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JP3553009B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents

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JP3553009B2
JP3553009B2 JP2000306794A JP2000306794A JP3553009B2 JP 3553009 B2 JP3553009 B2 JP 3553009B2 JP 2000306794 A JP2000306794 A JP 2000306794A JP 2000306794 A JP2000306794 A JP 2000306794A JP 3553009 B2 JP3553009 B2 JP 3553009B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、パワーシリンダ側に導く流量を制御する流量制御弁を備えたパワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この発明の出願人によって特願2000−74618が出願されているが、これを図2,3に基づいて説明する。まず、その構成を図2に基づいて説明する。
本体Bには、流量制御弁Vのスプール1とともにポンプPも一体的に組み込んでいる。
上記スプール1は、その一端を一方のパイロット室2に臨ませ、他端を他方のパイロット室3に臨ませている。上記一方のパイロット室2は、ポンプポート4を介してポンプPに常時連通している。また、他方のパイロット室3にはスプリング5を介在させている。このようにした両パイロット室2,3は、ソレノイドSOLの励磁電流に応じて開度を制御する可変オリフィスaを介して、互いに連通している。
【0003】
すなわち、一方のパイロット室2は、流路6→可変オリフィスa→流路7を経由してパワーシリンダ8を制御するステアリングバルブ9の流入側に連通している。また、他方のパイロット室3は、流路10および流路7を介してステアリングバルブ9の流入側に連通している。
したがって、上記両パイロット室2,3は、可変オリフィスaを介して連通することになり、可変オリフィスaの上流側の圧力が一方のパイロット室2に作用し、下流側の圧力が他方のパイロット室3に作用することになる。
【0004】
そして、スプール1は、一方のパイロット室2の作用力と、他方のパイロット室3の作用力およびスプリング5の作用力とがバランスした位置を保つが、そのバランス位置において、タンクポート11の開度が決められる。
今、エンジン等からなるポンプ駆動源12が停止していると、ポンプポート4に圧油が供給されない。ポンプポート4に圧油が供給されなければ、両パイロット室2,3には圧力が発生しないので、スプール1はスプリング5の作用で図示のノーマル位置を保つ。
【0005】
上記の状態からポンプPが駆動して、ポンプポート4に圧油が供給されると、可変オリフィスaに流れができるので、そこに差圧が発生する。この差圧の作用で、両パイロット室2,3に圧力差が発生し、この圧力差に応じてスプール1がスプリング5に抗して移動し、上記バランス位置を保つ。
このようにスプール1がスプリング5に抗して移動することによって、タンクポート11の開度を大きくするが、このときのタンクポート11の開度に応じて、ステアリングバルブ9側に導かれる制御流量QPと、タンクTあるいはポンプPに還流される戻り流量QTの分配比が決まる。言い換えれば、タンクポート11の開度に応じて制御流量QPが決まることになる。
【0006】
上記のように制御流量QPが、スプール1の移動位置で決まるタンクポート11の開度に応じて制御されるということは、結局は、可変オリフィスaの開度に応じて制御流量QPが決まることになる。なぜなら、スプール1の移動位置は、両パイロット室2,3の圧力差で決まるとともに、この圧力差を決めているのが可変オリフィスaの開度だからである。
【0007】
したがって、車速や操舵状況に応じて、制御流量QPを制御するためには、可変オリフィスaの開度、すなわちソレノイドSOLの励磁電流を制御すればよいことになる。
なぜなら、可変オリフィスaは、ソレノイドSOLが非励磁状態のときにその開度を最少に保ち、励磁電流を大きくしていくにしたがってその開度を大きくするからである。
【0008】
なお、前記ステアリングバルブ9は、図示していないステアリングホィールの入力トルク(操舵トルク)に応じて、パワーシリンダ8への供給流量を制御するものである。例えば、操舵トルクが大きければ、パワーシリンダ8への供給流量を大きくし、操舵トルクが小さければそれに応じて供給流量も少なくするようにしている。この操舵トルクとステアリングバルブ9の切り換え量は、図示していないトーションバーなどのねじれ反力によって決まることになる。
【0009】
上記のように操舵トルクが大きいときに、ステアリングバルブ9の切り換え量を大きくすれば、その分、パワーシリンダ8によるアシスト力が大きくなる。反対に、ステアリングバルブ9の切り換え量を小さくすれば、上記アシスト力は小さくなる。
そして、操舵トルクによって決まるパワーシリンダ8の必要(要求)流量QMと、流量制御弁Vで決められる制御流量QPとを、いつも等しくすれば、ポンプP側のエネルギー損失を低く抑えることができる。なぜなら、ポンプP側のエネルギーロスは、制御流量QPとパワーシリンダ8の必要流量QMとの差によって発生するからである。
【0010】
上記のように制御流量QPを、パワーシリンダ8の必要流量QMにできるだけ近づけるために、可変オリフィスaの開度を制御するのが、ソレノイドSOLに対する励磁電流であり、この励磁電流を制御するのが、コントローラCである。
このコントローラCには、操舵角センサー16と車速センサー17とを接続し、これら両センサーの出力信号に基づいて、ソレノイドSOLの励磁電流を制御するようにしている。
【0011】
なお、図中符号18はスプール1の先端に形成したスリットで、スプール1が図示の位置にあるときにも、一方のパイロット室2が、このスリット18を介して、流路7に常時連通するようにしている。言い換えると、スプール1が図示の状態にあって、流路6を閉じているようなときにも、ポンプPの吐出油が、このスリット18を介して、ステアリングバルブ9側に供給されるようにしている。
このように微少流量であるが、ステアリングバルブ9側に圧油を供給するようにしたのは、装置全体の焼き付きの防止、キックバック等の外乱の防止、および応答性の確保を目的にしているからである。ただし、これらの目的は、後で説明するスタンバイ流量QSを確保することでも達成できるので、詳細な説明は後に譲ることにする。
また、符号19は、コントローラCとソレノイドSOLとの間に接続したドライバーである。符号13,14は流路10に設けたオリフィス、符号15はリリーフ弁である。
【0012】
上記コントローラCの制御システムは、図3に示すとおりである。すなわち、コントローラCには、操舵角センサー16からの操舵角信号と車速センサー17からの車速信号と入力する。そして、コントローラCは、操舵角信号から操舵角θと操舵角速度ωとを演算する。
そして、これら操舵角θおよび操舵角速度ωに基づいて、上記必要流量QMを推定し、コントローラCによって、ソレノイドSOLの励磁電流を制御するようにしている。その制御形態は、図3に示すとおりである。
図3における操舵角θとソレノイド電流指令値I1とは、その操舵角θと制御流量QPとの関係がリニアな特性になる理論値を基にして決めている。また、操舵角速度ωとソレノイド電流指令値I2との関係も、操舵角速度ωと制御流量QPとがリニアな特性になる理論値を基にして決めている。
【0013】
ただし、操舵角θおよび操舵角速度ωが、ある設定値以上にならなければ、上記ソレノイド電流指令値I1およびソレノイド電流指令値I2のいずれもゼロを出力するように、いわゆる不感帯を設けている。つまり、ステアリングホィールが中立あるいはその近傍にある時には、上記ソレノイド電流指令値I1もソレノイド電流指令値I2もゼロになるようにしている。
これは、高速時でも安全にステアリング操作することができるようにするためである。すなわち、高速道路のように直線を高速で走行しているとき、ステアリングホィールを操作すると同時に、パワーシリンダにアシスト力が急に供給されるのは非常に危険である。
したがって、不感帯を設けて、パワーシリンダに徐々にアシスト力が付与されるようにしている。また、上記不感帯の範囲は、高速時の安全性を考慮して設定している。
【0014】
そして、操舵角用電流指令値I3は、低速域で1を出力し、最高速域で例えば0.6を出力するようにしている。また、操舵角速度用電流指令値I4は、低速域で1を出力し、最高速域で例えば0.8を出力するようにしている。
つまり、操舵角用電流指令値I3は、1から0.6の範囲で制御する一方、操舵角速度用電流指令値I4は、1から0.8の範囲で制御するようにしている。したがって、低速域から最高速域でのゲインは、操舵角用電流指令値I3の方が、大きくなるようにしている。
【0015】
そして、上記操舵角θによるソレノイド電流指令値I1には、車速に応じた操舵角用電流指令値I3を掛け合わせる。したがって、車速が高速になればなるほど、その乗算結果である出力値すなわち操舵角系のソレノイド電流指令値I5は小さくなる。しかも、操舵角用電流指令値I3のゲインを、操舵角速度用電流指令値I4のゲインよりも大きくしているので、高速になればなるほど、その減少率が大きくなる。
【0016】
一方、操舵角速度ωによるソレノイド電流指令値I2には、車速に応じた操舵角速度用電流指令値I4を限界値として、操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6を出力させるようにしている。このソレノイド電流指令値I6も、車速に応じて減少させるようにしているが、そのゲインを、操舵角用電流指令値Iのゲインよりも小さくしているので、ソレノイド電流指令値I6の減少率は、ソレノイド電流指令値I5の場合よりも小さい。
【0017】
上記のように出力された操舵角系のソレノイド電流指令値I5と、操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6との大小を比較し、その大きな方のソレノイド電流指令値5あるいはソレノイド電流指令値I6を採用するようにしている。
このように、いずれか大きな方を採用するようにしたのは、次の理由からである。すなわち、高速走行時には、ステアリングを急操作することはまずないので、操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6が小さくて、操舵角系のソレノイド電流指令値I5の方が大きくなるのが通常である。
【0018】
したがって、高速走行時には、ステアリング操作の安全性・安定性を高めるために、操舵角θを基準にしながら、その操舵角系のソレノイド電流指令値I5のゲインを大きくしている。言い換えれば、走行速度が速くなればなるほど、制御流量QPを少なくする比率を高めて、エネルギーロスをより少なくするようにしている。
【0019】
一方、低速走行時には、ステアリングを急操作することが多くなる。そのために、多くの場合に操舵角速度ωの方が大きくなる。このように操舵角速度ωが大きい場合には、応答性が重視される。
したがって、低速走行時には、ステアリング操作の操作性すなわち応答性を高めるために、操舵角速度ωを基準にしながら、その操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6のゲインを小さくしている。言い換えれば、走行速度がある程度速くなっても、ステアリングを急操作したときには、制御流量QPを十分に確保して、応答性を優先させるようにしている。
【0020】
ただし、車両の走行速度が一定でも、操舵角系のソレノイド電流指令値I5が大きくなったり、操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6が大きくなったりする。例えば、ステアリングをある角度操舵して、その操舵角θの位置で、ステアリングを止めて保舵している時には、操舵角速度ωはゼロになってしまう。したがって、車速が同じでも、最初、操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6が大きく、保舵に入ってから操舵角系のソレノイド電流指令値I5の方が大きくなる。
いずれにしても、ソレノイド電流指令値I5とソレノイド電流指令値I6の大きい方の電流指令値を択一しているので、どのような走行条件でも、いずれかの電流指令値が出力されることになる。
【0021】
もし、上記のような保舵時に、ソレノイド電流指令値I5とソレノイド電流指令値I6のいずれもが出力されなければ、制御流量QPを確保できなくなる。制御流量QPを確保できなければ、保舵時には、車両のセルフアライニングトルクによる抗力に負けて、パワーシリンダ8が動いてしまう。このようにパワーシリンダ8がその位置を保てずに動いてしまえば、それこそ保舵そのものが不可能になる。
【0022】
しかし、上記のように、ソレノイド電流指令値I5とソレノイド電流指令値I6のいずれかを用いるようにしているので、ステアリング操作中に、両方ともゼロになることはない。言い換えれば、保舵時であっても操舵角θが保たれているので、ソレノイド電流指令値I1を確保できる。したがって、このソレノイド電流指令値I1で保舵に必要なパワーを維持できることになる。
【0023】
一方で、高速走行時でも、ステアリングを急操作することがある。この時には、操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6が大きくなるので、そのソレノイド電流指令値I6が選択される。ただし、このソレノイド電流指令値I6は、操舵角速度用電流指令値I4の限界値の範囲内に制御された値になるので、安全性は十分に確保される。
ただ、車両の高速走行時における操舵角速度用電流指令値I4の限界最小値は、操舵角用電流指令値I3の最小値よりもやや大きくしている。つまり、この実施態様では、前記したように操舵角用電流指令値I3の最小値を0.6に設定し、操舵角速度用電流指令値I4の限界最小値を0.8に設定している。
【0024】
したがって、高速走行時に、操舵角系のソレノイド電流指令値I5で制御される場合よりも、操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6で制御される場合の方が、応答性がよくなる。
ただし、高速走行時に、あまり応答性をよくしすぎると、安全性が損なわれる危険がある。そこで、操舵角速度用電流指令値I4の限界最小値を0.8に設定しているが、その根拠は、車両のヨーレートをもとにした安全性を基準にしている。
【0025】
つまり、車両のヨーレートは、だいたい車速60km/h以下で走行しているとき、その収れん性がほとんど似たような特性になる。つまり、60km/h以下では、10km/h走行であろうと、40km/h走行であろうと、その収れん性はほとんど変わらない。このようにヨーレートの収れん性が安定している範囲を、安全性の限界としてとらえ、操舵角速度用電流指令値I4の限界最小値を0.8に設定したものである。
【0026】
したがって、100km/hで走行中に、ステアリングを急操作し、操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6が大きくなって、そのソレノイド電流指令値I6が選択されたとき、60km/hで走行しているときと同じような安全性・安定性で操舵できることになる。
【0027】
また、上記のようにして選択されたソレノイド電流指令値I5あるいはソレノイド電流指令値I6には、スタンバイ用電流指令値Iを加算する。
このスタンバイ用電流指令は、常に、所定の電流が可変オリフィスaのソレノイドSOLに供給されるようにするためのものである。このようにスタンバイ用電流指令値Iが供給された可変オリフィスaは、操舵角θ、操舵角速度ωおよび車速を基にしたソレノイド電流指令値が、たとえゼロだったとしても、その開度を一定に保つとともに、一定のスタンバイ流量QSを確保する。
【0028】
ただし、省エネという観点からすると、パワーシリンダ8およびステアリングバルブ9側の必要流量QMがゼロなら、流量制御弁Vの制御流量QPもゼロにするのが理想的であるが、その理由は次のとおりである。制御流量QPをゼロにするということは、ポンプPの全吐出量をタンクポート11からポンプPまたはタンクTに還流させることを意味する。そして、タンクポート11からポンプPまたはタンクTに還流する流路は、本体B内にあって非常に短いので、その圧力損失がほとんどない。圧力損失がほとんどないので、ポンプPの駆動トルクも最少に抑えられ、その分、省エネにつながることになる。
このような意味から、必要流量QMがゼロのときに、制御流量QPもゼロにするのが、省エネという観点からは、絶対に有利になる。
【0029】
それにもかかわらず、必要流量QMがゼロでもスタンバイ流量QSを確保したのは、次の3つの理由からである。
(1)装置の焼き付き防止
ある程度の油を装置に循環させておいた方が、その油による冷却効果が期待できるが、スタンバイ流量QSはこの冷却機能を果たすことになる。
【0030】
(2)キックバック等の外乱やセルフアライニングトルクに対抗
タイヤに外乱やセルフアライニングトルク等による抗力が作用すると、それがパワーシリンダ8のロッドに作用する。もし、スタンバイ流量QSを確保しておかなければ、この外乱やセルフアライニングトルクによる抗力で、タイヤがふらついてしまう。しかし、スタンバイ流量QSを確保しておけば、たとえ上記抗力が作用したとしても、タイヤがふらついたりしない。すなわち、上記パワーシリンダ8のロッドには、ステアリングバルブ9を切り換えるためのピニオン等がかみ合っているので、上記抗力が作用すると、ステアリングバルブも切り換わって、その抗力に対抗する方向にスタンバイ流量QSを供給することになる。したがって、スタンバイ流量QSを確保しておけば、上記キックバックによる外乱や、セルフアライニングトルクに対抗できることになる。
【0031】
(3)応答性の確保
例えば、スタンバイ流量QSを確保しておけば、それが全然ないときよりも、目的の制御流量QPに到達する時間が短くてすむ。この時間差が応答性になるので、結局、スタンバイ流量QSを確保した方が、応答性を向上させることができる。
【0032】
次に、この従来例の作用を説明する。
車両の走行中には、操舵角θによるソレノイド電流指令値I1と操舵角用電流指令値I3との乗算値である操舵角系のソレノイド電流指令値I5が出力される。これとともに、操舵角速度ωによるソレノイド電流指令値I2が、舵角速度用電流指令値I4を限界値として、操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6が出力される。
【0033】
そして、操舵角系のソレノイド電流指令値I5と操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6との大小が判定されるとともに、その大きい方のソレノイド電流指令値I5あるいはソレノイド電流指令値I6に、スタンバイ用電流指令値Iが加算され、そのときのソレノイドSOLの励磁電流が決められる。
このソレノイドSOLの励磁電流は、車両の高速走行時には、主に操舵角系のソレノイド電流指令値I5が基準となり、車両の低速走行時には、主に操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6が基準となる。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなパワーステアリング装置において、より一層の省エネを図ろうとしたとき、不感帯の設定値を大きくすることが考えられる。すなわち、ステアリング操作されてから、ソレノイド電流指令値I1が出力されるまでの、このソレノイド電流指令値I1がゼロの時間を長くする。この長くした分だけ、省エネが可能になる。
しかし、このソレノイド電流指令値I1がゼロの時間を長くして、不感帯の設定値を大きくすると、特に低速走行時において、不感帯からこれを抜けたときの操舵感に違和感を覚えるという問題が生じる。
【0035】
すなわち、ステアリングホィールを操作しても、その操舵角θが不感帯にあるときには、アシスト力が発揮されていないのでステアリングホィールが重い。そして、不感帯を抜けるとアシスト力が発揮されるので、ステアリングホィールが軽くなる。
このようにステアリングホィールが重くなったり、軽くなったりすると、ドライバーは操舵中に、ステアリングホィールが引っかかるような違和感を覚える。
しかし、このステアリング操作時の違和感を解消しようとして、不感帯の設定値を小さくすると、高速走行時に危険である。なぜなら、不感帯の設定値が小さいと、わずかにステアリング操作しただけでもアシスト力が付与されるので、車体が急旋回してしまうからである。
このように、従来のパワーステアリング装置では、不感帯の設定値を固定値にしていたので、この設定値を大きくすれば低速時に、小さくすれば高速時に、それぞれ問題が生じていた。
【0036】
この発明の目的は、高速走行時には省エネ効果を発揮して、しかも低速走行時にはステアリングホィールを快適に操舵することができるパワーステアリング装置を提供することである。
【0037】
【課題を解決するための手段】
この発明は、本体にスプールを組み込み、このスプールの一端を、ポンプポートに常時連通する一方のパイロット室に臨ませ、スプールの他端を、スプリングを介在させた他方のパイロット室に臨ませ、上記一方のパイロット室の下流側にオリフィスを設け、このオリフィスを介してパワーシリンダを制御するステアリングバルブに圧油を導く一方、上記オリフィスの上流側の圧力を上記一方のパイロット室のパイロット圧とし、下流側の圧力を上記他方のパイロット室のパイロット圧とし、両パイロット室の圧力バランスでスプールの移動位置を制御するとともに、その移動位置に応じて、ポンプの吐出量を上記ステアリングバルブ側に導く制御流量QPと、タンクまたはポンプに還流させる戻り流量QTとに分配するとともに、上記オリフィスは、ソレノイドの励磁電流に応じて開度を制御する可変オリフィスとするとともに、この可変オリフィスのソレノイドの励磁電流を制御するコントローラを設け、かつ、このコントローラには舵角センサーを接続し、この舵角センサーからの操舵角に応じた操舵角θと操舵角速度ωとを演算または記憶する一方、コントローラはこれら操舵角θに応じたソレノイド電流指令値I1および操舵角速度ωに応じたソレノイド電流指令値I2を記憶または演算するとともに、操舵角θに応じたソレノイド電流指令値I1と車速に応じた操舵角用電流指令値I3とを乗算する一方、操舵角速度ωに応じた上記ソレノイド電流指令値I2は、車速信号に応じた操舵角速度用電流指令値I4を限界値とし、しかも、ソレノイド電流指令値I1と操舵角用電流指令値I3との乗算値であるソレノイド電流指令値I5と、ソレノイド電流指令値I2が操舵角速度用電流指令値I4を限界値とした値であるソレノイド電流指令値I6との大小を判定し、その大きい方の電流指令値を基に可変オリフィスのソレノイドの励磁電流を制御して、かつ、操舵角θが設定値以下のときには、ソレノイド電流指令値I1の出力をゼロにする不感帯を設ける構成にしたパワーステアリング装置において、上記コントローラは、車速に応じて、上記不感帯の設定値を変更する構成にしたことを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】
図1に示したのは、この発明の一実施形態であり、車速に応じてソレノイド電流指令値I1の不感帯設定値を調節することを特徴とする。この特徴以外については、従来例と同様である。従来例と同様の構成要素については、従来例と同じ符を用いて説明する。
【0039】
この一実施形態において、コントローラCには、操舵角センサー16からの操舵角信号と車速センサー17からの車速信号と入力する。そして、コントローラCは、操舵角信号から操舵角θと操舵角速度ωとを演算する。
さらに、コントローラCは、上記車速信号と操舵角θによって、不感帯の設定値を演算する。そして、車速が遅いとき、ソレノイド電流指令値I1の不感帯を小さく設定し、車速が速いとき、上記不感帯を大きく設定するようにしている。
【0040】
すなわち、図1に示したように、車速が低速の1であるとき、不感帯を不感帯設定値A1に設定する。この不感帯設定値A1というのは、操舵角θがθ1に達したときソレノイド電流指令値I1のゼロ設定を解除するものである。また、操舵角θ1とは、非常に小さい角度であり、中立位置からわずかにステアリング操作をしたときである。
したがって、車速が遅いときには、ステアリング操作をしたらすぐにアシスト力が付与されるようにしている。
【0041】
また、車速が高速の2であるとき、不感帯を不感帯設定値A2に設定する。この不感帯設定値A2というのは、操舵角θがθ2に達したときソレノイド電流指令値I1のゼロ設定を解除するものである。上記操舵角θ2とは、比較的大きな角度であり、中立位置から大きくステアリング操作をしないと、操舵角θ2には達しないようにしている。
したがって、車速が速いときには、急にアシスト力が付与されることがなく、十分にその安全性を保つことができる。
また、上記ソレノイド電流指令値I1の基準となる操舵角θの値は、車速に応じてリニアに切り換わるようにしている。
【0042】
また、ソレノイド電流指令値I1によって、操舵角用電流指令値I3との乗算値である操舵角系のソレノイド電流指令値I5が出力されること、従来と同様である。さらに、操舵角速度ωによるソレノイド電流指令値I2が、操舵角速度用電流指令値I4を限界値として、操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6が出力される。
そして、操舵角系のソレノイド電流指令値I5と操舵角速度系のソレノイド電流指令値I6との大小が判定されるとともに、その大きい方のソレノイド電流指令値I5あるいはソレノイド電流指令値I6に、スタンバイ用電流指令値Iが加算され、そのときのソレノイドSOLの励磁電流が決められる。そして、このソレノイドSOLの励磁電流をコントローラCで制御している。
【0043】
上記のような実施形態において、車速に応じて不感帯の設定値を調節することができる。すなわち、低速で走行しているときには、ステアリングをわずかに切ったときにも、アシスト力が付与される。したがって、ステアリングが重い状態から軽い状態に切り換わるときの、違和感がなくなる。
しかも、高速で走行しているときには、ステアリングをある程度切らなければアシスト力が付与されない。したがって、このアシスト力が付与されるまでの不感帯の分だけ省エネが可能となる。
【0044】
【発明の効果】
この発明によれば、車速に応じて不感帯の設定値を調節することができるので、低速時におけるステアリング操作の違和感をドライバーに与えることなく、高速時には、省エネを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明のコントローラCの制御システムを示した図である。
【図2】従来のパワーステアリング装置の全体図である。
【図3】従来のコントローラCの制御システムを示した図である。
【符号の説明】
A1 操舵角θがθ1に達したときソレノイド電流指令値I1のゼロ設定を解除する不感帯設定値
A2 操舵角θがθ2に達したときソレノイド電流指令値I1のゼロ設定を解除する不感帯設定値
I1 舵角θによるソレノイド電流指令値
I2 舵角速度ωによるソレノイド電流指令値
I3 操舵角用電流指令値
I4 舵角速度電流指令値
I5 ソレノイド電流指令値I1と操舵角用電流指令値I3との乗算値であるソレノ イド電流指令値
I6 ソレノイド電流指令値I2が操舵角速度用電流指令値I4を限界値として出力するソレノイド電流指令値
QP 制御流量
QT 戻り流量
QS スタンバイ流量
B 本体
1 スプール
2 一方のパイロット室
3 他方のパイロット室
4 ポンプポート
P ポンプ
SOL ソレノイド
a 可変オリフィス
8 パワーシリンダ
9 ステアリングバルブ
コントローラ
16 操舵角センサー
17 車速センサー
T タンク

Claims (2)

  1. 本体にスプールを組み込み、このスプールの一端を、ポンプポートに常時連通する一方のパイロット室に臨ませ、スプールの他端を、スプリングを介在させた他方のパイロット室に臨ませ、上記一方のパイロット室の下流側にオリフィスを設け、このオリフィスを介してパワーシリンダを制御するステアリングバルブに圧油を導く一方、上記オリフィスの上流側の圧力を上記一方のパイロット室のパイロット圧とし、下流側の圧力を上記他方のパイロット室のパイロット圧とし、両パイロット室の圧力バランスでスプールの移動位置を制御するとともに、その移動位置に応じて、ポンプの吐出量を上記ステアリングバルブ側に導く制御流量QPと、タンクまたはポンプに還流させる戻り流量QTとに分配するとともに、上記オリフィスは、ソレノイドの励磁電流に応じて開度を制御する可変オリフィスとするとともに、この可変オリフィスのソレノイドの励磁電流を制御するコントローラを設け、かつ、このコントローラには舵角センサーを接続し、この舵角センサーからの信号に応じた操舵角θと操舵角速度ωとを演算または記憶する一方、コントローラはこれら操舵角θに応じたソレノイド電流指令値I1および操舵角速度ωに応じたソレノイド電流指令値I2を記憶または演算するとともに、操舵角θに応じたソレノイド電流指令値I1と車速に応じた操舵角用電流指令値I3とを乗算する一方、操舵角速度ωに応じた上記ソレノイド電流指令値I2は、車速信号に応じた操舵角速度用電流指令値I4を限界値とし、しかも、ソレノイド電流指令値I1と操舵角用電流指令値I3との乗算値であるソレノイド電流指令値I5と、ソレノイド電流指令値I2が操舵角速度用電流指令値I4を限界値とした値であるソレノイド電流指令値I6との大小を判定し、その大きい方の電流指令値を基に可変オリフィスのソレノイドの励磁電流を制御して、かつ、操舵角θが設定値以下のときには、ソレノイド電流指令値I1の出力をゼロにする不感帯を設ける構成にしたパワーステアリング装置において、上記コントローラは、車速に応じて、上記不感帯の設定値を変更する構成にしたパワーステアリング装置。
  2. 上記ソレノイド電流指令値I5とソレノイド電流指令値I6との大きい方の電流指令値に、スタンバイ用のソレノイド電流指令値I7を加算する構成にした請求項1記載のパワーステアリング装置。
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