JP3539546B2 - 加工性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用、家電用、機械構造用、建築用等の使途に適用して有利な高張力溶融亜鉛めっき鋼板に係り、とくに延性、靱性、強度−伸びバランスに優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板に関する。本発明における鋼板は、鋼板、鋼帯を含むものとする。
【0002】
【従来の技術】
自動車用、家電用、機械構造用、建築用等に用いられる鋼材には、強度、加工性、靱性といった機械的性質が優れていることが要求される。このうち、強度については、従来から、種々の方法により高強度化した高張力鋼板が提案されている。例えば、フェライト単相組織で、Si、Mn、Pなどの固溶強化元素を添加した固溶強化型鋼板、あるいはNb、Tiといった炭窒化物形成元素を添加した析出強化型鋼板、あるいはフェライト相と、マルテンサイト、ベイナイトなどの第2相により強化した複相組織型(DP(Dual Phase))鋼板、あるいは結晶粒の微細化により強化した鋼板などが知られている。
【0003】
一方、溶融亜鉛めっき鋼板は、耐食性に優れていることから、自動車、家電、建材等に幅広い用途に利用されている。しかし、高強度化した高張力鋼板に溶融亜鉛めっきを施すには、種々の困難があった。
例えば、固溶強化型鋼板では、固溶強化のため添加されたSi、Mn、Pなどの合金元素が、めっき密着性の劣化、合金化の遅延などの原因となり、高張力めっき鋼板の製造は非常に困難であった。また、固溶強化型鋼板では、添加合金元素が多量となるため、コストアップを招くとともに、延性等の加工性が低下し、得られる強度にも限界がある等の問題があった。
【0004】
また、複相組織型鋼板では、第2相をマルテンサイト化するために、Mn、Cr、Moなどの合金元素を添加しているが、Mn、Crは、めっき性、とくにぬれ性を劣化させ、しかもめっき後の合金化を遅滞させるため、形成されるめっき層の特性が劣化する。また、めっき後合金化処理に際し、加熱後の冷却速度が遅い時には、マルテンサイトへの変態率が減少し、複相組織型鋼板の特性が失われるため、合金化処理時に厳密な冷却制御が必要があるなどの問題があった。また、複相組織型鋼板は、強度−延性バランスは良いが、穴拡げ性に劣ることなどいくつかの問題が残されていた。
【0005】
さらに、結晶粒微細化による高張力鋼では、引張強さに加えて、降伏強さが高くなるため降伏比が高く、プレス成形時のしわが発生しやすくプレス成形性が低いという問題が残されていた。
近年、高張力鋼板においては、低コストと高機能特性を両立できる高張力鋼板の開発に目標が移行しつつある。また、さらに、自動車用鋼板においては、衝突時に乗員を保護するために、高強度化に加えて耐衝撃性にも優れていることが要求されている。
【0006】
このようなことから、高張力めっき鋼板では、強度と、それ以外の靱性、加工性等の機械的性質、さらにめっき性を含め、総合的に向上させる必要があり、高張力化に伴う延性、靱性、耐久比などの劣化を抑え、さらにめっき性の劣化を抑える目的でめっき原板である高張力鋼板における組織の微細化が重要な課題となっている。
【0007】
最近では、熱間圧延前のオーステナイト粒を極度に微細化して圧延し動的再結晶とさらに制御冷却を利用し、組織を微細化する方法が、例えば、特開平9-87798 号公報、特開平9-143570号公報、特開平10-8138 号公報に記載されている。
特開平9-87798 号公報には、Mn:1.0 〜2.5 wt%、Ti:0.05〜0.30wt%、あるいはTi:0.05〜0.30wt%およびNb:0.30wt%以下を含有するスラブを950 〜1100℃の温度に加熱し、1パス当たりの圧下率が20%以上となる圧延を少なくとも2回以上行い、仕上圧延温度がAr3変態点以上となる熱間圧延を行った後、20℃/s 以上の冷却速度で冷却し、350 〜550 ℃で巻き取り、平均結晶粒径10μm 未満のポリゴナルフェライト75体積%以上と、残留オーステナイト5〜20体積%の組織とする高張力熱延鋼板の製造方法が開示されている。
【0008】
特開平9-143570号公報には、Ti:0.05〜0.3 wt%、Nb:0.10wt%以下のうちの1種または2種を含有する鋼を950 〜1100℃の温度に加熱し、1パス当たりの圧下率が20%以上となる圧延を少なくとも2回以上行い、仕上圧延温度がAr3変態点以上となるように熱間圧延し、Ar3変態点〜750 ℃を20℃/s 以上の冷却速度で冷却し、750 ℃未満〜600 ℃の温度範囲で5 〜20sec 間滞留させたのち、再び20℃/s 以上の冷却速度で550 ℃以下の温度まで冷却し、550 ℃以下の温度で巻き取り、フェライト80体積%以上で平均フェライト粒径10μm 未満の極微細組織を有する高張力熱延鋼板の製造方法が開示されている。
【0009】
特開平10-8138 号公報には、Mn:1.0 wt%以下、Ti:0.05〜0.30wt%、あるいはTiの全部または1部に代え、その2倍量のNbを含有するスラブを950 〜1100℃の温度に加熱し、1パス当たりの圧下率が20%以上となる圧延を少なくとも2回以上行い、仕上圧延温度がAr3変態点以上となる熱間圧延した後、20℃/s 以上の冷却速度で冷却し、350 〜550 ℃で巻き取り、フェライトと残留オーステナイトからなる超微細粒組織を有する高張力熱延鋼板の製造方法が開示されている。
【0010】
また、特開平10-195588 号公報には、wt%で、C:0.02〜0.2 %、Si:0.1 〜1.5 %、Mn:0.5 〜3.0 %、S:0.010 %以下を含み、P:0.03〜0.15%、Cr:0.1 〜2.0 %、Mo:0.1 〜1.0 %から選ばれた1種または2種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、平均粒径10μm 以下のフェライト相が80〜97%を占め、残部は平均直径がフェライト平均粒径の0.2 〜1.5 倍であるマルテンサイトを主体とする第2相からなる、成形性と耐衝突特性に優れる熱延高張力鋼板が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9-87798 号公報、特開平9-143570号公報、特開平10-8138 号公報に記載された技術は結晶粒の微細化に主眼をおいたものであるが、粒径は3.6 μm 程度までは得られるものの、これらの技術を用いて製造された鋼板では、強度および延性は向上するが、機械的特性の異方性が、とくに自動車用鋼板の加工性という観点からは、許容できるほど小さくなっているとは言い難く、また、降伏比が高く、プレス成形時にしわなどの発生が生じやすい。
【0012】
また、特開平10-195588 号公報に記載された技術で製造された高張力鋼板は、従来に比べ、成形性や耐衝撃特性は向上するが、現在要求されている自動車用鋼板の加工性という観点からは、伸びの異方性(ΔEl)が大きく、降伏比が高いという問題を残していた。
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、超微細粒を有し、しかも降伏比が低く、強度−伸びバランス、穴拡げ性に優れ、伸びの異方性が小さく、さらに良好な特性のめっき層を有し、加工性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、まずめっき原板組織の微細化について鋭意研究した結果、熱間圧延時、オーステナイト域の動的再結晶温度域で繰り返し圧下、しかも比較的軽圧下したのち急冷することにより、主相であるフェライト粒を3.5 μm 以下の超微細粒とすることができるとともに、第2相も主相と同等以上に微細化し、しかも島状に分散して形成させることができることを知見した。さらに、超微細粒を有する熱延板にAc1変態点以上(Ac1変態点+80℃)以下のα−γ2相域の温度範囲に加熱したのち冷却する焼鈍を施すと、降伏比が著しく低下し、さらに強度−伸びバランスが顕著に向上した高張力鋼板を製造できることを見いだした。さらに、この高張力鋼板に溶融亜鉛めっきを施しても形成されるめっき層は、めっき密着性に優れ、また合金化の遅延もなく、良好な特性を有することを知見した。
【0014】
本発明の基礎になった実験結果について、説明する。
C:0.12%、Si:0.3 %、Mn:0.8 %、Pi:0.005 %、Ti:0.16%を含有し、フェライト平均結晶粒径を1.5 μm あるいは4.5 μm としたフェライトを主相とする熱延鋼板(Ac1変態点:740 ℃)に、650 ℃〜880 ℃の範囲で加熱温度を変化して連続焼鈍を施した。均熱温度での保持時間は 40sec と一定した。均熱後の冷却速度は30℃/s とし、300 ℃まで急冷した。連続焼鈍後、引張試験を実施し、降伏強さYS、引張強さTS、伸びElを求め、降伏比YR、強度−伸びバランスTS×Elを計算した。なお、熱延のままの鋼板についても引張試験を実施した。それらの結果を図1および図2に示す。
【0015】
図1、図2から、熱延のままのフェライト粒径(初期粒径)が1.5 μm の超微細粒鋼板を、Ac1変態点以上(Ac1変態点+80℃)以下のα−γ2相域に加熱すると、TSが増加し、YSが低下して、YRが低下し、TS×Elが顕著に向上することがわかる。初期粒径が4.5 μm の場合には、このような低YR化およびTS×Elの顕著な向上は見られない。
【0016】
本発明者らの更なる検討により、初期粒径が3.5 μm 以下の微細粒鋼板をAc1変態点以上に加熱し、α→γ逆変態を生じさせることにより、冷却後の組織が、平均結晶粒径3.5 μm 以下の第2相を含み、その第2相がマルテンサイト相を主としさらにオーステナイト相を有するようになる。これにより多量の合金元素を添加することなく、低YS、高TSで、極めて良好なTS×Elバランスを有する鋼板となるという知見を得た。また、Ac1変態点+80℃超えて加熱すると、結晶粒が成長し、強度が低下し、材質特性が劣化する。一方、初期粒径が3.5 μm を超える鋼板では、短時間焼鈍では十分な逆変態および第2相への合金元素の濃縮が生じにくいため、冷却後にマルテンサイト等が生じにくい。長時間焼鈍で逆変態を生じさせても第2相の粒径が3.5 μm を超え、特性が劣化する。
【0017】
本発明者らは、上記した知見をもとにさらに検討を加え、本発明を完成させたのである。
すなわち、本発明は、熱延鋼板表面に溶融亜鉛めっきを施した溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記熱延鋼板が、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、Ti:0.03〜0.3 %、さらにAl:0.10%以下を含み、残部が実質的にFeからなる組成を有し、かつ主相である体積率で 50 %以上のフェライトと、第2相とからなる組織を有し、前記フェライトの平均粒径が3.5 μm 以下、前記第2相の平均粒径が3.5 μm 以下で、かつ前記第2相が第2相全体的に対する体積率で 70 %以上のマルテンサイトと体積率2%以上のオーステナイトを有する高張力熱延鋼板であることを特徴とする加工性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板である。また、本発明では、前記熱延鋼板を、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、Ti:0.03〜0.3 %、さらにAl:0.10%以下を含み、さらに、Nb:0.3 %以下、V:0.3 %以下のうちの1種または2種を含有し、残部が実質的にFeからなる組成の高張力熱延鋼板としても、また、前記熱延鋼板を、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、Ti:0.03〜0.3 %、さらにAl:0.10%以下を含み、さらに、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下のうちの1種または2種以上を含有し、残部が実質的にFeからなる組成の高張力熱延鋼板としても、また、前記熱延鋼板を、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、Ti:0.03〜0.3 %、さらにAl:0.10%以下を含み、さらに、Ca、REM 、Bのうちの1種または2種以上を合計で0.005 %以下を含有し、残部が実質的にFeからなる組成の高張力熱延鋼板としても、また、前記熱延鋼板を、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、Ti:0.03〜0.3 %、さらにAl:0.10%以下を含み、さらに、Nb:0.3 %以下、V:0.3 %以下のうちの1種または2種、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下のうちの1種または2種以上を含有し、残部が実質的にFeからなる組成の高張力熱延鋼板としても、また、前記熱延鋼板を、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、Ti:0.03〜0.3 %、さらにAl:0.10%以下を含み、さらに、Nb:0.3 %以下、V:0.3 %以下のうちの1種または2種、Ca、REM 、Bのうちの1種または2種以上を合計で0.005 %以下を含有し、残部が実質的にFeからなる組成の高張力熱延鋼板としても、また、前記熱延鋼板を、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、Ti:0.03〜0.3 %、さらにAl:0.10%以下を含み、さらに、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下のうちの1種または2種以上、Ca、REM 、Bのうちの1種または2種以上を合計で0.005 %以下を含有し、残部が実質的にFeからなる組成の高張力熱延鋼板としても、また、前記熱延鋼板を、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、Ti:0.03〜0.3 %、さらにAl:0.10%以下を含み、さらに、Nb:0.3 %以下、V:0.3 %以下のうちの1種または2種、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下のうちの1種または2種以上、Ca、REM 、Bのうちの1種または2種以上を合計で0.005 %以下を含有し、残部が実質的にFeからなる組成の高張力熱延鋼板としてもよい。
【0018】
また、本発明は、鋼板に溶融亜鉛めっき処理を施して溶融亜鉛めっき鋼板とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記鋼板を、質量%で、C: 0.01 〜 0.3 %、 Si : 1.0 %以下、 Mn : 3.0 %以下、P: 0.5 %以下、 Ti : 0.03 〜 0.3 %を含み、さらに Al : 0.10 %を含有し、残部が実質的に Fe からなる組成を有し、かつ主相である体積率で 50 %以上のフェライトの平均結晶粒径が3.5 μm 以下である高張力熱延鋼板とし、前記溶融亜鉛めっき処理前に、前記鋼板にAc1変態点〜(Ac1変態点+80℃)の温度範囲に加熱後、 10 〜 100 ℃/ s の範囲の冷却速度で急冷停止温度: 200 〜 460 ℃まで冷却する焼鈍処理を施したのち、450 〜500 ℃の温度範囲の溶融亜鉛めっき浴中に浸漬する溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0019】
また、本発明では、前記鋼板を、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、Ti:0.03〜0.3 %を含み、さらに Al : 0.10 %以下を含有し、残部が実質的に Fe からなる組成の圧延用鋼素材を、1100℃以下に再加熱するか、あるいは1100℃以下となってから、(動的再結晶の下限温度)+ 80 ℃から動的再結晶の下限温度までの動的再結晶低温域で少なくとも5パス以上の圧下を行い、仕上圧延温度をAr3変態点以上とする熱間圧延を施し、熱間圧延終了後、0.5sec以内に30℃/s以上の冷却速度で冷却して得られた、主相である体積率で 50 %以上のフェライトの平均粒径が3.5 μm 以下である組織を有する高張力熱延鋼板とするのが好ましい。
【0020】
また、本発明では、鋼板に溶融亜鉛めっき処理および合金化処理を施して合金化溶融亜鉛めっき鋼板とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記鋼板を、質量%で、C: 0.01 〜 0.3 %、 Si : 1.0 %以下、 Mn : 3.0 %以下、P: 0.5 %以下、 Ti : 0.03 〜 0.3 %を含み、さらに Al : 0.10 %以下を含有し、残部が実質的に Fe からなる組成を有し、かつ主相である体積率で 50 %以上のフェライトの平均結晶粒径が3.5 μm 以下である高張力熱延鋼板とし、前記溶融亜鉛めっき処理前に、前記鋼板にAc1変態点〜(Ac1変態点+80℃)の温度範囲に加熱後、 10 〜 100 ℃/ s の範囲の冷却速度で急冷停止温度: 200 〜 460 ℃まで冷却する焼鈍処理を施したのち、450 〜500 ℃の温度範囲の溶融亜鉛めっき浴中に浸漬する溶融亜鉛めっき処理を施し、ついで450 〜550 ℃の温度範囲に加熱し合金化する合金化処理を施すことを特徴とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。また、本発明では、前記鋼板を、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、Ti:0.03〜0.3 %を含み、さらに Al : 0.10 %以下を含有し、残部が実質的に Fe からなる組成の圧延用鋼素材を、1100℃以下に再加熱するか、あるいは1100℃以下となってから、動的再結晶低温域で少なくとも5パス以上の圧下を行い、仕上圧延温度をAr3変態点以上とする熱間圧延を施し、熱間圧延終了後、0.5sec以内に30℃/s以上の冷却速度で冷却して得られた、主相である体積率で 50 %以上のフェライトの平均粒径が3.5 μm 以下である組織を有する高張力熱延鋼板とするのが好ましい。
【0021】
また、本発明の高張力溶融亜鉛めっき鋼板(高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を含む)の製造方法においては、前記熱延鋼板が、前記組成に加えて、さらに質量%で、Nb:0.3 %以下、V:0.3 %以下のうちの1種または2種、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下のうちの1種または2種以上、Ca、REM 、Bのうちの1種または2種以上を合計で0.005 %以下、の各群から選ばれた1群または2群以上を含有する組成としてもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の溶融めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき原板(鋼板)として使用する高張力熱延鋼板の化学成分の限定理由について説明する。以下、質量%は単に%と記す。
C:0.01〜0.3 %
Cは、安価な強化成分であり、所望の鋼板強度に応じ必要量を含有させる。C含有量が0.01%未満では、結晶粒が粗大化し、本発明で目的とするフェライトの平均粒径3.5 μm 未満を達成できなくなる。また、C含有量が0.3 %を超えると、加工性が劣化するとともに溶接性も劣化する。このため、Cは0.01〜0.3 %の範囲とする。より好ましくは、0.05〜0.2 %の範囲である。
【0023】
Si:1.0 %以下
Siは、固溶強化成分として強度−伸びバランスを改善しつつ強度上昇に有効に寄与する。また、フェライトの生成を抑制し所望の第2相体積率を有する組織を得るうえで有効に作用するが、過剰な含有は、延性や表面性状を劣化させる。このため、Siは1.0 %以下とする。なお、好ましくは0.01〜0.7 %である。
【0024】
Mn:3.0 %以下
Mnは、Ar3変態点を低下させる作用を通じ結晶粒の微細化に寄与する。また、第2相のマルテンサイト化および残留オーステナイト化を進展させる作用を通じ、強度−伸びバランスを高める作用を有する。さらに、有害な固溶SをMnS として無害化する作用も有する。しかし、多量の含有は鋼を硬質化し、却って強度−伸びバランスを劣化させる。このようなことから、Mnは3.0 %以下とする。なお、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.3 〜2.0 %である。
【0025】
P:0.5 %以下
Pは、強化成分として有用であり、所望の鋼板強度に応じ含有することができるが、過剰の含有は、粒界に偏析し脆化の原因となる。このため、Pは0.5 %以下とする。なお、過度の低減はコスト高となることもあり、好ましくは0.001 〜0.2 %、より好ましくは0.005 〜0.1 %である。
【0026】
Ti:0.03〜0.3 %
Tiは、TiC として存在して、熱間圧延加熱段階での初期オーステナイト粒を微細化し、それ以降の熱間圧延過程での動的再結晶を誘起させるために有効に作用する。このような作用を発揮させるためには、少なくとも0.03%以上の含有が必要であるが、0.3 %を超えて含有しても、効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できない。このため、Tiは0.03〜0.3 %の範囲とする。なお、好ましくは、0.05〜0.20%である。
【0027】
Al:0.10%以下
Alは、脱酸剤として作用するとともに、AlN として結晶粒を微細化する作用を有している。しかし、0.10%を超える含有は、酸化物径介在物が増加し、清浄度を低下させる。このため、Alは0.10%以下に限定する。なお、好ましくは0.005 〜0.07%である。
【0028】
Nb:0.3 %以下、V:0.3 %以下のうちの1種または2種
Nb、Vは、いずれも炭窒化物を形成し、熱間圧延加熱段階での初期オーステナイト粒を微細化する作用を有しており、必要に応じ、Tiと重畳して含有することにより、さらに動的再結晶の発生に有効に作用する。しかし、0.3 %を超えて多量に含有しても効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できない。このため、Nb、Vとも0.3 %以下とするのが望ましい。
【0029】
Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下のうちの1種または2種以上
Cu、Mo、Ni、Crは、いずれも強化成分として、必要に応じ、含有することができるが、多量の含有はかえって強度−延性バランスを劣化させる。このため、Cu、Mo、Ni、Crは、いずれも1.0 %以下とするのが望ましい。なお、上記した作用効果を十分に発揮するためには、少なくとも0.01%以上含有させるのが好ましい。
【0030】
Ca、REM 、Bのうちの1種または2種以上を合計で0.005 %以下
Ca、REM 、Bは、いずれも硫化物の形状制御や粒界強度の上昇を通じ加工性を改善する効果を有しており、必要に応じ含有させることができる。しかし、過剰な含有は、清浄度や再結晶性に悪影響を及ぼす恐れがあるため、合計で0.005 %以下とするのが望ましい。
【0031】
本発明で溶融亜鉛めっきを表面に形成される熱延鋼板は、上記した組成以外は、残部実質的にFeからなる。
本発明で溶融亜鉛めっきを表面に形成される熱延鋼板は、平均粒径が3.5 μm 以下のフェライトを主相とし、主相と第2相とからなる組織を有する。主相は、体積率で50%以上、好ましくは 70 %以上とするのが好ましい。50%未満では、加工性が低く、強度が高くなりすぎる。第2相は、平均粒径が3.5 μm 以下で、かつ第2相全体に対する体積率で、70%以上のマルテンサイトと体積率2%以上のオーステナイトを有する。
【0032】
フェライト粒が微細化すれば、従来の高張力鋼に比べ少ない合金元素添加量で目標とする強度を確保することができ、しかも強度以外の特性の劣化が少なく、その後のめっき性も良好となる。しかし、フェライトの平均粒径が3.5 μm を超えると、結晶粒微細化による強度増加分が少なく合金添加量が増加し、さらにその後のめっき性へも悪影響を及ぼす。このため、フェライトの平均粒径を3.5 μm 以下に限定した。また、第2相の平均粒径が3.5 μm を超えて大きくなると、靱性、延性の向上が少なくなるため、第2相の平均粒径を3.5 μm 以下に限定した。
【0033】
第2相の体積率は、3〜30%とするのが望ましい。第2相の体積率が3%未満では、フェライト粒微細化による強度上昇効果はあるが、延性が低下し、強度─延性バランスが低い。30%を超えると穴拡げ性が低下する。
第2相は、第2相全体に対する体積率で70%以上のマルテンサイトと体積率で2%以上のオーステナイトを有するものとする。
【0034】
第2相中のマルテンサイトの体積率が70%未満では、低降伏比が得られず、微細粒を有する鋼板の欠点である高降伏比となり、また強度−伸びバランスが低い。また、第2相中のオーステナイトの体積率が2%未満では、低い強度−伸びバランスしか得られない。オーステナイトの体積率が2%以上ではじめて、TS×Elが23000MPa・%以上となる。
【0035】
なお、本発明においては、フェライト、第2相の平均粒径は、常法に従い、圧延方向断面における平均粒径とする。
つぎに、本発明の熱延鋼板の製造方法について説明する。なお、焼鈍の前までの工程(溶綱〜熱間圧延・コイル巻き取り)は、主相であるフェライトの平均結晶粒径が3.5 μm 以下である高張力熱延鋼板を得るための好適な一例であり、この製造方法に限定されるものではない。
【0036】
上記した成分組成範囲に調整した溶鋼を、連続鋳造または造塊−分塊圧延により圧延素材とし、この圧延素材に熱間圧延を施し熱延鋼板とする。
熱間圧延は、圧延素材を、一旦冷却したのち再加熱する再加熱圧延としても、直送圧延やホットチャージローリングとしてもよい。また、薄スラブ連続鋳造法のような、連続鋳造されたスラブを直接熱間圧延してもよい。再加熱する場合には、初期オーステナイト粒を微細化するために、1100℃以下に加熱するのが望ましい。また、直送圧延する場合も、1100℃以下まで冷却したのち圧延を開始するのが動的再結晶を促進するために好ましい。なお、仕上げ圧延温度をオーステナイト域とするため、再加熱温度、または直送圧延開始温度を950 ℃以上とするのが好ましい。
【0037】
上記した温度の圧延素材に熱間圧延を施す際に、本発明では、動的再結晶温度のうちの低い温度域である、(動的再結晶の下限温度)+ 80 ℃から動的再結晶の下限温度までの温度範囲を動的再結晶低温域と定義し、該動的再結晶低温域で少なくとも5パス以上の繰り返し圧下を施すのが好ましい。動的再結晶低温域で繰り返し圧下を施すことにより、オーステナイト粒が微細化される。動的再結晶を起こさせる回数が多くなるほどオーステナイト粒の微細化が進行するため、少なくとも5パス以上で、しかも連続する5パス以上で圧下するのが好ましい。5パス未満では、オーステナイト粒の微細化の程度が小さく、平均フェライト粒径3.5 μm 以下の微細粒を達成しにくい。
【0038】
また、動的再結晶低温域での圧下率は、動的再結晶が生ずる範囲であれば特に限定されるものではないが、1パス当たり4〜20%、好ましくは20%未満とするのが望ましい。1パス当たりの圧下率が4%未満では、動的再結晶が生じない。
一方、1パス当たりの圧下率が20%を超えると、機械的性質の異方性が高くなる。
【0039】
なお、動的再結晶低温域での最終圧延パスは、第2相の微細化を図るため、圧下率13〜30%とするのが望ましい。
なお、Ac1 変態点以上で焼鈍するとはいえ、焼鈍前に第2相が凝集状に存在することは好ましくなく、島状(ここでいう、島状とは、第2相の粒径以下の間隔で他の第2相が存在する比率が20%以下の分散状態をいう)に分布していることが好ましい。上記熱延条件により、島状の第2相分布を得ることができる。
【0040】
本発明でいう動的再結晶温度域は、温度、歪が独立して制御できる測定装置(例えば、富士電波工機製「加工フォーマスター」)により、圧延条件をシミュレーションすることにより得られる歪−応力の関係から予め測定した値を用いるものとする。動的再結晶温度域は、鋼組成、加熱温度、圧下率、圧下配分等で変化するが、850 〜1100℃の温度範囲内で、通常250 〜100 ℃の幅で存在するといわれている。なお、動的再結晶温度域の温度幅は、1パス当たりの圧下率が高いほど、あるいはTi含有量が高いほど、拡大する。
【0041】
また、組織微細化の点からは、動的再結晶温度域のできるだけ低い温度域で圧延を施すのが、γ→α変態の変態サイトが増加し有利である。そこで、オーステナイト粒の微細化を促進するうえでは、(動的再結晶の下限温度)+80℃、好ましくは(動的再結晶の下限温度)+60℃、から動的再結晶の下限温度までの温度範囲を動的再結晶低温域と定義し、この温度域で前記5パス以上の圧下を加えるのが好ましい。
【0042】
動的再結晶低温域における圧延中の被圧延材の温度低下を所定の範囲内でできるだけ少なくするため、圧延スタンド間に加熱手段を設置し、被圧延材またはロールを加熱するのが好ましい。とくに、温度低下の著しい位置に加熱手段を設置するのが有効である。加熱手段としては、高周波加熱装置により鋼板を加熱してもよく、また、電熱ヒータを用いロールを加熱してもよく、また直接通電加熱により加熱しても良い。
【0043】
なお、熱間圧延時においては、潤滑を施しつつ圧下を行ってもよいことは、いうまでもない。
本発明では、動的再結晶温度域での圧延以外の圧延条件はとくに限定されないが、圧延仕上げ温度はAr3変態点以上とする。圧延仕上げ温度がAr3変態点未満では、鋼板の延性、靱性が劣化するためである。
【0044】
上記した条件で熱間圧延を終了した熱延鋼板においては、この時点でのオーステナイト粒はほぼ等軸の結晶粒となっており、熱間圧延終了後直ちに冷却する直近急冷を行えば、γ→α変態の変態核が多く、フェライト粒の粒成長が抑制され組織が微細化される。このため、圧延終了後0.5sec以内、好ましくは、0.3 sec 以内に冷却を開始するのが好ましい。冷却開始が圧延終了後0.5 sec を超えると、粒成長が著しくなる。
【0045】
また、冷却速度は30℃/sec 以上とする。冷却速度が30℃/sec 未満では、フェライト粒の粒成長が生じ、微細化が達成できないうえ、第2相を微細にしかも島状に分布させることが難しくなる。
30℃/sec 以上の冷却速度で、好ましくは350 〜650 ℃の温度域まで冷却された熱延鋼板は、直ちにコイルに巻き取る。巻取温度や、巻き取り後の冷却速度はとくに限定するものではない。製造しようとする鋼板に応じて適宜定めればよい。しかし、巻取温度が高いと、第2相がパーライト主体の組織となりフェライト粒の粒成長が起こりやすくなる。一方、巻取温度が低すぎると、巻き取りが困難となる。このようなことから、巻取温度は350 〜650 ℃の範囲内とするのが望ましい。
【0046】
ついで、熱延鋼板は、溶融亜鉛めっき処理前に、焼鈍を施される。焼鈍方法は、とくに限定する必要はないが、生産能率の点から連続焼鈍とするのが好ましい。均熱温度は、Ac1変態点〜(Ac1変態点+80℃)の温度範囲とする。この温度域に加熱することにより、一部をγ相に変態させる。なお、均熱時間は1〜300 sec とするのが好ましく、より好ましくは20〜100secである。
【0047】
ついで、溶融亜鉛めっき浴中に浸漬されるが、200 〜460 ℃まで冷却したのち、溶融亜鉛めっき浴に浸漬するのが好ましい。なお、冷却速度は10〜100 ℃/s とするのが好ましい。冷却速度が10℃/s 未満ではCの拡散が生じ、第2相をマルテンサイトを主体とし、オーステナイトを含む組織とするのが難しくなる。一方、冷却速度が100 ℃/s を超えて速くしても、第2相の組織分率の変化はなく、また設備上この冷却速度以上とするには多大の困難を伴うため、100 ℃/s を上限とするのが望ましい。均熱後の急冷停止温度は、200 〜460 ℃の温度域とするのが望ましい。急冷停止温度が200 ℃未満では、形状不良が発生しやすく、一方、460 ℃を超えると、マルテンサイト、オーステナイトを所定量含む組織とするのが困難となる。
【0048】
溶融亜鉛めっき処理は、450 〜500 ℃の温度範囲に保持された溶融亜鉛めっき浴中に鋼板を浸漬するのが好ましい。溶融亜鉛めっき処理を施したのち、450 〜550 ℃の温度範囲に加熱し合金化する合金化処理を施してもよい。
溶融亜鉛めっき処理は、好ましくは連続亜鉛めっき設備により行うのが望ましいが、それに限定されるものではない。
【0049】
溶融亜鉛めっき処理を施したのち、450 〜550 ℃の温度範囲に加熱し合金化する合金化処理を施してもよい。合金化処理温度は、適切な合金層構造を得るための温度であり、450 ℃未満では十分な合金化が進まず、一方550 ℃を超えると、合金化が進みすぎ、成形加工時にめっき層が剥離するいわゆるパウダリング性が劣化する。
【0050】
合金化処理後、鋼板は冷却され、必要に応じ調質圧延が行われる。
【0051】
【実施例】
表1に示す組成を有する溶鋼を、連続鋳造法によりスラブ(圧延素材)とした。これらスラブを表2に示す種々の条件で加熱、熱間圧延、圧延後冷却を行って熱延鋼板(板厚1.8 〜2.9 mm)とした。なお、熱間圧延の仕上圧延温度はいずれも各鋼のAr3 変態点以上であった。また、製造条件No. 2は、潤滑圧延を実施した。ついで、これら熱延鋼板に表2に示す条件で加熱、冷却する連続焼鈍を施し、ついで、表2に示す条件で溶融亜鉛めっき処理を施し、溶融亜鉛めっき鋼板とした。一部の鋼板については、さらに溶融亜鉛めっき処理後、直ちに表2に示す条件で加熱合金化処理を行い、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。
【0052】
得られたこれらの鋼板について、組織、引張特性、穴拡げ加工性、めっき性を調査し、表3に示す。
組織は、鋼板の圧延方向断面について、光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡を用いて、JIS G 0551の規定に準拠して、切断法によりフェライトの体積率、粒径および第2相の組織、体積率、粒径を測定した。粒径は、フェライト、第2相とも、それぞれ5視野以上(光学顕微鏡または電子顕微鏡により1000倍での組織写真)について測定し円相当径を求め平均粒径とした。
【0053】
また、引張特性は、鋼板の圧延方向、圧延方向に直角方向、圧延方向に45°方向から採取したJIS 5号試験片により引張特性(降伏点YS、引張強さTS、伸びEl)を測定した。引張試験は、室温で引張速度10mm/min で行った。伸びの測定値からΔEl=1/2 ・(El0 +El90)−El45で定義される各鋼板の伸びの異方性ΔElを計算した。ここで、El0 は圧延方向の伸び値、El90は圧延方向に直角方向の伸び値、El45は圧延方向に45°方向の伸び値を表す。
【0054】
また、穴拡げ加工性は、鋼板に10mmφ(D0 )の打抜き穴を加工したのち、頂角60°の円錐ポンチで押し広げる加工を施し、割れが板厚を貫通した直後の穴径Dを求め、λ= {(D−D0 )/D0 }×100 %から求められるλ値で評価した。
めっき性は、めっき層中の鉄含有量、パウダリング性、めっき性(不めっきの程度)で評価した。めっき層中の鉄含有量はX線により測定した。不めっきの程度は目視により、不めっき欠陥が全くないものを「1」、もっとも不めっきの多いものを「5」とする5段階で評価した。
【0055】
耐パウダリング性は90°曲げ戻し後の、セロハンテープに付着した亜鉛粉を蛍光X線にて測定して評価した。亜鉛粉からの亜鉛の蛍光X線強度を計数管にて2分間計測し、2500CPS以下であれば自動車などのプレス成形に評価「1」として耐えうるものとした。
これらの結果を表3に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
本発明例にめっき原板として用いた鋼板は、いずれもフェライトの平均粒径が3.5 μm 以下で、かつ第2相の平均粒径が3.5 μm 以下で、第2相中のマルテンサイト量が70体積%以上、オーステナイト量が2体積%以上である組織を有し、低降伏比で、TS×El値が23000MPa・%以上と高く、さらにλ値が80%以上と高い穴拡げ加工性を有し、加工性に優れた高張力熱延鋼板であり、また、伸びの異方性ΔElが絶対値で3.0 以下と異方性が少なくなっている。この熱延鋼板に溶融亜鉛めっき処理を施した溶融亜鉛めっき鋼板はめっき性に優れ、さらに加工性を備えた溶融亜鉛めっき鋼板となっている。
【0061】
これに対し、スラブ加熱温度が高く、動的再結晶の生起がなく、フェライト平均粒径が大きく、さらに第2相のマルテンサイト量、オーステナイト量が少なく、本発明の範囲を外れる鋼板No. 4 は、YRが大きく、伸び、TS×El値が低くさらにΔElの絶対値が大となっている。
また、動的再結晶低温域で2パスしか圧下を施さず、フェライト平均粒径が大きく、さらに第2相のマルテンサイト量、オーステナイト量が少なく、本発明の範囲を外れる鋼板No. 5は、YRが大きく、伸び、TS×El値が低くなっている。
【0062】
また、焼鈍後の冷却速度が速く、本発明の範囲を外れる鋼板No.6は、第2相のオーステナイト量が少なく、鋼板No. 4、No. 5、No.22 〜No.24 よりは優れた加工性を示すが、YRがやや高く、TS×El値が若干低くなっている。鋼板No.7は、焼鈍後の冷却速度度が遅く、本発明の好適範囲を外れ、第2相中のマルテンサイト量が少なくなって、鋼板No. 4、No. 5、No.22 〜No.24 より優れた加工性を示すものの、ややYRが高く、TS×El値がやや低くなっている。鋼板No.22 は、Ti含有量が少なく、動的再結晶での圧延ができないため、フェライト平均粒径が大きくなりYRが高くなるとともに、伸び、TS×El値が低くなっている。鋼板No.23 は、Mn量が高く、第2相が52%もあってフェライトが主相とは言い難く、また、第2相もベイナイト主体となるためYRが高く、TS×El値が低い。鋼板No.24 は、C量が少なく、動的再結晶圧下によってもフェライトの平均粒径を3.5 μm 以下とすることができず、またマルテンサイトの形成も困難であった。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、超微細粒を有し、良好な機械的特性を具備し、かつ強度−伸びバランス、強度−穴拡げ性バランスに優れ、めっき性にも優れ、加工性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板、高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】YS、TSにおよぼす焼鈍温度の影響を示すグラフである。
【図2】YR、TS×Elにおよぼす焼鈍温度の影響を示すグラフである。
Claims (10)
- 熱延鋼板表面に溶融亜鉛めっきを施した溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記熱延鋼板が、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、Ti:0.03〜0.3 %、さらに Al : 0.10 %以下を含み、残部が実質的にFeからなる組成を有し、かつ主相である体積率で 50 %以上のフェライトと、第2相とからなる組織を有し、前記フェライトの平均粒径が3.5 μm 以下、前記第2相の平均粒径が3.5 μm 以下で、かつ前記第2相が、第2相全体に対する体積率で、70%以上のマルテンサイトと体積率2%以上のオーステナイトを有する高張力熱延鋼板であることを特徴とする加工性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記熱延鋼板が、前記組成に加えて、さらに、質量%で、Nb:0.3 %以下、V:0.3 %以下のうちの1種または2種を含有する組成の高張力熱延鋼板であることを特徴とする請求項1に記載の高張力溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記熱延鋼板が、前記組成に加えて、さらに、質量%で、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下のうちの1種または2種以上を含有する組成の高張力熱延鋼板であることを特徴とする請求項1または2に記載の加工性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記熱延鋼板が、前記組成に加えて、さらに、質量%で、Ca、REM 、Bのうちの1種または2種以上を合計で0.005 %以下を含有する組成の高張力熱延鋼板であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高張力溶融亜鉛めっき鋼板。
- 鋼板に溶融亜鉛めっき処理を施して溶融亜鉛めっき鋼板とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記鋼板を、質量%で、C: 0.01 〜 0.3 %、 Si : 1.0 %以下、 Mn : 3.0 %以下、P: 0.5 %以下、 Ti : 0.03 〜 0.3 %を含み、さらに Al : 0.10 %以下を含有し、残部が実質的に Fe からなる組成を有し、かつ主相である体積率で 50 %以上のフェライトの平均結晶粒径が3.5 μm 以下である高張力熱延鋼板とし、前記溶融亜鉛めっき処理前に、前記鋼板にAc1変態点〜(Ac1変態点+80℃)の温度範囲に加熱後、 10 〜 100 ℃/ S の範囲の冷却速度で急冷停止温度: 200 〜 460 ℃まで冷却する焼鈍処理を施したのち、450 〜500 ℃の温度範囲の溶融亜鉛めっき浴中に浸漬する溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 鋼板に溶融亜鉛めっき処理および合金化処理を施して合金化溶融亜鉛めっき鋼板とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記鋼板を、質量%で、C: 0.01 〜 0.3 %、 Si : 1. 0 %以下、 Mn : 3. 0 %以下、P: 0.5 %以下、 Ti : 0.03 〜 0.3 %を含み、さらに Al : 0.10 %以下を含有し、残部が実質的に Fe からなる組成を有し、かつ主相である体積率で 50 %以上のフェライトの平均結晶粒径が3.5 μm 以下である高張力熱延鋼板とし、前記溶融亜鉛めっき処理前に、前記鋼板にAc1変態点〜(Ac1変態点+80℃)の温度範囲に加熱後、 10 〜 100 ℃/ s の範囲の冷却速度で急冷停止温度: 200 〜 460 ℃まで冷却する焼鈍処理を施したのち、450 〜500 ℃の温度範囲の溶融亜鉛めっき浴中に浸漬する溶融亜鉛めっき処理を施し、ついで450 〜550 ℃の温度範囲に加熱し合金化する合金化処理を施すことを特徴とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記鋼板が、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、Ti:0.03〜0.3 %を含み、さらに Al : 0.10 %以下含有し、残部が実質的に Fe からなる組成の圧延用鋼素材を、1100℃以下に再加熱するか、あるいは1100℃以下となってから、(動的再結晶の下限温度)+ 80 ℃から動的再結晶の下限温度までの動的再結晶低温域で少なくとも5パス以上の圧下を行い、仕上圧延温度をAr3変態点以上とする熱間圧延を施し、熱間圧延終了後、0.5sec以内に30℃/s以上の冷却速度で冷却して得られた、主相である体積率で 50 %以上のフェライトの平均粒径が3.5 μm 以下である組織を有する高張力熱延鋼板であることを特徴とする請求項5または6に記載の高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えて、さらに、質量%で、 Nb : 0.3 %以下、V: 0.3 % 以下のうちの1種または2種を含有する組成を有することを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えて、さらに、質量%で、 Cu : 1.0 %以下、 Ni : 1.0 %以下、 Cr : 1.0 %以下、 Mo : 1.0 %以下のうちの1種または2種以上を含有する組成を有することを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載の高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えて、さらに、質量%で、 Ca 、 REM 、Bのうちの1種または2種以上を合計で 0.005 %以下を含有する組成を有することを特徴とする請求項5ないし9のいずれかに記載の高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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