JP3564064B2 - エンジン排気ガス浄化装置の診断装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、空燃比センサあるいは酸素濃度センサ(以降は代表して空燃比センサとする)や触媒コンバータを使用するエンジン排気ガス浄化装置の診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの排気を浄化する装置は、主に、触媒コンバ−タと空燃比フィ−ドバック制御装置とからなる。触媒コンバータは、排気中に含まれるHC、NOx、COを除去するため排気管部に設置するものである。また、空燃比フィードバック制御装置は、触媒コンバ−タの機能を充分に発揮させるには空燃比を一定に保つ必要があるので、触媒コンバータの上流に酸素センサを設置して空燃比の燃料供給量を制御するためのものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のような通常の三元触媒システムでは、触媒コンバータの上流に設けられる酸素センサに性能劣化を生ずると、空燃比が理論空年比を中心としたある狭い範囲からはずれるので、有害成分の転換効率が落ちる。また、触媒コンバータそのものが性能劣化を生ずると空燃比が正確に管理されたとしても有害成分の転換効率が落ちてしまうという問題があった。
【0004】
この問題を解決するためには、触媒の劣化状態を判定することが必要である。しかしながら、これらの性能劣化を運転中に診断して迅速な対応を可能にする診断装置は、まだ確立されていなかった。
【0005】
なお、このような触媒劣化判定のための技術としては、例えば、特開平2−3091号に記載されている「内燃機関の触媒劣化判定装置」がある。これは、触媒の前と後に酸素センサ(注:この場合の酸素センサは二値センサである)を設け、前側の酸素センサの出力値が反転してから、後側のセンサの出力値が反転するまでの時間差を測定している。そして、該時間差の大きさに基づいて触媒の劣化状態を判定するものである。具体的には、時間差が小さければ、触媒が劣化状態であると判断するものである。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決しようとしてなされたもので、空燃比センサ,酸素センサや触媒コンバータに性能劣化を生じたかを運転中に診断することのできるエンジン排気ガス浄化装置の診断装置および診断方法を提供するところを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになされたもので、その一態様としては、エンジン排気ガス中の空燃比を検出し、排気ガス中の空燃比を所定値に保つように燃料噴射量を調整する空燃比制御装置を有するエンジンを対象とした、排気ガスを触媒により浄化するエンジン排気ガス浄化装置の診断装置であって、上記触媒の排気ガス上流側における空燃比を検出する前空燃比センサと、上記触媒の排気ガス下流側における空燃比を検出する後空燃比センサと、上記前空燃比センサと上記後空燃比センサとの出力信号から、上記空燃比制御装置の空燃比制御周波数帯よりも低周波数帯の信号を減衰させる特徴波形抽出手段と、上記特徴波形抽出手段を通過した上記信号の相関関数を算出する相関関数算出手段と、上記相関関数の値に基づいて上記触媒の劣化状態を判定する触媒状態判定手段とを有することを特徴とするエンジン排気ガス浄化装置の診断装置が提供される。
【0008】
本発明の他の態様としては、エンジン排気ガス中の空燃比を検出し、排気ガス中の空燃比を所定値に保つように燃料噴射量を調整する空燃比制御装置を有するエンジンを対象とした、排気ガスを触媒により浄化するエンジン排気ガス浄化装置の診断装置であって、上記触媒の排気ガス上流側における空燃比を検出する前空燃比センサと、上記触媒の排気ガス下流側における空燃比を検出する後空燃比センサと、上記前空燃比センサの出力信号の自己相関関数φxxを計算し出力する自己相関関数算出手段と、上記前空燃比センサの出力信号と上記後空燃比センサの出力信号との相互相関関数φxyを計算し出力する相互相関関数算出手段と、上記相互相関関数φxyのある値と、上記自己相関関数φxxのある値と、の比を逐次劣化指標Φiとして出力する劣化指標算出手段と、上記逐次劣化指標Φiと予め設定された基準値とを比較することにより、上記触媒の劣化状態を判定する触媒状態判定手段とを有することを特徴とするエンジン排気ガス浄化装置の診断装置が提供される。
【0009】
この場合、上記劣化指標算出手段は、所定の期間毎に、当該期間内の上記相互相関関数φxyの最大値(φxy)maxと、当該期間内の自己相関関数φxxの最大値(φxx)maxとの比を上記逐次劣化指標Φiとして出力するものであってもよい。
【0010】
また、上記劣化指標算出手段は、過去所定回数分の上記逐次劣化指標の平均値を算出して、これを最終劣化指標として出力する機能を有し、上記触媒状態判定手段は、上記逐次劣化指標Φiに代わって、該最終劣化指標と、予め設定された基準値とを比較することにより上記触媒の劣化状態を判定するものであってもよい。
【0011】
また、エンジンの回転数および/または上記触媒の温度を検出する運転状態検出手段を有し、上記劣化指標算出手段は、上記運転状態検出手段の検出結果を係数として、上記最終劣化指標を算出するものであってもよい。
【0012】
さらには、上記前空燃比センサと上記後空燃比センサとの出力信号から、上記空燃比制御装置の空燃比制御周波数帯よりも低周波数帯の信号を減衰させる特徴波形抽出手段を有し、上記自己相関関数算出手段と、上記相互相関関数手段とは、上記特徴波形抽出手段を通過した後の信号をもとにして、自己相関関数φxx、相互相関関数φxyを算出することが好ましい。なお、上記特徴波形抽出手段は、ハイパスフィルタ、帯域通過フィルタであってもよい。
【0013】
また、エンジンのクランク角度を検知するクランク角度検知手段を有し、上記前空燃比センサは、上記クランク角度検知手段の検知したクランク角度に対応してデ−タのサンプリングを実行することが好ましい。
【0014】
本発明の他の態様としては、エンジン排気ガス中の空燃比を検出し、排気ガス中の空燃比を所定値に保つように燃料噴射量を調整する空燃比制御装置を有するエンジンを対象とした、排気ガスを触媒により浄化するエンジン排気ガス浄化装置の診断装置であって、上記触媒の排気ガス上流側における空燃比を検出する空燃比センサと、上記空燃比センサの出力信号の自己相関関数φxxを計算し出力する自己相関関数算出手段と、上記自己相関関数φxxの値を、予め設定された基準値と比較することにより上記空燃比センサの劣化状態を判定するセンサ状態判定手段とを有することを特徴とするエンジン排気ガス浄化装置の診断装置が提供される。
【0015】
この場合、所定の期間毎に、上記自己相関関数φxxの最大値(φxx)maxを算出し、過去所定回数分の該(φxx)maxの平均値を算出してセンサ劣化指標として出力するセンサ劣化指標算出手段を有し、上記センサ状態判定手段は、該センサ劣化指標と、予め設定された基準値とを比較することにより上記空燃比センサの劣化状態を判定することが好ましい。
【0016】
また、上記空燃比センサの出力信号から、上記空燃比制御装置の空燃比制御周波数帯よりも低周波数帯の信号を減衰させる特徴波形抽出手段を有し、上記自己相関関数算出手段は、上記特徴波形抽出手段を通過した後の信号をもとにして、自己相関関数φxxを算出することが好ましい。なお、上記特徴波形抽出手段は、ハイパスフィルタ、帯域通過フィルタであってもよい。
【0017】
本発明の他の態様としては、エンジン排気ガス中の空燃比を検出し、排気ガス中の空燃比を所定値に保つように燃料噴射量を調整する空燃比制御装置を有するエンジンを対象とした、排気ガスを触媒により浄化するエンジン排気ガス浄化装置の診断装置であって、上記触媒の排気ガス上流側における空燃比を検出する前空燃比センサと、上記触媒の排気ガス下流側における空燃比を検出する後空燃比センサと、上記前空燃比センサの出力信号の自己相関関数φxxを計算し出力する自己相関関数算出手段と、上記前空燃比センサの出力信号と上記後空燃比センサの出力信号との相互相関関数φxyを計算し出力する相互相関関数算出手段と、上記相互相関関数φxyのある値と、上記自己相関関数φxxのある値と、の比を逐次劣化指標Φiとして出力する劣化指標算出手段と、上記逐次劣化指標Φiと予め設定された基準値とを比較することにより、上記触媒の劣化状態を判定する触媒状態判定手段と、上記自己相関関数φxxの値を予め設定された基準値と比較することにより、上記前空燃比センサの劣化状態を判定するセンサ状態判定手段とを有することを特徴とするエンジン排気ガス浄化装置の診断装置が提供される。
【0018】
本発明の他の態様としては、エンジン排気ガス中の空燃比を検出し、排気ガス中の空燃比を所定値に保つように燃料噴射量を調整する空燃比制御装置を有するエンジンを対象とした、排気ガスを触媒により浄化するエンジン排気ガス浄化装置の診断方法であって、所定の期間ごとに、触媒上流側の空燃比の測定デ−タの自己相関関数φxxの最大値(φxx)maxと、触媒上流側の空燃比の測定デ−タと触媒下流側の空燃比の測定デ−タとの相互相関関数φxyの最大値(φxy)maxと、の比を算出し、該比の値を予め決められた基準値と比較することにより、触媒劣化状態を判断することを特徴とするエンジン排気ガス浄化装置の診断方法が提供される。
【0019】
本発明の他の態様としては、空燃比センサによりエンジン排気ガス中の空燃比を検出し、排気ガス中の空燃比を所定値に保つように燃料噴射量を調整する空燃比制御装置を有するエンジンを対象とした、排気ガスを触媒により浄化するエンジン排気ガス浄化装置の診断方法であって、所定の期間ごとに、触媒上流側の空燃比の測定デ−タの自己相関関数φxxの最大値(φxx)maxを算出し、該最大値(φxx)maxを予め決められた基準値と比較することにより、空燃比センサの劣化状態を判断することを特徴とするエンジン排気ガス浄化装置の診断方法が提供される。
【0020】
【作用】
前空燃比センサと後空燃比センサは、クランク角度検知手段の検知したクランク角度に対応して触媒上流側と下流側との空燃比を検出し出力する。特徴波形抽出手段は、この出力信号から、上記空燃比制御装置の空燃比制御周波数帯よりも低周波数帯の信号を減衰させる。
【0021】
自己相関関数算出手段は、上記特徴波形抽出手段を通過した信号の自己相関関数φxxを計算し出力する。一方、相互相関関数手段は、特徴波形抽出手段を通過した前空燃比センサの出力信号と後空燃比センサの出力信号との相互相関関数φxyを計算し、出力する。
【0022】
劣化指標算出手段は、所定の期間毎に、当該期間内における相互相関関数φxyの最大値(φxy)maxと、当該期間内における自己相関関数φxxの最大値(φxx)maxと、の比を算出し逐次劣化指標Φiとする。さらに、過去所定回数分の上記逐次劣化指標Φiの平均値を算出して、これを最終劣化指標として出力する。なお、この場合、劣化指標算出手段は、上記運転状態検出手段の検出結果を係数として、上記最終劣化指標を算出してもよい。
【0023】
触媒状態判定手段は、逐次劣化指標Φiあるいは最終劣化指標と、予め設定された基準値とを比較し、触媒の劣化状態を判定する。
【0024】
他の態様について説明する。
【0025】
空燃比センサは、触媒の排気ガス上流側における空燃比を検出する。
【0026】
特徴波形抽出手段は、空燃比センサの出力信号から、上記空燃比制御装置の空燃比制御周波数帯よりも低周波数帯の信号を減衰させる。
【0027】
自己相関関数算出手段は、特徴波形抽出手段を通過した後の信号の自己相関関数φxxを算出し、所定の期間毎に、当該期間内における該自己相関関数φxxの最大値(φxx)maxを出力する。
【0028】
センサ劣化指標算出手段は、過去所定回数分の上記(φxx)maxの平均値を算出してセンサ劣化指標として出力する。
【0029】
センサ状態判定手段は、所定の期間毎に、上記(φxx)maxあるいはセンサ劣化指標を、予め設定された基準値と比較し、空燃比センサの劣化状態を判定する。
【0030】
【実施例】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
【0031】
まず、本実施例の概念を図1を用いて説明する。
【0032】
なお、本実施例の診断装置は、触媒コンバ−タ2と、その前後に配置された空燃比センサたるO2センサ3,4と、該O2センサ3,4の出力に基づいて空燃比フィ−ドバックを行う燃料噴射制御手段7等を有するシステムを対象とするものである。
【0033】
空燃比センサとして、本実施例においては、O2センサ3,4を使用している。なお、本明細書中「酸素センサ」、「O2センサ」とは、酸素濃度を二値的に検知するものではなく、酸素濃度をリニアに検出可能な、いわゆるラムダセンサのことを指す。具体的には、ジルコニア、チタニアなどのセンサである。
【0034】
まず、前提となるシステムにおける制御を説明する。
【0035】
燃料噴射制御手段7は、燃料噴射計算手段9と、出力手段10と、空燃比フィ−ドバック計算手段とを含んで構成される。燃料噴射量計算手段9は、エンジン1の負荷(たとえば吸入空気量Qa)を検出するセンサ5の検出値と、回転数Neを検出するセンサ6の検出値とに基づいて下記の数1に従って基本の噴射量F0を求る。
【0036】
【数1】
F0=k0Qa/Ne
F0:基本噴射量
Qa:吸入空気量
Ne:回転数
一方、空燃比フィ−ドバック計算手段8は、触媒コンバータ2の上流に設けられた空燃比センサ(以下「前O2センサ」という)3の出力を所定のタイミングでサンプリングし、その検出値に応じて補正信号αを発生する。
【0037】
上記燃料噴射量計算手段9は、基本の噴射量F0に補正信号αを加味して噴射量Fを求める(数2参照)。そして、これを出力手段10で電圧デューティ信号に変えて燃料噴射弁に印加する。
【0038】
【数2】
F=k0Qa/Ne(1+α)
F :噴射量
F0:基本噴射量
Qa:吸入空気量
Ne:回転数
α :補正信号
このような制御により、触媒コンバータ2の上流では、常時、空燃比がストイキ前後の値で摂動している。
【0039】
本実施例の診断装置は、この空燃比フィ−ドバック制御による空燃比の摂動を触媒コンバータ劣化診断のテスト信号に利用している。すなわち、触媒コンバータ2が劣化していなければ、触媒の酸化・還元作用により触媒コンバータ2の後流では空燃比の摂動が少なくなる。一方、触媒コンバータ2が劣化すると後流の空燃比摂動が上流のものに近づいて来る。このように触媒コンバータの前後における空燃比摂動の類似性に着目して劣化を診断している。
【0040】
そして、この類似性を評価を、相関関数を用いて行う劣化診断手段11を設けた点に最大の特徴を有するものである。
【0041】
劣化診断手段11は、まず、前O2センサ3および後O2センサ4の出力から直流成分等の触媒コンバータ2の劣化とは直接関係しない成分、つまり、相関関数を用いた演算を行う際に誤差の原因となりうる成分、を特徴波形抽出手段12で取り除く。ここで、特徴波形抽出手段12としては、微分フィルタ、高周波域通過フィルタあるいは帯域通過フィルタが適切である。なお、これ以降、前O2センサ3に起因する信号は符号xで、また、後O2センサ4に起因する信号は符号yで示す。
【0042】
つぎに、自己相関関数計算手段13によって、数3にしたがって、前O2センサ3の出力信号xの自己相関関数φxxを計算する。また、相互相関関数計算手段14によって、数4に従い、前O2センサ3の出力信号xと後O2センサ4の出力信号yとの間の相互相関関数φxyを計算する。
【0043】
【数3】
φxx(τ)=∫x(t)x(t−τ)dt
【0044】
【数4】
φxy(τ)=∫x(t)y(t−τ)dt
そして、更に、位相τを相関関数の積分区間(0〜T)で変えて、φxyの最大値(φxy)maxと、φxxの最大値(φxx)maxとを求める。そして、これらの値を用いて、触媒コンバ−タ2および前O2センサ3の劣化を判定する。
【0045】
触媒コンバ−タ2の劣化判定は、触媒コンバ−タ判定手段16によりなされる。触媒コンバータ劣化判定手段16は、数5にしたがって逐次劣化指標Φiを計算し、これを予め決められた基準値と比較することにより触媒コンバータの劣化を判定する。
【0046】
【数5】
Φi=(φxy)max/(φxx)max
すなわち、触媒が劣化すると、触媒コンバータ2の前後における空燃比摂動の類似度が増すため、逐次劣化指標Φiは大きくなる(1に近づく)。
【0047】
一方、前O2センサ3の劣化判定は、空燃比センサ劣化判定手段15によりなされる。空燃比センサ劣化判定手段15は、(φxx)maxを劣化指標として空燃比センサの劣化を判定する。すなわち、前O2センサ3が劣化すると、空燃比センサの応答が遅れるため最大値(φxx)maxが小さくなってくるため、該値を監視して、予め決められた基準値と比較することにより、劣化を検知する。なお、図4に空燃比センサが劣化していない状態と、劣化した状態とにおける、前O2センサ3の出力の周波数毎のパワ−スペクトルを示した。劣化した状態では、ピ−クが低周波数側にずれており、応答速度が遅くなっていることがわかる。
【0048】
本実施例の診断装置をより具体的に説明する。
【0049】
該診断装置そのものは、A/D変換器を内臓するシングルチップマイクロコンピュータと、高周波領域通過フィルタとにより主に構成されるものである。
【0050】
高周波領域通過フィルタは、上記特徴波形抽出手段12A,Bに該当するものである。
【0051】
マイクロコンピュ−タは、内蔵されたソフトウエアに従って動作することにより、上記説明した各手段、自己相関関数計算手段13、触媒コンバ−タ劣化判定手段16等の機能をを実現するものである。
【0052】
但し、ハ−ドウエア構成はこれに限定されるものではない。
【0053】
該診断装置の動作を、図2を参照しつつ説明する。なお、該図中、各ブロックには、該ブロックにおいて行われる処理に該当する図1の各手段と同じ番号を付している。
【0054】
まず、触媒コンバ−タ2の劣化判定動作を説明する。
【0055】
前O2センサ3の出力信号(以下「前O2センサ信号」という)114と、後O2センサ4の出力信号(以下、「後O2センサ信号」という)102とを、同期してA/D変換器18によりデジタルデータに変換する。
【0056】
つぎに、高周波域通過フィルタでそれぞれの信号から診断に外乱となる直流成分を除去する(ブロック12A,12B)。ここで、両者のフィルタは同一特性のものとする。図3に、特徴波形抽出の実例を示す。O2センサの電圧信号に含まれる直流成分は除去されているが、制御周期は保存されている。また、これらの信号の周波数ごとのパワ−スペクトルを示したのが図4である。いずれの信号も診断に外乱となる空燃比フィ−ドバック制御周波数よりも低周波数成分を除去している。
【0057】
なお、本実施例においては、低周波成分のみをカットしているが、上述したとおり帯域通過フィルタを用いて空燃比フィ−ドバック制御周波数帯よりも高周波成分をもカットしてもよい。この場合、相関関数の算出に用いる周波数帯は、空燃比フィ−ドバック制御周波数を含むある一定幅の周波数帯のみとなるため、より正確な判定が可能となる。
【0058】
続いて、前O2センサ信号114から得られた信号x(t)105のt=0 時点での自己相関関数φxx(0)を求める(ブロック13)。なお、ここで、φxx(0)を求めているのは、自己相関関数φxxは、t=0 において最大値(φxx)maxをとるからである。
【0059】
また、前O2センサ信号114から得られた信号x(t)と、後O2センサ信号102とから得られた信号y(t)とから相互相関関数φxy(τ)を一定の積分区間Tにおいて求める(ブロック14)。ここで積分区間Tは、その区間でエンジン回転数の変動が所定の範囲を超えないように、あらかじめ設定しておく。
【0060】
そして、当該積分区間Tにおけるφxy(τ)の最大値(φxy)maxを探し、該(φxy)maxを用いて、逐次劣化指標Φi(=(φxy)max/φxx(0)、数5参照)を計算する(ブロック16A、図5参照)。なお、逐次劣化指標Φiの位相τ、言い替えれば、(φxy)/φxx(0)が最大値をとる位相τは、運転条件や機差で変動するため、Φiはデ−タを実際に探索することにより得る。
【0061】
そして、Φiをメモリ(RAM)に記憶しておき、次の積分区間Tにおいても同様の処理によりΦi+1を求める。
【0062】
以上のような操作をn回繰り返して、Φiの平均値を求める。そして、該平均値を、触媒コンバータ2の最終劣化指標Iとする。なお、この最終劣化指標Iを算出する際には、各種運転条件による補正係数k1,k2をも加味して行われる(ブロック16B、16C,16D,下記数6参照)
【0063】
【数6】
I=(Σk1k2Φi)/n
I :最終劣化指標
k1:エンジン負荷による補正系数
k2:触媒温度による補正系数
Φi:逐次劣化指標
n:測定回数
なお、k1、k2は、あらかじめマップデータとしてメモリ(ROM)に記憶しておく。
【0064】
続いて、この劣化指標Iを、あらかじめ定めた劣化判定レベルIDと比較して、劣化状態を判定する。劣化指標Iが劣化判定レベルIDよりも大きい場合には劣化と判断する(ブロック16E)。
【0065】
ここで逐次劣化指標Φiをそのまま使用せず、その平均値、すなわち最終劣化指標Iを用いるのは、通常走行中、エンジン回転数や負荷が変動すると、図6の如く、逐次劣化指標Φiも影響を受けて変動するからである。つまり、一定時間、一定回転回数あるいは一定負荷帯ごとの逐次劣化指標Φiを求めて累積し、その平均値を最終劣化指標Iとすることにより、全運転域での劣化判定を可能としている。但し、ある程度運転状態が限定されるような場合には、逐次劣化指標Φiをそのまま用いて、判定を行っても構わない。
【0066】
次に、前O2センサ3の劣化判定動作を説明する。
【0067】
該判定動作は、前O2センサ信号の自己相関関数φxxのみを用いて行う。自己相関関数は、上述したとおり、t=0において、最大値(φxx)maxをとるが、該最大値(φxx)maxは前O2センサ3が劣化するとその値が小さくなってくる。
したがって、該(φxx)maxを検出し、予め決められた基準値と比較することにより、前O2センサ3の劣化を検知することができる。
【0068】
なお、自己相関関数φxxを求める際に使用するデ−タには、触媒コンバ−タ劣化判定の場合と同様に、空燃比フィ−ドバック制御周波数帯よりも低周波数成分を除去する。図4に該低周波数成分を除去する前と、除去後とのパワ−スペクトルを示した。
【0069】
ここでは最大値(φxx)maxをそのまま使用しているが、触媒コンバ−タ2の劣化判断の場合と同じように、該最大値(φxx)maxの平均値を用いて判断することとしてもよい。
【0070】
ここでは、劣化の可能性の高い前O2センサ3について述べたが、後O2センサ4にも同様に適用可能である。
【0071】
なお、前O2センサ3や後O2センサ4からのサンプリングは、ある一定時間ごとに行ってもよい。また、エンジンのクランク角を検知するセンサを設けて、クランク角度に対応して行ってもよい。触媒コンバ−タ2の劣化判定を行う場合には、該クランク角度に対応してのサンプリングを行うことが、より好ましい。これは、触媒コンバ−タ2の劣化判定を行う場合には、上述したとおり空燃比フィ−ドバック制御周波数よりも低周波数の成分を、カットしているが、この空燃比フィ−ドバック制御周波数は、エンジンの回転数に応じて変更されるものだからである。つまり、クランク角度に対応してサンプリングを行う場合には、回転数の変更による影響を受けないため、何等の修正も必要ないが、一定時間毎にサンプリングを行う場合には、修正が必要となるからである。一方、前O2センサ3の劣化特性は、センサそのものの状態に依存するのみであって、エンジン回転数による影響は受けないため、前O2センサ3の劣化判定においてはいずれの方法でも同様である。
【0072】
以上説明した上記実施例においては、自動車の通常走行中にエンジンの排気浄化制御機器である触媒コンバータおよび空燃比センサ、酸素センサの劣化を診断できる。また、信号の類似性判断において、相関関数を使用しているため、周波数、振幅等を用いて判断する場合に較べてノイズに強い。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、自動車の通常走行中にエンジンの排気浄化制御機器である触媒コンバータおよび空燃比センサ、酸素センサの劣化を診断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例の動作を示す説明図である。
【図3】本実施例における特徴波形抽出を示す説明図である。
【図4】特徴波形抽出の作用を説明するための周波数毎のパワ−スペクトル図である。
【図5】触媒コンバータ劣化判定の作用を説明するための特性図である。
【図6】触媒コンバータ劣化判定の作用を説明するための特性図である。
【符号の説明】
2:触媒コンバータ、 3:前O2センサ、 4:後O2センサ、 12:特徴波形抽出手段、 13:自己相関関数計算手段、 14:相互相関関数計算手段、 15:O2センサ劣化判定手段、 16:触媒コンバータ劣化判定手段、
17:判定結果出力手段、 Φi:逐次劣化指標、 I:最終劣化指標、 ID:劣化判定レベル
x:触媒コンバータの上流に設けられる空燃比センサ(前O2センサ)の出力
y:触媒コンバータの下流に設けられる空燃比センサ(後O2センサ)の出力
φxx:信号xの自己相関関数
φxy:信号xと信号yとの相互相関関数
Claims (2)
- エンジン排気ガス中の空燃比を検出し、排気ガス中の空燃比を所定値に保つように燃料噴射量を調整する空燃比制御装置を有するエンジンを対象とした、排気ガスを触媒により浄化するエンジン排気ガス浄化装置の診断装置であって、
上記触媒の排気ガス上流側における空燃比を検出する前空燃比センサと、
上記触媒の排気ガス下流側における空燃比を検出する後空燃比センサと、
排気ガス中の空燃比を所定値に保つようにフィードバック制御しているときに、上記前空燃比センサと上記後空燃比センサの出力信号の位相(τ)の関数となる相関関数を求める相関関数算出手段と、
上記相関関数の値に基づいて上記触媒の劣化状態を判定する触媒状態判定手段と、
を有することを特徴とするエンジン排気ガス浄化装置の診断装置。 - 請求項1に記載のエンジン排気ガス浄化装置の診断装置において、
前記相関関数に基づく指標値を定め、前記指標値と予め定められた劣化判定基準値とを比較することにより、触媒の劣化状態を判定する触媒劣化判定手段をさらに有することを特徴とするエンジン排気ガス浄化装置の診断装置。
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