機構が異常である旨の判定を行うように構成したものである。
【0010】
この圧力変動吸収機構の異常検出装置では、異常判定手段によって、ばらつき判定手段において、流速センサの出力信号のばらつきが一定範囲以上であると判定され、且つ、流量判定手段において、流量が零とみなされると判定された場合に、圧力変動吸収機構が異常である旨の判定が行われる。
【0011】
請求項3記載の圧力変動吸収機構の異常検出装置は、請求項1または2記載の異常検出装置において、更に、異常判定手段により圧力変動吸収機構が異常と判定された場合に、その旨を通知する通知手段を備えたものである。
【0012】
この圧力変動吸収機構の異常検出装置では、異常判定手段により圧力変動吸収機構が異常と判定された場合には、通知手段により、圧力変動吸収機構が異常である旨が通知される。
【0013】
請求項4記載の圧力変動吸収機構の異常検出装置は、請求項1,2または3記載の異常検出装置において、ばらつき判定手段が、所定時間における流速センサの出力信号の最大値と最小値との差をばらつきの判定に用いるようにしたものである。
【0014】
この圧力変動吸収機構の異常検出装置では、ばらつき判定手段において、所定時間における流速センサの出力信号の最大値と最小値との差がばらつきの判定に用いられる。
【0015】
請求項5記載の圧力変動吸収機構の異常検出方法は、流速センサの出力信号のばらつきを判定する手順と、流速センサの出力信号に基づいて、流路中における流体の流量を判定する手順と、これらの手順における判定結果に基づいて、圧力変動吸収機構が異常であるか否かを判定する手順とを含むものである。
【0016】
この圧力変動吸収機構の異常検出方法では、流速センサの出力信号のばらつきと、流路中における流体の流量とに基づいて、圧力変動吸収機構が異常であるか否かが判定される。
【0017】
請求項6記載の圧力変動吸収機構の異常検出方法は、請求項5記載の異常検出方法において、ばらつきを判定する手順を、流速センサの出力信号のばらつきが一定範囲以上であると判定され、且つ、流量を判定する手順において、流量が零とみなされると判定された場合に、圧力変動吸収機構が異常である旨の判定を行うようにしたものである。
【0018】
この圧力変動吸収機構の異常検出方法では、流速センサの出力信号のばらつきが一定範囲以上であると判定され、且つ、流量が零とみなされると判定された場合に、圧力変動吸収機構が異常である旨の判定が行われる。
【0019】
請求項7記載の圧力変動吸収機構の異常検出方法は、請求項5または6記載の異常検出方法において、更に、圧力変動吸収機構が異常と判定された場合に、その旨を通知する手順を含むものである。
【0020】
請求項8記載の圧力変動吸収機構の異常検出方法は、請求項5,6または7記載の異常検出方法において、ばらつきを判定する手順において、所定時間における流速センサの出力信号の最大値と最小値との差をばらつきの判定に用いるようにしたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態に係る圧力変動吸収機構の異常検出装置が利用される流量計の一断面構成を表すものである。また、図2および図3は、図1における圧力変動吸収部70の一構成要素である圧力変動吸収機構60の要部を示す断面図である。図1に示した流量計は、例えばガスメータとして使用されるものであり、流体(ガス)を受け入れる入口部11とガスを排出する出口部12とを有する本体10を備えている。本体10内には隔壁13が設けられ、入口部11から隔壁13にかけて流路14が設けられている。本体10内には、フルイディック発振を生成するフルイディック素子30が設けられ、フルイディック素子30から出口部12にかけて流路50が設けられている。隔壁13とフルイディック素子30の間には、フルイディック用流路15とセンサ用流路17とが並行するように設けられている。フルイディック用流路15は、センサ用流路17よりも断面積が大きくなっている。隔壁13には、フルイディック用流路15に連通する開口部16と、センサ用流路17に連通する開口部18とが設けられている。開口部16には弁座16aが設けられ、開口部18には弁座18aが設けられている。
【0023】
センサ用流路17は、開口部18から下方に延びる流路17aと、この流路17aの末端から水平方向に延びる流路17bと、隔壁219によって流路17aと隔てられた流量計測用流路17cによって構成されている。センサ用流路17のうちの流量計測用流路17cには、図示しないが、その流路中に蒲鉾形状のノズル部が設けられると共に、このノズル部を通過したガスが、フルイディック用流路15を通過するガスと略同様の向きでフルイディック素子30に向かうようにガスの流れを整える整流部材とが設けられている。流量計測用流路17cの図示しないノズル部内には、ノズル部を通過するガスの流速を検出するための流速センサ(フローセンサ)51が設けられている。流量計測用流路17cの上流側であって流路17bの下流側には、このセンサ用流路17中の圧力変動を吸収するための圧力変動吸収機構60(図2)を含む圧力変動吸収部70が設けられている。
【0024】
この流量計は、更に、フルイディック用流路15を開閉するフルイディック用遮断弁21と、センサ用流路17を開閉するセンサ用遮断弁22とを備え、開状態から閉状態への動作および閉状態から開状態への動作を電気的に行うことができるようになっている。フルイディック用遮断弁21は、開口部16を開閉する弁体23と、一端が弁体23に接続されたロッド24と、本体10の外側に固定され、ロッド24の他端に接続されたアクチュエータ25とを有している。アクチュエータ25はロッド24を介して弁体23を駆動して開口部16を開閉するようになっている。同様に、センサ用遮断弁22は、開口部18を開閉する弁体26と、一端が弁体26に接続されたロッド27と、本体10の外側に固定されロッド27の他端に接続されたアクチュエータ28とを有し、アクチュエータ28はロッド27を介して弁体26を駆動して開口部18を開閉するようになっている。
【0025】
フルイディック素子30は、ノズル31と、このノズル31の下流側に設けられ、拡大された流路を形成する一対の側壁33,34を有している。この側壁33,34の間には、所定の間隔を開けて、上流側にターゲット35、下流側にターゲット36がそれぞれ配設されている。側壁33,34の外側には、ノズル31を通過したガスを各側壁33,34の外周部に沿ってノズル31の噴出口側へ帰還させる一対のフィードバック流路37,38を形成するリターンガイド39が配設されている。フィードバック流路37,38の各出口部分と流路50との間には、リターンガイド39の背面と本体10とによって、一対の排出路41,42が形成されている。ノズル31の噴出口の近傍には導圧孔43,44が設けられ、本体10の外側には、図示しない導圧路を介して導圧孔43,44に連通し、導圧孔43と導圧孔44における差圧を検出するフルイディック発振検出センサ(例えば圧電膜センサ)が設けられている。
【0026】
フルイディック用流路15あるいはセンサ用流路17を通過したガスはフルイディック素子30に達する。ここで、ノズル31を通過したガスは、噴流となって噴出口より噴出される。噴出口より噴出されたガスは、コアンダ効果により一方の側壁に沿って流れる。ここでは、まず側壁33に沿って流れるものとする。側壁33に沿って流れたガスは、更にフィードバック流路37を経て、ノズル31の噴出口側へ帰還され、排出路41を経て流路50に排出される。このとき、ノズル31より噴出されたガスは、フィードバック流路37を流れてきたガスによって方向が変えられ、今度は他方の側壁34に沿って流れるようになる。このガスは、更にフィードバック流路38を経て、ノズル31の噴出口側へ帰還され、排出路42を経て流路50に排出される。すると、ノズル31より噴出されたガスは、今度は、フィードバック流路38を流れてきたガスによって方向が変えられ、再び側壁33、フィードバック流路37に沿って流れるようになる。以上の動作を繰り返すことにより、ノズル31を通過したガスは一対のフィードバック流路37,38を交互に流れるフルイディック発振を行う。このフルイディック発振の周波数、周期は流量と対応関係がある。フルイディック発振は図示しない上記圧電膜センサによって検出される。
【0027】
流速センサ51は、図示はしないが、発熱部とこの発熱部の上流側および下流側に配設された2つの温度センサを有し、2つの温度センサによって検出される温度の差を一定に保つために必要な発熱部に対する供給電力から流速に対応する流量を求めたり、一定電流または一定電力で発熱部を加熱し、2つの温度センサによって検出される温度の差から流量を求めることができるようになっている。
【0028】
なお、本実施の形態に係る流量計においては、異常時以外はセンサ用遮断弁22は開状態にされている。従って、フルイディック用遮断弁21を閉状態にしてフルイディック用流路15を閉じると、ガスはセンサ用流路17のみを通過する。一方、フルイディック用遮断弁21を開状態にしてフルイディック用流路15を開けると、圧力変動吸収部70による圧力損失により、フルイディック用流路15に比べてセンサ用流路17の方が圧力損失が大きくなり、センサ用流路17におけるガスの流れは停止する。
【0029】
次に、図2および図3の断面図を用いて、図1における圧力変動吸収部70の一構成要素である圧力変動吸収機構60の構成について説明する。圧力変動吸収機構60は、両端部が閉鎖された円筒形状のフロートケース61と、このフロートケース61内に摺動自在に収容されたフロート62とを備えている。フロートケース61には、底部に円形のガスの入口部63が形成されていると共に、側部の下側の位置に縦長のガスの出口部64が形成されている。フロートケース61の上部には小孔65が設けられている。
【0030】
フロート62は、下端面が開放され、上端面が閉塞された円筒形状に形成されている。フロート62がフロートケース61内の最下部に位置しているとき(図2)は、フロート62の側壁によって出口部64が閉塞され、圧力変動吸収機構60の上流側と下流側とが遮断されるが、フロート62がフロートケース61内で上昇し、フロート62の下端が出口部64の下端よりも上になる(図3)と、出口部64が開放され、圧力変動吸収機構60の上流側と下流側とが連通されるようになっている。これにより、図1に示した流路17bと流量計測用流路17cとが連通される。
【0031】
次に、図1に示した流量計の制御系の構成について説明する。なお、以下では、圧力変動吸収機構60の異常を検出するために必要な制御系の構成についてのみ説明する。
【0032】
図4は、本実施の形態における流量計の制御系の構成を示すブロック図であり、図では圧力変動吸収機構60の異常の検出に関わる構成要素のみを示している。図5は、図4におけるばらつき判定部51aが行うばらつき判定を説明するための説明図であり、流速センサ51の出力変化の一例を示している。
【0033】
本実施の形態における流量計は、制御ブロックとして、流速センサ51の出力信号に基づいて、圧力変動吸収機構60の異常を検出するための異常検出機能部80を備えている。この異常検出機能部80は、例えば、マイクロコンピュータによって構成されている。異常検出機能部80は、流速センサ51の出力信号のばらつきを判定するばらつき判定部51aと、流速センサ51の出力信号に基づいて、センサ用流路17を流れるガスの流量を判定する流量判定部51bと、これらばらつき判定部51aおよび流量判定部51bの判定結果に基づいて、圧力変動吸収機構60が異常であるか否かを判定する異常判定部81と、この異常判定部81の判定結果に応じて流量計が行う動作を判定する動作判定部82と、この動作判定部82の判定結果に応じて表示部91の制御を行う表示制御部83と、動作判定部82の判定結果に応じてフルイディック用遮断弁21およびセンサ用遮断弁22の制御を行う遮断弁制御部84と、動作判定部82の判定結果に応じて外部への通信を行うための通信制御部85とを有している。なお、異常検出機能部80が、本実施の形態における圧力変動吸収機構の異常検出装置に相当する。また、表示制御部83,通信制御部85および表示部91が、本発明における通知手段に対応する。
【0034】
ばらつき判定部51aは、所定時間(図5における期間T1に相当)における流速センサ51の出力信号の最大値と最小値との差(図5におけるP1に相当)をばらつきの判定に用いるようになっている。流量判定部51bは、流速センサ51の出力信号に基づいて所定時間(図5における期間T1に相当)における流量を演算し、その演算した流量が零とみなされるか否かの判定を行う。なお、流速センサ51からの出力信号は、実際には、一定周期毎(例えば、6秒程度)にサンプリングして得られた値であり、また、流量判定部51bは、所定時間T1(例えば、2分間)における流速センサ51からの出力信号を平均化し、その平均化後の出力信号の値を積算して流量を判定するようになっている。流量判定部51bは、このようにして得られた出力信号の積算値が、例えば、流量にして±1.5リットル/h以内の値に相当する場合には、事実上、センサ用流路17を通過するガスの流量が零であると判定するようになっている。また、ばらつき判定部51aは、ばらつき判定として、実際には、流速センサ51からの一定周期毎(例えば、6秒程度)にサンプリングして得られた出力信号の最大値と最小値との差P1が、例えば、流量にして100リットル/h以上であるか否かの判定を行うようになっている。
【0035】
異常判定部81は、ばらつき判定部51aにおいて、流速センサ51の出力信号のばらつきが一定範囲以上(例えば、流量にして100リットル/h以上)であると判定され、且つ、流量判定部51bにおいて、流量が零とみなされると判定された場合に、圧力変動吸収機構60が異常である旨の判定を行うようになっている。なお、異常判定部81において行われるこの異常である旨の判定は、圧力変動吸収機構60が正常に動作していると仮定すれば、流量が零とみなされる場合には、流速センサ51の出力信号には比較的ばらつきが少ないという根拠に基づいている。動作判定部82は、異常判定部81において、異常である旨の判定がなされた場合には、表示制御部83および通信制御部85を制御して、例えば、図示しない操作部によってあらかじめ設定された動作モードに基づいて、異常である旨の通知を外部に対して行わせると共に、必要に応じて遮断弁制御部84を制御して、遮断弁21,22を閉状態にさせるようになっている。
【0036】
次に、以上のような構成の流量計の動作を説明する。
【0037】
本実施の形態に係る流量計では、流量が所定の流量以下の小流量域にあるときは、フルイディック用遮断弁21は閉状態、センサ用遮断弁22は開状態とされ、流量が上記所定の流量を越える大流量域にあるときは、フルイディック用遮断弁21およびセンサ用遮断弁22は共に開状態とされる。ここで、フルイディック用遮断弁21の開閉状態を切り換えるための所定の流量の値は、例えば、次のように設定される。まず、流量が小流量から大流量へと増加している場合に、フルイディック用遮断弁21を閉状態から開状態に切り換えるための所定の流量の値は、例えば、1000リットル/hの流量値に設定される。すなわち、流量が小流量から増加する状態にある場合には、1000リットル/hを越えた場合にフルイディック用遮断弁21が閉状態から開状態に切り換えられる。
逆に、流量が1000リットル/h以上の大流量である状態から小流量へと推移している場合に、フルイディック用遮断弁21を開状態から閉状態に切り換えるための所定の流量の値は、例えば、800リットル/hの流量値に設定される。
【0038】
小流量域では、入口部11から取り入れられたガスはセンサ用流路17を通ってフルイディック素子30に達し、フルイディック素子30を通過し、出口部12より排出される。このとき、流速センサ51によって、センサ用流路17を通過するガスの流速が検出される。また、圧力変動吸収部70においてガスの圧力変動が吸収される。図示しない流量演算部は、小流量域では、流速センサ出力に基づいて流量を算出する。
【0039】
一方、大流量域では、入口部11から取り入れられたガスはフルイディック用流路15のみを通って、フルイディック素子30に達し、フルイディック素子30を通過し、出口部12より排出される。ここで、ガスがセンサ用流路17よりも断面積の大きいフルイディック用流路15を通るため、大流量時におけるガス供給不良の発生が防止される。図示しない流量演算部は、大流量域では、フルイディック素子30の出力(すなわち、図示しないフルイディック発振検出センサ(圧電膜センサ)の出力)に基づいて流量を算出する。なお、流速センサ51の出力と圧電膜センサの出力で重複して流量を算出する流量域を設け、この流量域では、圧電膜センサの出力に基づいて算出した流量を正式な流量とすると共に、圧電膜センサの出力に基づいて算出した流量を用いて、流速センサ51の出力に基づいて算出した流量を補正するようにしてもよい。また、この重複した流量域では、圧電膜センサの出力に基づいて算出した流量と流速センサ51の出力に基づいて算出した流量との平均値を正式な流量とするようにしてもよい。
【0040】
次に、圧力変動吸収機構60の動作について詳細に説明する。
【0041】
ガスが流れていないときは、圧力変動吸収機構60の上流側と下流側とで圧力差が生じていないので、図2に示したように、フロート62は重力の作用によりフロートケース61内の最下部に位置しており、出口部64は完全に閉塞され、圧力変動吸収機構60の上流側と下流側、すなわち、図1に示した流路17bと流量計測用流路17cとが遮断される。
【0042】
一方、ガスが流れ始めると、入口部63から導入される圧力変動吸収機構60の上流側の圧力と下流側の圧力とに圧力差が生ずるので、フロート62はその圧力差による浮力を受けて持ち上げられ、図3に示したように、フロートケース61内を上昇する。これにより出口部64は、その圧力差に応じた分だけ開放され、ガスは圧力変動吸収機構60内を通過する。ここで、ガスは圧力変動吸収機構60内を通過することによりフロート62による負荷力を受けることになり、圧力変動が吸収される。圧力変動吸収機構60内を通過したガスは、フルイディック素子30に向かう。
【0043】
次に、図6の流れ図を参照して、圧力変動吸収機構60の異常の検出に関わる動作について説明する。なお、以下の説明は、本実施の形態における圧力変動吸収機構の異常検出方法の説明を兼ねている。
【0044】
まず、異常検出機能部80(図3)は、例えば、フルイディック用遮断弁21が閉状態にあるか否かを判断することにより、流速センサ51において流量の測定が行われているか否かを判断する(ステップS101)。異常検出機能部80は、流速センサ51による流量の測定が行われていない場合には(ステップS101;N)、この判断を繰り返す。一方、流速センサ51による流量の測定が行われている場合には(ステップS101;Y)、次に、異常検出機能部80のばらつき判定部51aによって、流速センサ51の出力値のばらつきが、所定のしきい値以上であるか否かが判定される(ステップS102)。ここでのばらつき判定部51aのばらつき判定は、例えば、所定時間T1(図5)における流速センサ51の出力信号の最大値と最小値との差P1(図5)が、流量にして100リットル/h以上であるか否かを基準にして行う。
【0045】
ばらつき判定部51aによる判定結果が、所定のしきい値以上でない場合には(ステップS102;N)、ステップS101の判断に戻る。一方、ばらつき判定部51aによって、流速センサ51の出力値のばらつきが、所定のしきい値以上であると判定された場合には(ステップS102;Y)、次に、異常検出機能部80の流量判定部51bにおいて、流速センサ51の出力信号に基づいて演算された所定時間T1(図5)における流量が、零(0リットル/h)とみなされるか否かの判定が行われる(ステップS103)。ここで、流量が零とみなされない場合には(ステップS103;N)、ステップS101の判断に戻る。
【0046】
一方、流量判定部51bによって、所定時間T1における流量が、零とみなされると判定された場合には(ステップS103;Y)、異常検出機能部80の異常判定部81は、圧力変動吸収機構60の異常と判定する(ステップS104)。異常判定部81により、圧力変動吸収機構60の異常と判定されると、動作判定部82は、表示制御部83を制御して、圧力変動吸収機構60において異常が検出された旨を表示部91に表示させる(ステップS105)。
【0047】
次に、動作判定部82は、例えば、図示しない操作部によってあらかじめ設定された動作モードに基づいて、その後の動作判定を行う(ステップS106)。動作判定部82は、動作判定として、まず、異常である旨の通知を表示部91によってのみ行うか否かを判定する(ステップS107)。異常である旨の通知を表示部91によってのみ行うと判定された場合には(ステップS107;Y)、動作判定部82は、表示制御部83を制御して、圧力変動吸収機構60において異常が検出された旨の表示を表示部91において続行させ(ステップS108)、異常検出に関わる処理を終了する。
【0048】
動作判定部82は、異常である旨の通知を表示部91への通知以外にも行うと判定した場合には(ステップS107;N)、次に、遮断弁21,22の遮断を直ちに行うか否かを判定する(ステップS109)。動作判定部82は、遮断弁21,22の遮断を直ちに行うと判定した場合には(ステップS109;Y)、遮断弁制御部84を制御して、遮断弁21,22に対して遮断信号を送出し(ステップS112)、異常検出に関わる処理を終了する。なお、実際には、ステップS101において、流速センサ51による流量の測定が行われていると判断された時点で、フルイディック用遮断弁21が閉状態であると判断されているので、遮断信号の送出は、センサ用遮断弁22に対してのみ行うようにしてもよい。
【0049】
動作判定部82は、遮断弁21,22の遮断を直ちに行わないと判定した場合には(ステップS109;N)、通信制御部85を制御して、外部の通信機器を利用して異常である旨の通知を通信により行うための処理を行う(ステップS110)。次に、動作判定部82は、通信処理が成功したか否かの判定を行う(ステップS111)。動作判定部82は、通信が失敗したと判定した場合には(ステップS111;N)、遮断弁制御部84を制御して、遮断弁21,22に対して遮断信号を送出し(ステップS112)、異常検出に関わる処理を終了する。一方、動作判定部82は、通信が成功したと判定した場合には(ステップS111;Y)、異常が検出された旨の表示を表示部91において続行させ(ステップS108)、異常検出に関わる処理を終了する。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態に係る流量計によれば、異常判定部81が、ばらつき判定部51aにおいて、流速センサ51の出力信号のばらつきが一定範囲以上(例えば、流量にして100リットル/h以上)であると判定され、且つ、流量判定部51bにおいて、流量が零とみなされると判定された場合に、圧力変動吸収機構60が異常である旨の判定を行うようにしたので、圧力変動吸収機構60の異常を確実に検出することが可能となる。また、圧力変動吸収機構60が異常である旨の判定がなされた場合には、動作判定部82が、表示制御部83および通信制御部85を制御して、例えば、図示しない操作部によってあらかじめ設定された動作モードに基づいて、異常である旨の通知を外部に対して行わせると共に、必要に応じて遮断弁制御部84を制御して、遮断弁21,22を閉状態にさせるようになっているので、不正確な計量が行われることが防止される。
【0051】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、流速センサとしては、発熱部と2つの温度センサを有するものに限らず、例えば、1つの発熱部を有し、この発熱部の温度(抵抗)を一定に保つために必要な発熱部に対する供給電力から流速を求めたり、一定電流または一定電力で発熱部を加熱し、発熱部の温度(抵抗)から流速を求めるものでもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし4のいずれかに記載の圧力変動吸収機構の異常検出装置、または請求項5ないし8のいずれかに記載の圧力変動吸収機構の異常検出方法によれば、流速センサの出力信号のばらつきを判定し、また、流速センサの出力信号に基づいて、流路中における流体の流量を判定し、これらの判定結果に基づいて、圧力変動吸収機構が異常であるか否かを判定するようにしたので、圧力変動吸収機構の異常を検出し、不正確な計量の防止が可能となるという効果を奏する。
【0053】
請求項3記載の圧力変動吸収機構の異常検出装置または請求項7記載の圧力変動吸収機構の異常検出方法によれば、圧力変動吸収機構が異常と判定された場合に、その旨を通知するようにしたので、請求項1記載の圧力変動吸収機構の異常検出装置、または請求項5記載の圧力変動吸収機構の異常検出方法の効果に加え、圧力変動吸収機構の異常が検出された後、不正確な計量の防止を確実に行うことが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る圧力変動吸収機構の異常検出装置が利用される流量計の流路構造を示す断面図である。
【図2】図1における圧力変動吸収部の一構成要素である圧力変動吸収機構の要部を示す断面図である。
【図3】図1における圧力変動吸収部の一構成要素である圧力変動吸収機構の要部を示す他の断面図である。
【図4】図1における流量計の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】図1における流速センサの出力変化の一例を示す説明図である。
【図6】図2に示した圧力変動吸収機構の異常の検出に関わる動作について説明するための流れ図である。
【符号の説明】
17 センサ用流路
21 フルイディック用遮断弁
22 センサ用遮断弁
51 流速センサ
51a ばらつき判定部
51b 流量判定部
60 圧力変動吸収機構
61 フロートケース
62 フロート
80 異常検出機能部
81 異常判定部
82 動作判定部
83 表示制御部
84 遮断弁制御部
85 通信制御部
91 表示部
Claims (8)
- 流速に応じた信号を出力する流速センサが設けられた流路中における流体の圧力変動を吸収する圧力変動吸収機構の異常を検出するための異常検出装置であって、
前記流速センサの出力信号のばらつきを判定するばらつき判定手段と、
前記流速センサの出力信号に基づいて、前記流路中における流体の流量を判定する流量判定手段と、
前記ばらつき判定手段と前記流量判定手段の判定結果に基づいて、前記圧力変動吸収機構が異常であるか否かを判定する異常判定手段と
を備えたことを特徴とする圧力変動吸収機構の異常検出装置。 - 前記異常判定手段は、前記ばらつき判定手段において、前記流速センサの出力信号のばらつきが一定範囲以上であると判定され、且つ、前記流量判定手段において、流量が零とみなされると判定された場合に、前記圧力変動吸収機構が異常である旨の判定を行うことを特徴とする請求項1記載の圧力変動吸収機構の異常検出装置。
- 更に、前記異常判定手段により圧力変動吸収機構が異常と判定された場合に、その旨を通知する通知手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の圧力変動吸収機構の異常検出装置。
- 前記ばらつき判定手段は、所定時間における前記流速センサの出力信号の最大値と最小値との差をばらつきの判定に用いることを特徴とする請求項1,2または3記載の圧力変動吸収機構の異常検出装置。
- 流速に応じた信号を出力する流速センサが設けられた流路中における流体の圧力変動を吸収するための圧力変動吸収機構の異常を検出する異常検出方法であって、
前記流速センサの出力信号のばらつきを判定する手順と、
前記流速センサの出力信号に基づいて、前記流路中における流体の流量を判定する手順と、
これらの手順における判定結果に基づいて、前記圧力変動吸収機構が異常であるか否かを判定する手順と
を含むことを特徴とする圧力変動吸収機構の異常検出方法。 - 前記ばらつきを判定する手順において、前記流速センサの出力信号のばらつきが一定範囲以上であると判定され、且つ、前記流量を判定する手順において、流量が零とみなされると判定された場合に、前記圧力変動吸収機構が異常である旨の判定を行うことを特徴とする請求項5記載の圧力変動吸収機構の異常検出方法。
- 更に、前記圧力変動吸収機構が異常と判定された場合に、その旨を通知する手順を含むことを特徴とする請求項5または6記載の圧力変動吸収機構の異常検出方法。
- 前記ばらつきを判定する手順において、所定時間における前記流速センサの出力信号の最大値と最小値との差をばらつきの判定に用いることを特徴とする請求項5,6または7記載の圧力変動吸収機構の異常検出方法。
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