JP3312454B2 - 光学活性酒石酸の回収法 - Google Patents
光学活性酒石酸の回収法Info
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Description
割する際に分割剤として使用する光学活性酒石酸の工業
的に有利な回収法に関するものである。
光学分割する例はよく知られている。たとえば、光学分
割によって得られた光学活性1−フェニルエチルアミン
・光学活性酒石酸塩を6%の水酸化ナトリウム水溶液で
解塩する方法(J.Chem.Ed.,42,269
(1965))や、光学活性1,2−ジアミノプロパン
・光学活性酒石酸塩のメタノ−ル溶液中に塩酸ガスを吹
き込んで解塩する方法(欧州特許第330,381号)
などが一般的である。
は水に対する溶解度が高く、その上如何なるpHにおい
ても有機溶媒では抽出できないので、通常の操作で水か
ら分離することが極めて困難である。前者は希薄なアル
カリ溶液で解塩していること、また後者はメタノール中
塩酸ガスで解塩しているために酒石酸はエステル化され
てしまい酒石酸の回収は困難であり、いずれも酒石酸を
回収する工業的方法とはいい難い。
れた光学活性アミン・光学活性酒石酸塩(以下、ジアス
テレオマー塩と略称する。)から工業的製造に適した光
学活性酒石酸の回収法を提供することにある。
で得られたジアステレオマー塩から光学活性酒石酸を高
収率で回収する方法を鋭意検討した結果、上記目的を達
成できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
剤としてラセミアミンを光学分割する際に、得られる光
学活性アミン・光学活性酒石酸塩から光学活性酒石酸を
回収するに当たり、光学活性アミン・光学活性酒石酸塩
の結晶に対して5〜40wt%の水を共存させたアルコ
ール溶液中で無機アルカリと接触させて、光学活性酒石
酸を無機アルカリ塩として回収することを特徴とする光
学活性酒石酸の回収法である。
ル中で無機アルカリと接触させて塩交換を行い、光学活
性酒石酸を無機アルカリの塩として分離させることから
なる。ここで使用される無機アルカリとしてはアルカリ
金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金
属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、或いはアンモニア
等が使用されるが、特に好ましくは水酸化ナトリウム、
水酸化カリウムである。無機アルカリの使用量はジアス
テレオマー塩に含まれる酒石酸を理論的に中和する量で
よいが、操作性を加味すると反応方法によっても多少異
なるので、後述する。
ルカリ塩がアルコールに難溶性であることから、酒石酸
のアルカリ塩を固液分離で回収すると同時に、遊離した
光学活性アミンを光学活性アミン・光学活性酒石酸塩の
結晶に対して5〜40wt%の水を共存させたアルコー
ル層に移行させることからなる。アルコールとしては、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール類、
またはそれらの任意の混合物が使用できる。使用するア
ルコールはジアステレオマー塩の溶解度などの物理的性
質、あるいは分割される光学活性アミンの沸点などの物
理的性質によって適宜選択すればよい。アルコールの使
用量は通常解塩しようとするジアステレオマー塩重量に
対して0.3〜10重量倍、好ましくは0.7〜7.0
重量倍である。アルコールの使用量が0.3重量倍以下
であると、解塩溶液のスラリー性状が低下して操作性が
悪くなったり、酒石酸アルカリ塩の溶解度が増加して回
収量が低くなる。また、アルコールの使用量が10重量
倍以上であれば、生産性が低下して経済的でない。
方法は、アルコールに無機アルカリを溶解、或いは分散
させ、ジアステレオマー塩と接触させればよい。しかし
ながら、ジアステレオマー塩のアルコールに対する溶解
度が低い時には、アルコール溶媒だけで塩交換させた場
合には長時間を要するので、水を存在させることによっ
てジアステレオマー塩の一部が溶解して、塩交換速度を
速くすることが出来る。存在させる水量はジアステレオ
マー塩重量に対して5〜40重量%であり、好ましくは
20重量%以下である。水量がこれ以上多いと塩交換速
度は速くなるが、析出する酒石酸アルカリ塩が溶液中の
水分で粘調性を増すので、操作性が悪くなり、また、ア
ルコール層への混入量も増加するので好ましくない。こ
の方法で塩交換する場合には、使用するアルカリ量は酒
石酸を中和するに必要な理論量以上であればよいが、経
済性や操作性を考慮すると、通常は1.01〜1.1当
量、好ましくは1.02〜1.06当量である。
ルカリ水溶液とジアステレオマー塩を比較的高温で接触
させて、光学活性アミン層と酒石酸アルカリ塩水溶液に
分液させる。そして、酒石酸アルカリ塩水溶液を分取し
た後に、冷却して酒石酸アルカリ塩を晶析させ固液分離
することによって酒石酸アルカリ塩を回収することもで
きる。あるいは酒石酸アルカリ塩水溶液にアルコールを
加えて、酒石酸アルカリ塩を析出させてもよい。ここで
濃アルカリ水溶液とは水酸化ナトリウムや水酸化カリウ
ム水溶液を意味し、濃度は18〜45重量%、好ましく
は20〜30重量%である。アルカリ水溶液の濃度が低
すぎると、特に光学活性アミンが水溶性である時には光
学活性アミンが水層に溶解して分液しなくなる。またこ
れ以上濃いとアルカリ水溶液の粘度が高くなり操作性が
悪くなり、経済的ではない。ここで使用するアルカリ量
は、ジアステレオマー塩に含まれる酒石酸を中和するに
必要な理論量以上であればよいが、通常は1.1〜1.
8当量、好ましくは1.2〜1.6当量である。アルカ
リ量が少なすぎると界面が分かりにくくなり、また多す
ぎると経済性が悪化する。
塩は水溶媒中で光学分割する場合は系中で塩酸、硫酸な
どの鉱酸で中和することにより、リサイクル使用でき
る。
明はこれらの実施例により限定されるものではない。
口フラスコにシス−1,2−ジアミノシクロヘキサン
(以下、1,2−ジアミノシクロヘキサンをDACHと
略称する。)とトランスDACHの比が1:2である混
合物102.4g(0.90モル)、水118.0gを
仕込み、撹拌しながらL−酒石酸44.8g(0.30
モル)を添加すると自然発熱して溶解した。次いで、撹
拌しながら80℃に保ち、酢酸71.8g(1.20モ
ル)を滴下ロ−トより0.5時間で滴下した。滴下の途
中で結晶が析出してくるが、滴下終了後のpHは6.5
であった。さらに95℃で2時間加熱撹拌した後、6時
間かけて15℃まで冷却した。15℃で2時間撹拌した
後、遠心濾過、リンス、乾燥して65.7g(0.25
モル)の(R,R)−DACH・L−酒石酸の塩を得
た。(R,R)−DACHに対して収率83%、光学純
度は97.2%ee、トランス/シス比は40であっ
た。得られた結晶に水479.2gを添加して100℃
で4時間加熱撹拌した。徐々に冷却して5℃で遠心濾
過、リンスして52.7g(含液率3%)のwet結晶
を得た。収率78%、光学純度は99.6%eeで、シ
ス体は検出されなかった。得られたwet結晶52.7
gに25%水酸化ナトリウム水溶液80.6gを加えて
70〜80℃に保ちながら解塩し、分液してきた上層4
0.0gを分離した。この下層を20℃まで冷却してL
−酒石酸ジナトリウム2水和物を析出させた。これを濾
過すると23.0gのL−酒石酸ジナトリウム2水和物
が回収された。一方、上層に室温中で撹拌しながらイソ
プロパノ−ル145.6gを添加し、更に30分間撹拌
した。次いで、析出したL−酒石酸ジナトリウムの2水
和物2.2gを濾過して回収した。濾液を濃縮・蒸留す
ることにより沸点82℃/28mmHgの留分として
(R,R)−DACH20.0gを得た。光学純度は9
9.6%ee、化学純度は99.6%であった。
エタノ−ル78.0g、水3.1gと水酸化カリウム1
6.0g(0.29モル)gを仕込み、室温中で撹拌し
て水酸化カリウムを溶解させた。次いで光学純度99.
5%eeの(R,R)−DACH・L−酒石酸塩34.
4g(0.13モル)を4回に分けて添加し、20〜3
0℃で3時間撹拌して解塩した。析出したL−酒石酸ジ
カリウム33.3g(0.13モル)を濾過した。L−
酒石酸ジカリウムの回収率は99%であった。濾液には
(R,R)−DACH14.6gが含まれていた。
メタノ−ル77.4g、水4.2gと粉末水酸化ナトリ
ウム10.7g(0.27モル)を仕込み、20〜30
℃にて撹拌し、水酸化ナトリウムを溶解させた。次いで
光学純度99.5%eeの(S,S)−DACH・D−
酒石酸塩34.4g(0.13モル)を添加し、20℃
で2.5時間撹拌して解塩した。析出したD−酒石酸ジ
ナトリウムの2水和物29.3gを濾過した。回収率は
98%であった。濾液には(S,S)−DACH14.
3gが含まれていた。
イソプロパノ−ル77.3gと水酸化ナトリウム10.
9g(0.27モル)を水12.4gに溶かした溶液を
仕込んだ。次いで光学純度99.5%eeの(R,R)
−DACH・L−酒石酸塩34.4g(0.13モル)
を3分割添加して、室温で3時間撹拌して解塩した。析
出したL−酒石酸ジナトリウム2水塩29.8gを濾過
し、回収率は99.6%であった。濾液には(R,R)
−DACH14.8gが含まれており、解塩率は99.
8%であった。
メタノ−ル90.0g、水5.1gと粉末水酸化ナトリ
ウム16.8g(0.42モル)を仕込み、20〜30
℃にて撹拌し、水酸化ナトリウムを溶解させた。次いで
光学純度98.5%eeの (S)−1,2−ジアミノ
プロパン・D−酒石酸塩37.4g(0.10モル
(S)−1,2−ジアミノプロパン:D−酒石酸=1:
2)を添加し、20℃で2.5時間撹拌して解塩した。
析出したD−酒石酸ジナトリウムの2水和物45.1g
を濾過した。回収率は98%であった。
イソプロパノ−ル60.0g、水3.0gと粉末水酸化
ナトリウム8.4g(0.21モル)を仕込み、20〜
30℃にて撹拌し、水酸化ナトリウムを溶解させた。次
いで光学純度98%eeの (S)−1−フェニルエチ
ルアミン・D−酒石酸塩27.1g(0.10モル
(S)−1−フェニルエチルアミン:D−酒石酸=1:
1)を添加し、20℃で3時間撹拌して解塩した。析出
したD−酒石酸ジナトリウムの2水和物22.5gを濾
過した。回収率は98%であった。
ステレオマー塩から高収率、高純度の光学活性酒石酸を
回収することができ、回収された光学活性酒石酸はリサ
イクルできる。
Claims (3)
- 【請求項1】光学活性酒石酸を分割剤としてラセミアミ
ンを光学分割する際に、得られる光学活性アミン・光学
活性酒石酸塩から光学活性酒石酸を回収するに当たり、
光学活性アミン・光学活性酒石酸塩の結晶に対して5〜
40wt%の水を共存させたアルコ−ル溶液中で無機ア
ルカリを接触させて、光学活性酒石酸を無機アルカリ塩
として回収することを特徴とする光学活性酒石酸の回収
法。 - 【請求項2】請求項1において、使用されるアルコール
がメタノール、エタノール、プロパノール類、ブタノー
ル類から選択される少なくとも一種のアルコールである
ことを特徴とする光学活性酒石酸の回収法。 - 【請求項3】請求項1において、使用される無機アルカ
リが水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムで
あることを特徴とする光学活性酒石酸の回収法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33118593A JP3312454B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 光学活性酒石酸の回収法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33118593A JP3312454B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 光学活性酒石酸の回収法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07188097A JPH07188097A (ja) | 1995-07-25 |
JP3312454B2 true JP3312454B2 (ja) | 2002-08-05 |
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ID=18240844
Family Applications (1)
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JP33118593A Expired - Fee Related JP3312454B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 光学活性酒石酸の回収法 |
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Country | Link |
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Families Citing this family (1)
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---|---|---|---|---|
JP5212740B2 (ja) * | 2009-10-29 | 2013-06-19 | 東レ・ファインケミカル株式会社 | 1,2−ジアミノシクロヘキサンの製造法 |
-
1993
- 1993-12-27 JP JP33118593A patent/JP3312454B2/ja not_active Expired - Fee Related
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