JP3548066B2 - 半隠ぺい性水系塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、建築物などの構築物の外壁、内壁及び天井などの被塗布物の表面仕上げを行うための塗装に使われる半隠ぺい性水系塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の塗料としては、一般的に使われるエナメル塗料があり、この塗料では、塗替えと表現されるように被塗布物の色調を隠し、異なった色調に変えることなどの目的のために使われている。つまり、被塗布物の透けがあってはならないため十分な隠ぺい力が必要であることになる。
【0003】
それとは逆にクリアー塗料がある。この塗料の目的は、被塗布物の色調を積極的に見せるためであって、その目的とするところは被塗布物の保護である。
一般的に良く利用されるのは、石材調仕上げという仕上げ方法であって、まず、石材調仕上げ材と呼ばれる塗料を建築物などの構築物に塗布し、その後クリアー塗料を塗布し、構築物の表面を仕上げる方法である。これは、クリアー塗料が石材調仕上げ面の保護を目的とし、石材調仕上げ材を積極的に表面に表したものである。このため、クリアー塗料に隠ぺい力があった場合、石材調仕上げ面が隠されてしまい、構築物が石材調の仕上がりにならない。従って、クリアー塗料には隠ぺい力があってならないことになる。
【0004】
また、クリヤー塗料には、乾燥後の塗膜に艶を持たせたものと艶を消したものがあり、その中間的な半艶と呼ばれるものもある。艶を持たせたクリアー塗料では、主にバインダーとなる樹脂と添加剤などより構成されている。艶を消したクリアー塗料は、バインダーとなる樹脂と添加剤及び艶消し材といわれるフィラーなどにより構成されている場合が多い。だが、このフィラーは塗膜の艶を消すことを目的として添加されるものであり、塗膜が隠ぺい力を持たないよう、その添加量も微量である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、エナメル塗料は、十分な隠ぺい力が必要なため、塗膜の膜厚150μmでの隠ぺい率が0.85〜1.00程度であり、被塗布物の色調を隠してしまうに、十分な隠ぺい力である。また、クリヤー塗料おいては、隠ぺい力を要求されないので、艶を持たせたクリアー塗料では膜厚150μmでの隠ぺい率が0.01程度であり、フィラーを添加し艶を消した艶消しクリアー塗料でも、0.05程度になり、隠ぺい力がなく、被塗布物の色調を表すことが十分可能である。
【0006】
このため、構築物などの仕上げ対象物の仕上げを行う際に、被塗布物の色調を生かし、それらを今までとは違った新しい意匠感や質感に仕上げることや、被塗布物の質感を生かしながら、欠損部等の補修部分を目立たなく仕上げることができなかった。即ち、打放し仕上げにおいて、エナメル塗料では、塗料固有の均一色により覆ったものとなり、コンクリートが用いられることを隠すものであり、また、クリアー塗料では、欠損の状態が透けて見えるものであった。
【0007】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、構築物などの仕上げ対象物の仕上げを行う際に、被塗布物の色調を生かし、それらを今までとは違った新しい意匠感や質感に仕上げることや、被塗布物の質感を生かしながら、欠損部等の補修部分を目立たなく仕上げることなどを目的とした半隠ぺい性水系塗料組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の半隠ぺい性水系塗料組成物は、合成樹脂エマルションと、フィラ−とからなり、さらに無機系結合剤を含有する水系塗料組成物であって、被塗布物の色調と水系塗料組成物の色調が同系色の場合において、前記フィラーの平均粒子径が5〜100μmの範囲であり、被塗布物に塗布して得られる塗膜の膜厚150μmでの隠ぺい率が0.25〜0.65であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の発明の半隠ぺい性水系塗料組成物は、請求項1に記載の発明において、前記フィラーの含有量は、水系塗料組成物の固形分中に5〜70重量%の範囲であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明のは、合成樹脂エマルションと、フィラ−とからなる水系塗料組成物であって、被塗布物の色調と水系塗料組成物の色調が異なる場合において、前記フィラーとしてはプラスチックビーズが使用され、被塗布物に塗布して得られる塗膜の膜厚150μmでの隠ぺい率が0.10〜0.20であることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
半隠ぺい性水系塗料組成物は、合成樹脂エマルションと、フィラ−とからなる水系塗料組成物であって、被塗布物に塗布して得られる塗膜の膜厚150μmでの隠ぺい率が0.10〜0.80のものである。
【0011】
まず、合成樹脂エマルションは、半隠ぺい性水系塗料組成物の主成分であって、乳化重合のような通常の重合技術で製造できる一般的なものでよい。例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂より製造された合成樹脂エマルションなどがあり、合成樹脂エマルションが乾燥後に透明のフィルムを形成するものであればよい。
【0012】
塗料適性、塗膜の物性、入手の容易性などからアクリル樹脂、スチレン樹脂より製造されたアクリル系合成樹脂エマルションやアクリルスチレン系合成樹脂エマルションが好ましく用いられる。この合成樹脂エマルションは、水系塗料組成物の用途、性能に応じて適宜選択して使用される。
【0013】
また、合成樹脂エマルションに使われる樹脂のガラス転移温度は、好ましくは0〜70℃の範囲であるが、水系塗料組成物の用途に応じて、適したガラス転移温度の合成樹脂を選択することができる。
【0014】
なお、アクリル樹脂などの樹脂を有機溶剤に溶解させたものを用いて、半隠ぺい性の塗料組成物を得ることもできるが、この場合には、無機系結合材を配合して用いることは不可能となる。
【0015】
フィラーは、半隠ぺい性水系塗料組成物を被塗布物の表面、つまり被塗布面に塗布したとき、半隠ぺい性を発現させるためのものである。このフィラーは、酸化チタン、炭酸カルシウム、珪砂、クレー、カオリン、タルク、珪藻土、ベントナイト、ホワイトカーボン、ガラスビーズ、プラスチックビーズ、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0016】
このフィラーの平均粒子径は、150μm以下のものであればよいが、半隠ぺい性水系塗料組成物を被塗布面に塗布したときの仕上りから平均粒子径が5〜100μmのものが好ましい。
【0017】
水系塗料配合物の隠ぺい性から考えると、炭酸カルシウム、プラスチックビーズ、ガラスビーズ、珪藻土、ホワイトカーボンなどは、これ自体が光を透過する性質があるため、好ましく用いられる。炭酸カルシウムは、一般的に塗料組成物に体質顔料として混合されるものであり、入手の容易さ、コスト面からよく用いられる。
【0018】
また、プラスチックビーズは、アクリル樹脂などから工業的につくられるものであるので、光を透過する性質、粒子径、形状などを任意に変えることができるため、より好ましく用いられる。
【0019】
炭酸カルシウム、ガラスビーズ、プラスチックビーズは、それ自体に着色を施して、使用することができる。この場合、塗布面の仕上りが、着色されたフィラーにより、多彩感のある今までとは違った新しい意匠感や質感に仕上げることができる。
【0020】
フィラーの含有量は、水系塗料組成物の固形分中に5〜70重量%の範囲が好ましい。5重量%より少ない場合には、隠ぺい性がなくなり、欠損部等の補修部分を目立たなく仕上げることができない。70重量%を超える場合には、隠ぺい性を持つために、被塗布物の質感を生かしながら仕上げることができない。
【0021】
無機系結合剤は、無機系の被塗布面に対する接着力向上や、塗膜の有機分の含有量を少なくすることができるため、耐熱性及び難燃性を付与することができ、セメント、シリカゾル、リチウムシリケート、アルミナゾルなどが挙げられる。
【0022】
セメントは、入手の容易さ、コスト面からより好ましく用いられる。セメントは、水と反応して硬化する鉱物質の粉末であり、ポルトランドセメント、白色セメント、混合セメント及び特殊セメントなどに大別することができ、ポルトランドセメントの中でも普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント及び耐硫酸塩ポルトランドセメントがある。
【0023】
混合セメントは、普通ポルトランドセメントに高炉スラグ、シリカ質混合材及びフライアッシュを混合したセメントである。セメントを構成する水硬性化合物は、けい酸三カルシウム、けい酸ニカルシウム、アルミン酸三カルシウム、鉄アルミン酸四カルシウムがあり、この配合割合、添加されるせっこう量、微量成分及び粉末の粒度によりセメントの種類が決まってくる。
【0024】
この発明では、任意の種類のセメントを用いることができる。容易に入手できる普通ポルトランドセメントが好ましく用いられ、また、塗料の調色性が必要な場合には、白色セメントが好ましい。セメントを結合材として添加した場合、セメント自体にも隠ぺい力があるのでフィラーの添加の量を少なくすることができる。
【0025】
セメントの含有量は、水系塗料組成物の固形分中に10〜35重量%の範囲が好ましい。10重量%より少ない場合には、無機系の被塗布面に対する接着力向上や、塗膜の耐熱性及び難燃性を付与することができない。また、35重量%を超える場合には、隠ぺい性を持つために、被塗布物の質感を生かしながら仕上げることができない。
【0026】
シリカゾルは、ニ酸化けい素(SiO2)を主成分としたもので、微量成分として酸化ナトリウムなどが含まれ、透明な液体である。リチウムシリケートはニ酸化けい素(SiO2)と酸化リチウム(Li2O)を主成分とするものであり、アルミナゾルはアルミナ(Al2O3)を主成分とするものである。これら無機系結合材は、乾燥後に透明になるものであればよく、合成樹脂エマルションとの混和性がよいものが好ましく用いられる。その添加量は、無機系の被塗布面に対する接着力向上や、塗膜の耐熱性及び難燃性などの物性を得られる範囲まで添加することができ、水系塗料組成物の固形分中に5〜30重量%の範囲になる添加量が好ましい。
【0027】
この発明の半隠ぺい性水系塗料組成物は、上記以外のその他添加剤として、分散剤、湿潤剤などとして用いられる界面活性剤や造膜助剤、防凍剤などとして用いられる高沸点溶剤、増粘剤、粘性調整剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤等のような一般に塗料に配合されている成分を使用することができる。
【0028】
さらに、必要に応じて着色顔料として無機、有機系顔料及びその両方を加えることが可能であり、それらは、耐候性のよいものがよく用いられる。
以上のように調製された半隠ぺい性水系塗料組成物は、被塗布物の表面に塗布されることにより塗膜が形成される。この塗膜は、被塗布物の表面を一定の隠ぺい率で隠ぺいする。
【0029】
そこで、隠ぺい率について説明する。
ここでいう隠ぺい率とは、JIS−K5582に規定された測定方法に準じて測定されたものである。これは、JIS−K5400規定の白地及び黒地の隠ぺい率試験紙にそれぞれ150μmの膜厚で塗膜を形成させ、標準状態で48時間乾燥させる。その後、JIS−K5400に規定された、視感反射率を測定する。視感反射率は、JIS−Z8722に規定する装置を用い、塗膜の明るさを測定するものである。それにより下記の計算式で、隠ぺい率を算出する。
【0030】
隠ぺい率=黒地での視感反射率/白地での視感反射率
この発明において、半隠ぺい性水系塗料組成物の塗布厚が150μmでの隠ぺい率を0.10〜0.80の範囲としている。隠ぺい率が0.80より大きい場合には、被塗布物の色調を生かした仕上がりや質感を生かしながら、欠損部等の補修部分を目立たなく仕上げることができず、エナメル塗料と変わらない仕上げとなってしまう。これとは逆に、隠ぺい率が0.10より小さい場合には、被塗布物の色調を表してしまい、艶消しクリヤーより、少しぼやけた仕上がりとなってしまい目的を達成することができない。
【0031】
この隠ぺい率のより好ましい範囲としては、0.10〜0.65であり、この場合には、被塗布物の色調を生かし、それらを今までとは違った新しい意匠感や質感に仕上げ、被塗布物の質感を生かしながら、欠損部等の補修部分を目立たなく仕上げることができる。
【0032】
また、被塗布物の色調が、水系塗料組成物の色調と異なる場合においては、隠ぺい率を0.10〜0.20の範囲に設定することにより、被塗布物の色調と水系塗料組成物の色調が程よく合い、より一層今までとは違った新しい意匠感や質感に仕上げることができる。
【0033】
被塗布物の色調が、水系塗料組成物の色調と同系色の場合においては、0.25〜0.65の範囲に設定することにより、欠損部等の補修部分をまったく目立たないように仕上げることができる。
【0034】
また、半隠ぺい性水系塗料組成物を塗布し得られた塗膜表面に、クリヤー塗料を塗布することにより、塗膜表面の耐候性を向上させ、汚れ防止を図るなど塗膜表面の保護をすることができる。さらに、クリヤー塗料の種類を変えることによって、塗膜表面に艶を与えたり、逆に艶を消すことができる。
【0035】
以上のように、この実施形態によれば次のような効果が発揮される。
・ 合成樹脂エマルションと、フィラ−とからなる水系塗料組成物であって、塗膜の膜厚150μmでの隠ぺい率が0.10〜0.80であることにより、被塗布物の色調を生かし、それらを今までとは違った新しい意匠感や質感に仕上げることができる。また、被塗布物の質感を生かしながら、欠損部等の補修部分を目立たなく仕上げることもできる。
【0036】
・ フィラーの平均粒子径が5〜100μmの範囲であることにより、被塗布面に塗布したときの仕上りが、それらを今までとは違った新しい意匠感や質感に仕上げることができる。また、被塗布物の質感を生かしながら、欠損部等の補修部分を目立たなく仕上げることもできる。
【0037】
・ フィラーに着色を施して、使用することにより、多彩感のある今までとは違った新しい意匠感や質感に仕上げることができる。
・ 被塗布物の色調が、水系塗料組成物の色調と異なる場合においては、隠ぺい率を0.10〜0.20の範囲に設定することにより、被塗布物の色調と水性塗料組成物の色調が程よく合い、より一層今までとは違った新しい意匠感や質感に仕上げにすることができる
・ 被塗布物の色調が、水系塗料組成物の色調と同系色の場合においては、0.25〜0.65の範囲に設定することにより、欠損部等の補修部分をまったく目立たないように仕上げることができる。
【0038】
・ 無機系結合剤を添加することにより、無機系の被塗布面に対する塗膜の接着力向上や、塗膜の有機分の含有量を少なくすることができるため、塗膜の耐熱性及び難燃性を付与することができる。
【0039】
・ 無機系結合剤がセメントであることにより、合成樹脂エマルションの添加量が少なくなり、セメント自体に隠ぺい性があるため、フィラーの添加の量も少なくすることができる。
【0040】
【実施例】
以下、前記実施形体を具体化した実施例について、詳細に説明する。
合成樹脂エマルションは、アクリル系合成樹脂エマルションを用い、固形分が45重量%である。フィラーとしては炭酸カルシウム、プラスチックビーズを使用した。炭酸カルシウムは、平均粒子径が5〜50μmで、無着色の白色ものであり、プラスチックビーズは、アクリル樹脂系のもので、平均粒子径が30〜100μmのものである。色調は、白色、赤色及び黒色のものを用いた。
【0041】
無機系結合材としては、コロイダルシリカ、普通ポルトランドセメントを用いた。その他の成分としては、分散剤、湿潤剤、造膜助剤、増粘剤、粘性調整剤、消泡剤を使用した。
比較例1 一般市販品 エナメル塗料(白色)
比較例2 一般市販品 クリヤー塗料
比較例3 一般市販品 艶消しクリヤー塗料
実施例1〜実施例6の半隠ぺい性水系塗料組成物と比較例1〜比較例3の塗料を白地及び黒地の隠ぺい率試験紙にそれぞれ150μmの膜厚で塗膜を形成させ、標準状態で48時間乾燥させる。その後、JIS−K5400に規定された、視感反射率を測定する。視感反射率は、JIS−Z8722に規定する装置を用い、塗膜の明るさを測定し、隠ぺい率を求めた。
【0042】
その結果を表1にまとめて示す。
【0043】
【表1】
黒色である被塗布面に、実施例1〜実施例3の水性塗料組成物と比較例1のエナメル塗料及び比較例4の半艶クリヤー塗料をそれぞれスプレーガンを用い、塗布厚み150μm程度に塗装し、塗布面の仕上りを比較した。
【0044】
表1より隠ぺい率が0.10〜0.80の範囲の水系塗料組成物であることにより、実施例1では、被塗布面の黒色が透けているために、全体として灰色の仕上がりとなり、実施例2では、茶系色となり、また、実施例3においては、濃灰色になり、被塗布物の色調を生かした仕上がりとなった。
【0045】
また、実施例1〜3半隠ぺい性水系塗料組成物を塗布した塗布面を近くで観察したところ、プラスチックビーズが細かい点にあることが確認でき、それは今までの色調をいかしながら、違った意匠感や質感に仕上げにすることができた。
【0046】
また、実施例3では、実施例1、実施例2に比べ半隠ぺい性水系塗料組成物の固形分中の有機分を低減することができた。そのことにより塗膜の耐熱性及び難燃性を向上させることができた。
【0047】
これに対して比較例1の塗料では、隠ぺい率が0.95であるため、被塗布面の黒色がまったく感じられないぐらい、白色に仕上がり、塗布前と色調が違うものに変わった。比較例3の塗料では、艶が消えた黒色面に仕上がり、隠ぺい率が0.04であるために塗布前と色調の変化は感じられない。
【0048】
次に、コンクリート面に対して、実施例4〜実施例6までの水系塗料組成物と比較例1のエナメル塗料、比較例2のクリヤー塗料及び比較例3の艶消しクリヤー塗料をウールローラー(大塚刷毛製造株式会社製 無泡ローラー)を用い、塗布厚み150μm程度に塗装した。このコンクリート面は、モルタルにより欠損部分の補修が行われているために、補修部分が色違いとなって残っている。
【0049】
実施例4〜実施例6では、どれもモルタルにより補修部分の跡がわからない仕上がりとなり、コンクリート面独特な仕上がりを保っていた。これは、半隠ぺい性水系塗料組成物の隠ぺい率が0.25〜0.65の範囲であり、コンクリート面と補修部分との色差を小さくすることができたため、補修部分が目立ちにくくなったのである。
【0050】
これに対し、比較例1の塗料では、隠ぺい率が0.95のため、コンクリート面が白色に仕上がり、コンクリート面独特な仕上がりを失ってしまったが、コンクリート面と補修部分の違いを確認することができなかった。比較例2のクリヤー塗料では、隠ぺい率が0.01のため、モルタルにより補修部分がはっきりと確認できた。また、コンクリート面が艶を有してしまい、これもまた、コンクリート面独特な仕上がりを失ってしまった。また、比較例3の艶消しクリヤーにおいては、比較例2とは違って、コンクリート面に艶を持たすことはなく仕上がったが、補修部分を確認することができた。これは、この艶消しクリヤーの隠ぺい率が0.04であり、コンクリート面と補修部分との色違いを隠すほどの色差を小さくすることができなかったためである。
【0051】
即ち、打放し仕上げにおいて、エナメル塗料では、塗料固有の均一色により覆ったものとなり、コンクリートが用いられることを隠すものであり、また、クリアー塗料では、欠損の状態が透けて見えるものであった。
【0052】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0054】
・ 前記フィラーは着色を施したものであるする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の半隠ぺい性水系塗料組成物。
このような半隠ぺい性水系塗料組成物によれば、多彩感のある今までとは違った新しい意匠感や質感に仕上げにすることができる。
【0057】
・ 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の半隠ぺい性水系塗料組成物を被塗布物に塗布して得られた塗膜表面に、クリヤー塗料を塗布することを特徴とした塗装方法。
【0058】
この塗装方法によれば、意匠感や質感を保ちつつ、塗膜表面の耐候性を向上させ、汚れ防止を図るなど塗膜表面の保護をすることができ、またクリヤー塗料の種類を変えることによって、塗膜表面に艶を与えたり、逆に艶を消すことができる。
【0059】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1、2に記載の発明の半隠ぺい性水系塗料組成物によれば、構築物などの仕上げ対象物の仕上げを行う際に、被塗布物の色調を生かし、それらを今までとは違った新しい意匠感や質感に仕上げることや、被塗布物の質感を生かしながら、その欠損部等の補修部分を目立たなく仕上げることができる。また、無機系の被塗布面に対する接着力向上や、塗膜の耐熱性及び難燃性を付与することができる。
【0061】
請求項3に記載の発明の半隠ぺい性水系塗料組成物によれば、被塗布物の色調と水系塗料組成物の色調が程よく合い、より一層今までとは違った新しい意匠感や質感に仕上げることができる。
Claims (3)
- 合成樹脂エマルションと、フィラ−とからなり、さらに無機系結合剤を含有する水系塗料組成物であって、被塗布物の色調と水系塗料組成物の色調が同系色の場合において、前記フィラーの平均粒子径が5〜100μmの範囲であり、被塗布物に塗布して得られる塗膜の膜厚150μmでの隠ぺい率が0.25〜0.65であることを特徴とする半隠ぺい性水系塗料組成物。
- 前記フィラーの含有量は、水系塗料組成物の固形分中に5〜70重量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の半隠ペい性水系塗料組成物。
- 合成樹脂エマルションと、フィラ−とからなる水系塗料組成物であって、被塗布物の色調と水系塗料組成物の色調が異なる場合において、前記フィラーとしてはプラスチックビーズが使用され、被塗布物に塗布して得られる塗膜の膜厚150μmでの隠ぺい率が0.10〜0.20であることを特徴とする半隠ぺい性水系塗料組成物。
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