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JP3542664B2 - プラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1の免疫測定法 - Google Patents

プラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1の免疫測定法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1(以下、「PAI−1」と略記することがある)測定用のラテックス試薬、及びそれを用いたPAI−1総量の測定法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
血液線溶系は、血中のプラスミノーゲンがプラスミノーゲン アクチベーターにより活性化されプラスミンとなることで開始し、血栓のフィブリンを溶解する。組織や尿のプラスミノーゲン アクチベーターに対するインヒビターとして、実際に血液線溶系を制御しているとみられているのが、PAI−1である。
【0003】
PAI−1は、分子量が約5万、379アミノ酸残基からなる一本鎖の糖蛋白であり、血中の組織プラスミノーゲン アクチベーター(tPA)のインヒビターであることが知られている(Progress in Hemostasis and Thrombosis, Coller, B.S., ed. WB Saundears Philadelphia, (1989) 87−115)。血中PAI−1は、tPA・PAI−1複合体、活性型PAI−1、潜在型PAI−1など様々な形態で存在する。PAI−1は血管内皮細胞より放出されると速やかにtPAと結合してその活性を阻害し、血中の線溶活性を規定する重要な因子である。
【0004】
血中PAI−1濃度が高い場合、フィブリンによって形成された血栓が溶けにくい状態であると考えられる(Fibrinolysis, 8, 104−112(1994))。例えば急性心筋梗塞症、深部動脈血栓症、糸球体腎炎、アテローマ性動脈硬化症、敗血症、DIC(Disseminated Intravascular Coagulation:播種性血管内凝固症候群)等の疾患では、PAI−1の放出量が著しく増加し、血栓が極めて溶けにくくなり、虚血性臓器障害の原因となっている。このような場合、血中に放出されたPAI−1の総量は血管内皮障害を反映し、PAI−1の総濃度の測定はこうした疾患の診断、重篤さの診断、予後の判断、治療に有効であると考えられ、迅速な測定が望まれている。
【0005】
ところで従来、血中PAI−1を測定するものとして、PAI活性、tPA・PAI−1複合体量、PAI−1総抗原量などが知られている。これらに対し、tPA・PAI−1複合体、PAI−1総抗原量は酵素免疫測定法で、PAI活性はtPAの作用により生じるプラスミンの活性を呈色性基質により測定する方法で、従来測定が行われてきた。しかし、これらはいずれも操作が煩雑で、2時間以上のインキュベーションが必要であるなど、反応、測定に要する時間が長いという問題を有していた。
【0006】
さらに、PAI活性を測定する方法では、活性型PAI−1の生体内代謝時間は、半減期が6〜7分と短かく(Circulation Research, 67, 1281−1286 (1990))、特に活性型PAI−1はインビトロでも不安定であり、37℃での半減期は2〜4時間(Biochem. J., 239, 497−503 (1986)、J. Biol. Chem., 26, 3, 15454−15461 (1988))と短く、冷凍保存や凍結融解に対する安定性も低いため、測定中あるいは測定前に失活してしまうという問題があった。
【0007】
また、PAI−1総抗原量を酵素免疫測定法(ELISA)で測定している例では、20時間以上もの長時間を必要としており(Blood, 77, 1949−1957(1991))、血液凝固疾患における血管内皮障害の指標とすることは困難であった。
【0008】
したがって、血液凝固疾患の病態を正確に把握するためには、分析時間の短いPAI−1の測定法の開発が望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく検討を重ねてきた結果、迅速、簡便な免疫測定法であるラテックス凝集法を応用したPAI−1測定用試薬及びPAI−1測定法を開発し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、ラテックス粒子上にプラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1に結合する抗体が固定化されたプラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1測定用ラテックス試薬である。
【0011】
また本願発明は、上記ラテックス試薬を用いたラテックス凝集により、試料中のプラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1の存在または量を測定する免疫測定法を提供する。このプラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1の量は、プラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1の総抗原量として測定することが好ましい。
【0012】
さらに本願発明は、上記の方法によりプラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1の総抗原量を測定することを特徴とする血液凝固疾患の検知法を提供する。
【0013】
尚、「PAI−1総抗原量」とは、PAI活性の有無に関わらず、フリー(遊離)のPAI−1、tPA(組織プラスミノーゲン アクチベーター)を始めとするプラスミノーゲン アクチベーターとPAI−1との複合体など、様々な形態のPAI−1の抗原としての総量を意味する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<1>PAI−1測定用ラテックス試薬
本発明のラテックス試薬は、PAI−1の測定、特にPAI−1総抗原量を測定するための免疫試薬であり、ラテックス粒子上にPAI−1に結合する抗体が固定化されたものである。
【0015】
本発明のラテックス試薬に用いるラテックス粒子としては、ラテックス凝集を利用した免疫測定に通常用いられるラテックス粒子を使用することができ、ポリスチレンラテックス、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体、アクリル酸とスチレンの共重合体、スチレンとマレイン酸の共重合体、スチレンとメタクリル酸の共重合体、スチレンとアクリル酸とアルキルアクリレートなどの共重合体、酢酸ビニルとアクリル酸の共重合体等が挙げられる。ラテックス粒子の粒径としては 0.1〜1.0μm程度が好ましい。
【0016】
上記ラテックス粒子の粒子上にPAI−1に結合する抗体(抗PAI−1抗体)を固定化することによって、本発明のラテックス試薬が得られる。抗PAI−1抗体は、ラット、モルモット、ウサギ、マウス、ヤギ、ヒツジ、馬、牛などの哺乳動物をPAI−1で免疫することにより得られる。免疫後、これらの動物から採血し、血清を分離して得られる抗PAI−1抗血清も本発明に使用することができるが、ラテックス粒子への固定化の効率等の観点からは、免疫グロブリン分画として精製した抗PAI−1抗体を用いることが好ましい。抗PAI−1の精製は、例えばNisonoffらの方法(Nisonoff, A. Methods in Medical Research, Eisen H. N. (ed). Year Book Medical Publishers, Chicago, (1964) 10, 134−141)により行うことができる。また、PAI−1で免役したマウスの脾細胞をミエローマ細胞と融合して得られるハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体も本発明に適用することができるが、モノクローナル抗体を用いる場合は、認識するエピトープが異なる2種類以上のモノクローナル抗体が必要である。
【0017】
免疫に用いるPAI−1は、例えば、WI38 VA13 2RA株(ATCCCCL75.1)、HT1080株(ATCC CCL121)、CaSKi株(ATCC CRL1550)等のヒト由来PAI−1産生細胞株の培養上清から精製することにより得られる。このような細胞株を、無血清DMEM培地等の適当な培地で培養すれば、培養液中にPAI−1が分泌される。その際、培地にデキサメタゾンを2×10−6M程度添加しておくと、PAI−1が効率よく産生される。
【0018】
またPAI−1は、遺伝子組換え技術により作製されたPAI−1を発現する大腸菌を培養することによっても得られる。
培養上清からのPAI−1の粗精製は、後記実施例では、抗PAI−1マウスモノクローナル抗体固定セファロース4B(ファルマシア社製)を用いたアフィニティクロマトグラフィーにより行ったが、モノクローナル抗体の代わりにコンカナバリンA固定セファロースによって粗精製することもできる。かくして得られる粗精製物をゲル濾過クロマトグラフィーにより分画することによって、精製PAI−1が得られる。各フラクション中のPAI−1の相対量は、SDS−PAGE、ウェスタンブロット法で確認できる。
【0019】
上記のようにして得られた抗PAI−1抗体は、PAI−1との反応性をイムノブロッティング等により調べることによって評価することができる。例えば、PAI−1をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)にかけ、泳動後のゲルをニトロセルロース膜等に転写し、抗PAI−1抗体、抗PAI−1抗体の調製に用いた免疫動物のイムノグロブリンに対する他の動物の抗体をアルカリフォスファターゼ等で標識した二次抗体、及び酵素反応により発色する基質色素と順次インキュベートして発色させることにより、PAI−1と抗PAI−1抗体との反応性を調べることができる。その際、活性型PAI−1、潜在型PAI−1、tPAとPAI−1との複合体等、種々の形態のPAI−1、及び他の血漿タンパクも同じゲルで泳動し、抗PAI−1抗体がPAI−1の形態に関わらず結合し、他の血漿タンパクには結合しないことを確認しておくことが好ましい。
【0020】
抗PAI−1抗体をラテックス粒子上に固定化する方法としては特に制限はなく、例えば、ラテックス粒子と抗体を混合することによりおこる物理的な吸着を用いる物理吸着法、カルボジイミドなどのカップリング剤により、ラテックス粒子表面のカルボキシル基やアミノ基と抗体分子を化学的に結合させる化学結合法が用いられる。また、抗体分子をスペーサー分子を介してラテックス粒子に結合させてもよい。さらに、アルブミンなどの他のタンパク質に化学結合法を用いて抗体を結合させた後に、そのタンパク質をラテックス粒子に物理的あるいは化学的に固定化してもよい。
【0021】
ラテックス粒子に固定化する抗PAI−1抗体としては、IgGそのものでもよいが、IgGをペプシン、パパインなどの消化酵素、あるいはジチオスレイトール、メルカプトエタノールなどの還元剤を用いてF(ab’)、Fab、Fab’などにフラグメント化したものが用いられる。IgMなどの他のクラスの抗体も同様の処理をして使用することができる。
【0022】
<2>ラテックス試薬を用いたPAI−1の免疫測定法
本発明の免疫測定法は、上記のラテックス試薬を用いたラテックス凝集により、試料中のPAI−1の存在または量を測定する方法である。すなわち、ラテックス試薬をPAI−1を含有する試料溶液に添加すると、抗PAI−1抗体を介してラテックス粒子が結合し、凝集する。このラテックス粒子の凝集を測定することによって、PAI−1の存在または量を測定することができる。ラテックスの凝集は、スライドラテックス凝集法によって検知することもできるが、可視光から近赤外域の光(400〜2400nm、好ましくは600〜1000nm)の吸収の増加を、分光光度計を用いて経時的に測光することにより、正確に測定することができる。このような測定を行う装置として、三菱化学株式会社のLPIA−200ラテックス凝集全自動測定器、ロシュ・ダイアグノスティック・システムズ社のCOBAS FARA装置およびCOBAS MIRA装置、および日立製作所の日立704分析装置等が挙げられる。
【0023】
試料とラテックス試薬との反応は、生理的食塩水、緩衝液等の液体中で行われる。ラテックス試薬と試料中のタンパクとの非特異的結合を抑制するために、界面活性剤等の吸着抑制剤を反応液に添加してもよい。
【0024】
PAI−1の絶対量を測定するためには、量が既知のPAI−1標準品を用いて検量線を作成しておけばよい。検量線は、例えば、ラテックス粒子の凝集量に対してPAI−1標準品の濃度またはPAI活性をプロットすることにより得られる。試料を適宜段階的に希釈し、この希釈液にラテックス粒子を加え、ラテックス凝集を測定し、得られた測定値と検量線から、試料中のPAI−1量(濃度)を知ることができる。
【0025】
<3>本発明の免疫測定法の利用
本発明のラテックス試薬を用いたPAI−1の測定法によれば、血漿中のPAI−1総濃度を、tPA等との複合体の形成の有無、活性型、潜在型の如何に関わらず、短時間、簡便、かつ再現性よく測定することができる。また、本発明の免疫測定法に用いる検体は、保存安定性に優れている。
【0026】
内皮細胞刺激により、PAI−1と共にtPAの放出が亢進している場合、tPA・PAI−1複合体形成のため、血漿中PAI活性は低下し、その値は血管内皮のPAI−1放出量を反映しない。一方、本発明により測定されるPAI−1総濃度は、PAI−1放出量を通して血管内皮の状態を常に反映する指標として有益であると考えられる。
【0027】
また、血漿検体中のPAI−1総濃度はPAI活性を測定するよりも安定であり、臨床検体として扱いやすい。本発明により測定されるPAI−1総抗原量は、PAI活性との相関性が高く、PAI活性をよく反映する。
【0028】
以上のことから、本発明の免疫測定法によりPAI−1総抗原量を測定することは、血液凝固疾患の診断に利用できることが期待される。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0030】
【実施例1】抗PAI−1抗体結合ラテックス試薬
<1>PAI−1の調製
ヒト由来PAI−1産生細胞株WI38 VA13 2RA(ATCC CCL75.1)を、10%ウシ胎児血清(FCS)添加DMEM培地(日水製)で、ローラーボトル中で増殖させ、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で細胞を洗浄した後、デキサメタゾン2×10−6Mを含む無血清DMEM培地中で10日間培養した。その後、培養上清を回収し、抗PAI−1マウスモノクローナル抗体固定セファロース4Bアフィニティカラムに通してPAI−1を吸着させた後、3MMgClで溶出し、粗精製PAI−1を得た。抗PAI−1マウスモノクローナル抗体固定セファロース4Bは、マウスモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ(米国カリフォルニア、ラ ジョラのスクリップスクリニック アンドリサーチファウンデーション(Scripps Clinic and Research Foundation)のD.J.ロスクトフ(D. J. Loskutoff)博士より恵与された。J. Clin. Invest., 83, 1747−1752 (1989)参照)から抗PAI−1モノクローナル抗体を調製し、これをCNBr−セファロース4B(ファルマシア社製)に結合することにより作製した。
【0031】
上記で得られた溶出物を3M MgClで平衡化したセファクリルS−200(ファルマシア社製)カラムを用いたゲル濾過クロマトグラフィーにより分画し、精製PAI−1を得た。この精製PAI−1を、10% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に付し、泳動後ゲルを銀染色した結果、分子量約5万のほぼ単一のバンドが認められた。
【0032】
<2>抗PAI−1ウサギポリクローナル抗体の調製
上記で得られたPAI−1を、限外濾過膜(アミコン社、YM−10)を用いて400μg/mlに濃縮した。これとフロイントの完全アジュバントとの混合物でニュージーランド白色ウサギを免疫し、8〜10週間後に追加免疫を行った。初回免疫より10〜14週間後に採血し、抗PAI−1抗血清を得た。
【0033】
上記抗PAI−1血清を、Nisonoffらの方法(Nisonoff, A. Methodsin Medical Research, Eisen H. N. (ed). Year Book Medical Publishers, Chicago, (1964) 10, 134−141)により精製し、抗PAI−1ポリクローナル抗体を得た。すなわち、抗血清から硫酸アンモニウム塩析により、粗γ−グロブリン分画を得、ペプシン消化によりF(ab’)を得た。
【0034】
<3>抗PAI−1抗体の評価
(1)精製PAI−1の活性化
精製PAI−1の活性化は、Hekmanらの方法(J. Biol. Chem., 260, 11581−11587 (1985) )、すなわち、精製PAI−1を20mM トリス−塩酸(pH7.6)に対して透析後SDSを添加し、0.1%SDS存在下で37℃で30分インキュベートすることにより行った。活性化させたPAI−1は、4℃で20時間、3000倍容の20mM トリス−塩酸(pH7.6)、0.05% Tween20に対して十分に透析した。
【0035】
(2)抗PAI−1抗体と活性化PAI−1、tPA、及びtPA・PAI−1複合体との反応
得られた活性化PAI−1と一本鎖tPA(Biopool社製)とを37℃で30分間混合することにより、tPA・PAI−1複合体を作製し、1/4容のSDS−PAGEサンプルバッファー(0.25M トリス−塩酸(pH6.8)、4.4% SDS、40%グリセロール、0.05% ブロモフェノールブルー)を加えてtPAの結合反応を停止させた。
【0036】
活性化PAI−1、tPA、及びtPA・PAI−1複合体は、Laemmliの方法(Nature, 227, 680−685 (1970))にしたがったSDS−PAGEにより分析した。アクリルアミド濃度は、スタッキングゲルは4%、ランニングゲルは9%とした。泳動後、ゲルは銀染色、あるいはウェスタンブロッティング解析を行った。ウェスタンブロッティングは、ゲルをニトロセルロース膜に転写し、抗PAI−1抗体、アルカリフォスファターゼ標識した抗ウサギIgヤギ抗体、及び基質色素と順次インキュベートして発色させることにより行った。
【0037】
ゲルを銀染色した結果、tPA・PAI−1複合体はおよそ120kdの大きさを示した。また、過剰のtPAを加えると、PAI−1の分解物が認められた。イムノブロッティングの結果、抗PAI−1抗体は、PAI−1、tPA・PAI−1複合体、及びこれらの分解物を認識し、tPAとのクロス反応は認められなかった。また、正常ヒト血漿などのその他のタンパクに対して上記と同様にしてイムノブロッティングを行った結果、これらのタンパクとのクロス反応は認められなかった。こうして、抗PAI−1抗体の特異性が確認された。
【0038】
<4>抗PAI−1抗体結合ラテックス試薬の調製
抗PAI−1抗体を、硫酸アンモニウムを用いた塩析によりγ−グロブリン分画として粗精製した後、ペプシン消化して抗PAI−1 F(ab’)を得た。このPAI−1 F(ab’)を、平均粒径0.53μmのポリスチレンラテックス(セラダイン社製)表面に常法により固定し、ラテックス試薬とした。試薬中のラテックス濃度は0.1〜0.5%であり、PAI−1 F(ab’)の濃度は0.025〜0.25μg/μlであった。
【0039】
【実施例2】血漿PAI−1の測定
<1>PAI−1標準品を用いたPAI−1測定用検量線の作成
Bradfordの方法(Anal. Biochem., 72, 248−254 (1976))を用いて精製PAI−1のタンパク質量を定量し、BSA(ウシ血清アルブミン)添加トリス緩衝液で15、30、90、270ng/mlに希釈し、PAI−1測定用標準品とした。
【0040】
上記PAI−1標準品溶液5μl、BSA含有トリス−塩酸緩衝液270μl、実施例1で得られたラテックス試薬40μlを混合し、反応キュベットに自動分注後、近赤外(950nm)の吸収の増加を10分間測定することにより、免疫反応を観察した。測定は、ラテックス凝集全自動測定器(三菱化学(株)製:LPIA−200システム)を用いて行った。測定は、20分以内に完了した。その結果、PAI−1量とラテックス凝集率は、直線性を示した。
【0041】
<2>tPA・PAI−1複合体に対するラテックス試薬の反応性
活性型PAI−1に対するtPA量を増加させて、上記と同様にしてこれらを反応させ、PAI−1総濃度、tPA・PAI−1複合体濃度、及びPAI活性を測定した。PAI−1総濃度はELISAキット(Biopool社製、TintElise)を用いて、tPA・PAI−1複合体濃度はサンドウィッチEIAキット(帝人(株)社製、tPAI−C test)を用いて、PAI活性は合成基質法による測定キット(Biopool社製、Spectrolyse/fiblin)を用いて、それぞれ測定した。結果を図1に示す。図中、●はPAI−1総濃度(ng/ml)、□はtPA・PAI−1複合体濃度(ng/ml)、○はPAI活性(U/ml)をそれぞれ表す。図に示されるように、tPA量が増加するにつれてtPA・PAI−1複合体濃度は増加し、PAI−1に対するtPAのモル濃度比が1:1以上になると飽和した。PAI活性は、tPAの増加に伴い低下したが、PAI−1総濃度は変化しなかった。
【0042】
また、種々の形態のPAI−1、すなわち、活性型、潜在型(latent:活性型PAI−1血漿を凍結融解を2回繰り返すことにより得た)、及び一本鎖tPA(octPA)、組換えtPA(三菱化学(株)製)またはヒト重鎖ウロキナーゼ(UK)(American diagnostica社製)との複合体について同様の測定を行ったところ、すべての形態においてほぼ100%の試薬反応性を示した(表1)。
【0043】
【表1】
Figure 0003542664
【0044】
また、本発明のラテックス試薬は、PAI活性が低下した潜在型PAI−1血漿に対する反応性も変化は無かった。
【0045】
<3>PAI−1の抗原としての保存安定性
4℃で5日間、及び凍結融解を3回繰り返した健常人血漿試料中のPAI活性は経時的に活性が低下したが、ラテックス試薬に対する反応性は変化せず、安定であった。
【0046】
<4>本発明の方法と他のPAI−1測定法との相関
健常人及び各種血液凝固疾患患者の血液を0.1%クエン酸ナトリウムに加え、2000×gで15分遠心して血小板に乏しい血漿を得た。全ての試料は、−40℃で保存した。
【0047】
正常人及び患者の血漿中のPAI活性と、本発明の方法により測定したPAI−1総濃度との相関を図2に示す。これらの相関係数(r)は、0.79であった。また、ELISAキット(Biopool社製、TintElise)により測定したPAI−1総濃度と本発明の方法による測定値との相関係数は0.94と高かったが、サンドウィッチEIAキット(帝人(株)社製、tPAI−C test)で測定したtPA・PAI−1複合体とPAI−1との相関係数は0.34であった。
【0048】
<5>PAI−1総濃度の希釈直線性の評価
急性心筋梗塞患者のクエン酸添加血漿3検体について、BSA含有トリス緩衝液で2倍づつ連続希釈した試料用いて、直線性を調べた。これらの試料5μl、BSA含有トリス−塩酸緩衝液270μl、実施例1で得られたラテックス試薬40μlを混合し、反応キュベットに自動分注後、上記と同様にしてラテックス粒子の凝集を測定した。PAI−1標準品の検量線から、検体中のPAI−1総濃度を算出した。結果を図3に示す。いずれの検体においても良好な希釈直線性を示した。
【0049】
反応系に加えたPAI−1標準品の回収率は、80〜110%であった。測定領域全域にわたって、同時再現性の検討結果は、標準品及び健常人血漿試料についての変動係数は2−5%(n=10)であった。
【0050】
これとは別に測定した日本人の健常人(n=67)のPAI−1総濃度は、22.37±15.18ng/ml、95パーセンタイルは50ng/ml以下であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明のラテックス試薬を用いたPAI−1の測定法によれば、短時間で再現性よくPAI−1総濃度を測定することができる。また、本発明の方法に用いる検体は、保存安定性に優れている。本発明のPAI−1総濃度の測定法は、血液凝固疾患における血管内皮障害の指標となると期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】tPA・PAI−1複合体のラテックス試薬に対する反応性を示す図。図中、●はPAI−1総濃度(ng/ml)、□はtPA・PAI−1複合体濃度(ng/ml)、○はPAI活性(U/ml)をそれぞれ表す。
【図2】PAI活性と本発明の方法により測定したPAI−1総濃度との相関を示す図。
【図3】血液凝固疾患患者のクエン酸添加血漿中のPAI−1総濃度の希釈直線性を示す図。

Claims (3)

  1. ラテックス粒子上にプラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1の活性型、潜在型、及び複合体のいずれにも結合するポリクローナル抗体が固定化された、プラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1のラテックス凝集による免疫測定法に用いるための試薬。
  2. 請求項1記載の試薬を用いたラテックス凝集により、試料中のプラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1の総抗原量を測定する免疫測定法。
  3. 請求項2記載の方法によりプラスミノーゲン アクチベーター インヒビター−1の総抗原量を測定することを特徴とする、血管内皮障害に起因する疾患の検知法。
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