[go: up one dir, main page]

JP3530522B1 - 超軽量な防音材 - Google Patents

超軽量な防音材

Info

Publication number
JP3530522B1
JP3530522B1 JP2003358587A JP2003358587A JP3530522B1 JP 3530522 B1 JP3530522 B1 JP 3530522B1 JP 2003358587 A JP2003358587 A JP 2003358587A JP 2003358587 A JP2003358587 A JP 2003358587A JP 3530522 B1 JP3530522 B1 JP 3530522B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
sound
sound absorbing
resonance
absorbing layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003358587A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005121994A (ja
Inventor
亨 井上
雅樹 石川
洋平 石川
宗平 松山
秀行 森
Original Assignee
株式会社タケヒロ
豊田紡織株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社タケヒロ, 豊田紡織株式会社 filed Critical 株式会社タケヒロ
Priority to JP2003358587A priority Critical patent/JP3530522B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3530522B1 publication Critical patent/JP3530522B1/ja
Publication of JP2005121994A publication Critical patent/JP2005121994A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】人の会話に係る周波数帯の騒音レベル、特に高
周波数(1250Hz以上)領域を低減させ、車室内での
会話明瞭度を効率よく改善する。 【解決手段】ダッシュサイレンサ1は、空気層を持った
吸音層2と、1〜20mmの径の孔を開孔率1〜10%で
多数個形成する非通気性材質からなる多孔の共振層3
と、吸音層2と非通気性材質からなる多孔の共振層3と
を接着する接着層4の3層構造から構成され、吸音層2
は厚さ1〜50mm、密度0.02〜0.10g/cm3
ありの軽量な吸音層と、該吸音層と接着層を介して接着
する目付量は200g/m2以下の非通気性材質からなる
多孔の共振層とからなり前記接着層の前記吸音層と非通
気性材質からなる多孔の共振層のその接着強度が剥離幅
25mmで180度の剥離にて1〜20N/25mmである
接着面積を前記吸音層と非通気性材質からなる多孔の共
振層の全界面に対して50〜100%の面積で接着され
た超軽量な防音材である。

Description

【発明の詳細な説明】 【技術分野】
【0001】本発明は、エンジンルームなどの非車室内
側における騒音を車室内に伝播しないようにする超軽量
な防音材に関し、特に、軽量な構造にして、車室内への
騒音を吸収できる超軽量な防音材に関する。
【背景技術】
【0002】特許文献1に示すとおり、車両においてノ
イズ低減と断熱とをもたらすよう、特に、フロア遮音や
端部壁遮音やドアカバーや屋根内側カバーにおいて、吸
音性かつ遮音性かつ振動減衰性かつ断熱性のカバーを形
成するための多機能キット(41)であって、少なくと
も1つの面状車体パーツ(11)と、複数層からなるノ
イズ低減アセンブリパッケージ(42)と、を具備して
なり、前記アセンブリパッケージは、少なくとも1つの
ポーラスなスプリング層(13)とりわけ開放ポアを有
したフォーム層を備え、前記アセンブリパッケージ(4
2)と前記面状車体パーツとの間には、空気層(25)
が設けられ、遮音性と吸音性と振動減衰性とを最適に組
み合わせるのに好適であるような超軽量キット(41)
を形成するために、前記多層アセンブリパッケージ(4
2)は、重量層を有していないアセンブリパッケージで
あって、微小ポーラスを有した硬質層(14)とりわけ
開放ポアを有したファイバ層またはファイバ/フォーム
複合体層を備え、前記硬質層(14)は、Rt=500
Nsm-3〜Rt=2500Nsm-3という空気流に対して
の総抵抗を有し、とりわけ、Rt=900Nsm-3〜Rt
=2000Nsm-3という空気流に対しての総抵抗を有
し、および、mF=0.3kg/m2〜mF=2.0kg/m2
という単位面積あたりの重量を有し、とりわけ、mF=
0.5kg/m2〜mF=1.6kg/m2という単位面積あ
たりの重量を有していることを特徴とするキットであ
る。この発明によるキットの利点は、今日自動車産業に
おいて好んで使用されているような、薄いスチールシー
トまたは軽量アルミニウムシートまたは有機シートに対
して応用した場合に、特に明瞭である。本発明によるキ
ットのさらなる利点は、使用されているポーラススプリ
ング層の熱伝導度が極度に小さいことにある。このた
め、このようなキットは、良好な音響特性(すなわち、
遮音効果)を示しつつも、良好な断熱性をも有してい
る。
【0003】特許文献2に示すとおり、車両用の防音材
10であって、車室内側100より順に、第1の通気性
吸音層20、非通気性遮音層30、第2の通気性吸音層
40の順に積層されており、かつ第1の通気性吸音層2
0の車室内側には非通気層を有せず、第2通気性吸音層
40の反車室内側にも非通気層を有しないことを特徴と
し、防音材を通過し車室内側に漏れた騒音を再吸収する
とともに、エンジンルーム外から車室内に進入してくる
騒音も吸収できる防音材を提供すること、かつ、軽量化
も考慮した防音材を提供するものである。
【0004】特許文献3に示すとおり、車体パネル(1
0)の室内面側に添装される自動車用インシュレータ
(20)であって、このインシュレータ(20)は、繊
維成形体をベースとした吸音層(21)の単層から構成
され、車体パネル(10)を通じて吸音層(21)内に
侵入する騒音を吸音するとともに、吸音層(21)を透
過した透過騒音が車室内のパネル(40)内面で反射し
て、再度表面側から吸音層(21)内に再帰し、該反射
騒音を吸音できる通気型インシュレータとして構成され
ていることを特徴とし、吸音層(21)の表裏面のうち
少なくとも一方面に、吸音層(21)の面密度より高密
度に設定された高密度繊維集合体からなる表皮層(2
2)が積層されている。また、吸音層(21)の表裏面
のうち少なくとも一方面の全面、あるいは一部に発泡樹
脂シート材からなる表皮層(27)が積層されている。
これにより、従来の遮音層を廃止することにより、軽量
化が図れるとともに、インストルメントパネル40内の
音圧上昇を抑え車室内の静粛性を高める。
【0005】特許文献4に示すとおり、積層品は、スキ
ン剥離強度が20N/cm以下であり、L値が60以下で
あるポリオレフィン系樹脂発泡体と、厚さが5mm以上、
密度が50kg/cm3以下の嵩高性不織布とを一体成形
してなる積層体であって、該積層体の目付が3kg/m2
以下であることを特徴とするものである。これにより、
軽量、かつリサイクル性に優れ、成形加工が容易で外観
美麗な積層品を提供できる。
【0006】通気抵抗を利用した表皮層と吸音層の組み
合わせのダッシュサイレンサーが提案されている。従来
からの遮音構造と、特許文献1の構造と透過損失と吸音
力を比較すると以下の通りである。ここで、低周波数と
は1/3オクターブバンド中心周波数で315Hz以下
であり、中周波数は400〜1600Hzで、高周波数
は2000Hz以上である。ここで従来の遮音タイプ構
造(図13参照、以下「図13の構造」という)と、特
許文献1の構造(図14参照、以下「図14の構造」と
いう)と透過損失と吸音力を比較すると以下の通りであ
る。 図13の構造のダッシュサイレンサーの総目付量
は6.0kg/m2であり、図14の構造の現状利用されて
いる実効目付量は2.0kg/m2である。これらの製品は
自動車ボディパネルに取り付けられている。このボディ
パネルの目付量は6.2kg/m2である。図15(a)の
透過損失のグラフから図13の構造では非通気性の表皮
層とパネルで二重壁構造となり、更に、中間に通気抵抗
のある吸音材を利用することで重量則以上の透過損失を
得ることができる。但し、ゴムシートの目付量が高い
為、低い周波数で大きな透過共鳴が発生し透過損失が大
幅に低下する。 図15(a)の透過損失のグラフから
図14の構造では通気の表皮層とパネルで二重壁構造と
なるが表皮層が通気するため、高周波数での音漏れが発
生し、重量則以下の透過損失しか得られない。遮音性で
は図14の構造では十分な透過損失を得ることができな
い。図15(b)の吸音率のグラフから図13の構造で
は低周波数に強い表皮共振による吸音率が向上する周波
数が発生するが、中周波数及び高周波数側で吸音率がほ
とんどない。図15(b)の吸音率のグラフから図14
の構造では通気抵抗の高い表皮層による表皮共振と背後
の吸音層の吸音力を利用して中周波数から高周波数にか
け吸音力を得ている。実際の自動車静粛性への影響はダ
ッシュサイレンサー部では、ダッシュパネルから入射す
る直接音より、自動車各部より入射し、反射する間接音
が多いため、従来構造と比較して特許文献1は大幅に透
過損失は低下しているが、中周波数からの比較的高い吸
音力で車室内の吸音力を向上され、ほぼ同等の車室内の
静粛性を確保する事ができる。更に製品重量で大幅に軽
量化できるため、最近のダッシュパネル構造として利用
されてきた。
【0007】特許文献5及び6に示すとおり、また自動
車の天井材において、表皮質に孔を空けた発明も種々提
案されている。天井材において、非通気性材料に開孔を
設けることで吸音力の向上を示したものであり、これら
の特許は単に開孔による吸音効果を狙っている。
【特許文献1】特表2000−516175
【特許文献2】特開2001−347899
【特許文献3】特開2002−220009
【特許文献4】特開2002−347194
【特許文献5】特開昭55−11947
【特許文献6】実用新案登録第2542339号
【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】
【0008】しかしながら、車両構造によっては直接音
の影響が大きい自動車もあり、この図14の構造では透
過損失が不足し(図15(a)参照)、車室内の静粛性
が確保できないことがある。また、実際の製品は凹凸が
あり、吸音層の厚さが1〜30mmも変化する。これによ
り、高周波数では吸音層の吸音力を利用している特許文
献1の図14の構造では吸音層の厚さ低減により、吸音
力は低下する。更に、吸音層は厚さ30〜50mmのフェ
ルトを成形して生産されるため、薄肉部では通気抵抗が
一般面より低下して、十分な吸音力を得ることができな
い。本来、特許文献1の構造のダッシュサイレンサーは
吸音力で車室内の静粛性を確保している為、これにより
十分な性能を発揮することができなくなるおそれがあ
る。
【0009】また従来の防音材は車室外からの透過音を
低減することを目的にしており、幅広い周波数で良い吸
音力を得ることができるが、車室内の反射音を吸音する
対策が十分ではなく、1/3オクターブバンド中心周波
数で800Hz〜1600Hzが会話明瞭度に重要であ
りこの会話明瞭度の観点から比較的高い1000Hz近
辺の周波数の吸音が不十分である。特許文献2では、図
16に示す通り、1000Hz以上の周波数の吸音は吸
音材の吸音力を利用することから、吸音材の厚さが薄く
なると吸音率が低下する傾向がある。図14の構造の防
音材は車室内での反射音を吸音する機能があるが吸音周
波数の制御の方策が明確でない。特許文献3、4の従来
の防音材では吸音部と表層の界面の拘束状態、表皮部の
通気量で吸音特性、遮音特性が大きく影響されることを
見過ごしている。実際の製品では複雑な形状で界面の接
着強度も必要となり、設計条件と異なる吸音・遮音特性
となるおそれがある。また、狭いスペースでの利用がで
きないおそれがある。
【0010】さらに、特許文献6の段落0003では従
来の天井基材で小孔は径が5mm程度と小さいため吸音効
果を向上させることができないと記述され、段落000
6のように径8mmで20mmピッチで開口率は13%程度
となり800〜2000Hzの吸音性能が向上したと記載
されている。この開孔率では開孔率が大きすぎる状態と
なり、400Hzの吸音率は大幅に低下する傾向がある。
【0011】したがって、本発明は、ボディパネルから
入射する直接音に対する遮音性向上、つまり、透過損失
が低い中周波数からの透過損失の向上を目的とし、実際
の製品の凹凸で吸音層が薄肉化しても十分吸音力を確保
する、つまり、中周波数(特に人の会話に係る周波数帯
の騒音レベル範囲を含む)から高周波数へかけての吸音
力向上を目的とし、従来、315〜800Hzの吸音力
が上がりにくい周波数での吸音力向上を目的とし、更
に、吸音材の軽量化を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】上記諸課題に鑑み、本発明者は吸音層と非
通気性材質からなる多孔の共振層との間の界面における
接着状態に着目することにより、本発明はなされたもの
である。請求項1記載の発明は、厚さが1〜50mm、密
度が0.01〜0.2g/cm3、好ましくは0.03〜
0.08g/cm3の軽量な吸音層と、該吸音層と接着層を
介して接着する、目付量は200g/m2以下、好ましく
は100g/m2以下であって、1〜20mmの径の孔を開
孔率1〜10%で多数個形成する非通気性材質からなる
多孔の共振層と、からなり、前記吸音層と非通気性材質
からなる多孔の共振層に対する前記接着層の接着強度が
剥離幅25mmで180度の剥離にて1〜20N/25m
m、好ましくは3〜10N/25mmに設定され、前記接
着層を前記吸音層と非通気性材質からなる多孔の共振層
の全界面に対して、50〜100%、好ましくは80%
〜100%の面積で接着させ、1〜20mmの径の孔を開
孔率1〜10%で多数個形成し、前記吸音層が車体パネ
ル側に配置され、前記非通気性の共振層は車室内側に設
置される超軽量な防音材である。この剥離方法は「JIS
K6854 図4:180度剥離」に類似し、剥離速
度:200mm/分で行う。本発明では、開孔率1〜10
%で径が1〜20mmで1250Hz以上の周波数で5〜2
0%の吸音力向上があり、更に400Hz付近でも防音材
自体の共振による吸音率向上と1250Hzで非通気性材
質からなる多孔の共振層単体の膜振動による吸音力向上
を接着層にて得ている。前記非通気性材質からなる多孔
の共振層と吸音層との界面は前記接着層によって十分な
接着力で接着されており、前記吸音層と前記非通気性材
質からなる多孔の共振層とをその界面で共振させること
で吸音することを特徴とする防音材である。ここでJIS
L1018 8.3.3.1 編地の通気性による「フラジール形試験
機」及びこの結果に相関性が極めて高い通気性試験機を
用い測定するものであり、非通気性とは、その通気量が
設備の最低測定能力以下である0.1cm3/cm2・sec
以下であるものをいう。前記吸音層は空気層を持つこと
が好ましい。ここで全界面とは前記非通気性材質からな
る多孔の共振層と吸音層とが接着可能な全ての界面をい
う。全界面の面積は、例えば、非通気の共振層、吸音層
の片面の面積をそれぞれS1、S2とすると、S1=S2の
場合なら、全界面の面積S=S1=S2となり、S1>S2
の場合なら、S=S2、S1<S2の場合なら、S=S1で
ある。剥離とは先の接着された吸音層と非通気の共振層
が所定の測定条件で剥がされることを言う。このときの
剥離状態は、材料の表層破壊(たとえばフェルトの表層
破壊)、接着剤の界面剥離(たとえば全ての接着剤が吸
音層側について剥離する)、接着剤の凝集剥離(たとえ
ば吸音層と非通気の共振層の双方に残りながら接着剤自
体が糸を引くように剥離される)、またはこの材料の表
層破壊と、接着剤の界面剥離と、接着剤の凝集剥離とが
複合した状態で剥離することをいう。ここでいう開孔率
とは、非通気の共振層にある孔の面積を、孔の無い場合
の非通気の共振層の表面積で除し、百分率にしたもので
ある。本発明の使用例としては、自動車用防音製品であ
るダッシュサイレンサーの防音構造として利用されるこ
とが挙げられる。このダッシュサイレンサー近傍での騒
音の周波数分析において、高周波(1250Hz以上)の
レベルが大きいとき、この開孔を設けることで、騒音を
吸音しレベルを下げることができる。
【0013】本発明者は非通気性材質からなる多孔の共
振層と吸音層との界面の状態を示す剥離強度と接着層の
接着面積が吸音性に影響することを見出し本発明に至っ
たものである。本発明による超軽量な防音材の原理は、
非通気性材質からなる多孔の共振層と吸音層との界面で
の共振現象による吸音である。非通気性材質からなる多
孔の共振層と吸音層との間にある接着層の利用によっ
て、界面において吸音する音の周波数を制御することが
でき、室内の音は非通気性材質からなる多孔の共振層と
吸音層の膜共振で吸音されるのである。
【0014】非通気共振フィルム層の配置構成として
は、吸音層の全周に亘り設けても良く、また、吸音層の
表面側、裏面側のいずれか一方面に設けるものである。
【0015】吸音層と、この吸音層に対して車室内に近
い側に非通気性材質からなる多孔の共振層(具体的には
非通気性の薄いフィルム層または超軽量な非通気性の発
泡層を形成することが好ましい。吸音層及び接着層は非
通気性又は通気性の材質である。吸音層は、吸音性があ
れば通気性、非通気性は関係がない。例えばウレタンモ
ールド品の中には非通気性のものもある。
【0016】非通気性材質からなる多孔の共振層は、車
両の音振特性等により、全面、あるいは部分的に設けて
も良いが、吸音層の表面側、あるいは裏面側のどちらか
一方に形成する必要がある。
【0017】厚さが1〜50mm、密度が0.01〜0.
2g/cm3、好ましくは0.03〜0.08g/cm3の軽量
な吸音層と、目付量は200g/m2以下、好ましくは1
00g/m2以下であって、1〜20mm、好ましくは8〜
12mmの径の孔を開孔率1〜10%、好ましくは4〜6
%で多数個形成する非通気性材質からなる多孔の共振層
との接着部の面積は50〜100%、 特に80%以上
が好ましい。全面接着でも部分接着でもよい。例えば、
吸音層と非通気性材質の共振層とは、接着層によって連
続的に接着されていることが好ましいが、1〜50ドッ
ト/cm2に相当する点接着で接合してもよいし、糸状に
接着されていることでもよい。また、接着フィルムを利
用した場合、全面接着でもよい。
【0018】接着強度は、剥離幅25mmで180度の剥
離にて1〜20N/25mm、好ましくは3〜10N/2
5mmである。
【0019】目付量は200g/m2以下、好ましくは1
00g/m2以下である。非通気性材質からなる多孔の共
振層において、1〜20mm、好ましくは4〜16mm、特
に好ましくは8〜12mmの径の孔を、開孔率1〜10
%、好ましくは2〜8%、特に好ましくは4〜6%で多
数個形成することが好ましい。非通気性材質からなる多
孔の共振層は、例えば、樹脂発泡体又は樹脂フィルム等
である。吸音層は非通気性又は通気性の材質であり、例
えば、熱可塑性フェルトであり、化繊反毛材、PET繊
維をバインダー繊維でフェルト化したものである。接着
層は非通気性又は通気性の材質であり、例えば、エチレ
ンビニルアセテート(以下EVAと略す)、ウレタン系
接着剤等である。
【0020】請求項2記載の発明は、前記非通気性材質
からなる多孔の共振層の構造は発泡体またはフィルム体
であり、前記発泡体の場合は、厚さ1〜7mm、好ましく
は2〜3mm、前記フィルムの場合は厚さ10〜200μ
m、好ましくは20〜100μmであることを特徴とする
請求項1の超軽量な防音材である。請求項1の吸音層は
非通気性または通気性の低密度の吸音特性を持っている
が、請求項1の非通気性材質からなる多孔の共振層は低
い音または振動エネルギーで振動を容易にする為、十分
軽量である必要があるからである。
【0021】非通気性材質からなる多孔の共振層の目付
量は200g/m2以下、好ましくは100g/m2以下であ
る。非通気性材質からなる多孔の共振層の密度は、発泡
体であるときには、0.02〜0.1g/cm3、好ましく
は、0.03〜0.06g/cm3であり、フィルムである
ときには、0.9〜1.2g/cm3、好ましくは、0.9
〜1.0g/cm3である。非通気性材質からなる多孔の共
振層の厚さは、発泡体であるときには、1〜7mm、好ま
しくは2〜3mmであり、非通気性材質からなる多孔の共
振層がフィルムであるときには、10〜200μm、好
ましくは20〜100μmである。非通気性の共振フィ
ルム層の材質は、オレフィン系樹脂フィルム、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)等のポリエステル系フィ
ルム、ポリウレタン系樹脂フィルム又はそれらの複合体
から構成することが好ましい。非通気独立共振発泡体
は、ポリプロピレン発泡体(以下、PPFという)、ポ
リエチレン発泡体(以下、PEFという)等のオレフィ
ン系発泡体が好ましい。
【0022】請求項3記載の発明は、前記吸音層の初期
圧縮反発力は2〜200N、好ましくは20〜100N
であることを特徴とする請求項1又は2の超軽量な防音
材である。
【0023】吸音層の厚さは1〜50mm、特に好ましく
は5〜40mmであり、その密度が0.01〜0.2g/
cm3、特に0.03〜0.08g/cm3であることが好ま
しい。吸音層の材質は、熱可塑性フェルト、ポリエチレ
ンテレフタレート(以下、PETと略す)等のポリエス
テル系フェルト、ウレタンモールド品、ウレタン発泡の
スラブ品、車両廃材からのリサイクル材(以下、RSP
Pと略す)等が好ましい。
【0024】吸音層の目付量は500〜2000g/
m2、好ましくは1000〜1600g/m2である。
【0025】吸音層の初期圧縮反発力は2〜200N、
好ましくは、20〜100Nである。吸音層に使用され
ている吸音材の初期圧縮反発力の測定方法はφ100m
m、厚さ20mmの円柱状に吸音材をトリミングしたもの
を試料とする。図2は、初期圧縮反発力の測定方法であ
る。先の試料に上面から荷重を加え、5mm圧縮した時の
反発力をテンシロン等の荷重測定装置で測定する。この
時の荷重速度は50mm/分とする。測定の参考値に2.
5mm圧縮時と7.5mm圧縮時も同時に測定する。
【0026】ここで吸音層の圧縮反発力は制振材の弾性
率に関わる値である。従来、防音材の一種であるフェル
ト材は制振材の一種である。制振材料は振動エネルギー
を吸収し熱エネルギーに変換する制振効果を示す特性と
して損失係数ηがある。この損失係数ηは以下の式で計
算される。
【数1】
【0027】本発明によれば、会話明瞭度を改善させる
ため、1000〜1600Hzでの吸音力が特に良好で
ある。これは前記吸音層がその厚さを連続的に任意に変
化させるからである。この範囲での周波数でのシート共
振による吸音力の向上を効果的に得ることができ、車室
内の良好な静粛性が得られる。超軽量な防音材の厚さが
薄くなってもシートの共振現象を利用している為、高い
吸音率を得ることができる。
【0028】従来の吸音材に対し非通気性材質からなる
多孔の共振層の大幅な重量低減が可能になる。この前記
非通気性材質からなる多孔の共振層の目付量は200g
/m2以下、好ましくは100g/m2以下、前記非通気性
材質からなる多孔の共振層の構造は発泡体またはフィル
ム体であり、前記発泡体の場合は、厚さ1〜7mm、好ま
しくは2〜3mm、前記フィルムの場合は厚さ10〜20
0μm、好ましくは20〜100μmとしたからである。
例えば、目付量は、遮音タイプでは4000〜1000
0g/m2であり、吸音タイプでは500〜2000g/
m2であるが、本発明の非通気性材質からなる多孔の共振
層では目付量が200g/m2以下である。
【0029】なお、接着層の厚みは、1〜100μm、
好ましくは5〜50μmが好ましい。接着層の目付量は
5〜200g/m2、好ましくは10〜100g/m2が好ま
しい。接着層の密度は任意であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】以下、本発明の超軽量な防音材に係るダッ
シュサイレンサ1についての好適な実施形態について図
面を参照して説明する。このダッシュサイレンサ1は、
図1(a)(b)に示す通り、熱可塑性フェルトでは通
気度が10〜50cm3/cm2・secでモールドしたもの
であり、ウレタン発泡体(フォーム)では10cm3/cm2
・sec以下の通気度を持つ吸音層2と、非通気性材質
からなる多孔の共振層3との2層構造であるが、吸音層
2と非通気性材質からなる多孔の共振層3の間にそれら
を接着する接着層4が形成されている。吸音層2と非通
気性材質からなる多孔の共振層3とをその界面で共振さ
せることで吸音するものである。ここで、通気度につい
ては、JIS L1018 8.3.3.1 編地の通気性による「フラジ
ール形試験機」及びこの結果に相関性が極めて高い通気
性試験機を用い測定する。非通気材質の共振層3に1〜
20mmの径の孔3aを開孔率1〜10%で多数個形成し
てある。孔3aは丸形、角形、楕円形等の適宜の形状で
よい。孔3aのピッチは均等間隔又は適宜間隔でよい。
孔3aは非通気材質の共振層3の主面に対して垂直に形
成されることが好ましい。開孔率1〜5%は、非通気性
材質からなる多孔の共振層の表面積に対して、多数の孔
3a全部の面積の合計値の占める割合を百分率で規定し
たものである。なお、超軽量な防音材の物性の一覧図表
は図3に記載してある。図4のダッシュパネル10は、
エンジンルームEと車室Rとを区画する鉄製パネル15
上に室内面に沿ってダッシュサイレンサ1が添装されて
いるものである。ダッシュサイレンサ1は、燃費効率及
び取付作業性を高めるために、製品重量を大幅に超軽量
化するとともに、超軽量化しても充分な吸音特性を備え
るように構成されている。
【0031】この吸音層2は、ダッシュパネル10の面
形状に沿って成形されている。吸音層2の厚さは50mm
以下であり、目付量が500〜2000g/m2、好まし
くは、1000〜1600g/m2、その厚さは5mm〜4
0mmが実用上好ましく、任意の厚さに成形される。その
密度は0.01〜0.2g/cm3、好ましくは0.03
〜0.08g/cm3、初期圧縮反発力は2〜200N、
好ましくは、20〜100Nである。ただし、局部的に
厚さが1mmまで圧縮成形される場合は、この部分の密度
は0.5g/cm3と極めて高くなり、吸音性能が低下す
るがこの部分の遮音について重量則分は確保できる。
【0032】吸音層2は、通気性又は非通気性の材質で
ある。熱可塑性フェルトが好ましい。化繊反毛材、PE
T繊維をバインダー繊維でフェルト化したものである。
【0033】図4に示す通り、吸音層2が50mm以下の
範囲で厚さを任意に変化させてあることでダッシュサイ
レンサ1の厚みも変化している。ランダムに吸音層2の
厚みを変更することで、トータルでみると315〜40
00Hzの広い周波数の範囲の音を吸音できる。
【0034】非通気性材質からなる多孔の共振層3は、
吸音層2に対して車室R側に形成したものである。この
非通気性材質からなる多孔の共振層3は、主として、吸
音層2と膜共振することで、車室Rの音を吸音するもの
である。非通気性材質からなる多孔の共振層3は、非通
気共振フィルム層又は非通気独立共振発泡体である。こ
の非通気性材質からなる多孔の共振層3は、非通気性材
質からなる多孔の共振層の目付量は200g/m2以下、
好ましくは100g/m2以下である。非通気性材質から
なる多孔の共振層の厚さは、発泡体であるときには、1
〜7mm、好ましくは2〜3mmであり、非通気性材質から
なる多孔の共振層がフィルムであるときには、10〜2
00μm、好ましくは20〜100μmである。非通気性
材質からなる多孔の共振層の密度は、発泡体であるとき
には、0.02〜0.1g/cm3、好ましくは、0.03
〜0.06g/cm3であり、フィルムであるときには、
0.9〜1.2g/cm3、好ましくは、0.9〜1.0g
/cm3である。非通気性材質からなる多孔の共振層3の
材質は、オレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)等のポリエステル系フィルム、ポ
リウレタン系樹脂フィルム又はそれらの複合体である。
非通気共振発泡体は、ポリプロピレン発泡体(以下、P
PFという)、ポリエチレン発泡体(以下、PEFとい
う)等のオレフィン系発泡体である。
【0035】接着層4の目付量は5〜200g/m2、好
ましくは10〜100g/m2である。接着層4の厚み
は、1〜100μm、好ましくは5〜50μmである。密
度は接着剤の一般的な値でよい。接着層4の接着強度は
1〜20N/25mm、好ましくは3〜10N/25mmで
ある。接着面積率は50%から100%、好ましくは8
0%〜100%である。全面接着でも部分接着でもよ
い。例えば、吸音層2と非通気性材質からなる多孔の共
振層3とは、接着層によって連続的に接着されてもよ
し、1〜50ドット/cm2に相当する点接着で接合して
もよいし、糸状に接着されていることでもよい。また、
接着フィルムを利用した場合、全面接着でもよい。接着
層4の材質は、EVA系、ウレタン系、クロロプレンラ
テックス(CR)系、スチレン−ブタジエン系重合体
(SBR)系、アクリル系、オレフィン系等の樹脂を採
択する。但し、非通気性材質からなる多孔の共振層3を
十分、吸音層2で制振するために、所定の接着力が確保
できない材質の使用は望ましくない。
【0036】吸音層2と非通気性材質からなる多孔の共
振層3の成形工法としては、防音材の抄造工法はカート
機による積層、またはランダム抄造機を利用するが、非
通気性材質からなる多孔の共振層3との接着面はなるべ
く平滑に仕上げることが好ましい。これは接着面積を確
実に確保するためであり、これにより非通気性材質から
なる多孔の共振層3を効率よく強制することができる。
【0037】ボディパネルから入射する直接音に対する
遮音性向上、つまり、透過損失が低い中周波数からの透
過損失の向上の課題については、ボデーパネルの目付量
に比べ、大幅に軽量にした非通気性材質からなる多孔の
共振層3を表皮層として利用し、パネルと非通気性材質
からなる多孔の共振層3の間に通気抵抗のある吸音層2
を設けた。更に従来技術ではなかった非通気性材質から
なる多孔の共振層3と吸音層2の界面の制御(接着層4
による接着力の制御)を行ったものである。非通気性材
質からなる多孔の共振層3の目付を大幅に下げ200g
/m2以下にしたので、これにより、本実施形態の孔3a
を無くした比較形態において、透過共鳴の周波数が高く
なる(図5(a)(b)(1)参照)。また2重層構造に
よる透過損失の向上が認められる(図5(a)(3)参
照)。本実施形態でも同様であり後述する。
【0038】実際の製品の凹凸で吸音層が薄肉化しても
十分吸音力を確保する、つまり、中周波数から高周波数
へかけての吸音力向上の課題について、部品の立て付
け、スペースの影響で吸音層2が薄くなっても、吸音層
2と非通気性材質からなる多孔の共振層3との膜共振を
利用することで高い吸音率を確保できる。共振層の目付
量を50g/m2とした場合、吸音層2と共振周波数fr
との関係は次の表1の通りになる。
【表1】
【0039】車室R内での音は拡散入射であり、非通気
性材質からなる多孔の共振層3は軽量で剛性が低い為、
共振は微少な範囲で独立して発生している。この為、例
えば吸音層2の厚さLの値が30〜5mmに変化したと
き、共振周波数は1531〜3750Hzで変化し、図
6(a),(b)に示す通り、吸音率は幅広い範囲で確
保され、非通気層のない吸音層とは異なり、高い吸音力
を確保することができる。ここで、一般的なバネ・マス
系の振動モデルを考えた場合、吸音層2の空気バネと、
吸音層2と非通気性材質からなる多孔の共振層3の総質
量による機械的バネを利用したときの共振周波数の式
は、通常のバネ振動の式においてバネ定数にあたるk=
ρ・C2/Lとすることにより、共振周波数frが数式
2で算出される。ただし、frは共振周波数(Hz)、
ρは空気密度(1.2Kg/m3)、Cは音速(340m
/s)、mは非通気性材質からなる多孔の共振層3の目
付量(g/m2)、Lは吸音層の厚さ(mm)である。
【数2】
【0040】ここで、先ず、孔3aが無い場合の比較形
態の吸音率と透過損失を図7(a)(b)を参照して考
察する。比較形態によれば吸音層と接着層を介して接着
する非通気性材質からなる多孔の共振層が充分軽量であ
るので、表皮の膜共振により1250Hz付近で高い吸音
率を得ながら接着層により防音材が一体化し、防音材全
体の共振により400Hzで高い吸音率を得ることができ
る。すなわち、400Hzと1250Hz付近の2箇所に
共振周波数がある2系列のバネ・マス振動モデルを形成
している。従来、250〜500HZの吸音力があがり
にくい周波数での吸音力向上の課題について、非通気性
材質からなる多孔の共振層3を吸音層2に十分接着する
ことで、吸音層2のバネ定数が加わり非通気性材質から
なる多孔の共振層3単品の共振周波数が高周波数側へ移
動し(図7(a)(b)(4)参照)、吸音層2の強制力
で共振による透過損失の低下量が減少する(図7(a)
(b)(5)参照)。吸音層2の空気バネと、吸音層2と
非通気性材質からなる多孔の共振層3の総質量によるバ
ネマスで315〜630Hzで共振が発生し、この周波
数の吸音率が向上する(図7(a)(b)(6)参照)。
【0041】この構造ではダッシュサイレンサ1とパネ
ル(ここでは鉄製パネル15)との2重壁効果で重量則
以上の透過損失を得ることができる。更にこの効果を悪
化させる透過共鳴の周波数を表皮層(非通気性材質から
なる多孔の共振層3)を極めて軽量にすることで透過損
失が十分高い周波数領域で発生させ更に表皮層3が極め
て軽量であることと表皮層3と吸音層2の接着力を制御
し、十分な接着力と接着面積を確保することから吸音層
の制振性により透過共鳴により透過損失の低下量を低減
している。一方、吸音特性は非通気の共振層3が極めて
軽く更に吸音層2の厚さを50mm以下に制御すること
で、共振周波数が315〜4000Hzで制御でき、高
い吸音率を得ることができる。また、非通気性材質から
なる多孔の共振層3は、吸音層2と、十分な接着力と接
着面積で接着されているため、吸音層2の一部の質量を
利用したバネ・マス系の共振が315〜630Hzで発
生し、吸音性が向上する。この構成のダッシュサイレン
サー1の非通気の共振層3は、従来の表皮層と比べ目付
量が十分軽量でありながら、ダッシュパネル1から入射
する直接音(ここではエンジンルームEからの音)を十
分遮音し、さらに他部位(ここではエンジンルームE以
外の部分)から入射し車室R内で反射する間接音を吸音
する効果がある。
【0042】次に前記比較形態に孔3aを設けていない
場合の本実施形態の吸音率と透過損失を図8を参照して
考察する。本実施形態では比較形態と振動モデルの構造
は同様であるが、非通気性材質からなる多孔の共振層3
に開孔率1〜10%でφ1〜10mmで孔3a設けること
で、孔3aにより共鳴が発生する。音の拡散入射におい
てこのような軽量で剛性が低い共振層では微妙な範囲で
独立した共振が発生する。これにより孔3aのある領域
では孔3aによる共鳴が発生し、孔3aの無い領域では
400Hz、1250Hzの共振が発生している。本実施形
態の吸音率曲線(図中短い点線)で1%〜10%の開孔
率で径が1〜20mmの多数個の孔3aを非通気性材質か
らなる多孔の共振層3に開けることで、高周波数(12
50Hz以上)の音の波のみ開孔部の影響による共鳴効果
で1250Hz以上の吸音率が比較形態の吸音率曲線(図
中実線で示す)に対して5〜20%向上する(図中a参
照)。中周波数及び低周波数の音の波は本条件では影響
が少ないが400〜1000Hzの吸音率は1〜5%低下
する(図中c参照)。更に非通気性材質からなる多孔の
共振層3に10%以上の開孔率で孔を開けた防音材の吸
音率曲線(図中長い点線)では1250Hz以上の周波数
で吸音率の向上が更に得られるが(図中b参照)、40
0Hzの周波数付近での吸音率が10〜20%低下し(図
中c参照)、吸音率の上昇力ーブも高周波側にスライド
(図中d参照)して、1250Hzまでの吸音力は5〜1
0%低下する。これは開孔面積が大きすぎて非通気性材
質からなる多孔の共振層の膜共振が減少した影響と思わ
れる。
【0043】(実施例) 実施例と比較例のデータ比較を行ったのでこれを図9及
び図11に示す。比較例の構成は、接着層4の接着面積
が20%の場合であり、接着層4の接着面積が100%
であることと相違する点を除き、実施例と同じものを用
いた。ダッシュサイレンサ1の厚みが22mm、吸音層2
の厚みが20mm、非通気共振層3の厚みが2mm、接着層
4の厚みが50μm、共振層3の孔3aの径は2.5m
m、開口率は3%である。実施例のダッシュサイレンサ
1は、非通気性材質からなる多孔の共振層3がポリプロ
ピレン発泡体(PPF)で、発泡率30倍、比重0.0
31g/cm3、厚み2mm、目付62g/m2であり、吸音
層2が熱可塑性フェルト(ポリエステル化繊と雑綿を利
用した一般的なもの)、比重0.06g/cm3、厚み2
0mm、目付1200g/m2であり、接着層の接着面積は
90%である。水溶性EVA系接着剤を、非通気性材質
からなる多孔の共振層3としての発泡率30倍で厚さ2
mmのポリプロピレン発泡体に50g/m2塗布し、熱可塑
性フェルトまたはニードルパンチを行ったフェルトから
なる吸音層2と圧力1kg/cm2で60秒間圧縮する。乾
燥が遅い場合は加熱することで約30秒間の圧締でよ
い。接着後の接着強度は2〜8N/25mmで、界面のほ
ぼ90%が接着している。剥離状態は吸音層2の熱可塑
フェルトの表層破壊である。ここでニードルパンチを行
ったフェルトはそうでないフェルトに対し表層破壊強度
が高くなりこの為、接着強度は5〜10N/25mmと高
くなる。
【0044】図9は、防音材1の1/3オクターブバン
ドの周波数VS透過損失の特性図表である。この透過損
失の測定は、JIS A 1409によるが、試験体が1
0m2ではなく、1m2でおこなったものである。図10は
測定室の平面図であり、スピーカ20とマイクロフォン
31〜36が配置され、防音材1の試験体が各部屋の壁
に配置される。図9において、接着層の接着面積が90
%である場合と、接着面積が20%である場合と比較す
ると、接着面積が90%の場合、400Hz以上の周波
数範囲において接着面積が20%である場合より透過損
失の上昇が認められる。これにより車室外から車室内に
侵入する騒音を低減できる。さらにニードルパンチを行
ったフェルトはそうでないフェルトに対し表層破壊強度
が高く、すなわち接着強度が5〜10N/25mmとな
り、図には示されていないが400Hz以上の周波数範
囲において、さらに1〜3dB、透過損失が高くなる。
【0045】図11は、防音材1の1/3オクターブバ
ンドの周波数VS吸音率の特性図表である。この吸音率
の測定は、JIS A 1416(残響室吸音)による
が、試験体が10m2ではなく、1m2でおこなったっもの
である。図12は測定室の平面図であり、スピーカ40
とマイクロフォン51〜53が配置され、測定室の床に
ダッシュサイレンサ1の試験体及び鉄板15が配置され
る。図11において、接着層の接着面積が90%である
場合と、接着面積が20%である場合とを比較すると、
接着面積が90%の場合、630Hz〜1600Hzの
周波数範囲において、接着力と接着面積により非通気性
材質からなる多孔の共振層が拘束され、防振・制振さ
れ、吸音率の多少の低減が認められるが、吸音率は0.
6以上はあるので車室内の騒音を吸音できる。比較例で
は非通気性材質からなる多孔の共振層により吸音率は上
昇する。630Hz〜1600Hzの周波数以外の範囲
では、接着面積が90%の場合、接着力と接着面積によ
り非通気性材質からなる多孔の共振層と吸音層による共
振現象によって、接着面積が20%の場合よりも吸音率
が上昇する。これにより、この周波数領域で車室内の騒
音を接着面積が20%の場合より低減できる。更に40
0〜500Hz付近の周波数で非通気性材質からなる多
孔の共振層と吸音層の相互からなる共振周波数により、
吸音率0.7を得ることができ、中周波数での車室内の
騒音低減に役立っている。
【0046】本実施形態によれば、非通気性材質からな
る多孔の共振層3が柔軟な薄層よりなること等により、
車室R内の音がこの非通気性材質からなる多孔の共振層
3に干渉し、吸音層2と非通気性材質からなる多孔の共
振層3とが薄膜振動を行っており、これは非通気性材質
からなる多孔の共振層3と吸音層2との界面での共振現
象による吸音である。また、非通気性材質からなる多孔
の共振層3と吸音層2との間にある接着層4の利用によ
って、界面において吸音する音の周波数を制御すること
ができる。
【0047】以上説明した通り、本実施形態によれば、
会話明瞭度を改善させるため、1000〜1600Hz
での吸音力が特に良好である。非通気共振シ−ト層の目
付量を200g/m2以下、吸音層の厚さを1〜50mmで
変化させることで、この範囲での周波数でのシート共振
による吸音力の向上を効果的に得ることができ、車室内
の良好な静粛性が得られる。防音材1の厚さが薄くなっ
てもシートの共振現象を利用している為、高い吸音率を
得ることができる。従来の防音材に対し非通気性材質か
らなる多孔の共振層の大幅な重量低減が可能になる。特
に、高周波数(1250Hz以上)領域での騒音を防止で
きる。
【0048】以上、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の
形態を採り得るものである。また、本発明の技術的思想
を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができ
るものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術
的範囲に含まれることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の防音材の平面図(a)、断面図(b)
である。
【図2】初期圧縮反発力の測定方法を示す説明図であ
る。
【図3】本発明実施形態の防音材の物性を示す一覧図表
である。
【図4】本発明の防音材が適用されるダッシュサイレン
サが適用されるダッシュパネルの断面図である。
【図5】(a)(b)は、それぞれ、本発明比較形態
(孔3aを無くした非通気性材質からなる多孔の共振層
とする場合)のダッシュサイレンサと図13の構造と図
14の構造についての周波数に対する透過損失、及び周
波数に対する吸音率との関係を示すグラフである。
【図6】(a)(b)は、本発明比較形態(孔3aを無
くした非通気性材質からなる多孔の共振層とする場合)
のダッシュサイレンサの周波数に対する吸音率との関係
を示すグラフである。
【図7】(a)(b)は、それぞれ、本発明比較形態
(孔3aを無くした非通気性材質からなる多孔の共振層
とする場合)のダッシュサイレンサについての、接着層
が十分である場合と不十分である場合を比較するため
の、周波数に対する透過損失、及び周波数に対する吸音
率との関係を示すグラフである。
【図8】本発明比較形態と、本発明実施形態(孔3aを
設けた場合)のダッシュサイレンサについて、共振層の
開孔率がゼロの場合、開孔率が高い場合、開孔率が低い
場合を比較するためのグラフである。
【図9】ダッシュサイレンサの実施例と比較例の周波数
VS透過損失を示すグラフである。
【図10】透過損失の測定装置の平面図である。
【図11】ダッシュサイレンサの実施例と比較例の周波
数VS吸音率を示すグラフである。
【図12】吸音率の測定装置の平面図である。
【図13】従来からの遮音構造の説明図である。
【図14】特許文献1の遮音構造の説明図である。
【図15】(a)(b)は、それぞれ、特許文献1の遮
音構造の吸音材の周波数と透過損失との関係を示すグラ
フ、及び従来からの遮音構造の吸音材の周波数と吸音率
との関係を示すグラフである。
【図16】特許文献2の周波数と吸音率との関係を示す
グラフである。
【符号の説明】
【0050】 1…ダッシュサイレンサ 2…吸音層 3…非通気
性材質からなる多孔の共振層4…接着層 10…ダッ
シュパネル E…エンジンルーム R…車室15…
鉄製パネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 洋平 愛知県安城市和泉町北大木4番地14 株 式会社タケヒロ内 (72)発明者 松山 宗平 愛知県刈谷市豊田町1丁目1番地 豊田 紡織株式会社内 (72)発明者 森 秀行 愛知県刈谷市豊田町1丁目1番地 豊田 紡織株式会社内 (56)参考文献 特開2001−347587(JP,A) 特許2788958(JP,B2) 実用新案登録3068408(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 13/08 G01K 11/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さが1〜50mm、密度が0.01〜
    0.2g/cm3、好ましくは0.03〜0.08g/cm3
    軽量な吸音層と、 該吸音層と接着層を介して接着する、目付量は200g
    /m2以下、好ましくは100g/m2以下であって、1〜
    20mmの径の孔を開孔率1〜10%で多数個形成する非
    通気性材質からなる多孔の共振層と、からなり、 前記吸音層と非通気性材質からなる多孔の共振層に対す
    る前記接着層の接着強度が剥離幅25mmで180度の剥
    離にて1〜20N/25mm、好ましくは3〜10N/2
    5mmに設定され、 前記接着層を前記吸音層と非通気性材質からなる多孔の
    共振層の全界面に対して、50〜100%、好ましくは
    80%〜100%の面積で接着させ、 前記吸音層が車体パネル側に配置され、前記非通気性の
    共振層は車室内側に設置される超軽量な防音材。
  2. 【請求項2】 前記非通気性材質からなる多孔の共振層
    の構造は発泡体またはフィルム体であり、 前記発泡体の場合は、厚さ1〜7mm、好ましくは2〜3
    mm、 前記フィルムの場合は厚さ10〜200μm、好ましく
    は20〜100μmであることを特徴とする請求項1の
    超軽量な防音材。
  3. 【請求項3】 前記吸音層の初期圧縮反発力は2〜20
    0N、好ましくは20〜100Nであることを特徴とす
    る請求項1又は2の超軽量な防音材。
JP2003358587A 2003-10-17 2003-10-17 超軽量な防音材 Expired - Lifetime JP3530522B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003358587A JP3530522B1 (ja) 2003-10-17 2003-10-17 超軽量な防音材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003358587A JP3530522B1 (ja) 2003-10-17 2003-10-17 超軽量な防音材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3530522B1 true JP3530522B1 (ja) 2004-05-24
JP2005121994A JP2005121994A (ja) 2005-05-12

Family

ID=32463794

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003358587A Expired - Lifetime JP3530522B1 (ja) 2003-10-17 2003-10-17 超軽量な防音材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3530522B1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010082412A1 (ja) * 2009-01-14 2010-07-22 林テレンプ株式会社 塗布型吸音材
CN111688600A (zh) * 2019-03-14 2020-09-22 本田技研工业株式会社 隔音结构
CN114206461A (zh) * 2020-06-30 2022-03-18 法国圣戈班玻璃厂 声音夹层

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6029279B2 (ja) 2008-04-14 2016-11-24 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 多層吸音シート
EP2272060B1 (en) 2008-04-22 2019-09-18 3M Innovative Properties Company Hybrid sound absorbing sheet
KR101709353B1 (ko) 2008-05-22 2017-02-22 쓰리엠 이노베이티브 프로퍼티즈 컴파니 메시 층을 포함하는 다층 흡음 구조물
JP6541948B2 (ja) * 2014-09-03 2019-07-10 株式会社Howa 車両用防音体及び車両用サイレンサー
JP6754724B2 (ja) * 2017-06-26 2020-09-16 ニチアス株式会社 防音用被覆材およびエンジンユニット

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2788958B2 (ja) 1986-09-26 1998-08-20 マテクホールディング アーゲー 騒音低減構造部材及びその製造方法
JP3068408U (ja) 1999-10-21 2000-05-12 株式会社サンテックス 防音、吸音性建築材

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2788958B2 (ja) 1986-09-26 1998-08-20 マテクホールディング アーゲー 騒音低減構造部材及びその製造方法
JP3068408U (ja) 1999-10-21 2000-05-12 株式会社サンテックス 防音、吸音性建築材

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010082412A1 (ja) * 2009-01-14 2010-07-22 林テレンプ株式会社 塗布型吸音材
CN111688600A (zh) * 2019-03-14 2020-09-22 本田技研工业株式会社 隔音结构
CN111688600B (zh) * 2019-03-14 2023-03-31 本田技研工业株式会社 隔音结构
CN114206461A (zh) * 2020-06-30 2022-03-18 法国圣戈班玻璃厂 声音夹层

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005121994A (ja) 2005-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3498085B1 (ja) 超軽量な防音材
US8158246B2 (en) Ultralight soundproof material
JP3930506B2 (ja) 超軽量な防音材
US7201253B2 (en) Soundproofing assembly and a part comprising a wall which if covered with said assembly
EP1792725B1 (en) Soundproof material
KR101550234B1 (ko) 차음 및 흡음을 위한 자동차 트림 부품
CN105383409B (zh) 车辆用隔音体及车辆用消音器
JP4997057B2 (ja) 車両用防音材
WO2004053833A1 (en) Ultralight trim composite
JP3730395B2 (ja) 吸音材構造及び吸音材の製造方法
JP4691388B2 (ja) 超軽量な防音材
JPH0349749B2 (ja)
JP2010234991A (ja) 車両用防音材
JP3530522B1 (ja) 超軽量な防音材
JP3930484B2 (ja) 超軽量な防音材
CN205881450U (zh) 一种复合板及具有其的汽车
JP2003019930A (ja) 自動車用吸音タイプ防音材
JP2001184076A (ja) 吸音構造体
JP2010132024A (ja) 車両用防音材
JP2003081028A (ja) 自動車用インシュレータ
US20110285178A1 (en) Acoustically absorptive vehicle headliner
US20220153210A1 (en) Lightweight perforated films and their use in acoustical insulators for increased sound absorption
JP2006208859A (ja) 防音材
JP2004359043A (ja) 車両用インシュレータ
JP2005075012A (ja) 車両用防音材

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040227

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3530522

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110305

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110305

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130305

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140305

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term