JP3361111B2

JP3361111B2 - 水面施用発泡性農薬製剤

Info

Publication number: JP3361111B2
Application number: JP28416591A
Authority: JP
Inventors: 達生野口; 裕一黒津; 修中塩; 伸二米村
Original assignee: Hokko Chemical Industry Co Ltd
Current assignee: Hokko Chemical Industry Co Ltd
Priority date: 1991-10-04
Filing date: 1991-10-04
Publication date: 2003-01-07
Anticipated expiration: 2018-01-07
Also published as: JPH0597604A

Description

【発明の詳細な説明】【０００１】【産業上の利用分野】本発明は水田に施用する発泡農薬
製剤に関する。【０００２】【従来の技術】従来より、発泡性農薬製剤の研究は、固
体酸、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、
鉱物質担体および界面活性剤からなる殺草性粒剤、錠剤
に関するもの（特公昭４７−２７９３０号公報）をはじ
めとし数多くなされている。また、最近になって、農薬
散布の省力化の一つとして、除草粒剤を水溶性高分子の
袋に入れるか発泡剤を入れて大型の錠剤に成型するなど
して、手で水田の水中に投げ込む方法が提案されてい
る。【０００３】【発明が解決しようとする課題】前記した従来の発泡性
農薬製剤は、製剤中に固体酸と炭酸塩が共存するため、
製剤中の微量な水分によって反応して炭酸ガスが発生し
て農薬を入れた袋が膨張するので、保存安定性が悪いと
いう問題がある。また、水田に施用したときには農薬活
性成分の水中拡散性が不十分であり、十分な防除効果が
もたらされないなどの欠点があり、実用化されていな
い。そのため、これに代る新しい発泡性農薬の開発が望
まれている。したがって、本発明は、保存安定性がよ
く、かつ水田への拡散性の優れた新規な水面施用発泡性
農薬製剤を提供せんとするものである。【０００４】【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決すべく鋭意研究した。その結果、炭酸塩と水
溶性固体酸を別々に成型し、これを一緒に水溶性高分子
フィルムによって包装することにより、多少の水分の存
在下でも炭酸ガスの発生がないので保存安定性が顕著に
改善され、また水田に処理した場合、従来の発泡製剤と
同様に発泡し、農薬活性成分を有効に水中に拡散させう
ることを見い出し、本発明を完成させた。【０００５】したがって、本発明は炭酸塩および無機質
または有機質担体よりなる成型物と、水溶性固体酸およ
び無機質または有機質担体よりなる成型物からなり、こ
の一方または両方の成型物に農薬活性成分を担持させ、
この両成型物を一緒に水溶性高分子フィルムによって包
装してなる水面施用発泡性農薬製剤に関する。【０００６】次に本発明の発泡性農薬製剤について具体
的に説明する。【０００７】本発明に使用する炭酸塩は特に限定されな
いが、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、セス
キ炭酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの炭酸塩は
単独または２種以上併用してもよい。【０００８】本発明に使用する水溶性固体酸は特に限定
されないが、例えばクエン酸、コハク酸、フマル酸、マ
レイン酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、アジピン酸、
ホウ酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウ
ムなどが挙げられる。これら水溶性固体酸は単独または
２種以上併用してもよい。【０００９】また、無機質または有機質担体としては特
に限定されないが、例えば、クレー、珪石、タルク、ベ
ントナイト、炭酸カルシウム、軽石、ケイソウ土、バー
ミキュライト、パーライト、ホワイトカーボン、尿素、
硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、
硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、シュークロース、グ
ルコース、マルトース、ラクトース、デキストリン、澱
粉、ポリビニルアルコール、セルロースカルボキシメチ
ルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル
酸ナトリウム、アラビアゴム、キサンタンガム、などが
挙げられる。【００１０】本発明の農薬活性成分は通常水田に使用さ
れるものであれば何れも使用できる。例えば次のものが
挙げられる。【００１１】（殺虫剤）ＭＰＰ、ＭＥＰ、ピリミホスメ
チル、ダイアジノン、イソキサチオン、ピリダフェンチ
オン、クロルピリホスメチル、バミドチオン、マラソ
ン、ＰＡＰ、ジメトエート、エチルチオメトン、ＰＭ
Ｐ、モノクロトホス、ＢＲＰ、ＣＶＭＰ、ジメチルビン
ホス、プロパホス、ＤＥＰ、ＥＰＮ、ＮＡＣ、ＭＴＭ
Ｃ、ＭＩＰＣ、ＢＰＭＣ、ＰＨＣ、ＭＰＭＣ、ＸＭＣ、
ベンダイオカルブ、カルボスルファン、ベンフラカル
ブ、チオジカルブ、シクロプロトリン、エトフェンプロ
ックス、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、
ブプロフェジン、など。【００１２】（殺菌剤）塩基性硫酸銅、塩基性塩化銅、
水酸化第二銅、有機硫黄ニッケル塩、チウラム、キャプ
タン、ＴＰＮ、フサライド、ＩＢＰ、ＥＤＤＰ、チオフ
ァネートメチル、ベノミル、イプロジオン、メプロニ
ル、フルトラニル、テフロフタラム、ペンシクロン、メ
タラキシル、トリフルミゾール、ブラストサイジンＳ、
カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンＡ、オ
キシテトラサイクシン、ヒドロキシイソキサゾール、メ
タスルホカルブ、ＭＡＦ、ＭＡＦＥ、ベンチアゾール、
フェナジンオキシド、ジクロメジン、プロベナゾール、
イソプロチオラン、トリシクラゾール、ピロキロン、オ
キソニック酸、グアザチン、など。【００１３】（除草剤）２,４−Ｄ、ＭＣＰ、ＭＣＰ
Ｂ、フェノチオール、クロメプロップ、ナプロアニリ
ド、ＣＮＰ、クロメトキシニル、ビフェノックス、ＭＣ
Ｃ、ベンチオカーブ、エスプロカルブ、モリネート、ジ
メピペレート、ＤＣＰＡ、ブタクロール、プレチラクロ
ール、ブロモブチド、メフェナセット、ダイムロン、ベ
ンスルフロンメチル、シメトリン、プロメトリン、ジメ
タメトリン、ベンタゾン、オキサジアゾン、ピラゾレー
ト、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップ、トリフルラ
リン、ピペロホス、ＡＣＮ、など。【００１４】（植物調節剤）イナベンフィド、オキシエ
チレンドコサノール、ニコチン酸アミド、ベンジルアミ
ノプリン、など。【００１５】これらの農薬活性成分の製剤中への添加量
は特に限定されるものではないが、一般的には製剤全量
の０.１〜５０％（重量％）であり、農薬活性成分の種
類により１０アール当りの必要散布量となるよう添加す
ればよい。【００１６】なお、これらの農薬活性成分名は、「農薬
ハンドブック」（１９８９年版、社団法人日本植物防
疫協会発行）に記載の一般名である。【００１７】本発明の水面施用発泡性農薬製剤には、上
記した以外に界面活性剤、高沸点溶剤、農薬活性成分の
安定化剤、物理性改良剤などの補助剤を添加してもよ
い。【００１８】このような界面活性剤としては、農薬製剤
に通常使用される非イオン性界面活性剤、陰イオン性界
面活性剤、陽イオン性界面活性剤および非イオン性と陰
イオン性を混合した界面活性剤などが使用できる。【００１９】本発明の水面施用発泡農薬製剤の調製方法
は特に限定されないが、例えば次の方法によって調製さ
れる。【００２０】炭酸塩および無機質または有機質担体に農
薬活性成分を入れるかまたは入れずして乾式造粒機にて
造粒する。他方、水溶性固体酸および無機または有機質
担体に農薬活性成分を入れるかまたは入れずして乾式造
粒機にて造粒する。ただし、農薬活性成分は、炭酸塩を
含む成型物か水溶性固体酸を含む成型物のいずれかある
いは両方に含むようにする。【００２１】このように製剤した後、これを水溶性高分
子フィルムで包装する。前記した成型物の形状は特に限
定されない。例えば、微粒状、顆粒状、タブレット状な
どいずれでもよい。【００２２】本発明の水面施用発泡性農薬製剤は、炭酸
塩を含有する成型物と水溶性固体酸を含有する成型物と
を一緒に水溶性高分子フィルムによって包装するもので
あり、両成型物の配合比は特に限定されないが、１：２
〜２：１の範囲が望ましい。また配合した場合の炭酸塩
と水溶性固体酸の合計重量が全重量に対し１０〜９０
％、炭酸塩と水溶性固体酸との重量比は１：１０〜１
０：１が望ましい。更に、包装したものの重量は、本発
明の製剤が水田へ投入するものであり、投入のしやすさ
および省力性の面からして水溶性高分子フィルムによっ
て１個当り１０〜１００ｇに包装したものが望ましい。
包装の形状は特に限定されない。例えば、球状、角状、
円柱状、箱状、不定形のいずれでもよい。【００２３】本発明に使用する水溶性高分子フィルムは
速やかに水に溶解するものであればいずれも使用でき
る。例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチル
セルロース、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロー
ス、メチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ペク
チン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル
酸塩、ポリエチレンオキサイド、などが挙げられる。【００２４】またこれらのフィルムの厚さは、貯蔵中、
運搬中、あるいは手で水田中に投げ入れるときに容易に
破損しないものであればよく３０μｍ〜２ｍｍあればよ
い。【００２５】こうして得た本発明の水面施用発泡性農薬
製剤は、農薬活性成分の種類、製剤中への含有量などに
より異なるが１０アール当り、例えば５０ｇ〜１００ｇ
の重量に包装したものであれば、５〜２０個程度を水田
中に投げ込めばよい。そうすれば、水中で炭酸ガスを放
出して発泡し、農薬活性成分を水中に広く拡散し、十分
な防除効果をもたらすことができる。【００２６】〔作用〕本発明において炭酸塩と水溶性固
体酸は水田中において多量の水分で反応して多量の炭酸
ガスを放出することにより、農薬活性成分を水田水中に
拡散する作用を有する。【００２７】また、無機質または有機質担体は農薬有効
成分を担持するための担体として作用するとともに、炭
酸塩および水溶性固体酸も同様に担体としても作用す
る。【００２８】〔実施例〕次に実施例で本発明をさらに具
体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。【００２９】なお、以下に「部」とあるのはすべて重量
部を意味する。【００３０】実施例１（Ａ）フェノチオール原体４.２部、クエン酸６０部
およびラクトース３５.８部をハンマーミルで混合後、
ブリケッティングマシーンで乾式造粒し、整粒後、５０
０〜１,６８０μｍの顆粒を得た。【００３１】（Ｂ）シメトリン原体９０部、炭酸水素
ナトリウム６０部およびラクトース３１部をハンマーミ
ルで混合後、ブリケッティングマシーンで乾式造粒し、
整粒後、５００〜１,６８０μｍの顆粒を得た。【００３２】更に（Ａ）で調製した顆粒２５ｇおよび
（Ｂ）で調製した顆粒２５ｇをポリビニルアルコール
（厚さ５０μｍ）で包装し、５０ｇの本発明の農薬製剤
を得た。【００３３】次に、試験例により本発明の水面施用発泡
性農薬製剤の有用性を示す。【００３４】試験例１保存安定性実施例１に準じて調製したサンプル（水溶性高分子フィ
ルムで包装しないもの）５０ｇをアルミ袋に入れてヒー
トシールした後、４０℃の恒温器中に静置した。静置９
０日後に取り出して体積を測定し、下記の式により初期
の体積に対する膨張率（％）を算出した。【００３５】【数１】【００３６】なお、比較製剤は下記の方法で顆粒を調製
し、供試した。【００３７】フェノチオール原体２.１部、シメトリン
原体４.５部、水溶性固体酸３０部、炭酸塩３０部およ
びラクトース３３.４部をハンマーミルで混合後、ブリ
ケッティングマシーンで乾式造粒し、整粒後５００〜
１,６８０μｍの顆粒を得た。【００３８】結果を表１に示す。【００３９】【表１】【００４０】試験例２除草効果および薬害試験１区画の面積が１００ｍ²（１０ｍ×１０ｍ）の試験区
を作り、１区当りタイヌビエ種子（５０ｇ）、ホタルイ
種子（３０ｇ）、アゼナ種子（１０ｇ）、コナギ種子
（１０ｇ）をそれぞれ播種し、代かきを行った後、２葉
期の水稲苗（品種：日本晴）を機械移植した。これらの
雑草が２〜３葉期に達したとき、実施例１に準じて調製
した試料を試験区の中央（１か所）に１個（５０ｇ）処
理した。【００４１】なお、比較剤として用いた市販粒剤は水田
の全面に散布した。【００４２】調査は薬剤処理３０日後に行い、試験区内
の中央および四隅の５か所から計５ｍ²中に生き残った
雑草を抜き取り、その乾燥重量（ｇ）を測定し、次式に
より５区平均の除草率（％）を求めた。また水稲に対す
る薬害については下記の基準により薬害程度を達観調査
した。結果を表２、表３に示す。【００４３】【数２】薬害程度０：薬害無１：僅少２：少３：中４：大５：極大（枯死）【００４４】【表２】【００４５】【表３】＊フェノチオール原体２.１部、シメトリン原体４.５
部、クエン酸１０部、炭酸水素ナトリウム２０部、エヤ
ロールＣＴ−１５部、ベントナイト３０部およびクレ
ー２８.４部をハンマーミルで混合後、ブリケッティン
グマシーンで乾式造粒し、整粒後、５００〜１,６８０
μｍの顆粒を得た。次いで本顆粒５０ｇをポリビニルア
ルコールフィルムで包装した。【００４６】【発明の効果】本発明の実施により、次のような効果が
もたらされる。まず第１に、本発明の水面施用発泡性農
薬製剤は保存中に少量の水分が存在した場合でも炭酸ガ
スの発生がなく、保存安定性が優れている。第２に、本
発明の水面施用発泡性農薬製剤は水溶性高分子フィルム
で包装されており、１０アール当り約５〜２０個を手で
投入するだけでよいので、省力的であるとともに、散布
機が不要であるため経済的である。第３に、水田に投入
すると、炭酸ガスを放出して発泡することにより、農薬
活性成分を水田中にすみやかにかつ均一に拡散させ、農
薬活性成分の効果を十分に発揮させることができる。

フロントページの続き (56)参考文献特開昭54−44013（ＪＰ，Ａ) 特開昭61−207322（ＪＰ，Ａ) 特開昭53−99327（ＪＰ，Ａ) 特開昭60−61504（ＪＰ，Ａ) 特開昭55−66507（ＪＰ，Ａ) 特開昭61−183219（ＪＰ，Ａ) 特開平２−110（ＪＰ，Ａ) 特開昭60−142901（ＪＰ，Ａ) 特開昭60−92378（ＪＰ，Ａ) 特開昭64−24900（ＪＰ，Ａ) 特開昭61−141609（ＪＰ，Ａ) 特開平４−273802（ＪＰ，Ａ) 特開平３−227916（ＪＰ，Ａ) 特開昭63−8497（ＪＰ，Ａ) 特開平３−119174（ＪＰ，Ａ) 特公昭38−9740（ＪＰ，Ｂ１) 特公昭40−24792（ＪＰ，Ｂ１) 特許61786（ＪＰ，Ｃ２) 米国特許3773922（ＵＳ，Ａ) 仏国特許出願公開2044216（ＦＲ，Ａ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A01N 25/08 - 25/16 A01N 25/34 A01N 43/70 A01N 37/40 C09K 3/00 C11D 3/10 C11D 3/20 A61K 9/46 ＪＩＣＳＴファイル（ＪＯＩＳ)

Claims

(57)【特許請求の範囲】【請求項１】炭酸塩および無機質または有機質担体よ
りなる成型物と、水溶性固体酸および無機質または有機
質担体よりなる成型物からなり、この一方または両方の
成型物に農薬活性成分を担持させ、この両成型物を一緒
に水溶性高分子フィルムによって包装してなることを特
徴とする水面施用発泡性農薬製剤。