JP3548736B2 - 分離膜の逆洗方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理流体を膜分離する分離膜の逆洗方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固形物、粒子状物質等を含む被処理流体(被処理液、被処理水)の浄化処理、種々の固液分離、液液分離等には、膜分離によるろ過処理が広く用いられており、ろ過精度(ろ別サイズ)に応じて種々の分離膜が適用される。分離膜としては、例えば、精密ろ過(MF)膜、限外ろ過(UF)膜、ナノフィルトレーション(NF)膜、逆浸透(RO)膜等が挙げられる。
【0003】
このような膜分離では、その膜分離性能つまりろ過性能を長期にわたって良好に維持すべく、分離膜表面に付着又は堆積したろ別残渣である固形分等が適宜洗浄される。近年、浄化処理においては、処理済液(浄水等)の水質の更なる向上が望まれており、これに対応すべく、分離膜又は膜モジュール全体のろ過抵抗を十分に低く保持してろ過性能を良好に維持するため、膜洗浄の重要性が一層高まっている。
【0004】
ところで、これらの分離膜の性状・形状は、用途に応じて多岐にわたり、特に、大量の被処理流体を生物処理しながら継続的に膜分離するような浄化処理では、例えば、複数の膜エレメントが集合配置された膜モジュールが多段に設けられることが多い。特に、分離膜の形態として中空糸膜を用いたものは、設備構成が簡便であり、容積効率が高く、操作性に優れる等の観点から、種々の固液分離、液液分離、気液分離に多用されている。
【0005】
このような中空糸膜は、通常、中空糸状の膜エレメントが多数束ねられて中空糸膜モジュールとして用いられ、ろ過方式としては、被処理流体が中空糸の内側から供給される内圧式、及び、被処理流体が中空糸の外側から供給される外圧式がある。膜洗浄方法としては、液体(洗浄液)や気体による逆洗が一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、中空糸膜モジュールを用いた膜分離装置や膜ろ過器に対する一般的な逆洗による膜洗浄では、上述したような更なる洗浄効果の向上を十分に達成することが困難な場合がある。特に、ろ別サイズの極小化に応じて膜面部の微細孔径がより小さいものを用いると、固形分等のろ別残渣による微細孔の閉塞が顕著となり、このため、殊にろ過精度の高い機能膜を中空糸膜として使用する際の洗浄効率を一層高めることが切望されている。
【0007】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、被処理流体の分離膜を逆洗する際に、その洗浄効率を従来に比して格別に高めることができる分離膜の逆洗方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明による分離膜の逆洗方法は、被処理流体を膜分離する方法であって、分離膜に対して被処理流体の流通方向における透過側から洗浄用液体を供給し、分離膜に対して被処理流体の流通方向における非透過側が所定圧力となるように減圧することにより、非透過側における分離膜の膜面部において洗浄用液体の沸騰状態を生じせしめることを特徴とする。
【0009】
ここで、本発明における「分離膜」としては、逆洗が適用できる分離膜であれば、膜の種類、性状、形状等は限定されず、分離膜に対して被処理流体の流通方向における非透過側を減圧する観点から、正圧又は負圧にて膜分離(膜ろ過)し得る形態で用いられるものに好適であり、例えば、好ましくは、膜エレメントが管状、筒状等を成す中空状のもの、より好ましくは中空糸膜が挙げられる。
【0010】
また、「非透過側」とは、すなわち分離膜に対して被処理流体が供給される側をいい、「透過側」とは、膜分離された被処理流体つまり処理済流体が透過液として排出される側をいう。具体的には、中空糸膜を例にとると、膜分離が内圧方式で行われる場合、「非透過側」とは中空糸膜の内側であるのに対して「透過側」とは中空糸膜の外側であり、膜分離が外圧方式で行われる場合、「非透過側」とは中空糸膜の外側であるのに対して「透過側」とは中空糸膜の内側である。
【0011】
このような分離膜においては、通常、膜分離の進行に伴ってその非透過側(被処理流体を供給する側)の膜面に、固形分等のろ別残渣が付着・堆積し、分離膜の微細孔が閉塞されてろ過抵抗が増大する。この分離膜に対し、本発明の逆洗方法を適用し、分離膜に対する透過側(処理済流体が排出される側)から洗浄用液体を供給すると、洗浄用液体が膜分離時の流通方向と逆方向から分離膜の微細孔内に流入し、微細孔を閉塞している堆積物や上記非透過側の膜面部上の付着物又は堆積物(以下、まとめて「堆積物」という)と接触する。
【0012】
このとき、分離膜の非透過側が所定圧力となるようにその非透過側を減圧すると、微細孔を通って非透過側の膜面部に達した洗浄用液体の沸騰状態を生じせしめることができる。具体的には、非透過側の所定圧力を洗浄用液体の温度における飽和蒸気圧(以下、単に「蒸気圧」という)以下の値とすることより、洗浄用液体の沸騰・気化が起こり、体積膨張による一種の爆噴状態が生じる。これにより、膜面部上の堆積物が破砕され、非透過側へ噴出するように膜面部から剥離除去される。
【0013】
また、洗浄用液体の種類に応じ、その洗浄用液体の沸騰状態が生じるように非透過側の減圧量を調整すると好ましい。洗浄用液体としては、水、アルコール類等の有機溶媒、酸・アルカリ等の無機溶媒等を適宜選択して種々の濃度等で用いることができ、また、界面活性剤等の種々の添加剤を添加することができる。洗浄用液体の種類が異なると、同じ温度でも蒸気圧が異なるので、用いる洗浄用液体の種類(性状、濃度等を含む)に応じて非透過側の減圧量を調整することにより、非透過側の所定圧力を必要な蒸気圧へと適切に制御することができる。
【0014】
さらに、上記列記した洗浄用液体の中では、取扱性、安全性、処理済流体のクロスコンタミネーションの防止等の観点より、水又はアルコール類を用いることが一層好ましく、特に、分子中の炭素数が比較的少ないアルコール(低級アルコール)、例えば、メタノール(CH3OH)、エタノール(C2H5OH)等を用いると、同じ温度の水に比して蒸気圧が高く、減圧量が比較的少なくて済むので、動力コストを低減できる点で有用である。
【0015】
またさらに、非透過側における膜面部が当接する第1の空間領域と、第1の空間領域内の第1の圧力よりも小さい第2の圧力を有する第2の空間領域とを連通させることにより、非透過側が所定圧力となるように第1の空間領域を減圧すると好適である。
【0016】
こうすれば、第2の空間領域が例えば予め減圧されて第1の圧力より小さい第2の圧力とされており、この状態で第1の空間領域と第2の空間領域とを連通させると、第1の空間領域の第1の圧力が急激に降下する。このとき、第1の空間領域に比して第2の空間領域の容積を十分に大きくし、及び/又は、第2の圧力を第1の圧力に比して十分に低い値とすれば、第1の空間領域の圧力変化がより急峻となる。これにより、第1の空間領域に当接する膜面部の周囲の圧力を、第1の圧力(例えば常圧)から洗浄用液体の蒸気圧まで瞬時に低下させることができ、膜面部における洗浄用液体の爆噴状態を短時間で且つ強力に生起させ得る。よって、膜面部上の付着物や体積物の剥離除去効果が一層高められる。
【0017】
ここで、本発明による分離膜の逆洗方法を有効に実施するための装置としては、例えば、被処理流体を膜分離する分離膜の逆洗装置であって、分離膜に対して被処理流体の流通方向における透過側に接続された洗浄用液体の供給部と、分離膜に対して被処理流体の流通方向における非透過側に接続され、且つ、非透過側が所定圧力となるように非透過側を減圧する減圧部とを備えるものが挙げられる。より具体的には、減圧部が、非透過側において分離膜の膜面部が当接する第1の空間領域に接続されており、且つ、第1の空間領域内の第1の圧力よりも小さい第2の圧力を有する第2の空間領域を含む容器を備えるものであると好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
【0019】
図1及び2は、本発明による分離膜の逆洗方法を実施するための装置の好適な一実施形態の構成を模式的に示す断面図であるとともに、図1は、その逆洗装置が設けられた膜分離装置で膜分離処理を行っている状態を示し、図2は、その逆洗装置によって分離膜の逆洗を行っている状態を示すものである。
【0020】
同図において、膜分離装置10は、中空糸膜による内圧式キャピラリ型の膜分装置であり、筐体1の内部に、複数の中空糸膜エレメント2(分離膜)が長手方向に並設された膜モジュール20が設けられたものである。筐体1内の膜モジュール20の上方及び下方には、中空糸膜エレメント2の内部空間S1(第1の空間領域、非透過側)と連通するように、それぞれ被処理流体供給部SI及び被処理流体排出部SOが画成されている。筐体1の底壁には、被処理流体Wが供給される供給口N1が設けられ、ポンプ3及びバルブV3を有する配管を通して、被処理流体Wが被処理流体供給部SIに導入される。一方、筐体1の上壁には、中空糸膜エレメント2の膜壁を透過できない被処理流体Wが非透過流体Whとして排出される排出口N3が設けられている。
【0021】
また、筐体1の側壁には、洗浄用液体M(図2参照)が供給される供給口N4が設けられ、ポンプ5及びバルブV5を有する配管を通して、膜モジュール20における中空糸膜エレメント2の外部空間S2(透過側)に洗浄用液体Mが導入される。さらに、筐体1の側壁には、洗浄用液体Mが排出される排出口N2が設けられている。この排出口N2は、外部空間S2と連通しており、中空糸膜エレメント2の内部空間S1から膜壁を通して外部空間S2へ透過した被処理流体Wが処理済流体である透過流体Ws(図1参照)として排出口N2から排出されるようにもなっている。
【0022】
また、筐体1の底壁には、被処理流体供給部SIを介して中空糸膜エレメント2の内部空間S1と連通する排出口N5が設けられている。この排出口N5は、中空糸膜エレメント2の外部空間S2から膜壁を通して内部空間S1へ透過した洗浄用液体M等を逆洗液Mmとして筐体1の外部へ排出するためのものである。さらに、排出口N5には、真空ポンプ4に接続された真空槽6(容器)とバルブV6とを有する配管が接続されている。またさらに、真空槽6は、配管及び被処理流体供給部SIを介して中空糸膜エレメント2の内部空間S1と連通し得る空間部S6(第2の空間領域)を有している。
【0023】
このように、ポンプ5、バルブV5及び供給口N4から洗浄用液体Mの供給部が構成されており、真空ポンプ4、バルブV6、真空槽6及び排出口N5から減圧部が構成されている。また、これら供給部及び減圧部から本発明による分離膜の逆洗装置が構成されている。
【0024】
このように構成された本発明による分離膜の逆洗装置が設けられた膜分離装置10を用いた膜分離処理、及び、本発明による分離膜の逆洗方法の一例について以下に説明する。まず、排出口N2,N3を開放し、且つ、バルブV5,V6を閉じた状態で、ポンプ3を運転し、バルブV3を所定の開度で開けて被処理流体Wを供給口N1から被処理流体供給部SIへ導入する(図1参照)。被処理流体Wは、被処理流体供給部SIと連通する中空糸膜エレメント2の内部空間S1内に流入する。
【0025】
ここで、図3は、図1及び2に示す膜分離装置10で膜分離を行っている状態の要部を模式的に示す断面図である。中空糸膜エレメント2の膜壁2aには多数の微細孔Pが設けられており、内部空間S1を流上する被処理流体Wのうち微細孔Pを透過した液分は、透過流体Wsとして外部空間S2に流出し、排出口N2を通して膜分離装置10の外部へ排出される。排出された透過流体Wsは、必要に応じて他の処理に供せられる。
【0026】
一方、被処理流体Wのうち微細孔Pを透過できない液分や固形分は、内部空間S1を流上し、最終的に、非透過流体Whとして被処理流体排出部SO及び排出口N3を通して膜分離装置10の外部へ排出される。このような膜分離が進行するにつれて、固形分の一部は、ろ別残渣として膜面部2b上に付着、堆積、又は沈積し、さらにその一部は微細孔P内に侵入した状態で堆積し得る(以下、付着、堆積等した固形分をまとめて「堆積物R」という)。こうして膜モジュール20のろ過抵抗が増大していく。
【0027】
次に、ろ過抵抗値が予め設定した制限値となった時点で、膜分離を一旦中断して逆洗を行う。まず、排出口N3及びバルブV3を閉止し、N2を開放した状態で、ポンプ5を運転する。また、バルブV6を閉じた状態で真空ポンプ4を運転する。このとき、被処理流体供給部SI内の被処理流体Wを筐体1の外部へ排出しておく。次いで、真空槽6の空間部S6内が内部空間S1及び被処理流体供給部SI内の気圧(第1の圧力)よりも十分に小さい所定の圧力(第2の圧力)となるように減圧した後、バルブV5を開いて洗浄用液体Mを外部空間S2へ供給する。次に、外部空間S2が洗浄用液体Mで充填された後、バルブV6を開放する。
【0028】
こうすると、真空槽6の空間部S6と中空糸膜エレメント2の内部空間S1とが被処理流体供給部SIを介して連通される。空間部S6は先に減圧されているので、内部空間S1及び被処理流体供給部SI内の気体は真空槽6側へ直ちに拡散し、内部空間S1の内圧が急激に低下する。ここで、図4は、図1及び2に示す膜分離装置10で逆洗を行っている状態の要部を模式的に示す断面図である。外部空間S2に充填された洗浄用液体Mは、中空糸膜エレメント2の膜壁2aの微細孔P内に流入し、微細孔Pの膜面部2b側を閉塞していた堆積物Rと接触する。さらに、洗浄用液体Mは、堆積物R内に浸透して内部空間S1側に流出又は浸出してくる。
【0029】
この状態で、上述の如く、内部空間S1が急激に減圧される。このとき、内部空間S1の圧力が洗浄用液体Mのその温度における蒸気圧以下とされれば、内部空間S1内に流入又は浸出した洗浄用液体Mが瞬時に沸騰・気化して急激な体積膨張が生じ、気化した洗浄用液体Mgの内部空間S1側への爆噴状態が生起される。
【0030】
そして、その噴出力により、堆積物Rは破砕されて内部空間S1側へ吹き飛ばされ、破砕片(物)Rsとなり、洗浄用液体Mの気液混合物と共に逆洗液Mmとして内部空間S1内を流下する。この逆洗液Mmは、被処理流体供給部SIを通って排出口N5から真空槽6へ流入し、更に系外へ排出されて処理される。それから、かかる逆洗処理を一定時間継続して膜モジュール20のろ過抵抗を本来の値に回復させ、前述した膜分離手順を再び実施して被処理流体Wの膜分離処理を再開する。
【0031】
ところで、本発明で使用する洗浄用液体Mとしては、先述したように、水、アルコール類等の有機溶媒、酸・アルカリ等の無機溶媒等を適宜選択して種々の濃度等で用いることができ、更に界面活性剤等の種々の添加剤を添加してもよい。ここで、洗浄用液体Mとして水を用いた場合、バルブV6を開くことにより、内部空間S1の圧力が水の蒸気圧以下となるように、真空槽6の空間部S6を減圧する。
【0032】
空間部S6内の所定の圧力つまり第2の圧力は、主として、(1)用いる水の蒸気圧、並びに、(2)内部空間S1、被処理流体供給部SI、配管及び真空槽6の容積に加え、他の補正要因、例えば、内部空間S1への水の浸出量、堆積物Rの量(ろ過抵抗で把握することも可)、膜モジュール20の高さ、並びに、被処理流体供給部SI、配管及び真空槽6の形状因子等による圧力損失、等を考慮して決定し得る。
【0033】
図5は、水の蒸気圧と温度との関係を示すグラフであり、水の物性諸量として一般に知られているものを便宜的に掲載したものである。本図より、例えば、洗浄用液体Mとして、内部空間S1における温度が60℃程度となる状態の温水を用いた場合、バルブV6を開いた状態で内部空間S1内の圧力が約150mmHg(20kPa)以下となるようにすれば、膜面部2bにおける洗浄用液体Mの沸騰状態を生じせしめることができ、図4に示すような気化した洗浄用液体Mgの爆噴状態が生起され得る。
【0034】
また、他の洗浄用液体Mを用いた場合にも、水を用いた場合と同様にして真空槽6の空間部S6の第2の圧力を設定し得る。ここで、図6は、アルコール類の一例としてメタノールの蒸気圧と温度との関係を示すグラフであり、メタノールの物性諸量として一般に知られているものを便宜的に掲載したものである。本図より、メタノールを洗浄用液体Mとして用いた場合、先述した水の例と同温度(60℃)での蒸気圧は、610mmHg(81kPa)を若干上回る程度である。よって、同温度の水を用いたときに比して空間部S6の減圧量を格別に軽減できる。また、メタノールやエタノール等の低級アルコールは工業上の利用性に優れており、純度の高いものを入手可能であるので、これらの点において有用である。
【0035】
また、換言すれば、洗浄用液体Mの種類、濃度、添加剤の含有量等(液性)によってその蒸気圧は種々の値をとるので、かかる洗浄用液体Mの液性に応じて、真空槽6の空間部S6ひいては中空糸膜エレメント2における内部空間S1内の減圧量を調整するように、真空ポンプ4の運転を制御することが望ましい。さらに、内部空間S1の所定圧力を、洗浄用液体Mの蒸気圧に対して裕度をもって低い圧力とすれば、内部空間S1に流入又は浸出した洗浄用液体Mが沸騰に至る時間がより短縮され、爆噴による堆積物Rの破砕力が増強されるので一層好ましい。
【0036】
このように構成された膜分離装置10及びそれを用いた逆洗方法によれば、中空糸膜エレメント2内の外部空間S2に洗浄用液体Mを供給し、内部空間S1内の圧力を洗浄用液体Mのその温度における蒸気圧以下として沸騰状態を生ぜしめ、その爆噴力により堆積物Rを破砕して膜面部2bから剥離除去する。よって、膜壁2aの微細孔Pの内部に入り込んで沈積した堆積物Rを十分に内部空間S1側へ破砕・噴出させることができ、しかも、その破砕力によって膜面部2bにおける微細孔Pの周囲の堆積物Rをも吹き飛ばすように除去できる。したがって、従来の逆洗方法に比して、膜モジュール20の逆洗効率を格段に高めることが可能となる。
【0037】
また、真空槽6を設け、外部空間S2に洗浄用液体Mを充填して微細孔Pに流入させた状態で、先に減圧しておいた真空槽6の空間部S6と内部空間S1とを連通させ、これにより、内部空間S1における洗浄用液体Mの沸騰状態を瞬時に形成せしめるので、気化した洗浄用液体Mgの爆噴力を増大できる。よって、膜面部2b上の堆積物Rの剥離効果がより高められ、逆洗効率を一層向上できる。さらに、洗浄用液体Mを適宜選択して用い、特にメタノール等の低級アルコールを用いると、真空槽6の空間部S6ひいては内部空間S1の減圧量を軽減できるので、動力コストを低減して経済上有利である。
【0038】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、図1〜4に示した内圧式の膜分離装置10に代えて、外圧式の膜分離方式に供される膜モジュールにも適用可能である。また、中空糸膜エレメント2の種類は特に限定されない。さらに、膜モジュール20の設置方向(長手方向)は鉛直方向に制限されるものではない。
【0039】
またさらに、内部空間S1の減圧手順及び外部空間S2への洗浄用液体Mの供給に係る手順は上述した手順に限定されない。例えば、真空槽6の空間部S6を予め定常的に減圧しておき、膜分離が終了した時点でバルブV6を開放して、或るいは、洗浄用液体Mを供給し始めると共にバルブV6を開放するといった種々の運転が可能である。さらにまた、膜モジュール20の数量も図示に限定されず、本発明によれば、従来に比して多段数の膜モジュール20を有する膜分離装置の逆洗を高効率で実施し得る。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の分離膜の逆洗方法によれば、分離膜に対して被処理流体の流通方向における透過側から洗浄用液体を供給し、分離膜に対して被処理流体の流通方向における非透過側が所定圧力となるように減圧することにより、非透過側における分離膜の膜面部において洗浄用液体の沸騰状態を生じせしめ、これにより、膜面部に堆積等した固形分等を破砕して剥離除去する。よって、被処理流体の分離膜を逆洗する際の洗浄効率を、従来に比して格別に向上させることができる。また、その結果、分離膜の所望の膜分離性能を長期にわたって良好に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による分離膜の逆洗方法を実施するための装置の好適な一実施形態の構成を模式的に示す断面図であり、その逆洗装置が設けられた膜分離装置で膜分離処理を行っている状態を示すものである。
【図2】本発明による分離膜の逆洗方法を実施するための装置の好適な一実施形態の構成を模式的に示す断面図であり、その逆洗装置によって分離膜の逆洗を行っている状態を示すものである。
【図3】図1及び2に示す膜分離装置で膜分離を行っている状態の要部を模式的に示す断面図である。
【図4】図1及び2に示す膜分離装置で逆洗を行っている状態の要部を模式的に示す断面図である。
【図5】水の蒸気圧と温度との関係を示すグラフである。
【図6】メタノールの蒸気圧と温度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2…中空糸膜エレメント(分離膜)、20…膜モジュール、2a…膜壁、2b…膜面部、4…真空ポンプ、5…ポンプ、6…真空槽(容器)、10…膜分離装置、M…洗浄用液体、Mg…気化した洗浄用液体、Mm…逆洗液、N1,N4…供給口、N2,N3,N5…排出口、P…微細孔、R…体積物、S1…内部空間(第1の空間領域、非透過側)、S2…外部空間(透過側)、S6…空間部(第2の空間領域)、SI…被処理流体供給部、SO…被処理流体排出部、V3,V5,V6…バルブ、W…被処理流体、Wh…非透過流体、Ws…透過流体。
Claims (3)
- 被処理流体を膜分離する分離膜の逆洗方法であって、
前記分離膜に対して前記被処理流体の流通方向における透過側から洗浄用液体を供給し、
前記分離膜に対して前記被処理流体の流通方向における非透過側が所定圧力となるように減圧することにより、該非透過側における該分離膜の膜面部において前記洗浄用液体の沸騰状態を生じせしめる、
ことを特徴とする分離膜の逆洗方法。 - 前記洗浄用液体の種類に応じ、該洗浄用液体の沸騰状態が生じるように前記非透過側の減圧量を調整する、ことを特徴とする請求項1記載の分離膜の逆洗方法。
- 前記非透過側における前記膜面部が当接する第1の空間領域と、該第1の空間領域内の第1の圧力よりも小さい第2の圧力を有する第2の空間領域とを連通させることにより、前記非透過側が前記所定圧力となるように該第1の空間領域を減圧する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の分離膜の逆洗方法。
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