JP3426644B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
樹脂組成物Info
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- JP3426644B2 JP3426644B2 JP10946293A JP10946293A JP3426644B2 JP 3426644 B2 JP3426644 B2 JP 3426644B2 JP 10946293 A JP10946293 A JP 10946293A JP 10946293 A JP10946293 A JP 10946293A JP 3426644 B2 JP3426644 B2 JP 3426644B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定のビニルアルコー
ル系重合体および主鎖中にカルボニル基を有する重合体
からなり、相溶性に優れ、さらに機械的特性および透明
性に優れる樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】ビニルアルコール系重合体は機械的特
性、耐油性、透明性およびガスバリアー性などに優れて
いることから、繊維、フィルムおよびシート等に幅広く
使用されている。これらの特徴はビニルアルコール系重
合体中の水酸基の水素結合により形成される結晶および
強い分子間相互作用に起因するものであるが、その一方
で、親水性の水酸基は吸湿または吸水による性能低下や
寸法変化が生じるという問題があった。 【0003】ビニルアルコール系重合体の耐水性を向上
させる方法としては、熱処理による結晶化度の向上また
は無機物やジアルデヒド添加による架橋形成等が提案さ
れている。しかしながら、本来親水性の高いポリビニル
アルコールはこのような処置を施しても、依然としてか
なりの吸湿および吸水が認められることから更なる改善
が望まれている。 【0004】エチレンを10〜65モル%含有するエチ
レン−ビニルアルコール共重合体は、耐水性が改善さ
れ、溶融成形が可能であり、特にガスバリアー性が優れ
ていることから、食品包装をはじめとした包装用材料に
広く用いられている。 【0005】これらの課題を解決するために、ビニルア
ルコール系重合体と他のポリマーとのブレンドが検討さ
れている。ポリビニルアルコールを一成分とし、多糖類
またはポリエーテル等の親水性重合体を他の一成分とす
る組成物は、耐水性および力学特性がともに低く、さら
に相溶性についても劣るために組成物の透明性も低かっ
た。 【0006】一方、ビニルアルコール系重合体を一成分
とし、非水溶性重合体を他の一成分とする組成物は、非
水溶性重合体への親水性の付与、非水溶性重合体への吸
水性の付与、非水溶性重合体の表面改質および非水溶性
重合体の帯電防止などを目的に検討されてきた。しかし
ながら、エチレン−ビニルアルコール共重合体の機械的
特性の改良を目的とするエチレン−ビニルアルコール共
重合体とナイロンとのブレンド(秋山ら、高分子学会予
稿集、第41巻、988頁、1992年)、エチレン−
ビニルアルコール共重合体への生分解性の付与を目的と
するエチレン−ビニルアルコール共重合体と脂肪族ポリ
エステルまたは脂肪族ポリアミドとのブレンド(特開平
4−139248号)などが提案されているに過ぎず、
これらはいずれも相溶性が不良であった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】かかる状況下、本発明
の目的は、相溶性に優れ、機械的特性、透明性に優れた
樹脂組成物を提供することにある。さらに本発明は、そ
の配合割合に応じて適度な吸水性を有する樹脂組成物を
提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、ダイアッド表示に
よるシンジオタクチシチーが55%以上のビニルアルコ
ール系重合体(A)ならびにポリエステルおよびポリア
ミドから選択される主鎖中にカルボニル基を有する重合
体(B)(ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体を除
く。以下の説明において特に断らないが、重合体(B)
からは、ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体を除く
ものとする)が高い相溶性を示すことを見出し、本発明
を完成させるに至った。本発明における主鎖中にカルボ
ニル基を有する重合体(B)において、ポリ3−ヒドロ
キシブチレート系重合体を除く理由は、先願である特願
平5−75700号(出願人:株式会社クラレ)との重
複を避けるためである。 【0009】以下本発明をさらに詳しく説明する。本発
明に使用するビニルアルコール系重合体(A)は、立体
規則的にみてシンジオタクチシチーの高いことが必要で
あり、ダイアッド表示によるシンジオタクチシチーが5
5%以上であることが必要であり、57%以上が好まし
く、60%以上がより好ましい。なお、ここでいうシン
ジオタクチシチーは、ビニルアルコール系重合体を重水
素化ジメチルスルホキシドに溶解し、プロトンNMR測
定における水酸基のピーク(T.Moritani e
t al.,Macromolecules,5,57
7,(1972).)より求めたダイアッド表示による
シンジオタクチシチーであり、従来のアタクチックなポ
リビニルアルコール(シンジオタクチシチー:53%)
のように、シンジオタクチシチーが55%未満の場合に
は、主鎖中にカルボニル基を有する重合体(B)との相
溶性が低く、本発明の効果が発現しない。 【0010】本発明のビニルアルコール系重合体(A)
の分子量は、ビニルアルコール系重合体を完全にけん化
した後、酢化して得られたポリ酢酸ビニル系重合体のア
セトン中30℃で測定した極限粘度で表して0.2〜
7.0dl/gが好ましく、0.3〜5.0dl/gが
より好ましく、0.5〜3.0dl/gがさらにより好
ましい。極限粘度が0.2dl/g未満の場合には組成
物の機械的特性が低く、極限粘度が7.0dl/gより
大の場合には高粘度のため成形性が低下する。ビニルア
ルコール系重合体(A)がポリビニルアルコールである
場合には、特に機械的強度が優れる。ビニルアルコール
系重合体(A)がエチレン−ビニルアルコール共重合体
である場合には、機械的強度に優れるとともに、特にガ
スバリアー性に優れる。エチレン−ビニルアルコール共
重合体の場合、エチレン含有量は特に制限はないが、1
0〜65モル%が好ましく、20〜55モル%が好まし
い。エチレン含有量が10モル%未満の場合には溶融成
形性が低下し、エチレン含有量が65モル%より大の場
合にはガスバリアー性が低下する。 【0011】本発明のビニルアルコール系重合体(A)
のけん化度は、特に制限はないが、10モル%以上が好
ましく、30モル%以上がより好ましく、特に機械的特
性またはガスバリアー性が必要な場合には、60モル%
以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、98
モル%以上がさらにより好ましい。 【0012】本発明のビニルアルコール系重合体(A)
は、例えば特開平3−121102号公報に記載された
方法(ビニルエステルを重合した後、酸素不存在下でア
ルカリ触媒下にけん化する方法)または特開平4−22
7905号公報に記載された方法(エチレンとビニルエ
ステルを共重合した後、酸素不存在下でアルカリ触媒下
にけん化する方法)により製造される。 【0013】本発明のビニルアルコール系重合体(A)
は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ビニルア
ルコール単位およびビニルエステル単位以外の単位を含
有していても良い。このような単位としては、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィ
ン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸
i−プロピル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸
およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロ
ピル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド;N
−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等
のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド;N−メチ
ルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等の
メタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチ
ルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−
プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化
ビニル、塩化ビニリデン、フツ化ビニル、フツ化ビニリ
デン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル
等のアリル化合物;マレイン酸、その塩またはそのエス
テル;イタコン酸、その塩またはそのエステル;ビニル
トリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソ
プロペニル等が挙げられる。これらの単位の含有量とし
ては、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がさら
に好ましく、3モル%以下がさらにより好ましい。 【0014】本発明に用いられる主鎖中にカルボニル基
を有する重合体(B)は、ポリエステルおよびポリアミ
ドから選択され、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンイソフタレート、ポリ(エチレン−
2,5−ジメチルテレフタレート)、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン
テレフタレート)、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレ
ート)等の芳香族ポリエステル;ポリ乳酸、ポリグリコ
ール酸、ポリ(γ−ブチロラクトン)、ポリ(δ−バレ
ロラクトン)、ポリ(β−メチル−δ−バレロラクト
ン)等のオキシ酸重合体;ポリエチレンアジペート、ポ
リエチレンプロピレンアジペート、ポリテトラメチレン
アジペート、ポリヘキシレンアジペート、ポリエチレン
グルタレート、ポリトリメチレングルタレート、ポリネ
オペンチルグルタレート、ポリシクロヘキシルグルタレ
ート等の脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸からなる
脂肪族ポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナ
イロン6,9、ナイロン6,10、ナイロン6,12、
ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドが挙げられ
る。本発明の主鎖中にカルボニル基を有する重合体
(B)が脂肪族ポリエステルである場合には、特に生分
解性に優れた樹脂組成物が得られる。 【0015】また、本発明の趣旨を損なわない範囲であ
れば上記ポリマー中にジフェニルメタンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシ
アネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ヘキ
サメチレンジイソシアネート等の鎖延長剤に基づくウレ
タン単位等を含んでいてもかまわない。 【0016】本発明に用いられる主鎖中にカルボニル基
を有する重合体(B)の分子量は、機械的特性および成
形性の点から、1,000〜10,000,000が好
ましく、5,000〜3,000,000がより好まし
く、10,000〜1,000,000がさらにより好
ましい。分子量が1,000未満の場合には機械的特性
が低下し、分子量が10,000,000より大の場合
には成形性が低下する。なお、ここでいう分子量は、ヘ
キサフルオロイソプロパノール溶液のゲルパーミエイシ
ョンクロマトグラフィーより求めた、ポリメチルメタク
リレート換算の重量平均分子量である。 【0017】これらの主鎖中にカルボニル基を有する重
合体(B)の製造方法には特に制限はなく、従来公知の
方法により合成される。 【0018】ビニルアルコール系重合体(A)と主鎖中
にカルボニル基を有する重合体(B)との配合割合(以
下、重量基準の配合割合をいう。)は特に制限はない
が、ビニルアルコール系重合体(A)の重量分率で5〜
98%が好ましく、30〜95%がより好ましく、40
〜90%がさらにより好ましく、60〜85%が特に好
ましい。ポリビニルアルコール系重合体の重量分率が5
%未満の場合には機械的特性が低く、98%より大の場
合には耐水性が低下する。 【0019】本発明の樹脂組成物を成形する方法は、特
に限定されるものではないが、本発明の樹脂組成物に、
配合割合に応じて選択した単独溶剤または混合溶剤を添
加して、加熱溶融あるいは溶解した後、 (1)成形した後
に溶剤を蒸発除去する乾式成形法、 (2)重合体を溶解し
ない溶剤中に押し出して凝固させて成形する湿式成形
法、 (3)ゲル化により固化成形した後に溶剤を抽出除去
するゲル成形法等も用いることができる。その他の成形
方法としては、両者をドライブレンドしてそのまま成形
する方法、あるいはより好ましくはバンバリーミキサ
ー、単軸スクリュー押し出し機または二軸スクリュー押
し出し機などでペレット化した後、乾燥する方法が挙げ
られる。 【0020】ドライブレンドまたはペレット化する際に
は、ゲルおよびブツの発生を抑え、成形物のクラックお
よびムラをなくすために、混練度の高い押し出し機を使
用し、ホッパー口を窒素シールし、低温で押し出しする
ことが好ましい。 【0021】また、ドライブレンドまたはペレット化す
る際に、他の添加物(可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、他の樹脂など)を
使用することも、本発明の趣旨を損なわない範囲であれ
ばかまわない。特に、ゲル発生防止対策として、ハイド
ロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒン
ダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属
塩(たとえば、ステアリン酸カルシウムなど)の一種ま
たは二種以上を0.01〜1重量%添加することが好ま
しい。 【0022】本発明の樹脂組成物を、溶剤を用いて成形
する場合、用いられる溶剤は、ジメチルスルホキシド、
スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−
イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミ
ド、水、フェノール、ヘキサフルオロイソプロパノー
ル、アルコール、多価アルコール、クロロホルム、ジク
ロロメタン、1,2−ジクロロエタン等が単独または混
合して用いられる。また、塩化リチウム、塩化カルシウ
ム、次亜塩素酸ナトリウム等の無機塩の水溶液も単独ま
たは前記溶剤と混合して用いられる。これらの中でも
水、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、フ
ェノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、グリセリ
ン、エチレングリコール、プロパノール、クロロホルム
等を単独または混合して用いるのが好ましい。 【0023】本発明の樹脂組成物を繊維に成形する方法
としては、繊維状に成形した後、必要に応じて湿熱下あ
るいは乾熱下に延伸を施す。延伸温度は延伸方法によっ
て異なるが、20〜300℃、好ましくは20〜250
℃の間である。また延伸倍率は2〜30倍の範囲から目
的に応じて選択される。延伸操作は、空気中または窒素
ガス中あるいは油浴中で実施され、一段もしくは二段以
上の多段で行なわれる。また微小領域加熱延伸(いわゆ
るゾーン延伸)も適用される。また、本発明の趣旨を損
なわない範囲内で各種酸化防止剤や界面活性剤などの添
加剤を混合することも可能である。 【0024】本発明の樹脂組成物をフィルムに成形する
方法としては、フィルム状に成形した後、必要に応じて
湿熱下あるいは乾熱下に延伸を施す。延伸温度は延伸方
法によって異なるが、20〜300℃、好ましくは20
〜250℃の間である。延伸倍率は1.1〜10倍の範
囲から目的に応じて選択される。直交する二方向に延伸
するいわゆる二軸延伸も適用される。延伸操作は、空気
中または窒素ガス中あるいは油浴中で実施され、一段も
しくは二段以上の多段で行なわれる。また、本発明の趣
旨を損なわない範囲内で各種酸化防止剤や界面活性剤な
どの添加剤を混合することも可能である。 【0025】本発明の樹脂組成物の用途としては、フィ
ルム、シート、繊維または成形物等の形態で、例えば食
品包装用、農業用、土木建築用、漁業用、医療用および
生理用品用等に用いられる。 【0026】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例により、なんら限
定されるものではない。以下の実施例中の「部」および
「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」お
よび「重量%」を表す。尚、実施例中の諸物性値は以下
の方法によって測定したものである。 [機械的性質]フィルム引っ張り強度、伸び、および初
期弾性率は、島津製作所製のオートグラフDCS100
型により、20℃,65%RH下で測定した。フィルム
は、クランプ間の試長20mmで、引っ張り速度100
%/minで測定した。 [膨潤倍率]40℃水中に16時間浸漬した時の重量
(W1)と、同試料を105℃で2時間乾燥した時の乾
燥重量(W0)を測定し、次式より求めたものである。 膨潤倍率=W1/W0 [透明性]フィルムの透明性は、目視により評価し、そ
の結果を以下の記号により表1に示す。 透明な場合:○ 不透明な場合:× [バリヤー性]20℃,85%RHにおけるフィルムの
酸素透過率(MOCON法、単位:cc.20μ/m↑
2.day.atm) 【0027】実施例1 ポリピバリン酸ビニルをけん化して得られたシンジオタ
クチシチー61%、けん化度99.9モル%、完全けん
化後アセチル化して得たポリ酢酸ビニルのアセトン中3
0℃での極限粘度が0.79dl/gであるポリビニル
アルコール6部と分子量30,000のポリエチレンテ
レフタレート4部をヘキサフルオロイソプロパノール3
23部に50℃で撹拌して充分に溶解し、ガラス板上に
キャストして20℃で乾燥することにより、厚さ100
μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性値を表
1に示す。 【0028】実施例2 ポリピバリン酸ビニルをけん化して得られたシンジオタ
クチシチー61%、けん化度99.9モル%、完全けん
化後アセチル化して得たポリ酢酸ビニルのアセトン中3
0℃での極限粘度が0.79dl/gであるポリビニル
アルコール系重合体7部と分子量40,000のポリブ
チレンテレフタレート3部を用いて、実施例1と同様に
してフィルムを作成し、物性値を評価した。その結果を
表1に示す。 【0029】実施例3 エチレン含有量31モル%、シンジオタクチシチー61
%、けん化度99.9モル%、水/フェノール(15/
85:重量比)の混合溶媒中30℃での極限粘度が1.
52dl/gであるエチレン−ビニルアルコール共重合
体70部と、アジピン酸とエチレングリコールから得た
分子量30,000のポリエステルをヘキサメチレンジ
イソシアネートで高重合度化した分子量80,000の
ポリエステル30部を二軸スクリュータイプ、ベント式
40φ押し出し機に入れ、窒素下、200℃で押し出し
ペレット化を行なった。該ペレットを40φ押し出し機
に入れ、窒素下、200℃で単層製膜して厚さ100μ
mのフィルムを得た。得られたフィルムの物性値を表1
に示す。 【0030】比較例1 ポリ酢酸ビニルをけん化して得られたシンジオタクチシ
チー53%、けん化度99.9モル%、完全けん化後ア
セチル化して得たポリ酢酸ビニルのアセトン中30℃で
の極限粘度が0.79dl/gであるポリビニルアルコ
ール6部と分子量30,000のポリエチレンテレフタ
レート4部を用いて、実施例1と同様にしてフィルムを
作成し、物性値を評価した。その結果を表1に示す。 【0031】比較例2 エチレン含有量32モル%、シンジオタクチシチー53
%、けん化度99.9モル%、水/フェノールの15/
85の重量比の混合溶媒中30℃での極限粘度が1.1
0dl/gであるエチレン−ビニルアルコール共重合体
70部と実施例3のポリエステル30部を用いて実施例
3と同様にして厚さ100μmのフィルムを得た。得ら
れたフィルムの物性値を表1に示す。 【0032】 【表1】 【0033】実施例4 実施例1に記載のポリビニルアルコールを7部、分子量
25,000のナイロン6を3部用いたこと以外は、実
施例1と同様にしてフィルムを作成した。得られたフィ
ルムは、以下の比較例3により得られたフィルムと比較
して、透明性に優れ、かつ強靭で機械的特性にも優れて
いた。 【0034】比較例3 比較例1に記載のポリビニルアルコールを7部、分子量
25,000のナイロン6を3部用いたこと以外は、実
施例4と同様にしてフィルムを作成した。得られたフィ
ルムは、透明性が不良で、機械的特性も不良であった。 【0035】 【発明の効果】上記の実施例から明らかなとおり、本発
明の樹脂組成物を用いて成形されたフィルムは、機械的
特性に優れており、耐水性にも優れていることから、工
業的な有用性が高い。
ル系重合体および主鎖中にカルボニル基を有する重合体
からなり、相溶性に優れ、さらに機械的特性および透明
性に優れる樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】ビニルアルコール系重合体は機械的特
性、耐油性、透明性およびガスバリアー性などに優れて
いることから、繊維、フィルムおよびシート等に幅広く
使用されている。これらの特徴はビニルアルコール系重
合体中の水酸基の水素結合により形成される結晶および
強い分子間相互作用に起因するものであるが、その一方
で、親水性の水酸基は吸湿または吸水による性能低下や
寸法変化が生じるという問題があった。 【0003】ビニルアルコール系重合体の耐水性を向上
させる方法としては、熱処理による結晶化度の向上また
は無機物やジアルデヒド添加による架橋形成等が提案さ
れている。しかしながら、本来親水性の高いポリビニル
アルコールはこのような処置を施しても、依然としてか
なりの吸湿および吸水が認められることから更なる改善
が望まれている。 【0004】エチレンを10〜65モル%含有するエチ
レン−ビニルアルコール共重合体は、耐水性が改善さ
れ、溶融成形が可能であり、特にガスバリアー性が優れ
ていることから、食品包装をはじめとした包装用材料に
広く用いられている。 【0005】これらの課題を解決するために、ビニルア
ルコール系重合体と他のポリマーとのブレンドが検討さ
れている。ポリビニルアルコールを一成分とし、多糖類
またはポリエーテル等の親水性重合体を他の一成分とす
る組成物は、耐水性および力学特性がともに低く、さら
に相溶性についても劣るために組成物の透明性も低かっ
た。 【0006】一方、ビニルアルコール系重合体を一成分
とし、非水溶性重合体を他の一成分とする組成物は、非
水溶性重合体への親水性の付与、非水溶性重合体への吸
水性の付与、非水溶性重合体の表面改質および非水溶性
重合体の帯電防止などを目的に検討されてきた。しかし
ながら、エチレン−ビニルアルコール共重合体の機械的
特性の改良を目的とするエチレン−ビニルアルコール共
重合体とナイロンとのブレンド(秋山ら、高分子学会予
稿集、第41巻、988頁、1992年)、エチレン−
ビニルアルコール共重合体への生分解性の付与を目的と
するエチレン−ビニルアルコール共重合体と脂肪族ポリ
エステルまたは脂肪族ポリアミドとのブレンド(特開平
4−139248号)などが提案されているに過ぎず、
これらはいずれも相溶性が不良であった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】かかる状況下、本発明
の目的は、相溶性に優れ、機械的特性、透明性に優れた
樹脂組成物を提供することにある。さらに本発明は、そ
の配合割合に応じて適度な吸水性を有する樹脂組成物を
提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、ダイアッド表示に
よるシンジオタクチシチーが55%以上のビニルアルコ
ール系重合体(A)ならびにポリエステルおよびポリア
ミドから選択される主鎖中にカルボニル基を有する重合
体(B)(ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体を除
く。以下の説明において特に断らないが、重合体(B)
からは、ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体を除く
ものとする)が高い相溶性を示すことを見出し、本発明
を完成させるに至った。本発明における主鎖中にカルボ
ニル基を有する重合体(B)において、ポリ3−ヒドロ
キシブチレート系重合体を除く理由は、先願である特願
平5−75700号(出願人:株式会社クラレ)との重
複を避けるためである。 【0009】以下本発明をさらに詳しく説明する。本発
明に使用するビニルアルコール系重合体(A)は、立体
規則的にみてシンジオタクチシチーの高いことが必要で
あり、ダイアッド表示によるシンジオタクチシチーが5
5%以上であることが必要であり、57%以上が好まし
く、60%以上がより好ましい。なお、ここでいうシン
ジオタクチシチーは、ビニルアルコール系重合体を重水
素化ジメチルスルホキシドに溶解し、プロトンNMR測
定における水酸基のピーク(T.Moritani e
t al.,Macromolecules,5,57
7,(1972).)より求めたダイアッド表示による
シンジオタクチシチーであり、従来のアタクチックなポ
リビニルアルコール(シンジオタクチシチー:53%)
のように、シンジオタクチシチーが55%未満の場合に
は、主鎖中にカルボニル基を有する重合体(B)との相
溶性が低く、本発明の効果が発現しない。 【0010】本発明のビニルアルコール系重合体(A)
の分子量は、ビニルアルコール系重合体を完全にけん化
した後、酢化して得られたポリ酢酸ビニル系重合体のア
セトン中30℃で測定した極限粘度で表して0.2〜
7.0dl/gが好ましく、0.3〜5.0dl/gが
より好ましく、0.5〜3.0dl/gがさらにより好
ましい。極限粘度が0.2dl/g未満の場合には組成
物の機械的特性が低く、極限粘度が7.0dl/gより
大の場合には高粘度のため成形性が低下する。ビニルア
ルコール系重合体(A)がポリビニルアルコールである
場合には、特に機械的強度が優れる。ビニルアルコール
系重合体(A)がエチレン−ビニルアルコール共重合体
である場合には、機械的強度に優れるとともに、特にガ
スバリアー性に優れる。エチレン−ビニルアルコール共
重合体の場合、エチレン含有量は特に制限はないが、1
0〜65モル%が好ましく、20〜55モル%が好まし
い。エチレン含有量が10モル%未満の場合には溶融成
形性が低下し、エチレン含有量が65モル%より大の場
合にはガスバリアー性が低下する。 【0011】本発明のビニルアルコール系重合体(A)
のけん化度は、特に制限はないが、10モル%以上が好
ましく、30モル%以上がより好ましく、特に機械的特
性またはガスバリアー性が必要な場合には、60モル%
以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、98
モル%以上がさらにより好ましい。 【0012】本発明のビニルアルコール系重合体(A)
は、例えば特開平3−121102号公報に記載された
方法(ビニルエステルを重合した後、酸素不存在下でア
ルカリ触媒下にけん化する方法)または特開平4−22
7905号公報に記載された方法(エチレンとビニルエ
ステルを共重合した後、酸素不存在下でアルカリ触媒下
にけん化する方法)により製造される。 【0013】本発明のビニルアルコール系重合体(A)
は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ビニルア
ルコール単位およびビニルエステル単位以外の単位を含
有していても良い。このような単位としては、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィ
ン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸
i−プロピル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸
およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロ
ピル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド;N
−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等
のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド;N−メチ
ルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等の
メタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチ
ルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−
プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化
ビニル、塩化ビニリデン、フツ化ビニル、フツ化ビニリ
デン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル
等のアリル化合物;マレイン酸、その塩またはそのエス
テル;イタコン酸、その塩またはそのエステル;ビニル
トリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソ
プロペニル等が挙げられる。これらの単位の含有量とし
ては、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がさら
に好ましく、3モル%以下がさらにより好ましい。 【0014】本発明に用いられる主鎖中にカルボニル基
を有する重合体(B)は、ポリエステルおよびポリアミ
ドから選択され、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンイソフタレート、ポリ(エチレン−
2,5−ジメチルテレフタレート)、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン
テレフタレート)、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレ
ート)等の芳香族ポリエステル;ポリ乳酸、ポリグリコ
ール酸、ポリ(γ−ブチロラクトン)、ポリ(δ−バレ
ロラクトン)、ポリ(β−メチル−δ−バレロラクト
ン)等のオキシ酸重合体;ポリエチレンアジペート、ポ
リエチレンプロピレンアジペート、ポリテトラメチレン
アジペート、ポリヘキシレンアジペート、ポリエチレン
グルタレート、ポリトリメチレングルタレート、ポリネ
オペンチルグルタレート、ポリシクロヘキシルグルタレ
ート等の脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸からなる
脂肪族ポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナ
イロン6,9、ナイロン6,10、ナイロン6,12、
ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドが挙げられ
る。本発明の主鎖中にカルボニル基を有する重合体
(B)が脂肪族ポリエステルである場合には、特に生分
解性に優れた樹脂組成物が得られる。 【0015】また、本発明の趣旨を損なわない範囲であ
れば上記ポリマー中にジフェニルメタンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシ
アネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ヘキ
サメチレンジイソシアネート等の鎖延長剤に基づくウレ
タン単位等を含んでいてもかまわない。 【0016】本発明に用いられる主鎖中にカルボニル基
を有する重合体(B)の分子量は、機械的特性および成
形性の点から、1,000〜10,000,000が好
ましく、5,000〜3,000,000がより好まし
く、10,000〜1,000,000がさらにより好
ましい。分子量が1,000未満の場合には機械的特性
が低下し、分子量が10,000,000より大の場合
には成形性が低下する。なお、ここでいう分子量は、ヘ
キサフルオロイソプロパノール溶液のゲルパーミエイシ
ョンクロマトグラフィーより求めた、ポリメチルメタク
リレート換算の重量平均分子量である。 【0017】これらの主鎖中にカルボニル基を有する重
合体(B)の製造方法には特に制限はなく、従来公知の
方法により合成される。 【0018】ビニルアルコール系重合体(A)と主鎖中
にカルボニル基を有する重合体(B)との配合割合(以
下、重量基準の配合割合をいう。)は特に制限はない
が、ビニルアルコール系重合体(A)の重量分率で5〜
98%が好ましく、30〜95%がより好ましく、40
〜90%がさらにより好ましく、60〜85%が特に好
ましい。ポリビニルアルコール系重合体の重量分率が5
%未満の場合には機械的特性が低く、98%より大の場
合には耐水性が低下する。 【0019】本発明の樹脂組成物を成形する方法は、特
に限定されるものではないが、本発明の樹脂組成物に、
配合割合に応じて選択した単独溶剤または混合溶剤を添
加して、加熱溶融あるいは溶解した後、 (1)成形した後
に溶剤を蒸発除去する乾式成形法、 (2)重合体を溶解し
ない溶剤中に押し出して凝固させて成形する湿式成形
法、 (3)ゲル化により固化成形した後に溶剤を抽出除去
するゲル成形法等も用いることができる。その他の成形
方法としては、両者をドライブレンドしてそのまま成形
する方法、あるいはより好ましくはバンバリーミキサ
ー、単軸スクリュー押し出し機または二軸スクリュー押
し出し機などでペレット化した後、乾燥する方法が挙げ
られる。 【0020】ドライブレンドまたはペレット化する際に
は、ゲルおよびブツの発生を抑え、成形物のクラックお
よびムラをなくすために、混練度の高い押し出し機を使
用し、ホッパー口を窒素シールし、低温で押し出しする
ことが好ましい。 【0021】また、ドライブレンドまたはペレット化す
る際に、他の添加物(可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、他の樹脂など)を
使用することも、本発明の趣旨を損なわない範囲であれ
ばかまわない。特に、ゲル発生防止対策として、ハイド
ロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒン
ダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属
塩(たとえば、ステアリン酸カルシウムなど)の一種ま
たは二種以上を0.01〜1重量%添加することが好ま
しい。 【0022】本発明の樹脂組成物を、溶剤を用いて成形
する場合、用いられる溶剤は、ジメチルスルホキシド、
スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−
イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミ
ド、水、フェノール、ヘキサフルオロイソプロパノー
ル、アルコール、多価アルコール、クロロホルム、ジク
ロロメタン、1,2−ジクロロエタン等が単独または混
合して用いられる。また、塩化リチウム、塩化カルシウ
ム、次亜塩素酸ナトリウム等の無機塩の水溶液も単独ま
たは前記溶剤と混合して用いられる。これらの中でも
水、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、フ
ェノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、グリセリ
ン、エチレングリコール、プロパノール、クロロホルム
等を単独または混合して用いるのが好ましい。 【0023】本発明の樹脂組成物を繊維に成形する方法
としては、繊維状に成形した後、必要に応じて湿熱下あ
るいは乾熱下に延伸を施す。延伸温度は延伸方法によっ
て異なるが、20〜300℃、好ましくは20〜250
℃の間である。また延伸倍率は2〜30倍の範囲から目
的に応じて選択される。延伸操作は、空気中または窒素
ガス中あるいは油浴中で実施され、一段もしくは二段以
上の多段で行なわれる。また微小領域加熱延伸(いわゆ
るゾーン延伸)も適用される。また、本発明の趣旨を損
なわない範囲内で各種酸化防止剤や界面活性剤などの添
加剤を混合することも可能である。 【0024】本発明の樹脂組成物をフィルムに成形する
方法としては、フィルム状に成形した後、必要に応じて
湿熱下あるいは乾熱下に延伸を施す。延伸温度は延伸方
法によって異なるが、20〜300℃、好ましくは20
〜250℃の間である。延伸倍率は1.1〜10倍の範
囲から目的に応じて選択される。直交する二方向に延伸
するいわゆる二軸延伸も適用される。延伸操作は、空気
中または窒素ガス中あるいは油浴中で実施され、一段も
しくは二段以上の多段で行なわれる。また、本発明の趣
旨を損なわない範囲内で各種酸化防止剤や界面活性剤な
どの添加剤を混合することも可能である。 【0025】本発明の樹脂組成物の用途としては、フィ
ルム、シート、繊維または成形物等の形態で、例えば食
品包装用、農業用、土木建築用、漁業用、医療用および
生理用品用等に用いられる。 【0026】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例により、なんら限
定されるものではない。以下の実施例中の「部」および
「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」お
よび「重量%」を表す。尚、実施例中の諸物性値は以下
の方法によって測定したものである。 [機械的性質]フィルム引っ張り強度、伸び、および初
期弾性率は、島津製作所製のオートグラフDCS100
型により、20℃,65%RH下で測定した。フィルム
は、クランプ間の試長20mmで、引っ張り速度100
%/minで測定した。 [膨潤倍率]40℃水中に16時間浸漬した時の重量
(W1)と、同試料を105℃で2時間乾燥した時の乾
燥重量(W0)を測定し、次式より求めたものである。 膨潤倍率=W1/W0 [透明性]フィルムの透明性は、目視により評価し、そ
の結果を以下の記号により表1に示す。 透明な場合:○ 不透明な場合:× [バリヤー性]20℃,85%RHにおけるフィルムの
酸素透過率(MOCON法、単位:cc.20μ/m↑
2.day.atm) 【0027】実施例1 ポリピバリン酸ビニルをけん化して得られたシンジオタ
クチシチー61%、けん化度99.9モル%、完全けん
化後アセチル化して得たポリ酢酸ビニルのアセトン中3
0℃での極限粘度が0.79dl/gであるポリビニル
アルコール6部と分子量30,000のポリエチレンテ
レフタレート4部をヘキサフルオロイソプロパノール3
23部に50℃で撹拌して充分に溶解し、ガラス板上に
キャストして20℃で乾燥することにより、厚さ100
μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性値を表
1に示す。 【0028】実施例2 ポリピバリン酸ビニルをけん化して得られたシンジオタ
クチシチー61%、けん化度99.9モル%、完全けん
化後アセチル化して得たポリ酢酸ビニルのアセトン中3
0℃での極限粘度が0.79dl/gであるポリビニル
アルコール系重合体7部と分子量40,000のポリブ
チレンテレフタレート3部を用いて、実施例1と同様に
してフィルムを作成し、物性値を評価した。その結果を
表1に示す。 【0029】実施例3 エチレン含有量31モル%、シンジオタクチシチー61
%、けん化度99.9モル%、水/フェノール(15/
85:重量比)の混合溶媒中30℃での極限粘度が1.
52dl/gであるエチレン−ビニルアルコール共重合
体70部と、アジピン酸とエチレングリコールから得た
分子量30,000のポリエステルをヘキサメチレンジ
イソシアネートで高重合度化した分子量80,000の
ポリエステル30部を二軸スクリュータイプ、ベント式
40φ押し出し機に入れ、窒素下、200℃で押し出し
ペレット化を行なった。該ペレットを40φ押し出し機
に入れ、窒素下、200℃で単層製膜して厚さ100μ
mのフィルムを得た。得られたフィルムの物性値を表1
に示す。 【0030】比較例1 ポリ酢酸ビニルをけん化して得られたシンジオタクチシ
チー53%、けん化度99.9モル%、完全けん化後ア
セチル化して得たポリ酢酸ビニルのアセトン中30℃で
の極限粘度が0.79dl/gであるポリビニルアルコ
ール6部と分子量30,000のポリエチレンテレフタ
レート4部を用いて、実施例1と同様にしてフィルムを
作成し、物性値を評価した。その結果を表1に示す。 【0031】比較例2 エチレン含有量32モル%、シンジオタクチシチー53
%、けん化度99.9モル%、水/フェノールの15/
85の重量比の混合溶媒中30℃での極限粘度が1.1
0dl/gであるエチレン−ビニルアルコール共重合体
70部と実施例3のポリエステル30部を用いて実施例
3と同様にして厚さ100μmのフィルムを得た。得ら
れたフィルムの物性値を表1に示す。 【0032】 【表1】 【0033】実施例4 実施例1に記載のポリビニルアルコールを7部、分子量
25,000のナイロン6を3部用いたこと以外は、実
施例1と同様にしてフィルムを作成した。得られたフィ
ルムは、以下の比較例3により得られたフィルムと比較
して、透明性に優れ、かつ強靭で機械的特性にも優れて
いた。 【0034】比較例3 比較例1に記載のポリビニルアルコールを7部、分子量
25,000のナイロン6を3部用いたこと以外は、実
施例4と同様にしてフィルムを作成した。得られたフィ
ルムは、透明性が不良で、機械的特性も不良であった。 【0035】 【発明の効果】上記の実施例から明らかなとおり、本発
明の樹脂組成物を用いて成形されたフィルムは、機械的
特性に優れており、耐水性にも優れていることから、工
業的な有用性が高い。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08L 29/04
C08L 67/02
C08L 77/00
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ダイアッド表示によるシンジオタクチシ
チーが55%以上のビニルアルコール系重合体(A)な
らびにポリエステルおよびポリアミドから選択される主
鎖中にカルボニル基を有する重合体(ポリ3−ヒドロキ
シブチレート系重合体を除く)(B)からなる樹脂組成
物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP10946293A JP3426644B2 (ja) | 1993-05-11 | 1993-05-11 | 樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10946293A JP3426644B2 (ja) | 1993-05-11 | 1993-05-11 | 樹脂組成物 |
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JPH06322217A JPH06322217A (ja) | 1994-11-22 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10946293A Expired - Fee Related JP3426644B2 (ja) | 1993-05-11 | 1993-05-11 | 樹脂組成物 |
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-
1993
- 1993-05-11 JP JP10946293A patent/JP3426644B2/ja not_active Expired - Fee Related
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