JP3551279B2 - 低温用光触媒装置付き物品および低温用照明装置付き物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光ランプの光を利用する光触媒体を有する低温用光触媒装置付き物品および低温用照明装置付き物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
光触媒作用を利用した装置は、例えば特公平6−44976号公報に記載されたものが知られている。この装置は脱臭装置であり、主に紫外線を放射する放電ランプと光触媒体とから構成されている。光触媒体は、例えば酸化チタン等を基体上に膜形成したものであり、放電ランプから放射された紫外線が照射されると、光触媒体が活性化されてその表面は酸化分解力を生じ、表面に付着する有機物等を分解する。この光触媒体に窒素化合物や硫黄化合物等の臭気を含む空気を送風する送風機を設けることにより、臭気が効果的に分解されるので雰囲気中の脱臭を行うことができる。紫外線を放射する放電ランプとしては、殺菌ランプや水銀ランプ等の水銀が封入された放電ランプが用いられている。この放電ランプは、主に水銀が放射する波長254nmの紫外線が利用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記放電ランプの発光効率は水銀蒸気圧に依存するが、この蒸気圧は周囲温度によって変化する。周囲温度が低温になると水銀蒸気圧も低下するので、光束が低下するとともに光束立上がりが遅くなってしまう。したがって、従来の脱臭装置は、冷蔵庫内や冬季の低温状態では、十分な脱臭効果が得られなという問題がある。
【0004】
また、水銀が放射する波長254nmの紫外線は、皮膚や目等の人体に及ぼす影響が大きく、また樹脂材料等が変色ないし劣化しやすいので、こうした紫外線が人体や周辺物体に照射される環境に使用することは好ましくない。したがって、装置の使用形態を制限したり、装置からこうした紫外線が漏れないようにカバー等の特別な構造を用いなければならない。
【0005】
本発明は、低温雰囲気でも効果的に光触媒作用を得ることができる蛍光ランプを備えた低温用光触媒装置付き物品および低温用照明装置付き物品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の低温用光触媒装置付き物品は、透光性気密容器、前記容器内に封入されたキセノンを主体とした希ガスを含む放電媒体、前記容器内に放電を生起させる手段および前記容器内面に形成され、希ガスが放射する紫外線によって励起されて少なくとも300〜400nmの波長帯域内の紫外線を発光する蛍光体層を有し、5℃以下の低温雰囲気で少なくとも300〜400nmの波長帯域内の紫外線を放射する蛍光ランプと、この蛍光ランプが配設された装置本体と、蛍光ランプを点灯させる点灯装置と、蛍光ランプからの光が照射されて光触媒作用が行われるように光学的に対向して装置本体に配設された光触媒体とを有する光触媒装置と;光触媒装置が配設された物品本体と;本体内を5℃以下の低温雰囲気を形成する冷却手段と;を具備していることを特徴とする。
【0007】
本請求項および以下の請求項において、透光性気密容器は、ソーダライムガラス、石英ガラスおよびセラミックス等の透光性材料で形成され、内部に放電空間が形成される。一般的なソーダライムガラスやほう珪酸ガラスの一種等は300nm未満の波長の紫外線が透過しない。このため、このガラスを容器の材料に用いると、人体や周辺物体へおよぼす影響の大きい紫外線が透過しないので、好ましい。
【0008】
放電媒体は、キセノンを主体とした希ガスを含んだものであり、キセノン以外の希ガスとしてアルゴンやクリプトン等を含んでいてもよい。
【0009】
放電を生起させる手段としては、容器内に配設される熱陰極形または冷陰極形の内部電極や、容器外に配設される外部電極、高周波電磁界を印加して無電極放電を行わせるための励起コイル等を用いることができる。
【0010】
蛍光体層は、希ガスが放射する紫外線、例えばキセノンが放射する波長147nmおよび190nmの輝線の紫外線によって励起されて少なくとも300〜400nmの波長帯域内の紫外線を発光するものであればよく、発光中に大部分ないし一部分可視光線を含んでいてもよい。したがって、既知の蛍光体を単体または混合して用いることができる。
【0011】
次に、作用について説明する。本発明の蛍光ランプが点灯すると、希ガス中のキセノンガス放電により、波長147nmおよび190nmの紫外線が発生する。この紫外線が蛍光体層に入射すると、蛍光体は励起されて少なくとも300〜400nmの波長帯域内の紫外線が蛍光体層から放射される。さらに、この紫外線は容器を透過して蛍光ランプの外部に放射される。したがって、蛍光ランプの発する光のうち少なくとも一部帯域の紫外線が照射されるような光学的な関係に光触媒体を配設しておけば、光触媒体を活性化することができる。活性化した光触媒体により、既知の脱臭、防汚等の作用を行わせることができる。また、この紫外線には波長300nm未満の紫外線はほとんど含まれていないので、人体や周辺物体に及ぼす影響が極めて少ない。
【0012】
ところで、本発明の蛍光ランプは放電媒体の少なくとも一部がキセノンガスで構成されており、キセノンガスは低温でもその圧力変化が少ないから、放電によって発生する紫外線量も変化が少ないし、また放電の立上がりも早い。
【0013】
請求項2は、請求項1記載の低温用光触媒装置付き物品において、蛍光体層は、一般式YPO4:Ce,Ce(Mg,Ba)Al11O19,LaPO4:CeおよびBaSi2O5:Pbで表される蛍光体のうち少なくとも1種を含んで構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3は、請求項1または2記載の低温用光触媒装置付き物品において、蛍光体層は、希ガスが放射する紫外線によって励起されて可視光線を発光する蛍光体を含んでいることを特徴とする。
【0015】
本請求項において、蛍光体層は、希ガスが放射する紫外線、例えばキセノンが放射するの147nmおよび172nmの輝線の紫外線によって励起されて可視光線を発光する蛍光体と、300〜400nmの波長帯域内の紫外線を発光する蛍光体とを混合または2層状に分けて形成されている。この蛍光体としては、例えば、一般式Y3(Al,Ga)5O18、Y2SiO5:Ce、BaAl12O19:Mn、Y3Al5O12:Ceで表される蛍光体が適用可能であるが、これらに限定されない。また、蛍光体層は、希ガスが放射する紫外線によって励起されて可視光線および紫外線を発光する1種類の蛍光体で構成されもよい。
【0016】
請求項4は、請求項1ないし3のいずれか一記載の低温用光触媒装置付き物品において、放電媒体は水銀を含み、蛍光体層は水銀が放射する紫外線によって励起されて発光する蛍光体を含んでいることを特徴とする。
【0017】
水銀は、所定圧の希ガスとともに所定量容器に封入される。
【0018】
また、水銀が放射する254nmの輝線の紫外線によって励起される周知の蛍光体を蛍光体層に混合または2層状に分けて形成してもよい。
【0019】
この蛍光ランプは、低温時には希ガスの放電を主体として紫外線を放射するとともに、常温時には水銀の放電を主体として紫外線を放射する。
【0020】
また、水銀が放射する365nmの輝線の紫外線が放射されるので、この紫外線が光触媒作用に利用できる。
【0021】
蛍光ランプの容器外面には光触媒膜が形成されていてもよい。
【0022】
光触媒膜は、300〜400nmの波長帯域内の紫外線を吸収して、光触媒作用を有する金属酸化物等からなる半導体であり、透光性を有している。光触媒膜は、主に酸化チタン(TiO2)を主体として形成されるが、この他に、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(Ce2O3)、酸化テルビウム(Tb2O3)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化エルピウム(Er2O3)等が適用可能である。なお、酸化チタンを用いるときは、アナターゼ結晶を用いるのが望ましい。
【0023】
光触媒膜は、金属酸化物ゾル液をディップ法で形成し、乾燥、焼成して膜形成する方法や、金属酸化物微粒子をバインダー溶液に分散させて塗布、乾燥させて膜形成する方法等で得ることができる。
【0024】
この光触媒膜は、300〜400nmの波長帯域内の紫外線が照射されると、表面に強い酸化分解力を持つように作用し、表面に付着した臭気等の有害物質や有機物質を分解する。
【0026】
光触媒体は、蛍光ランプの光が照射される基体表面に光触媒膜が形成されたもので、この基体はアルミニウム、鉄等の金属、ガラス、セラミックス、樹脂等から形成される。また、光触媒体の形状は、板状、球状、ハニカム構造を有する形状または粒状等任意である。また、基体表面に酸化珪素や酸化アルミニウム等から形成されるアンダーコート層を形成し、このアンダーコート層上に光触媒膜を形成するようにしてもよい。
【0027】
また、光触媒体は、ガラスビーズ、ガラスウール、活性炭粉末、銅粉またはアルミナ粒子等からなる基体に光触媒作用を有する酸化チタン等の金属酸化物を担持させて構成してもよい。ガラスビーズ、アルミナ粒子の平均粒径は、数mm〜数μmのものが適用可能である。
【0029】
装置本体に、光触媒体に臭気を含んだ空気を送風する送風機を配設すれば、脱臭等の作用を一層効率的にすることができる。
【0030】
請求項5の低温用照明装置付き物品は、透光性気密容器、前記容器内に封入されたキセノンを主体とした希ガスを含む放電媒体、前記容器内に放電を生起させる手段および前記容器内面に形成され、希ガスが放射する紫外線によって励起されて少なくとも300〜400nmの波長帯域内の紫外線を発光しかつ可視光線を発光する蛍光体層を有し、5℃以下の低温雰囲気で少なくとも300〜400nmの波長帯域内の紫外線を放射する蛍光ランプと、この蛍光ランプが配設された器具本体と、蛍光ランプを点灯させる点灯装置と、蛍光ランプからの光が照射されるように器具本体に配設された光触媒体とを有する照明装置と;照明装置が配設された本体と;本体内を5℃以下の低温雰囲気を形成する冷却手段と;を具備していることを特徴とする。
【0031】
器具本体は、ソケットおよびスイッチ手段の他に、セード、グローブ、ルーバまたはプリズムカバー等の制光体や、反射体、透光カバー等の部品も含まれるものであり、蛍光ランプの光が照射される部品の部位であれば光触媒膜を設けることで光触媒体を形成することもできる。この場合、脱臭およびまたは防汚の作用を有する。
【0034】
冷却手段を有する物品としては、冷蔵庫、冷凍庫、車輌および船舶等の輸送体、エアコンディショナー等が含まれ、一般的な物品の定義に含まれないが、本発明では冷凍倉庫および冷蔵倉庫等の建造物も含まれる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0036】
図1は、本発明の蛍光ランプ装置の第1実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は(A)のb−b線概略断面図、(c)は(b)の要部拡大断面図である。
【0037】
1は光触媒体、2蛍光ランプである。蛍光ランプ2は、U字形の透光性気密容器2a、容器内2a壁面に形成された例えばYPO4:Ceからなる紫外線用蛍光体層2b、希ガスを主体とした放電媒体、容器2aの両端側に配設された筒形のニッケル電極からなる放電を生起させる手段としての電極手段(図示しない)から構成されている。この構成は冷陰極形の蛍光ランプである。また、放電媒体の希ガスとして、キセノンガスが約9300Pa封入さている。容器2aは、U字型に曲成加工されており、直径8mm、全長100mmの寸法を有している。
【0038】
3は蛍光ランプ装置3であり、光触媒体1と蛍光ランプ2から構成される。
【0039】
光触媒体1は支持体1aの表面ほぼ全体に亘って、平均粒径約0.04μmのTiO2を主体とした微粒子を約20g被着することによって光触媒膜1bを形成している。
【0040】
次に、光触媒体1の形成方法について説明する。まず、テトライソプロピルチタネートモノマーをグリセリンおよびアセチルアセトンでキレート化したもの、およびガラス質形成剤(P2O5)を、酢酸エチル−エタノール系混合溶媒に加えて溶液化した後、この混合溶液中に、平均粒径7mm、比表面積300m2/gのアナターゼ結晶型のTiO2超微粒子を分散・懸濁させて、懸濁液を調製する。この懸濁液を、予め用意しておいた断面略X字型のセラミックス製または金属製支持体1a面に塗布し、150℃×30分間焼成処理を施して、アナターゼ結晶型のTiO2微粒子を主体とする光触媒膜1bが形成される。
【0041】
蛍光ランプ装置3は、その一部をなす蛍光ランプ2に、図示してないパルス点灯のインバータを介して、約5mA(実行値)の電流を流したとき、蛍光ランプ2外周面から2mm離れたところでの紫外線強度が約0.4mW/cm2であった。 図2は、蛍光ランプ装置3の殺菌効果を評価した結果を示すグラフである。測定は、大腸菌のコローニを蛍光ランプ装置3の周囲に撒いて、点灯・照射時間(分)と生菌数の数とを調べた。その結果、図2に示すような滅菌傾向が確認された。縦軸は生菌数[cm−2]、横軸は照射時間である。
【0042】
図3および図4は、蛍光ランプ装置3の他の変形例の概略断面図である。本変形例は、光触媒体1を断面C形にして、蛍光ランプ2の直管部両側、または光触媒体1を断面E形にして、蛍光ランプ2の直管部に平行的にそれぞ配置した構成である。
【0043】
なお、蛍光ランプ2は、曲成部のほぼ中央を境界にして両直管と内壁面の蛍光体層2bを、一般的な白色蛍光体とYPO4:Ce、Ce(Mg,Ba)Al11O19、LaPO4:CeおよびBaSi2O5Pbで示される少なくとも1種を主体とした蛍光体で塗り分けた構成としてもよい。
【0044】
図5は、本発明の蛍光ランプの第2実施形態の蛍光ランプを示し、(a)は蛍光ランプ2の縦断面図、(b)は一部拡大断面図である。本形態は、第1実施形態と同寸法の蛍光ランプ2の外周面に、透光性を有するアナターゼ結晶形のTiO2微粒子を主体とする光触媒膜1bを一体的に形成した構成である。この蛍光ランプ2を、第1実施形態と同様に殺菌効果について評価したところ、同様の結果が得られた。
【0045】
図6は、本発明の蛍光ランプの第3実施形態を示し、(a)は一部を拡大した縦断面図、(b)は同じく横断面図、(c)は光触媒作用を有する微粒子の概念図である。
【0046】
まず、平均粒径7nm、比表面積300mm/gのアナターゼ結晶形のTiO2超微粒子および活性炭微粒子を分散・懸濁させて、懸濁液を調製した。この懸濁液を、第1実施形態と同様の蛍光ランプ2の容器2a外面に塗布し、150℃×30分間乾燥処理を施して、活性炭微粒子1b1を含有するアナターゼ結晶形のTiO2微粒子1b2系の光触媒膜1′を作成した。なお、光触媒膜1′においては、図6(c)に示すように、活性炭微粒子1b1表面に、アナターゼ結晶形のTiO2微粒子1b2が付着した状態で混在している。
【0047】
この蛍光ランプ2の点灯状態で、長期間に亘って消臭作用を試験評価したところ、活性炭の消臭作用または脱臭作用と相俟って、消臭効果の向上が認められた。また、この過程において、たとえばTiO2微粒子1b2に対して、微粒子1b1を1:2の割合で混在させた場合、活性炭自体も常に活性化されて半永久的に、良好な消臭機能を呈することが確認された。
【0048】
図7は支持体の変形例を示す一部拡大図である。支持体1a′は、円板状ハニ力ム構造体を使用しており、光触媒作用面がより広く確保されるため、殺菌、消臭作用、有機物の酸化分解作用等がさらに助長される。この支持体1a′に、第3実施形態の光触媒膜のような活性炭微粒子1b1表面にアナターゼ結晶形のTiO2微粒子1b2が付着した光触媒膜1′を形成してもよい。
【0049】
図8は、本発明の蛍光ランプの第4実施形態を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)を一部拡大した断面図である。
【0050】
まず、平均粒径7nm、比表面積300mm2/gのアナターゼ結晶形のTiO2超微粒子および平均粒径1mmのガラスビーズ粒子(光散乱剤)を分散・懸濁させて、懸濁液を調製した。ここで、懸濁液中のTiO2超微粒子とガラスビーズ粒子との割合は、1:0.1である。
【0051】
次に、第1実施形態と同様の蛍光ランプ2の容器2a外周面に、懸濁液を塗布・乾燥、焼成して、ガラスビーズ粒子1b3を含有するTiO2超微粒子1b2系の光触媒膜1″が形成する。
【0052】
図9は、蛍光ランプ2の殺菌効果を評価した結果を示すグラフである。測定は、蛍光ランプ2を、第1実施形態と同様に殺菌効果について評価した。図9に示すように、本実施形態においても光触媒作用について良好な結果が得られた。
【0053】
図10は、本発明の蛍光ランプ装置の第5実施形態を示す正面図である。
【0054】
この蛍光ランプ装置3は、断面X字形の光触媒体1、この光触媒体1が直管部間に配設されるU字形蛍光ランプ2、安定器等の点灯装置4、ソケット部5から構成されている。
【0055】
この蛍光ランプ装置3を冷蔵庫内に設置して、その殺菌、消臭効果を試験したところ、4℃程度の低温でも所要の照明用光源として機能するとともに、第1および第3実施形態と同様の結果が得られた。
【0056】
さらに、蛍光ランプ装置3の蛍光ランプ2に、図5、図6および図8にそれぞれ例示する光触媒膜1′,1″を形成しても同様な作用効果が認められた。
【0057】
図11は、本発明の照明装置の第6実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。
【0058】
容器2aは、直径6mm、全長200mmの寸法を有している。6はアルミニウム系反射板を有する装置本体、1aはアルミニウム系反射板の反射内壁面に配設された比表面積を大きくしたハニカム構造体、たとえばセラミックス製で厚さ方向に貫通孔が設けられた断面C字形の曲成板であり、この曲成板の貫通孔内壁面を含む全面に、平均粒径0.04μmのTiO2超微粒子を塗布、焼成して光触媒膜1bを担持させている。
【0059】
容器2a内壁面には、BaSi2O5:Pb、YPO4:Ce、Ce(Mg,Ba)Al11O19、LaPO4:Ce、(Ca,Zn)3(PO4)2:TlまたはSrB4O7:Euの紫外線用蛍光体層が設けられる。また、放電媒体としてキセノンガス(希ガス)が約3990Pa封入またはキセノンガス約3990Paと所定量の水銀とが封入される。 蛍光ランプ2の光出力を、各蛍光体および放電媒体毎に測定した結果を表1に示す。なお、相対光出力(%)は、SrB4O7:Euを蛍光体層とし、希ガス−水銀を封入した蛍光ランプの光出力を基準(100%)としたものである。
【0060】
【表1】
BaSi2O5:Pbを蛍光体層とし、希ガスを封入した蛍光ランプの光出力は、当初43.3%で大きいが点灯中での劣化が大きく、光出力および寿命特性の点で、YPO4:Ce、Ce(Mg,Ba)Al11O19、LaPO4:Ceを蛍光体層として備えた場合が好ましい。
【0061】
図12はこの照明装置の脱臭効果について評価した結果を示すグラフである。照明装置を−5℃の冷蔵室内に設置し、パルス点灯方式または交流を整流した回路を用いて点灯し、玉葱の臭気物質であるメチルカプタン10ppmの濃度変化から脱臭効果を試験した。また、比較例として、放電媒体を水銀−アルゴン系とした蛍光ランプを用いた他は、同じ構成とした照明装置について、前記と同様の条件で、脱臭効果を試験したところ曲線Aで示すごとくであった。
【0062】
図12の各特性曲線A,aから分かるように、本実施形態の照明装置の場合は、60分後でメチルカプタン濃度が80%も減少していたのに対して、比較例の場合は60分後でメチルカブタン濃度が30%低減しているに過ぎなかった。
【0063】
なお、蛍光ランプ2の蛍光体層をYPO4:Ceで形成する代わりに、Ce(Mg,Ba)Al11O19またはLaPO4:Ce、YPO4:Ce、Ce(Mg,Ba)Al11O19、LaPO4:Ceの2種以上の混合系、またはYPO4:Ce、Ce(Mg,Ba)Al11O19、LaPO4:Ce等を主成分とした混合系の場合でも、希ガスが放射する紫外線で効率よく発光して、光触媒膜を効率よく作用させることが確認された。
【0064】
図13は、本発明の物品の第7の実施形態を示す概念図である。
【0065】
6は冷蔵庫本体で。この本体6には冷蔵室7、コンプレサー等からなる冷却手段8、脱臭装置等の光触媒装置9から構成されている。10は冷蔵庫本体6の開閉扉である。
【0066】
光触媒装置9は、第1実施形態と同様に希ガスが封入された蛍光ランプ9aと光触媒体9bとが配設されている。この光触媒装置9は、冷蔵室7内の空気を光触媒体9bに送風させる通気孔または送風機(図示しない)等の構成を有している。蛍光ランプ9aは、300〜400nmの紫外線とともに可視光線を放射するものでもあってもよく、この場合には庫内灯としても作用する。また、本体6の背面部に形成された通気路出口付近には、冷却手段8で発生した冷気を冷蔵室7内へ循環させる送風機8aが配設されている。
【0067】
こうして、光触媒装置9が冷蔵室7内の臭気を酸化分解して、消臭等の作用を行う。光触媒装置9の蛍光ランプ9aには、希ガスが封入されているので、冷蔵室7内のように5℃以下の低温雰囲気でも光束が低下することなく点灯し、効率的な光触媒作用が行われる。
【0068】
【発明の効果】
本発明の低温用光触媒装置付き物品および低温用照明装置付き物品によれば、人体および周辺物体に及ぼす影響が少なく、かつ低温雰囲気であっても、光触媒作用を得ることができ、低温雰囲気内の脱臭、殺菌等を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光ランプ装置の第1実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は(A)のb−b線概略断面図、(c)は(b)の要部拡大断面図。
【図2】第1の実施形態の殺菌効果を評価した結果を示すグラフ。
【図3】第1の実施形態の他の変形例の概略断面図。
【図4】第1の実施形態の他の変形例の概略断面図。
【図5】本発明の蛍光ランプの第2実施形態を示し、(a)は縦断面図、(b)は一部拡大断面図。
【図6】本発明の蛍光ランプの第3実施形態を示し、(a)は一部を拡大した縦断面図、(b)は同じく横断面図、(c)は光触媒作用を有する微粒子の概念図。
【図7】上記各実施形態の支持体の変形例を示す一部拡大図。
【図8】本発明の蛍光ランプの第4実施形態を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)を一部拡大した断面図。
【図9】第4の実施形態の殺菌効果を評価した結果を示すグラフ。
【図10】本発明の蛍光ランプ装置の第5実施形態を示す正面図。
【図11】本発明の照明装置の第6実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は縦断面図。
【図12】第6の実施形態の脱臭効果について評価した結果を示すグラフ。
【図13】本発明の物品の第7の実施形態を示す概念図。
【符号の説明】
1…光触媒体、
1′,1″,1b…光触媒膜、
2…蛍光ランプ、
2a…蛍光体層、
2b…透光性気密容器、
3…蛍光ランプ装置、
4…点灯装置、
6…装置本体、
7…冷蔵庫としての物品、
9…光触媒装置。
Claims (5)
- 透光性気密容器、前記容器内に封入されたキセノンを主体とした希ガスを含む放電媒体、前記容器内に放電を生起させる手段および前記容器内面に形成され、希ガスが放射する紫外線によって励起されて少なくとも300〜400nmの波長帯域内の紫外線を発光する蛍光体層を有し、5℃以下の低温雰囲気で少なくとも300〜400nmの波長帯域内の紫外線を放射する蛍光ランプと、この蛍光ランプが配設された装置本体と、蛍光ランプを点灯させる点灯装置と、蛍光ランプからの光が照射されて光触媒作用が行われるように光学的に対向して装置本体に配設された光触媒体とを有する光触媒装置と;
光触媒装置が配設された物品本体と;
本体内を5℃以下の低温雰囲気を形成する冷却手段と;
を具備していることを特徴とする低温用光触媒装置付き物品。 - 蛍光ランプの蛍光体層は、一般式YPO4:Ce,Ce(Mg,Ba)Al11O19,LaPO4:CeおよびBaSi2O5:Pbで表される蛍光体のうち少なくとも1種を含んで構成されていることを特徴とする請求項1記載の低温用光触媒装置付き物品。
- 蛍光ランプの蛍光体層は、希ガスが放射する紫外線によって励起されて可視光線を発光する蛍光体を含んでいることを特徴とする請求項1または2記載の低温用光触媒装置付き物品。
- 蛍光ランプの放電媒体は水銀を含み、蛍光体層は水銀が放射する紫外線によって励起されて発光する蛍光体を含んでいることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の蛍光ランプ。
- 透光性気密容器、前記容器内に封入されたキセノンを主体とした希ガスを含む放電媒体、前記容器内に放電を生起させる手段および前記容器内面に形成され、希ガスが放射する紫外線によって励起されて少なくとも300〜400nmの波長帯域内の紫外線を発光しかつ可視光線を発光する蛍光体層を有し、5℃以下の低温雰囲気で少なくとも300〜400nmの波長帯域内の紫外線を放射する蛍光ランプと、この蛍光ランプが配設された器具本体と、蛍光ランプを点灯させる点灯装置と、蛍光ランプからの光が照射されるように器具本体に配設された光触媒体とを有する照明装置と;
照明装置が配設された本体と;
本体内を5℃以下の低温雰囲気を形成する冷却手段と;
を具備していることを特徴とする低温用照明装置付き物品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25415095A JP3551279B2 (ja) | 1995-05-25 | 1995-09-29 | 低温用光触媒装置付き物品および低温用照明装置付き物品 |
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