JP3549824B2 - 射出成形機の制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、成形品としてのディスク基板を成形する射出成形機は、射出装置を備え、該射出装置は、前端に射出ノズルを備えた加熱シリンダ、該加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設されたスクリュー、及び該スクリューを回転させたり、進退させたりする駆動部としての射出シリンダを備える。そして、射出工程において、前記スクリューを前進させ、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた樹脂を前記射出ノズルから射出し、金型装置のキャビティ空間に充填(てん)し、冷却工程において、前記キャビティ空間内の樹脂を冷却し、固化させ、穴開加工を施すことによってディスク基板を成形するようにしている。前記金型装置は、固定金型及び可動金型から成り、型締装置によって前記可動金型を固定金型に対して接離させることにより、金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われる。
【0003】
そして、前記ディスク基板を成形する際に、キャビティ空間内において樹脂を中心から径方向外方に向けて均等に流す必要がある。そのためには、コールドランナ式の1個取りの金型装置を使用するのが好ましいが、1個取りの金型装置を使用すると、生産効率が低くなるだけでなく、ディスク基板のコストが高くなってしまう。
【0004】
そこで、ホットランナ式の多数個取り(2個取り又は4個取り)の金型装置が提供されている。該ホットランナ式の多数個取りの金型装置においては、金型装置に複数のキャビティ空間が形成され、各キャビティ空間に樹脂を供給するための各ランナに加熱手段が配設され、該加熱手段によってランナ内の樹脂を加熱するようにしている。この場合、ランナ内の樹脂を溶融状態に保つことができるので、各キャビティ空間内において樹脂を中心から径方向外方に向けて均等に流すことができる。
【0005】
ところで、キャビティ空間に充填される樹脂の圧力、すなわち、充填圧が高くなると、オーバーパックが発生して固化した後の樹脂に応力が残留したり、固定金型と可動金型との間から樹脂が漏れ出してばりを形成したりして、成形不良が発生してしまう。
【0006】
そこで、射出シリンダ内の油圧を検出し、検出された油圧が閾(しきい)値以上になると、成形不良が発生したと判断し、射出成形機の運転を停止させるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の射出成形機においては、射出ノズルから射出された樹脂は各ランナを通過して各キャビティ空間に充填されるので、例えば、一つのキャビティ空間における充填圧が高くなっても、他のキャビティ空間における充填圧が正常である場合は、射出シリンダ内の油圧が閾値以上にならないことがある。
【0008】
また、一つのキャビティ空間に樹脂が多く充填されるのに伴って、他のキャビティ空間に十分な量の樹脂が充填されない場合も、射出シリンダ内の油圧が閾値以上にならないことがある。
【0009】
その場合、成形不良が発生したと判断することができず、射出成形機の運転を停止させることができない。
【0010】
したがって、そのまま射出成形機の運転が継続されると、各キャビティ空間のディスク基板に成形不良が発生してしまう。
【0011】
本発明は、前記従来の射出成形機の問題点を解決して、成形不良が発生した場合に、成形不良が発生したと確実に判断することができる射出成形機の制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の射出成形機の制御装置においては、射出ノズルから射出された樹脂を複数のキャビティ空間に充填するための複数の樹脂供給系と、前記各キャビティ空間に充填される樹脂の充填圧を検出する充填圧検出手段と、該充填圧検出手段によって検出された充填圧のうちの一つの充填圧が所定の値に到達すると、少なくとも二つの充填圧の差圧を算出し、該差圧が監視設定圧を超えたときにいずれの成形品にも成形不良が発生したと判断する制御部とを有する。
【0014】
本発明の他の射出成形機の制御装置においては、前記差圧は、各充填圧に基づいて連続的に算出される。
【0015】
本発明の更に他の射出成形機の制御装置においては、さらに、前記制御部は、成形不良が発生したときに、射出工程を中止し、他の所定の工程にスキップする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の制御装置を示す機能ブロック図である。
【0018】
図において、51、52は図示されない射出ノズルから射出された樹脂を図示されない複数のキャビティ空間に充填するための複数の樹脂供給系としてのスプルーブッシュ、71、72は前記各キャビティ空間に充填される樹脂の充填圧を検出する充填圧検出手段としての充填圧センサ、73は検出された充填圧のうちの少なくとも二つの充填圧の差圧が監視設定圧を超えたときに成形不良が発生したと判断する制御部としてのCPUである。
【0019】
図2は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の要部を示す断面図、図3は本発明の第1の実施の形態における射出工程が開始されてから保圧工程が完了するまでの充填圧の例を示す図である。なお、図3においては、横軸に時間を、縦軸に充填圧を採ってある。
【0020】
図2において、11は固定側の金型ユニット、12は可動側の金型ユニット、13は固定プラテン、14は固定金型、15は該固定金型14を前記固定プラテン13に取り付けるための金型取付板である。前記固定金型14は、マニホルドプレート16、中間プレート17及び型板18を備える。また、19は前記固定金型14に対向させて進退(図2における左右方向に移動)自在に配設された可動金型であり、該可動金型19は受け板21及び型板22を備える。そして、前記型板22の2箇所に、型板18と対向する面を開口させて凹部23が形成される。前記固定金型14及び可動金型19によって金型装置が構成される。
【0021】
前記可動金型19の後方(図2における左方)には、図示されない可動プラテンが進退自在に配設され、該可動プラテンの更に後方には、図示されない型締装置が配設される。そして、該型締装置を作動させることによって、前記可動プラテンを進退させると、可動金型19が同様に進退させられ、前記金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われ、型締めに伴って前記凹部23によってディスク形状を有する複数の、本実施の形態においては二つのキャビティ空間C1、C2が形成される。
【0022】
また、前記固定プラテン13の後方(図2における右方)には、射出装置が配設される。該射出装置は、前端に射出ノズル26を備えた加熱シリンダ、該加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設された図示されないスクリュー、該スクリューを回転させたり、進退させたりする駆動部としての図示されない射出シリンダを備える。そして、前記スクリューを前進させ、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた樹脂を前記射出ノズル26から射出し、前記キャビティ空間C1、C2に充填し、該キャビティ空間C1、C2内において樹脂を冷却し、固化させ、穴開加工を施すことによって成形品としてのディスク基板を成形するようにしている。
【0023】
そのために、前記固定プラテン13における射出装置と対向する面の中央に、円錐(すい)形の形状を有する凹部24が形成され、該凹部24に、固定プラテン13に対して固定金型14を位置決めするためのロケートリング25が配設される。また、前記マニホルドプレート16内にマニホルド室27が形成され、該マニホルド室27にマニホルド28が断熱状態で配設される。そのために、前記金型取付板15とマニホルド28との間に断熱材から成るスペーサ31、32が、中間プレート17とマニホルド28との間に断熱材から成るスペーサ33が配設され、マニホルド28の周囲に断熱空間が形成される。また、前記マニホルド28の中央に、後方に向けて突出させてブシュ34が形成され、該ブシュ34の後端面(図2における右端面)と射出ノズル26の前端(図2における左端)とが対向させられる。そして、前記マニホルド28内には、前記ブシュ34の後端面に開口するスプルー35、及び該スプルー35と接続され、かつ、スプルー35から離れる方向(図2における上下方向)に延在させて形成されたランナ36、37が形成され、該ランナ36、37の先端は、「L」字状に折り曲げられ、マニホルド28の両端において可動金型19側に向けて開口させられる。なお、前記キャビティ空間C1、C2は、前記スプルー35から等しい距離だけ離れた位置に形成される。
【0024】
前記マニホルド28の両端には、ホットチップ41、42が取り付けられ、該ホットチップ41、42より前方(図2における左方)に、スプルーブッシュ51、52が配設される。そして、前記ホットチップ41、42の前端(図2における左端)にノズル部43、44が形成され、前記スプルーブッシュ51、52は、それぞれ外筒61、62及び内筒45、46から成り、前記ノズル部43、44の前端と前記内筒45、46の後端(図2における右端)とが対向させられる。また、前記ホットチップ41、42内にチップランナ47、48が、内筒45、46内にコールドスプルー49、50が形成され、前記ランナ36、チップランナ47及びコールドスプルー49が連通させられるとともに、前記ランナ37、チップランナ48及びコールドスプルー50が連通させられる。なお、前記マニホルド28、ホットチップ41、42及びスプルーブッシュ51、52によって、射出ノズル26から射出された樹脂を各キャビティ空間C1、C2に充填するための樹脂供給系が構成される。
【0025】
そして、前記スプルーブッシュ51、52の前端はキャビティ空間C1、C2に臨ませて配設され、前端面(図2における左端面)に開口させてダイ53、54が形成される。さらに、前記スプルーブッシュ51、52の前端部(図2における左端部)を包囲して、インナスタンパホルダ55、56が配設される。該インナスタンパホルダ55、56は、中間プレート17及び型板18と螺(ら)合させられ、スタンパ81、82を型板18に押し付ける。
【0026】
前記ランナ36、37を通過する樹脂を加熱して溶融状態を保つために、前記マニホルド28の外周面には第1の加熱手段としてのヒータH1が配設される。また、チップランナ47、48を通過する樹脂を加熱して溶融状態を保つために、前記ホットチップ41に第2の加熱手段としてのヒータH2が、ホットチップ42に第3の加熱手段としてのヒータH3が埋設される。
【0027】
一方、前記可動金型19側において、前記ダイ53、54と対向する部分に、筒状のカットパンチ55、56が進退自在に配設され、該カットパンチ55、56内にスプルーロッド57、58が、前記カットパンチ55、56より径方向外方にエジェクタスリーブ59、60がそれぞれ進退自在に配設される。そして、カットパンチ55、56を進退させるために穴開加工用の図示されない駆動手段が、スプルーロッド57、58及びエジェクタスリーブ59、60を進退させるために突出し用の図示されない駆動手段が配設される。
【0028】
次に、ディスク基板を成形する際の射出成形機の動作について説明する。
【0029】
前記型締装置が駆動され、金型装置の型閉じ及び型締めが行われ、キャビティ空間C1、C2が形成される。続いて、射出装置において射出工程が開始され、スクリューが前進させられ、射出ノズル26から溶融させられた樹脂が射出されると、樹脂はスプルー35を通過した後、ランナ36とランナ37とに分岐させられる。そして、ランナ36を通過した樹脂は、チップランナ47及びコールドスプルー49を通過した後、一方のキャビティ空間C1に充填され、ランナ37を通過した樹脂は、チップランナ48及びコールドスプルー50を通過した後、他方のキャビティ空間C2に充填される。この場合、樹脂は、ランナ36、37及びチップランナ47、48を通過する間加熱されるので、溶融状態が保たれる。したがって、各キャビティ空間C1、C2内において樹脂を中心から径方向外方に向けて均等に流すことができるので、ディスク基板の品質を向上させることができる。
【0030】
次に、射出装置において保圧工程が開始され、前記射出シリンダが駆動されてキャビティ空間C1、C2内の樹脂の圧力が所定の値に保たれる。続いて、金型装置において冷却工程が開始され、キャビティ空間C1、C2内の樹脂が冷却され、固化される。そして、前記保圧工程又は冷却工程において、前記穴開加工用の駆動手段が駆動され、カットパンチ55、56が前進(図2における右方に移動)させられると、カットパンチ55、56の前端(図2における右端)がダイ53、54に嵌(かん)入され、キャビティ空間C1、C2内の樹脂に穴開加工が施される。このようにしてディスク基板が成形される。
【0031】
その後、金型装置の型開きが行われるのに伴って、突出し用の駆動手段が駆動され、スプルーロッド57、58及びエジェクタスリーブ59、60を前進させると、ディスク基板が突き出され、離型させられる。
【0032】
続いて、射出装置において計量工程が開始され、加熱シリンダ内のスクリューが回転させられ、スクリューヘッドの前方に溶融させられた樹脂が蓄えられる。これに伴って、前記スクリューは後退させられる。
【0033】
ところで、射出工程において、各キャビティ空間C1、C2における充填圧P1、P2が高くなると、オーバーパックが発生して固化した後の樹脂に応力が残留したり、固定金型14と可動金型19との間から樹脂が漏れ出してばりを形成したりして、成形不良が発生してしまう。また、各キャビティ空間C1、C2における充填圧P1、P2が低くなると、ディスク基板にひけ、ショート等が形成されて成形不良が発生してしまう。
【0034】
そこで、前記樹脂供給系、本実施の形態においては、スプルーブッシュ51、52に、コールドスプルー49、50に臨ませて充填圧検出手段としての充填圧センサ71、72が配設され、該充填圧センサ71、72はコールドスプルー49、50内の樹脂の圧力をキャビティ空間C1、C2における充填圧P1、P2として検出する。図3において、L1は充填圧P1を示す線、L2は充填圧P2を示す線である。なお、型板18又は型板22に、キャビティ空間C1、C2に臨ませて充填圧センサを配設し、該充填圧センサによって直接キャビティ空間C1、C2内の樹脂の圧力を充填圧P1、P2として検出したり、ホットチップ41、42に、チップランナ47、48に臨ませて充填圧センサを配設し、該充填圧センサによってチップランナ47、48内の樹脂の圧力を充填圧P1、P2として検出したり、マニホルド28に、ランナ36、37に臨ませて充填圧センサを配設し、該充填圧センサによってランナ36、37内の樹脂の圧力を充填圧P1、P2として検出したりすることもできる。
【0035】
そして、前記充填圧センサ71、72によってキャビティ空間C1、C2における充填圧P1、P2が検出されると、検出信号が常時又は所定のタイミングごとに制御部としてのCPU73に送られる。該CPU73の図示されない条件成立判断処理手段は、前記検出信号に基づいて、前記充填圧P1、P2のうちの一つの充填圧が所定の値に到達すると、本実施の形態においては、充填圧P1があらかじめ設定された監視点圧力pa〜pcに到達するたびに、充填圧P1、P2の差圧ΔPa〜ΔPcを算出し、該差圧ΔPa〜ΔPcが第1の監視設定圧ΔPTH1を超えると、射出工程を中止させるための工程中止条件が成立したと判断する。
【0036】
続いて、前記CPU73の図示されない工程スキップ処理手段は、工程中止条件が成立したと判断されると、各キャビティ空間C1、C2において成形不良が発生したと判断し、射出工程が完了する前に射出工程及び保圧工程を中止して、他の所定の工程、本実施の形態においては次の工程にスキップする。すなわち、前記工程スキップ処理手段は、型開きを行い、各キャビティ空間C1、C2内の未完成のディスク基板をいずれも不良品として処理し、計量工程を開始する。また、前記CPU73は、図示されない警告手段によって成形不良が発生した旨を警告する。
【0037】
そして、成形不良が発生したショットが所定の回数だけ続くと、CPU73の図示されない運転停止処理手段は、射出成形機の運転を停止させるとともに、異常が発生したことを図示されない表示手段によって表示する。
【0038】
また、前記条件成立判断処理手段は、前記差圧ΔPa〜ΔPcが第2の監視設定圧ΔPTH2を超えると、射出成形機の運転を停止させるための運転停止条件が成立したと判断する。そして、前記運転停止処理手段は、射出成形機の運転を停止させるとともに、異常が発生したことを前記表示手段によって表示する。
【0039】
なお、前記監視点圧力pa〜pc及び第1の監視設定圧ΔPTH1は、一定の値に固定したり、図示されない設定器によって任意の値に設定したりすることができる。また、本実施の形態においては、充填圧P1があらかじめ設定された監視点圧力pa〜pcに到達するたびに、充填圧P1、P2の差圧ΔPa〜ΔPcを算出するようにしているが、充填圧P2があらかじめ設定された監視点圧力に到達するたびに、充填圧P1、P2の差圧を算出することもできる。そして、本実施の形態においては、二つのキャビティ空間C1、C2における充填圧P1、P2が検出されるようになっているが、3個以上のキャビティ空間を備えた金型装置においては、各キャビティ空間における充填圧が検出され、各充填圧のうちの少なくとも二つの充填圧の差圧が算出される。例えば、各充填圧のうちの一つの充填圧があらかじめ設定された監視点圧力に到達するたびに、前記一つの充填圧と他の各充填圧との各差圧を算出することができる。その場合、該各差圧のうちの最も高い差圧が第1の監視設定圧を超えると、射出工程を中止させるための工程中止条件が成立したと判断される。
【0040】
このように、各キャビティ空間C1、C2における充填圧P1、P2の差圧ΔPa〜ΔPcに基づいて工程中止条件が成立したと判断するようになっているので、例えば、一方のキャビティ空間における充填圧が高い場合には、他方のキャビティ空間における充填圧が正常であり、射出シリンダ内の油圧が閾値以上にならなくても、成形不良が発生したと確実に判断することができる。
【0041】
また、一方のキャビティ空間に樹脂が多く充填されるのに伴って、他方のキャビティ空間に十分な量の樹脂が充填されない場合も、射出シリンダ内の油圧が閾値以上にならないことがあるが、その場合も、成形不良が発生したと確実に判断することができる。
【0042】
したがって、射出工程が中止され、各キャビティ空間C1、C2の未完成のディスク基板がいずれも不良品として処理されるので、良品と不良品とが混在することがなくなる。
【0043】
また、工程中止条件が成立すると、射出工程及び保圧工程が中止されるが、射出成形機の運転は停止させられることなく、次の工程、すなわち、計量工程にスキップするので、射出成形機の運転を継続することができる。したがって、射出成形機の運転効率を向上させることができる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0045】
図4は本発明の第2の実施の形態における射出工程が開始されてから保圧工程が完了するまでの充填圧の例を示す図である。なお、図においては、横軸に時間を、縦軸に充填圧を採ってある。
【0046】
図において、L1は充填圧P1を示す線、L2は充填圧P2を示す線である。この場合、充填圧検出手段としての充填圧センサ71(図1)、72によってキャビティ空間C1(図2)、C2における充填圧P1、P2が検出されると、検出信号が常時又は所定のタイミングごとに連続的に制御部としてのCPU73に送られる。該CPU73の図示されない条件成立判断処理手段は、前記検出信号に基づいて、前記充填圧P1、P2の差圧ΔPを連続的に算出し、該差圧ΔPが第1の監視設定圧ΔPTH11を超えると、射出工程を中止させるための工程中止条件が成立したと判断する。
【0047】
続いて、前記CPU73の図示されない工程スキップ処理手段は、工程中止条件が成立したと判断されると、各キャビティ空間C1、C2において成形不良が発生したと判断し、射出工程が完了する前に射出工程及び保圧工程を中止して、他の所定の工程、本実施の形態においては次の工程にスキップする。すなわち、前記工程スキップ処理手段は、型開きを行い、各キャビティ空間C1、C2内の未完成のディスク基板をいずれも不良品として処理し、計量工程を開始する。また、前記CPU73は、図示されない警告手段によって成形不良が発生した旨を警告する。
【0048】
そして、成形不良が発生したショットが所定の回数だけ続くと、CPU73の図示されない運転停止処理手段は、射出成形機の運転を停止させるとともに、異常が発生したことを図示されない表示手段によって表示する。
【0049】
また、前記条件成立判断処理手段は、前記差圧ΔPが第2の監視設定圧ΔPTH12を超えると、射出成形機の運転を停止させるための運転停止条件が成立したと判断する。そして、前記運転停止処理手段は、射出成形機の運転を停止させるとともに、異常が発生したことを前記表示手段によって表示する。
【0050】
前記各実施の形態においては、ホットランナ式の金型装置に適用した例について説明しているが、コールドランナ式の金型装置に適用することができる。また、前記各実施の形態においては、成形品としてディスク基板を成形するようになっているが、ディスク基板以外のものを成形することもできる。
【0051】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0052】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、射出成形機の制御装置においては、射出ノズルから射出された樹脂を複数のキャビティ空間に充填するための複数の樹脂供給系と、前記各キャビティ空間に充填される樹脂の充填圧を検出する充填圧検出手段と、該充填圧検出手段によって検出された充填圧のうちの一つの充填圧が所定の値に到達すると、少なくとも二つの充填圧の差圧を算出し、該差圧が監視設定圧を超えたときにいずれの成形品にも成形不良が発生したと判断する制御部とを有する。
【0053】
この場合、各充填圧のうちの少なくとも二つの充填圧の差圧が監視設定圧を超えたときに成形不良が発生したと判断するようになっているので、例えば、一つのキャビティ空間における充填圧が高い場合には、他のキャビティ空間における充填圧が正常であり、射出シリンダ内の油圧が閾値以上にならなくても、成形不良が発生したと確実に判断することができる。
【0054】
また、一つのキャビティ空間に樹脂が多く充填されるのに伴って、他のキャビティ空間に十分な量の樹脂が充填されない場合も、射出シリンダ内の油圧が閾値以上にならないことがあるが、その場合も、成形不良が発生したと確実に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の制御装置を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の要部を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における射出工程が開始されてから保圧工程が完了するまでの充填圧の例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における射出工程が開始されてから保圧工程が完了するまでの充填圧の例を示す図である。
【符号の説明】
26 射出ノズル
28 マニホルド
41、42 ホットチップ
51、52 スプルーブッシュ
71、72 充填圧センサ
73 CPU
C1、C2 キャビティ空間
Pa〜Pc 監視点圧力
ΔP、ΔPa〜ΔPc 差圧
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、成形品としてのディスク基板を成形する射出成形機は、射出装置を備え、該射出装置は、前端に射出ノズルを備えた加熱シリンダ、該加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設されたスクリュー、及び該スクリューを回転させたり、進退させたりする駆動部としての射出シリンダを備える。そして、射出工程において、前記スクリューを前進させ、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた樹脂を前記射出ノズルから射出し、金型装置のキャビティ空間に充填(てん)し、冷却工程において、前記キャビティ空間内の樹脂を冷却し、固化させ、穴開加工を施すことによってディスク基板を成形するようにしている。前記金型装置は、固定金型及び可動金型から成り、型締装置によって前記可動金型を固定金型に対して接離させることにより、金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われる。
【0003】
そして、前記ディスク基板を成形する際に、キャビティ空間内において樹脂を中心から径方向外方に向けて均等に流す必要がある。そのためには、コールドランナ式の1個取りの金型装置を使用するのが好ましいが、1個取りの金型装置を使用すると、生産効率が低くなるだけでなく、ディスク基板のコストが高くなってしまう。
【0004】
そこで、ホットランナ式の多数個取り(2個取り又は4個取り)の金型装置が提供されている。該ホットランナ式の多数個取りの金型装置においては、金型装置に複数のキャビティ空間が形成され、各キャビティ空間に樹脂を供給するための各ランナに加熱手段が配設され、該加熱手段によってランナ内の樹脂を加熱するようにしている。この場合、ランナ内の樹脂を溶融状態に保つことができるので、各キャビティ空間内において樹脂を中心から径方向外方に向けて均等に流すことができる。
【0005】
ところで、キャビティ空間に充填される樹脂の圧力、すなわち、充填圧が高くなると、オーバーパックが発生して固化した後の樹脂に応力が残留したり、固定金型と可動金型との間から樹脂が漏れ出してばりを形成したりして、成形不良が発生してしまう。
【0006】
そこで、射出シリンダ内の油圧を検出し、検出された油圧が閾(しきい)値以上になると、成形不良が発生したと判断し、射出成形機の運転を停止させるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の射出成形機においては、射出ノズルから射出された樹脂は各ランナを通過して各キャビティ空間に充填されるので、例えば、一つのキャビティ空間における充填圧が高くなっても、他のキャビティ空間における充填圧が正常である場合は、射出シリンダ内の油圧が閾値以上にならないことがある。
【0008】
また、一つのキャビティ空間に樹脂が多く充填されるのに伴って、他のキャビティ空間に十分な量の樹脂が充填されない場合も、射出シリンダ内の油圧が閾値以上にならないことがある。
【0009】
その場合、成形不良が発生したと判断することができず、射出成形機の運転を停止させることができない。
【0010】
したがって、そのまま射出成形機の運転が継続されると、各キャビティ空間のディスク基板に成形不良が発生してしまう。
【0011】
本発明は、前記従来の射出成形機の問題点を解決して、成形不良が発生した場合に、成形不良が発生したと確実に判断することができる射出成形機の制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の射出成形機の制御装置においては、射出ノズルから射出された樹脂を複数のキャビティ空間に充填するための複数の樹脂供給系と、前記各キャビティ空間に充填される樹脂の充填圧を検出する充填圧検出手段と、該充填圧検出手段によって検出された充填圧のうちの一つの充填圧が所定の値に到達すると、少なくとも二つの充填圧の差圧を算出し、該差圧が監視設定圧を超えたときにいずれの成形品にも成形不良が発生したと判断する制御部とを有する。
【0014】
本発明の他の射出成形機の制御装置においては、前記差圧は、各充填圧に基づいて連続的に算出される。
【0015】
本発明の更に他の射出成形機の制御装置においては、さらに、前記制御部は、成形不良が発生したときに、射出工程を中止し、他の所定の工程にスキップする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の制御装置を示す機能ブロック図である。
【0018】
図において、51、52は図示されない射出ノズルから射出された樹脂を図示されない複数のキャビティ空間に充填するための複数の樹脂供給系としてのスプルーブッシュ、71、72は前記各キャビティ空間に充填される樹脂の充填圧を検出する充填圧検出手段としての充填圧センサ、73は検出された充填圧のうちの少なくとも二つの充填圧の差圧が監視設定圧を超えたときに成形不良が発生したと判断する制御部としてのCPUである。
【0019】
図2は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の要部を示す断面図、図3は本発明の第1の実施の形態における射出工程が開始されてから保圧工程が完了するまでの充填圧の例を示す図である。なお、図3においては、横軸に時間を、縦軸に充填圧を採ってある。
【0020】
図2において、11は固定側の金型ユニット、12は可動側の金型ユニット、13は固定プラテン、14は固定金型、15は該固定金型14を前記固定プラテン13に取り付けるための金型取付板である。前記固定金型14は、マニホルドプレート16、中間プレート17及び型板18を備える。また、19は前記固定金型14に対向させて進退(図2における左右方向に移動)自在に配設された可動金型であり、該可動金型19は受け板21及び型板22を備える。そして、前記型板22の2箇所に、型板18と対向する面を開口させて凹部23が形成される。前記固定金型14及び可動金型19によって金型装置が構成される。
【0021】
前記可動金型19の後方(図2における左方)には、図示されない可動プラテンが進退自在に配設され、該可動プラテンの更に後方には、図示されない型締装置が配設される。そして、該型締装置を作動させることによって、前記可動プラテンを進退させると、可動金型19が同様に進退させられ、前記金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われ、型締めに伴って前記凹部23によってディスク形状を有する複数の、本実施の形態においては二つのキャビティ空間C1、C2が形成される。
【0022】
また、前記固定プラテン13の後方(図2における右方)には、射出装置が配設される。該射出装置は、前端に射出ノズル26を備えた加熱シリンダ、該加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設された図示されないスクリュー、該スクリューを回転させたり、進退させたりする駆動部としての図示されない射出シリンダを備える。そして、前記スクリューを前進させ、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた樹脂を前記射出ノズル26から射出し、前記キャビティ空間C1、C2に充填し、該キャビティ空間C1、C2内において樹脂を冷却し、固化させ、穴開加工を施すことによって成形品としてのディスク基板を成形するようにしている。
【0023】
そのために、前記固定プラテン13における射出装置と対向する面の中央に、円錐(すい)形の形状を有する凹部24が形成され、該凹部24に、固定プラテン13に対して固定金型14を位置決めするためのロケートリング25が配設される。また、前記マニホルドプレート16内にマニホルド室27が形成され、該マニホルド室27にマニホルド28が断熱状態で配設される。そのために、前記金型取付板15とマニホルド28との間に断熱材から成るスペーサ31、32が、中間プレート17とマニホルド28との間に断熱材から成るスペーサ33が配設され、マニホルド28の周囲に断熱空間が形成される。また、前記マニホルド28の中央に、後方に向けて突出させてブシュ34が形成され、該ブシュ34の後端面(図2における右端面)と射出ノズル26の前端(図2における左端)とが対向させられる。そして、前記マニホルド28内には、前記ブシュ34の後端面に開口するスプルー35、及び該スプルー35と接続され、かつ、スプルー35から離れる方向(図2における上下方向)に延在させて形成されたランナ36、37が形成され、該ランナ36、37の先端は、「L」字状に折り曲げられ、マニホルド28の両端において可動金型19側に向けて開口させられる。なお、前記キャビティ空間C1、C2は、前記スプルー35から等しい距離だけ離れた位置に形成される。
【0024】
前記マニホルド28の両端には、ホットチップ41、42が取り付けられ、該ホットチップ41、42より前方(図2における左方)に、スプルーブッシュ51、52が配設される。そして、前記ホットチップ41、42の前端(図2における左端)にノズル部43、44が形成され、前記スプルーブッシュ51、52は、それぞれ外筒61、62及び内筒45、46から成り、前記ノズル部43、44の前端と前記内筒45、46の後端(図2における右端)とが対向させられる。また、前記ホットチップ41、42内にチップランナ47、48が、内筒45、46内にコールドスプルー49、50が形成され、前記ランナ36、チップランナ47及びコールドスプルー49が連通させられるとともに、前記ランナ37、チップランナ48及びコールドスプルー50が連通させられる。なお、前記マニホルド28、ホットチップ41、42及びスプルーブッシュ51、52によって、射出ノズル26から射出された樹脂を各キャビティ空間C1、C2に充填するための樹脂供給系が構成される。
【0025】
そして、前記スプルーブッシュ51、52の前端はキャビティ空間C1、C2に臨ませて配設され、前端面(図2における左端面)に開口させてダイ53、54が形成される。さらに、前記スプルーブッシュ51、52の前端部(図2における左端部)を包囲して、インナスタンパホルダ55、56が配設される。該インナスタンパホルダ55、56は、中間プレート17及び型板18と螺(ら)合させられ、スタンパ81、82を型板18に押し付ける。
【0026】
前記ランナ36、37を通過する樹脂を加熱して溶融状態を保つために、前記マニホルド28の外周面には第1の加熱手段としてのヒータH1が配設される。また、チップランナ47、48を通過する樹脂を加熱して溶融状態を保つために、前記ホットチップ41に第2の加熱手段としてのヒータH2が、ホットチップ42に第3の加熱手段としてのヒータH3が埋設される。
【0027】
一方、前記可動金型19側において、前記ダイ53、54と対向する部分に、筒状のカットパンチ55、56が進退自在に配設され、該カットパンチ55、56内にスプルーロッド57、58が、前記カットパンチ55、56より径方向外方にエジェクタスリーブ59、60がそれぞれ進退自在に配設される。そして、カットパンチ55、56を進退させるために穴開加工用の図示されない駆動手段が、スプルーロッド57、58及びエジェクタスリーブ59、60を進退させるために突出し用の図示されない駆動手段が配設される。
【0028】
次に、ディスク基板を成形する際の射出成形機の動作について説明する。
【0029】
前記型締装置が駆動され、金型装置の型閉じ及び型締めが行われ、キャビティ空間C1、C2が形成される。続いて、射出装置において射出工程が開始され、スクリューが前進させられ、射出ノズル26から溶融させられた樹脂が射出されると、樹脂はスプルー35を通過した後、ランナ36とランナ37とに分岐させられる。そして、ランナ36を通過した樹脂は、チップランナ47及びコールドスプルー49を通過した後、一方のキャビティ空間C1に充填され、ランナ37を通過した樹脂は、チップランナ48及びコールドスプルー50を通過した後、他方のキャビティ空間C2に充填される。この場合、樹脂は、ランナ36、37及びチップランナ47、48を通過する間加熱されるので、溶融状態が保たれる。したがって、各キャビティ空間C1、C2内において樹脂を中心から径方向外方に向けて均等に流すことができるので、ディスク基板の品質を向上させることができる。
【0030】
次に、射出装置において保圧工程が開始され、前記射出シリンダが駆動されてキャビティ空間C1、C2内の樹脂の圧力が所定の値に保たれる。続いて、金型装置において冷却工程が開始され、キャビティ空間C1、C2内の樹脂が冷却され、固化される。そして、前記保圧工程又は冷却工程において、前記穴開加工用の駆動手段が駆動され、カットパンチ55、56が前進(図2における右方に移動)させられると、カットパンチ55、56の前端(図2における右端)がダイ53、54に嵌(かん)入され、キャビティ空間C1、C2内の樹脂に穴開加工が施される。このようにしてディスク基板が成形される。
【0031】
その後、金型装置の型開きが行われるのに伴って、突出し用の駆動手段が駆動され、スプルーロッド57、58及びエジェクタスリーブ59、60を前進させると、ディスク基板が突き出され、離型させられる。
【0032】
続いて、射出装置において計量工程が開始され、加熱シリンダ内のスクリューが回転させられ、スクリューヘッドの前方に溶融させられた樹脂が蓄えられる。これに伴って、前記スクリューは後退させられる。
【0033】
ところで、射出工程において、各キャビティ空間C1、C2における充填圧P1、P2が高くなると、オーバーパックが発生して固化した後の樹脂に応力が残留したり、固定金型14と可動金型19との間から樹脂が漏れ出してばりを形成したりして、成形不良が発生してしまう。また、各キャビティ空間C1、C2における充填圧P1、P2が低くなると、ディスク基板にひけ、ショート等が形成されて成形不良が発生してしまう。
【0034】
そこで、前記樹脂供給系、本実施の形態においては、スプルーブッシュ51、52に、コールドスプルー49、50に臨ませて充填圧検出手段としての充填圧センサ71、72が配設され、該充填圧センサ71、72はコールドスプルー49、50内の樹脂の圧力をキャビティ空間C1、C2における充填圧P1、P2として検出する。図3において、L1は充填圧P1を示す線、L2は充填圧P2を示す線である。なお、型板18又は型板22に、キャビティ空間C1、C2に臨ませて充填圧センサを配設し、該充填圧センサによって直接キャビティ空間C1、C2内の樹脂の圧力を充填圧P1、P2として検出したり、ホットチップ41、42に、チップランナ47、48に臨ませて充填圧センサを配設し、該充填圧センサによってチップランナ47、48内の樹脂の圧力を充填圧P1、P2として検出したり、マニホルド28に、ランナ36、37に臨ませて充填圧センサを配設し、該充填圧センサによってランナ36、37内の樹脂の圧力を充填圧P1、P2として検出したりすることもできる。
【0035】
そして、前記充填圧センサ71、72によってキャビティ空間C1、C2における充填圧P1、P2が検出されると、検出信号が常時又は所定のタイミングごとに制御部としてのCPU73に送られる。該CPU73の図示されない条件成立判断処理手段は、前記検出信号に基づいて、前記充填圧P1、P2のうちの一つの充填圧が所定の値に到達すると、本実施の形態においては、充填圧P1があらかじめ設定された監視点圧力pa〜pcに到達するたびに、充填圧P1、P2の差圧ΔPa〜ΔPcを算出し、該差圧ΔPa〜ΔPcが第1の監視設定圧ΔPTH1を超えると、射出工程を中止させるための工程中止条件が成立したと判断する。
【0036】
続いて、前記CPU73の図示されない工程スキップ処理手段は、工程中止条件が成立したと判断されると、各キャビティ空間C1、C2において成形不良が発生したと判断し、射出工程が完了する前に射出工程及び保圧工程を中止して、他の所定の工程、本実施の形態においては次の工程にスキップする。すなわち、前記工程スキップ処理手段は、型開きを行い、各キャビティ空間C1、C2内の未完成のディスク基板をいずれも不良品として処理し、計量工程を開始する。また、前記CPU73は、図示されない警告手段によって成形不良が発生した旨を警告する。
【0037】
そして、成形不良が発生したショットが所定の回数だけ続くと、CPU73の図示されない運転停止処理手段は、射出成形機の運転を停止させるとともに、異常が発生したことを図示されない表示手段によって表示する。
【0038】
また、前記条件成立判断処理手段は、前記差圧ΔPa〜ΔPcが第2の監視設定圧ΔPTH2を超えると、射出成形機の運転を停止させるための運転停止条件が成立したと判断する。そして、前記運転停止処理手段は、射出成形機の運転を停止させるとともに、異常が発生したことを前記表示手段によって表示する。
【0039】
なお、前記監視点圧力pa〜pc及び第1の監視設定圧ΔPTH1は、一定の値に固定したり、図示されない設定器によって任意の値に設定したりすることができる。また、本実施の形態においては、充填圧P1があらかじめ設定された監視点圧力pa〜pcに到達するたびに、充填圧P1、P2の差圧ΔPa〜ΔPcを算出するようにしているが、充填圧P2があらかじめ設定された監視点圧力に到達するたびに、充填圧P1、P2の差圧を算出することもできる。そして、本実施の形態においては、二つのキャビティ空間C1、C2における充填圧P1、P2が検出されるようになっているが、3個以上のキャビティ空間を備えた金型装置においては、各キャビティ空間における充填圧が検出され、各充填圧のうちの少なくとも二つの充填圧の差圧が算出される。例えば、各充填圧のうちの一つの充填圧があらかじめ設定された監視点圧力に到達するたびに、前記一つの充填圧と他の各充填圧との各差圧を算出することができる。その場合、該各差圧のうちの最も高い差圧が第1の監視設定圧を超えると、射出工程を中止させるための工程中止条件が成立したと判断される。
【0040】
このように、各キャビティ空間C1、C2における充填圧P1、P2の差圧ΔPa〜ΔPcに基づいて工程中止条件が成立したと判断するようになっているので、例えば、一方のキャビティ空間における充填圧が高い場合には、他方のキャビティ空間における充填圧が正常であり、射出シリンダ内の油圧が閾値以上にならなくても、成形不良が発生したと確実に判断することができる。
【0041】
また、一方のキャビティ空間に樹脂が多く充填されるのに伴って、他方のキャビティ空間に十分な量の樹脂が充填されない場合も、射出シリンダ内の油圧が閾値以上にならないことがあるが、その場合も、成形不良が発生したと確実に判断することができる。
【0042】
したがって、射出工程が中止され、各キャビティ空間C1、C2の未完成のディスク基板がいずれも不良品として処理されるので、良品と不良品とが混在することがなくなる。
【0043】
また、工程中止条件が成立すると、射出工程及び保圧工程が中止されるが、射出成形機の運転は停止させられることなく、次の工程、すなわち、計量工程にスキップするので、射出成形機の運転を継続することができる。したがって、射出成形機の運転効率を向上させることができる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0045】
図4は本発明の第2の実施の形態における射出工程が開始されてから保圧工程が完了するまでの充填圧の例を示す図である。なお、図においては、横軸に時間を、縦軸に充填圧を採ってある。
【0046】
図において、L1は充填圧P1を示す線、L2は充填圧P2を示す線である。この場合、充填圧検出手段としての充填圧センサ71(図1)、72によってキャビティ空間C1(図2)、C2における充填圧P1、P2が検出されると、検出信号が常時又は所定のタイミングごとに連続的に制御部としてのCPU73に送られる。該CPU73の図示されない条件成立判断処理手段は、前記検出信号に基づいて、前記充填圧P1、P2の差圧ΔPを連続的に算出し、該差圧ΔPが第1の監視設定圧ΔPTH11を超えると、射出工程を中止させるための工程中止条件が成立したと判断する。
【0047】
続いて、前記CPU73の図示されない工程スキップ処理手段は、工程中止条件が成立したと判断されると、各キャビティ空間C1、C2において成形不良が発生したと判断し、射出工程が完了する前に射出工程及び保圧工程を中止して、他の所定の工程、本実施の形態においては次の工程にスキップする。すなわち、前記工程スキップ処理手段は、型開きを行い、各キャビティ空間C1、C2内の未完成のディスク基板をいずれも不良品として処理し、計量工程を開始する。また、前記CPU73は、図示されない警告手段によって成形不良が発生した旨を警告する。
【0048】
そして、成形不良が発生したショットが所定の回数だけ続くと、CPU73の図示されない運転停止処理手段は、射出成形機の運転を停止させるとともに、異常が発生したことを図示されない表示手段によって表示する。
【0049】
また、前記条件成立判断処理手段は、前記差圧ΔPが第2の監視設定圧ΔPTH12を超えると、射出成形機の運転を停止させるための運転停止条件が成立したと判断する。そして、前記運転停止処理手段は、射出成形機の運転を停止させるとともに、異常が発生したことを前記表示手段によって表示する。
【0050】
前記各実施の形態においては、ホットランナ式の金型装置に適用した例について説明しているが、コールドランナ式の金型装置に適用することができる。また、前記各実施の形態においては、成形品としてディスク基板を成形するようになっているが、ディスク基板以外のものを成形することもできる。
【0051】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0052】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、射出成形機の制御装置においては、射出ノズルから射出された樹脂を複数のキャビティ空間に充填するための複数の樹脂供給系と、前記各キャビティ空間に充填される樹脂の充填圧を検出する充填圧検出手段と、該充填圧検出手段によって検出された充填圧のうちの一つの充填圧が所定の値に到達すると、少なくとも二つの充填圧の差圧を算出し、該差圧が監視設定圧を超えたときにいずれの成形品にも成形不良が発生したと判断する制御部とを有する。
【0053】
この場合、各充填圧のうちの少なくとも二つの充填圧の差圧が監視設定圧を超えたときに成形不良が発生したと判断するようになっているので、例えば、一つのキャビティ空間における充填圧が高い場合には、他のキャビティ空間における充填圧が正常であり、射出シリンダ内の油圧が閾値以上にならなくても、成形不良が発生したと確実に判断することができる。
【0054】
また、一つのキャビティ空間に樹脂が多く充填されるのに伴って、他のキャビティ空間に十分な量の樹脂が充填されない場合も、射出シリンダ内の油圧が閾値以上にならないことがあるが、その場合も、成形不良が発生したと確実に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の制御装置を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の要部を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における射出工程が開始されてから保圧工程が完了するまでの充填圧の例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における射出工程が開始されてから保圧工程が完了するまでの充填圧の例を示す図である。
【符号の説明】
26 射出ノズル
28 マニホルド
41、42 ホットチップ
51、52 スプルーブッシュ
71、72 充填圧センサ
73 CPU
C1、C2 キャビティ空間
Pa〜Pc 監視点圧力
ΔP、ΔPa〜ΔPc 差圧
Claims (4)
- (a)射出ノズルから射出された樹脂を複数のキャビティ空間に充填するための複数の樹脂供給系と、
(b)前記各キャビティ空間に充填される樹脂の充填圧を検出する充填圧検出手段と、
(c)該充填圧検出手段によって検出された充填圧のうちの一つの充填圧が所定の値に到達すると、少なくとも二つの充填圧の差圧を算出し、該差圧が監視設定圧を超えたときにいずれの成形品にも成形不良が発生したと判断する制御部とを有することを特徴とする射出成形機の制御装置。 - 前記差圧は、各充填圧に基づいて連続的に算出される請求項1に記載の射出成形機の制御装置。
- 前記制御部は、成形不良が発生したときに、射出工程を中止し、他の所定の工程にスキップする請求項1に記載の射出成形機の制御装置。
- 前記充填圧検出手段はスプルーブッシュに配設される請求項1〜4のいずれか1項に記載の射出成形機の制御装置。
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