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JP3555200B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置 Download PDF

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JP3555200B2
JP3555200B2 JP27388994A JP27388994A JP3555200B2 JP 3555200 B2 JP3555200 B2 JP 3555200B2 JP 27388994 A JP27388994 A JP 27388994A JP 27388994 A JP27388994 A JP 27388994A JP 3555200 B2 JP3555200 B2 JP 3555200B2
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    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
    • B60T8/00Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force
    • B60T8/17Using electrical or electronic regulation means to control braking
    • B60T8/176Brake regulation specially adapted to prevent excessive wheel slip during vehicle deceleration, e.g. ABS
    • B60T8/1763Brake regulation specially adapted to prevent excessive wheel slip during vehicle deceleration, e.g. ABS responsive to the coefficient of friction between the wheels and the ground surface
    • B60T8/17636Microprocessor-based systems

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  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両の制動時の車輪ロックを防止するアンチスキッド制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアンチスキッド制御装置としては、例えば、特開平2−3564号公報に記載されているものが知られている。
この従来例には、車輪の速度を検出する車輪速度センサと、マスタシリンダと前記車輪のホイールシリンダとの間に設けられ、前記ホイールシリンダのブレーキ圧力を制御する圧力制御手段と、マスタシリンダのブレーキ圧力のみを検出する圧力検出手段と、車輪にスリップが発生したことを判断すると共に、車輪にスリップが発生したと判断すると圧力制御手段に対して前記ホイールシリンダのブレーキ圧力の制御を指令するスリップ制御手段と、このスリップ制御手段によって指令され、前記圧力制御手段によって前記ホイールシリンダのブレーキ圧力の制御が行われたとき、前記ホイールシリンダのブレーキ圧力の変化量を演算して、その変化量から前記ホイールシリンダのブレーキ圧力を推定する圧力推定手段と、この圧力推定手段によって推定される前記ホイールシリンダのブレーキ圧力と前記圧力検出手段によって検出されるマスタシリンダのブレーキ圧力とを比較する比較手段と、この比較手段によって行われる比較の結果、マスタシリンダのブレーキ圧力がホイールシリンダのブレーキ圧力より小さくなったときに、前記圧力制御手段手段によるホイールシリンダのブレーキ圧力の制御を終了させる終了手段とを備えた簡易型アンチスキッド制御装置が記載されている。
【0003】
具体的には、圧力推定手段で、ホイールシリンダの増圧時には所定のマスタシリンダ圧と増圧変化量との関係を表す増圧特性関数に基づいて今回の増圧変化量を算出し、この増圧変化量を前回のブレーキ圧力推定値に加算することにより、今回のブレーキ圧力推定値を算出し、ホイールシリンダの減圧時には所定のホイールシリンダ圧と減圧変化量との関係を表す減圧特性関数に基づいて今回の減圧変化量を算出し、この減圧変化量を前回のブレーキ圧力推定値から減算することにより、今回のブレーキ圧力推定値を算出し、減圧後の再増圧時には前回の減圧時の総減圧量に依存する増圧量を決定することにより、減圧後のブレーキ圧力がロック圧力に到達するのを早めるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例のアンチスキッド制御装置にあっては、圧力センサ数を必要最小限に抑えてアンチスキッド制御システム全体を簡易小型化することができる反面、ホイールシリンダ圧を予め設定された増減圧特性関数を用いて推定し、減圧開始時から減圧終了時までの総減圧量に基づいて再増圧時の増圧量を決定するようにしているので、車両の走行路面が乾燥した舗装路等の高摩擦係数路から降雨路、凍結路等の低摩擦係数路に急変したときに、前回の減圧時の総減圧量に基づいて増圧量を設定すると、増圧量が過大となって車輪スリップ量が著しく増大し、車両の安定性が低下するという未解決の課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、車両の走行路面が高摩擦係数から低摩擦係数に急変した場合でも再増圧時の増圧量を適正に保って良好なアンチスキッド制御を行うことにより、安定性を向上することができるアンチスキッド制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係るアンチスキッド制御装置は、図1の基本構成図に示すように、マスタシリンダからのマスタシリンダ圧をもとに制御対象車輪に配設された制動用シリンダの流体圧を制御するアクチュエータと、前記制御対象車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、少なくとも前記車輪速度検出手段の車輪速度検出値に基づいて車体速度を推定する車体速度推定手段と、前記制動用シリンダに対する制動用シリンダ圧を検出又は推定する制動用シリンダ圧検出又は推定手段と、前記制動用シリンダに対する目標シリンダ圧を演算する目標シリンダ圧演算手段と、前記制動用シリンダ圧検出又は推定手段の制動用シリンダ圧と前記目標シリンダ圧演算手段の目標シリンダ圧とが一致するように前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御手段とを備えたアンチスキッド制御装置において、前記目標シリンダ圧演算手段は、車輪のスリップ量に応じて目標増圧量を算出する第1の目標増圧量算出手段と、少なくとも減圧後の再増圧開始時に、前回の総減圧量に応じた目標増圧量と前記第1の目標増圧量との何れか大きい方を目標増圧量として算出する第2の目標増圧量算出手段と、減圧開始時から再増圧開始時までの経過時間を計時する経過時間計時手段と、前記制動用シリンダの増圧開始時に、前記制動用シリンダ圧検出又は推定手段の制動用シリンダ圧に、前記経過時間計時手段の経過時間が所定値より長いときに前記第1の目標増圧量算出手段の目標増圧量を加算し、所定値より短いときに前記第2の目標増圧量算出手段の目標増圧量を加算して前記目標シリンダ圧を演算する目標値算出手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に係るアンチスキッド制御装置は、前記請求項1において、目標値算出手段が、所定値が前記車体速度推定手段で推定した推定車体速度に依存する値に選定されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係るアンチスキッド制御装置は、前記請求項1又は2において、前記第1の目標増圧量算出手段が、前記車体速度推定手段で推定した車体速度をもとに算出される目標車輪速度及び実際の車輪速度の偏差と予め設定された目標車輪加減速度及び車輪加減速度の偏差とを加算して目標増圧量を算出することを特徴としている。
【0008】
【作用】
請求項1に係るアンチスキッド制御装置においては、制動用シリンダ圧検出又は推定手段で、直接圧力センサで各制動用シリンダの圧力を検出するか又は制御手段の制御信号と前記マスタシリンダ圧検出手段のマスタシリンダ圧とに基づいて前記制動用シリンダの圧力を推定する。一方、目標シリンダ圧演算手段では、第1の目標増圧量算出手段で車輪スリップ量に応じて目標増圧量を算出すると共に、第2の目標増圧量算出手段で、少なくとも減圧後の再増圧開始時に前回の減圧時の総減圧量に応じた目標増圧量と前記第1の目標増圧量との何れか大きい方を目標増圧量として算出し、さらに、経過時間計時手段で前回の減圧開始時から再増圧開始時までの経過時間を計時し、目標値算出手段で、少なとも制動用シリンダの増圧開始時に、経過時間が所定値より短いときには路面摩擦係数変化が少ない通常走行状態であるものと判断して第2の目標増圧量算出手段で算出する目標増圧量を制動用シリンダ圧に加算して目標シリンダ圧の算出が可能となり、再増圧開始時の増圧量を大きくして、減圧後のホイールシリンダ圧がロック圧力に到達する時間を早めて、制動距離を短縮することができる。ここで、第2の目標増圧量算出手段が、前回の総減圧量に応じた目標増圧量と前記第1の目標増圧量との何れか大きい方を目標増圧量として算出するので、第1の目標増圧量以上の目標増圧量が設定されることになり、増圧不足となることを確実に防止することができる。
一方、前回の減圧開始時から再増圧開始までの経過時間が所定値より長いときには路面摩擦係数が大きい値から小さい値に急変したものと判断して第1の目標増圧量算出手段で算出した目標増圧量を制動用シリンダ圧に加算して目標シリンダ圧を算出し、増圧量を抑制して車輪速度の急激な低下を抑制する。
この結果、路面摩擦係数変化が少ないときには、前回の総減圧量に基づく目標増圧量で良好なアンチスキッド制御を行い、路面摩擦係数が急変したときには、再増圧時の車輪スリップ量の急増を抑制して安定性を向上する。
【0009】
また、請求項2に係るアンチスキッド制御装置においては、目標値算出手段における所定値が推定車体速度に依存するように選定されているので、車両の制動状態に応じた車輪のスリップ状態の判定を正確に行って、車輪スリップ量の急増を効果的に抑制する。
さらに、請求項3に係るアンチスキッド制御装置においては、第1の目標増圧量算出手段が車体速度をもとに算出される目標車輪速度及び実際の車輪速度の偏差と予め設定された目標車輪加減速度及び車輪加減速度の偏差とを加算して目標増圧量を算出することにより、比例・微分制御を行ってアンチスキッド制御の応答性を向上させる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図2は本発明の一実施例を示すブロック図である。
図中、1FL,1FRは前輪、1RL,1RRは後輪であって、後輪1RL,1RRにエンジンEGからの回転駆動力が変速機T、プロペラシャフトPS及びディファレンシャルギヤDGを介して伝達され、各車輪1FL〜1RRには、それぞれ制動用シリンダとしてのホイールシリンダ2FL〜2RRが取付けられ、さらに前輪1FL,1FRにこれらの車輪回転数に応じたパルス信号PFL,PFRを出力する車輪速度検出手段としての車輪速センサ3FL,3FRが取付けられ、プロペラシャフトPSに後輪の平均回転数に応じたパルス信号Pを出力する車輪速度検出手段としての車輪速センサ3Rが取付けられている。
【0011】
各前輪側ホイールシリンダ2FL,2FRには、ブレーキペダル4の踏込みに応じて前輪側及び後輪側の2系統のマスタシリンダ圧を発生するマスタシリンダ5からのマスタシリンダ圧が前輪側アクチュエータ6FL,6FRを介して個別に供給されると共に、後輪側ホイールシリンダ2RL,2RRには、マスタシリンダ5からのマスタシリンダ圧が共通の後輪側アクチュエータ6Rを介して供給され、全体として3センサ3チャンネルシステムに構成されている。
【0012】
アクチュエータ6FL〜6Rのそれぞれは、図3に示すように、マスタシリンダ5に接続される油圧配管7とホイールシリンダ2FL〜2RRとの間に介装された電磁流入弁8と、この電磁流入弁8と並列に接続された電磁流出弁9、油圧ポンプ10及び逆止弁11の直列回路と、流出弁9及び油圧ポンプ10間の油圧配管に接続されたアキュムレータ12とを備えている。
【0013】
そして、各アクチュエータ6FL〜6Rの電磁流入弁8、電磁流出弁9及び油圧ポンプ10は、車輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号PFL〜Pと、各マスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段としての圧力センサ13F及び13Rのマスタシリンダ圧検出値PMCF 及びPMCR と、ブレーキペダル4の踏込みを検出するブレーキスイッチ14からのブレーキペダル踏込時にオン状態となるブレーキスイッチ信号BSとが入力されるコントローラCRからの液圧制御信号EV、AV及びMRによって制御される。
【0014】
コントローラCRは、車輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号PFL〜Pが入力され、これらと各車輪1FL〜1RRの回転半径とから車輪の周速度でなる車輪速度VwFL〜Vwを演算する車輪速演算回路15FL〜15Rと、これら車輪速演算回路15FL〜15Rの車輪速度VwFL〜Vwが入力され、これらに対して時間制限フィルタ処理を行う車輪速フィルタ18FL〜18Rと、車輪速演算回路15FL〜15Rの車輪速度VwFL〜Vw、車輪速フィルタ18FL〜18Rのフィルタ出力VfFL〜Vf及び圧力センサ13A,13Bのマスタシリンダ圧検出値PMCF,MCR が入力され、これらに基づいて推定車体速度V及び車体速度勾配VXKを算出し、且つ目標ホイールシリンダ圧P FL〜P を算出すると共に、推定ホイールシリンダ圧PFL〜Pを算出し、両者が一致するようにアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EV,AV,MRを出力するマイクロコンピュータ20とを備えており、マイクロコンピュータ20から出力される制御信号が駆動回路22aFL〜22a、22bFL〜22b、22cFL〜22cを介してアクチュエータ6FL〜6Rに供給される。
【0015】
ここで、車輪速フィルタ18FL〜18Rの夫々は、図4に示すように、車輪速演算回路15i(i=FL,FR,R)からの車輪速度Vwを車輪速サンプリング値Vとして保持するサンプルホールド回路181と、オペアンプで構成され入力電圧Eを積分する積分回路182と、この積分回路182の積分出力Vとサンプルホールド回路181の車輪速サンプリング値Vとを加算してフィルタ出力Vfを算出する加算回路183と、車輪速度Vwがフィルタ出力Vfに対して予め設定した所定の不感帯幅内即ちVf−1km/h<Vw<Vf+1km/hであるか否かを検出し、Vf−1km/h<Vw<Vf+1km/hであるときに出力C及びCを共に低レベルとし、Vw≧Vf+1km/hであるときに、出力Cを高レベルとし、Vw≦Vf−1km/hであるときに出力Cを高レベルとする不感帯検出回路184と、この不感帯検出回路184で車輪速度Vwが不感帯内となったとき及びイグニッションスイッチのオン信号IGが入力されたときに、前記サンプルホールド回路181で車輪速度Vwを保持させると共に、積分回路182をリセットするリセット信号SRを出力するリセット回路185と、車体速度Vwが不感帯幅内にあるとき及び不感帯幅外となってからオフディレータイマ186で設定された所定時間Tの間積分入力電圧Eとして零電圧を積分回路182に供給し、Vw>Vf+1km/hとなってから所定時間T経過後に非アンチスキッド制御中は+0.4Gに対応する負の電圧を、アンチスキッド制御中は+10Gに対応する負の電圧をそれぞれ積分入力電圧Eとして積分回路182に供給し、さらにVw<Vf−1km/hとなってから所定時間T経過後に−1.2Gに対応する正の電圧を積分入力電圧Eとして積分回路182に供給する選択回路187とを備えている。
【0016】
また、マイクロコンピュータ20は、図2に示すように、例えばA/D変換機能を有する入力インタフェース回路20a、出力インタフェース回路20d、演算処理装置20b及び記憶装置20cを少なくとも有し、演算処理装置20bでフィルタ出力Vfに基づいて車体速度勾配VXk及び推定車体速度Vを算出し、推定車体速度Vをもとに目標車輪速度Vwを算出すると共に、車輪速度VwFL〜Vwを微分して車輪加速度VwFL′〜Vw′を算出し、車輪速度VwFL〜Vw、車輪加速度VwFL′〜Vw′及び目標車輪速度Vwに基づいて目標ホイールシリンダ圧P FL〜P を算出し、且つマスタシリンダ圧検出値PMCF,MCR 、車体速度勾配VXk及びアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号AV,EVをもとに推定ホイールシリンダ圧PFL〜Pを算出し、これら推定ホイールシリンダ圧PFL〜Pと目標シリンダ圧P FL〜P とが一致するようにアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号AVFL〜AV,EVFL〜EV,MRFL〜MRを出力する。
【0017】
次に、上記実施例の動作をマイクロコンピュータ20の制御処理を示す図5〜図9を伴って説明する。
図5の制御処理は所定時間(例えば10msec) 毎のメインプログラムに対するタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で、圧力センサ13F及び13Rのマスタシリンダ圧検出値PMCF 及びPMCR と、各車輪速演算回路15FL〜15Rの車輪速度VwFL〜Vwと、各車輪速フィルタ18FL〜18Rのフィルタ出力VfFL〜Vfとを読込むと共に、車輪速度VwFL〜Vwを微分して車輪加速度VwFL′〜Vw′を算出し、これらを記憶装置20cの所定記憶領域に更新記憶する。
【0018】
次いで、ステップS2に移行して、フィルタ出力VfFL〜Vfをもとに車体速度勾配VXk及び推定車体速度Vを算出する車体速度演算処理を実行し、次いでステップS3に移行して、マスタシリンダ圧検出値PMCF,MCR と前回のアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EVFL〜EV,AVFL〜AVとをもとに各ホイールシリンダ2FL〜2RRの現在のホイールシリンダ圧を推定する推定ホイールシリンダ圧PFL〜Pを算出する推定ホイールシリンダ圧演算処理を実行する。
【0019】
次いで、ステップS4に移行して、下記(1)式の演算を行って目標車輪速度Vwを算出してこれを記憶装置20cに形成した目標車輪速度記憶領域に更新記憶する。
Vw=0.8V …………(1)
次いで、ステップS4aに移行して、目標車輪速度Vwが車輪速度Vwより小さいか否かを判定し、Vw<Vwであるときには、ステップS4bに移行して目標車輪減速度Vw′を“0”に設定してこれを記憶装置20cに形成した目標車輪減速度記憶領域に更新記憶し、Vw≧Vwであるときには、ステップS4cに移行して下記(2)式の演算を行って目標車輪減速度Vw′を算出する。
【0020】
Vw′=−Vw′ …………(2)
ここで、Vw′は予め設定された設定値である。
次いで、ステップS5に移行して、各ホイールシリンダ2FL〜2Rに対する目標ホイールシリンダ圧P FL〜P を算出する目標ホイールシリンダ圧演算処理を実行する。
【0021】
次いで、ステップS6に移行して、推定ホイールシリンダ圧PFL〜Pと目標ホイールシリンダ圧P FL〜P との偏差に応じたアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EV,AV,MRを決定し、これを出力するアクチュエータ制御処理を実行してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0022】
ここで、ステップS2の車体速度演算処理は、図6に示すように、先ず、ステップS7で、ブレーキスイッチ14のブレーキスイッチ信号BSがオフ状態であるか否かを判定し、これがオフ状態であるときには非制動状態であると判断してステップS8に移行し、下記(3)式に示すように、フィルタ出力VfFL, VfFR及びVfのうち最も小さい値をセレクトロー車輪速度Vwとして算出し、次いでステップS9に移行して、算出したセレクトロー車輪速度Vwを推定車体速度Vとして設定しこれを記憶装置20cに形成した推定車体速度記憶領域に更新記憶し、次いでステップS10に移行して、車体速度勾配VXKとして予め設定された後述する推定ホイールシリンダ圧演算処理における上限値制御マップの設定勾配VXK2 以上の値でなる設定値VXK0 を設定し、これを記憶装置20cに形成した車体速度勾配記憶領域に更新記憶してからてからサブルーチン処理を終了して、図5におけるステップS3の推定ホイールシリンダ圧演算処理に移行する。
【0023】
=MIN(VfFL, VfFR,Vf) …………(3)
一方、ステップS7の判定結果が、ブレーキスイッチ信号BSがオン状態であるときには、制動状態であると判断してステップS11に移行し、下記(4)式に示すように、フィルタ出力VfFL, VfFR及びVfの何れか大きい値をセレクトハイ車輪速度Vwとして選択し、これを記憶装置20cに形成したセレクトハイ車輪速度記憶領域に更新記憶する。
【0024】
=MAX(VfFL, VfFR,Vf) …………(4)
次いで、ステップS12に移行して、セレクトハイ車輪速度Vwを微分してセレクトハイ車輪速度Vwの加減速度Vw′を算出する。
次いで、ステップS13に移行して、セレクトハイ車輪加減速度Vw′が予め設定した設定減速度−Dに達する制動状態となったか否かを表す制動状態フラグF1が“1”であるか否かを判定し、これが“0”にリセットされているときには非制動状態である判断してステップS14に移行する。
【0025】
このステップS14では、セレクトハイ車輪加減速度Vw′が設定減速度−D以下であるか否かを判定し、設定減速度−Dより大きいときには制動初期状態であると判断してそのままS15に移行して、セレクトハイ車輪速度Vwを推定車体速度Vとして記憶装置20cの所定記憶領域に更新記憶してから車体速度演算処理を終了してステップS3の推定ホイールシリンダ圧演算処理に移行し、設定減速度−D以下となったときにはステップS16に移行する。
【0026】
このステップS16では、現在のセレクトハイ車輪速度Vwを現在サンプリング車輪速度Vs(n) として記憶装置20cに形成した現在値記憶領域に更新記憶し、次いでステップS17に移行して経過時間を計数するタイマTを“0”にクリアし、次いでステップS18に移行して制動状態フラグFを“1”にセットしてから前記ステップS15に移行する。
【0027】
一方、前記ステップS13の判定結果が、制動状態フラグFが“1”にセットされているものであるときには、ステップS18aに移行して、車体速度勾配演算のための経過時間を係数するタイマのカウント値を“1”だけインクリメントし、次いでステップS19に移行して、後述するアクチュエータ制御処理においてアンチスキッド制御中を表す制御フラグASが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“1”にセットされているときには、ステップS20に移行する。
【0028】
このステップS20では、アンチスキッド制御処理を開始した後の処理状態を表す制御フラグF2を“1”にセットし、次いでステップS21に移行して、減速開始状態を表す制御フラグF3が“1”にセットされているか否かを判定し、制御フラグF3が“0”にリセットされているときには、ステップS21aに移行して、制御フラグF4が“1”にセットされているか否かを判定し、F4=1であるときにはそのままステップS22に移行し、F4=0であるときにはステップS21bに移行して、セレクトハイ車輪速度Vwの加減速度Vw′が正であるか否かを判定し、Vw′≦0であるときにはそのまま後述するステップS29に移行し、Vw′>0であるときにはステップS21cに移行して制御フラグF4を“1”にセットしてから後述するステップS29に移行する。
【0029】
ステップS22では、前述したステップS14と同様にセレクト車輪減速度Vw′が設定減速度−D以下であるか否かを判定し、Vw′>−Dであるときにはそのまま後述するステップS29に移行し、Vw′≦−Dであるときには、ステップS23に移行して、現在のセレクトハイ車輪速度Vwを現在サンプリング車輪速度Vs(n) として現在値記憶領域に更新記憶する。
【0030】
次いで、ステップS24に移行して、現在サンプリング車輪速度Vs(n) 及び初期サンプリング車輪速度Vs に基づいて下記(5)式の演算を行って車体速度勾配VXkP を算出する。
XkP =(Vs−Vs(n) )/T+VXOF …………(5)
ここで、Tは前回のサンプリング時からの経過時間、VXOF は車体速度勾配不足による推定車体速度のずれを補償するオフセット値である。
【0031】
次いで、ステップS25に移行して、算出した車体速度勾配VXKP を車体速度勾配VXKとして車体速度勾配記憶領域に更新記憶し、次いでステップS26に移行して減速開始状態を表す制御フラグF3を“1”にセットすると共に、制御フラグF4を“0”にリセットしてから前述したステップS15に移行する。
一方、ステップS19での判定で、アンチスキッド制御中フラグASが“0”にリセットされているときには、ステップS27に移行して、制御フラグF2が“1”にセットされているか否かを判定する。この判定は、アンチスキッド制御を開始した後であるか否かを判定するものであり、制御フラグF2が“0”にリセットされているときには、アンチスキッド制御を開始する直前であると判断してステップS29に移行する。
【0032】
このステップS29では、セレクトハイ車輪速度Vwが推定車体速度Vより小さいか否かを判定し、Vw<Vであるときには、ステップS30に移行して現在の推定車体速度Vから記憶装置20cの所定記憶領域に更新記憶されている車体速度勾配VXkにサンプリング時間Δtを乗じた値を減算した値を新たな推定車体速度Vとして記憶装置20cの所定記憶領域に更新記憶してからサブルーチン処理を終了して図5のステップS3の推定ホイールシリンダ圧演算処理に移行し、Vw≧VであるときにはステップS31に移行して、制御フラグF3を“0”にリセットしてから前記ステップS15に移行する。
【0033】
さらに、前記ステップS21の判定結果が制御フラグF3が“1”にセットされているときには前記ステップS2に移行し、前記ステップS27の判定結果が、制御フラグF2が“1”にセットされているときには、ステップS33に移行して、各制御フラグF1,F2,F3及びF4を夫々“0”にリセットし、次いでステップS34に移行して、現在のセレクトハイ車輪速度Vwを推定車体速度Vとして設定してから車体速度演算処理を終了してステップS3の推定ホイールシリンダ圧演算処理に移行する。
【0034】
また、前記ステップS29の判定結果がVw≧Vであるときには前記ステップS31に移行する。この図6の処理において、ステップS15,S30,S34の処理が推定車体速度算出手段に対応し、ステップS14,S16〜S2の処理が車体速度勾配算出手段に対応している。
【0035】
さらに、ステップS3のホイールシリンダ圧推定値演算処理は、図7に示すように、先ずステップS41で、後述するアクチュエータ制御処理における前回のアクチュエータ制御信号を読込み、次いでステップS42に移行して、読込んだアクチュエータ制御信号の状態からホイールシリンダ2j(j=FL,FR,RL,RR)が増圧状態、減圧状態、保持状態の何れであるかを判定し、増圧状態であるときには、ステップS43に移行し、記憶装置20cに形成された推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) を読出し、これと今回マスタシリンダ圧PMCとをもとに記憶装置20cに予め記憶されたこのステップS43内に図示した推定増圧量算出制御マップを参照して推定増圧量ΔPiAを算出する。ここで、推定増圧量算出制御マップは、マスタシリンダ圧PMCを一定としたときに前回ホイールシリンダ圧P(n−1) の増加によって推定増圧量ΔPiAが増加し、且つマスタシリンダ圧PMCの増加によって推定増加量ΔPiAの最大値が増加するように設定されている。
【0036】
次いで、ステップS44に移行して、下記(6)式に示すように、推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) と推定増圧量ΔPiAとを加算して今回の推定ホイールシリンダ圧P(n) を算出する。
(n) =P(n−1) +ΔPiA …………(6)
次いで、ステップS45に移行して、下記(7)式に示すように、算出した今回推定ホイールシリンダ圧P(n) と現在のマスタシリンダ圧PMCとを比較し、何れか小さい値を今回推定ホイールシリンダ圧P(n) として前記推定ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶してからサブルーチン処理を終了して図5におけるステップS4の目標車輪速度算出処理に移行する。
【0037】
(n) =min{P(n) ,PMC} …………(7)
また、ステップS42の判定結果が、ホイールシリンダ2j(j=FL,FR,RL,RR)が保持状態であるときにはそのままサブルーチン処理を終了して図5におけるステップS4の目標車輪速度算出処理に移行し、減圧状態であるときにはステップS48に移行して推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) を読出し、これをもとに記憶装置20cに予め記憶された前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) と推定減圧量ΔPiDとの関係を表す図7のステップS48内に図示の制御マップを参照して推定減圧量ΔPiDを算出してからステップS49に移行する。ここで、推定減圧量算出制御マップは、前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) の増加に比例して推定減圧量ΔPiDが増加するように設定されている。
【0038】
ステップS49では、下記(8)式に示すように、推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) から推定減圧量ΔPiDを減算して今回の推定ホイールシリンダ圧P(n) を算出する。
(n) =P(n−1) −ΔPiD …………(8)
次いで、ステップS50に移行して、下記(9)式に示すように、算出した今回推定ホイールシリンダ圧P(n) と“0”とを比較し、何れか大きい値を今回推定ホイールシリンダ圧P(n) として前記推定ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶してからサブルーチン処理を終了して図5におけるステップS4の目標車輪速度算出処理に移行する。
【0039】
(n) =max{P(n) ,0} …………(9)
この図7の処理において、ステップS41〜ステップS45の処理が制動用シリンダ圧推定手段に対応している。
さらに、ステップS5の目標ホイールシリンダ圧演算処理は、図8に示すように、先ず、ステップS51で、車輪速度Vw、目標車輪速度Vw、車輪加減速度Vw′及び目標車輪加減速度Vw′に基づいて下記(10)式の演算を行うことにより、比例・微分制御(PD制御)による目標増減圧量ΔPを算出し、これを記憶装置20cの目標増減圧量記憶領域に更新記憶する。
【0040】
ΔP=K(Vw−Vw)+K(Vw′−Vw′)……(10)
この(10)式において、右辺第1項が比例制御項であり、右辺第2項が微分制御項であり、Kは比例ゲイン、Kは微分ゲインである。
次いで、ステップS52に移行して、目標車輪速度Vwが車輪速度Vwより大きく且つ目標増減圧量ΔPが正であるか否かを判定し、Vw>Vw且つΔP>0であるときには、ステップS53に移行して、目標増減圧量ΔPを“0”として目標増減圧量記憶領域に更新記憶してからステップS55に移行し、そうでないときにはステップS54に移行する。
【0041】
このステップS54では、目標車輪速度Vwが車輪速度Vw以上で且つ目標増減圧量ΔPが負であるか否かを判定し、Vw≦Vw且つΔP<0であるときには前記ステップS53に移行し、そうでないときにはステップS55に移行する。
ステップS55では、後述アクチュエータ制御処理における目標シリンダ圧P と実際のシリンダ圧Pとの誤差を修正するための緩増減圧周期mが“1”であるか否かを判定し、m≠1であるときにはそのままサブルーチン処理を終了して図5におけるステップS6のアクチュエータ制御処理に移行し、m=1であるときにはステップS56aに移行する。
【0042】
このステップS56aでは、前記ステップS51で算出した目標増減圧量Δ が予め設定した所定値Pより小さいか否かを判定し、ΔP<Pであるときには、そのまま後述するステップS57にジャンプし、ΔP≧PであるときにはステップS56bに移行して総減圧量に応じた増圧量の設定を許可する否かを表す判断フラグFLAGが“1”にセットされているか否かを判定し、FLAG=1であるときには、そのまま後述するステップS56eに移行し、FLAG=0であるときには、ステップS56cに移行する。
【0043】
このステップS56cでは、後述するアンチスキッド制御処理で計時される前回減圧開始時からの経過時間Tが推定車体速度Vに比例する所定値K・Vより大きいか否かを判定し、T>K・Vであるときには、そのまま後述するステップS57にジャンプし、T≦K・Vであるときには、ステップS56dに移行して、判断フラグFLAGを“1”にセットしてからステップS56eに移行する。
【0044】
このステップS56eでは、下記(11)式に示すように、ステップS51で算出した目標増減圧量ΔPと前回減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKから現在の推定ホイールシリンダ圧Pを減算した値を2で除した値(PPEAK−P)/2とを比較し、何れか大きい値を目標増減圧量ΔPとして設定し、これを目標増減圧量記憶領域に更新記憶してからステップS57に移行する。
【0045】
ΔP=max{ΔP,(PPEAK−P)/2} …………(11)
このステップS57では、下記(12)式に示すように、“0”と推定ホイールシリンダ圧Pに目標増減圧量ΔPを加算した加算値(P+ΔP)とを比較し、何れか大きい値を目標ホイールシリンダ圧P として算出し、次いでステップS58に移行して、下記(13)式に示すように、マスタシリンダ圧PMCと目標ホイールシリンダ圧P とを比較して、何れか小さい値を目標ホイールシリンダ圧P として決定し、これを記憶装置20cの目標ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶してからサブルーチン処理を終了して図6におけるステップS6のアクチュエータ制御処理に移行する。
【0046】
=MAX(0,P+ΔP) …………(12)
=MIN(PMC,P ) …………(13)
さらにまた、ステップS6のアクチュエータ制御処理は、図9に示すように、先ず、ステップS60aで前回の減圧開始時からの経過時間Tが正であるか否かを判定し、これが正であるときには、ステップS60bに移行して現在の経過時間Tに“1”を加算した値を新たな経過時間Tとして記憶装置20cに形成した経過時間記憶領域に更新記憶してからステップS61に移行し、経過時間Tが“0”であるときにはそのままステップS61に移行する。
このステップS61では、前述した目標シリンダ圧演算処理で算出された目標シリンダ圧P FLがマスタシリンダ圧PMCと一致しているか否かを判定し、両者が一致しているときには、ステップS62に移行して、アンチスキッド制御中を表すアンチスキッド制御フラグASを“0”にリセットし、次いでステップS63に移行して、出力する制御信号の保持時間を表す増減圧時間Tを“1”に設定し、次いでステップS63aに移行して減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKを“0”に設定すると共に、判断フラグFLAGを“1”に設定し、次いでステップS64に移行して目標シリンダ圧P FLと実際のシリンダ圧PFLとの誤差を監視する周期を表す緩増減圧周期mを“1”に設定してからステップS65に移行する。
【0047】
このステップS65では、増減圧時間Tが正であるか、“0”であるか、さらには負であるかを判定し、T>0であるときには、ステップS66に移行して増減圧時間Tから“1”を減算した値を新たな増減圧時間Tとし、これを記憶装置20cに形成した増減圧時間記憶領域に更新記憶し、次いでステップS67に移行して共に論理値“0”の制御信号EV及びAVを増圧信号として駆動回路22a及び22bに出力し、次いでステップS67aに移行して、経過時間Tを“0”にクリアしてからサブルーチン処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0048】
また、ステップS65の判定結果がT=0であるときには、ステップS68に移行して論理値“1”の制御信号EV及び論理値“0”の制御信号AVを保持信号として駆動回路22a及び22bに出力してからサブルーチン処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
さらに、ステップS65の判定結果がT<0であるときには、ステップS69に移行してアンチスキッド制御フラグASを“1”にセットし、次いでステップS70に移行して、増減圧時間Tに“1”を加算した値を新たな増減圧時間Tとしてこれを増減圧時間記憶領域に更新記憶し、次いでステップS71に移行して、共に論理値“1”の制御信号EV及びAVを駆動回路22a及び22bに出力し、次いでステップS71aに移行して、経過時間Tが“0”にクリアされているか否かを判定し、T=0であるときにはステップS71bに移行して経過時間Tを“1”に設定し、このときの推定ホイールシリンダ圧Pを減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKとして設定し、さらに判断フラグFLAGを“0”にリセットしてからサブルーチン処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0049】
また、前記ステップS61の判定結果が目標シリンダ圧P FLとマスタシリンダ圧PMCとが不一致であるときには、ステップS72に移行し、緩増減圧周期mから“1”を減算した値を新たな緩増減圧周期mとして緩増減圧周期記憶領域に更新記憶してからステップS73に移行する。
このステップS73では、変数mが正であるか否かを判定し、m>0であるときには直接前記ステップS65に移行し、m≦0であるときには、ステップS74に移行する。
【0050】
このステップS74では、目標ホイールシリンダ圧P と推定ホイールシリンダ圧検出値Pとの誤差Perr (=P −P)を算出してからステップS75に移行する。
このステップS75では、誤差Perr が零を含む正であるか負であるかを判定し、Per≧0であるときにはステップS76に移行して誤差Perr を基準値Pで除算した値を四捨五入する下記(14)式に従って増減圧時間Tを算出してからステップS78に移行する。
【0051】
=INT(Perr /P) …………(14)
また、ステップS75の判定結果がPerr <0であるときには、ステップS77に移行して、誤差Perr に定数K乗じた値を推定ホイールシリンダ圧Pと基準値Pとの和で除算した値を四捨五入する下記(15)式に従って増減圧時間Tを算出してからステップS78に移行する。
【0052】
=INT{K・Perr /(P+P)} …………(15)
ステップS78では、増減圧時間Tが“0”であるか否かを判定し、T=0であるときには、ステップS79に移行して緩増減圧周期mを“1”に設定しこれを緩増減圧周期記憶領域に更新記憶してから前記ステップS65に移行し、T≠0であるときにはステップS80に移行して緩増減圧周期mを所定値mに設定しこれを緩増減圧周期記憶領域に更新記憶してから前記ステップS65に移行する。
【0053】
ここで、第9図の処理において、ステップS60a,S60bの処理が経過時間計時手段に対応し、ステップS61〜S80の処理がアクチュエータ制御手段に対応している。
したがって、車両が乾燥した舗装路等の比較的摩擦係数の高い良路を非制動状態で定速走行している状態では、ブレーキスイッチ14がオフ状態であるので、図6の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS7からステップS8〜S10に移行することにより、車輪速度VwFL〜Vwのフィルタ出力VfFL〜Vfのうちの最も小さい値をセレクトロー車輪速度Vwとして選択し、選択されたセレクトロー車輪速度Vwを推定車体速度Vとして推定車体速度記憶領域に更新記憶すると共に、車体速度勾配VXKとして設定値VXK0 を設定し、これを車体速度勾配記憶領域に更新記憶する。このように、セレクトロー車輪速度Vwを推定車体速度Vとして設定することにより、駆動輪となる後輪1RL及び1RRでスリップを生じて車輪速度Vwが増加した場合でも、車体速度に対応している非駆動輪となる前輪1FL及び1FRの車輪速度VwFL及びVwFRの何れか小さい方が選択され、駆動輪でのスリップの影響を受けない正確な推定車体速度Vを算出することができる。
【0054】
次いで、図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されると、車両が非制動状態であるので、後述するアクチュエータ制御処理でアクチュエータ6iに対する制御信号EVi,AVi,MRを共に論理値“0”とする増圧信号を出力しているので、ステップS42からステップS43に移行し、定速走行状態を継続していることにより、前回の推定ホイールシリンダ圧P(n−1) が零であり、ブレーキペダル4を踏込んでいないので、今回のマスタシリンダ圧PMCF,MCR も零であるので、推定増圧量ΔPiAも零となり、したがって、ステップS44,S45で算出される今回の推定ホイールシリンダ圧P(n) も零となる。
【0055】
さらに、図5のステップS4で算出される目標車輪速度Vwは図10(a)に示すように推定車体速度Vの80%であるため、セレクトロー車輪速度Vwより低くなり、したがって、実際の車輪速度Vwより低い値となるので、ステップS4aからステップS4cに移行して目標車輪減速度Vw′が図10(b)に示すように所定値−Vw′に設定される。
【0056】
この結果、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS51で算出される目標増減圧量ΔPは、図10(c)に示すように、Vw≦Vwであり、車輪加減速度Vw′が零、目標車輪減速度Vw′が負の所定値−Vw′であることにより、正の値となる。このため、ステップS54からステップS55に移行し、後述するアクチュエータ制御処理で緩増減圧周期mが“1”にセットされていることにより、ステップS56aに移行して、目標増減圧量ΔPが所定値より大きいので、ステップ56bに移行し、後述するアクチュエータ制御処理で判断フラグFLAGが“1”にセットされていることにより、ステップS56eに移行して、前記(11)式の演算を行う。このとき、前回減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKは後述するアクチュエータ制御処理で“0”にクリアされているので、(PPEAK−P)/2<0となり、ステップS51で算出されて目標増減量ΔPが目標増減量ΔPとして設定され、これが目標増減量記憶領域に更新記憶され、次いでステップS57に移行して、推定ホイールシリンダ圧Pi が零であるが目標増減圧量ΔPが正の値であることにより、目標ホイールシリンダ圧P としてP+ΔP が選択されるが、ステップS58でマスタシリンダ圧PMCF MCR が零であることにより、最終的に目標ホイールシリンダ圧P は零に設定され、これが目標ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶される。
【0057】
次いで、図9のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、目標ホイールシリンダ圧P 及びマスタシリンダ圧PMCF,MCR が共に零であることにより、両者が一致するため、ステップS61からステップS62に移行して、アンチスキッド制御フラグASが“0”にリセットされ、次いでステップS63で増減圧時間Tが“1”にセットされ、次いでステップS63aで前回減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKが“0”にクリアされると共に、判断フラグFLAGが“1”にセットされ、さらにステップS64で緩増減圧周期mが共に“1”に設定される。
【0058】
そして、ステップS65でT>0であるので、ステップS66に移行して、増減圧時間Tが零となり、次いでステップS67に移行して、共に論理値“0”の制御信号EV及びAVを増圧信号としてアクチュエータ6iに出力することにより、前輪及び後輪側のホイールシリンダ2FL,2FR及び2RL,2RRがマスターシリンダ5と連通状態となっている。このとき、ブレーキペダル4を踏込んでいないので、マスターシリンダ5から出力されるシリンダ圧力は零となっているので、各ホイールシリンダ2FL〜2RRのシリンダ圧力も零となっており、制動力を発生することはなく、非制動状態を継続する。
【0059】
この定速走行状態から、図10の時点tでブレーキペダル4を踏込んで制動状態とすると、図6の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS7からステップS11に移行することにより、セレクトハイ車輪速度Vwが算出され、これに基づいて車体速度勾配VXK及び推定車体速度Vの算出が行われることになり、制動時の車体速度勾配VXK及び推定車体速度Vの算出を正確に行うことができる。
【0060】
すなわち、制動直後では制御フラグF1が“0”にリセットされていることにより、ステップS13からステップS14に移行し、セレクトハイ車輪速度Vwの減速度Vw′が設定減速度−Dに達していないので、ステップS15に移行して、車体速度勾配VXKとして予め設定された設定値VXK2 より大きな値の所定値VXK0 を設定し、次いでステップS15に移行してセレクトハイ車輪速度Vwをそのまま推定車体速度Vとして設定し、これを推定車体速度記憶領域に更新記憶する。
【0061】
一方、図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理においては、マスタシリンダ圧PMCF,MCR が急増することにより、これと前回推定ホイールシリンダ圧Pとによって推定増圧量ΔPiAが決定されるが、前回の推定ホイールシリンダ圧Pが零であるので、推定増圧量ΔPiAはマスタシリンダ圧PMCF,MCR のみに依存する値となるので、今回の推定ホイールシリンダ圧P(n) がマスタシリンダ圧PMCF,MCR に一致することになる。
【0062】
このため、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、車輪加減速度Vw′が負方向に増加するが、目標増減圧量ΔPは図10(c)に示すように依然として正の値を継続し、且つ推定ホイールシリンダ圧Pが増加したことにより、ステップS57で算出される目標ホイールシリンダ圧P がマスタシリンダ圧PMCF,MCR より大きな値となるが、ステップS58でマスタシリンダ圧PMCF,MCR が目標ホイールシリンダ圧P として決定され、これが目標ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶される。
【0063】
したがって、図9のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、目標ホイールシリンダ圧P とマスタシリンダ圧PMCF,MCR とが一致するので、アクチュエータ6iに対する増圧状態を継続する。このため、各車輪1iの車輪速度Vwが図10(a)に示すように、時点tから減少し始める。なお、図10では、説明を簡単にするために、各車輪1iが同時に減速を開始し、それらの車輪速度Vwが互いに等しく、したがってセレクトハイ車輪速度Vwと車輪速度VwFL, VwFR及びVwとが一致しているものとして表されている。
【0064】
その後、時点tでセレクトハイ車輪速度Vwの減速度Vw′が設定減速度−Dに達すると、図6の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS14からステップS16〜S18に移行して、この時点でのセレクトハイ車輪速度Vwが初期サンプリング車輪速度Vs として初期値記憶領域に更新記憶され、且つ経過時間Tが“0”にクリアされると共に、制御フラグF1が“1”にセットされ、次いでステップS15に移行して、推定車体速度Vをセレクトハイ車輪速度Vwに維持する。
【0065】
このため、次に図6の車体速度演算処理が実行されたときに、制御フラグF1が“1”にセットされていることにより、ステップS13からステップS18aに移行し、経過時間TをインクリメントしてからステップS19に移行し、図9のアクチュエータ制御処理においてアンチスキッド制御フラグASが“0”にリセットされた状態が維持されていることにより、ステップS27に移行し、制御フラグF2が“0”にリセットされているので、ステップS29に移行し、セレクトハイ車輪速Vwが推定車体速度Vから“1”を減算した値より小さいので、ステップS30に移行して、現在の推定車体速度V(=Vw)から設定値VXK0 に設定された車体速度勾配VXKにサンプリング時間Δtを乗じた値を減算した値を新たな推定車体速度Vとして更新記憶する。したがって、推定車体速度Vは図10(a)で破線図示のように、設定値VXK0 の勾配で順次減少することになり、これに応じて目標車輪速度Vwも減少し、さらに車輪加減速度Vw′も図10(b)に示すように負方向に増加する。
【0066】
したがって、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、そのステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが、図10(c)に示すように、減少し始め時点tで零となり、その後負方向に増加する。
この間、図6の車体速度演算処理が実行される毎に、ステップS13,S19,S27〜S31の処理を行うので、推定車体速度Vが車体速度勾配VXK0 分づつ減少される状態を継続する。
【0067】
そして、時点tで、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、目標増減圧量ΔPが零となることにより、目標ホイールシリンダ圧P と推定ホイールシリンダ圧Pとが等しい値となって、目標ホイールシリンダ圧P の増加が停止される。
このように、目標ホイールシリンダ圧P の増加が停止されるが、マスタシリンダ圧PMCF,MCR は、図10(e)で破線図示のように増加を継続するので、図9のアンチスキッド制御処理が実行されたときに、目標ホイールシリンダ圧P とマスタシリンダ圧PMCF,MCR とが不一致となり、このためステップS61からステップS72に移行し、前回の処理時に増減圧周期mが“1”に設定されているので、この増減圧周期mから“1”を減算するので、増減圧周期mが“0”となる。このため、ステップS73からステップS74に移行して、目標ホイールシリンダ圧P と推定ホイールシリンダ圧Pとの誤差Perr を算出したときに、目標ホイールシリンダ圧P と推定ホイールシリンダ圧Pとが等しいので、誤差Perr は“0”となるため、ステップS75からステップS76に移行して、前記(14)式の演算を行うことにより、増減圧時間Tが“0”に設定され、これに応じてステップS78からステップS79に移行して、増減圧周期mが“1”にセットされてからステップS65を経てステップS68に移行する。この結果、論理値“1”の制御信号EV及び論理値“0”の制御信号AVが保持信号としてアクチュエータ6iに出力され、これに応じて流入弁8が閉状態となると共に、流出弁9は閉状態を維持するので、ホイールシリンダ2iとマスターシリンダ5との間が遮断されて、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧が一定値に維持される保持モードとなる。
【0068】
このように、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧が一定値に保持される保持モードとなると、図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS42からそのままサブルーチン処理を終了することになり、前回の推定ホイールシリンダ圧Pが保持される。一方、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、そのステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが図10(c)に示すように、負方向に増加することになるが、目標車輪速度Vwが車輪速度Vw以下の状態を継続しているので、ステップS54からステップS53に移行して、目標増減圧量ΔPが“0”に制限され、前回の図9のアクチュエータ制御処理において、緩増減圧周期mが“1”にセットされているので、ステップS55からステップS56に移行して、前回の推定ホイールシリンダ圧P(n−1) を保持する現在の推定ホイールシリンダ圧P(n) をそのまま目標ホイールシリンダ圧P として設定し、且つマスタシリンダ圧PMCF,MCR が増加状態を継続していることから設定された目標ホイールシリンダ圧P がそのまま更新記憶される。
【0069】
このため、図9のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、前回の処理時と同様に、ステップS68に移行して、アクチュエータ6iの保持モードが継続される。
その後、車輪速度Vwが減少して、時点tで目標車輪速度Vwより小さい値となると、図5の処理が実行されたときには、そのステップS4aからステップS4bに移行して、目標車輪減速度Vw′が“0”に設定される。この状態で、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されると、そのステップS51で算出される目標増減圧量ΔPは、図10(c)に示すように、負方向への増加を継続しており、目標車輪速度Vwが車輪速度Vwより大きくなるので、ステップS52,S53,S55を経てステップS56に移行し、目標ホイールシリンダ圧P が推定ホイールシリンダ圧Pから目標増減圧量ΔPを減算した値に設定される。
【0070】
このため、図9のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS74で算出する誤差Perr が負の値となるため、ステップS75からステップS77に移行して、前記(15)式の演算を行って減圧開始前の推定ホイールシリンダ圧Pに応じた減圧を表す負の増減圧時間Tが設定され、次いでステップS78からステップS80に移行して、緩増減圧周期mが所定値mに設定してからステップS65を経てステップS69に移行し、アンチスキッド制御フラグASを“1”にセットし、ついでステップS70に移行して、増減圧時間Tに“1”を加算した値を新たな増減圧時間Tとして更新記憶し、次いでステップS71に移行して共に論理値“1”の制御信号EV、AV及びMRを減圧信号としてアクチュエータ6iに出力する。このため、アクチュエータ6iの流入弁8が閉状態を維持するが、流出弁9が開状態となると共に、ポンプ10が回転駆動されて、ホイールシリンダ2i内の作動油がマスタシリンダ5側に排出され、これによってホイールシリンダ2iのシリンダ圧が図10(e)に示すように減圧開始される。
【0071】
このとき、前回処理時に経過時間Tが“0”にクリアされているので、ステップS71aからステップS71bに移行して、経過時間Tが“1”にセットされ、減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKとしてそのときの推定ホイールシリンダ圧Pが設定され、且つ判断フラグFLAGが図10(g)に示すように“0”にリセットされる。
【0072】
このように減圧状態となると、図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS42からステップS48に移行して、前回の推定ホイールシリンダ圧P(n−1) に基づいて推定減圧量ΔPiDが算出され、次いでステップS49で前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) から推定減圧量ΔPiDを減算した値が今回推定ホイールシリンダ圧P(n) として設定され、これが更新記憶される。
【0073】
また、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理では、前回のアクチュエータ制御処理において、判断フラグFLAGが“0”にリセットされ、且つ減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKとしてそのときの推定ホイールシリンダ圧Pがセットされているが、ステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが図10(c)に示すように負であるため、ΔP<Pとなり、ステップS56aからそのままステップS57に移行して、推定ホイールシリンダ圧Pに負の目標増減圧量ΔPを加算した値即ち推定ホイールシリンダ圧Pが前回値より目標増減圧量ΔPだけ小さい目標ホイールシリンダ圧P が設定され、これが目標ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶され、経過時間Tの判断が省略される。
【0074】
一方、アンチスキッド制御フラグASが“1”にセットされたことにより、図6の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS18aで経過時間Tをインクリメントし、ステップS19からステップS20に移行して制御フラグF2が“1”にセットされ、次いでステップS21に移行して、制御フラグF3が“0”にリセットされていることにより、ステップS21aに移行し、制御フラグF4が“0”にリセットされているので、ステップS21bに移行し、セレクトハイ車輪速度Vwの加減速度Vw′が負であるのでステップS29に移行して、セレクトハイ車輪速度Vwが推定車体速度Vより小さいので、ステップS30に移行して、推定車体速度Vから車体速度勾配VXKを減算した値を新たな推定車体速度Vとして更新記憶する。これに応じて、経過時間Tの判断基準値となるK・Vが図10(f)に示すように、減少する。
【0075】
そして、図9のアクチュエータ制御処理が実行されると、前回の処理時にステップS71bで経過時間Tが“1”にセットされていることにより、ステップS60aからステップS60bに移行して、経過時間Tをインクリメントし、目標ホイールシリンダ圧P が推定ホイールシリンダ圧Pより小さい値となるので、ステップS75からステップS77に移行して、減圧モードを継続し、このとき、経過時間Tが正の値であるので、ステップS71aからステップS71bに移行することなくサブルーチン処理を終了する。
【0076】
この減圧状態を継続することにより、図10(a)に示すように、車輪速度Vwが回復することになり、時点tで、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、目標増減圧量ΔPが図10(c)に示すように、再度“0”となり、これに応じて目標ホイールシリンダ圧P と推定ホイールシリンダ圧Pとが一致することになるため、図9のアクチュエータ制御処理が実行されたときにステップS74で算出される誤差Perr が“0”となるため、ステップS75からステップS76に移行して増減圧時間Tが“0”に設定され、これによってステップS65からステップS68に移行して、アクチュエータ6iが減圧モードから保持モードに転換し、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧が図10(e)に示すように、一定値に保持される。
【0077】
この保持モードとなると、前述したように図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理で推定ホイールシリンダ圧Pが保持され、且つ図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理では、目標増減圧量ΔPが図10(c)に示すように、正方向に増加しているが、目標車輪速度Vwが車輪速度Vwより大きいので、ステップS52からステップS53に移行して、目標増減圧量ΔPが“0”に制限され、これによって目標ホイールシリンダ圧P が前回値に保持される。
【0078】
その後、時点tで、目標車輪速度Vwと車輪速度Vwとが一致すると、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときにステップS52からステップS54,S55を経てステップS56に移行し、このとの目標増減圧量ΔPが図10(c)で正方向の大きな値となっているので、ステップS56aからステップS56bに移行し、前回の減圧開始時(時点t)で判断フラグFLAGが“0”にリセットされているので、ステップS56cに移行する。このとき、経過時間Tは図10(f)に示すように、比較的小さい値となっており、T<K・Vであるので、ステップS56dに移行して、判断フラグFLAGを図10(g)に示すように“1”にセットしてからステップS56eに移行する。
【0079】
このため、ステップS56eで、ステップS51で算出した目標増減圧量ΔPと前回の減圧開始時即ち時点tでの推定ホイールシリンダ圧Pでなる減圧開始直前ホイールシリンダ圧PPEAKから現在の推定ホイールシリンダ圧Pを減算した値の1/2で表される前回の総減圧量に応じた増圧量とを比較し、何れか大きい値即ち図10の状態では、前回の総減圧量に応じた増圧量が目標増減圧量ΔPとして設定され、これが目標増減圧量記憶領域に更新記憶される。このように、目標増減圧量ΔPが前回の総減圧量に応じて決定されることにより、減圧後のホイールシリンダ圧がロック圧力に到達する時間を早めることができ、制動距離を短縮することができる。
【0080】
したがって、図9のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、そのステップS74で算出される誤差Perr が正の値となることにより、前述した時点t〜t間の増圧状態と同様に推定ホイールシリンダ圧Pが増加する。
そして、車輪速度Vwの回復により、車輪速フィルタ18iから出力されるフィルタ出力Vfが車輪速度Vwと略一致すると、この状態では制御信号MRが論理値“1”であることにより、選択回路187でオフディレータイマ186で設定された遅延時間が経過した後に「+10g」に対応する電圧が選択され、これが積分回路182に供給されることにより、フィルタ出力Vfは図10(a)で一点鎖線図示のように、急峻に増加し、これがセレクトハイ車輪速度Vwとして選択されているので、図6の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS21bからステップS21cに移行して制御フラグF4が“1”にセットされる。このため、次に図6の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS21aからステップS22に移行し、セレクトハイ車輪速度Vwの加減速度Vw′が設定減速度−D以下となったか否かを判定し、Vw′>−Dであるので、ステップS29に移行して、前述した推定車体速度Vの減算処理を継続する。
【0081】
その後、時点tでセレクトハイ車輪速度Vwが推定車体速度V以上となると、図6の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS21a,S22を経てステップS29に移行し、Vw≧Vであるので、ステップS31に移行して、制御フラグF3を“0”にリセットしてからステップS15に移行して、このときのセレクトハイ車輪速度Vwが推定車体速度Vとして設定され、これによって推定車体速度Vが増加する。
【0082】
一方、ホイールシリンダ2iの増圧によって車輪速度Vwは、図10(a)に示すように、再度減少し始め、時点tでセレクトハイ車輪速度Vwの加減速度Vw′が設定減速度−D以下となると、図6の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS22からステップS23に移行して、現在値記憶領域に現在のセレクトハイ車輪速度Vwが現在サンプリング車輪速度Vs(n) として更新記憶される。そして、ステップS24で前記(5)式の演算を行って車体速度勾配VXKP が算出されてこれがステップS25で車体速度勾配記憶領域に更新記憶され、次いでステップS26で制御フラグF3が“1”にセットされ且つ制御フラグF4が“0”にリセットされる。
【0083】
このとき、ステップS24で算出される車体速度勾配VXKP は、図10(d)に示すように、実際の車体速度の減少度に応じて値となるので、設定値VXK0 より小さい値となるため、以後算出された車体速度勾配VXKに応じて推定車体速度Vが減少されることになり、実際の車体速度に対応した推定車体速度Vを算出することができる。
【0084】
この状態では、図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、前回の制御信号が増圧状態であり、しかも前回の推定ホイールシリンダ圧Pが比較的大きな値であり、且つマスタシリンダ圧PMCF,MCR が大きな値を継続しているので、推定増圧量ΔPiAも所定値となるため、図10(e)に示すように、推定ホイールシリンダ圧Pが保持と増圧を繰り返す緩増圧状態となる。
【0085】
この緩増圧状態となると、図10(a)に示すように、車輪速度Vwが減少し始め、これに応じて目標増減圧量ΔPが図10(c)に示すように減少することにより、目標ホイールシリンダ圧P と推定ホイールシリンダ圧Pとの差が少なくなる。
その後、時点t目標増減圧量ΔPが零となることにより、保持状態となり、時点t10で減圧状態となって、経過時間Tの計時が開始されるが、その後の時点t11で保持状態となった後時点t12で増圧状態となり、このときも経過時間Tが判断値K・Vより遙に小さいので、図8の目標ホイールシリンダ演算処理におけるステップS56eの処理が継続され、前回の総減圧量に応じた増圧量が設定されて、減圧後のホイールシリンダ圧がロック圧力に到達する時間を早めて、制動距離を短縮することができる。
【0086】
その後、時点t13で保持状態となり、その直後の時点t14で減圧状態となり、これらを繰り返しながら停車状態に至る。
その後、ブレーキペダル4の踏込みを解除して、非制動状態とすると、これによってマスタシリンダ圧PMCF,MCR が“0”となる。このため、図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS45又はS50で推定ホイールシリンダ圧Pがマスタシリンダ圧PMCF,MCR に設定される。これと同時に図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理でも、ステップS57で目標ホイールシリンダ圧P がマスタシリンダ圧PMCF,MCR に設定される。
【0087】
このため、図9のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、目標ホイールシリンダ圧P とマスタシリンダ圧PMCF,MCR とが一致することにより、ステップS61からステップS62に移行して、アンチスキッド制御フラグASが“0”にリセットされ、且つ増減圧時間Tが“1”にセットされると共に、緩増減圧時間mが“1”にセットされ、ステップS65からステップS66,S67に移行して、アクチュエータ6iに対して増圧信号が出力され、ホイールシリンダ2iとマスタシリンダ5とが常に連通状態となる通常状態に復帰する。
【0088】
このように、高摩擦係数路を継続して走行している場合に、再増圧時に前回の総減圧量に基づいて目標増圧量ΔPを決定することにより、減圧後のホイールシリンダ圧がロック圧力に到達する時間を早めて制動距離を短縮することができるが、次に、高摩擦係数路を走行中に比較的急制動を行った状態で、降雨により濡れた路面や凍結路を走行する状態となって路面摩擦係数が急激に低下する場合を図11のタイムチャートを伴って説明する。
【0089】
すなわち、高摩擦係数路を走行している状態で、時点tでブレーキペダルを踏込んで比較的急制動状態とすると、前述したように、図11(b)に示すように、ホイールシリンダ圧がマスタシリンダ圧PMCの急増に応じて急増し、これに応じて車輪速度Vwが減少すると共に、推定車体速度Vが減少し、時点tで保持状態となった後時点tで減圧状態となって車輪速度Vwが回復し、その直後の時点tで保持状態となり、その後時点tで緩増圧状態となって車輪速度Vwが減少する。
【0090】
このとき、時点tの減圧開始時から時点tの増圧開始時までの間、図9のアクチュエータ制御処理が実行されたときに経過時間Tが順次インクリメントされるが、時点tでの経過時間Tは図11(d)に示すように小さな値となり、一方判断値K・Vは推定車体速度Vが大きな値であるので、図11(d)に示すように、大きな値となっており、T<K・Vとなるので、前述したように、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS56eに移行して、前回の総減圧量に基づいた増圧量が決定され、これによる目標ホイールシリンダ圧P と推定ホイールシリンダ圧Pとの偏差に応じた緩増圧状態となり、減圧後のホイールシリンダ圧がロック圧力に到達する時間を早めて制動距離を短縮することができる。
【0091】
そして、この状態を繰り返して時点tで減圧状態となったときに、路面摩擦係数が高摩擦係数から低摩擦係数に急変したものとすると、路面摩擦係数の急激な低下によって、車輪速度Vwが図11(a)に示すように急激に低下してロック状態に近い状態まで落ちることになる。このとき、図9のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS65からステップS69〜ステップS71aに移行し、前回が保持状態であるので、経過時間Tが“0”にクリアされており、ステップS71aからステップS71bに移行して、経過時間Tが“1”にセットされると共に、減圧開始時推定ホイールシリンダ圧PPEAKとしてそのときの推定ホイールシリンダ圧Pが設定され、且つ判断フラグFLAGが“0”にリセットされる。
【0092】
このように、車輪速度Vwが急激に低下するが図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときには、ステップS42からステップS48に移行して、前回の推定ホイールシリンダ圧P(n−1) が図11(b)に示すように比較的高い値であるので、推定減圧量ΔPiDが比較的大きな値となり、これによって推定ホイールシリンダ圧Pが急減する。
【0093】
一方、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、車輪速度Vwの急減に伴って車輪加減速度Vw′も大きく低下することにより、ステップS51で算出される目標加減圧量ΔPが負の大きな値となり、これによってステップS56aからステップS57に移行して、目標ホイールシリンダ圧P も前回値に比べて大きく減少することになる。
【0094】
したがって、図9のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS74からステップS77に移行して、減圧開始まえの推定ホイールシリンダ圧に応じた減圧時間Tが設定され、これによって減圧状態となるが、路面摩擦係数が急減したので、車輪速度Vwの低下は収まらず、さらに低下することにより、推定ホイールシリンダ圧P及び目標ホイールシリンダ圧P が共に減少する。
【0095】
しかしながら、時点tで車輪速度Vwが回復すると、これに応じて図8の目標シリンダ圧演算処理におけるステップS51で算出される目標増減圧量ΔPも小さな値となり、これによって目標ホイールシリンダ圧P の低下が抑制され、且つ図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理における推定減圧量ΔPiDも前回の推定ホイールシリンダ圧P(n−1) の減少に伴って減少することにより、推定ホイールシリンダ圧Pの減少率が小さくなる。
【0096】
このように、路面摩擦係数の急減によって減圧状態が長引くことにより、図9のアクチュエータ制御処理によって計時される経過時間Tが大きな値となり、時点tで判断値K・Vを越える状態となる。しかしながら、この時点tでは、減圧状態にあって、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが負の値となっているため、ステップS56aからステップS57にジャンプするので、経過時間Tと判断値K・Vとの比較を行うことはない。
【0097】
その後、時点tで、図8の目標ホイールシリンダ圧演算処理で、目標車輪速度Vwより車輪速度Vwが大きくなり、且つステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが正の大きな値となることにより、ステップS54からステップS55,S56aを経てステップS56bに移行し、まだ判断フラグFLAGが“0”にリセットされているので、ステップS56cに移行し、この時点tでは、図11(d)に示すように、経過時間Tが判断値K・Vより大きな値となっているので、直接ステップS57にジャンプすることになり、前回の総減圧量に応じた目標増圧量の設定を行うことがなく、ステップS51で算出される実際の車輪スリップ量に応じた前回の総減圧量に応じた目標増圧量より十分に小さな低摩擦係数路面に対応した目標増圧量ΔPによって目標ホイールシリンダ圧P が決定される。
【0098】
このため、図9のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、目標ホイールシリンダ圧P と推定ホイールシリンダ圧Pとの誤差Perr が小さい値となるので、増圧保持時間が短くなり、これによって、図11(b)に示すように、推定ホイールシリンダ圧Pの増加が過大となることなく適正値に設定され、これによって、図11(a)に示すように、車輪速度Vwの急激な低下が抑制されて、低摩擦係数路面に応じた良好なアンチスキッド制御状態を継続することができる。
【0099】
また、経過時間Tを推定車体速度Vに合わせて大きくなるようにすることにより、車体速度が大きい程車輪速度の変化が大きくなり、減圧から増圧までの経過時間が長くなる特性を加味することができる。
このように、上記実施例によると、走行路面が高摩擦係数状態から低摩擦係数状態に急変したときに、減圧開始時から増圧開始時までの経過時間が増加することに着目して、路面摩擦係数の急減を検出し、これを検出したときには、再増圧時に前回の総減圧量に基づく増圧量の決定に代えて、実際の車輪スリップ量に応じた増圧量の決定に変更することにより、車輪スリップ量が過大となることを確実に阻止して、良好なアンチスキッド制御状態を維持することができ、車両の安定を向上させることができる。
【0100】
因みに、従来例のアンチスキッド制御では、図12に示すように、時点tで走行路面が高摩擦係数から低摩擦係数に急減したときに、その後の時点tで再増圧状態となったときに、前回の総減圧量に基づいて増圧量が決定されたるため、目標ホイールシリンダ圧P が大きな値となって推定ホイールシリンダ圧が図12(b)に示すように過大となり、これによって図12(a)に示すように、車輪速度Vwの減速度が大きくなり、車輪スリップ量が増大して、これが収斂するまでにかなりの時間を要し、車両の安定性が低下するという未解決の課題があるものであるが、本実施例では、上述したように、車輪スリップ量が過大となることを確実に抑制することができ、車両の安定走行を確保することができる。
【0101】
なお、上記実施例では、車輪速演算回路15FL〜15Rの出力側に車輪速フィルタ18FL〜18Rを接続し、これらのフィルタ出力に基づいて車体速度勾配VXK及び推定車体速度Vを算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車輪速フィルタ18FL〜18Rを省略して、車輪速演算回路15FL〜15Rから出力される車輪速度VwFL〜Vwに基づいて車体速度勾配VXK及び推定車体速度Vを算出するようにしてもよい。
【0102】
また、上記実施例では、ホイールシリンダ2FL〜2RRのホイールシリンダ圧を図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理で推定するようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、各ホイールシリンダ2FL〜2RRのホイールシリンダ圧を圧力センサで直接検出し、検出したホイールシリンダ圧と目標ホイールシリンダ圧とに基づいてアクチュエータ6FL〜6Rを制御するようにしてもよい。
【0103】
さらに、上記実施例では、後輪側の車輪速度を共通の車輪速センサ3Rで検出するようにした3チャンネルアンチスキッド制御装置について説明したが、これに限らず後輪側の左右輪についても個別に車輪速センサを設け、これに応じて左右のホイールシリンダに対して個別のアクチュエータを設ける所謂4チャンネルのアンチスキッド制御装置にも本発明を適用し得ることは言うまでもない。
【0104】
さらにまた、上記実施例では、コントローラCRとしてマイクロコンピュータ20を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、比較回路、演算回路、論理回路、関数発生器等の電子回路を組み合わせて構成することもできる。
なおさらに、上記実施例では、後輪駆動車に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず前輪駆動車や4輪駆動車にも適用することができる。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、経過時間計時手段で、前回の減圧開始時から再増圧開始時までの経過時間を計時し、この経過時間が所定値より短いときには、路面摩擦係数の急減がないものと判断して、少なくとも減圧後の再増圧開始時に前回の総減圧量に応じた目標増圧量と前記第1の目標増圧量との何れか大きい方を目標増圧量として算出し、これを制動用シリンダ圧に加算して目標シリンダ圧を算出することができ、減圧後の制動用シリンダ圧がロック圧力に達する時間を早めるが、経過時間が所定値より長いときには、路面摩擦係数の急減があったものと判断して、少なくとも減圧後の再増圧開始時に、前回の総減圧量に基づく目標増圧量に代えて、実際の車輪スリップ量に応じて算出した目標増圧量を制動用シリンダ圧に加算して目標シリンダ圧を算出することにより、再増圧開始時の車輪スリップ量が過大となることを確実に抑制して、路面摩擦係数の急減にかかわらず良好なアンチスキッド制御を継続し、車両の走行安定性を確保することができるという効果が得られる。また、第2の目標増圧量算出手段が、前回の総減圧量に応じた目標増圧量と前記第1の目標増圧量との何れか大きい方を目標増圧量として算出するので、第1の目標増圧量以上の目標増圧量が設定されることになり、増圧不足となることを確実に防止することができるという効果が得られる。
【0106】
また、請求項2に係る発明によれば、経過時間の判断基準となる所定値が推定車体速度に依存する値に選定されているので、実際の車両の走行状態を加味して、路面摩擦係数の急変を正確に検出することが可能となるという効果が得られる。
さらに、請求項3に係る発明によれば、前記第1の目標増圧量算出手段が、車体速度推定手段で推定した車体速度をもとに算出される目標車輪速度及び実際の車輪速度の偏差と予め設定された目標車輪加減速度及び車輪加減速度の偏差との和でなる目標増減圧量を算出するので、車輪スリップ量に応じた比例・微分制御を行ってアンチスキッド制御の応答性を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンチスキッド制御装置の概略構成を示す基本構成図である。
【図2】本発明のアンチスキッド制御装置の一実施例を示すブロック図である。
【図3】図2のアンチスキッド制御装置に適用し得るアクチュエータの一例を示す構成図である。
【図4】図2のアクチュエータ制御装置に適用し得る車輪速フィルタの一例を示すブロック図である。
【図5】図2に示すアンチスキッド制御装置で実行されるアンチスキッド制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】図5の車体速度演算処理のサブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図7】図5の推定ホイールシリンダ圧演算処理のサブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図8】図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理のサブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図9】図5のアクチュエータ制御処理のサブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の路面摩擦係数が変化しない場合のアンチスキッド制御動作の説明に供するタイムチャートである。
【図11】本発明の路面摩擦係数が急減する場合のアンチスキッド制御動作の説明に供するタイムチャートである。
【図12】従来例の摩擦路面係数が急減する場合のアンチスキッド制御動作の説明に供するタイムチャートである。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪
2FL〜2RR ホイールシリンダ
3FL〜3R 車輪速センサ
4 ブレーキペダル
5 マスタシリンダ
6FL〜6R アクチュエータ
CR コントローラ
15FL〜15R 車輪速演算回路
20 マイクロコンピュータ

Claims (3)

  1. マスタシリンダからのマスタシリンダ圧をもとに制御対象車輪に配設された制動用シリンダの流体圧を制御するアクチュエータと、前記制御対象車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、少なくとも前記車輪速度検出手段の車輪速度検出値に基づいて車体速度を推定する車体速度推定手段と、前記制動用シリンダに対する制動用シリンダ圧を検出又は推定する制動用シリンダ圧検出又は推定手段と、前記制動用シリンダに対する目標シリンダ圧を演算する目標シリンダ圧演算手段と、前記制動用シリンダ圧検出又は推定手段の制動用シリンダ圧と前記目標シリンダ圧演算手段の目標シリンダ圧とが一致するように前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御手段とを備えたアンチスキッド制御装置において、前記目標シリンダ圧演算手段は、車輪のスリップ量に応じて目標増圧量を算出する第1の目標増圧量算出手段と、少なくとも減圧後の再増圧開始時に、前回の総減圧量に応じた目標増圧量と前記第1の目標増圧量との何れか大きい方を目標増圧量として算出する第2の目標増圧量算出手段と、減圧開始時から再増圧開始時までの経過時間を計時する経過時間計時手段と、前記制動用シリンダの増圧開始時に、前記制動用シリンダ圧検出又は推定手段の制動用シリンダ圧に、前記経過時間計時手段の経過時間が所定値より長いときに前記第1の目標増圧量算出手段の目標増圧量を加算し、所定値より短いときに前記第2の目標増圧量算出手段の目標増圧量を加算して前記目標シリンダ圧を演算する目標値算出手段とを備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 前記目標値算出手段は、所定値が前記車体速度推定手段で推定した推定車体速度に依存する値に選定されていることを特徴とする請求項1記載のアンチスキッド制御装置。
  3. 前記第1の目標増圧量算出手段は、前記車体速度推定手段で推定した車体速度をもとに算出される目標車輪速度及び実際の車輪速度の偏差と予め設定された目標車輪加減速度及び車輪加減速度の偏差とを加算して目標増圧量を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載のアンチスキッド制御装置
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