JP3558170B2 - 半導体記憶媒体を用いた非接触通信方法および通信システム - Google Patents
半導体記憶媒体を用いた非接触通信方法および通信システム Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体記憶媒体を用いた非接触通信方法および通信システム、特に、外部装置から半導体記憶媒体に対して電磁波エネルギーを送波し、この電磁波エネルギーに基いてデータの送受信を行うとともに半導体記憶媒体内で必要な電源電圧を生成することにより、両者間を物理的に非接触な状態に保ちながら電源供給とデータの送受信を行う非接触通信方法、ならびに、この方法の実施に用いる通信装置および半導体記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、新しい情報記憶媒体として、ICカードが注目を集めている。ICカードは、携帯に便利なカード状の記憶媒体でありながら半導体記憶素子を内蔵しており、磁気カードなどに比べて極めて大容量の情報記録が可能である。また、CPU内蔵型のICカードでは、ICカード自身が演算処理機能を有するため、高度のセキュリティが必要な用途への利用価値も高い。
【0003】
上述したICカードをはじめとする半導体記憶媒体に対してデータを書き込んだり、データを読出したりするには、リーダライタ装置が用いられる。このリーダライタ装置の入出力端子をICカード側の入出力端子に電気的に接触させれば、リーダライタ装置とICカードとの間でのデータ転送が可能になる。現在、一般的に利用されているICカードでは、電源やクロックをリーダライタ装置側から供給するものが主流となってきている。このようなICカードでは、内部にバッテリやクロック生成回路を用意する必要がないため、小型化を図りやすいというメリットがある。
【0004】
また、最近では、両者を物理的に非接触の状態においたまま、リーダライタ装置からICカードに対して、電源やクロックを供給するとともに、両者間でのデータ転送を行う方法が提案されている。すなわち、リーダライタ装置側に設けられた第1のコイルと、ICカード側に設けられた第2のコイルとにより、両者を磁気的ないしは電磁的に結合し、電源やクロックの供給とともに、データ転送を行うのである。たとえば、リーダライタ装置内において発生させた搬送波に、所定の送信データを重畳して変調波を生成し、この変調波をICカードへ送波すれば、ICカード側では、この変調波から、電源、クロック、データを取り出すことができる。すなわち、変調波を復調することによりデータを取り出し、変調波の中の搬送波成分の周期性を利用してクロックを生成し、変調波に含まれている電磁波エネルギーに基いて電力を取り出し、これを電源として利用するのである。このような非接触転送方式を採れば、外部入出力端子が不要になり、ICカードなどの携帯性はより向上する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、リーダライタ装置からICカードへ、非接触方式で電源供給を行う場合、一対のコイルを介して、電磁波エネルギーの形で電力供給を行うことになる。すなわち、リーダライタ装置側では、高周波電力増幅器によって発生した電磁波エネルギーを送信コイルから送波する。一方、ICカード側では、この電磁波エネルギーを受信コイルで受け、この電磁波エネルギーを整流器やレギュレータに与えて直流電力を得て、これを電源として利用することになる。
【0006】
このような電磁波エネルギーの伝送効率は、一対のコイルの位置関係に大きく依存する。ところが、ICカードは、普段は個人個人が携帯するものであり、必要なときに、必要な場所に設置されているリーダライタ装置に挿入して、データのやりとりを行うような利用形態が一般的である。したがって、1枚のICカードは、複数の異なったリーダライタ装置に挿入されて利用される。ここで、リーダライタ装置内のカードのローディング機構の位置精度やコイルの設置位置などは、個々の装置ごとにバラツキが避けられないため、リーダライタ装置側のコイルとICカード側のコイルとの相対位置を、常に一定にすることは困難である。しかも、ICカード側に内蔵されるコイルは比較的小型のものにならざるを得ないため、リーダライタ装置側に内蔵されるコイルに対する相対位置がわずかでも変化した場合、電磁波エネルギーの伝送効率は大きく変化することになる。また、ICカードをリーダライタ装置に近接させるのみで、データのやりとりを行う利用形態も提案されており、この場合には、ICカード側のコイルとリーダライタ装置側のコイルとの相対位置の変化が一層大きなものとなる。
【0007】
このような原因により、ICカード側に供給される電磁波エネルギーの大きさには、ある程度の幅が生じることになる。このように、供給される電磁波エネルギーの大きさが不安定になることは好ましくない。たとえば、たまたま、一対のコイルの相対位置が最も伝送効率の良い位置にきた場合、ICカード側に供給される電磁波エネルギーの大きさは最大になり、ICカード側のコイル内に過大な電圧が発生し、ICカード内部の素子を破壊する危険性が生じる。ところが、このような危険を回避するために、リーダライタ装置側から送波する電磁波エネルギーを安全な範囲内の大きさに設定してしまうと、たまたま、一対のコイルの相対位置が最も伝送効率の悪い位置にきた場合、ICカード側に供給される電磁波エネルギーの大きさは最小になり、ICカード側のコイル内には十分な電圧が得られず、正規の電源電圧を得られないという弊害が生じる。
【0008】
そこで本発明は、外部装置側のコイルと半導体記憶媒体側のコイルとの相対位置関係が変動しても、常に安定した電源供給を行うことができる半導体記憶媒体との非接触通信方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、外部装置から半導体記憶媒体に対して単一の電磁的結合手段を介して電磁波エネルギーを送波し、この電磁波エネルギーに基いて半導体記憶媒体内で必要な電源電圧を生成することにより、両者間を物理的に非接触な状態に保ちながら電源供給を行うとともに、電磁波エネルギーに情報を重畳することにより、上記単一の電磁的結合手段を介して両者間でデータ通信を行う非接触通信方法において、
半導体記憶媒体側では、送波された電磁波エネルギーに基いて生成された電圧を所定の分圧比で分圧することにより得られる分圧電圧と所定の基準電圧とを比較し、この比較結果を外部装置に対して送信するようにし、
外部装置側では、受信した比較結果に応じて、分圧電圧が基準電圧よりも小さい場合には、送波する電磁波エネルギーの大きさを増加させ、分圧電圧が基準電圧よりも大きい場合には、送波する電磁波エネルギーの大きさを減少させるような制御を行い、
外部装置側から送波する電磁波エネルギーに所定の周期Tを定義し、この周期Tを2つの区間T1,T2に区切り、区間T1内の電磁波エネルギーを変調して、半導体記憶媒体から外部装置への比較結果の送信を行い、区間T2内の電磁波エネルギーを変調して、半導体記憶媒体と外部装置との間のデータ通信を行うようにしたものである。
【0010】
(2) 本発明の第2の態様は、外部から単一の電磁的結合手段を介して送波される電磁波エネルギーに基いて、必要な電源電圧を生成するとともに、この電磁波エネルギーに重畳された情報を利用して、上記単一の電磁的結合手段を介して外部に対してデータ通信を行う機能をもった半導体記憶媒体と、
この半導体記憶媒体に対して上記単一の電磁的結合手段を介して電磁波エネルギーを送波することにより、物理的に非接触な状態に保ちながら、半導体記憶媒体に対して電源供給を行うとともに、電磁波エネルギーに重畳された情報を利用して半導体記憶媒体とデータ通信を行う機能をもった非接触通信装置と、
を備える非接触通信システムにおいて、
半導体記憶媒体には、
送波された電磁波エネルギーに基いて生成された電圧を所定の分圧比で分圧することにより得られる分圧電圧と所定の基準電圧とを比較する比較手段と、
この比較手段による比較結果に応じて、分圧電圧が基準電圧よりも小さい場合には、非接触通信装置に対して、送波する電磁波エネルギーの大きさを増加させる制御を行うための制御信号を生成し、分圧電圧が基準電圧よりも大きい場合には、非接触通信装置に対して、送波する電磁波エネルギーの大きさを減少させる制御を行うための制御信号を生成する制御信号発生手段と、
送波された電磁波エネルギーに所定の周期Tを定義し、この周期Tを2つの区間T1,T2に区切り、区間T1内の電磁波エネルギーを変調して、非接触通信装置への制御信号の送信を行い、区間T2内の電磁波エネルギーに重畳された形の情報に基づいて非接触通信装置との間でデータ通信を行う通信手段と、を設け、
非接触通信装置には、
半導体記憶媒体に対して区間T1,T2に区切られた周期Tの電磁波エネルギーを送波する送波手段と、
半導体記憶媒体から区間T1内の電磁波エネルギーに重畳された形で送信される制御信号を受信する受信手段と、
この制御信号に基いて、送波する電磁波エネルギーの大きさを制御する制御手段と、
半導体記憶媒体との間で区間T2内の電磁波エネルギーに重畳された形の情報に基づいてデータ通信を行うデータ通信手段と、
を設けるようにしたものである。
【0012】
【作 用】
本発明に係る非接触通信方法では、半導体記憶媒体側において、電磁波エネルギーに基いて生成された電圧と所定の基準電圧とが比較され、この比較結果が外部装置に対して送信される。外部装置側では、この比較結果に基いて、現在送波している電磁波エネルギーが強いのか弱いのかを認識することができ、電磁波エネルギーの大きさを調整することができる。すなわち、ICカード内での生成電圧が基準電圧よりも小さい場合には、送波する電磁波エネルギーの大きさを増加させ、生成電圧が基準電圧よりも大きい場合には、送波する電磁波エネルギーの大きさを減少させるような制御が行われる。このように、ICカード側から送信される比較結果に基いて、電磁波エネルギーの大きさをフィードバック制御することができ、外部装置側のコイルと半導体記憶媒体側のコイルとの相対位置関係がどのようであっても、常に、最適の大きさの電磁波エネルギーを供給することができるようになる。また、電磁波エネルギーに所定の周期Tを定義し、この周期Tを2つの区間T1,T2に区切り、区間T1内の電磁波エネルギーを変調して、半導体記憶媒体から外部装置への比較結果の送信を行い、区間T2内の電磁波エネルギーを変調して、両者間のデータ通信を行うようにしたため、電源供給の制御とデータ通信との双方を行うことができるようになる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を図示する実施例に基いて説明する。図1は、一般的なリーダライタ装置100とICカード200との間のデータ転送時の結合状態を示すブロック図である。リーダライタ装置100には第1のコイル101が内蔵されており、ICカード200には第2のコイル201が内蔵されている。ICカード200は、通常、個人個人が形態しているが、何らかの用途に用いる場合(たとえば、銀行取引を行う場合)、これをリーダライタ装置100の挿入口に挿入する。すると、リーダライタ装置100内のカードのローディング機構により、挿入されたICカード200は所定位置まで送られて固定される。この状態で、第1のコイル101と第2のコイル201とが電磁的に結合することになる。既に述べたように、このときの両コイルの相対位置は、常に一定とはならずにバラツキをもったものとなる。このように、両コイルが電磁的に結合されると、リーダライタ装置100からICカード200に対して、電源およびクロックが供給され、両者間において双方向にデータが転送される。
【0014】
図2は、リーダライタ装置100の内部構成を示すブロック図である。発振器110は、所定の周波数をもった搬送波Cを生成する機能を有し、生成された搬送波Cは変調器120に与えられる。変調器120には、このリーダライタ装置100からICカード200へ送るべきデータD1が与えられ、このデータD1の情報を搬送波Cに重畳することにより、変調波Mが生成される。この変調波Mは電力増幅器130によって電力増幅されて第1のコイル101に供給され、この第1のコイル101から電磁波としてICカード200側へと送波される。一方、ICカード200からリーダライタ装置100へ送るべきデータD2は、後述するように、第1のコイル101内における電流変動として受信され、この電流変動に基いて復調器140がデータD2を検出する。結局、このリーダライタ装置100は、ICカード200に対してデータD1を送信する機能と、ICカード200から伝達されたデータD2を受信する機能と、を有し、更に、第1のコイル101から電磁波エネルギーとして、電力およびクロックをICカード200に供給する機能を有する。
【0015】
以上の各構成要素は、従来の一般的なリーダライタ装置において備わっている公知の要素である。本発明に係るリーダライタ装置100の特徴は、これら構成要素に加えて、更に電力制御器150を設けた点にある。この電力制御器150は、電力増幅器130における電力増幅率を制御する機能を有する。後述するように、復調器140が復調した信号には、データD2だけでなく、制御信号Pが含まれている。電力制御器150は、発振器110が発生する搬送波Cに基いて、復調信号の中から制御信号Pを取り出し、この制御信号Pに基いて、電力増幅器130の電力増幅率の制御を行うことになる。具体的には、制御信号PがLレベルであったときには、電力増幅率を徐々に増加させる制御を行い、逆に、制御信号PがHレベルであったときには、電力増幅率を徐々に減少させる制御を行う。なお、この制御動作については後に説明する。
【0016】
一方、図3は、ICカード200の内部構成を示すブロック図である。第2のコイル201は、リーダライタ装置100の第1のコイル101から送波された変調波Mを受信する。この受信された変調波Mは、電源系統、クロック系統、データ系統、の3つの系統で利用されることになる。以下、これら各系統を順に説明する。
【0017】
まず、電源系統は、整流器202と、リプルフィルタ203と、レギュレータ204と、によって構成されている。受信された変調波M(電磁波エネルギー)は、整流器202において整流され、リプルフィルタ203において平滑化され、レギュレータ204において安定化される。こうして、最終的にレギュレータ204において、ICカード内部で利用される電源電圧Vccが生成され、CPU・メモリ250に供給されることになる。
【0018】
次に、クロック系統は、クロック信号発生器240によって構成されている。このクロック信号発生器240は、第2のコイル201において受信された変調波Mの周期的な成分(搬送波Cの成分)を取り出し、これに基いてクロック信号CLKを生成する機能を有する。このクロック信号CLKも、CPU・メモリ250に供給される。
【0019】
最後に、データ系統は、変調器220と復調器230とによって構成されている。復調器230は、第2のコイル201において受信された変調波Mを復調し、リーダライタ装置100側から送信されてきたデータD1を抽出し、このデータD1を受信データとしてCPU・メモリ250へ与える機能を有する。一方、変調器220には、CPU・メモリ250からデータD2(リーダライタ装置100に対して送るデータ)が与えられる。この実施例のシステムでは、ICカード200からリーダライタ装置100に対する情報伝達は、第2のコイル201の入力インピーダンスを変動させることによって行われる。たとえば、第2のコイル201に抵抗素子を接続しておき、この抵抗素子の抵抗値を変化させると、第2のコイル201の入力インピーダンスに変化が生じることになる。このように、電磁波エネルギーの受信側のコイルの入力インピーダンスに変化が生じると、電磁波エネルギーの送信側のコイルを流れる電流に変動が生じる。したがって、電磁波エネルギーの送信側において、受信側コイルの入力インピーダンスの変動を検出することができる。結局、電磁波エネルギーは、リーダライタ装置100からICカード200に向かう一方向のみに伝達されているにもかかわらず、リーダライタ装置100側では、第1のコイル101の電流変動として、ICカード200側からの情報(第2のコイル201の入力インピーダンスの変動)を認識することができる。要するに、変調器220は、リーダライタ装置100側へ送信すべきデータD2に基いて、第2のコイル201の入力インピーダンスを変化させる機能を有することになる。
【0020】
以上の各構成要素は、従来の一般的なICカードにおいて備わっている公知の要素である。本発明に係るICカード200の特徴は、これら構成要素に加えて、更に、基準電圧発生器211、比較器212、制御信号発生器213、を設けた点にある。基準電圧発生器211は、リプルフィルタ203によって平滑化された電圧Vを入力し、この電圧Vに基いて所定の基準電圧VRを発生する機能を有する。ここで、基準電圧VRは、入力電圧Vの大きさにかかわらず常に一定となるようにする。このような機能をもった基準電圧発生器211は、具体的には、レギュレータ204と同様な定電圧回路を用いることができ、たとえば、バンドギャップ定電圧回路で構成すればよい。一方、リプルフィルタ203の出力電圧Vは、互いに直列接続された抵抗素子R1,R2によって分圧される。そして、比較器212によって、この分圧電圧V´と基準電圧VRとが比較される。比較器212は、比較の結果を示す情報を制御信号発生器213に与え、制御信号発生器213はこの比較結果に対応する制御信号Pを出力する。より具体的には、この実施例では、比較の結果、分圧電圧V´<基準電圧VRであるときには、Lレベルの電圧、分圧電圧V´≧基準電圧VRであるときにはHレベルの電圧、となるような制御信号Pが出力される。この制御信号Pは、データD2と同様に変調器220に与えられ、第2のコイル201の入力インピーダンスの変動として、リーダライタ装置100側へと伝達される。
【0021】
以上、この実施例のシステムの構成を説明したが、続いて、このシステムにおける電源供給の動作を説明する。リーダライタ装置100は、ICカード200に対して電源供給を行う場合、変調器120から得られる変調波Mを、電力増幅器130によって電力増幅して第1のコイル101から送波する。このとき、電力制御器150は電力増幅器130に対して、所定の初期増幅率によって電力増幅するよう指示する。この初期増幅率は、ICカード200側で受信するのに適した平均的な値を予め設定しておけばよい。
【0022】
さて、このような電磁波エネルギーの供給を受けたICカード200内では、レギュレータ204によって電源電圧Vccが生成され、クロック信号発生器240によってクロック信号CLKが生成される。また、必要に応じて、CPU・メモリ250に対するリセット処理が行われる。ところで、前述したように、この時点でリーダライタ装置100が送波している電磁波エネルギーは、平均的な初期増幅率で増幅されたものであるから、第1のコイル101と第2のコイル201との電磁的な結合効率が平均以下であった場合には、ICカード200側で受信される電磁波エネルギーは本来の大きさよりも小さいものになってしまうし、逆に、両コイルの結合効率が平均以上であった場合には、ICカード200側で受信される電磁波エネルギーは本来の大きさよりも大きなものになってしまう。このように、受信される電磁波エネルギーの大きさが適当でないと、ICカード内の素子が破壊されたり、あるいは、十分安定な電源電圧を確保できなかったり、という弊害が生じることは既に述べたとおりである。
【0023】
本発明に係るシステムでは、次のような動作によって、ICカード200に供給される電磁波エネルギーの大きさが最適になるように制御することができる。まず、レギュレータ204に与える最適電圧値V1を予め決めておく。すなわち、リプルフィルタ203から出力される電圧Vが、最適電圧V1に等しい場合に、このICカード200内の種々の回路が最適な動作を行うことになり、リプルフィルタ203から出力される電圧Vを、最適電圧V1に維持するような制御を行うことが、この制御動作の目的となる。この場合、基準電圧発生器211が発生する基準電圧VRとして、最適電圧V1を分圧抵抗素子R1,R2で分圧したときに得られる分圧抵抗値V´の値に等しくなるような値に設定しておく。別言すれば、リプルフィルタ203の出力電圧Vが最適電圧V1に等しくなったとき、比較器212において、VR=V´なる比較結果が得られることになる。基準電圧VRとして、このような値を設定をしておけば、次のような制御が可能になる。
【0024】
この制御動作を、図4のグラフに基いて説明しよう。このグラフにおいて、横軸は時間軸、縦軸は電圧を示しており、リプルフィルタ203の出力電圧Vと、これを分圧することによって得られる分圧電圧V´と、の電圧値の時間変化が示されている。ここでは、便宜上、所定の周期Tごとに、比較器212における比較処理を行うことにする。まず、時刻t1における比較処理では、グラフに示されているように、V´<VRとなっているので、前述したように、制御信号発生器213の出力する制御信号PはLレベルになる。この制御信号Pは、変調器220によって、リーダライタ装置100側に伝達され、復調器140を介して電力制御器150に伝えられる。電力制御器150は、制御信号PがLレベルであるときには、電力増幅器130における電力増幅率を徐々に増加させるような制御を行う。このため、第1のコイル101から送波される電磁波エネルギーは徐々に大きくなってゆく。図4のグラフにおいて、時刻(t1+d)から、電圧V,V´ともに増加しているのはこのためである。なお、時間dは、制御信号PのレベルがLに反転してから、実際に電圧V,V´が増加に転じるまでの遅延時間である。
【0025】
続いて、時刻t2における比較処理では、グラフに示されているように、V´>VRとなっているので、制御信号発生器213の出力する制御信号PはHレベルに反転する。すると電力制御器150は、制御信号PがHレベルであるときには、電力増幅器130における電力増幅率を徐々に減少させるような制御を行うので、第1のコイル101から送波される電磁波エネルギーは徐々に小さくなってゆく。したがって、時刻(t2+d)からは、電圧V,V´ともに減少することになる。更に、時刻t3における比較処理では、再び、V´<VRとなっているので、制御信号発生器213の出力する制御信号PはLレベルに反転し、電力制御器150は、電力増幅器130における電力増幅率を徐々に増加させるような制御を行う。このため、第1のコイル101から送波される電磁波エネルギーは徐々に大きくなり、時刻(t3+d)からは、電圧V,V´ともに増加することになる。また、時刻t4における比較処理では、再び、V´>VRとなり、制御信号発生器213の出力する制御信号PはHレベルに反転し、電力制御器150は、電力増幅器130における電力増幅率を徐々に減少させるような制御を行う。このため、第1のコイル101から送波される電磁波エネルギーは徐々に小さくなり、時刻(t4+d)からは、電圧V,V´ともに減少することになる。以下、この繰り返しによりフィードバック制御が行われ、リプルフィルタ203の出力電圧Vは、最適値V1を中心に上下変動することになる。図4のグラフでは、説明の便宜上、この上下変動の幅をかなり大きく描いたが、実際には、周期Tを十分に小さく設定してやれば、この上下変動の幅も小さく抑えることができ、電圧Vをほぼ最適値V1に維持させることができる。
【0026】
ところで、図3に示すように、実際には、変調器220は、制御信号PとともにデータD2をリーダライタ装置100へ伝送しなければならない。しかも、リーダライタ装置100とICカード200との間に形成された単一の情報伝送路には、リーダライタ装置100からICカード200側へ送るデータD1も乗せる必要がある。このため、実際には、この情報伝送路を時間分割して、データD1,D2,制御信号Pの三者に割り当てる必要がある。図4のグラフの下に示した「時間割当て」という見出しのダイヤグラムは、この時間割当ての一例を示すものである。この例では、時間を所定の周期Tごとに区切り、更にこの1周期Tを前半周期T1と後半周期T2とに区切り、前半周期T1を制御信号Pの伝送に割当て、後半周期T2をデータD1,D2の伝送に割当てている。しかも、後半周期T2については、奇数番目の周期T内ではデータD1を伝送し、偶数番目の周期T内ではデータD2を伝送する、というように、双方向のデータ伝送を交互に行うようにしている。
【0027】
「変調波M」という見出しで示した波形は、このような時間割当てを行った場合の実際の変調波Mの一例を示すものである。この図において、各後半周期T2の部分には「X」と記されているが、この部分には実際のデータに応じた「H」または「L」で表されるビットが位置することになる。これに対して、各前半周期T1の部分には、制御信号Pのレベル(「H」または「L」)がそのまま示されている。したがって、リーダライタ装置100内において、復調器140が復調した信号から、電力制御器150によって制御信号Pだけを抽出するには、図4の最下欄に示すように、時刻t1+δ,時刻t2+δ,時刻t3+δ,時刻t4+δ、といった各タイミングにおいて、信号のレベルが「L」であるか「H」であるかを検出すればよい。ここでδは、制御信号Pの値を確実に読み取るために設ける遅延時間であり、たとえば、前半周期T1/2といった値に設定しておけばよい。図2に示すように、電力制御器150には、発振器110から搬送波Cが供給されており、ICカード200内では、この搬送波Cに基いてクロック信号CLKが生成されている。したがって、搬送波Cは、このシステムにおける共通のクロック情報を与える信号であり、電力制御器150は、この搬送波Cに基いて、制御信号Pを抽出するタイミング(上述した、時刻t1+δ,t2+δ,…)を得ることができる。もちろん、この搬送波Cは、データD1を送信するタイミングやデータD2を抽出するタイミングを得るためにも用いられる。
【0028】
以上、本発明を図示する実施例に基いて説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。特に、上述の実施例では、ICカード200に対してリーダライタ装置100から電源供給を行う例について述べたが、本発明は半導体記憶媒体に対して、何らかの外部装置から電源供給を行う場合に広く適用しうるものである。また、図4に示した「時間割当て」は、説明の便宜のために簡単な例を示したものであり、この他どのような割当てを行ってもかまわない。
【0029】
【発明の効果】
以上のとおり本発明に係る半導体記憶媒体を用いた非接触通信方法および通信システムによれば、供給する電磁波エネルギーの大きさをデータ通信を行いながらフィードバック制御するようにしたため、外部装置側のコイルと半導体記憶媒体側のコイルとの相対位置関係が変動しても、常に安定した電源供給を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なリーダライタ装置100とICカード200との間のデータ転送時の結合状態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るリーダライタ装置100の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係るICカード200の内部構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示すICカード200内の電源系の動作を示すグラフである。
【符号の説明】
100…リーダライタ装置
101…第1のコイル
110…発振器
120…変調器
130…電力増幅器
140…復調器
150…電力制御器
200…ICカード
201…第2のコイル
202…整流器
203…リプルフィルタ
204…レギュレータ
211…基準電圧発生器
212…比較器
213…制御信号発生器
220…変調器
230…復調器
240…クロック信号発生器
250…CPU・メモリ
C…搬送波
CLK…クロック信号
D1…リーダライタ装置からICカードへの送信データ
D2…ICカードからリーダライタ装置への送信データ
M…変調波
P…制御信号
R1,R2…分圧抵抗素子
T…所定の周期
T1…制御信号Pに割り当てられた前半周期
T2…データD1,D2に割り当てられた後半周期
V…リプルフィルタ203の出力電圧
V´…分圧電圧
Vcc…電源電圧
Claims (2)
- 外部装置から半導体記憶媒体に対して単一の電磁的結合手段を介して電磁波エネルギーを送波し、この電磁波エネルギーに基いて前記半導体記憶媒体内で必要な電源電圧を生成することにより、両者間を物理的に非接触な状態に保ちながら電源供給を行うとともに、前記電磁波エネルギーに情報を重畳することにより、前記単一の電磁的結合手段を介して両者間でデータ通信を行う非接触通信方法において、
前記半導体記憶媒体側では、送波された電磁波エネルギーに基いて生成された電圧を所定の分圧比で分圧することにより得られる分圧電圧と所定の基準電圧とを比較し、この比較結果を前記外部装置に対して送信するようにし、
前記外部装置側では、受信した前記比較結果に応じて、前記分圧電圧が前記基準電圧よりも小さい場合には、送波する電磁波エネルギーの大きさを増加させ、前記分圧電圧が前記基準電圧よりも大きい場合には、送波する電磁波エネルギーの大きさを減少させるような制御を行い、
前記外部装置側から送波する電磁波エネルギーに所定の周期Tを定義し、この周期Tを2つの区間T1,T2に区切り、区間T1内の電磁波エネルギーを変調して、前記半導体記憶媒体から前記外部装置への前記比較結果の送信を行い、区間T2内の電磁波エネルギーを変調して、前記半導体記憶媒体と前記外部装置との間のデータ通信を行うようにしたことを特徴とする半導体記憶媒体を用いた非接触通信方法。 - 外部から単一の電磁的結合手段を介して送波される電磁波エネルギーに基いて、必要な電源電圧を生成するとともに、前記電磁波エネルギーに重畳された情報を利用して、前記単一の電磁的結合手段を介して外部に対してデータ通信を行う機能をもった半導体記憶媒体と、
前記半導体記憶媒体に対して前記単一の電磁的結合手段を介して電磁波エネルギーを送波することにより、物理的に非接触な状態に保ちながら、前記半導体記憶媒体に対して電源供給を行うとともに、前記電磁波エネルギーに重畳された情報を利用して前記半導体記憶媒体とデータ通信を行う機能をもった非接触通信装置と、
を備える非接触通信システムであって、
前記半導体記憶媒体は、
送波された電磁波エネルギーに基いて生成された電圧を所定の分圧比で分圧することにより得られる分圧電圧と所定の基準電圧とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に応じて、前記分圧電圧が前記基準電圧よりも小さい場合には、前記非接触通信装置に対して、送波する電磁波エネルギーの大きさを増加させる制御を行うための制御信号を生成し、前記分圧電圧が前記基準電圧よりも大きい場合には、前記非接触通信装置に対して、送波する電磁波エネルギーの大きさを減少させる制御を行うための制御信号を生成する制御信号発生手段と、
送波された電磁波エネルギーに所定の周期Tを定義し、この周期Tを2つの区間T1,T2に区切り、区間T1内の電磁波エネルギーを変調して、前記非接触通信装置への前記制御信号の送信を行い、区間T2内の電磁波エネルギーに重畳された形の情報に基づいて前記非接触通信装置との間でデータ通信を行う通信手段と、を有し、
前記非接触通信装置は、
前記半導体記憶媒体に対して前記区間T1,T2に区切られた周期Tの電磁波エネルギーを送波する送波手段と、
前記半導体記憶媒体から前記区間T1内の電磁波エネルギーに重畳された形で送信される前記制御信号を受信する受信手段と、
前記制御信号に基いて、送波する電磁波エネルギーの大きさを制御する制御手段と、
前記半導体記憶媒体との間で前記区間T2内の電磁波エネルギーに重畳された形の情報に基づいてデータ通信を行うデータ通信手段と、
を有することを特徴とする半導体記憶媒体を用いた非接触通信システム。
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