JP3508667B2 - 高温強度に優れた高Crフェライト系耐熱鋼およびその製造方法 - Google Patents
高温強度に優れた高Crフェライト系耐熱鋼およびその製造方法Info
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Description
びその製造方法に関する。本発明の耐熱鋼は、高温長時
間クリープ強度に優れており、ボイラ、原子力発電設備
および化学工業設備などの高温、高圧環境下で使用され
る熱交換用鋼管、圧力容器用鋼板、タービン用材料等に
適している。
備等の高温、高圧環境で使用される耐熱鋼には、一般に
高温における強度、耐食性、耐酸化性および靱性等が要
求される。
21H、SUS347H鋼などのオーステナイト系ステ
ンレス鋼、2・1/4Cr−1Mo鋼などの低合金鋼、
さらには9〜12Cr系の高Crフェライト鋼が用いら
れてきた。なかでも、高Crフェライト鋼は500〜6
50℃の温度において、強度および耐食性の点で低合金
鋼よりも優れている。また、高Crフェライト鋼は、オ
ーステナイト系ステンレス鋼に比べて安価であること、
熱伝導率が高く、かつ熱膨張率が小さいことから耐熱疲
労特性やスケール剥離が起こりにくく、さらには耐応力
腐食割れ性に優れている等の数々の利点を有している。
上を図るため、ボイラーの蒸気条件の高温高圧化が進め
られている。すなわち、超臨界圧条件である538℃、
246気圧から、将来は625℃で300気圧というよ
うな超々臨界圧条件での操業が計画されている。このよ
うな蒸気条件の変化に伴い、ボイラ用鋼管等に対する要
求性能は、ますます過酷化してきている。そのため、従
来の高Crフェライト鋼では、上記のような高温におけ
る長時間クリープ強度に対して十分に応えることができ
ない状況に至っている。
うな過酷な条件に応えることのできる性能を備えている
が高価である。そのため、オーステナイト系ステンレス
鋼に比べて安価な高Crフェライト鋼を使用すべく、そ
の特性改善の試みがなされている。
8246号、特開平7−286246号、特開平8−8
5850号、特開平9−71845号、特開平9−71
846号の各公報には、超々臨界圧条件用鋼として高C
rフェライト系鋼にVやNbにより析出強化された耐熱
鋼が開示されている。
での長時間使用中に粗大化し、クリープ強度が低下する
という問題があった。
々臨界圧条件下での高Crフェライト鋼の使用に対して
は、さらなるクリープ強度の向上が必要であり、そのた
めには焼戻し軟化抵抗を高め、マルテンサイト組織の回
復軟化現象をできるだけ高温長時間側まで遅らせること
が重要である。
下の使用に耐える高温長時間クリープ強度と常温靱性に
優れた安価な高Crフェライト系耐熱鋼およびその製造
方法を提供することにある。
長時間クリープ強度と常温靱性に優れた高Crフェライ
ト系耐熱鋼を開発するため、高温長時間クリープ特性に
及ぼす固溶強化について実験を重ねて検討した結果、以
下の知見を得るに至った。
般にCr含有量の低い低合金鋼や炭素鋼においては炭窒
化物として析出しやすく、マトリックス中に固溶するV
の量は極めて低いが、Cr量が8%以上の高Cr鋼にお
いては、V炭化物の溶解度が高く、マトリックス中への
V固溶度が増加する。
たV炭窒化物がクリープ強度を上げる効果、いわゆる析
出強化の効果が強いが、高Cr鋼においては、マトリッ
クス中に固溶したVによる固溶強化によりクリープ強度
が上昇する。
およびN添加により強められる。これは、高Crフェラ
イト鋼中では、V原子とC原子またはN原子がクラスタ
ー状(V原子の周りにC原子またはN原子が集まった状
態)に引き合い、そのクラスターが転位の運動を阻害す
る。その結果、マルテンサイト組織の回復軟化現象が高
温長時間側まで抑制され、クリープ強度が大幅に向上す
る。
01/(C+N)(質量%)を超える場合に固溶強化と析
出強化との相乗効果によりクリープ強度がさらに向上す
る。
れたもので、その要旨は以下のとおりである。
%、Cr:8〜14%、V:0.05〜1.8%、W:
0.02〜5%、Si:0.09〜1%、Mn:0.0
5〜1.5%、Nb:0.002〜0.2%、B:0.
0001〜0.01%、Al:0.006〜0.05%
を含むとともに、Ta:0.002〜0.2%およびN
d:0.001〜0.2%の1種以上を含み、さらに、
Mo:0〜2.5%、N:0〜0.1%、Ti:0〜
0.1%、Co:0〜6%、Ni:0〜1%、Cu:0
〜2%、La:0〜0.2%、Y:0〜0.2%、P:
0.03%以下およびS:0.015%以下を含有し、
残部はFeと不可避的不純物からなり、マトリックス中
のVの固溶量Vs%が、下記式(1)を満足している高
温強度に優れた高Crフェライト系耐熱鋼。 Vs>0.01/(C+N) ・・・・・・・・(1) ここで、C、Nは鋼中の炭素量、窒素量(質量%)を示
す。
%、Cr:8〜14%、V:0.05〜1.8%、W:
0.02〜5%、Si:0.09〜1%、Mn:0.0
5〜1.5%、Nb:0.002〜0.2%、B:0.
0001〜0.01%、Al:0.006〜0.05%
を含むとともに、Ta:0.002〜0.2%およびN
d:0.001〜0.2%の1種以上を含み、さらに、
Mo:0〜2.5%、N:0〜0.1%、Ti:0〜
0.1%、Co:0〜6%、Ni:0〜1%、Cu:0
〜2%、La:0〜0.2%、Y:0〜0.2%、P:
0.03%以下およびS:0.015%以下を含有し、
残部はFeと不可避的不純物からなる鋼を熱間加工した
後、下記式(a)で求まる温度T1〜1250℃の温度
範囲に加熱して焼きならし処理を施し、200℃/h以
上の速さで冷却し、次いで下記式(b)および(c)で
求まる加熱温度T2〜T3℃で焼戻し処理を施す高温強度
に優れた高Crフェライト系耐熱鋼の製造方法。
%、Cr:8〜14%、V:0.05〜1.8%、W:
0.02〜5%、Si:0.09〜1%、Mn:0.0
5〜1.5%、Nb:0.002〜0.2%、B:0.
0001〜0.01%、Al:0.006〜0.05%
を含むとともに、Ta:0.002〜0.2%およびN
d:0.001〜0.2%の1種以上を含み、さらに、
Mo:0〜2.5%、N:0〜0.1%、Ti:0〜
0.1%、Co:0〜6%、Ni:0〜1%、Cu:0
〜2%、La:0〜0.2%、Y:0〜0.2%、P:
0.03%以下およびS:0.015%以下を含有し、
残部はFeと不可避的不純物からなる鋼を、下記式
(a)で求まる温度T1〜1300℃に加熱後、圧下率5
0%以上で熱間加工し、熱間加工終了後200℃/h以
上の速さで冷却し、次いで下記式(b)および(c)で
求まる加熱温度T2〜T3℃で焼戻処理を施す高温強度に
優れた高Crフェライト系耐熱鋼の製造方法。
量(質量%)を示す。
た理由について説明する。以下、化学組成の%表示はす
べて質量%を示す。
に、VCとして析出する場合もある。これらのクラスタ
ーや炭化物は、クリープ強度の向上に寄与するととも
に、C自身がオーステナイト安定化元素として組織を安
定化する。しかしながら0.01%未満では上記の効果
が得られない上に、δフェライト量が多くなり十分なク
リープ強度が得られない。一方、0.18%を超えて多
量に含有させると、使用時の初期から炭化物の凝集粗大
化が起こるので、逆に長時間クリープ強度の低下を招
き、加工性や溶接性を劣化させるので、上限は0.18
%とした。
に耐水蒸気酸化特性を確保するために不可欠な元素であ
る。さらには、炭化物を形成してクリープ強度を向上さ
せる。その他、Cr主体の緻密な酸化皮膜を形成して耐
食性および耐酸化性を向上させる作用があり、それらの
効果を得るためには8%以上とする必要がある。しかし
多量に含有させるとδフェライトの生成を促進して靱性
の劣化をもたらすため、上限を14%とした。
にC原子が集まったクラスターを形成してクリープ強度
の向上に寄与する。さらに、CやNと結合して微細な炭
窒化物を形成し、析出強化によるクリープ強度の向上を
もたらす。その効果を発揮させるためには0.05%以
上とする必要がある。さらに、1.8%を超えて含有さ
せてもその効果は飽和し、かえって靱性を劣化させるの
で、0.05〜1.8%とした。ただし、溶接性を重視
する場合、上限は1%が望ましい。さらに、望ましくは
0.5%である。
N)]%以上 Vのマトリックス中への固溶量は、電解抽出により採取
された残渣中のV量(析出したV量)を測定し、全V量
と析出V量との差から算出する。こうして得られたVの
固溶量が、[0.01/(C+N)]%を超える場合に
は、クリープ強度が著しく増加するが、[0.01/
(C+N)]%以下である場合にはクリープ強度に寄与
しない。したがって、Vの固溶量Vs%は、Vs>0.
01/(C+N)とした。
界面にラーベス相等の金属間化合物として析出し、マル
テンサイトのラスの回復を抑制してクリープ強度の向上
に寄与する。さらに、Cr炭化物中に一部固溶して、炭
化物の凝集、粗大化を抑制して強度の維持に寄与する。
しかしながら、0.02%未満ではその効果が現れな
い。一方、5%を超えて多量に含有させるとδフェライ
トの生成を促進するため、Wの含有量は0.02〜5%
とした。
必要がある。Siは高温における耐水蒸気酸化特性に対
して有効な元素でもある。しかし、1%を超えて多量に
含有させると靱性の劣化を引き起こす。したがって、S
iの含有量を0.09〜1%とした。なお、特に、耐水
蒸気酸化特性を重視する場合には、Siの含有量の下限
は0.1%とするのが望ましい。
に、オーステナイトを安定化する作用を有するので、
0.05%以上含有させる。しかし、Mnの含有量が
1.5%超えると靱性を劣化させるおそれがある。した
がって、Mnの含有量を0.05〜1.5%とした。
形成して、クリープ強度の向上に寄与する。しかし、
0.2%を超えて含有させてもその効果は飽和し、かえ
って靱性を劣化させるおそれがある。したがって、Nb
の含有量を0.002〜0.2%とした。
物を微細に分散析出させる効果があり、高温長時間クリ
ープ特性の向上に寄与する。また、厚肉材などで熱処理
後の冷却速度が遅い場合には焼入性を高め、高温強度を
高める効果がある。しかし、0.01%を超えて含有さ
せると粗大な析出物を形成し靱性を劣化させるおそれが
ある。したがって、Bの含有量を0.0001〜0.0
1%とした。
る必要がある。しかし、0.05%を超えて多量に含有
させるとクリープ強度の低下を招くおそれがある。した
がって、Alの含有量を0.006〜0.05%とし
た。
して、クリープ強度の向上に寄与する元素であるため、
本発明においてはTaとNdの1種以上を含有させる。
これらの元素を含有させるときの作用効果と含有量は次
のとおりである。
細な炭窒化物を形成して、クリープ強度の向上に寄与す
る。しかし、0.2%を超えて含有させてもその効果は
飽和し、かえって靱性を劣化させるおそれがある。した
がって、Taの含有量を0.002〜0.2%とした。
細な炭窒化物を形成して、クリープ強度の向上に寄与す
る。しかし、0.2%を超えて含有させてもその効果は
飽和し、かえって靱性を劣化させるおそれがある。した
がって、Ndの含有量を0.001〜0.2%とした。
素としてクリープ強度の向上に寄与する。この効果を確
実に得るには、Moは0.01%以上の含有量とするこ
とが好ましい。しかし、Moは、2.5%を超えて含有
させると、ラーベス相等の金属間化合物が粗大に析出す
るため、クリープ強度の向上に寄与せず、かつ、時効後
の靱性を低下させる。したがって、Moの含有量は0〜
2.5%とした。
子と引き合ってクラスターを形成し、このクラスターは
クリープ強度に寄与する。さらに、NはCと同様オース
テナイト安定化元素として有効である。さらに、V、N
b、Ti、Ta等と微細な窒化物を形成し、クリープ強
度の向上に寄与する。これらの効果を確実に得るには、
Nは、0.001%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、Nを0.1%を超えて含有させると、Vが
窒化物として析出し、固溶V量が低減し、クリープ強度
の向上に寄与しなくなる。さらに、窒化物が粗大化して
靱性を劣化させる。
様、微細な炭窒化物を形成して、クリープ強度の向上に
寄与する。この効果を確実に得るには、Tiは、0.0
01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、T
iを0.1%を超えて含有させてもその効果は飽和し、
かえって靱性を劣化させるおそれがある。したがって、
Tiの含有量を0〜0.1%とした。
イトを安定化する作用を有するので、フェライトフォー
マーであるW、MoおよびV等を多量に含有させる場合
には、積極的に添加し、0.01%以上の含有量とする
のがよい。しかし、6%を超えて含有させるとAc1変
態点が低下し、クリープ強度を低めるおそれがある。し
たがって、Coの含有量を0〜6%とした。
イトを安定化する作用を有するので、フェライトフォー
マーであるW、MoおよびV等を多量に含有する場合に
は、0.01%以上の含有量とするのがよい。しかし、
1%を超えて含有させると長時間時効後のクリープ強度
を低める。したがって、Niの含有量を0〜1%とし
た。
イトを安定化する作用を有するので、フェライトフォー
マーであるW、MoおよびV等を多量に含有させる場合
には、0.01%以上の含有量とするのがよい。しか
し、2%を超えて含有させると長時間時効後のクリープ
延性を低める。したがって、Cuの含有量を0〜2%と
した。
微量の含有量でも結晶粒界を強化させてクリープ強度を
向上させるとともに、熱間加工性の向上にも寄与する。
含有させる場合は、過剰に含有させると逆に熱間加工性
が低下するため、LaおよびYの上限はいずれも0.2
%とした。
下 不純物元素であるPおよびSは、熱間加工性、溶接性お
よび靱性の観点から低い方が望ましいが、それぞれ0.
03%、0.015%までであれば本発明鋼の特性に直
接影響しない。したがって、Pの含有量は0.03%以
下、Sの含有量は0.015%以下とした。
いて説明する。
して焼きならし、焼戻し熱処理をするか、または下記特
定の条件で加工熱処理をすることにより製造できる。
理は、鋼に必要な強度を付与するのに必要な固溶V量を
得ると共に、析出物のサイズや形状等を好ましい状態に
し、焼入時に発生する残留応力を緩和するためにおこな
う。
焼戻しする場合 焼きならし温度:T1〜1250℃ 焼きならしは、Vの固溶量を増加させるために必要であ
る。ただし、下記実験式(a)で求まる温度T1℃未満
では、未固溶のV炭窒化物が多量に析出して固溶V量が
減少する。一方、1250℃以上では結晶粒の粗大化が
生じ、靱性が著しく劣化する。したがって、焼きならし
温度はT1〜1250℃とした。 T1=100×C+125×V-5×Cr+1030 ・・・・・・( a ) 焼きならし後の冷却速度:200℃/h以上 焼きならし後の冷却速度が200℃/h未満の場合に
は、冷却中に粗大な炭窒化物が析出し靱性が著しく劣化
するため、200℃/h以上とした。一方、冷却速度の
上限については特に規定する必要はないが、実用的には
水冷に相当する冷却速度である5℃/秒以下とするのが
望ましい。
満では、残留応力の緩和が十分起こらないため、長時間
側のクリープ強度が低下する。一方、下記実験式(c)
で得られるT3℃を超える温度では、V炭窒化物が多量
に析出してVの固溶量を必要な量だけ確保することがで
きない。したがって、焼戻し温度はT2〜T3℃とした。 T2=67×V-100×V×C+736 ・・・・・・( b ) T3=67×V-100×V×C+800 ・・・・・・( c ) 2)加工熱処理する場合 熱間加工のための加熱温度:T1〜1300℃ 加熱温度が下記実験式(a)で求まる温度T1 ℃未満で
は、未固溶のV炭窒化物が多量に析出して固溶V量が減
少する上に、良好な熱間加工性が得られない。また、温
度の上限は実用的な範囲で1300℃とした。 T1=100×C+125×V-5×Cr+1030 ・・・・・( a ) 圧下率:50%以上 圧下率が50%未満では、加工時に導入される転位密度
が十分高くなく、加工熱処理の効果が生かせない。した
がって、圧下率は50%以上とした。
冷却中に粗大な炭窒化物が析出し、靱性が著しく劣化す
るため、200℃/h以上とした。一方、冷却速度の上
限については特に規定する必要がないが、実用的には水
冷に相当する冷却速度である5℃/秒以下とするのが望
ましい。
す化学組成の鋼を溶製し、直径144mmの50kgイ
ンゴットとした。鋼記号A、C、D、G、I、J、M及
びO〜Rが本発明鋼、記号1〜9が比較鋼である。比較
例の鋼が、本発明で規定する含有量の範囲外である元素
は、鋼記号1、2はC、鋼記号3、4はCr、W、Ta
及びNd、鋼記号5はV、鋼記号6はV、W、Ta及び
Nd、鋼記号7はN、Ta及びNd、鋼記号8はMo、
W、Ta及びNd、鋼記号9はW、Ta及びNdであ
る。
延して20mm厚の鋼板に仕上げ、これらの鋼板を用い
て一部の鋼板については加工熱処理を施し、その他はオ
フライン熱処理に対応させた焼きならし、焼戻し処理を
施した。
の鋼板を、表3に示す各温度に加熱した後連続して各圧
下率で熱間圧延し、空冷した後各温度で焼戻し処理を施
した。また、オフライン相当の熱処理は、上記熱間圧延
した各20mm厚の鋼板に、表3に示す各温度で焼きな
らし処理をし、空冷後焼戻しを施した。
ら抽出残渣採取用試験片、クリープ破断試験片およびシ
ャルピー衝撃試験片を作製し、下記の条件で抽出残渣分
析、クリープ破断試験およびシャルピー衝撃試験をおこ
なった。
溶液、 電流密度:20mA/cm2 、 溶解量:0.4g。 上記の条件で採取した抽出残渣中のV含有量を析出V量
とし、鋼中の全V量との差をV固溶量とした。
および650℃×100MPaのクリープ破断寿命比で
評価した。
チ、 試験温度:0℃。
工熱処理、その他は焼きならし、焼戻し処理を施したも
のである。表4から明らかなように、Vの固溶量が少な
いか、化学組成が規定範囲外および製造方法が規定の条
件を満たしていないような試験No.19〜31の比較例
では、いずれもクリープ特性および/または靱性が良好
ではない。
0、13、15〜18の本発明例にあっては、いずれも
Vの固溶量が0.01/(C+N)を超えており、Vに
よる固溶強化のため650℃×120MPaと650℃
×100MPaのクリープ破断寿命比が4.5以上に維
持されており、長時間低応力側でのクリープ強度が安定
に保持されている。さらに0℃におけるシャルピー衝撃
値は180J/cm2 以上であり、靱性も良好である。
高温長時間クリープ強度と常温における靱性に優れた耐
熱鋼が得られ、原子力発電や化学工業等の分野で用いら
れる熱交換用鋼管、圧力容器用鋼板、タービン用材料と
して使用して優れた効果を発揮し、産業上極めて有益で
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】質量%で、C:0.01〜0.18%、C
r:8〜14%、V:0.05〜1.8%、W:0.0
2〜5%、Si:0.09〜1%、Mn:0.05〜
1.5%、Nb:0.002〜0.2%、B:0.00
01〜0.01%、Al:0.006〜0.05%を含
むとともに、Ta:0.002〜0.2%およびNd:
0.001〜0.2%の1種以上を含み、さらに、M
o:0〜2.5%、N:0〜0.1%、Ti:0〜0.
1%、Co:0〜6%、Ni:0〜1%、Cu:0〜2
%、La:0〜0.2%、Y:0〜0.2%、P:0.
03%以下およびS:0.015%以下を含有し、残部
はFeと不可避的不純物からなり、マトリックス中のV
の固溶量Vs%が、下記式(1)を満足していることを
特徴とする高温強度に優れた高Crフェライト系耐熱
鋼。 Vs>0.01/(C+N)・・・・・・(1) ここで、C、Nは鋼中の炭素量、窒素量(質量%)を示
す。 - 【請求項2】質量%で、C:0.01〜0.18%、C
r:8〜14%、V:0.05〜1.8%、W:0.0
2〜5%、Si:0.09〜1%、Mn:0.05〜
1.5%、Nb:0.002〜0.2%、B:0.00
01〜0.01%、Al:0.006〜0.05%を含
むとともに、Ta:0.002〜0.2%およびNd:
0.001〜0.2%の1種以上を含み、さらに、M
o:0〜2.5%、N:0〜0.1%、Ti:0〜0.
1%、Co:0〜6%、Ni:0〜1%、Cu:0〜2
%、La:0〜0.2%、Y:0〜0.2%、P:0.
03%以下およびS:0.015%以下を含有し、残部
はFeと不可避的不純物からなる鋼を熱間加工した後、
下記式(a)で求まる温度T1〜1250℃の温度範囲
に加熱して焼きならし処理を施し、200℃/h以上の
速さで冷却し、次いで下記式(b)および(c)で求ま
る加熱温度T2〜T3℃で焼戻し処理を施すことを特徴と
する高温強度に優れた高Crフェライト系耐熱鋼の製造
方法。 T1=100×C+125×V-5×Cr+1030 ・・・・・・( a ) T2=67×V-100×V×C+736 ・・・・・・・( b ) T3=67×V-100×V×C+800 ・・・・・・・・( c ) ここで、C、V、Crは、それぞれ鋼中のC、V、Cr
量(質量%)を示す。 - 【請求項3】質量%で、C:0.01〜0.18%、C
r:8〜14%、V:0.05〜1.8%、W:0.0
2〜5%、Si:0.09〜1%、Mn:0.05〜
1.5%、Nb:0.002〜0.2%、B:0.00
01〜0.01%、Al:0.006〜0.05%を含
むとともに、Ta:0.002〜0.2%およびNd:
0.001〜0.2%の1種以上を含み、さらに、M
o:0〜2.5%、N:0〜0.1%、Ti:0〜0.
1%、Co:0〜6%、Ni:0〜1%、Cu:0〜2
%、La:0〜0.2%、Y:0〜0.2%、P:0.
03%以下およびS:0.015%以下を含有し、残部
はFeと不可避的不純物からなる鋼を、下記式(a)で
求まる温度T1〜1300℃に加熱後、圧下率50%以上
で熱間加工し、熱間加工終了後200℃/h以上の速さ
で冷却し、次いで下記式(b)および(c)で求まる加
熱温度T2〜T3℃で焼戻処理を施すことを特徴とする高
温強度に優れた高Crフェライト系耐熱鋼の製造方法。 T1=100×C+125×V-5×Cr+1030 ・・・・・・( a ) T2=67×V-100×V×C+736 ・・・・・・・( b ) T3=67×V-100×V×C+800 ・・・・・・・( c ) ここで、C、V、Crは、それぞれ鋼中のC、V、Cr
量(質量%)を示す。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000004483A JP3508667B2 (ja) | 2000-01-13 | 2000-01-13 | 高温強度に優れた高Crフェライト系耐熱鋼およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2000004483A JP3508667B2 (ja) | 2000-01-13 | 2000-01-13 | 高温強度に優れた高Crフェライト系耐熱鋼およびその製造方法 |
Publications (2)
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---|---|
JP2001192781A JP2001192781A (ja) | 2001-07-17 |
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