JP3570589B2 - 音叉式ロードセルとこれを用いた計量装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、音叉式ロードセルおよびこれを用いた計量装置に関し、特に、その荷重検出精度向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、固有振動数で振動する音叉振動子に、外力を加えるとその外力に対応して固有振動数が変化し、この音叉振動子に加えられる外力Fと音叉振動子の固有振動数fについて、およそ次の式(1)の関係が成立する。
F=C1 ・f2 −C2 (C1 ,C2 ;定数) (1)
このように固有振動数が変化するのは、音叉振動子の形状が変化するのではなく、振動する物体の力学的状態(外力付加状態)により変化するものであり、音叉振動子は入力に対して敏感であるので、従来から、この入力に敏感な音叉振動子を利用した荷重検出機構が微量な質量(mg単位)を高精度に測定する電子てんびん秤等の計量装置に利用されてきた。
【0003】
ここで、高度な荷重検出精度を達成するためには、音叉振動子に対し所定の一方向にのみ外力が加えられるように、この音叉振動子を備えた荷重検出機構を組み込む荷重付加機構を構成する必要がある。このような荷重付加機構として、2ビーム型の起歪体が考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この起歪体を利用した計量装置は、起歪体の固定部が基台に固定され、可動部に被計量物を支持する計量皿が固定されるが、2ビーム型起歪体においては、モータの発熱等により固定部から可動部へ、また、高温または低温の被計量物を載せた計量皿を通して可動部から固定部へ熱が伝わり、固定部と可動部間で温度勾配を持つ。このため、音叉振動子をこのような起歪体の固定部と可動部間に取り付けると、温度変化に対してゼロ点変動が大きくゼロ点安定性が劣るため、高精度を確保できないという問題があった。
【0005】
また、荷重検出機構を起歪体に組み込んだとき、荷重検出機構とこれを取り付ける起歪体との熱膨張係数の差により、荷重検出誤差が生じる問題がある。例えば、固定部、可動部およびビーム部を一体形成した一体型の起歪体は、加工性,材料コスト面を考慮して、通常アルミ合金や鉄鋼を用いているが、音叉振動子を含む荷重検出機構は、温度によってばね定数が変化しないようにヤング率の温度係数の小さいエリンバー等の恒弾性合金を用いている。従って、起歪体の材料の熱膨張係数が音叉振動子の材料の熱膨張係数よりも大きく、起歪体寸法の温度による変化が音叉振動子よりも大きい。例えば、起歪体の材料がアルミ合金の場合、起歪体の熱膨張係数は音叉振動子の約3倍になる。このような起歪体と音叉振動子とでロードセルを構成する場合、周囲温度が変化すると両者の材料の熱膨張係数の違いによって両者のボルト締付部にすべりが生じ、ゼロ点の再現性が悪くなるので、荷重検出精度の確保が困難になる。
【0006】
この発明は、上記の問題点を解決して、温度変化に影響されることなく高精度化を図ることができる音叉式ロードセルとこれを用いた計量装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る音叉式ロードセルは、左右に固定部と荷重が加えられる可動部とが配置され、可動部が上下のビーム部を介して固定部に支持された起歪体と、この起歪体に装着された荷重検出機構とを有している。前記荷重検出機構は、前記上下のビーム部のいずれか一方に取り付けられた基部と、この基部に支点を介して支持されたてこ部と、前記基部とてこ部との間に取り付けられ、加えられた荷重に応じて固有振動数が変化する音叉振動子とを備え、前記てこ部の荷重点が前記上下のビーム部の他方に連結されている。
【0008】
上記構成によれば、荷重検出機構は、起歪体の上下のビーム部間に取り付けられている。従って、音叉振動子は、起歪体の固定部と可動部の各々の温度のほぼ中間値であって、互いの温度差も小さい上下ビーム間に固定されるので、固定部と可動部間で温度勾配があっても、固定部および可動部からの熱の影響を低減し、温度変化に対してゼロ点変動が小さくゼロ点安定性に優れるから、荷重検出精度を向上させることができる。
【0009】
請求項2に係るロードセルは、さらに、上記ビーム部と基部間に、両者の熱膨張係数の間の係数を有する材料からなる中間材を挿入している。従って、両者間の熱履歴によるヒステリシスが減少するので、温度変化に対するすべりを防止し再現性を向上して荷重検出精度を向上することができる。
【0010】
請求項3に係る計量装置は、上記請求項1または請求項2のロードセルと、このロードセルの荷重検出機構で得られた信号から計量値を求める計量値生成回路とを有し、基台に前記ロードセルの固定部が固定され、可動部に被計量物を支持する計量台が固定されている。従って、計量装置の小型化、低コスト化を図ることができるとともに、微小質量を高精度に計量できる。
【0011】
請求項4に係るロードセルは、前記起歪体と、この起歪体に装着された第1荷重検出機構および第2荷重検出機構とを有する差動型のロードセルである。すなわち、第1荷重検出機構および第2荷重検出機構のそれぞれは、起歪体の上下のビーム部のいずれか一方に取り付けられた基部と、この基部に支点を介して支持されたてこ部と、前記基部とてこ部との間に取り付けられ、加えられた荷重に応じて固有振動数が変化する音叉振動子とを備え、前記てこ部の荷重点が前記上下のビーム部の他方に連結されており、荷重が可動部に加えられたとき、一方の荷重検出機構の音叉振動子に引張力が作用し、他方の荷重検出機構の音叉振動子に圧縮力が作用するように設定されている。
【0012】
請求項5に係るロードセルは、請求項4において、前記両荷重検出機構が起歪体の前後面の一方に装着されている。
【0013】
また、請求項6に係るロードセルは、請求項4において、前記第1の荷重検出機構が起歪体の前面に、前記第2の荷重検出機構が起歪体の後面にそれぞれ装着されている。
【0014】
上記請求項4ないし請求項6のロードセルによれば、第1および第2荷重検出機構は、起歪体の上下のビーム部間に取り付けられているので、固定部および可動部からの熱の影響を低減して、温度変化に対するゼロ点安定性を向上させるとともに、両荷重検出機構の音叉振動子の一方が引張型で他方が圧縮型となるので、両音叉振動子の周波数変化から荷重を差動型で求めることにより、起歪体の周囲の温度が変化した場合に、起歪体と音叉振動子の熱膨張係数が異なっていても、両者の温度変形が打ち消されるから、温度変化による影響を受けないので高い荷重検出精度を得ることができる。
【0015】
請求項7に係る計量装置は、上記請求項4ないし請求項6のいずれかのロードセルと、このロードセルの両荷重検出機構のそれぞれで得られた信号の差から計量値を求める計量値生成回路とを有し、基台に前記ロードセルの固定部が固定され、可動部に被計量物を支持する計量台が固定されている。従って、計量装置のゼロ点安定性を向上させて、微小質量を高精度に計量できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、この発明の一実施形態に係る音叉式ロードセルの斜視図を示し、図2に、図1のロードセルを用いた計量装置の構成図を示す。この装置は、図1に示す起歪体2およびこの起歪体2に装着された荷重検出機構3を有する音叉式ロードセル1と、図2に示す発振回路14、サイクルカウンタ16およびディジタル信号処理回路(DSP)18からなる計量値生成回路15とを備えている。
【0017】
起歪体2は、左右に固定部2aと荷重が加えられる可動部2bとが配置され、可動部2bが上下のビーム部2c,2dを介して固定部2aに支持されている。二点鎖線で示す基台Fに固定部2aが固定され、可動部2bに被計量物を支持する同様に二点鎖線で示す計量台Kが固定されている。左右の固定部2a,可動部2bと上下のビーム部2c,2dにより囲まれた部分には4隅がそれぞれ半円状の中空部9が形成されている。この中空部9の中央に向かって、上のビーム部2cから第1取付フランジ8Aが延び、下のビーム部2dから第2取付フランジ8Bが延びており、これら取付フランジ8A,8Bは、起歪体2の前面Mから凹入した位置に形成されている。これは、荷重検出機構3を起歪体2から前方向に出張ることなくこの凹部に収納するためである。また、起歪体2の上面および底面にそれぞれ中空部9に達する長円状の穴H1 を2つ形成して、この起歪体2全体のバネ定数を小さくしている。
【0018】
この起歪体2は、例えばアルミ合金材料や鉄系材料で一体型に形成されたパラレログラム(平行四辺形)構造になっている。この起歪体2に荷重検出機構3を装着したロードセル1は、付加される荷重を受けて、音叉振動子6に対し、所定の一方向のみに力を伝達することになる。
【0019】
前記荷重検出機構3は、その基部4Aが、この実施形態では下のビーム部2dから延びた第2取付フランジ8Bに、ねじB1 のような締結手段で取り付けられ、この基部4Aの右方に支点P1 を介しててこ部5Aが支持される。
【0020】
てこ部5Aは、鉛直方向に延びており、このてこ部5Aの荷重点P2 は、水平方向に延びる連結片7Bを介して、てこ部5Aの左方位置で上のビーム部2cから延びた第1取付フランジ8AにねじB2 のような締結手段で連結されている。そして、てこ部5Aの左方に位置する音叉振動子6は、基部4Aとてこ部5Aとの間にそれぞれ水平な支持片7Aを介して取り付けられている。音叉振動子6は、加えられた外力に応じて固有振動数が変化する。
【0021】
図3に、実際の形状を示す荷重検出機構3の正面図を示す。この図のように、支持片7A(固定端)と支点P1 を形成する各部分(図示α〜γ)、並びに、連結片7B(負荷端)の一部分(図示δとε)を細く加工して、ロードセル1に外力Yが加えられたときの曲げモーメントによる拘束を除去している。
【0022】
なお、図1の荷重検出機構3を上下逆にして、基部4Aを第1取付フランジ8Aに取り付け、かつ荷重点P2 を連結片7Bを介して第2取付フランジ8Bに連結するようにしてもよいし、または、左右逆にして、基部4Aの左方にてこ部5Aを位置させ、かつ音叉振動子6をてこ部5Aの右方に位置させるようにしてもよい。ただし、これらの場合には、音叉振動子6に対し圧縮力が作用することとなる。
【0023】
図2において、荷重検出機構3の音叉振動子6は、中心軸に対称にかつ平行して設けられた2枚の振動片10と、これらの両端部同士をそれぞれ結合する2個の結合部11とを備えており、結合部11の両側面にそれぞれ圧電素子12a,12bが接着や蒸着により取り付けられている。各圧電素子12a,12bは外部に設置した発振回路14に接続されている。外力を加える前に、発振回路14により圧電素子12aを励振させて2枚の振動片10を固有振動数で発振させ、その固有振動数が発振回路14に入力される。この状態で外力が加えられると、振動片10が軸方向に加えられた外力(引張力Fp または圧縮力Fc )に応じて変化した固有振動数で振動し、その固有振動数は圧電素子12bから発振回路14へ出力されて取り出される。
【0024】
また、図4に示すように、起歪体2と基部4A間に中間材36を設けている。この中間材36には、エリンバーのような恒弾性合金からなる荷重検出機構3とアルミ合金のような起歪体2の熱膨張係数の中間値をもつ、鉄系材料のようなものが用いられる。この中間材36は、荷重検出機構3の熱膨張係数に近い材質が好ましい。これは、起歪体2と基部4A間に、熱膨張係数が恒温材に近い材料を挟み込むことにより、両者間の熱履歴によるヒステリシスが減り再現性が向上し、温度補正も可能となり荷重検出精度向上に役立つからである。なお、両者間の温度変化に対する影響度によっては、この中間材36を設けなくともよい。
【0025】
さらに、第2取付フランジ8Bは溝部8Cを有している。これにより、中間材36と第2取付フランジ8Bとの接触面積を小さくしている。すなわち、起歪体2のビーム部2dから延びた第2取付フランジ8Bから荷重検出機構3の基部4Aへの受熱面積を小さくして、温度変化に対する影響を小さくするようにしている。なお、起歪体2における熱の影響度によっては、この溝部8Cを設けなくともよい。
【0026】
以下、この計量装置の動作を説明する。
図1において、計量台Kに被計量物が載せられてその荷重Wが加えられると、可動部2bは矢印Y方向に変位する。そうすると、上下のビーム部2c,2dの相対変位によって、荷重検出機構3の連結片7Bが左方向に引っ張られるので、音叉振動子6には、てこの原理で右方向に荷重Wによる引張力Fp が作用する。ここで、モータ等の発熱により固定部2aから可動部2bへ、また、高温または低温の被計量物を載せた計量皿を通して可動部2bから固定部2aへ熱が伝わり、起歪体2内の固定部2aと可動部2b間で温度勾配が生じる。従って、荷重検出機構3の音叉振動子6を固定部2aと可動部2b間に取り付けると、この間の温度勾配により、温度変化に対してゼロ点変動が大きくゼロ点安定性が劣るため、高精度を確保できない。これに対し、この発明は、荷重検出機構3が、固定部2aと可動部2bのそれぞれの温度のほぼ中間温度であって、しかも上下間で温度差が小さいビーム部2cとビーム部2d間に固定されている。このため、音叉振動子6に対する左右の固定部2a,可動部2bからの熱の影響を低減して、起歪体2の温度変化に対してゼロ点変動が小さくゼロ点安定性に優れるので、荷重Wに対応して引張力Fp は正確に作用する。
【0027】
図2の振動片10がその引張力Fp に応じて増加した固有振動数f1 で振動すると、その固有振動数f1 は発振回路14へ出力されて取り出される。この固有振動数f1 は、その周期T1 を測定するため、クロック入力Cをサイクルカウンタ16に入力してカウントし、DSP18に入力される。そして、DSP18の線形化手段22により、式(1)のF=C1 ・f12−C2 (f1 = 1/T1 )を満たすように固有振動数f1 (周期T1 )を2乗したものと引張力Fp とをリニアに関係させ、2段に設けたローパスフィルタのようなフィルタリング手段24,25によりロードセル1の固有振動数等の不要分が取り除かれる。こうして、DSP18から被計量物の荷重Wに対応した計量値として出力する。
【0028】
このように、この音叉式ロードセル1は、荷重検出機構3の音叉振動子6を起歪体2の上下のビーム間2c,2d間に取り付けるようにしているので、固定部2aと可動部2bの温度変化に対して、ゼロ点変動が小さくなるので、荷重検出精度を向上させることができる。また、中間材36および溝部8cを設けているから、温度変化に対するゼロ点変動がさらに小さくなって、荷重検出精度が一層向上する。
【0029】
さらに、起歪体2を一体型にしたことにより、つぎの利点がある。すなわち、別部品である2枚の板ばねからなるビームを用い、これらを平行に連結するために2個の連結支持部品を用いて合計4個の部品により荷重付加機構を構成すると、音叉振動子は入力に対して敏感であるので、この敏感な特性を生かすべく、これを組み込んで荷重付加機構を製作するには、上記の構成部品を精密に加工し、正確に組み立てて、微妙な調整を行うといった高度な熟練性を要していた。このため、製作が煩雑となり結合部品も必要となるので、小型化や低コスト化が困難である。これに対し、前記起歪体2は一体型であるから、荷重検出機構との組み立てが容易になり、寸法精度も機械加工時に作り込まれるので、精度の高いロードセル1を低コストで容易に製作できる。また、一体型構造のため結合部品がなくなるので、ロードセル1の小型化も図れる。
【0030】
次に、第2実施形態の計量装置について説明する。
図5に、第2実施形態に係る音叉式ロードセルの斜視図を示し、図6に、図5のロードセルを用いた計量装置の信号処理部を示す。この計量装置は、前述した起歪体2と音叉振動子6の材料の熱膨張係数の違いによる荷重検出精度低下の問題を解消するために、起歪体2の前後面の一方に2つの荷重検出機構を差動型に設けている。
【0031】
すなわち、この計量装置は、図5に示す起歪体2およびこの起歪体2に装着された第1,第2荷重検出機構3A,3Bからなる音叉式ロードセル1と、図6に示す発振回路14,カウンタ16,ディジタル信号処理回路18および引算器20からなる計量値生成回路35とを備えている。さらに、図5の二点鎖線で示す基台Fに起歪体の固定部2aが固定され、可動部2bに被計量物を支持する同様に二点鎖線で示す計量台Kが固定されている。また、第1,第2荷重検出機構3A,3Bは、第1実施形態と同様に、固定部2aまたは可動部2bからの熱の影響を小さくするために、ビーム2c,2d間に配置されている。
【0032】
この実施形態のロードセルは、第1,第2荷重検出機構3A,3Bを同一形状、同一寸法で、同一外力によって同一の周波数変化を生じるように、それぞれ一体構造で形成し、起歪体2の前面Mの上方に第1荷重検出機構3Aを装着し、下方に第2荷重検出機構3Bを装着して、両荷重検出機構3A,3Bを差動型にすることにより、両者の材料の熱膨張係数差によるゼロ点の温度依存性を補償している。
【0033】
第1荷重検出機構3Aは、起歪体2の前面Mの下方に装着されており、その基部4Aが、この実施形態ではビーム部2dから延びた第2取付フランジ8BにねじB1 のような締結手段で取り付けられ、この基部4Aの右方に支点P1 を介して、鉛直方向に延びるてこ部5Aが支持されている。てこ部5Aの荷重点P2 が、水平方向に延びる連結片7Bを介して、てこ部5Aの左方位置でビーム部2cから延びた第1取付フランジ8AにねじB2 のような締結手段で連結されている。そして、てこ部5Aの左方に位置する音叉振動子6は、基部4Aとてこ部5Aとの間にそれぞれ水平方向に延びる支持片7Aを介して取り付けられる。音叉振動子6は、加えられた外力(引張力Fp )に応じて固有振動数が変化する。
【0034】
第2荷重検出機構3Bは、起歪体2の前面Mの上方に装着されており、その基部4Bが、ビーム部2dから延びた第2取付フランジ8BにねじB1 のような締結手段で取り付けられ、この基部4Bの左方に支点P1 を介して、鉛直方向に延びるてこ部5Bが支持されている。てこ部5Bの荷重点P2 が、水平方向に延びる連結片7Bを介して、てこ部5Bの右方位置でビーム部2cから延びた第1取付フランジ8AにねじB2 のような締結手段で連結されている。そして、てこ部5Bの右方に位置する音叉振動子6は、基部4Bとてこ部5Bとの間にそれぞれ水平方向に延びる支持片7Aを介して取り付けられる。音叉振動子6は、加えられた外力(圧縮力Fc )に応じて固有振動数が変化する。
【0035】
なお、第1荷重検出機構3Aと第2荷重検出機構3Bをともに、上下逆に、すなわち、両検出機構の基部4A,4Bを、上方のビーム部2cの第1取付フランジ8Aに取り付け、両てこ部5A,5Bの荷重点P2 を、連結片7Bを介して、下方のビーム部2dの第2取付フランジ8Bに取り付けるようにしてもよい。
【0036】
また、第1荷重検出機構3Aと第2荷重検出機構3Bを互いに上下逆に、つまり、第1荷重検出機構3Aの基部4Aを下方のビーム部2dの第2取付フランジ8Bに、第2荷重検出機構3Bの基部4Bを上方のビーム部2cの第1取付フランジ8Aにそれぞれ取り付けることもできる。その場合、例えば、両てこ部5A,5Bをともに、基部4A,4Bの右方(左方でもよい)になるように配置して、第1検出機構3Aの基台4Aを、ビーム部2dから延びた第2取付フランジ8Bに取り付け、基台4Aの右方に位置するてこ部5Aの荷重点P2 を、連結片7Bを介して、ビーム部2cから延びた第1取付フランジ8Aに取り付けるとともに、第2検出機構3Bの基台4Bを、ビーム部2cから延びた第1取付フランジ8Aに取り付け、基台4Bの右方に位置するてこ部5Bの荷重点P2 を、連結片7Bを介して、ビーム部2dから延びた第2取付フランジ8Bに取り付けるようにしてもよい。
【0037】
以下、この計量装置の動作を説明する。
まず、図5の計量台Kに被計量物が載せられてその荷重Wが加えられたときに、可動部2bは矢印方向に変位する。そうすると、起歪体2の前面側に装着された第1荷重検出機構3Aの音叉振動子6には、てこの原理で上方向に荷重Wによる引張力Fp が作用する。一方、図6の圧電素子12aは発振回路14により励振されており、振動片10がその引張力Fp に応じて増加した固有振動数f1 で振動すると、その固有振動数f1 は圧電素子12bから発振回路14へ出力されて取り出される。
【0038】
この固有振動数f1 は、その周期T1 (1/f1 )を測定するために、クロック入力Cをサイクルカウンタ16に入力してカウントし、DSP18に入力される。固有振動数f1 (周期T1 )と引張力Fp とは、上記の式(1)のF=C1 ・f12−C2 (f1 = 1/T1 )の関係にあるので、DSP18の線形化手段22により、式(1)を満たすように固有振動数f1 (周期T1 )を2乗したものと引張力Fp とをリニアに関係させ、さらに、2段に設けたローパスフィルタのようなフィルタリング手段24,25によりロードセル1の固有振動数等の不要分が取り除かれる。そして、音叉振動子6の増加した固有振動数f1 (周期T1 )の2乗値に対応した引張力Fp が引算器20の一方の入力に出力される。
【0039】
一方、計量台Kに被計量物が載せられて可動部2bが矢印方向に変位すると、後面側に装着された第2荷重検出機構3Bの音叉振動子6には、てこの原理で上方向に荷重Wによる圧縮力Fc が作用する。そして、圧電素子12aを励振させた状態で、振動片10がその圧縮力Fc に応じて減少した固有振動数f2 で振動すると、その固有振動数f2 は圧電素子12bから発振回路14へ出力されて取り出される。次に、上記と同様に、カウンタ16およびDSP18を介して、音叉振動子6の減少した固有振動数f2 (周期T2 )の2乗値に対応した圧縮力−Fc が引算器20の他方の入力に出力される。
【0040】
引算器20において、第1荷重検出機構3Aからの増加した固有振動数f1 の2乗値に対応する引張力Fp から、第2荷重検出機構3Bからの減少した固有振動数f2 の2乗値に対応する圧縮力−Fc を差し引きすれば、(Fp +Fc )となる。従って、被計量物の荷重Wに対応した計量値として引算器20から出力する。
【0041】
ここで、材料の熱膨張係数の差によって生じる起歪体2と音叉振動子6の温度変化の差は、第1,第2荷重検出機構3A,3Bを差動型にしているので、以下のように打ち消され、ロードセル1のゼロ点の温度依存性が補償される。
【0042】
すなわち、このロードセル1の周囲温度が変化した場合、起歪体2と音叉振動子6の材料の熱膨張係数の差によってロードセル1内に熱応力が発生し、それは2個の起歪体2の前後面に装着された音叉振動子6に外力として伝達される。しかし、その外力は、2個の音叉振動子6に対し、同方向でかつ同じ大きさの力であるので、その力によるそれぞれの音叉振動子6の固有振動数の変化分と変化方向は同じになる。そこで、引算器20により、一方の第1荷重検出機構3Aの音叉振動子6からの変化した固有振動数に対応する力から、第2荷重検出機構3Bの音叉振動子6からの変化した固有振動数に対応する力を差し引くと、この温度変化による変化分は打ち消されて最終的な出力には現れない。従って、ロードセル1のゼロ点の温度依存性を十分に小さくすることができ、高精度化を図ることができる。
【0043】
この差動型の他の形態として、図7に、起歪体の両面に2つの荷重検出機構を差動型に設けた第3実施形態の音叉式ロードセルを示す。この場合も、第2実施形態と同様に、可動部2bまたは固定部2aからの熱の影響を小さくするために、ビーム2c,2d間に両荷重検出機構を配置している。
【0044】
この音叉式ロードセルは、起歪体2が前後に対称で、上下にも対称な形状になっており、第2実施形態と同様に、第1,第2荷重検出機構3A,3Bを同一形状、同一寸法で、同一外力によって同一の周波数変化を生じるように、それぞれ一体構造で形成し、起歪体2の前後面の一方に第1荷重検出機構3Aを装着し、他方にこれと上下逆向きの第2荷重検出機構3Bを装着して、両荷重検出機構3A,3Bを差動型にすることにより、両者の材料の熱膨張係数差によるゼロ点の温度依存性を補償している。なお、この第3実施形態のロードセルは、両荷重検出機構3A,3Bを起歪体2の両面に設けているので、温度変化に対するゼロ点変動が片面に設けたロードセルよりも小さいので、起歪体2における熱の影響は第2実施形態のロードセルよりも小さい。このロードセルからの信号を処理する回路は図6と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0045】
図7(a)において、第1荷重検出機構3Aは、起歪体2の前面M側に装着されており、その基部4Aが、ビーム部2dから延びた第2取付フランジ8BにネジB1 のような締結手段で取り付けられ、この基部4Aの右方に支点P1 を介して、鉛直方向に延びたてこ部5Aが支持されている。てこ部5Aの荷重点P2 が、水平方向に延びた連結片7Bを介して、てこ部5Aの左方位置でビーム部2cから延びた第1取付フランジ8AにネジB2 のような締結手段で連結されている。そして、てこ部5Aの左方に位置する音叉振動子6は、基部4Aとてこ部5Aとの間にそれぞれ水平方向に延びた支持片7Aを介して取り付けられる。音叉振動子6は、加えられた外力(引張力Fp )に応じて固有振動数が変化する。
【0046】
図7(b)において、第2荷重検出機構3Bは、起歪体2の後面N側に装着されている。基部4Bが、上記と同様に第2取付フランジ8Bにネジ締結等で、前面のネジB1 締結位置のほぼ反対側の位置に取り付けられており、この基部4Bの右方に支点P1 を介して、鉛直方向に延びたてこ部5Bが支持されている。てこ部5Bの荷重点P2 が、水平方向に延びた連結片7Bを介して、てこ部5Bの右方位置で上記と同様に、第1取付フランジ8Aにネジ締結等で連結されている。そして、てこ部5Bの左方に位置する音叉振動子6は、基部4Bとてこ部5Bとの間にそれぞれ水平方向に延びた支持片7Aを介して取り付けられる。音叉振動子6は、加えられた外力(圧縮力Fc )に応じて固有振動数が変化する。
【0047】
なお、第1荷重検出機構3Aと第2荷重検出機構3Bを、上下逆に、すなわち、両検出機構の基部4A,4Bを、ビーム部2cから延びた第1取付フランジ8Aに取り付け、両てこ部5A,5Bの荷重点P2 を、連結片7Bを介して、ビーム部2dから延びた第2取付フランジ8Bに取り付けるようにしてもよい。
【0048】
また、第1荷重検出機構3Aを図7(a)のように配置するとともに、(b)の第2荷重検出機構3Bを、てこ部5Bが基部4Bの左方であって、基台4Bをビーム部2cから延びた第1取付フランジ8Aに取り付け、てこ部5Bの荷重点P2 を、連結片7Bを介して、ビーム部2dから延びた第2取付フランジ8Bに取り付けるようにしてもよい。
【0049】
この計量装置により、例えば、数10〜数100mgの重量の被計量物を、100〜300回/分の高速で、かつ、1/5000〜1/10000の高精度で計量することができる。
【0050】
なお、この発明では、計量装置は被計量物の重量を選別する重量選別機や組合せ計量機に適用されているが、静止計量を行う秤量装置に適用してもよい。
【0051】
【発明の効果】
この発明の一構成によれば、荷重検出機構は、起歪体の上下のビーム部間に取り付けられている。従って、音叉振動子は、起歪体の固定部と可動部の各々の温度のほぼ中間値であって、互いの温度差も小さい上下ビーム間に固定されるので、固定部と可動部間で温度勾配があっても、固定部および可動部からの熱の影響を低減し、温度変化に対してゼロ点変動が小さくゼロ点安定性に優れるから、荷重検出精度を向上させることができる。
【0052】
また、他の構成によれば、第1および第2荷重検出機構は、起歪体の上下のビーム部間に取り付けられているので、固定部および可動部からの熱の影響を低減して、温度変化に対するゼロ点安定性を向上させるとともに、両荷重検出機構の音叉振動子の一方が引張型で他方が圧縮型となるので、両音叉振動子の周波数変化から荷重を差動型で求めることにより、起歪体の周囲の温度が変化した場合に、起歪体と音叉振動子の熱膨張係数が異なっていても、両者の温度変形が打ち消されるから、温度変化による影響を受けないので、高い荷重検出精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る音叉式ロードセルを示す斜視図である。
【図2】上記のロードセルを用いた計量装置の信号処理部を示す構成図である。
【図3】荷重検出機構を示す正面図である。
【図4】図1の音叉式ロードセルを示す部分拡大図である。
【図5】他の実施形態に係る音叉式ロードセルを示す斜視図である。
【図6】上記のロードセルを用いた計量装置の信号処理部を示す構成図である。
【図7】他の実施形態に係る音叉式ロードセルを示す側面図である。
【符号の説明】
1…音叉式ロードセル、2…起歪体、2a…固定部、2b…可動部、2c…ビーム部、3…荷重検出機構、3A…第1荷重検出機構、3B…第2荷重検出機構、4A,4B…基部、5A,5B…てこ部、6…音叉振動子、36…中間材。
【発明の属する技術分野】
この発明は、音叉式ロードセルおよびこれを用いた計量装置に関し、特に、その荷重検出精度向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、固有振動数で振動する音叉振動子に、外力を加えるとその外力に対応して固有振動数が変化し、この音叉振動子に加えられる外力Fと音叉振動子の固有振動数fについて、およそ次の式(1)の関係が成立する。
F=C1 ・f2 −C2 (C1 ,C2 ;定数) (1)
このように固有振動数が変化するのは、音叉振動子の形状が変化するのではなく、振動する物体の力学的状態(外力付加状態)により変化するものであり、音叉振動子は入力に対して敏感であるので、従来から、この入力に敏感な音叉振動子を利用した荷重検出機構が微量な質量(mg単位)を高精度に測定する電子てんびん秤等の計量装置に利用されてきた。
【0003】
ここで、高度な荷重検出精度を達成するためには、音叉振動子に対し所定の一方向にのみ外力が加えられるように、この音叉振動子を備えた荷重検出機構を組み込む荷重付加機構を構成する必要がある。このような荷重付加機構として、2ビーム型の起歪体が考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この起歪体を利用した計量装置は、起歪体の固定部が基台に固定され、可動部に被計量物を支持する計量皿が固定されるが、2ビーム型起歪体においては、モータの発熱等により固定部から可動部へ、また、高温または低温の被計量物を載せた計量皿を通して可動部から固定部へ熱が伝わり、固定部と可動部間で温度勾配を持つ。このため、音叉振動子をこのような起歪体の固定部と可動部間に取り付けると、温度変化に対してゼロ点変動が大きくゼロ点安定性が劣るため、高精度を確保できないという問題があった。
【0005】
また、荷重検出機構を起歪体に組み込んだとき、荷重検出機構とこれを取り付ける起歪体との熱膨張係数の差により、荷重検出誤差が生じる問題がある。例えば、固定部、可動部およびビーム部を一体形成した一体型の起歪体は、加工性,材料コスト面を考慮して、通常アルミ合金や鉄鋼を用いているが、音叉振動子を含む荷重検出機構は、温度によってばね定数が変化しないようにヤング率の温度係数の小さいエリンバー等の恒弾性合金を用いている。従って、起歪体の材料の熱膨張係数が音叉振動子の材料の熱膨張係数よりも大きく、起歪体寸法の温度による変化が音叉振動子よりも大きい。例えば、起歪体の材料がアルミ合金の場合、起歪体の熱膨張係数は音叉振動子の約3倍になる。このような起歪体と音叉振動子とでロードセルを構成する場合、周囲温度が変化すると両者の材料の熱膨張係数の違いによって両者のボルト締付部にすべりが生じ、ゼロ点の再現性が悪くなるので、荷重検出精度の確保が困難になる。
【0006】
この発明は、上記の問題点を解決して、温度変化に影響されることなく高精度化を図ることができる音叉式ロードセルとこれを用いた計量装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る音叉式ロードセルは、左右に固定部と荷重が加えられる可動部とが配置され、可動部が上下のビーム部を介して固定部に支持された起歪体と、この起歪体に装着された荷重検出機構とを有している。前記荷重検出機構は、前記上下のビーム部のいずれか一方に取り付けられた基部と、この基部に支点を介して支持されたてこ部と、前記基部とてこ部との間に取り付けられ、加えられた荷重に応じて固有振動数が変化する音叉振動子とを備え、前記てこ部の荷重点が前記上下のビーム部の他方に連結されている。
【0008】
上記構成によれば、荷重検出機構は、起歪体の上下のビーム部間に取り付けられている。従って、音叉振動子は、起歪体の固定部と可動部の各々の温度のほぼ中間値であって、互いの温度差も小さい上下ビーム間に固定されるので、固定部と可動部間で温度勾配があっても、固定部および可動部からの熱の影響を低減し、温度変化に対してゼロ点変動が小さくゼロ点安定性に優れるから、荷重検出精度を向上させることができる。
【0009】
請求項2に係るロードセルは、さらに、上記ビーム部と基部間に、両者の熱膨張係数の間の係数を有する材料からなる中間材を挿入している。従って、両者間の熱履歴によるヒステリシスが減少するので、温度変化に対するすべりを防止し再現性を向上して荷重検出精度を向上することができる。
【0010】
請求項3に係る計量装置は、上記請求項1または請求項2のロードセルと、このロードセルの荷重検出機構で得られた信号から計量値を求める計量値生成回路とを有し、基台に前記ロードセルの固定部が固定され、可動部に被計量物を支持する計量台が固定されている。従って、計量装置の小型化、低コスト化を図ることができるとともに、微小質量を高精度に計量できる。
【0011】
請求項4に係るロードセルは、前記起歪体と、この起歪体に装着された第1荷重検出機構および第2荷重検出機構とを有する差動型のロードセルである。すなわち、第1荷重検出機構および第2荷重検出機構のそれぞれは、起歪体の上下のビーム部のいずれか一方に取り付けられた基部と、この基部に支点を介して支持されたてこ部と、前記基部とてこ部との間に取り付けられ、加えられた荷重に応じて固有振動数が変化する音叉振動子とを備え、前記てこ部の荷重点が前記上下のビーム部の他方に連結されており、荷重が可動部に加えられたとき、一方の荷重検出機構の音叉振動子に引張力が作用し、他方の荷重検出機構の音叉振動子に圧縮力が作用するように設定されている。
【0012】
請求項5に係るロードセルは、請求項4において、前記両荷重検出機構が起歪体の前後面の一方に装着されている。
【0013】
また、請求項6に係るロードセルは、請求項4において、前記第1の荷重検出機構が起歪体の前面に、前記第2の荷重検出機構が起歪体の後面にそれぞれ装着されている。
【0014】
上記請求項4ないし請求項6のロードセルによれば、第1および第2荷重検出機構は、起歪体の上下のビーム部間に取り付けられているので、固定部および可動部からの熱の影響を低減して、温度変化に対するゼロ点安定性を向上させるとともに、両荷重検出機構の音叉振動子の一方が引張型で他方が圧縮型となるので、両音叉振動子の周波数変化から荷重を差動型で求めることにより、起歪体の周囲の温度が変化した場合に、起歪体と音叉振動子の熱膨張係数が異なっていても、両者の温度変形が打ち消されるから、温度変化による影響を受けないので高い荷重検出精度を得ることができる。
【0015】
請求項7に係る計量装置は、上記請求項4ないし請求項6のいずれかのロードセルと、このロードセルの両荷重検出機構のそれぞれで得られた信号の差から計量値を求める計量値生成回路とを有し、基台に前記ロードセルの固定部が固定され、可動部に被計量物を支持する計量台が固定されている。従って、計量装置のゼロ点安定性を向上させて、微小質量を高精度に計量できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、この発明の一実施形態に係る音叉式ロードセルの斜視図を示し、図2に、図1のロードセルを用いた計量装置の構成図を示す。この装置は、図1に示す起歪体2およびこの起歪体2に装着された荷重検出機構3を有する音叉式ロードセル1と、図2に示す発振回路14、サイクルカウンタ16およびディジタル信号処理回路(DSP)18からなる計量値生成回路15とを備えている。
【0017】
起歪体2は、左右に固定部2aと荷重が加えられる可動部2bとが配置され、可動部2bが上下のビーム部2c,2dを介して固定部2aに支持されている。二点鎖線で示す基台Fに固定部2aが固定され、可動部2bに被計量物を支持する同様に二点鎖線で示す計量台Kが固定されている。左右の固定部2a,可動部2bと上下のビーム部2c,2dにより囲まれた部分には4隅がそれぞれ半円状の中空部9が形成されている。この中空部9の中央に向かって、上のビーム部2cから第1取付フランジ8Aが延び、下のビーム部2dから第2取付フランジ8Bが延びており、これら取付フランジ8A,8Bは、起歪体2の前面Mから凹入した位置に形成されている。これは、荷重検出機構3を起歪体2から前方向に出張ることなくこの凹部に収納するためである。また、起歪体2の上面および底面にそれぞれ中空部9に達する長円状の穴H1 を2つ形成して、この起歪体2全体のバネ定数を小さくしている。
【0018】
この起歪体2は、例えばアルミ合金材料や鉄系材料で一体型に形成されたパラレログラム(平行四辺形)構造になっている。この起歪体2に荷重検出機構3を装着したロードセル1は、付加される荷重を受けて、音叉振動子6に対し、所定の一方向のみに力を伝達することになる。
【0019】
前記荷重検出機構3は、その基部4Aが、この実施形態では下のビーム部2dから延びた第2取付フランジ8Bに、ねじB1 のような締結手段で取り付けられ、この基部4Aの右方に支点P1 を介しててこ部5Aが支持される。
【0020】
てこ部5Aは、鉛直方向に延びており、このてこ部5Aの荷重点P2 は、水平方向に延びる連結片7Bを介して、てこ部5Aの左方位置で上のビーム部2cから延びた第1取付フランジ8AにねじB2 のような締結手段で連結されている。そして、てこ部5Aの左方に位置する音叉振動子6は、基部4Aとてこ部5Aとの間にそれぞれ水平な支持片7Aを介して取り付けられている。音叉振動子6は、加えられた外力に応じて固有振動数が変化する。
【0021】
図3に、実際の形状を示す荷重検出機構3の正面図を示す。この図のように、支持片7A(固定端)と支点P1 を形成する各部分(図示α〜γ)、並びに、連結片7B(負荷端)の一部分(図示δとε)を細く加工して、ロードセル1に外力Yが加えられたときの曲げモーメントによる拘束を除去している。
【0022】
なお、図1の荷重検出機構3を上下逆にして、基部4Aを第1取付フランジ8Aに取り付け、かつ荷重点P2 を連結片7Bを介して第2取付フランジ8Bに連結するようにしてもよいし、または、左右逆にして、基部4Aの左方にてこ部5Aを位置させ、かつ音叉振動子6をてこ部5Aの右方に位置させるようにしてもよい。ただし、これらの場合には、音叉振動子6に対し圧縮力が作用することとなる。
【0023】
図2において、荷重検出機構3の音叉振動子6は、中心軸に対称にかつ平行して設けられた2枚の振動片10と、これらの両端部同士をそれぞれ結合する2個の結合部11とを備えており、結合部11の両側面にそれぞれ圧電素子12a,12bが接着や蒸着により取り付けられている。各圧電素子12a,12bは外部に設置した発振回路14に接続されている。外力を加える前に、発振回路14により圧電素子12aを励振させて2枚の振動片10を固有振動数で発振させ、その固有振動数が発振回路14に入力される。この状態で外力が加えられると、振動片10が軸方向に加えられた外力(引張力Fp または圧縮力Fc )に応じて変化した固有振動数で振動し、その固有振動数は圧電素子12bから発振回路14へ出力されて取り出される。
【0024】
また、図4に示すように、起歪体2と基部4A間に中間材36を設けている。この中間材36には、エリンバーのような恒弾性合金からなる荷重検出機構3とアルミ合金のような起歪体2の熱膨張係数の中間値をもつ、鉄系材料のようなものが用いられる。この中間材36は、荷重検出機構3の熱膨張係数に近い材質が好ましい。これは、起歪体2と基部4A間に、熱膨張係数が恒温材に近い材料を挟み込むことにより、両者間の熱履歴によるヒステリシスが減り再現性が向上し、温度補正も可能となり荷重検出精度向上に役立つからである。なお、両者間の温度変化に対する影響度によっては、この中間材36を設けなくともよい。
【0025】
さらに、第2取付フランジ8Bは溝部8Cを有している。これにより、中間材36と第2取付フランジ8Bとの接触面積を小さくしている。すなわち、起歪体2のビーム部2dから延びた第2取付フランジ8Bから荷重検出機構3の基部4Aへの受熱面積を小さくして、温度変化に対する影響を小さくするようにしている。なお、起歪体2における熱の影響度によっては、この溝部8Cを設けなくともよい。
【0026】
以下、この計量装置の動作を説明する。
図1において、計量台Kに被計量物が載せられてその荷重Wが加えられると、可動部2bは矢印Y方向に変位する。そうすると、上下のビーム部2c,2dの相対変位によって、荷重検出機構3の連結片7Bが左方向に引っ張られるので、音叉振動子6には、てこの原理で右方向に荷重Wによる引張力Fp が作用する。ここで、モータ等の発熱により固定部2aから可動部2bへ、また、高温または低温の被計量物を載せた計量皿を通して可動部2bから固定部2aへ熱が伝わり、起歪体2内の固定部2aと可動部2b間で温度勾配が生じる。従って、荷重検出機構3の音叉振動子6を固定部2aと可動部2b間に取り付けると、この間の温度勾配により、温度変化に対してゼロ点変動が大きくゼロ点安定性が劣るため、高精度を確保できない。これに対し、この発明は、荷重検出機構3が、固定部2aと可動部2bのそれぞれの温度のほぼ中間温度であって、しかも上下間で温度差が小さいビーム部2cとビーム部2d間に固定されている。このため、音叉振動子6に対する左右の固定部2a,可動部2bからの熱の影響を低減して、起歪体2の温度変化に対してゼロ点変動が小さくゼロ点安定性に優れるので、荷重Wに対応して引張力Fp は正確に作用する。
【0027】
図2の振動片10がその引張力Fp に応じて増加した固有振動数f1 で振動すると、その固有振動数f1 は発振回路14へ出力されて取り出される。この固有振動数f1 は、その周期T1 を測定するため、クロック入力Cをサイクルカウンタ16に入力してカウントし、DSP18に入力される。そして、DSP18の線形化手段22により、式(1)のF=C1 ・f12−C2 (f1 = 1/T1 )を満たすように固有振動数f1 (周期T1 )を2乗したものと引張力Fp とをリニアに関係させ、2段に設けたローパスフィルタのようなフィルタリング手段24,25によりロードセル1の固有振動数等の不要分が取り除かれる。こうして、DSP18から被計量物の荷重Wに対応した計量値として出力する。
【0028】
このように、この音叉式ロードセル1は、荷重検出機構3の音叉振動子6を起歪体2の上下のビーム間2c,2d間に取り付けるようにしているので、固定部2aと可動部2bの温度変化に対して、ゼロ点変動が小さくなるので、荷重検出精度を向上させることができる。また、中間材36および溝部8cを設けているから、温度変化に対するゼロ点変動がさらに小さくなって、荷重検出精度が一層向上する。
【0029】
さらに、起歪体2を一体型にしたことにより、つぎの利点がある。すなわち、別部品である2枚の板ばねからなるビームを用い、これらを平行に連結するために2個の連結支持部品を用いて合計4個の部品により荷重付加機構を構成すると、音叉振動子は入力に対して敏感であるので、この敏感な特性を生かすべく、これを組み込んで荷重付加機構を製作するには、上記の構成部品を精密に加工し、正確に組み立てて、微妙な調整を行うといった高度な熟練性を要していた。このため、製作が煩雑となり結合部品も必要となるので、小型化や低コスト化が困難である。これに対し、前記起歪体2は一体型であるから、荷重検出機構との組み立てが容易になり、寸法精度も機械加工時に作り込まれるので、精度の高いロードセル1を低コストで容易に製作できる。また、一体型構造のため結合部品がなくなるので、ロードセル1の小型化も図れる。
【0030】
次に、第2実施形態の計量装置について説明する。
図5に、第2実施形態に係る音叉式ロードセルの斜視図を示し、図6に、図5のロードセルを用いた計量装置の信号処理部を示す。この計量装置は、前述した起歪体2と音叉振動子6の材料の熱膨張係数の違いによる荷重検出精度低下の問題を解消するために、起歪体2の前後面の一方に2つの荷重検出機構を差動型に設けている。
【0031】
すなわち、この計量装置は、図5に示す起歪体2およびこの起歪体2に装着された第1,第2荷重検出機構3A,3Bからなる音叉式ロードセル1と、図6に示す発振回路14,カウンタ16,ディジタル信号処理回路18および引算器20からなる計量値生成回路35とを備えている。さらに、図5の二点鎖線で示す基台Fに起歪体の固定部2aが固定され、可動部2bに被計量物を支持する同様に二点鎖線で示す計量台Kが固定されている。また、第1,第2荷重検出機構3A,3Bは、第1実施形態と同様に、固定部2aまたは可動部2bからの熱の影響を小さくするために、ビーム2c,2d間に配置されている。
【0032】
この実施形態のロードセルは、第1,第2荷重検出機構3A,3Bを同一形状、同一寸法で、同一外力によって同一の周波数変化を生じるように、それぞれ一体構造で形成し、起歪体2の前面Mの上方に第1荷重検出機構3Aを装着し、下方に第2荷重検出機構3Bを装着して、両荷重検出機構3A,3Bを差動型にすることにより、両者の材料の熱膨張係数差によるゼロ点の温度依存性を補償している。
【0033】
第1荷重検出機構3Aは、起歪体2の前面Mの下方に装着されており、その基部4Aが、この実施形態ではビーム部2dから延びた第2取付フランジ8BにねじB1 のような締結手段で取り付けられ、この基部4Aの右方に支点P1 を介して、鉛直方向に延びるてこ部5Aが支持されている。てこ部5Aの荷重点P2 が、水平方向に延びる連結片7Bを介して、てこ部5Aの左方位置でビーム部2cから延びた第1取付フランジ8AにねじB2 のような締結手段で連結されている。そして、てこ部5Aの左方に位置する音叉振動子6は、基部4Aとてこ部5Aとの間にそれぞれ水平方向に延びる支持片7Aを介して取り付けられる。音叉振動子6は、加えられた外力(引張力Fp )に応じて固有振動数が変化する。
【0034】
第2荷重検出機構3Bは、起歪体2の前面Mの上方に装着されており、その基部4Bが、ビーム部2dから延びた第2取付フランジ8BにねじB1 のような締結手段で取り付けられ、この基部4Bの左方に支点P1 を介して、鉛直方向に延びるてこ部5Bが支持されている。てこ部5Bの荷重点P2 が、水平方向に延びる連結片7Bを介して、てこ部5Bの右方位置でビーム部2cから延びた第1取付フランジ8AにねじB2 のような締結手段で連結されている。そして、てこ部5Bの右方に位置する音叉振動子6は、基部4Bとてこ部5Bとの間にそれぞれ水平方向に延びる支持片7Aを介して取り付けられる。音叉振動子6は、加えられた外力(圧縮力Fc )に応じて固有振動数が変化する。
【0035】
なお、第1荷重検出機構3Aと第2荷重検出機構3Bをともに、上下逆に、すなわち、両検出機構の基部4A,4Bを、上方のビーム部2cの第1取付フランジ8Aに取り付け、両てこ部5A,5Bの荷重点P2 を、連結片7Bを介して、下方のビーム部2dの第2取付フランジ8Bに取り付けるようにしてもよい。
【0036】
また、第1荷重検出機構3Aと第2荷重検出機構3Bを互いに上下逆に、つまり、第1荷重検出機構3Aの基部4Aを下方のビーム部2dの第2取付フランジ8Bに、第2荷重検出機構3Bの基部4Bを上方のビーム部2cの第1取付フランジ8Aにそれぞれ取り付けることもできる。その場合、例えば、両てこ部5A,5Bをともに、基部4A,4Bの右方(左方でもよい)になるように配置して、第1検出機構3Aの基台4Aを、ビーム部2dから延びた第2取付フランジ8Bに取り付け、基台4Aの右方に位置するてこ部5Aの荷重点P2 を、連結片7Bを介して、ビーム部2cから延びた第1取付フランジ8Aに取り付けるとともに、第2検出機構3Bの基台4Bを、ビーム部2cから延びた第1取付フランジ8Aに取り付け、基台4Bの右方に位置するてこ部5Bの荷重点P2 を、連結片7Bを介して、ビーム部2dから延びた第2取付フランジ8Bに取り付けるようにしてもよい。
【0037】
以下、この計量装置の動作を説明する。
まず、図5の計量台Kに被計量物が載せられてその荷重Wが加えられたときに、可動部2bは矢印方向に変位する。そうすると、起歪体2の前面側に装着された第1荷重検出機構3Aの音叉振動子6には、てこの原理で上方向に荷重Wによる引張力Fp が作用する。一方、図6の圧電素子12aは発振回路14により励振されており、振動片10がその引張力Fp に応じて増加した固有振動数f1 で振動すると、その固有振動数f1 は圧電素子12bから発振回路14へ出力されて取り出される。
【0038】
この固有振動数f1 は、その周期T1 (1/f1 )を測定するために、クロック入力Cをサイクルカウンタ16に入力してカウントし、DSP18に入力される。固有振動数f1 (周期T1 )と引張力Fp とは、上記の式(1)のF=C1 ・f12−C2 (f1 = 1/T1 )の関係にあるので、DSP18の線形化手段22により、式(1)を満たすように固有振動数f1 (周期T1 )を2乗したものと引張力Fp とをリニアに関係させ、さらに、2段に設けたローパスフィルタのようなフィルタリング手段24,25によりロードセル1の固有振動数等の不要分が取り除かれる。そして、音叉振動子6の増加した固有振動数f1 (周期T1 )の2乗値に対応した引張力Fp が引算器20の一方の入力に出力される。
【0039】
一方、計量台Kに被計量物が載せられて可動部2bが矢印方向に変位すると、後面側に装着された第2荷重検出機構3Bの音叉振動子6には、てこの原理で上方向に荷重Wによる圧縮力Fc が作用する。そして、圧電素子12aを励振させた状態で、振動片10がその圧縮力Fc に応じて減少した固有振動数f2 で振動すると、その固有振動数f2 は圧電素子12bから発振回路14へ出力されて取り出される。次に、上記と同様に、カウンタ16およびDSP18を介して、音叉振動子6の減少した固有振動数f2 (周期T2 )の2乗値に対応した圧縮力−Fc が引算器20の他方の入力に出力される。
【0040】
引算器20において、第1荷重検出機構3Aからの増加した固有振動数f1 の2乗値に対応する引張力Fp から、第2荷重検出機構3Bからの減少した固有振動数f2 の2乗値に対応する圧縮力−Fc を差し引きすれば、(Fp +Fc )となる。従って、被計量物の荷重Wに対応した計量値として引算器20から出力する。
【0041】
ここで、材料の熱膨張係数の差によって生じる起歪体2と音叉振動子6の温度変化の差は、第1,第2荷重検出機構3A,3Bを差動型にしているので、以下のように打ち消され、ロードセル1のゼロ点の温度依存性が補償される。
【0042】
すなわち、このロードセル1の周囲温度が変化した場合、起歪体2と音叉振動子6の材料の熱膨張係数の差によってロードセル1内に熱応力が発生し、それは2個の起歪体2の前後面に装着された音叉振動子6に外力として伝達される。しかし、その外力は、2個の音叉振動子6に対し、同方向でかつ同じ大きさの力であるので、その力によるそれぞれの音叉振動子6の固有振動数の変化分と変化方向は同じになる。そこで、引算器20により、一方の第1荷重検出機構3Aの音叉振動子6からの変化した固有振動数に対応する力から、第2荷重検出機構3Bの音叉振動子6からの変化した固有振動数に対応する力を差し引くと、この温度変化による変化分は打ち消されて最終的な出力には現れない。従って、ロードセル1のゼロ点の温度依存性を十分に小さくすることができ、高精度化を図ることができる。
【0043】
この差動型の他の形態として、図7に、起歪体の両面に2つの荷重検出機構を差動型に設けた第3実施形態の音叉式ロードセルを示す。この場合も、第2実施形態と同様に、可動部2bまたは固定部2aからの熱の影響を小さくするために、ビーム2c,2d間に両荷重検出機構を配置している。
【0044】
この音叉式ロードセルは、起歪体2が前後に対称で、上下にも対称な形状になっており、第2実施形態と同様に、第1,第2荷重検出機構3A,3Bを同一形状、同一寸法で、同一外力によって同一の周波数変化を生じるように、それぞれ一体構造で形成し、起歪体2の前後面の一方に第1荷重検出機構3Aを装着し、他方にこれと上下逆向きの第2荷重検出機構3Bを装着して、両荷重検出機構3A,3Bを差動型にすることにより、両者の材料の熱膨張係数差によるゼロ点の温度依存性を補償している。なお、この第3実施形態のロードセルは、両荷重検出機構3A,3Bを起歪体2の両面に設けているので、温度変化に対するゼロ点変動が片面に設けたロードセルよりも小さいので、起歪体2における熱の影響は第2実施形態のロードセルよりも小さい。このロードセルからの信号を処理する回路は図6と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0045】
図7(a)において、第1荷重検出機構3Aは、起歪体2の前面M側に装着されており、その基部4Aが、ビーム部2dから延びた第2取付フランジ8BにネジB1 のような締結手段で取り付けられ、この基部4Aの右方に支点P1 を介して、鉛直方向に延びたてこ部5Aが支持されている。てこ部5Aの荷重点P2 が、水平方向に延びた連結片7Bを介して、てこ部5Aの左方位置でビーム部2cから延びた第1取付フランジ8AにネジB2 のような締結手段で連結されている。そして、てこ部5Aの左方に位置する音叉振動子6は、基部4Aとてこ部5Aとの間にそれぞれ水平方向に延びた支持片7Aを介して取り付けられる。音叉振動子6は、加えられた外力(引張力Fp )に応じて固有振動数が変化する。
【0046】
図7(b)において、第2荷重検出機構3Bは、起歪体2の後面N側に装着されている。基部4Bが、上記と同様に第2取付フランジ8Bにネジ締結等で、前面のネジB1 締結位置のほぼ反対側の位置に取り付けられており、この基部4Bの右方に支点P1 を介して、鉛直方向に延びたてこ部5Bが支持されている。てこ部5Bの荷重点P2 が、水平方向に延びた連結片7Bを介して、てこ部5Bの右方位置で上記と同様に、第1取付フランジ8Aにネジ締結等で連結されている。そして、てこ部5Bの左方に位置する音叉振動子6は、基部4Bとてこ部5Bとの間にそれぞれ水平方向に延びた支持片7Aを介して取り付けられる。音叉振動子6は、加えられた外力(圧縮力Fc )に応じて固有振動数が変化する。
【0047】
なお、第1荷重検出機構3Aと第2荷重検出機構3Bを、上下逆に、すなわち、両検出機構の基部4A,4Bを、ビーム部2cから延びた第1取付フランジ8Aに取り付け、両てこ部5A,5Bの荷重点P2 を、連結片7Bを介して、ビーム部2dから延びた第2取付フランジ8Bに取り付けるようにしてもよい。
【0048】
また、第1荷重検出機構3Aを図7(a)のように配置するとともに、(b)の第2荷重検出機構3Bを、てこ部5Bが基部4Bの左方であって、基台4Bをビーム部2cから延びた第1取付フランジ8Aに取り付け、てこ部5Bの荷重点P2 を、連結片7Bを介して、ビーム部2dから延びた第2取付フランジ8Bに取り付けるようにしてもよい。
【0049】
この計量装置により、例えば、数10〜数100mgの重量の被計量物を、100〜300回/分の高速で、かつ、1/5000〜1/10000の高精度で計量することができる。
【0050】
なお、この発明では、計量装置は被計量物の重量を選別する重量選別機や組合せ計量機に適用されているが、静止計量を行う秤量装置に適用してもよい。
【0051】
【発明の効果】
この発明の一構成によれば、荷重検出機構は、起歪体の上下のビーム部間に取り付けられている。従って、音叉振動子は、起歪体の固定部と可動部の各々の温度のほぼ中間値であって、互いの温度差も小さい上下ビーム間に固定されるので、固定部と可動部間で温度勾配があっても、固定部および可動部からの熱の影響を低減し、温度変化に対してゼロ点変動が小さくゼロ点安定性に優れるから、荷重検出精度を向上させることができる。
【0052】
また、他の構成によれば、第1および第2荷重検出機構は、起歪体の上下のビーム部間に取り付けられているので、固定部および可動部からの熱の影響を低減して、温度変化に対するゼロ点安定性を向上させるとともに、両荷重検出機構の音叉振動子の一方が引張型で他方が圧縮型となるので、両音叉振動子の周波数変化から荷重を差動型で求めることにより、起歪体の周囲の温度が変化した場合に、起歪体と音叉振動子の熱膨張係数が異なっていても、両者の温度変形が打ち消されるから、温度変化による影響を受けないので、高い荷重検出精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る音叉式ロードセルを示す斜視図である。
【図2】上記のロードセルを用いた計量装置の信号処理部を示す構成図である。
【図3】荷重検出機構を示す正面図である。
【図4】図1の音叉式ロードセルを示す部分拡大図である。
【図5】他の実施形態に係る音叉式ロードセルを示す斜視図である。
【図6】上記のロードセルを用いた計量装置の信号処理部を示す構成図である。
【図7】他の実施形態に係る音叉式ロードセルを示す側面図である。
【符号の説明】
1…音叉式ロードセル、2…起歪体、2a…固定部、2b…可動部、2c…ビーム部、3…荷重検出機構、3A…第1荷重検出機構、3B…第2荷重検出機構、4A,4B…基部、5A,5B…てこ部、6…音叉振動子、36…中間材。
Claims (7)
- 左右に固定部と荷重が加えられる可動部とが配置され、可動部が上下のビーム部を介して固定部に支持された起歪体と、この起歪体に装着された荷重検出機構とを有するロードセルであって、
前記荷重検出機構は、
前記上下のビーム部のいずれか一方に取り付けられた基部と、この基部に支点を介して支持されたてこ部と、前記基部とてこ部との間に取り付けられ、加えられた荷重に応じて固有振動数が変化する音叉振動子とを備え、
前記てこ部の荷重点が前記上下のビーム部の他方に連結されている音叉式ロードセル。 - 請求項1において、
上記ビーム部と基部間に、両者の熱膨張係数の間の係数を有する材料からなる中間材を挿入している音叉式ロードセル。 - 請求項1または2のロードセルと、このロードセルの荷重検出機構で得られた信号から計量値を求める計量値生成回路とを有し、基台に前記ロードセルの固定部が固定され、可動部に被計量物を支持する計量台が固定された計量装置。
- 左右に固定部と荷重が加えられる可動部とが配置され、可動部が上下のビーム部を介して固定部に支持された起歪体と、この起歪体に装着された第1荷重検出機構および第2荷重検出機構とを有するロードセルであって、
第1荷重検出機構および第2荷重検出機構のそれぞれは、
起歪体の上下のビーム部のいずれか一方に取り付けられた基部と、この基部に支点を介して支持されたてこ部と、前記基部とてこ部との間に取り付けられ、加えられた荷重に応じて固有振動数が変化する音叉振動子とを備え、
前記てこ部の荷重点が前記上下のビーム部の他方に連結されており、
荷重が可動部に加えられたとき、一方の荷重検出機構の音叉振動子に引張力が作用し、他方の荷重検出機構の音叉振動子に圧縮力が作用するように設定されている音叉式ロードセル。 - 請求項4において、
前記両荷重検出機構が起歪体の前後面の一方に装着されている音叉式ロードセル。 - 請求項4において、
前記第1の荷重検出機構が起歪体の前面に、前記第2の荷重検出機構が起歪体の後面にそれぞれ装着されている音叉式ロードセル。 - 請求項4ないし6のロードセルと、このロードセルの両荷重検出機構のそれぞれで得られた信号の差から計量値を求める計量値生成回路とを有し、基台に上記ロードセルの固定部が固定され、可動部に被計量物を支持する計量台が固定された計量装置。
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