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JP3476408B2 - 溶融Zn−Mg−Al系合金めっき鋼線およびその製造方法 - Google Patents

溶融Zn−Mg−Al系合金めっき鋼線およびその製造方法

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JP3476408B2
JP3476408B2 JP2000036530A JP2000036530A JP3476408B2 JP 3476408 B2 JP3476408 B2 JP 3476408B2 JP 2000036530 A JP2000036530 A JP 2000036530A JP 2000036530 A JP2000036530 A JP 2000036530A JP 3476408 B2 JP3476408 B2 JP 3476408B2
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molten
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英一 遠藤
康秀 森本
一実 西村
暁 田中
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Nippon Steel Corp
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  • Coating With Molten Metal (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融Zn系合金め
っき鋼線とこの溶融Zn系合金を鋼線にめっきする方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】河川や港湾の護岸工法の一つに、カゴマ
ットを敷設する工法がある。このカゴマットには、一般
にAlを5〜10質量%含有したZn−Al系合金を溶
融めっきした、直径3〜4mm程度の鋼線を網状に編組
したものが用いられる。このZn−Al系合金めっきは
優れた耐食性を有し、これまで構造物などにも広く用い
られているが、近年、カゴマットにさらなる高耐食性を
付与するニーズが顕在化してきた。高耐食性のめっきと
しては、AlめっきやAlを55質量%含有したZn−
Al合金めっきが知られているが、比較的高価なAlを
多量に使用する上、めっき浴の温度を600℃程度以上
の高温に維持する必要がある等の理由から、製造コスト
が高くなる。そのため、Alを5〜10質量%含有した
Zn−Al系合金めっきとコスト的に同等もしくはそれ
以下でかつ、耐食性に優れた表面処理が求められる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題に
鑑み、Alを5〜10質量%含有した溶融Zn−Al系
合金を溶融めっきと同等以下のコストにて、海中部のよ
うな高塩素濃度環境から河川のような低塩素濃度環境に
わたる広範囲な腐食環境において、優れた耐食性を有す
るめっき鋼線の提供を課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者らは、高塩素濃度
環境や低塩素濃度環境において、Zn−Al系よりもさ
らに高い耐食性を示すZn−Mg−Al系合金めっきに
着目した上で、コストを考慮して、そのめっき組成を限
定し、さらにかかるめっき鋼線の効率的な製造方法を確
立するに至り本発明を完成させたものであって、その要
旨とするところは、 (1)鋼線の表面に、Mg:〜7質量%、Al:0.
01〜20質量%、Si:0.001〜1質量%を含有
し、残部がZnおよび不可避不純物からなり、前記Si
のうちの一部または全部が粒状のMg 2 Si相を形成
し、さらに、そのMg 2 Si相の断面形状が少なくとも
多角形を呈する板状である溶融Zn−Mg−Al系合金
めっき層を、付着量がZn換算で100〜600g/m
2 有することを特徴とする溶融Zn−Mg−Al系合金
めっき鋼線。
【0005】(2)溶融Zn−Mg−Al系合金めっき
層の下層として、Fe−Zn合金層を含むZnめっき層
をさらに有し、溶融Zn−Mg−Al系合金めっきと合
金層を含むZnめっき層の付着量の総和がZn換算で1
00〜600g/m2 であることを特徴とする前記
(1)に記載の溶融Zn−Mg−Al系合金めっき鋼
線。 (3)溶融Zn−Mg−Al系合金めっき層中にMgZ
2 相を含むことを特徴とする前記(1)または(2)
に記載の溶融Zn−Mg−Al系合金めっき鋼線。
【0006】()溶融Zn−Mg−Al系合金めっき
層の上に、焼付硬化型の組成物からなり、焼付後の塗膜
の硬化度が80%以上である有機合成樹脂塗膜を有する
ことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載
の溶融Zn−Mg−Al系合金めっき鋼線。 ()鋼線を、Al:0.5質量%以下を含有するZn
−Al系合金めっき浴に浸漬して付着量がZn換算で1
00g/m2 以上のZn−Al合金めっきを行ない、次
いで、Mg:〜7質量%、Al:0.01〜20質量
、Si:0.001〜1質量%を含有するZn−Mg
−Al系合金浴に浸漬してめっきすることを特徴とす
融Zn−Mg−Al系合金めっき鋼線の製造方法。
【0007】()鋼線を、溶融Zn浴に浸漬してZn
付着量が100g/m2 以上のZnめっきを行ない、次
いで、Mg:〜7質量%、Al:0.01〜20質量
、Si:0.001〜1質量%を含有するZn−Mg
−Al系合金浴に浸漬してめっきすることを特徴とす
融Zn−Mg−Al系合金めっき鋼線の製造方法。 ()前記()または()の方法において、Zn−
Mg−Al系合金浴に浸漬した後、その鋼線の温度が少
なくともめっき層の融点に到達するまで、0.1〜50
℃/秒の速度で冷却することを特徴とする溶融Zn−M
g−Al系合金めっき鋼線の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明(1)のめっき鋼線は、Z
n−Mg−Al系合金めっきを特徴とする。このめっき
は、Mg:〜7質量%、Al:0.01〜20質量%
を含有する。Mgの含有量は、耐食性の向上のためには
質量%以上が必要である。しかし、7質量%を超える
とめっき層が脆くなって密着性が低下する。したがっ
て、Mgの含有量は〜7質量%とする。また、Alの
含有量は、0.01質量%未満ではめっきの耐食性はむ
しろ低下するので0.01質量%以上とする。しかし、
20質量%を超えると、めっきの上に塗膜を設けた場合
に塗膜との良好な密着性が得にくい。したがって、Al
の含有量は0.01〜20質量%とする。また、Zn−
Mg−Al系合金めっきの付着量は、きず付き等のめっ
きへの機械的なダメージを考慮して100g/m2 とす
る。また、あまり厚目付にするとめっき表面の平滑性
が損なわれることがあるので、600g/m2 を上限と
する。
【0009】本発明()のめっき鋼線は、鋼線のめっ
き層中に粒状のMg 2 Si相が存在しているが、これに
よってめっきの耐食性が向上することを見出した。すな
わち 、一般にZn−Mg−Al系合金は脆い性質があ
り、曲げ加工等の極端な機械加工を行うと、めっきに割
れが生じたり、最悪の場合はめっきが剥離することもあ
り、耐食性を低下させる原因にもなる。これは、鋼線と
めっき層との界面にFe−Al系の脆い合金層が生成す
るためであり、この合金層の生成を抑えるにはSiを添
加するのが効果的である。
【0010】また、Siの添加によって、めっき層中に
粒状のMg 2 Si相が生成し、これによってめっきの耐
食性が向上する。このMg 2 Si相は多角形状の断面を
有していることが必要であり、例えば、Siが単にめっ
き層中に均一に分散したような状態では耐食性向上効果
はない。このようなSi添加による効果を享受するため
には、Siの添加量は0.001質量%以上が必要であ
り、これ未満では加工性は向上しない上に、多角形断面
を有するMg 2 Si相が生成しないので耐食性も向上し
ない。一方、Siが1質量%を超えると、めっき層中の
Al濃度が高い場合にはめっき工程でドロスが大量に発
生し、作業性が大きく低下する。従って、Siの添加量
は0.001〜1質量%とする。
【0011】本発明(2)のめっき鋼線は、本発明
(1)記載のめっき鋼線で、溶融Zn−Mg−Al系合
金めっき層の下層として、Fe−Zn合金層を含むZn
めっき層をさらに有しており、下層めっきが純Znめっ
きの場合は、下地鋼線との合金層を含む明確な下地層を
形成する。 本発明(3)のめっき鋼線は、本発明(1)
または(2)の鋼線の溶融Zn−Mg−Al系合金めっ
き層中にMgZn 2 相を含んでおり、Zn−Mg−Al
系合金めっきの耐食性をより高めることができることを
見出した。
【0012】本発明(5)のめっき鋼線は、溶融Zn−
Mg−Al系合金めっき層の上に、焼付硬化型の組成物
からなり、焼付後の塗膜の硬化度が80%以上である有
機合成樹脂塗膜を有することを特徴としている。このZ
n−Mg−Al系合金めっきの上に有機合成樹脂塗料を
塗装することが好ましい。塗料としては、アクリル系,
塩化ゴム系,塩化ビニル系,ポリウレタン系など市販の
ものを用いてもよいが、塗膜の密着性が高く、機械的強
度にも優れていることからエポキシ系塗料を用いるのが
好ましい。エポキシ系塗料の組成は適宜調節してよい
が、連続生産の塗装ラインで、限られた時間内に塗装か
ら成膜までの一連の工程を完了する必要があるので、焼
付型を用いるのが好ましく、焼付硬化型を用いるのがさ
らに好ましい。
【0013】塗料に用いるエポキシ樹脂は、平均分子量
300〜4000,エポキシ当量70〜5000のもの
がよく、分子末端のオキシラン環の数はエポキシ1分子
あたり2個以上のものを用いる。また、これらのエポキ
シ樹脂を適宜変性したものを用いてもよい。硬化剤はジ
アミン誘導体(ジシアンジアミドおよびイミダゾール誘
導体を含む),酸無水物,フェノール誘導体,アミン塩
およびこれらの各種変性体の中から適宜選定する。
【0014】エポキシ樹脂と硬化剤の適切な混合比は、
用いる化合物の組み合せによって異なるので一概には規
定できないが、例えば1級アミン化合物を硬化剤とする
場合には、エポキシ樹脂のオキシラン環10部に対し
て、硬化剤の活性水素が8部程度になるようにするとよ
い。さらに、塗膜に強度や柔軟性などを付与するため
に、シリカなどの無機系添加剤を加えてもよいし、塗装
作業を容易にするために、有機溶剤で希釈してもよい。
ただし、有機溶剤は、用いるエポキシ樹脂や硬化剤と化
学反応を起こさないものを用いる。
【0015】塗装は、鋼線を塗料の中に浸漬するか、適
当な塗装機を用いてスプレー法によって行なうが、これ
以外の方法を用いてもよい。塗装後は、塗膜厚を均一に
するために必要に応じてゴムベラなどで軽くしごくとよ
い。焼付けは、熱風乾燥法,電気誘導加熱法または赤外
線加熱法など適当な方法により行なう。ただし、どのよ
うな方法で焼付けるにしても、焼付け後の塗膜の硬化度
は80%以上でなくてはならない。これを下回ると、強
固な塗膜は得られない。なお、塗膜の硬化度は、公開技
報95−4431号公報に開示された方法で見積もるこ
とができる。
【0016】必要な塗膜厚は、カゴマットの腐食環境等
を考慮して個別に決めることが肝要であるので、ここで
はとくに限定しない。しかし、防食性を有するためには
少なくとも5μm以上が望ましい。また、Zn−Mg−
Al系合金めっき層と有機合成樹脂塗膜との間にクロメ
ート,リン酸塩,有機ジルコニウム塩,有機チタン塩,
ジルコニウム塩などの化成処理皮膜を介在させてもよ
い。化成処理を行なう場合は、めっき面を十分に脱脂し
てからおこなうことが好ましい。脱脂に用いる薬液は揮
発性のある有機溶剤や専用の市販品を用いることがで
き、化成処理方法は、浸漬法やスプレー法またはその他
適当な方法で行なうとよい。
【0017】本発明()または()のめっき鋼線の
製造方法は、大まかに、鋼線を純Znまたは微量のAl
を含むZn合金浴に浸漬して、上記のような第1段目の
めっきを行い、次いでZn−Mg−Al系合金浴に浸漬
して第2段目のめっきを行うものである。本発明製造
方法において、このZn−Mg−Al系合金めっきの前
処理として、純Znまたは微量のAlを含むZn合金浴
により下層めっきを行なうのが好ましいが、下層めっき
が純Znめっきの場合は、下地鋼線との合金層を含む明
確な下地層を形成する。以下、この方法について詳細に
説明する。
【0018】まず、鋼線を脱脂,酸洗した後、適当な方
法で前処理を行なう。前処理は、例えば、塩化亜鉛と塩
化アンモニウムを主成分とするフラックスを用いる方法
や含水素雰囲気で加熱する方法等、公知の方法で行なう
ことができる。この鋼線を純Znまたは0.5質量%以
下のAlを含有したZn−Al合金浴に浸漬して、第1
段目のめっきを行なう。Alの含有量が0.5質量%を
超えるとめっき性が低下し、不めっきが生じやすくなる
ので、0.5質量%以下とするのが好ましい。
【0019】また、めっきの付着量はZn換算で100
g/m2 以上が好ましい。100g/m2 未満では、第
2段目のZn−Mg−Al系合金めっきをしたときに不
めっきが生じやすく、均一なめっき面が得られにくい。
一方、めっきの付着量が100g/m2 以上であれば、
最終的に得られるZn−Mg−Al系合金めっき表面の
均一性はほとんど違いがない。しかし、必要以上に厚く
めっきすると経済的に不利益となるので、Zn付着量が
できるだけ100g/m2 に近くなるように薄くめっき
するのがよい。
【0020】鋼線のめっき浴浸漬時間は5秒以上が好ま
しい。5秒未満では不めっきが発生したり、めっきの密
着性が低下する場合がある。また、純Znをめっきする
場合には、めっき浴浸漬時間は60秒以内が好ましい。
60秒を超えるとFe−Znの合金層が異常に成長し、
そのFe−Zn合金層の上にZn−Mg−Al合金をめ
っきすることになるために、結果的に加工性の著しく低
いZn−Mg−Al合金めっきとなってしまう。Fe−
Znの合金層の厚さは、Znめっき層のうち70%程度
以下を目安にするとよい。一方、Zn−Al合金をめっ
きする場合は、Fe−Zn合金層はほとんど成長しない
ので、長時間側について厳密に管理しなくてもよいが、
生産性を上げるためには出来るだけ短時間で行うことが
好ましい。
【0021】このような方法で、第1段目のめっきを行
なった後、第2段目のZn−Mg−Al系合金めっきを
施す。このめっきを行なうに際しては、本発明のZn−
Mg−Al系めっき組成を得るために、Znめっき浴中
にMg:〜7質量%、Al:0.01〜20質量%
Si:0.001〜1質量%を含有させる。めっき浴温
は380℃以上とする。380℃未満では、溶融Zn−
Mg−Al系合金めっき浴の流動性が低く、良好なめっ
き外観が得られない。めっき浴温の上限はとくに規定し
ないが、鋼線の強度が要求される場合は500℃を超え
ない温度が好ましい。Zn−Mg−Al系合金めっき浴
中への鋼線の浸漬時間は5〜600秒がよい。5秒未満
では、不めっきの発生やめっきの密着性低下がおこる。
一方、600秒を超えるとZn−Mg−Al系合金めっ
き層の合金化が進むために脆くなる。
【0022】本発明()のめっき鋼線の製造方法は、
上記()または()の方法でZn−Mg−Al系合
金浴に浸漬した後、めっき層が少なくとも融点に達する
まで0.1〜50℃/秒の速度で冷却する。Zn−Mg
−Al系合金めっきの耐食性をより高めるには、溶融Z
n−Mg−Al系合金めっき層中にMgZn2 相が形成
することが重要であるが、冷却速度が0.1℃/秒未満
ではFeとZnを主成分とする合金層が厚く成長して、
耐食性は低下する。一方、50℃/秒を超えるとMgZ
2 相が形成しなくなり、高い耐食性は得られない。め
っき層が融点以下になるまで平均1〜30℃/秒の速度
で冷却すると、FeとZnを主成分とする合金層の成長
が抑制され、かつMgZn2 相の形成が促進されるので
特に好ましい。
【0023】
【実施例】 次に、本発明を実施例にもとづいて詳細に説
明する。 (実施例) 市販のアルカリ脱脂剤で脱脂した220×4mmφの鋼
線を60℃の10質量%硫酸中に5分間浸漬して酸洗し
た後、ZnCl2 とNH4 Clを1リットル当たり各々
132gおよび168gの割合で配合した水性処理液に
浸漬した。処理液の温度は70℃、浸漬時間は5秒とし
た。浸漬後直ちに、150℃に設定したオーブン中に5
分放置して乾燥させた。次に、Zn−Mg−Al合金め
っきを2段めっき法によって行った。先ず、Alを0.
2質量%含み、浴中温度450℃に設定したZn−Al
めっき浴に、上述の前処理を施した鋼線を10秒間浸漬
してZnめっき(付着量:約100g/m2 )を施し
た。
【0024】 次に、このZnめっき鋼線を、Mg:3質
量%、Al:10質量%およびSiを含有し、残部がZ
nからなるめっき浴(浴温度450℃)に、5分間浸漬
して、2段目のめっきを施した。このめっき鋼線を20
0℃まで0.05℃/秒および5℃/秒の速度で冷却し
た後、水中に没して室温まで冷却した。このようにして
作製しためっき鋼線から小片を切り出し、めっき層断面
をEPMAにて1000倍で解析したところ、Siの含
有量が0.001質量%以上のとき、明確にMg2 Si
相の形成を認めた。そして、このMg2 Si相は粒状で
あり、その断面形状は多角形を呈した。このめっき鋼線
を4mmφの鉄線の円周方向に沿って10回巻付け、鉄
線を引き抜いた後、塩水噴霧試験を行ない、赤錆発生ま
での時間を測定した。
【0025】 この試験結果を図1に示す。この図から、
いずれの冷却速度の場合もSiの含有量として、Mg2
Si相が明確に析出しはじめる0.001質量%から、
赤錆発生時間が長くなりはじめることが判明した。ま
た、Siの含有量が1質量%を超えると、めっき工程で
ドロスの発生が顕著になりはじめ、めっきの外観は大き
く低下した。これらの結果から、Siの含有量は0.0
01〜1質量%が適当であることが判明した。さらに、
これらのめっき鋼線中のMgZn2 相の有無を、めっき
の断面をEPMA(倍率800倍)で解析して元素分布
を調査する手法を用いて判定したところ、冷却速度が
0.05℃/秒の場合は存在しなかったが、冷却速度が
5℃/秒の場合は明確に現れていた。従って、MgZn
2 相がある場合は、より赤錆発生時間を長くすることが
できることが判った。
【0026】
【発明の効果】本発明の鋼線は、溶融Znめっきまたは
溶融Zn−Al合金めっきを行なった後、溶融Zn−M
g−Al系合金めっきを施したもので、そのめっき層中
にMg2 Si相を形成し、さらに、そのMg2 Si相の
断面形状が少なくとも多角形を呈する板状であるもの
ある。また、そのZn−Mg−Al系合金めっきの上に
有機合成樹脂塗膜を設けたものである。
【0027】 本発明のZn−Mg−Al系合金めっき
は、経済的な負担を大きく増加させることなく、従来の
Zn−Al系合金めっきと同等以上のめっき耐食性を得
ることができる。そして、めっき層中にMgZn2 相、
および/または、粒状のMg2Si相を形成させること
で、さらに防食性能を向上させることができる。さら
に、これらのZn−Mg−Al系合金めっきの上に、適
切に硬化させた有機合成塗膜を設けることにより、防食
性能を格段に向上させることができる。そして、この表
面処理を鋼線に適用することによって、種々の使用環境
において、長期にわたって使用可能な高耐食性鋼線を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Si添加量と赤錆発生時間の関係を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 暁 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株 式会社 君津製鐵所内 (56)参考文献 特開 平11−200070(JP,A) 特開 平2−259054(JP,A) 特開 平7−207421(JP,A) 特開 平7−233458(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼線の表面に、 Mg:〜7質量%、 Al:0.01〜20質量% Si:0.001〜1質量% を含有し、残部がZnおよび不可避不純物からなり、前
    記Siのうちの一部または全部が粒状のMg 2 Si相を
    形成し、さらに、そのMg 2 Si相の断面形状が少なく
    とも多角形を呈する板状である溶融Zn−Mg−Al系
    合金めっき層を、付着量がZn換算で100〜600g
    /m2 有することを特徴とする溶融Zn−Mg−Al系
    合金めっき鋼線。
  2. 【請求項2】 溶融Zn−Mg−Al系合金めっき層の
    下層として、Fe−Zn合金層を含むZnめっき層をさ
    らに有し、溶融Zn−Mg−Al系合金めっきと合金層
    を含むZnめっき層の付着量の総和がZn換算で100
    〜600g/m2 であることを特徴とする請求項1に記
    載の溶融Zn−Mg−Al系合金めっき鋼線。
  3. 【請求項3】 溶融Zn−Mg−Al系合金めっき層中
    にMgZn2 相を含むことを特徴とする請求項1または
    2に記載の溶融Zn−Mg−Al系合金めっき鋼線。
  4. 【請求項4】 溶融Zn−Mg−Al系合金めっき層の
    上に、焼付硬化型の組成物からなり、焼付後の塗膜の硬
    化度が80%以上である有機合成樹脂塗膜を有すること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶融Zn
    −Mg−Al系合金めっき鋼線。
  5. 【請求項5】 鋼線を、Al:0.5質量%以下を含有
    するZn−Al系合金めっき浴に浸漬して付着量がZn
    換算で100g/m 2 以上のZn−Al合金めっきを行
    ない、次いで、Mg:3〜7質量%、Al:0.01〜
    20質量%、Si:0.001〜1質量%を含有するZ
    n−Mg−Al系合金浴に浸漬してめっきすることを特
    徴とする溶融Zn−Mg−Al系合金めっき鋼線の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 鋼線を、溶融Zn浴に浸漬してZn付着
    量が100g/m 2 以上のZnめっきを行ない、次い
    で、Mg:3〜7質量%、Al:0.01〜2 0質量
    %、Si:0.001〜1質量%を含有するZn−Mg
    −Al系合金浴に浸漬してめっきすることを特徴とする
    溶融Zn−Mg−Al系合金めっき鋼線の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5または6の方法において、Zn
    −Mg−Al系合金浴に浸漬した後、その鋼線の温度が
    少なくともめっき層の融点に到達するまで、0.1〜5
    0℃/秒の速度で冷却することを特徴とする溶融Zn−
    Mg−Al系合金めっき鋼線の製造方法。
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