JP3553474B2 - 製袋充填包装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピロー包装、三方シール包装などにおいて特定の積層シートを使用する製袋充填包装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、和菓子、洋菓子、冷凍食品、アイスクリーム等の冷凍菓子、水産練食品、日用雑貨、文房具等々の被包装物品を包装する際に、ピロー包装や三方シール包装等の製袋充填包装方法が採用されることが多々ある。その際に使用される包装材料としては、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂フィルム、セロポリなどのラミネートフィルムなどが一般に使用されている。
【0003】
被包装物品との関係で、熱可塑性樹脂フィルム等に緩衝性や断熱性を持たせたい場合には熱可塑性樹脂フィルムに代えて熱可塑性樹脂発泡シートを使用すればよいが、熱可塑性樹脂発泡シートでは柔軟性の高いものは引張強度が弱いため切れ易く、熱シール強度の高いものは柔軟性に乏しいという問題があり、製袋充填包装に適用することが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱可塑性樹脂発泡シートの有する緩衝性や断熱性を維持し、しかも引張強度が高められ、ピロー包装等の製袋充填包装に際して包装用シートが切断され難く、機械装着性が良く、熱シール性に優れた製袋充填包装用積層シートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題点に鑑み鋭意研究した結果、ポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする柔軟性に優れる発泡樹脂シート層の一方の面(製袋充填包装後に外側方向となる面)に、熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層を積層した構造とすることにより柔軟性を損なうことなく発泡樹脂シート層の切断を効果的に防止し得ることを見出し、かつ上記フィルム層の基材樹脂である熱可塑性樹脂(A)の融点と発泡樹脂シート層の基材樹脂であるポリオレフィン系樹脂(C)の融点とを特定の範囲内に維持して、製袋充填包装後に熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層を最外層とし、発泡樹脂シート層を最内層とする構造とすることにより美麗な外観を持つ製袋充填包装体が容易に得られることを見出した。
【0006】
さらに、ポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする柔軟性に優れる発泡樹脂シート層の一方の面(製袋充填包装後に外側方向となる面)に熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層を積層し、発泡樹脂シート層の他方の面(製袋充填包装後に内側方向となる面)に、熱可塑性樹脂(B)を基材樹脂とするフィルム層を積層した構造とすることにより柔軟性を損なうことなく発泡樹脂シート層の切断を効果的に防止し得ることを見出し、かつ上記各フィルム層の基材樹脂である熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)の各融点と発泡樹脂シート層の基材樹脂であるポリオレフィン系樹脂(C)の融点を特定の範囲内に維持して、製袋充填包装後に熱可塑性樹脂(A)からなるフィルム層を最外層とし、熱可塑性樹脂(B)からなるフィルム層を最内層にすれば美麗な外観と強い熱シール強度を持つ製袋充填包装体が容易に得られることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(イ)製袋充填包装機を使用して、熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層を最外層とし、ポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層を最内層とする積層シートからなり、熱可塑性樹脂(A)の融点(MPA:℃)とポリオレフィン系樹脂(C)の融点(MPC:℃)との関係が下記式(3)および(4)を満足する製袋充填包装用積層シートにて被包装物品を包装する際に、最内層同士を会合させ、最外層から加熱治具を押し当てて最外層が溶けないように最内層同士を熱シールすることを特徴とする製袋充填包装方法に関する。
(数3)
270℃≧ MPA ≧ MPC +50℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(3)
MPC ≧75℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(4)
【0011】
また、本発明は、(ロ) 製袋充填包装機を使用して、熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層を最外層とし、熱可塑性樹脂(B)を基材樹脂とするフィルム層を最内層とし、最外層と最内層との間にはポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層からなる中間層を少なくとも含む構造を有する積層シートからなり、熱可塑性樹脂(A)の融点(MPA:℃)と熱可塑性樹脂(B)の融点(MPB:℃)、熱可塑性樹脂(B)の融点とポリオレフィン系樹脂(C)の融点(MPC:℃)との関係が下記式(8)〜(10)を満足する製袋充填包装用積層シートにて被包装物品を包装する際に、最内層同士を会合させ、最外層から加熱治具を押し当てて最外層が溶けないように最内層同士を熱シールすることを特徴とする製袋充填包装方法に関する。
( 数4 )
270℃≧ MPA ≧ MPB +50℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(8)
MPB ≧ MPC +10℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(9)
MPC ≧75℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(10)
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の製袋充填包装用積層シートには、(イ)熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層(以下、「フィルム層(a)」ということがある)を最外層とし、ポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層(以下、「発泡樹脂シート層(c)」ということがある)を最内層とする少なくとも2層構造からなる積層シート(請求項1、2、5および6)と、(ロ)熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層(a)を最外層とし、熱可塑性樹脂(B)を基材樹脂とするフィルム層(以下、「フィルム層(b)」ということがある)を最内層とし、最外層と最内層との間にはポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層(以下、「発泡樹脂シート(c)」ということがある)からなる中間層を有する少なくと3層構造からなる積層シート(請求項3、4、5および6)の2種の態様が含まれる。
【0016】
本発明において、「第1の積層シート」と称する場合は、本発明の製袋充填包装用積層シートの内、上記した少なくとも2層構造からなる製袋充填包装用積層シートの態様のみを意味し、「第2の積層シート」と称する場合は本発明の製袋充填包装用積層シートの内、上記した少なくとも3層構造からなる製袋充填包装用積層シートの態様のみを意味し、「本積層シート」と称する場合は第1の積層シートと第2の積層シートの両方を包括的に意味するものとする。
【0017】
本発明において熱可塑性樹脂の融点およびポリオレフィン系樹脂の融点とは、JIS K7121にしたがって、熱可塑性樹脂またはポリオレフィン系樹脂から採取した2〜4mgの試料を、JIS K7121の項目3の(1)の状態調節後、示差走査熱量計(熱流束DSC)によって室温(10〜30℃)からJIS K7121で定義される融解ピーク終了時よりも50℃高い温度まで10℃/分の速度で加熱し、その直後に30℃まで10℃/分の速度で冷却し、その直後に融解ピーク終了時よりも50℃高い温度まで10℃/分の速度で加熱したときに得られる2回目の加熱時のDSC曲線に現れる融解ピークの頂点の温度を意味する。尚、2回目の加熱時のDSC曲線に複数のピークが現れた場合には、JIS K7121で定義される融解ピーク高さが最も高いピークの頂点の温度が採用される。DSC曲線に最も高いピークが複数現れた場合には、それらピークの頂点の温度より相加平均値を求めこれが採用される。
【0018】
第1の積層シートは、熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層を最外層とし、ポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層を最内層とする積層シートからなり、熱可塑性樹脂(A)の融点(MPA:℃)とポリオレフィン系樹脂(C)の融点(MPC:℃)との関係が下記式(1)および(2)を満足する製袋充填包装用積層シートである。
【0019】
(数5)
MPA≧MPC+30℃ ・・・・・・・・・・・・・(1)
MPC≧60℃ ・・・・・・・・・・・・・(2)
【0020】
第1の積層シートにおいては、最内層(製袋充填包装後に最も内側となる層)を構成するポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層は緩衝性、柔軟性、断熱性を高める機能を有し、最外層(製袋充填包装後に最も外側となる層)を構成する熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層は、発泡樹脂シート層の引張強度を高めて発泡樹脂シート層の切断ひいては第1の積層シートの切断を効果的に防止する機能を有している。また、熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層が最外層を形成しているので製袋充填包装体の外側表面をきれいに仕上げることが可能となる。
【0021】
また、第1の積層シートにおいては、熱可塑性樹脂(A)の融点(MPA:℃)とポリオレフィン系樹脂(C)の融点(MPC:℃)との関係が上記式(1)および(2)を満足することが重要である。
【0022】
さらに、第1の積層シートにおいては、熱可塑性樹脂(A)の融点(MPA:℃)とポリオレフィン系樹脂(C)の融点(MPC:℃)との関係が下記式(3)および(4)を満足することが好ましい。
【0023】
(数6)
270℃≧MPA≧MPC+50℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(3)
MPC≧75℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(4)
【0024】
すなわち、第1の積層シートにおいて、最外層を構成するフィルム層(a)の基材樹脂(A)の融点が、最内層を構成する発泡樹脂シート層(c)の基材樹脂(C)の融点+30℃よりも低い場合、すなわちMPA<MPC+30℃では製袋充填包装時に最内層同士を会合させ、最外層から加熱治具を押し当てて最内層同士を熱シールする際に、最外層が溶けて表面状態を悪化させてしまう。一方、最外層が溶けないように最内層同士を熱シールしようとすると加熱治具の加熱温度を極端に低温にしなければならず熱シールを完了させるのに相当な長時間が必要となり生産効率が著しく低下する。従って、生産効率をより向上させるためにはMPA≧MPC+50℃であることが好ましい。逆に、最外層を構成する熱可塑性樹脂(A)の融点があまり高い場合には、最外層を構成する樹脂自体が高価になり経済的に好ましくない。従って、熱可塑性樹脂(A)の融点は270℃以下(270℃≧MPA)であることが好ましい。
【0025】
第1の積層シートにおいて、最内層を構成する発泡樹脂シート層(c)の基材樹脂であるポリオレフィン系樹脂(C)の融点は少なくとも60℃以上であることを要し、好ましくは75℃以上である。ポリオレフィン系樹脂(C)の融点が60℃よりも低い場合には常温下または常温下よりもやや高い温度下におかれた場合に熱シール部のシール強度が低下する虞があり、ポリオレフィン系樹脂(C)の融点が60℃以上の場合、特に融点が75℃以上である場合には、比較的高温下におかれても熱シール部のシール強度が低下し難いので好ましい。
【0026】
第2の積層シートは、熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層(a)を最外層とし、熱可塑性樹脂(B)を基材樹脂とするフィルム層(b)を最内層とし、最外層と最内層との間にはポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層(c)からなる中間層を少なくとも含む構造を有する積層シートからなり、熱可塑性樹脂(A)の融点(MPA:℃)と熱可塑性樹脂(B)の融点(MPB:℃)、熱可塑性樹脂(B)の融点(MPB:℃)とポリオレフィン系樹脂(C)の融点(MPC:℃)との関係が下記の式(5)〜(7)を満足することを特徴とする製袋充填包装用積層シートである。
【0027】
(数7)
MPA≧MPB+30℃ ・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
MPB≧MPC ・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
MPC≧60℃ ・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
【0028】
第2の積層シートにおいて、中間層(最外層と最内層との間に位置する層)を構成するポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層(c)は緩衝性、柔軟性、断熱性を高める機能を有し、最外層を構成する熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層(a)と最内層を構成する熱可塑性樹脂(B)を基材樹脂とするフィルム層(b)は、発泡樹脂シート層(c)の引張強度を高めて発泡樹脂シート層の切断ひいては第2の積層シートの切断を効果的に防止する機能を有している。また、熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層(a)が最外層を形成しているので製袋充填包装体の外側表面をきれいに仕上げることが可能となる。
【0029】
第2の積層シートにおいては、最外層を構成するフィルム層(a)の基材樹脂である熱可塑性樹脂(A)の融点(MPA:℃)と、最内層を構成するフィルム層(b)の基材樹脂である熱可塑性樹脂(B)の融点(MPB:℃)と、中間層を構成する発泡樹脂シート層(c)の基材樹脂であるポリオレフィン系樹脂(C)の融点(MPC:℃)との間に上記の式(5)〜(7)を満足することが重要である。
【0030】
さらに、第2の積層シートにおいては、最外層を構成するフィルム層(a)の基材樹脂である熱可塑性樹脂(A)の融点(MPA:℃)と、最内層を構成するフィルム層(b)の基材樹脂である熱可塑性樹脂(B)の融点(MPB:℃)と、最内層を構成するフィルム層(b)の基材樹脂である熱可塑性樹脂(B)の融点(MPB:℃)と中間層を構成する発泡樹脂シート層(c)の基材樹脂であるポリオレフィン系樹脂(C)の融点(MPC:℃)との間に下記の式(8)〜(10)を満足することが好ましい。
【0031】
(数8)
270℃≧MPA≧MPB+50℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(8)
MPB≧MPC+10℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(9)
MPC≧75℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(10)
【0032】
すなわち、第2の積層シートにおいて、最外層を構成するフィルム層(a)の基材樹脂である熱可塑性樹脂(A)の融点(MPA:℃)が、最内層を構成するフィルム層(b)の基材樹脂である熱可塑性樹脂(B)の融点(MPB:℃)+30℃よりも低い場合、すなわちMPA<MPB+30℃では製袋充填包装時に最内層同士を会合させ、最外層から加熱治具を押し当てて最内層同士を熱シールする際に、最外層が溶けて表面状態を悪化させてしまう。一方、最外層が溶けないように最内層同士を熱シールしようとすると加熱治具の加熱温度を極端に低温にしなければならず熱シールを完了させるのに相当な長時間が必要となり生産効率が著しく低下する。MPAがあまり高い場合には、最外層を構成する樹脂自体が高価になり経済的に好ましくない。したがって、MPAは270℃≧MPA≧MPB+50℃の範囲であることが好ましい。
【0033】
また第2の積層シートにおいて、最内層を構成するフィルム層(b)の基材樹脂である熱可塑性樹脂(B)の融点(MPB:℃)は、中間層として存在させる発泡樹脂シート層(c)の基材樹脂であるポリオレフィン系樹脂(C)の融点(MPC:℃)以上であることを要し、MPCは、MPB以下であってかつ60℃以上であることを要する。MPCがMPBよりも高い場合には、熱シールの際に熱シール部における発泡樹脂シート層からなる中間層が十分に潰れず融着しない虞があり、その結果熱シール部の強度が低下する。したがって、MPBはMPC+10℃より高い温度、すなわちMPB≧MPC+10℃の範囲であることが好ましく、このような温度範囲である時には熱シール温度を高め、シールスピードを速めた場合でも中間層の発泡樹脂シート層を溶融脱泡させることができ、それに加え最内層も熱シール強度アップに寄与するので最内層が発泡樹脂シート層である第1の積層シートよりも強固な熱シールが可能となる。
【0034】
本発明における本積層シートの最外層を構成するフィルム層(a)の基材樹脂である熱可塑性樹脂(A)としては、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は熱シール性、強度などの点から融点が少なくとも130℃以上であることが好ましく、150〜270℃であることがより好ましい。本積層シートにおいて熱可塑性樹脂(A)としては、全体の価格などのコストを考慮して一般的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂が使用される。また、最外層を構成するフィルム層は通常厚さ3μm〜100μmのものが使用される。
【0035】
また第2の積層シートの最内層を構成するフィルム層(b)の基材樹脂である熱可塑性樹脂(B)としては、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、等が挙げられる。熱可塑性樹脂(B)の融点(MPB:℃)は、熱シール性、強度などの点から少なくと70℃以上であることが好ましく、75〜160℃であることがより好ましく、更に第2の積層シートにおける中間層を構成する発泡樹脂シート層(c)の基材樹脂であるポリオレフィン系樹脂(C)の融点(MPC:℃)よりは少なくとも10℃高いことが望ましい。また、最内層を構成するフィルム層(b)の厚さは通常3μm〜100μmのものが使用される。最内層を構成するフィルム層(b)の厚さが厚い場合には包装機への装着性、作業性が悪くなるとともに熱シール融着性が悪くなり好ましくない。なお、最内層を構成するフィルム層(b)の基材樹脂である熱可塑性樹脂(B)としては、該フィルム層(b)の熱シール性、強度、さらにはコストを考慮すると、密度が940g/L以上のポリエチレン系樹脂が好ましく、特にその中でも密度が945〜975g/Lの高密度ポリエチレン樹脂が好ましい。この高密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とするフィルム層(b)は後述する静摩擦係数の値を0.7以下にすることを容易とし、また中間層の発泡樹脂シート層(c)が後述する密度935g/L以下のポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする場合には発泡樹脂シート層との融着性に優れるので両者を直接熱融させることができるので好ましい。
【0036】
第1の積層シートにおける最内層または第2の積層シートにおける中間層を形成する発泡樹脂シート層(c)の基材樹脂はポリオレフィン系樹脂(C)である。本発明においてポリオレフィン系樹脂とは、次のa)ないしe)のいずれかに該当するものを意味する。
a)エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンの単独重合体、
b)2種以上のオレフィン同士の共重合体、
c)オレフィン成分と他のモノマー成分とからなる共重合体であってかつオレフィン成分比率が50重量%以上の共重合体、
d)上記a)、b)、およびc)の群から選ばれた2以上の混合物、
e)上記a)またはb)またはc)またはd)と、a)ないしd)のいずれとも異なる熱可塑性樹脂、合成ゴム、天然ゴム、および熱可塑性エラストマーの群から選ばれた1または2以上の重合体との混合物であってかつ混合物中のオレフィン成分割合が50重量%以上のもの。
尚、ポリオレフィン系樹脂から製造される発泡樹脂シート中には、所望に応じて、発泡樹脂シートの重量を基準として30重量%を上限として、充填剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、気泡調節剤、抗菌剤、着色剤等の各種添加剤を適当量含有させることができる。
【0037】
ポリオレフィン系樹脂(C)として、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂、エチレン−プロピレンブロック共重合体樹脂、エチレン−ブテンランダム共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−メタクリレート共重合体樹脂、プロピレン重合体樹脂、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン−ブテンランダム共重合体樹脂、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂、プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体樹脂、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体樹脂等が挙げられる。
【0038】
また本積層シートにおける発泡樹脂シート層(c)に関しては、使用される目的、用途との関係において断熱性、緩衝性の他に柔軟性を有することが要求されることから、見かけ密度は180g/L以下であることが好ましく、15g/L〜60g/Lであることがより好ましく、厚みは0.05〜5mmが好ましく、0.07〜3mmがより好ましい。そのような見かけ密度と厚みを持つ発泡樹脂シート層(c)を含む本積層シートは断熱性が特に優れているので、本積層シートを使用して冷凍食品やアイスクリーム等の冷凍菓子を製袋充填包装した場合、冷蔵庫から常温下に取り出されても冷凍食品や冷凍菓子がとけ難くなるため消費者が安心してその商品を購入することができる。さらに、本積層シートの断熱性能は、本積層シートの最外層を構成する熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層(a)の表面または/および裏面にアルミニウム等の金属膜を蒸着すると一層高まるので、冷凍食品や冷凍菓子を製袋充填包装する際には、フィルム層(a)の表面に上記金属蒸着膜を存在させることが好ましい。
【0039】
本積層シートの発泡樹脂シート層(c)として使用される発泡樹脂シートは、JIS K 6767に従って測定された圧縮硬さが0.2〜10N/cm2であることが好ましい。圧縮硬さが10N/cm2を超えると、発泡樹脂シート層の柔軟性が悪化してしまう虞がある。そのような観点から、その圧縮硬さは8N/cm2以下であることが好ましく、6N/cm2以下であることがより好ましい。一方、圧縮硬さが0.2N/cm2を下回るようになると緩衝性が極端に悪化してしまう虞れがある。そのような観点から、その圧縮硬さは0.5N/cm2以上であることが好ましく、1N/cm2以上であることがより好ましい。
発泡樹脂シートの圧縮硬さは、発泡樹脂シート層(c)の基材樹脂であるポリオレフィン系樹脂(C)の引張弾性率が高くなるほど、発泡樹脂シートの見かけ密度が大きくなるほど、独立気泡率が大きくなるほど、気泡が厚み方向に長く伸ばされているほど、大きな値を示す傾向にある。これらの点を考慮して製造すれば目的とする範囲内の圧縮硬さを持つ発泡樹脂シートを容易に製造することができる。圧縮硬さの値が大きい発泡樹脂シートは、針のようなもので突き刺して気泡の一部又は大部分を連通化させることにより圧縮硬さの値を小さく変化させることができる。
【0040】
本積層シートにおける発泡樹脂シート層(c)は、コスト等経済性に優れる上、高発泡化が容易で、かつ柔軟性に優れる発泡樹脂シートが容易に得られる密度が935g/L以下のポリエチレン系樹脂を基材樹脂とすることが好ましく、特にその中でも密度が880〜930g/Lのポリエチレン系樹脂を基材樹脂とすることが好ましい。尚、本発明においてポリエチレン系樹脂とは、次のf)ないしi)のいずれかに該当するものを意味する。
f)エチレンの単独重合体、
g)エチレン成分と他のモノマー成分とからなる共重合体であってかつエチレン成分比率が50重量%以上の共重合体、
h)上記f)、およびg)の群から選ばれた2以上の混合物、
i)上記f)またはg)またはh)と、f)ないしh)のいずれとも異なる熱可塑性樹脂、合成ゴム、天然ゴム、および熱可塑性エラストマーの群から選ばれた1または2以上の重合体との混合物であってかつ混合物中のエチレン成分割合が50重量%以上のもの。
【0041】
発泡樹脂シート層(c)を形成する発泡樹脂シートは、通常行われている下記の方法で製造される。すなわち、ポリオレフィン系樹脂を押出機中で溶融させると共に物理発泡剤および必要に応じて気泡調節剤等の添加剤を溶融樹脂中に混合して高圧下で溶融混練物を形成し、その溶融混練物を押出機先端に位置する環状ダイスやTダイス等のダイスから低圧下に押出して発泡させてシート化する方法(押出発泡方法)により製造することができる。
【0042】
また、ポリオレフィン系樹脂を押出機中で溶融させると共に熱分解型発泡剤および必要に応じて架橋剤や架橋助剤等の添加剤を溶融樹脂中に混合して高圧下で溶融混練物を形成し、その溶融混練物を押出機先端に位置する環状ダイスやTダイス等のダイスから低圧下に押出して実質的に無架橋の状態、かつ実質的に無発泡の状態のシートを製造し、このシートを架橋後または架橋と同時に熱分解型発泡剤の分解温度以上の温度に加熱して発泡剤を分解させることにより発泡させてシート化する方法(常圧架橋発泡方法)により製造することができる。
【0043】
発泡樹脂シートは、これらの方法に限られず他の方法で製造することもできるが、上記押出発泡方法を採用して製造することが好ましい。押出発泡方法は、ポリオレフィン系樹脂に架橋構造を導入しなくても容易に発泡樹脂シートを製造することができるので架橋工程を省略できるし、また発泡樹脂シートの生産性も高いので好ましい。
【0044】
本積層シートは、製袋充填包装機への装着性、操作性などの点から最内層の露出面の静摩擦係数が0.7以下であることが望ましい。すなわち、その静摩擦係数が0.7以下であると被包装物品を充填する際、最内層と接触する被包装物品を充填するための充填筒との滑り性が良好となり高速で製袋充填包装を行うことができる。それらの観点から上記静摩擦係数は0.6以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましい。尚、上記静摩擦係数は、あまり小さくなり過ぎると最内層そのものが高価になる虞れがあるので、0.02以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.08以上であることが更に好ましい。 上記静摩擦係数は、主として、最内層の基材樹脂の種類、厚みおよび表面状態に依存する。また、上記静摩擦係数は、最内層の基材樹脂に添加される滑剤(スリップ剤)の種類や添加量によっても変化する。それらのことを踏まえて上記範囲内の静摩擦係数を持つ最内層を製造または選定すればよい。尚、上記静摩擦係数を小さくして高速で製袋充填包装を行う場合には、最内層の露出面に発泡樹脂シート層(c)を採用するよりも熱可塑性樹脂(B)からなるフィルム層(b)を採用する方が上記静摩擦係数を小さくし易いので最内層には熱可塑性樹脂(B)からなるフィルム層(b)を採用することが好ましい。
【0045】
本積層シートは、最内層側にカールしやすい性質を有している。特に、最外層が熱可塑性樹脂(A)からなるフィルムであって、最内層がポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層(c)である第1の積層シートの場合には、表裏の性質が大きく異なるので最内層側に強くカールしやすくなる。そのカール力が強い本積層シートを使用すると、製袋充填包装時に本積層シートを予熱した段階で最内層側に大きくカールしてしまい、包装スピードを速く(例えば1分当たり160〜180ショット)すると端部が折れ曲がった状態でシールされ、不良品の発生率を高めてしまうので包装スピードを例えば1分当たり80〜130ショット程度に低下せざるを得ない。従って、本積層シートの上記カール力を弱めることは製袋充填包装の生産効率を高める上で重要である。本積層シート(特に第1の積層シート)の上記カール力を弱めるには、最外層側から本積層シートを加熱し、次いで少なくとも最外層表面に凹凸加工を施すことが効果的である。具体的には、本積層シートの最外層側表面において、本積層シートのカールする方向とほぼ直交する方向に延びる線状の押し溝を1〜30mm程度の間隔で本積層シートを横断または縦断するように本積層シートの最外層表面のほぼ全域に形成することが好ましい。上記線状の押し溝は、本積層シートの厚みの5〜90%の深さであることが好ましく、本積層シートの厚みの10〜80%の深さであることがより好ましい。また、上記線状の押し溝は、幅が0.01〜5mmであることが好ましく、0.1〜2mmであることがより好ましい。
【0046】
本積層シートは、先に記述したように、熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層(a)を最外層とし、ポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層(c)を最内層とする少なくとも2層構造からなる積層シート(請求項1、2、5および6)と、熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層(a)を最外層とし、熱可塑性樹脂(B)を基材樹脂とするフィルム層(b)を最内層とし、最外層と最内層との間にはポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層(c)からなる中間層を有する少なくとも3層構造からなる積層シート(請求項3、4、5および6)の2種の態様を含むものである。
【0047】
本積層シートの最外層を構成する熱可塑性樹脂(A)からなるフィルムの表面又は/及び裏面には、所望に応じて、商品名、商標あるいは商品の表示などを印刷したり、アルミニウム膜を蒸着することができる。また、第1の積層シートの最外層と最内層の間、第2の積層シートの最外層と中間層との間、第2の積層シートの最内層と中間層との間には、本発明の目的を阻害しないことを条件として、必要に応じて更に追加の樹脂フィルム層や接着剤層やアンカーコート層等を適宜存在させることができる。
【0048】
次に、本発明に係る製袋充填包装積層シートについて具体的な実施態様を図面により詳細に説明する。
【0049】
本発明における第1の積層シートの態様である第1の具体例として、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(1)(最外層)の一方の面に印刷(12)を施し、他方の面にアルミニウム膜(13)を蒸着し、アルミニウム膜(13)の上にアンカーコート層(14)を薄くコートし、更にその上に低密度ポリエチレン樹脂層(15)を薄くコートしてなる多層フィルムの低密度ポリエチレン樹脂層(15)側と、低密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ0.4mm、見かけ密度46g/Lの発泡樹脂シート(2)(最内層)とをダイレクトに熱接着して製造された積層シートからなる製袋充填包装用積層シートの断面の模式図を図1に示す。
【0050】
第1の積層シートの態様である第2の具体例として、特に図示しないが、厚み20μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(最外層)の一方の面にアルミニウム膜を蒸着し、アルミニウム膜の上にアンカーコート層を薄くコートしてなる多層フィルムのアンカーコート層側と、低密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ0.5mm、見かけ密度32g/Lの発泡樹脂シート(最内層)とをドライラミネート用接着剤を使用して接着した積層シートからなる製袋充填包装用積層シートが例示される。
【0051】
第1の積層シートの態様である第3の具体例として、特に図示しないが、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(最外層)の一方の面に印刷を施し、印刷の上にアンカーコート層を薄くコートし、更にその上に低密度ポリエチレン樹脂層を薄くコートしてなる多層フィルムの低密度ポリエチレン樹脂層側と、低密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ0.3mm、見かけ密度38g/Lの発泡樹脂シート(最内層)とをダイレクトに熱接着して製造された積層シートからなる製袋充填包装用積層シートが例示される。
【0052】
第1の積層シートの態様である第4の具体例として、特に図示しないが、厚さ15μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(最外層)の一方の面にアンカーコート層を薄くコートし、さらにその上に低密度ポリエチレン樹脂層を薄くコートしてなる多層フィルムの低密度ポリエチレン樹脂層側と、低密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ0.5mm、見かけ密度38g/Lの発泡樹脂シート(最内層)とをダイレクトに熱接着して製造された積層シートからなる製袋充填包装積層シートが例示される。
【0053】
第1の積層シートの態様である第5の具体例として、特に図示しないが、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(最外層)の一方の面にアンカーコート層を薄くコートし、さらにその上に低密度ポリエチレン樹脂層を薄くコートしてなる多層フィルムの低密度ポリエチレン樹脂層側と、低密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ0.5mm、見かけ密度38g/Lの発泡樹脂シート(最内層)とをダイレクトに熱接着し、その直後に最外層表面側が格子状の凸部(積層シートの長手方向)を持つ冷却用ロール側を向くように且つ最内層側が平坦な冷却用ロール側を向くようにして両冷却ロールで積層シートを押圧しつつ冷却することにより、最外層表面の全域に、積層シートの長手方向と、積層シートの長手方向と直交する方向のそれぞれに6mm間隔で線状の押し溝(幅約0.5mm)が形成された積層シートからなるカール力の弱い製袋充填包装積層シートが例示される。
【0054】
第2の積層シートの態様である第1の具体例として、厚さ15μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(1)(最外層)の一方の面に印刷(12)を施し、他方の面にアルミニウム膜(13)を蒸着し、アルミニウム膜(13)の上にアンカーコート層(14)を薄くコートし、その上に低密度ポリエチレン樹脂層(15)を薄くコートし、さらにその上にホットメルト接着剤(16)をコートしてなる多層フィルムのホットメルト接着剤(16)側と、低密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ0.4mm、見かけ密度46g/Lの発泡樹脂シート(2)(中間層)と高密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ10μmのフィルム層(3)(最内層)とダイレクトに熱接着した多層シートの発泡樹脂シート層(2)側とをダイレクトに熱接着して製造された製袋充填包装用積層シートの断面の模式図を図2に示す。
【0055】
第2の積層シートの態様である第2の具体例として、厚さ20μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(1)(最外層)の一方の面に印刷(12)を施し、印刷(12)の上にアンカーコート層(14)を薄くコートしてなる多層フィルムのアンカーコート層(14)側と、低密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ0.4mm、見かけ密度30g/Lの発泡樹脂シート層(2)(中間層)と高密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚み10μmのフィルム層(3)(最内層)とダイレクトに熱接着した多層シートの発泡樹脂シート(2)側とをドライラミネート用接着剤(17)を使用して接着して製造された製袋充填包装用積層シートの断面の模式図を図3に示す。
【0056】
第2の積層シートの態様である第3の具体例として、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(1)(最外層)の一方の面にアルミニウム膜(13)を蒸着し、アルミニウム膜(13)の上にアンカーコート層(14)を薄くコートし、更にその上に低密度ポリエチレン樹脂層(15)を薄くコートしてなる多層フィルムの低密度ポリエチレン樹脂層(15)側と、低密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ0.3mm、見かけ密度40g/Lの発泡樹脂シート(2)(中間層)と高密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ10μmのフィルム層(3)(最内層)とダイレクトに熱接着した多層シートの発泡樹脂シート層(2)側とをダイレクトに熱接着して製造された製袋充填包装用積層シートの断面の模式図を図4に示す。
【0057】
第2の積層シートの態様である第4の具体例として、特に図示しないが、厚さ15μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(最外層)の一方の面に印刷を施し、印刷の上にアンカーコート層を薄くコートし、さらにその上にホットメルト接着剤としてエチレン‐アクリル酸エチル共重合体層を薄くコートしてなる多層フィルムのエチレン‐アクリル酸エチル共重合体層側と、低密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ0.5mm、見かけ密度35g/Lの発泡樹脂シート(中間層)と高密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ10μmのフィルム層(最内層)とダイレクトに熱接着した多層シートの発泡樹脂シート層側とをダイレクトに熱接着して製造された製袋充填包装用積層シートが例示される。尚、上記エチレン‐アクリル酸エチル共重合体層は低密度ポリエチレン樹脂層よりも低温でヒートシールができるので好適である。また、同様に低温でヒートシール可能な層を構成する熱可塑性ポリマーとしては他にエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体等が例示される。
【0058】
また本積層シート最内層の露出面について静摩擦係数を測定した。
測定はJIS P8147に規定される傾斜方法に従って、静摩擦係数測定機、「TYPE HEIDON−10」(新東科学株式会社製)により行った。
試料1:第2の積層シートの第1〜第4の具体例における最内層を構成する高密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ10μmのフィルム(HDPE)。
試料2:第1の積層シートの第1の具体例における最内層を構成する低密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂とする厚さ0.4mm、見かけ密度46g/Lの発泡樹脂シート。
【0059】
測定方法:上記試料1および2から所定の大きさの試験片を切出し、試験片を、温度23℃、相対湿度50%の室内に24時間放置したのち、同室内で上記測定機に付属の移動ブロックに固定し、測定機の速度切換スイッチを8mm/秒にして測定した。なお、最内層の露出面を構成するフィルムの静摩擦係数は、表面が平滑な平板状のステンレス鋼板(SUS304)表面に対する最内層の露出面を構成するフィルムの摩擦係数である。
測定は、試験片の任意の一方向(MD)と、これに直交する方向(TD)の二方向について行い、各方向当たり5点測定し各方向ごとに相加平均値を求めた。
測定結果を表1に示す。表から明らかなようにHDPEフィルムが発泡樹脂シートに対して3倍程度滑りが良い。
【0060】
【表1】
「TD」シート幅方向、「MD」シート押出方向
【0061】
【発明の効果】
本発明の製袋充填包装用積層シート(第1の積層シートおよび第2の積層シート)は、柔軟性を維持したまま引張強度が高められているため、ピロー包装等の製袋充填包装機を使用して製袋充填包装を行なっても積層シートが切断され難く装着性にも優れたものである。
また、本発明の製袋充填包装用積層シートは、第1の積層シートにおいて最外層と最内層を構成する各基材樹脂の融点を、第2の積層シートにおいて最外層と最内層と中間層を構成する各基材樹脂の融点を、それぞれ上記した通り特定の範囲内としたことにより、製袋充填包装時に、最外層の外観を阻害することなく最内層同士を熱シールすることができる。また、第2の積層シートは最内層が熱可塑性樹脂(B)からなるフィルム層で構成されているので最内層が発泡樹脂シート層で構成されている第1の積層シートよりも最内層同士の熱シール強度に優れ、その上静摩擦係数が小さく滑りがより向上し装着性がよいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明に係る製袋充填包装用積層シート断面の模式図であって、第1の積層シートの一例を示す。
【図2】は本発明に係る製袋充填包装用積層シート断面の模式図であって、第2の積層シートの実施態様の一例を示す。
【図3】は本発明に係る製袋充填包装用積層シート断面の模式図であって、第2の積層シートの他の実施態様を示す。
【図4】は本発明に係る製袋充填包装用積層シート断面の模式図であって、第2の積層シートのさらに他の実施態様を示す。
【符号の説明】
1・・・ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム
2・・・発泡樹脂シート
3・・・高密度ポリエチレン樹脂フィルム
12・・印刷
13・・アルミニウム蒸着膜
14・・アンカーコート層
15・・低密度ポリエチレン樹脂層
16・・ホットメルト接着剤層
17・・ドライラミネート用接着剤層
Claims (6)
- 製袋充填包装機を使用して、熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層を最外層とし、ポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層を最内層とする積層シートからなり、熱可塑性樹脂(A)の融点(MPA:℃)とポリオレフィン系樹脂(C)の融点(MPC:℃)との関係が下記式(3)および(4)を満足する製袋充填包装用積層シートにて被包装物品を包装する際に、最内層同士を会合させ、最外層から加熱治具を押し当てて最外層が溶けないように最内層同士を熱シールすることを特徴とする製袋充填包装方法。
(数1)
270℃≧ MPA ≧ MPC +50℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(3)
MPC ≧75℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(4) - 製袋充填包装用積層シートにおける熱可塑性樹脂(A)がポリエチレンテレフタレート樹脂であり、ポリオレフィン系樹脂(C)が密度935g/L以下であるポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の製袋充填包装方法。
- 製袋充填包装機を使用して、熱可塑性樹脂(A)を基材樹脂とするフィルム層を最外層とし、熱可塑性樹脂(B)を基材樹脂とするフィルム層を最内層とし、最外層と最内層との間にはポリオレフィン系樹脂(C)を基材樹脂とする発泡樹脂シート層からなる中間層を少なくとも含む構造を有する積層シートからなり、熱可塑性樹脂(A)の融点(MPA:℃)と熱可塑性樹脂(B)の融点(MPB:℃)、熱可塑性樹脂(B)の融点とポリオレフィン系樹脂(C)の融点(MPC:℃)との関係が下記式(8)〜(10)を満足する製袋充填包装用積層シートにて被包装物品を包装する際に、最内層同士を会合させ、最外層から加熱治具を押し当てて最外層が溶けないように最内層同士を熱シールすることを特徴とする製袋充填包装方法。
( 数2 )
270℃≧ MPA ≧ MPB +50℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(8)
MPB ≧ MPC +10℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(9)
MPC ≧75℃ ・・・・・・・・・・・・・・・(10) - 製袋充填包装用積層シートにおける熱可塑性樹脂(A)がポリエチレンテレフタレート樹脂であり、熱可塑性樹脂(B)が密度940g/L以上のポリエチレン系樹脂であり、ポリオレフィン系樹脂(C)が密度935g/L以下であるポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項3記載の製袋充填包装方法。
- 製袋充填包装用積層シートの最内層における露出面の静摩擦係数が0.7以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の製袋充填包装方法。
- 製袋充填包装用積層シートの最外層表面に凹凸加工を施してなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の製袋充填包装方法。
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