JP3490074B2 - 磁気軸受装置 - Google Patents
磁気軸受装置Info
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Classifications
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-
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- Engineering & Computer Science (AREA)
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- Magnetic Bearings And Hydrostatic Bearings (AREA)
- Rolling Contact Bearings (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空用機器等に用
いる磁気軸受装置、特に、磁気軸受のロータを支承する
タッチダウン軸受を有する磁気軸受装置に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、ターボ分子ポンプなどの真空用
機器に組込まれる磁気軸受装置においては、ロータはそ
の高速回転中磁気軸受にて非接触状態に支承され、回転
停止時にはロータが磁気軸受のステータやモータ等に接
触して破損せぬようタッチダウン軸受を設けている。と
ころで、通常の磁気軸受装置の使用停止時には、ロータ
がその回転速度を除々に落とされ、かなり低速になって
からタッチダウン軸受に接触させられるようにしている
ためタッチダウン軸受等の損傷はない。しかし、磁気軸
受装置の使用中に停電等の原因にて瞬時に磁気軸受が作
動しなくなった場合、ロータは高速回転を続けた状態で
タッチダウン軸受に接触し、回転停止するまでタッチダ
ウン軸受にて支承されることにより、ロータの損傷や軸
受寿命が短くなる等の問題がある。これは、タッチダウ
ン軸受の回転輪の瞬時の急加速性が悪いことに起因す
る。上述の問題点を解消するため、特に真空中で使用す
る磁気軸受装置のタッチダウン軸受では、転動体表面に
銀などの金属膜層を形成したのちに二硫化モリブデンな
どの固体潤滑剤を被膜することにより軸受寿命を延長す
る磁気軸受装置(特開昭61−165021号)などが
考案されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
場合も、固体潤滑剤の磨耗、剥離が進行するにつれ、タ
ッチダウン軸受の回転トルクが高くなり、タッチダウン
側周面でのすべりの増大、軌道部でのころがり運動のす
べり率の増大により、特に真空中においては上記部材が
容易に高温になり、転動体表面や軌道面あるいはタッチ
ダウン側周面に焼付けが発生し、早期に軸受寿命に到達
してしまう。また、従来、転動体として鋼製の玉を使用
していたので、慣性重量が大きく、タッチダウン軸受の
回転輪の初期トルクが大きくなる。それだけ、タッチダ
ウン軸受内でタッチダウン時のエネルギーを吸収し易く
発熱の原因となる。発熱により、玉や軌道の摩耗、さら
には、高温・高面圧下での接触による凝着現象により早
期焼き付きを招来する。また、玉や軌道面に固体潤滑剤
を塗布した場合には、これら固体潤滑剤の劣化・消失を
来し、結果として、軸受としての耐久性を減じ、早期寿
命に至る。本発明は、上述の問題点を解消するものであ
り、その目的とするところは、タッチダウン軸受の軌道
面および転動面での耐摩耗強度および耐焼付性を向上さ
せ、長期にわたり磁気軸受の電源断時の際のロータを回
転可能に支持しうるようにした磁気軸受装置を提供する
ことにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の磁気軸受装置
は、ロータを磁気軸受で浮揚状態に支持し、かつ磁気軸
受の電源断時等にタッチダウン用転がり軸受によりロー
タを回転可能に支持するようにした磁気軸受装置におい
て、前記タッチダウン用転がり軸受は、少なくとも回転
輪が鋼で形成されるとともに、すべての転動体がセラミ
ックスからなる総ボール型式として回転輪の初期トルク
を低減し、該タッチダウン用転がり軸受の回転輪のタッ
チダウン側周面に固体潤滑被膜層を形成してなる。そし
て、該固体潤滑被膜層によりロータと回転輪間のすべり
を助長して、タッチダウン直後のタッチダウン用転がり
軸受の急加速を緩和し、タッチダウン用転がり軸受全体
の初期トルクの低減が図られるようになされている。 【0005】 【作用】例えば、電源断時のように急激な回転トルクが
磁気軸受装置のタッチダウン軸受に作用する場合でも、
セラミックス製転動体の使用により、まず、タッチダウ
ン軸受自体の慣性重量が小さくなり、タッチダウン時の
起動トルクが小さくなる。さらに、セラミックスの硬度
の高さにより、軌道輪に対する接触楕円が小さくなり、
面圧が高くなる。このことは、転動体と回転輪とのすべ
りの発生を極力抑えることになり、これによっても、起
動トルクが小さくなる。起動トルクが小さくなること
は、回転輪の立ち上がりがスムーズに行われることであ
り、したがって、タッチダウン時のエネルギーが効率よ
く回転エネルギーに変換される。結果として、タッチダ
ウン軸受の昇温が抑制され、玉や軌道の摩耗、さらに
は、材料特性(鋼と異種材料)とあいまって、高温・高
面圧下での接触による凝着現象による早期焼き付きを効
果的に防止する。玉や軌道面に固体潤滑剤を塗布した場
合には、これら固体潤滑剤の劣化・消失も防止しうる。
また、セラミックス自体、鋼に比べドライ潤滑性に優
れ、たとえ、固体潤滑剤が劣化・消失しても転動体と軌
道面間の摩擦を効果的に小さくできる。よって、タッチ
ダウン軸受あるいはロータを損傷することなく、長期に
わたりロータに良好に追従して磁気軸受装置の寿命を向
上させうる。 【0006】 【発明の実施の形態】以下に本発明を実施例について詳
述する。例えば、第1図に示すように、本発明の磁気軸
受装置1は、有底円筒状のケース2内に下端部が細軸4
となる段付き軸受に形成され、かつ該細軸4の下端に円
盤部5を有するロータ3を挿入している。前記ロータ3
の上部は、ケース2の内壁2aに固定された磁気軸受6
にて支承され、前記ロータ3の下部の円盤部5は、ケー
ス2の底壁2bに固定された磁気軸受7と該磁気軸受7
より若干上方でケース2の内壁2aに固定された磁気軸
受8との間に位置して両磁気軸受7、8にて支承され
る。前記上方の磁気軸受6は、ロータ3の軸線に直交す
る方向に磁力を出すラジアル軸受として作用し、下方の
二個の磁気軸受7、8は、ロータ3の軸線方向すなわち
円盤部5の上下面5a、5bに直交する方向に磁力を出
すスラスト軸受として作用する。9は高周波モータでロ
ータ3を回転させるためのものである。また磁気軸受6
の上方のケース2の内壁2aからは半径方向にフランジ
10が一体に設けられ、該フランジ10の端部10aに
形成した周状凹溝11内に、タッチダウン軸受として総
ボール形式の深みぞ玉軸受12が装着固定され、ロータ
3の回転停止時のラジアル負荷を受ける。 【0007】さらに下方の両磁気軸受7、8のうち、円
盤部5の上面側に配置された磁気軸受8のコアー8bの
ロータ3に対向する側面8aには、タッチダウン軸受と
して二個の総ボール形式のアンギュラ玉軸受13、14
が上下に正面組合わせで装着固定されている。この両タ
ッチダウン軸受13、14のうち上部の軸受13により
ロータ3の段付き面3aおよび細軸4が支承され、下部
の軸受14によりロータ3の細軸4のみが支承される。
ここで第1図の実施例はロータ3の回転中の状態を示し
ているが、ロータ3の回転停止時にはロータ3はタッチ
ダウン軸受12、13、14のみにて支承され、磁気軸
受6、7、8には非接触状態を保つよう、寸法関係が考
慮されていることはもちろんである。 【0008】次に前記タッチダウン軸受について詳述す
る。なお、ここでは便宜上タッチダウン軸受12を代表
して説明するが、他の軸受13、14の構成についても
同様であることはいうまでもない。第2図に示すよう
に、タッチダウン軸受12は、軸受鋼を素材とした内輪
15、外輪16、および、内外輪15、16の間に介装
された転動体17である。Aは、膜厚約数μmのTiN
薄膜層であり、タッチダウン時の回転輪となる内輪15
のタッチダウン側周面すなわち内周面151、内輪15
の軌道面152、および外輪16の軌道面161に、ス
パッタリング法、イオンプレーティング法あるいはCV
D法等のコーティングにより形成されている。前記Ti
Nの薄膜層Aは、従来の二流化モリブデン等の固体潤滑
剤層に比べ、機械的摩耗に対して強く、長期にわたりタ
ッチダウンに耐えられ、しかも高温での摩耗係数が小さ
く、タッチダウン時の内輪内周面151および内外輪の
軌道面152、161での摩擦係数を小さく、すなわち
摩擦トルクを小さくさせることができ、高温での安定性
と耐焼付性は数段に優れたものとなる。もちろん、真空
中で使用されるタッチダウン軸受に要求される完全ドラ
イ潤滑性も失われることがない。 【0009】上記薄膜層Aとしては、TiNの他TiC
なども同等の効果が得られる。さらに、これらを複数積
層にして用いることも可能である。第3図には、従来技
術である銀膜上に二硫化モリブデンを被覆したタッチダ
ウン軸受と、本発明のTiN層を被覆したタッチダウン
軸受との低真空中300℃での摩擦係数の変化状態を示
す比較グラフである。第3図から明らかなように、本発
明の軸受の方が、長期間にわたり摩擦係数を小さく維持
できることが明らかである。これは、Ag、MO S2 が
低真空中であっても、わずかに存在する酸素のため、高
温中で酸化が進み、潤滑性を失って行くが、TiN層は
高温条件下においても劣化しないことと、高速回転によ
っても剥離しにくいからである。したがって、高温条件
下において高速回転で使用しても、支障なく長期にわた
って軸受機能を発揮することができる。 【0010】上記実施例では、総ボール形式の玉軸受に
ついて説明したが、保持器付きの玉軸受でもよい。ま
た、他の形式のころがり軸受でもよい。さらにまた、本
発明の他の実施例として第1図および第2図の実施例に
おいて、タッチダウン軸受の回転輪15の内周面151
に対向するロータ3の外周面31にTiN薄膜層をコー
ティングにより形成してもよい。 【0011】 【発明の効果】本発明は、ロータを磁気軸受で浮揚状態
に支持し、かつ磁気軸受の電源断時等にタッチダウン用
転がり軸受によりロータを回転可能に支持するようにし
た磁気軸受装置において、前記タッチダウン用転がり軸
受は、少なくとも回転輪が鋼で形成されるとともに、す
べての転動体がセラミックスからなる総ボール型式とし
て回転輪の初期トルクを低減し、該タッチダウン用転が
り軸受の回転輪のタッチダウン側周面に固体潤滑被膜層
を形成してなる。そして、該固体潤滑被膜層によりロー
タと回転輪間のすべりを助長して、タッチダウン直後の
タッチダウン用転がり軸受の急加速を緩和し、タッチダ
ウン用転がり軸受全体の初期トルクの低減が図られる構
成である。従って、急激な回転トルクが負荷されても、
初期トルクの低減を長時間にわたり可能とし、しかも磁
気軸受の信頼性を向上させ、回転軸や軸受の損傷を防止
でき、磁気軸受装置の寿命を向上させうる。
いる磁気軸受装置、特に、磁気軸受のロータを支承する
タッチダウン軸受を有する磁気軸受装置に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、ターボ分子ポンプなどの真空用
機器に組込まれる磁気軸受装置においては、ロータはそ
の高速回転中磁気軸受にて非接触状態に支承され、回転
停止時にはロータが磁気軸受のステータやモータ等に接
触して破損せぬようタッチダウン軸受を設けている。と
ころで、通常の磁気軸受装置の使用停止時には、ロータ
がその回転速度を除々に落とされ、かなり低速になって
からタッチダウン軸受に接触させられるようにしている
ためタッチダウン軸受等の損傷はない。しかし、磁気軸
受装置の使用中に停電等の原因にて瞬時に磁気軸受が作
動しなくなった場合、ロータは高速回転を続けた状態で
タッチダウン軸受に接触し、回転停止するまでタッチダ
ウン軸受にて支承されることにより、ロータの損傷や軸
受寿命が短くなる等の問題がある。これは、タッチダウ
ン軸受の回転輪の瞬時の急加速性が悪いことに起因す
る。上述の問題点を解消するため、特に真空中で使用す
る磁気軸受装置のタッチダウン軸受では、転動体表面に
銀などの金属膜層を形成したのちに二硫化モリブデンな
どの固体潤滑剤を被膜することにより軸受寿命を延長す
る磁気軸受装置(特開昭61−165021号)などが
考案されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
場合も、固体潤滑剤の磨耗、剥離が進行するにつれ、タ
ッチダウン軸受の回転トルクが高くなり、タッチダウン
側周面でのすべりの増大、軌道部でのころがり運動のす
べり率の増大により、特に真空中においては上記部材が
容易に高温になり、転動体表面や軌道面あるいはタッチ
ダウン側周面に焼付けが発生し、早期に軸受寿命に到達
してしまう。また、従来、転動体として鋼製の玉を使用
していたので、慣性重量が大きく、タッチダウン軸受の
回転輪の初期トルクが大きくなる。それだけ、タッチダ
ウン軸受内でタッチダウン時のエネルギーを吸収し易く
発熱の原因となる。発熱により、玉や軌道の摩耗、さら
には、高温・高面圧下での接触による凝着現象により早
期焼き付きを招来する。また、玉や軌道面に固体潤滑剤
を塗布した場合には、これら固体潤滑剤の劣化・消失を
来し、結果として、軸受としての耐久性を減じ、早期寿
命に至る。本発明は、上述の問題点を解消するものであ
り、その目的とするところは、タッチダウン軸受の軌道
面および転動面での耐摩耗強度および耐焼付性を向上さ
せ、長期にわたり磁気軸受の電源断時の際のロータを回
転可能に支持しうるようにした磁気軸受装置を提供する
ことにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の磁気軸受装置
は、ロータを磁気軸受で浮揚状態に支持し、かつ磁気軸
受の電源断時等にタッチダウン用転がり軸受によりロー
タを回転可能に支持するようにした磁気軸受装置におい
て、前記タッチダウン用転がり軸受は、少なくとも回転
輪が鋼で形成されるとともに、すべての転動体がセラミ
ックスからなる総ボール型式として回転輪の初期トルク
を低減し、該タッチダウン用転がり軸受の回転輪のタッ
チダウン側周面に固体潤滑被膜層を形成してなる。そし
て、該固体潤滑被膜層によりロータと回転輪間のすべり
を助長して、タッチダウン直後のタッチダウン用転がり
軸受の急加速を緩和し、タッチダウン用転がり軸受全体
の初期トルクの低減が図られるようになされている。 【0005】 【作用】例えば、電源断時のように急激な回転トルクが
磁気軸受装置のタッチダウン軸受に作用する場合でも、
セラミックス製転動体の使用により、まず、タッチダウ
ン軸受自体の慣性重量が小さくなり、タッチダウン時の
起動トルクが小さくなる。さらに、セラミックスの硬度
の高さにより、軌道輪に対する接触楕円が小さくなり、
面圧が高くなる。このことは、転動体と回転輪とのすべ
りの発生を極力抑えることになり、これによっても、起
動トルクが小さくなる。起動トルクが小さくなること
は、回転輪の立ち上がりがスムーズに行われることであ
り、したがって、タッチダウン時のエネルギーが効率よ
く回転エネルギーに変換される。結果として、タッチダ
ウン軸受の昇温が抑制され、玉や軌道の摩耗、さらに
は、材料特性(鋼と異種材料)とあいまって、高温・高
面圧下での接触による凝着現象による早期焼き付きを効
果的に防止する。玉や軌道面に固体潤滑剤を塗布した場
合には、これら固体潤滑剤の劣化・消失も防止しうる。
また、セラミックス自体、鋼に比べドライ潤滑性に優
れ、たとえ、固体潤滑剤が劣化・消失しても転動体と軌
道面間の摩擦を効果的に小さくできる。よって、タッチ
ダウン軸受あるいはロータを損傷することなく、長期に
わたりロータに良好に追従して磁気軸受装置の寿命を向
上させうる。 【0006】 【発明の実施の形態】以下に本発明を実施例について詳
述する。例えば、第1図に示すように、本発明の磁気軸
受装置1は、有底円筒状のケース2内に下端部が細軸4
となる段付き軸受に形成され、かつ該細軸4の下端に円
盤部5を有するロータ3を挿入している。前記ロータ3
の上部は、ケース2の内壁2aに固定された磁気軸受6
にて支承され、前記ロータ3の下部の円盤部5は、ケー
ス2の底壁2bに固定された磁気軸受7と該磁気軸受7
より若干上方でケース2の内壁2aに固定された磁気軸
受8との間に位置して両磁気軸受7、8にて支承され
る。前記上方の磁気軸受6は、ロータ3の軸線に直交す
る方向に磁力を出すラジアル軸受として作用し、下方の
二個の磁気軸受7、8は、ロータ3の軸線方向すなわち
円盤部5の上下面5a、5bに直交する方向に磁力を出
すスラスト軸受として作用する。9は高周波モータでロ
ータ3を回転させるためのものである。また磁気軸受6
の上方のケース2の内壁2aからは半径方向にフランジ
10が一体に設けられ、該フランジ10の端部10aに
形成した周状凹溝11内に、タッチダウン軸受として総
ボール形式の深みぞ玉軸受12が装着固定され、ロータ
3の回転停止時のラジアル負荷を受ける。 【0007】さらに下方の両磁気軸受7、8のうち、円
盤部5の上面側に配置された磁気軸受8のコアー8bの
ロータ3に対向する側面8aには、タッチダウン軸受と
して二個の総ボール形式のアンギュラ玉軸受13、14
が上下に正面組合わせで装着固定されている。この両タ
ッチダウン軸受13、14のうち上部の軸受13により
ロータ3の段付き面3aおよび細軸4が支承され、下部
の軸受14によりロータ3の細軸4のみが支承される。
ここで第1図の実施例はロータ3の回転中の状態を示し
ているが、ロータ3の回転停止時にはロータ3はタッチ
ダウン軸受12、13、14のみにて支承され、磁気軸
受6、7、8には非接触状態を保つよう、寸法関係が考
慮されていることはもちろんである。 【0008】次に前記タッチダウン軸受について詳述す
る。なお、ここでは便宜上タッチダウン軸受12を代表
して説明するが、他の軸受13、14の構成についても
同様であることはいうまでもない。第2図に示すよう
に、タッチダウン軸受12は、軸受鋼を素材とした内輪
15、外輪16、および、内外輪15、16の間に介装
された転動体17である。Aは、膜厚約数μmのTiN
薄膜層であり、タッチダウン時の回転輪となる内輪15
のタッチダウン側周面すなわち内周面151、内輪15
の軌道面152、および外輪16の軌道面161に、ス
パッタリング法、イオンプレーティング法あるいはCV
D法等のコーティングにより形成されている。前記Ti
Nの薄膜層Aは、従来の二流化モリブデン等の固体潤滑
剤層に比べ、機械的摩耗に対して強く、長期にわたりタ
ッチダウンに耐えられ、しかも高温での摩耗係数が小さ
く、タッチダウン時の内輪内周面151および内外輪の
軌道面152、161での摩擦係数を小さく、すなわち
摩擦トルクを小さくさせることができ、高温での安定性
と耐焼付性は数段に優れたものとなる。もちろん、真空
中で使用されるタッチダウン軸受に要求される完全ドラ
イ潤滑性も失われることがない。 【0009】上記薄膜層Aとしては、TiNの他TiC
なども同等の効果が得られる。さらに、これらを複数積
層にして用いることも可能である。第3図には、従来技
術である銀膜上に二硫化モリブデンを被覆したタッチダ
ウン軸受と、本発明のTiN層を被覆したタッチダウン
軸受との低真空中300℃での摩擦係数の変化状態を示
す比較グラフである。第3図から明らかなように、本発
明の軸受の方が、長期間にわたり摩擦係数を小さく維持
できることが明らかである。これは、Ag、MO S2 が
低真空中であっても、わずかに存在する酸素のため、高
温中で酸化が進み、潤滑性を失って行くが、TiN層は
高温条件下においても劣化しないことと、高速回転によ
っても剥離しにくいからである。したがって、高温条件
下において高速回転で使用しても、支障なく長期にわた
って軸受機能を発揮することができる。 【0010】上記実施例では、総ボール形式の玉軸受に
ついて説明したが、保持器付きの玉軸受でもよい。ま
た、他の形式のころがり軸受でもよい。さらにまた、本
発明の他の実施例として第1図および第2図の実施例に
おいて、タッチダウン軸受の回転輪15の内周面151
に対向するロータ3の外周面31にTiN薄膜層をコー
ティングにより形成してもよい。 【0011】 【発明の効果】本発明は、ロータを磁気軸受で浮揚状態
に支持し、かつ磁気軸受の電源断時等にタッチダウン用
転がり軸受によりロータを回転可能に支持するようにし
た磁気軸受装置において、前記タッチダウン用転がり軸
受は、少なくとも回転輪が鋼で形成されるとともに、す
べての転動体がセラミックスからなる総ボール型式とし
て回転輪の初期トルクを低減し、該タッチダウン用転が
り軸受の回転輪のタッチダウン側周面に固体潤滑被膜層
を形成してなる。そして、該固体潤滑被膜層によりロー
タと回転輪間のすべりを助長して、タッチダウン直後の
タッチダウン用転がり軸受の急加速を緩和し、タッチダ
ウン用転がり軸受全体の初期トルクの低減が図られる構
成である。従って、急激な回転トルクが負荷されても、
初期トルクの低減を長時間にわたり可能とし、しかも磁
気軸受の信頼性を向上させ、回転軸や軸受の損傷を防止
でき、磁気軸受装置の寿命を向上させうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の縦断面図である。
【図2】第1図の実施例におけるタッチダウン軸受の要
部拡大断面図である。 【図3】本発明のタッチダウン軸受と従来のタッチダウ
ン軸受の摩擦係数の変化状態を示す比較グラフである。 【符号の説明】 3 ロータ 6、7、8 磁気軸受 12、13、14 タッチダウン軸受 A 固体潤滑膜
部拡大断面図である。 【図3】本発明のタッチダウン軸受と従来のタッチダウ
ン軸受の摩擦係数の変化状態を示す比較グラフである。 【符号の説明】 3 ロータ 6、7、8 磁気軸受 12、13、14 タッチダウン軸受 A 固体潤滑膜
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フロントページの続き
(72)発明者 六角 和夫
大阪府大阪市南区鰻谷西之町2番地 光
洋精工株式会社内
(56)参考文献 特開 昭61−165021(JP,A)
特開 昭61−6169(JP,A)
特開 昭54−163248(JP,A)
特開 昭53−131285(JP,A)
実開 昭60−7420(JP,U)
実開 昭61−40510(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
F16C 32/04
F16C 33/32
F16C 33/66
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 (1)ロータを磁気軸受で浮揚状態に支持し、かつ磁気
軸受の電源断時等にタッチダウン用転がり軸受によりロ
ータを回転可能に支持するようにした磁気軸受装置にお
いて、 前記タッチダウン用転がり軸受は、少なくとも回転輪が
鋼で形成されるとともに、すべての転動体がセラミック
スからなる総ボール型式として回転輪の初期トルクを低
減し、該タッチダウン用転がり軸受の回転輪のタッチダ
ウン側周面に固体潤滑被膜層を形成して、 該 固体潤滑被膜層によりロータと回転輪間のすべりを助
長して、タッチダウン直後のタッチダウン用転がり軸受
の急加速を緩和し、タッチダウン用転がり軸受全体の初
期トルクの低減が図られるようになされている磁気軸受
装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001281027A JP3490074B2 (ja) | 2001-09-17 | 2001-09-17 | 磁気軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001281027A JP3490074B2 (ja) | 2001-09-17 | 2001-09-17 | 磁気軸受装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9265012A Division JPH10176714A (ja) | 1997-09-10 | 1997-09-10 | 磁気軸受装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002139037A JP2002139037A (ja) | 2002-05-17 |
JP3490074B2 true JP3490074B2 (ja) | 2004-01-26 |
Family
ID=19104928
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001281027A Expired - Lifetime JP3490074B2 (ja) | 2001-09-17 | 2001-09-17 | 磁気軸受装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3490074B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
NO2748915T3 (ja) * | 2011-09-13 | 2018-08-04 | ||
KR101408060B1 (ko) | 2012-06-19 | 2014-06-18 | 한국기계연구원 | 보조 베어링이 결합된 복합 자기 베어링 |
-
2001
- 2001-09-17 JP JP2001281027A patent/JP3490074B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002139037A (ja) | 2002-05-17 |
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