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JP3565420B2 - 自動変速機の制御方法及び装置 - Google Patents

自動変速機の制御方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、オブジェクト指向のプログラムに従って自動変速機を制御する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば車両に搭載される電子制御式の自動変速機は、各変速段を構成する歯車変速機構と、その歯車変速機構におけるトルク伝達経路を切り換える複数の摩擦係合装置と、摩擦係合装置の動作を油圧により制御する油圧制御装置と、車両の走行状態に基づいて油圧制御装置の複数のソレノイドバルブを駆動制御する電子制御装置とを備えている。
【0003】
この電子制御装置では、基本的には車速およびエンジン負荷(例えばスロットル開度)の組合せとして得られる車両の制御状態に基づいて、自動変速機の変速比を変化させる変速制御を行うか否かの判断を行い、変速を行うとの判断が為された場合(本明細書では「変速判断の成立」という)には、更に、その行うべき変速の種別(本明細書では「変速種別」という。)、即ち、第何速段から第何速段への切替であるかを決定する。そして、その決定した変速種別に応じて、ソレノイドバルブを駆動させることにより、摩擦係合装置、歯車変速機構を動作させて変速を行う。そして、その際、変速ショックを抑制するような適切な変速を実現できるよう、変速比の切換途中である変速過渡時に複数の摩擦係合装置の係合圧の調節(解放を含む)を行う制御や、自動変速機に組み合わされるトルクコンバータのロックアップクラッチの係合圧の調整(解放を含む)を行う制御等も、ソレノイドバルブを駆動することにより行われる。
【0004】
上述の様に、変速制御を行うか否かの判断は、通常、車速およびエンジン負荷の組合せからなる変速条件(本明細書では「通常変速条件」という。)に基づいて行われるが、この組合せ以外の車両制御状態に応じて予め規定された変速条件(本明細書では「特殊変速条件」という。)に基づいても行われる。
【0005】
例えば、エンジンブレーキを使用すべく、運転者がDレンジから2レンジやLレンジなどにシフトチェンジすると、その操作に応じて変速段の切替えが行われたり、また、運転者の手元のスイッチ操作に応じてアップダウンシフトを自動的に行うマニュアル変速制御、定速走行制御などの制御処理からの指令によっても変速段の切り替えが行われる。即ち、通常変速条件とは異なる特殊変速条件に応じて変速制御を行うことにより、例えば上記のように、シフトチェンジ操作、マニュアル変速制御、定速走行制御など、車両制御状態に応じた適切な変速段に切り替えるのである。
【0006】
そして特殊変速条件に応じた変速制御(以下「特殊変速制御」ともいう)をする際、車両制御状態によっては変速ショックが発生する可能性があるので、その変速判断が成立したときの当該車両制御状態に応じて変速ショックを低減するための制御が行われる。また、特殊変速制御は、通常変速条件に応じた変速制御(以下「通常変速制御」ともいう)よりも優先して行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、こうした電子制御装置を用いて自動変速機を制御するには、変速制御用のプログラムを予め電子制御装置に組み込んでおく必要があるが、発明者らは、プログラムの再利用性を高めるため、オブジェクト指向の考え方に基づいてプログラムを構築しようと考えている。
【0008】
オブジェクト指向とは、人間が行動するときの如く操作対象物(或いは制御対象物)に注目して仕事を進めるという考え方を、コンピュータシステムに適用するものであり、このオブジェクト指向では、プログラムをオブジェクトという単位で構成する。オブジェクトは、データとそのデータを処理するための手続き(メソッド)とを一まとめにしたプログラムモジュールであり、オブジェクト指向のプログラミングでは、基本的には、人・物などの物理的な「もの」毎や、計算方法・手順など概念的な「もの」毎に、制御プログラムの機能を細分化してオブジェクトを構成する。そして、オブジェクト同士のメッセージのやり取りによって、各オブジェクトを結合し、所望の制御処理を実現する。なお、本明細書中の説明において、オブジェクトを動作の主体とする表現は、実際には、CPUがオブジェクトに従って動作する(換言すれば、CPUがオブジェクトのメソッドに従う手続きを実行する)ことを意味する。
【0009】
この様なオブジェクト指向の考え方を適用して、自動変速機を構成する駆動部品(例えばソレノイドバルブ)毎にオブジェクトを構成すれば、駆動部品の仕様が変更される場合であっても、変速制御用プログラムの内、変更される部品に対応するプログラム部分(即ち、その部品に対応するオブジェクト)のみを書換又は交換するだけで対応できる。即ち、プログラムを再利用しやすくなり、システム開発期間の短縮を図ることが可能となる。
【0010】
しかし、単純に自動変速機の駆動部品毎にオブジェクトを設けるというだけでは、従来の電子制御装置(即ち、オブジェクト指向の考え方に基づかないプログラムに従って動作するもの)と同様な特殊変速制御を実現することは困難である。例えば、変速判断が通常変速条件に基づいて成立したか或いは特殊変速条件に基づいて成立したかによって、実現すべき変速制御の内容(例えば変速ショックの抑制するための制御など)が異なるが、通常変速制御を実行している時に特殊変速条件が成立した場合、その特殊変速制御を優先的に行うことは、単純に自動変速機の駆動部品毎にオブジェクトを設けるというだけでは困難である。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、オブジェクト指向の考え方に基づくプログラムに従って自動変速機を制御するに当たり、車速及びエンジン負荷の組合せ以外の変速条件に基づいて変速段の切替えを行う場合であっても、適切な変速制御を実現可能とすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するためになされた本発明(請求項1記載)は、所定のオブジェクトに従って自動変速機の各駆動部品に対する駆動制御処理を夫々実行可能に構成されると共に、実行すべき駆動制御処理の内容は所定の入力情報に基づき、自ら決定するよう構成された駆動制御手段により、該自動変速機を制御する方法である。
【0013】
かかるオブジェクトは、車両に搭載される自動変速機の制御プログラムを、駆動部品毎に分割することにより構成されたものである。また駆動制御手段は、マイクロコンピュータのCPUがオブジェクトに従って動作することで実現される機能手段である。つまり、マイクロコンピュータのCPUがオブジェクトのメソッドを実行することにより、そのオブジェクトに割り振られた機能、即ち、所定の入力情報に基づいた各駆動部品に対する駆動制御処理が決定され、その決定された内容の駆動制御が実現される。
【0014】
そして本発明(請求項1)の自動変速機の制御方法では、通常変速条件および特殊変速条件に応じて、変速制御を行うべきかどうかの判断を行う。なお、通常変速条件とは、車速およびエンジン負荷の組合せにて規定される条件である。車速とは、制御対象である自動変速機が搭載された車両の車速であり、例えば自動変速機の出力軸の回転数などとして検出される。また、エンジン負荷とは、車両に搭載される内燃機関に加わる負荷であり、例えば上記「従来の技術」の項で説明した如く、内燃機関への供給空気量を調整するためのスロットル弁の開度(即ち、スロットル開度)として検出することができ、また、単位時間当たりの空気流量(即ち空気流速)としても検出できるものである。一方、特殊変速条件とは、「車速およびエンジン負荷の組合せ」以外の車両制御状態を示すパラメータで規定される条件であって、例えば上記「従来の技術」の項で説明した如くの条件である。
【0015】
そして、上記判断の結果、変速判断(変速制御を行うべき旨の判断)が成立すると、当該行うべき変速制御の種別を示す変速種別情報を、駆動制御手段に対し前記入力情報として入力する。またその際、変速判断が特殊変速条件に基づいて成立したとき(換言すれば、特殊変速条件が成立している状態で、変速判断が成立したとき)には、更に、その特殊変速条件を示す特殊変速情報を、その駆動制御手段(即ち、上記変速種別情報の出力先)に対して入力する。これにより、駆動制御手段に、駆動制御手段自らが実行すべき駆動制御処理の内容を、入力情報(つまり、変速種別情報および該当する場合には特殊変速情報)に基づいて決定させ、その決定した内容の処理を行わせるのである。
【0016】
即ち、駆動制御処理の具体的な内容(例えば、駆動タイミングや、駆動部品がソレノイドバルブである場合には、ソレノイドに対する通電のデューティ比、通電周期など)を決定するには各駆動部品の定格や性能を考慮する必要がある。しかし、そういった処理の細部まで予め決定した上で、必要な駆動制御処理を起動するようにしたのでは、駆動部品の仕様が変更された場合に、自動変速機の制御方法が変わってしまうこととなり、自動変速機の制御が困難となる。
【0017】
そこで、請求項1記載の自動変速機の制御方法においては、駆動制御処理の内容を、駆動部品毎に設けられたオブジェクトに従って動作する個々の駆動制御手段に決定させることとしている。このため、駆動部品の個々の仕様が変更された場合であっても、駆動制御手段(即ち、駆動制御手段が従うオブジェクト)を変更すれば対応できる。
【0018】
また、オブジェクト指向の考え方に基づいて駆動部品(アクチュエータ)毎にオブジェクトを設けるといっても、様々な構成が考えられる。例えば、各駆動部品毎に設けられたオブジェクトが個々に判断を行い、変速判断が成立した時に、通常変速制御や特殊変速制御を実現するための駆動制御処理を行うような構成とすることも考えられる。ところが、自動変速機の変速段の切替においては複数の駆動部品の並列的な動作が要求されることが多く、それらの動作タイミングを合わせる必要があるにもかかわらず、その様な構成としたのでは、異なるオブジェクトが互いに駆動制御処理のタイミングを合わせることが困難となり、適切な変速制御を実現することができなくなってしまう。また各駆動制御手段が個々に判断(変速制御をするかどうかの判断)を行うのでは、同様な処理を繰り返し行うこととなり、時間的なロスが生じることとなる。
【0019】
そこで、請求項1記載の自動変速機の制御方法においては、変速制御をするかどうかの判断をまとめて行うこととし、変速判断が成立すると、変速種別情報(および所定の場合には特殊変速情報)を駆動制御手段に伝達する。そして、変速制御手段に、変速種別情報(及び特殊変速情報)に応じた駆動制御処理の内容を決定させ、その内容の処理をを行わせる。
【0020】
このため、本発明(請求項1記載)の自動変速機の制御方法によれば、オブジェクト指向のプログラムに従って制御することによる利点(即ちプログラムの独立性・再利用性の向上)を得つつ、変速制御に必要な複数の駆動部品を適切なタイミングで駆動させることが可能となる。即ち、各駆動制御手段は、例えば変速種別情報を受けたタイミングを基準として駆動制御処理のタイミングを定め、他の駆動制御手段と協調した動作を実現できることとなり、適切な変速制御を行うことができるのである。
【0021】
なお、特殊変速情報は、必ずしも、変速種別情報を送るための駆動制御要求メッセージと同タイミングで駆動制御手段に対して出力する必要はないが、駆動制御要求メッセージに含めてもよい。即ち、請求項2に記載の様に、特殊変速情報は、変速種別情報に加えて、駆動制御要求メッセージに含めて出力してもよい。この様な請求項2によれば、請求項1と同様な効果を得ることができる。
【0022】
さて、駆動制御要求メッセージは、少なくとも実行すべき変速制御(決定された変速種別によって示される変速制御)に必要な駆動制御手段に伝達されればよい。その為には、例えば、その「当該変速制御に必要な駆動制御手段(オブジェクト)」がどれであるかを判断し、該当する駆動制御手段にのみ、駆動制御要求メッセージを送るようにすることも考えられる。しかし、そうすると、仕様の変更等により、ある種別の変速制御に必要な駆動部品の組み合わせが変った場合には、駆動制御要求メッセージの出力先をも変更しなければならず面倒である。
【0023】
そこで、請求項3記載の様に、全ての駆動制御手段に対して駆動制御要求メッセージを並列に出力し、各駆動制御手段に、駆動制御処理の内容を決定させるようにすればよい。即ち、変速制御に必要な駆動制御手段を選択する判断を行わず、全ての駆動制御手段に対して駆動制御要求メッセージを出力し、各駆動制御手段には、自己(駆動制御手段)が行うべき駆動制御処理の内容(実質的に処理を行わない場合、即ち処理内容がない場合を含む)を、駆動制御要求メッセージに基づいて決定させるのである。
【0024】
従って、請求項3記載の自動変速機の制御方法によれば、変速制御に必要な駆動部品の組み合わせが変更された場合でも、その駆動部品に対応するオブジェクトのみを修正するだけで対応することができ、自動変速機の制御が容易となる。次に、請求項4に記載の自動変速機の制御装置は、車両に搭載される自動変速機の制御プログラムを所定の機能毎に分割したオブジェクトに従って、各機能を実現するための処理を行う複数の単位処理手段を備え、その単位処理手段により自動変速機を制御する制御装置である。
【0025】
この請求項4に記載の制御装置においては、駆動制御手段が、自動変速機を構成する複数の駆動部品毎に単位処理手段として設けられており、駆動部品に対する駆動制御処理の内容を所定の入力情報に基づき自ら決定し、決定した内容の駆動制御処理を夫々行う。
【0026】
また、変速制御手段が、自動変速機の変速段を切替える変速制御を行うべきかどうかの判断を、車速およびエンジン負荷の組合せにて規定される通常変速条件、及びその組合せ以外の車両制御状態にて規定される特殊変速条件に基づいて行う。そして、変速制御手段は、その判断の結果、変速制御を行うべきとの変速判断が成立すると、行うべき変速制御の種別を示す変速種別情報を含む駆動制御要求メッセージを、駆動制御手段に対し入力情報として出力する。更に、変速制御手段は、変速判断が特殊変速条件に基づいて成立した場合には、特殊変速条件を示す特殊変速情報を、駆動制御要求メッセージの出力先である駆動制御手段に対して入力情報として出力することにより、その駆動制御手段に、変速種別情報及び特殊変速情報に応じた内容の駆動制御処理を行わせる。
【0027】
従って、請求項4に記載の制御装置によれば、請求項1記載の方法を実現でき、その方法と同様の効果を得ることができる。即ち、駆動制御処理の内容を、駆動部品毎に設けられたオブジェクトに従って動作する個々の駆動制御手段に決定させることとし、変速制御手段には、変速すべきかどうかの判断を行わせ、変速判断が成立したときに変速種別情報を(また、所定の場合には、特殊変速情報も)駆動制御手段に出力させることとしている。このため、駆動部品の仕様が変更された場合であっても、駆動制御手段を変更すれば対応でき、変速制御手段は変更する必要がない。そしてまた、変速制御に必要な複数の駆動部品を適切なタイミングで駆動させることが可能となる。
【0028】
また、請求項5記載の制御装置においては、変速制御手段は、変速種別情報に加えて、特殊変速情報を前記駆動制御要求メッセージに含めて出力するよう構成されている。この制御装置によれば、請求項2記載の制御方法を実現することができ、請求項4の制御装置と同様の効果を得ることができる。
【0029】
また、請求項6記載の制御装置は、変速制御手段は、駆動制御要求メッセージを、全ての駆動制御手段に対して並列に出力することにより、各駆動制御手段に個々に駆動制御処理の内容を決定させるよう構成されている。
即ち、変速制御手段は、変速制御に必要な駆動制御手段を選択する判断を行わず、全ての駆動制御手段に対して駆動制御要求メッセージを出力し、各駆動制御手段には、自己(駆動制御手段)が行うべき駆動制御処理の内容(実質的に処理を行わない場合、即ち処理内容がない場合を含む)を、駆動制御要求メッセージに基づいて決定させるのである。
【0030】
従って、請求項6記載の自動変速機の制御装置によれば、請求項3記載の制御方法を実現することができ、その方法と同様の効果を得ることができる。即ち、変速制御に必要な駆動部品の組み合わせが変更された場合でも、その駆動部品に対応するオブジェクトのみを修正するだけで対応することができ、変速制御手段を変更する必要はほとんど無くなる。
【0031】
なお、請求項7に記載の制御装置においては、各駆動制御手段は、複数の駆動手段と、これら駆動手段の処理動作を管理するための通常変速管理手段および特殊変速管理手段とを備えている。
この駆動手段は、当該駆動制御手段にて実行すべき駆動制御処理を記述した部分のプログラムを、その処理内容に応じて分割した複数の駆動オブジェクトに従ってCPUが夫々処理を行うことによって実現される機能手段である。
【0032】
また、通常変速管理手段は、通常変速管理オブジェクトに従ってCPUが処理を行うことにより実現される機能手段である。この通常変速管理オブジェクトは、変速判断が通常変速条件に基づいて成立した場合の変速制御(通常変速制御)を実現するべく駆動手段の処理動作を管理するためのプログラムである。つまり、CPUが通常変速管理オブジェクトに従って処理を行うことにより、通常変速制御が実現される。
【0033】
また、特殊変速管理手段は、特殊変速管理オブジェクトに従ってCPUが処理を行うことにより実現される機能手段である。この特殊変速管理オブジェクトは、変速判断が特殊変速条件に基づいて成立した場合の変速制御(特殊変速制御)を実現するべく駆動手段の処理動作を管理するためのプログラムである。つまり、CPUが特殊変速管理オブジェクトに従って処理を行うことにより、特殊変速制御が実現される。
【0034】
これら通常変速管理手段および特殊変速管理手段は、具体的には、当該駆動制御手段に入力情報が入力されると、当該駆動制御手段に対応する駆動部品について実行すべき駆動制御処理の内容を入力情報に基づき夫々決定し、駆動手段のうち、その決定内容に対応するもの(即ち、実行すべき内容の駆動制御処理に必要な駆動手段)に処理依頼を出力することにより、決定した内容の駆動制御処理を実行させることを特徴とする
即ち、請求項7に記載の制御装置においては、駆動制御手段が従うオブジェクトを、駆動オブジェクト、通常変速管理オブジェクト、および特殊変速管理オブジェクトの3種類のオブジェクトを有するものとして構成する。
【0035】
そして、この内の駆動オブジェクトは、駆動制御処理機能をその制御内容に応じて区分し、その区分した機能毎に用意したものである。この様にすれば、ある区分の駆動制御処理のみに関する仕様を変更しようとする場合には、それに対応する駆動オブジェクトを変更するだけで対応できる。つまり、駆動制御処理に関する設計変更が容易となる。
【0036】
また、この様な駆動手段(即ち駆動オブジェクト)を設けた場合には、変速種別情報や特殊変速情報などの入力情報に応じて、必要な駆動手段を選択して起動させたり停止させたりするなど、駆動手段の処理動作を管理するための機能手段(仮に、管理手段という)が必要となる。ここで、全ての駆動手段を1つのオブジェクトにより実現される管理手段で管理することも考えられるが、その様にすると、通常変速制御および特殊変速制御の何れか一方に仕様変更が生じた場合に、この管理手段(即ち管理手段を実現するオブジェクト)全体を変更する必要が生じる可能性がある。
【0037】
そこで、請求項7記載の制御装置では、そうした管理手段を、通常変速管理手段と特殊変速管理手段とに分ける(即ち、駆動手段を管理するためのオブジェクトを通常変速制御用と特殊変速制御用とに分ける)ことにより、プログラムの独立性を高めているのである。
【0038】
次に、請求項8記載の制御装置においては、記憶装置が、車両に搭載される自動変速機の制御プログラムを所定の機能毎に分割してなるオブジェクトを格納しており、CPUは、車両の制御状態に応じた信号の受信および該受信信号に基づく制御信号の出力を行う制御処理を、記憶装置に格納されたオブジェクトに従って実行することにより、自動変速機を制御する。
【0039】
そして、記憶装置は、オブジェクトとして、複数の駆動制御オブジェクトと、変速判断オブジェクトと、変速制御オブジェクトとを格納する。
駆動制御オブジェクトは、自動変速機を構成する複数の駆動部品毎に設けられたオブジェクトである。駆動制御オブジェクトには、駆動部品の駆動制御処理の内容を、所定の駆動制御要求メッセージに応じて決定し、その決定した内容の駆動制御処理を夫々行う手続きが記述されている。
【0040】
また、変速判断オブジェクトは、自動変速機の変速段を切替える変速制御を行うべきかどうかの判断を、車速およびエンジン負荷の組合せにて規定される通常変速条件、およびその組合せ以外の車両制御状態にて規定される特殊変速条件に基づいて行う手続きが記述されたオブジェクトである。
【0041】
また、変速制御オブジェクトは、変速判断オブジェクトに従う処理の結果、変速制御を行うべきとの変速判断が成立すると、その行うべき変速制御の種別を示す変速種別情報を含む駆動制御要求メッセージにより、駆動制御オブジェクトに従う処理を起動させると共に、変速判断が特殊変速条件に基づいて成立したときには、更に、その特殊変速条件を示す特殊変速情報を駆動制御要求メッセージに含めて、駆動制御オブジェクトに従う処理を起動させる手続きが記述されたオブジェクトである。
【0042】
この様に構成された請求項8記載の制御装置においてCPUがこれらのオブジェクトに従って処理を行うことにより、請求項2に記載の制御方法が実現され、また、請求項5記載の制御装置が実現されることとなる。即ち、駆動制御オブジェクトに従う処理により請求項5の駆動制御手段が実現され、変速判断オブジェクトおよび変速制御オブジェクトに従う処理により請求項5の変速制御手段が実現されることとなる。
【0043】
従って、請求項8記載の制御装置によれば、請求項5記載の制御装置と同様の効果を得ることができる。即ち、駆動部品の仕様が変更された場合であっても、駆動制御オブジェクトを変更するだけで良く、変速制御手段を変更する必要はない。そしてまた、変速制御に必要な複数の駆動部品を適切なタイミングで駆動させることが可能となる。
【0044】
また、請求項9記載の制御装置においては、変速制御オブジェクトには、全ての駆動制御オブジェクトに従う処理を並列に起動させ、その全駆動制御オブジェクトに従う処理において個々に駆動制御処理の内容を決定させる手続きが記述されている。
【0045】
この様に構成された請求項9記載の制御装置においてCPUがこれらのオブジェクトに従って処理を行うことにより、請求項3に記載の制御方法が実現され、また、請求項6記載の制御装置が実現されることとなる。即ち、変速判断オブジェクトおよび変速制御オブジェクトに従う処理により請求項6の変速制御手段が実現されることとなる。
【0046】
従って、請求項9記載の制御装置によれば、請求項6記載の制御装置と同様の効果を得ることができる。即ち、変速制御に必要な駆動部品の組み合わせが変更された場合でも、その駆動部品に対応する駆動制御オブジェクトのみを修正するだけで対応することができ、変速制御オブジェクトを変更する必要はほとんど無くなる。
【0047】
なお、請求項10記載の制御装置においては、各駆動制御オブジェクトは、複数の駆動オブジェクト、通常変速管理オブジェクト、および特殊変速管理オブジェクトを備えている。
駆動オブジェクトは、当該駆動制御オブジェクトにて実現すべき駆動制御処理がその処理内容に応じて区分して記述されたオブジェクトである。
【0048】
また、通常変速管理オブジェクトは、変速判断が通常変速条件に基づき成立したときの変速制御を実現するために、前記駆動オブジェクトに従う処理動作を管理するためのプログラムであって、当該駆動制御オブジェクトに対応する駆動部品について実行すべき駆動制御処理の内容を駆動制御要求メッセージに応じて決定し、駆動オブジェクトの内その決定内容に対応するものに従う処理を起動させる手続きが記述されている。
【0049】
また、特殊変速管理オブジェクトは、変速判断が特殊変速条件に基づき成立したときの変速制御を実現するために、駆動オブジェクトに従う処理動作を管理するためのプログラムであって、当該駆動制御オブジェクトに対応する駆動部品について実行すべき駆動制御処理の内容を駆動制御要求メッセージに応じて決定し、駆動オブジェクトの内、その決定内容に対応するものに従う処理を起動させる手続きが記述されている。
【0050】
この様な請求項10の制御装置によれば、請求項7記載の制御装置を実現し、その制御装置と同様の効果を得ることができる。即ち、ある区分の駆動制御処理のみに関する仕様を変更しようとする場合には、それに対応する駆動オブジェクトを変更するだけで対応できる。つまり、駆動制御処理に関する設計変更が容易となる。
【0051】
また、駆動オブジェクトに従う処理を、通常変速管理オブジェクトおよび特殊変速管理オブジェクトの2つのオブジェクトに従う処理にて管理することとしていることから、更にプログラムの独立性を高めることができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施例としての自動変速機の制御装置について、図面と共に説明する。尚、この発明の実施の形態では、自動変速機の変速過渡時における変速ショックを低減するための制御に上記発明を適用した実施例について説明する。
【0053】
まず図1は、本発明の一実施例としての自動変速機の制御装置(以下、単に「T−ECU」という。)55が搭載される車両の全体的な制御系統を示すブロック図であり、駆動力源としてのエンジン1の出力側には自動変速機2が連結されている。エンジン1は、その出力を電気的に制御するように構成されており、エンジン1の吸気管3には、サーボモータ4によって駆動される電子スロットルバルブ5が設けられている。また、エンジン1は、燃焼室1Aの燃料噴射量を制御するインジェクタ6Aを含む燃料噴射制御装置6と、スパークプラグ7Aおよびディストリビュータ7Bおよびイグニッションコイル7Cを含む点火時期制御装置7とを備えている。
【0054】
一方、エンジン1に対する出力要求を表すアクセルペダル8の踏み込み量は、アクセルペダルスイッチ9によって検出され、その検出信号がエンジン用電子制御装置(E−ECU)10に入力されている。このエンジン用電子制御装置10は、中央演算処理装置(CPU)11、RAMやROM等からなる記憶装置12、入力インターフェース13、出力インターフェース14を主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
【0055】
なお、E−ECU10においては、アクセルペダル8の踏み込み量から、エンジン1の状態がパワーONかパワーOFFかも判定される。アクセルペダル8の踏み込み量が、基準値(予め定められた値)以上であればパワーONと判定され、基準値より小さければパワーOFFと判定される。パワーONとは、エンジン出力が大きく発生しており、エンジン1が自動変速機2の駆動系機構を駆動している状態をいい、パワーOFFとは、エンジン出力が小さく、車両が動いている場合に駆動系機構から伝わる駆動力によってエンジン1が駆動されている、即ちエンジンブレーキがかかっている状態をいう。
【0056】
このE−ECU10には、エンジン(E/G)回転数Neを検出するエンジン回転数センサ15の信号、吸入空気量Qを検出する吸入空気量センサ16の信号、吸入空気温度を検出する吸入空気温度センサ17の信号、電子スロットルバルブ5の開度を検出するスロットルセンサ18の信号などが入力されている。
【0057】
さらにE−ECU10には、自動変速機2の出力軸46の回転数(出力軸回転数)を検出する出力軸回転数センサ19の信号、エンジン水温を検出するエンジン水温センサ20の信号、ブレーキペダル21の踏み込み量を検出するブレーキスイッチ22からの信号などが入力されている。この出力軸回転数センサ19の信号に基づいて、車速が演算される。
【0058】
そしてE−ECU10においては、各種のセンサやスイッチにより検出されるデータを演算処理することで車両の走行状態が判断され、この判断結果に基づいて、電子スロットルバルブ5の開度、燃料噴射制御装置6の燃料噴射量、点火時期制御装置7の点火時期等が制御される。
【0059】
図2は、上記自動変速機2のギアトレーンの一例を示すスケルトン図であり、図2においては、前進5段・後進1段の変速段を設定する有段式の自動変速機2が示されている。自動変速機2は、トルクコンバータ23と、副変速部24と、主変速部25とを備えている。また、このトルクコンバータ23は、ポンプインペラ26に一体化させたフロントカバー27と、タービンランナ28を一体に取付けた部材、言い換えればハブ29と、ロックアップクラッチ30とを有している。
【0060】
フロントカバー27はエンジン1のクランクシャフト31に連結され、またタービンランナ28に連結された入力軸32は、副変速部24を構成するオーバドライブ用の遊星歯車機構33のキャリヤ34に連結されている。
この遊星歯車機構33を構成するキャリヤ34とサンギヤ35との間には、多板クラッチC0と一方向クラッチF0とが設けられている。この一方向クラッチF0は、サンギヤ35がキャリヤ34に対して相対的に正回転(即ち、入力軸32の回転方向と同方向に回転)した場合に係合するようになっている。そして、副変速部24の出力要素であるリングギヤ36が、主変速部25の入力要素である中間軸37に接続されている。また、サンギヤ35の回転を選択的に止める多板ブレーキB0が設けられている。
【0061】
したがって副変速部24は、多板クラッチC0もしくは一方向クラッチF0が係合した状態では、遊星歯車機構33の全体が一体となって回転するため、中間軸37が入力軸32と同速度で回転し、低速段となる。またブレーキB0を係合させてサンギヤ35の回転を止めた状態では、リングギヤ36が入力軸32に対して増速されて正回転し、高速段となる。
【0062】
他方、主変速部25は三組の遊星歯車機構38,39,40を備えており、それらの回転要素が以下のように連結されている。すなわち第1遊星歯車機構38のサンギヤ41と第2遊星歯車機構39のサンギヤ42とが互いに一体的に連結されている。また、第1遊星歯車機構38のリングギヤ43と、第2遊星歯車機構39のキャリヤ44と、第3遊星歯車機構40のキャリヤ45とが連結され、かつそのキャリヤ45に出力軸46が連結されている。さらに第2遊星歯車機構39のリングギヤ47が、第3遊星歯車機構40のサンギヤ48に連結されている。
【0063】
この主変速部25の歯車列では後進段と前進側の5つの変速段とを設定することができ、そのためのクラッチおよびブレーキが以下のように設けられている。先ずクラッチについて述べると、互いに連結されているリングギヤ47およびサンギヤ48と、中間軸37との間に第1クラッチC1が設けられている。また、互いに連結された第1遊星歯車機構38のサンギヤ41および第2遊星歯車機構39のサンギヤ42と、中間軸37との間に第2クラッチC2が設けられている。
【0064】
つぎにブレーキについて述べると、第1ブレーキB1はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機構38および第2遊星歯車機構39のサンギヤ41,42の回転を止めるように配置されている。またこれらのサンギヤ41,42とケーシング50との間には、第1一方向クラッチF1と多板ブレーキである第2ブレーキB2とが直列に配列されている。第1一方向クラッチF1はサンギヤ41,42が逆回転、つまり入力軸32の回転方向とは反対方向に回転しようとする際に係合するように構成されている。
【0065】
また多板ブレーキである第3ブレーキB3が、第1遊星歯車機構38のキャリヤ51とケーシング50との間に設けられている。そして第3遊星歯車機構40のリングギヤ52の回転を止めるブレーキとして、多板ブレーキである第4ブレーキB4と第2一方向クラッチF2とが設けられている。第4ブレーキB4および第2一方向クラッチF2は、ケーシング50とリングギヤ52との間に相互に並列に配列されている。なお、この第2一方向クラッチF2はリングギヤ52が逆回転しようとする際に係合するように構成されている。
【0066】
上記のように構成された自動変速機2においては、各クラッチやブレーキを図3に示す動作図表に示すように係合・開放することにより、前進5段・後進1段の内の何れかの変速段に設定される。なお、この図3において○印は係合状態、●印はエンジンブレーキ時に係合状態、△印は係合・解放のいずれでもよいこと、空欄は解放状態をそれぞれ示す。また、この実施例では、シフトレバー53に対するマニュアル操作により、P(パーキング)レンジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レンジ、D(ドライブ)レンジ、2レンジ、Lレンジなどの各レンジに設定可能とされ、設定されたレンジに応じた作動範囲で、変速段の切り換えが行われる。
【0067】
また、図1に示された油圧制御装置54により、自動変速機2における変速段の設定または切り換え制御、ロックアップクラッチ30の係合・解放やスリップ制御、油圧制御装置54を構成する油圧回路のライン圧の制御、摩擦係合装置(クラッチC0〜C2、ブレーキB0〜B4等)の係合圧の制御などがおこなわれる。この油圧制御装置54は電気的に制御されるもので、自動変速機2の変速を実行するための第1〜第3のシフトソレノイドバルブS1〜S3と、エンジンブレーキ状態を制御するための第4ソレノイドバルブS4とを備えている。
【0068】
さらに、油圧制御装置54は、油圧回路のライン圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLTと、自動変速機2の変速過渡時におけるアキュムレータ背圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLNと、ロックアップクラッチ30や所定の摩擦係合装置の係合圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLUとを備えており、T−ECU55に接続されている。このT−ECU55は、中央演算処理装置(CPU)56、RAMやROMなどからなる記憶装置57、入力インターフェース58、出力インターフェース59を主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
【0069】
このT−ECU55には、自動変速機2を制御するためのデータとしてスロットルセンサ18の信号、出力軸回転数センサ19の信号、エンジン水温センサ20の信号、ブレーキスイッチ22の信号、シフトレバー53のマニュアル操作を検出するシフトポジションセンサ60の信号、自動変速機2の制御に適用される変速線図を変更または補正するパターンセレクトスイッチ61の信号、オーバードライブスイッチ62の信号、多板クラッチC0の回転速度(入力軸回転数)を検出する入力軸回転数センサ63の信号、自動変速機2の作動油温を検出する油温センサ64の信号などが入力されている。
【0070】
T−ECU55とE−ECU10とは相互にデータ通信可能に接続されており、E−ECU10からT−ECU55に対しては、エンジンの一回転当たりの吸入空気量(Q/Ne)や、パワーON/OFF状態などの各種データ(即ちE−ECU10によって検出されたり、演算にて得られた情報)が送信され、またT−ECU55からE−ECU10に対しては、各ソレノイドバルブに対する指示信号と同等の信号および変速段を指示する信号などが送信されている。
【0071】
また、T−ECU55の記憶装置57には、自動変速機2の変速を制御する変速線図(変速マップ)が記憶されている。この変速線図には、車両の走行状態、例えばスロットル開度と車速とをパラメータとして、一の変速段から他の変速段に変速するための変速点が設定されている。そしてスロットル開度及び車速の組合せに基づいて変速線図を参照することにより、変速を行うかどうかの判断がなされる。即ち、変速線図上において、スロットル開度と車速との組合せで決まる現在の車両制御状態を示す点が変速点を横切ると、変速するとの判断が行われる。変速すると判断された場合は、T−ECU55から、油圧制御装置54のソレノイドバルブに対して制御信号が入力されることにより、所定の摩擦係合装置の係合・解放がおこなわれる。
【0072】
さらに、T−ECU55には、ロックアップクラッチ30の動作を制御するロックアップクラッチ制御マップが記憶されている。このロックアップクラッチ制御マップには、スロットル開度および車速をパラメータとして、ロックアップクラッチ30を係合または解放する領域、もしくはスリップ制御する領域が設定されている。さらにまた、T−ECU55は、各種のソレノイドバルブのフェールを判断し、この判断結果に基づいて車両の走行に支障が生じないように構成要素の状態を制御するフェールセーフ機能を備えている。
【0073】
一方、自動変速機2の変速過渡時においては、摩擦係合装置の係合圧、つまりトルク容量の変化や、回転部材の慣性力の変化により、自動変速機2の出力トルクが急激に変化し、このトルクの変動が変速ショックとして体感される可能性がある。そこで、自動変速機2の変速過渡時における変速ショックを抑制するために、エンジン1のトルクを低下させる制御、油圧制御装置54の油圧回路のライン圧の制御、摩擦係合装置の係合圧の制御、ロックアップクラッチ30の制御などの複数種類の制御がおこなわれる。以下、これらの制御について簡単に説明する。
【0074】
E−ECU10は、入力された信号およびデータに基づいて、燃料噴射量および点火時期ならびに電子スロットルバルブ5の開度などを制御している。そして、自動変速機2の変速過渡時には、点火時期制御装置7の点火時期を遅角させる制御、または燃料噴射制御装置6により燃料噴射量を削減する制御、もしくは電子スロットルバルブ5の開度を絞る制御のうち、少なくとも一つをおこなうことにより、エンジン1の出力トルクを一時的に低減させる制御がおこなわれる。
【0075】
また、図3に示す様に、変速段を「第2速段(2nd)」に設定するには、第3ブレーキB3を係合状態とすることが必要となるが、この第3ブレーキB3の係合圧は、リニアソレノイドバルブSLUで制御される。このリニアソレノイドバルブSLUは通電電流に比例した油圧を発生する機能を備えており、変速過渡時には、リニアソレノイドバルブSLUの通電電流のデューティ比を制御することにより、第3ブレーキB3の係合圧を調整する。
【0076】
また、油圧制御装置54の油圧回路のライン圧は、リニアソレノイドバルブSLTにより制御されている。このリニアソレノイドバルブSLTは通電電流に比例した油圧を発生する機能を備えている。そして、変速過渡時には、リニアソレノイドバルブSLTのデューティ比を制御することにより、ライン圧が調節される。
【0077】
さらに、自動変速機2の変速段を形成する摩擦係合装置の係合圧は、アキュムレータ背圧により制御されており、このアキュムレータ背圧は、リニアソレノイドバルブSLNにより調圧されている。このリニアソレノイドバルブSLNは通電電流に比例した油圧を発生する機能を備えており、変速過渡時には、リニアソレノイドバルブSLNのデューティ比を制御することにより、摩擦係合装置の係合圧を調節する。
【0078】
また、ロックアップクラッチ30の係合中に変速をおこなうと、トルクコンバータ23によるトルク変動の吸収作用が得られないため、変速ショックが増大する可能性がある。そこで、自動変速機2の変速時にロックアップクラッチ30を一時的に解放することにより、フロントカバー27から入力軸32に伝達されるトルクの変動を軽減する制御がおこなわれる。
【0079】
自動変速機2の変速ショックを抑制するための各種の制御は、自動変速機2の変速進行過程(変速段の切換過程)において実行される。このため、T−ECU55は、自動変速機2の入力軸回転数および出力軸回転数ならびに変速比(「ギア比」ともいう)などに基づいて、変速の進行度合(進行状況)をリアルタイムで判断する機能を備えている。
【0080】
変速ショックを抑制するための制御は、変速種別によって、また変速判断の起因となった変速条件(通常変速条件又は特殊変速条件)によって、その内容(例えば油圧や摩擦係合装置の係合圧の高低、ロックアップクラッチ30の係合圧の高低など)が同一の場合と異なる場合とがある。また、変速ショックの抑制のためにどの制御(例えばエンジントルク、油圧や摩擦係合装置の係合圧、ロックアップクラッチ30の係合圧の制御など)が行われるかについても、変速種別によって、また変速判断の成立の起因となった変速条件によって様々である。
【0081】
こうした動作を実現するため、自動変速機2の変速過渡時において、本実施例のT−ECU55は、図4に示す様な関連を有する複数のオブジェクトに従う制御を行う。
そのオブジェクトとしては、まず図4に示すように、「変速要求出力部SOUT」、「変速制御部SQM」を備えている。
【0082】
変速要求出力部SOUTは、車両制御状態に基づき変速判断を行うためのものである。即ち、変速要求出力部SOUTは、車両制御状態としてスロットル開度及び車速の組み合わせ(即ち通常変速条件)に基づき変速判断をおこない、また通常変速条件以外にも、運転者によるシフトレバー53の操作(レンジの切替操作)、定速制御処理における制御状態にて規定される条件(即ち特殊変速条件)などにも基づいて変速判断を行う。そして変速判断が成立した場合には、その変速種別を決定すると共に、当該変速判断がどの変速条件に基づいて成立したのかを判断する。
【0083】
一方、変速制御部SQMは、変速種別を示す変速種別情報(後述の変速パターンID)や、当該変速判断の成立の起因となった変速条件(通常変速条件又は特殊変速条件)を示す情報(後述の特殊変速パターンID)を、駆動制御要求メッセージに含めて出力する。つまり、変速要求出力部SOUTは、請求項の「変速判断オブジェクト」に相当し、変速制御部SQMは請求項の「変速制御オブジェクト」に相当する。そして、変速要求出力部SOUTおよび変速制御部SQMに従ってCPU56が動作することにより、請求項の「変速制御手段」としての機能が実現される。
【0084】
T−ECU55の動作を規定するオブジェクトとしては、こうした変速要求出力部SOUTや変速制御部SQMのほか、自動変速機2の駆動部品(即ちリニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLT)毎に設けられた、「ドメインコントローラ」、「個別制御部品」及び「出力調停部」なども備えられている。なお、これらの「ドメインコントローラ」、「個別制御部品」及び「出力調停部」に従ってCPU56が処理を行うことにより、請求項の「駆動制御手段」が実現される。
【0085】
ドメインコントローラは、上記決定された変速種別に応じて駆動制御処理の内容を決定するためのオブジェクトであり、駆動部品毎(即ち各リニアソレノイドバルブ毎)に、通常変速コントローラおよび特殊変速コントローラの2種類ずつ用意されている。
【0086】
通常変速コントローラは、変速判断が通常変速条件に基づいて成立したときの変速制御を実現するべく、各リニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLTに対する処理動作を管理するためのオブジェクトであって、請求項の「通常変速管理オブジェクト」に相当する。そして、通常変速コントローラに従ってCPU56が処理を行うことにより請求項の「通常変速管理手段」が実現される。
【0087】
また、特殊変速コントローラは、変速判断が特殊変速条件に基づいて成立したときの変速制御を実現するべく、各リニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLTに対する処理動作を管理するためのオブジェクトであって、請求項の「特殊変速管理オブジェクト」に相当するものである。そして特殊変速コントローラに従ってCPU56が処理を行うことにより、請求項の「特殊変速管理手段」が実現される。
【0088】
本実施例では、通常変速コントローラとして、通常変速アキュムレータ背圧制御部OBslnN、通常変速B3油圧制御部OBsluN、通常変速ライン圧制御部OBsltNが設けられている。また、特殊変速コントローラとして、特殊変速アキュムレータ背圧制御部OBslnS、特殊変速B3油圧制御部OBsluS、特殊変速ライン圧制御部OBslnSが設けられている。
【0089】
また、個別制御部品は、各リニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLTを夫々駆動するための駆動制御処理を行うことにより、各リニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLTを夫々駆動するためのオブジェクトである。これら個別制御部品は、具体的には、各リニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLTを駆動するための制御値を算出する算出処理を実行可能に構成され、そして、算出処理を互いに並列に実行可能に構成されている。個別制御部品は、リニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLT毎に複数個ずつ設けられており、それらも互いに並列に算出処理を実行可能とされている。
【0090】
各リニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLTに対する駆動制御処理としては、例えば単一アップシフト(例えば「1速→2速」,「2速→3速」,…)、多重アップシフト(例えば、「1速→2速→3速」,「2速→3速→4速」,…)、2−1ダウンシフト(例えば、「1速→2速→1速の場合における「2速→1速」,3速→2速→1速の場合における「2速→1速」,…)などの通常変速制御や、特殊変速制御に区分して捉えることができる。各個別制御部品は、この様に分類される個々の駆動制御処理として、リニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLTの制御値を算出するためのオブジェクトであり、夫々、そのためのメソッドを有している。
【0091】
一方、出力調停部は、個別制御部品にて算出された制御値に基づいて、各リニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLTを駆動するためのオブジェクトである。具体的にはリニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLTを駆動するための通電電流のデューティ比が、個別制御部品にて制御値として算出され、各出力調停部の有する(換言すれば、駆動部品毎に設けられた)制御値バッファ(図12参照)に記憶される。制御値バッファは、記憶装置57のRAMに定義された記憶領域であって、個別制御部品にて算出された制御値を、一旦格納しておくためのものである。制御値バッファは、夫々複数の制御値を記憶可能であるが、優先順位が定められている。各出力調停部は、最も優先順位の高い領域に有効な値として格納されている制御値を用い、夫々対応するリニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLTを駆動する。
【0092】
以上の様な個別制御部品に従ってT−ECU55のCPU56が動作することにより、請求項の「駆動手段」としての機能が実現される。つまり、個別制御部品は、請求項の「駆動オブジェクト」に相当する。なお、各個別制御部品のメソッドは、駆動制御処理の内容が、変速種別毎に分割して記述されたものである。
【0093】
以上の様なオブジェクトの構成を、自動変速機2の駆動部品毎に説明すると以下の如くである。即ち、通常変速アキュムレータ背圧制御部OBslnN及び特殊変速アキュムレータ背圧制御部OBslnSは、リニアソレノイドバルブSLNに対応して設けられたドメインコントローラであり、これを駆動するための駆動制御処理を駆動制御要求メッセージに基づいて選択・決定する。このリニアソレノイドバルブSLNを駆動するための駆動制御処理の内容は、リニアソレノイドバルブSLNに対応する個別制御部品(単一アップ変速時制御部OBsln1、多重アップ変速時制御部OBsln2、特殊アップ変速時制御部OBsln3、…等)のメソッドとして記述されている。そして、これら個別制御部品にて算出された制御値に基づいて、アキュムレータ背圧制御値出力調停部OBslnMが、リニアソレノイドバルブSLNを駆動させる。
【0094】
また、通常変速B3油圧制御部OBsluN及び特殊変速B3油圧制御部OBsluSは、リニアソレノイドバルブSLUに対応して設けられたオブジェクトであり、これを駆動するための駆動制御処理を駆動制御要求メッセージ基づいて選択・決定する。リニアソレノイドバルブSLUを駆動するための駆動制御処理の内容は、リニアソレノイドバルブSLUに対応する個別制御部品(単一アップ変速時制御部OBslu1、2−1ダウン変速時制御部OBslu2、…等)のメソッドとして、変速種別毎に記述されている。そして、これら個別制御部品にて算出された制御値に基づいて、B3油圧制御値出力調停部OBsluMが、リニアソレノイドバルブSLUを駆動させる。
【0095】
また、通常変速ライン圧制御部OBsltN及び特殊変速ライン圧制御部OBsltSは、上記リニアソレノイドバルブSLTに対応して設けられたオブジェクトであり、これを駆動するための駆動制御処理を変速種別に基づいて選択・決定する。このリニアソレノイドバルブSLTを駆動するための駆動制御処理の内容は、リニアソレノイドバルブSLTに対応する個別制御部品(単一アップ変速時制御部OBslt1、多重アップ変速時制御部OBslt2、…等)のメソッドとして、変速種別毎に記述されている。そして、これら個別制御部品にて算出された制御値に基づいて、ライン油圧制御値出力調停部OBsltMが、リニアソレノイドバルブSLTを駆動させる。
【0096】
なお、駆動部品によっては、全制御領域/一部制御領域において特殊変速制御と通常変速制御とを区別する必要のないものがある。そのため、個別制御部品は、特殊変速コントローラに制御されるものと、通常変速コントローラに制御されるものとに完全に分かれるものではない。即ち、双方のドメインコントローラからの指示(メッセージ)を受ける個別制御部品もあれば、片方のドメインコントローラからしか指示を受けないものもある。こうした駆動部品は、自動変速機のメカニカルな特性や車両として要求される制御特性により異なるので、全ての自動変速機において同じというわけではなく、様々である。
【0097】
次に、これらのオブジェクトに従いCPUが処理を行うことにより実現される動作について、メッセージ・シーケンス・チャートやフローチャート等に沿って説明する。
図5のメッセージ・シーケンス・チャートに示す様に、本実施例のT−ECU55の記憶装置57には、上記以外のオブジェクトとして、所定時間毎(本実施例では16msec毎)に、変速要求出力部SOUTに対してトリガメッセージを出力するトリガジェネレータTGNが格納されている。そして、トリガジェネレータTGNから、変速要求出力部SOUTに対してトリガメッセージが出力される(図5の▲1▼)と、変速要求出力部SOUTにより、図6に示す変速要求出力処理が行われる。
【0098】
この変速要求出力処理では、まず、S70にて、変速を行うか否かの判断を行い、変速判断が成立した場合には(S70:YES)、変速種別(第何速段から第何速段への変速であるか)を決定する。一方、変速を行わないと判断した場合(S70:NO)には、速やかに当該変速要求出力処理を一旦終了する。
【0099】
S70において、変速判断は様々な条件によって成立する。まず、(a)記憶装置57に記憶されている変速線図をスロットル開度および車速をパラメータとして参照した結果、変速判断が成立する場合である。即ち、(a)は、通常変速条件に基づいて変速判断が成立した場合である。
【0100】
また、(b)運転者がシフトレバー53をシフトチェンジした場合、(c)運転者が手元のスイッチ(図示せず)を操作した場合、(d)定速走行制御装置(定速走行ECU)70から変速段の切替要求が入力された場合などにも、変速段の切り替えが行われる場合がある。上記(a)以外の場合、即ち本実施例における(b)〜(d)の場合が、特殊変速条件に基づいて変速判断が成立した場合に相当する。
【0101】
さて、S70にて変速判断が成立した場合(YES)には、S72に移行して、変速パターンIDおよび特殊変速パターンIDを決定する。変速パターンIDは、変速種別を示す識別コードであり、S70の処理結果に基づいて決定される。また、特殊変速パターンIDは、S70における変速判断成立の起因となった変速条件を示す識別コード、即ち、変速判断が上記(a)〜(d)の内のどの場合に成立したかを示す識別コードであり、夫々(a)〜(d)毎に異なる識別コードが付与されている。なお特殊変速パターンIDの内、(a)以外、即ち本実施例では(b)〜(d)に対応するものが請求項の「特殊変速情報」に相当する。
【0102】
また、S72では、多重変速パターンIDも決定される。変速制御中にスロットル開度などが変わることにより、過去に開始された変速制御が終了する前に、新たな変速判断が成立する(所謂、多重変速)ことがある。こうした多重変速を行うに当たっては、一回の変速判断のみで完結する変速制御とは異なり、既に実行中の変速制御の進行度合に応じた動作を採ることにより、現在実行中の前段階の変速制御から、次に行うべき後段階の変速制御への適切な(例えば変速ショックを抑制可能な)移行が行われる。多重変速パターンIDは、こうした多重変速制御の際に使用される識別コードであって、現在実行中の変速制御の進行度合、その他の多重変速時に考慮すべき様々な情報(例えば、スロットル開度や、自動変速機の係合装置の係合状態など)を一括して示す識別コードである。
【0103】
この様に決定された変速パターンID、特殊変速パターンID及び必要な多重変速パターンID(以下、これらIDを指すときは、単に「変速パターンID等」という。)は、後述のS76にて変速要求出力部SOUTから変速制御部SQMに向けて送られるが、S72では、その出力タイミングも決定する。即ち、記憶装置57に予め格納されているデータテーブルを、変速パターンID等、スロットル開度、アクセルペダルスイッチ9の状態(即ちパワーON状態或いはパワーOFF状態)、ロックアップクラッチ30の状態(係合状態或いは解放状態)等の情報に基づいて参照することにより、出力タイミングが決定される。出力タイミングは、上記各種情報に応じて、様々なタイミングを基準(即ち、変速判断の成立タイミングやロックアップクラッチ30の解放タイミングなど)として設定される(以下同様)。
【0104】
こうして、S72にて、変速パターンID等およびその出力タイミングの決定が行われると、S74において、現在が出力タイミングかどうかの判断し、出力タイミングとならない間(S74:NO)は、一旦当該変速要求出力処理を終了する。そして、再び当該変速要求出力処理が起動された際に、出力タイミングであると判断した場合には(S74:YES)、S76に移行して、変速制御部SQMに対してメッセージ(変速要求メッセージ)を出力する。この変速要求メッセージには、上記の変速パターンID等が含まれている。
【0105】
以上の様な変速要求出力処理を行う変速要求出力部SOUTの機能を図示すると、図7の様になる。即ち、変速要求出力部SOUTは、変速判断部SOUTaと、出力タイミング判断部SOUTbを備えており、変速判断部SOUTaが「変速を行うかどうかの判断」を行い、上述の様にして、変速パターンID等を決定する。そして、出力タイミング判断部SOUTbが、変速パターンID等に基づいて、変速要求メッセージの出力タイミングを決定する。また、多重変速要求タイミング調停部SOUTcは、多重変速パターンIDなどに基づいて、変速要求メッセージの出力タイミングの補正情報を出力することにより、多重変速の場合を考慮した出力タイミングを、出力タイミング判断部SOUTbに決定させる。
【0106】
こうして変速要求出力部SOUTから変速制御部SQMに対して変速要求メッセージ(図5の▲2▼)が送られると、変速制御部SQMは、図8に示す様に、変速モニタ開始処理を行う。
この変速モニタ開始処理では、まず各ドメインコントローラに配送するためのメッセージ(駆動制御要求メッセージ)が夫々作成され、記憶装置57のRAM内に予め定義された記憶領域(図9)に格納される(S80)。
【0107】
S80の処理を実現するため、変速制御部SQMは、図7に示す様な複数の機能、即ち、ステートマシンSQMa、制御開始処理部SQMb、変速パターンバッファSQMcといった機能部分を備えている。
即ち、変速要求出力部SOUTから出力された変速要求メッセージは、まずステートマシンSQMaに入力される。そして、制御開始処理部SQMbは、変速要求メッセージにて送られてきた変速パターンID等に基づき、各ドメインコントローラに配送すべき駆動制御要求メッセージを、ドメインコントローラ毎に作成する。そして、その作成された複数の駆動制御要求メッセージは、変速パターンバッファSQMcにより、図9に示す如くRAM内に確保されたメッセージ格納用の記憶領域に書き込まれる。
【0108】
この記憶領域は、書き込むべき駆動制御要求メッセージのデータのサイズに合わせた所定容量の領域を一単位(図9(a))とする多数のメモリブロックが、RAM内に確保されたものである。メモリブロックは、図9(a)に示すように、メモリブロックの順序を示すためのポインタ(即ち、次の順のメモリブロックのアドレスが格納されるポインタ)と、メッセージの出力先のオブジェクトを示すオブジェクトID(OID)を格納するためのOID部と、変速パターンIDを格納するための変速パターンID部と、特殊変速パターンIDを格納するための特殊変速パターンID部と、多重変速パターンIDを格納するための多重変速パターンID部と、その出力先のオブジェクトの処理(即ちメソッド)にて使用させる引数(制御データ)のアドレスを格納する為のアドレス部と、変速パターンバッファSQMcにより駆動制御要求メッセージがメッセージ格納用の記憶領域に書き込まれる毎に採番される実行IDを格納する実行ID部とを備えている。
【0109】
実行IDは、変速制御部SQMから各ドメインコントローラに対して出される駆動制御要求メッセージを夫々区別するための識別コードである。具体的には、メッセージ記憶領域にメッセージの内容が何も格納されていない状態において、変速パターンバッファSQMcにより、駆動制御要求メッセージがメッセージ格納用の記憶領域に書き込まれると、実行IDとして「1」が採番され、上記実行ID部に格納される。そして、実行IDが「1」である駆動制御要求メッセージが既にメッセージ記憶領域に格納されている場合には、実行IDとして「2」が採番され、上記実行ID部に格納される。
【0110】
なお、制御開始処理部SQMbにより、駆動制御要求メッセージが6つのドメインコントローラ毎に作成されるので、記憶領域には6個のメッセージの内容が格納されることとなる。そして例えば、メッセージ記憶領域にメッセージの内容が何も格納されていない状態においては、この3個のメッセージに対し、実行IDとして「1」〜「6」が夫々採番され、そのメッセージ内容と共に格納される。
【0111】
次にS82では、変速時間データおよび入力回転数データの初期化が行われ、変速制御の監視(モニタリング)が新たに開始される(S82)。変速制御のモニタリングは、後述する変速モニタ処理(図17)により、変速時間データおよび入力回転数データを参照して行われ、変速時間データおよび入力回転数データの値が所定の条件を満たした時に変速制御を終了させるために行われる。なお、変速制御のモニタリングは変速要求メッセージ別に行われるものであり、前回の変速要求メッセージにより開始された変速制御が継続している場合には、その継続中の変速制御のモニタリングにおける変速時間データおよび入力回転数データとは別の新たな変数が用意され、変速時間データおよび入力回転数データの初期化が行われる。
【0112】
そして、S82の処理の後、上記S80にて格納した駆動制御要求メッセージを、各ドメインコントローラ(即ち、駆動部品毎の通常変速コントローラおよび特殊変速コントローラ)に対して同時に配送する(S84)。なお、「配送」とは、駆動制御要求メッセージに含まれる「オブジェクトID」に従い、そのオブジェクトIDを有する各オブジェクトの処理を起動させることをいう。
【0113】
こうして変速制御部SQMから、各ドメインコントローラに駆動制御要求メッセージが送られる(図5の▲3▼)と、各ドメインコントローラでは、夫々、図10に示す制御判断処理が開始される。なお、本実施例のT−ECU55は、1つのCPU57にて動作するものであり、各ドメインコントローラにより行われる制御判断処理は時分割で実行される。
【0114】
この制御判断処理は、今回変速制御部SQMから受けた(即ち、今回の制御判断処理を起動させる契機となった)駆動制御要求メッセージに基づいて、当該ドメインコントローラに対応するソレノイドバルブの駆動制御をどの様に行うかを決定するための処理である。
【0115】
この制御判断処理では、まずS90にて、記憶装置57内のメソッド情報テーブルを、変速制御部SQMからの駆動制御要求メッセージに含まれる変速パターンID等に基づき参照し、その変速パターンID等に対応する駆動制御処理を検索する。メッセージ情報テーブルとは、変速パターンID等と個別制御部品のメソッドとの対応関係が予め規定されたテーブルである。
【0116】
そして、S92にて、上記参照結果に基づき、その変速パターンID等に該当する駆動制御処理(即ちメソッド)が有るか無いかを判断する。該当するメソッドがない場合には(S92:NO)、S93にて、変速制御部SQMに対し、その旨のメッセージを出力して当該制御判断処理を終了する。なお、S93の処理の結果、変速制御部SQMにより行われる処理については、後述する(図14,図15参照)。
【0117】
一方、該当するメソッドがある場合には(S92:YES)、S94に移行し、個別制御部品に送るべきメッセージ(制御開始要求メッセージ)の内容を所定の記憶領域に格納する。即ち、S94では、実行すべきメソッドを有する個別制御部品のOIDを、変速パターンID等に基づき求める。そして、駆動制御要求メッセージに含まれている変速パターンID等、使用すべき制御データの格納アドレスおよび実行IDと共に、その求めたOIDを制御開始要求メッセージの内容として、RAM内に確保されたメッセージ格納用の記憶領域に書き込む。なお、この制御開始要求メッセージが格納される記憶領域は、上述の駆動制御要求メッセージを格納するため記憶領域とは別個のものとして、RAM内に確保されているものであるが、その構成は図9に示す如く、駆動制御要求メッセージの記憶領域と同様である。
【0118】
次にS96では、駆動制御要求メッセージに含まれている変速パターンID等に応じて、個別制御部品に対する制御開始要求メッセージの出力タイミングを決定する。また、現在、個別制御部品による駆動制御処理が行われている場合には、当該実行されている駆動制御処理にも応じて、出力タイミングが決定される。
【0119】
即ち、後述する様に、制御開始要求メッセージが個別制御部品に対して出力されると、この制御開始要求メッセージを受けた個別制御部品による駆動制御処理が開始される。そして、その駆動制御処理が終了する前に、変速要求出力部SOUTが変速要求メッセージを新たに出力すると、変速制御部SQMでは図8の変速モニタ開始処理が行われ、駆動制御要求メッセージが、各ドメインコントローラに配送されることにより、当該制御判断処理が行われる。
【0120】
こうした場合には、各ドメインコントローラは、現在個別制御部品にて実行されているメソッド(即ち、前回の駆動制御要求メッセージにより通知された変速パターンID等)や変速制御部SQMから今回受け取った駆動制御要求メッセージに含まれている変速パターンID等に応じて、変速制御をどのように実行するかを判断する。つまり、出力タイミングの決定に当たっては、当該ドメインコントローラを含む複数のドメインコントローラに対応する駆動開始要求メッセージ記憶領域の記憶内容を参照し、実行中或いは実行予定の駆動制御処理の内容も考慮される。これにより複数の駆動部品の対する駆動制御処理を同期或いは連動して行うなど、タイミングの合った駆動制御を実現している。
【0121】
さてS96にて出力タイミングを決定した後、S98にて、現在が出力タイミングかどうかの判断し、出力タイミングとなるまで待機する(S98:NO)。そして、出力タイミングになると(S98:YES)、S100にて、変速パターンID等に基づき個別制御部品に制御開始要求メッセージを配送(即ち、変速パターンID等に基づき個別制御部品のメソッドを起動)した後(図11の▲4▼、▲4▼’)、当該制御判断処理を終了する。
【0122】
S100における、変速パターンID等に基づく個別制御部品のメソッドの起動は次のように行われる。即ち、変速パターンID等と、その変速パターンID等に該当するメソッドが格納された記憶装置57における格納位置とを対応付けて記憶したメソッド情報テーブルが、予め記憶装置57に備えられている。そして、変速パターンID等に基づき、このメソッド情報テーブルを参照してメソッドのアドレスを求めて、そのメソッドを起動させるのである。なお、このメソッド情報テーブルは、ドメインコントローラ毎に異なるものである。
【0123】
以上の様な制御判断処理が各ドメインコントローラで行われ、駆動開始要求メッセージが個別制御部品に対して出力される(S100)と、この駆動開始要求メッセージを受けた個別制御部品は、まず、出力調停部に対して、自己の優先順位およびOIDを出力する(図11▲5▼、▲5▼’)。
【0124】
なお、この駆動開始要求メッセージが、請求項における「駆動手段のうち決定内容に対応するものに対して出力される処理依頼」に相当する。
また、個別制御部品には、通常変速コントローラおよび特殊変速コントローラの両ドメインコントローラから制御開始要求メッセージが配送される場合もあるし、両ドメインコントローラの内の一方だけから配送される場合もある。そして何れの結果となるかは、変速要求出力部SOUTから出力された変速パターンID等に応じて、駆動部品毎に異なるが、ここでは、両ドメインコントローラから個別制御部品に対して制御開始要求メッセージが配送される場合を例にとって説明する。
【0125】
さて優先順位は、各個別制御部品に予め定められており、後述の様に、優先順位の高い個別制御部品にて算出された制御値が、各駆動部品(即ちリニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLT)の駆動制御の際に、優先的に使用される。なお優先順位とOIDとは、必ずしも1対1の対応関係にあるものではなく、同一の優先順位を有する場合がある。なお、優先順位は、各個別制御部品に固有のものとするのではなく、車両の制御状態に応じて変更することも行われる。例えば、特殊変速制御の方が、通常変速制御よりも優先される場合には、特殊変速コントローラからの制御開始要求メッセージを受ける個別制御部品と、通常変速コントローラからの制御開始要求メッセージを受ける個別制御部品とを比べると、前者の優先順位の方が高く設定される。また、車両制御状態に応じて通常変速制御の方が優先される場合には、後者の優先順位の方が高く設定される。
【0126】
出力調停部は、個別制御部品の優先順位およびOIDを受けると、制御値バッファの内の、個別制御部品の優先順位に応じた1ブロックを割り当て、そのブロックに固有の識別コードである「登録ID」を、個別制御部品に返す(図11▲6▼、▲6▼’)。例えば、図11に示す様に、個別制御部品Aから「優先順位」=「1」を受け、個別制御部品Bからは「優先順位」=「2」を受けると、個別制御部品Aに対しては、制御値バッファの内の「優先順位」=「1」である1ブロック(例えば「登録ID」=「A」で特定されるブロック)を割り当て、個別制御部品Bに対しては、制御値バッファの内の「優先順位」=「2」である1ブロック(例えば「登録ID」=「D」で特定されるブロック)を割り当てる。そして、個別制御部品Aには、「登録ID」=「A」という情報、個別制御部品Bには、「登録ID」=「D」という情報を送るのである。
【0127】
こうして「登録ID」が割り当てられた個別制御部品は、図13の様な駆動制御処理を開始する。各個別制御部品にて行われる駆動制御処理は、個別制御部品毎に、また変速パターンID等毎に異なる内容となるが、基本的には図13に示す様なものであり、トリガジェネレータTGNから所定タイミング毎(本実施例では16ms毎)に出力されるトリガメッセージに同期して起動され、後述する駆動停止要求メッセージが、当該駆動制御処理を行っている個別制御部品に送られるまで、繰り返し行われる。
【0128】
この駆動制御処理が開始されると、まず、例えば入力回転数、パワーON/OFFなどの車両制御状態を検出し(S110)、その検出結果に応じて、対応する駆動部品(即ち、ソレノイドバルブ)を駆動するための制御値(本実施例ではデューティ比)を算出する(S112)。算出される値には、必ずしも意味のある有効値だけでなく、デューティ比としては意味を為さない無効値も含まれる。例えば、ある個別制御部品に着目した場合、パワーOFF状態の時には有効値を算出するが、車両制御状態がパワーON状態の時には無効値を算出するという具合に、制御値の大小が変化するだけでなく、有効値と無効値とに切り替わる場合もある。
【0129】
その後、個別制御部品は、自己が算出した制御値を、自己に割り当てられた「登録ID」とセットにして出力調停部に対して出力することにより(図11の▲7▼,▲7▼’)、出力調停部の制御値バッファに登録する(S114)
出力調停部は、トリガジェネレータTGNからの所定時間毎(本実施例では16ms毎)トリガメッセージ(図11の▲8▼)に同期して制御値バッファに登録された制御値に応じた信号を、夫々対応する駆動部品(具体的には、リニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLTを駆動するための駆動回路)に対して出力する(図11の▲9▼)ことにより、駆動部品を駆動させる。
【0130】
なお、制御値バッファに、制御値が1つだけ登録されている場合にはそれを用いるが、複数の制御値が登録されている場合には、”優先順位”、”制御値が有効か無効か”、”登録ID”といった情報に基づいて、使用すべき制御値を一つ選択する。例えば、図12に示す様に、「登録ID」=「A」のブロック、および「登録ID」=「D」のブロックに有効な制御値(「20%」、「10%」など)が格納されている場合、優先順位の高いプロック(「優先順位」=「1」)に格納されている制御値が選択される。またその後、車両制御状態の変化により、「登録ID」=「A」のブロックに無効値(「FF」で示す)が設定され、有効な制御値が「登録ID」=「D」のブロックに格納されたものだけとなると、今度はその制御値が使用されることとなる。
【0131】
また、同じ優先順位のブロックに複数の制御値が格納されている場合は、最初(先頭)に登録されたブロックに格納された制御値を使用する。例えば、「優先順位」が「1」である、「A」及び「B」の両ブロックに有効値(有効な制御値)が登録されている場合は、有効値が先に登録された「A」のブロックが選択される。
【0132】
さて図10の制御判断処理にて、該当するメソッドがない場合には(S92:NO)、S93にて、変速制御部SQMに対しその旨のメッセージ(後述する制御終了応答メッセージ)が出力されることを上述したが、この場合における各オブジェクト間のメッセージ授受の様子を示したものが、図14のメッセージシーケンスチャートである。なお、図14において、Aで示す部分は、図5の破線の囲んだ部分(A)と同様なメッセージ授受および処理が行われることを示している。
【0133】
図14に示す様に、変速制御部SQMから駆動制御要求メッセージ(図14の▲1▼)が出力されると、各ドメインコントローラにおいて制御判断処理が実行される。上述の様に、この駆動制御要求メッセージには、「実行ID」や各ドメインコントローラの「OID」等が含まれている。そして、制御判断処理のS93の処理が実行されると、当該ドメインコントローラから変速制御部SQMに対して制御終了応答メッセージが出力される(図14の▲2▼)。この制御終了応答メッセージには、駆動制御要求メッセージで通知された「実行ID」が含まれている。
【0134】
次に、変速制御部SQMは、ステートマシンSQMaにて制御終了応答メッセージを受けると、図15に示す制御終了応答処理を行う。この制御終了応答処理では、メッセージ記憶領域に記憶されている駆動制御要求メッセージの内、上記制御終了応答メッセージに含まれている実行IDを有するものを、変速終了処理部SQMdの機能により、特定する(S150)。そして、変速パターンバッファSQMcの機能により、その特定した駆動制御要求メッセージをメッセージ記憶領域から削除する(S152)。
【0135】
つまり、変速要求メッセージが変速要求出力部SOUTから変速制御部SQMに送られると、変速制御部SQMではドメインコントローラと同数(本実施例では3つ)の駆動制御要求メッセージが作成され、その内容は夫々メッセージ記憶領域(図9)に格納される(図14のA内)。そして各ドメインコントローラに、それぞれ駆動制御要求メッセージが送られるのであるが、その駆動制御要求メッセージに含まれる変速パターンID等に対応するメソッドがない場合には、メッセージ記憶領域に記憶された当該駆動制御要求メッセージの内容は消去されることとなる。
【0136】
ところで、上述した様に、変速モニタ開始処理(図8)のS82により変速時間データおよび入力回転数データの初期化が行われると、変速制御のモニタリングが新たに開始される。そして、変速時間データや入力回転数データが所定の変速終了条件を満たすと、変速制御部SQMから制御終了要求メッセージが出力され、各個別制御部品によるリニアソレノイドバルブの駆動が停止される。こうした様子を示しているのが、図16のメッセージ・シーケンス・チャートである。
【0137】
変速制御のモニタリングは、変速制御部SQMにおける変速モニタ処理によって行われる。変速モニタ処理は、図16に示す様に、変速制御部SQMにより、トリガジェネレータTGNからの所定時間毎(本実施例では16ms毎)のトリガメッセージ(図16の▲1▼)に同期して行われる処理である。
【0138】
また、変速制御のモニタリング(即ち変速モニタ処理)は、その継続中に、新たな変速要求メッセージが変速制御部SQMに送られてきても停止されない。即ち、新たな変速要求メッセージが入力された場合には、現在継続中の変速モニタ処理を停止させるのではなく、新たな変速要求に対応する別の変速制御のモニタリングを開始するのである。従って、変速モニタ処理は、変速要求メッセージが変速制御部SQMに送られる毎に、夫々別処理として並列に実行されることとなる。そして、それぞれの変速モニタ処理において、個別に変速制御を終了すべき終了タイミングかどうかを判断し、制御終了要求メッセージ(図16の▲2▼)を出力する。
【0139】
こうした変速制御のモニタリングに関する動作について、以下に説明する。図17に示す様に、変速モニタ処理が起動されると、まずT−ECU55内に設けられた変速時間カウンタを参照して、変速時間データを初期化してからの経過時間(変速時間)を算出する(S170)。そして、その算出した変速時間が、変速パターンID等に応じて設定される所定時間を経過しているか否かを判断する(S172)。そして、変速時間が所定時間を超えていない場合には(S172:NO)、S174にて、入力回転数を求める。
【0140】
S176では、上記S174にて求めた入力回転数が、車速や変速パターンID等に応じて設定される所定の回転数に達したか否かを判断する。そして、回転数が所定回転数に到達していない場合には(S176:NO)、一旦当該変速モニタ処理を終了し、トリガジェネレータTGNからの次回のトリガメッセージにより再びS170の処理から始められる。
【0141】
一方、S172にて、変速時間が所定時間を経過したと判断された場合(YES)や、S176にて入力回転数が所定回転数に達したと判断された場合には(YES)、ステートマシンSQMaの機能により、変速制御部SQMからドメインコントローラに対して、制御終了要求メッセージ(図16の▲2▼)が出力される(S178)。この場合、必ずしも全てのドメインコントローラに対して制御終了要求メッセージが出力されるのではなく、RAMのメッセージ領域に格納されている駆動制御要求メッセージの内容を、当該実行中の変速モニタ処理に対応する実行ID(即ち、図8のS80の処理にて採番した複数の「実行ID」)に基づいて参照し、その実行IDに対応する変速制御を行っているドメインコントローラのOIDを求める。そして、その求めたOIDを持つドメインコントローラにのみ、制御終了要求メッセージを出力するのである。尚、この制御終了要求メッセージには、実行IDが含まれている。
【0142】
この様にして変速制御部SQMから出力された制御終了要求メッセージを受けたドメインコントローラは、図18に示す制御終了要求処理を行う。この制御終了要求処理では、まずS180にて、RAMのメッセージ記憶領域に格納されている制御開始要求メッセージの内容を、制御終了要求メッセージ(図16の▲2▼)に含まれている実行IDに基づき参照して、その実行IDに対応してリニアソレノイドバルブの駆動制御を行っている個別制御部品のOIDを求める。そして、S182では、その求めたOIDを有する個別制御部品に対して、実行IDを含む駆動停止要求メッセージを送る(図16の▲3▼)。
【0143】
この駆動停止要求メッセージを受けた個別制御部品は、図19に示す駆動停止処理を行う。この駆動停止処理では、まずS190にて、各リニアソレノイドバルブを駆動するための駆動制御処理(図11,12,13)を停止して、各リニアソレノイドバルブへの制御信号の出力値を、夫々所定のデフォルト値(即ち、変速制御を行わない状態における値)とする。そして、S192にて、駆動制御動作を停止(終了)した旨の駆動停止応答メッセージ(図16の▲4▼)を、上記駆動停止要求メッセージの出力元であるドメインコントローラに対して送る(S192)。なお、駆動停止応答メッセージには、駆動停止要求メッセージにて通知された実行IDが含まれている。
【0144】
さてドメインコントローラは、個別制御部品から駆動停止応答メッセージを受けると、図20に示す駆動停止応答処理を行う。この駆動停止応答処理では、メッセージ記憶領域に記憶されている制御開始要求メッセージの内、上記駆動停止応答メッセージに含まれている実行IDを有するものを特定し(S200)、その特定した制御開始要求メッセージの内容をメッセージ記憶領域から削除する(S202)。そして、変速制御部SQMに対して、上述と同様の制御終了応答メッセージ(図16の▲5▼)を送る(S204)。
【0145】
これにより、図15に示した制御終了応答処理が起動され、上述の如く、メッセージ記憶領域に記憶されている駆動制御要求メッセージの内、上記制御終了応答メッセージに含まれている実行IDを有するものが削除されることとなる(S151,S152)。
【0146】
以上の様な動作を行うよう構成された本実施例のT−ECU55によれば、例えば図21に示す様な変速制御動作が行われる。
変速要求出力部SOUTにて変速パターンID等が決定されると、変速制御部SQMに対して変速要求メッセージが出力され、次に変速制御部SQMからは各ドメインコントローラに対して駆動制御要求メッセージが出力され、更に各ドメインコントローラからは個別制御部品に対して制御開始要求メッセージが配送される。これにより、上記決定された変速パターンID等に該当する駆動制御処理(図13)が開始される(t0)。そして、入力回転数NCOが、車速や変速パターンID等の各種パラメータにより決まる目標回転数となるよう、各リニアソレノイドバルブに対する駆動制御処理が行われる。
【0147】
即ち、ライン圧制御処理により、変速パターンID等に対して予め設定されているた挙動のデューティ比でリニアソレノイドバルブSLTが駆動制御される。またB3油圧制御処理により、第3ブレーキB3の係合圧を調整するための油圧PBOが変速パターンID等に応じた態様で変化するよう、リニアソレノイドバルブSLUが駆動制御され、またアキュムレータ背圧制御処理により、アキュムレータ背圧を調整するための油圧PCOが変速パターンID等に応じた態様で変化するよう、リニアソレノイドバルブSLNが駆動制御される。
【0148】
そして変速制御部SQMでは変速モニタ処理が行われ、変速時間データと入力回転数データから変速終了タイミング(即ち、制御終了要求メッセージの出力タイミング)を判断する。例えば、入力回転数が、車速や変速パターンID等の各種パラメータにより決まる回転数B以上となると(t1)、変速制御部SQMより各ドメインコントローラに、実行IDを含む制御終了要求メッセージが出力され、各個別制御部品により行われていた駆動制御処理が停止されて変速制御動作が終了する(t2)。
【0149】
なお、図21に示した例は、ある変速種別に対応する一例を示したものであり、車速やスロットル開度などのパラメータが異なれば、決定される変速種別等(即ち、変速パターンID等)が異なり、各リニアソレノイドバルブを駆動するための駆動制御処理の様子や、目標回転数など具体的な制御内容も異なる。
【0150】
以上の様に構成され、そして動作する本実施例のT−ECU55によれば、以下の効果を奏する。
まず、各リニアソレノイドバルブSLN,SLU、SLT(以下、「駆動部品」という)に対する駆動制御処理の内容を、それら駆動部品毎に設けられたドメインコントローラにより決定するよう構成していることから、駆動部品の仕様が変更された場合であっても、それに対応するオブジェクトだけを修正或いは交換するだけで、容易に対応することができる。即ち、プログラムの独立性・再利用性が向上し、システム開発期間の短縮も可能となる。
【0151】
また、変速判断は、複数の駆動部品に共通の変速要求出力部SOUTが行い、これらの結果を示す変速パターンID等を駆動制御要求メッセージにより各ドメインコントローラに伝達することにより、各ドメインコントローラに駆動制御処理の内容を決定させるようにしている。このため、オブジェクト指向のプログラムに従って動作するという利点(即ちプログラムの独立性・再利用性の向上)を得つつ、変速制御に必要な複数の駆動部品を適切なタイミングで駆動させることができ、その結果、適切な変速制御を実現することができる。
【0152】
また変速要求出力部SOUTにて得られた変速パターンID等は、当該変速制御の実現に必要なドメインコントローラにのみ送られるのではなく(つまり、必要なドメインコントローラをわざわざ選択するのではなく)、全てのドメインコントローラに対して、変速制御部SQMからの駆動制御要求メッセージにより伝達される。そして、各ドメインコントローラに、実行すべき駆動制御処理の内容(実質的に処理を行わない場合、即ち処理内容がない場合を含む)を、駆動制御要求メッセージに基づいて決定させる。このため、ある変速制御に必要な駆動部品の組み合わせが変更された場合でも、変速要求出力部SOUTや変速制御部SQMの変更は殆ど必要なく、変更に関係する駆動部品に対応するオブジェクトのみを修正するだけで対応できる。
【0153】
また、一の駆動部品を駆動するためのオブジェクトとして、駆動制御処理の内容に応じて分割した複数の個別制御部品を用意していることから、ある区分の駆動制御処理のみに関する仕様を変更しようとする場合には、それに対応する個別制御部品を変更するだけで対応できる。つまり、駆動部品に対する駆動制御処理の設計変更が容易となり、好ましい。
【0154】
また、個別制御部品に従う処理を管理するドメインコントローラとして、各リニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLT毎に、通常変速コントローラおよび特殊変速コントローラの2種類ずつ設けている。そのため、通常変速制御および特殊変速制御の何れかが仕様変更された場合でも、いずれか対応するドメインコントローラのみを修正すれば対応できることから、更にプログラムの独立性を高めることができる。
【0155】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施例では、特殊変速制御として、レンジ切替による変速制御、スイッチ切替による変速制御、定速走行制御の一環としての変速制御などを例として挙げたが、これらに限られるものではない。
【0156】
また上記実施例では、請求項の「駆動部品」としてリニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLTを例にとって説明したが、これに限られるものではなく、その他の駆動部品に対しても本発明を適用できる。即ち、上記実施例ではリニアソレノイドバルブSLN,SLU,SLT毎にドメインコントローラ、個別制御部品などを設けるものとして説明したが、その他の駆動部品(例えば、上記実施例中のソレノイドバルブS1〜S4など)毎にもドメインコントローラ、個別制御部品などを設けて、それらに対する駆動制御処理を行うようにするとよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例としての自動変速機の電子制御装置が搭載される車両の全体構成を示す説明図である。
【図2】自動変速機のギヤトレインの一例を示すスケルトン図である。
【図3】自動変速機で各変速段を設定するための摩擦係合装置の係合・解放状態を示す説明図である。
【図4】自動変速機の電子制御装置が従う複数のオブジェクトの関連を示す説明図である。
【図5】変速種別の決定からドメインコントローラオブジェクトの制御判断処理までの処理概要を示すメッセージシーケンスチャートである。
【図6】変速要求出力部オブジェクトに従って行われる変速要求出力処理を示すフローチャートである。
【図7】変速要求出力部オブジェクトおよび変速制御部オブジェクトの機能の概略を示す説明図である。
【図8】変速制御部オブジェクトに従って行われる変速モニタ開始処理を示すフローチャートである。
【図9】駆動制御要求メッセージを格納するための記憶領域、および駆動開始要求メッセージを格納するための記憶領域を示す説明図である。
【図10】ドメインコントローラオブジェクトに従って行われる制御判断処理を示すフローチャートである。
【図11】ドメインコントローラオブジェクトによる駆動開始要求メッセージ出力から、アクチュエータ駆動までの処理の概要を示すメッセージシーケンスチャートである。
【図12】出力調停部オブジェクトの制御値バッファを示す説明図である。
【図13】個別制御部品オブジェクトに従って実行される駆動制御処理を示すフローチャートである。
【図14】変速種別に対応して実行すべきメソッドがない場合の処理概要を示すメッセージシーケンスチャートである。
【図15】変速制御部オブジェクトに従って行われる制御終了応答処理を示すフローチャートである。
【図16】変速制御の終了タイミングの判断から変速制御の終了までの処理概要を示すメッセージシーケンスチャートである。
【図17】変速制御部オブジェクトに従って行われる変速モニタ処理を示すフローチャートである。
【図18】ドメインコントローラオブジェクトに従って行われる制御終了要求処理を示すフローチャートである。
【図19】個別制御部品オブジェクトに従って行われる駆動停止処理を示すフローチャートである。
【図20】ドメインコントローラオブジェクトに従って行われる駆動停止応答処理を示すフローチャートである。
【図21】変速制御の様子の一例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
2…自動変速機
56…中央演算処理装置(CPU)
57…記憶装置
OBslnN…通常変速アキュムレータ背圧制御部オブジェクト
OBslnS…特殊変速アキュムレータ背圧制御部オブジェクト
OBsln1…単一アップ変速時制御部オブジェクト
OBsln2…多重アップ変速時制御部オブジェクト
OBsln3…特殊アップ変速時制御部オブジェクト
OBslnM…アキュムレータ背圧制御値出力調停部オブジェクト
OBsltN…通常変速ライン圧制御部オブジェクト
OBsltS…特殊変速ライン圧制御部オブジェクト
OBslt1…単一アップ変速時制御部オブジェクト
OBslt2…多重アップ変速時制御部オブジェクト
OBsltM…ライン圧制御値出力調停部オブジェクト
OBsluN…通常変速B3油圧制御部オブジェクト
OBsluS…特殊変速B3油圧制御部オブジェクト
OBslu1…単一アップ変速時制御部オブジェクト
OBslu2…2−1ダウン変速時制御部オブジェクト
OBsluM…B3油圧制御値出力調停部オブジェクト
SOUT…変速要求出力部オブジェクト(変速判断オブジェクト)
SQM…変速制御部オブジェクト(変速制御オブジェクト)
SLN、SLT、SLU…リニアソレノイドバルブ(駆動部品)

Claims (10)

  1. 車両に搭載される自動変速機の制御プログラムを該自動変速機の複数の駆動部品毎に分割してなるオブジェクトに従って、該各駆動部品に対する駆動制御処理を夫々実行可能に構成されると共に、実行すべき駆動制御処理の内容を所定の入力情報に基づき自ら決定するよう構成された駆動制御手段を用いて、該自動変速機を制御する方法であって、
    前記自動変速機の変速段を切替える変速制御を行うべきかどうかの判断を、車速およびエンジン負荷の組合せにて規定される通常変速条件、および該組合せ以外の車両制御状態にて規定される特殊変速条件に基づいて行い、
    該判断の結果、変速制御を行うべきとの変速判断が成立すると、該行うべき変速制御の種別を示す変速種別情報を含む駆動制御要求メッセージを、前記駆動制御手段に対して前記入力情報として出力すると共に、該変速判断が前記特殊変速条件に基づいて成立したときには、更に、該特殊変速条件を示す特殊変速情報を、前記駆動制御要求メッセージの出力先である駆動制御手段に対して前記入力情報として出力することにより、該駆動制御手段に、変速種別情報及び特殊変速情報に応じた内容の駆動制御処理を行わせることを特徴とする自動変速機の制御方法。
  2. 前記特殊変速情報を、前記駆動制御要求メッセージに含めて、駆動制御手段に向けて出力することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の制御方法。
  3. 前記駆動制御要求メッセージを前記全ての駆動制御手段に向けて並列に出力し、該各駆動制御手段に個々に駆動制御処理の内容を決定させることを特徴とする請求項2記載の自動変速機の制御方法。
  4. 車両に搭載される自動変速機の制御プログラムを所定の機能毎に分割したオブジェクトに従って、該各機能を実現するための処理を行う複数の単位処理手段を備え、該単位処理手段により該自動変速機を制御する制御装置であって、
    前記自動変速機を構成する複数の駆動部品毎に前記単位処理手段として設けられ、該駆動部品に対する駆動制御処理の内容を所定の入力情報に基づき自ら決定し、該決定した内容の駆動制御処理を夫々行う複数の駆動制御手段と、
    前記自動変速機の変速段を切替える変速制御を行うべきかどうかの判断を、車速およびエンジン負荷の組合せにて規定される通常変速条件、および該組合せ以外の車両制御状態にて規定される特殊変速条件に基づいて行い、該判断の結果、変速制御を行うべきとの変速判断が成立すると、該行うべき変速制御の種別を示す変速種別情報を含む駆動制御要求メッセージを、前記駆動制御手段に対し前記入力情報として出力する変速制御手段と、
    を備え、
    前記変速制御手段は、変速判断が前記特殊変速条件に基づいて成立すると、該特殊変速条件を示す特殊変速情報を、前記駆動制御要求メッセージの出力先である駆動制御手段に対して前記入力情報として出力することにより、該駆動制御手段に、変速種別情報及び特殊変速情報に応じた内容の駆動制御処理を行わせることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  5. 前記変速制御手段は、前記変速種別情報に加えて、前記特殊変速情報を前記駆動制御要求メッセージに含めて出力することを特徴とする請求項4に記載の自動変速機の制御装置。
  6. 前記変速制御手段は、前記駆動制御要求メッセージを前記全ての駆動制御手段に対して並列に出力することにより、該各駆動制御手段に個々に駆動制御処理の内容を決定させることを特徴とする請求項5記載の自動変速機の制御装置。
  7. 前記各駆動制御手段は、
    当該駆動制御手段にて実行すべき駆動制御処理を記述したプログラムを該処理内容に応じて分割した複数の駆動オブジェクトに従って夫々処理を行う複数の駆動手段と、
    変速判断が通常変速条件に基づいて成立したときの変速制御を実現するために、前記駆動手段の処理動作を管理するための通常変速管理オブジェクトに従って処理を行う通常変速管理手段と、
    変速判断が特殊変速条件に基づいて成立したときの変速制御を実現するために、前記駆動手段の処理動作を管理するための特殊変速管理オブジェクトに従って処理を行う特殊変速管理手段と、
    備え、
    前記通常変速管理手段および前記特殊変速管理手段は、当該駆動制御手段に入力情報が入力されると、当該駆動制御手段に対応する駆動部品について実行すべき駆動制御処理の内容を該入力情報に基づき夫々決定し、前記駆動手段のうち該決定内容に対応するものに対して処理依頼を出力することにより、該決定した内容の駆動制御処理を実行させることを特徴とする請求項4〜6の何れかに記載の自動変速機の制御装置。
  8. 車両に搭載される自動変速機の制御プログラムを所定の機能毎に分割してなるオブジェクトを格納した記憶装置と、
    車両の制御状態に応じた信号の受信および該受信信号に基づく制御信号の出力を行う制御処理を、前記記憶装置に格納されたオブジェクトに従って実行することにより、前記自動変速機を制御するCPUと、
    を備えた制御装置であって、
    前記記憶装置は、前記オブジェクトとして、
    前記自動変速機を構成する複数の駆動部品毎に設けられ、該駆動部品に対する駆動制御処理の内容を所定の駆動制御要求メッセージに応じて決定し、該決定した内容の処理を行う手続きが夫々記述された複数の駆動制御オブジェクトと、
    前記自動変速機の変速段を切替える変速制御を行うべきかどうかの判断を、車速およびエンジン負荷の組合せにて規定される通常変速条件、および該組合せ以外の車両制御状態にて規定される特殊変速条件に基づいて行う手続きが記述された変速判断オブジェクトと、
    該変速判断オブジェクトに従う処理の結果、変速制御を行うべきとの変速判断が成立すると、該行うべき変速制御の種別を示す変速種別情報を含む駆動制御要求メッセージにて、前記駆動制御オブジェクトに従う処理を起動させると共に、該変速判断が前記特殊変速条件に基づいて成立したときには、更に、該特殊変速条件を示す特殊変速情報を該駆動制御要求メッセージに含めて、該駆動制御オブジェクトに従う処理を起動させる手続きが記述された変速制御オブジェクトと、
    を格納したことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  9. 前記変速制御オブジェクトは、前記全ての駆動制御オブジェクトに従う処理を並列に起動させるよう記述されていることを特徴とする請求項8記載の自動変速機の制御装置。
  10. 前記各駆動制御オブジェクトは、
    当該駆動制御オブジェクトにて実現すべき駆動制御処理がその処理内容に応じて区分して記述された複数の駆動オブジェクトと、
    前記変速判断が通常変速条件に基づき成立したときの変速制御を実現すべく、前記駆動オブジェクトに従う処理動作を管理するためのプログラムであって、当該駆動制御オブジェクトに対応する駆動部品について実行すべき駆動制御処理の内容を前記駆動制御要求メッセージに応じて決定し、前記駆動オブジェクトのうち該決定内容に対応するものに従う処理を起動させる手続きが記述された通常変速管理オブジェクトと、
    前記変速判断が特殊変速条件に基づき成立したときの変速制御を実現すべく、前記駆動オブジェクトに従う処理動作を管理するためのプログラムであって、当該駆動制御オブジェクトに対応する駆動部品について実行すべき駆動制御処理の内容を前記駆動制御要求メッセージに応じて決定し、前記駆動オブジェクトのうち該決定内容に対応するものに従う処理を起動させる手続きが記述された特殊変速管理オブジェクトと、
    からなることを特徴とする請求項8又は9に記載の自動変速機の制御装置。
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