JP3246316B2 - 冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト用鋼 - Google Patents
冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト用鋼Info
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Description
【0001】
【発明の属する利用分野】本発明は、冷間鍛造性および
耐遅れ破壊特性に優れた1400N/mm2 以上の高強
度ボルト用鋼に関する。
耐遅れ破壊特性に優れた1400N/mm2 以上の高強
度ボルト用鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】高強度ボルトは、橋梁、建築物、自動
車、機械等に多く使用されているが、引張強さが130
0N/mm2 を超えると遅れ破壊を生じやすくなること
から、JIS・B1186や、JIS・B1051で
は、それぞれF10T級、12T級が上限の強度と規定
されている。F10T級の鋼としては低炭素ボロン鋼
が、また、12T級用の鋼としてはSCM435やSC
M440が主に用いられており、それ以上の強度の低合
金ボルト用鋼はまだ確立されていない。
車、機械等に多く使用されているが、引張強さが130
0N/mm2 を超えると遅れ破壊を生じやすくなること
から、JIS・B1186や、JIS・B1051で
は、それぞれF10T級、12T級が上限の強度と規定
されている。F10T級の鋼としては低炭素ボロン鋼
が、また、12T級用の鋼としてはSCM435やSC
M440が主に用いられており、それ以上の強度の低合
金ボルト用鋼はまだ確立されていない。
【0003】一方、18Niマルエージ鋼は、これら通
常の低合金鋼に比べると、遅れ破壊特性が格段に優れて
いるが、極めて高価であるため、上述したような高強度
ボルト材料としては使えないのが現状である。
常の低合金鋼に比べると、遅れ破壊特性が格段に優れて
いるが、極めて高価であるため、上述したような高強度
ボルト材料としては使えないのが現状である。
【0004】このマルエージ鋼よりも安価で、かつ遅れ
破壊特性は低合金鋼より優れた実用的な鋼が特公昭60
−14096号公報、特開昭59−182950号公
報、特開昭59−182951号公報に開示されてい
る。これらは逆変態オーステナイトを利用し、遅れ破壊
を抑制するためにNiを多量に添加している。
破壊特性は低合金鋼より優れた実用的な鋼が特公昭60
−14096号公報、特開昭59−182950号公
報、特開昭59−182951号公報に開示されてい
る。これらは逆変態オーステナイトを利用し、遅れ破壊
を抑制するためにNiを多量に添加している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
公報に記載された技術においては、Niと同時にMoが
多量に添加されており、コスト高であり、焼鈍による軟
化が難しく、ボルト成形時の冷間鍛造性の劣化、および
耐遅れ破壊特性の劣化につながっていた。
公報に記載された技術においては、Niと同時にMoが
多量に添加されており、コスト高であり、焼鈍による軟
化が難しく、ボルト成形時の冷間鍛造性の劣化、および
耐遅れ破壊特性の劣化につながっていた。
【0006】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、1400N/mm2 以上の高強度を有し、
冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト
用鋼を提供することを目的とする。
のであって、1400N/mm2 以上の高強度を有し、
冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト
用鋼を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に示すような
知見を得た。 (1)Niを添加することにより、水素の侵入を抑制
し、これにより耐遅れ破壊特性を向上させ得る。
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に示すような
知見を得た。 (1)Niを添加することにより、水素の侵入を抑制
し、これにより耐遅れ破壊特性を向上させ得る。
【0008】(2)Bを添加することにより旧オーステ
ナイト粒界にBを偏析させて粒界強度を向上させ、これ
により耐遅れ破壊特性を向上させ得る。 (3)従来、強度確保のため多量に添加されていたC
u,Cr,Mo,W,Vの添加量を制限することにより
遅れ破壊特性が向上するとともに、焼鈍時に炭化物が固
溶しやすくなり、軟化が容易になるため、冷間鍛造性が
向上する。
ナイト粒界にBを偏析させて粒界強度を向上させ、これ
により耐遅れ破壊特性を向上させ得る。 (3)従来、強度確保のため多量に添加されていたC
u,Cr,Mo,W,Vの添加量を制限することにより
遅れ破壊特性が向上するとともに、焼鈍時に炭化物が固
溶しやすくなり、軟化が容易になるため、冷間鍛造性が
向上する。
【0009】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たものであり、第1に、C:0.25〜0.35wt
%、Si:0.1wt%以下、Mn:0.1〜0.5w
t%、P:0.01wt%以下、S:0.01wt%以
下、Ni:7〜12wt%、Al:0.01〜0.1w
t%、B:0.0003〜0.003wt%、N:0.
01wt%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純
物からなる冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高
強度ボルト用鋼を提供するものである。
たものであり、第1に、C:0.25〜0.35wt
%、Si:0.1wt%以下、Mn:0.1〜0.5w
t%、P:0.01wt%以下、S:0.01wt%以
下、Ni:7〜12wt%、Al:0.01〜0.1w
t%、B:0.0003〜0.003wt%、N:0.
01wt%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純
物からなる冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高
強度ボルト用鋼を提供するものである。
【0010】また、本発明は第2に、C:0.25〜
0.35wt%、Si:0.1wt%以下、Mn:0.
1〜0.5wt%、P:0.01wt%以下、S:0.
01wt%以下、Ni:7〜12wt%、Al:0.0
1〜0.1wt%、B:0.0003〜0.003wt
%、N:0.01wt%以下を含有し、さらに、Cu:
0.01〜0.3wt%、Cr:0.01〜0.3wt
%、Mo:0.01〜0.3%、W:0.01〜0.5
wt%、V:0.01〜0.1wt%の1種または2種
以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる
冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト
用鋼を提供するものである。
0.35wt%、Si:0.1wt%以下、Mn:0.
1〜0.5wt%、P:0.01wt%以下、S:0.
01wt%以下、Ni:7〜12wt%、Al:0.0
1〜0.1wt%、B:0.0003〜0.003wt
%、N:0.01wt%以下を含有し、さらに、Cu:
0.01〜0.3wt%、Cr:0.01〜0.3wt
%、Mo:0.01〜0.3%、W:0.01〜0.5
wt%、V:0.01〜0.1wt%の1種または2種
以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる
冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト
用鋼を提供するものである。
【0011】さらに、本発明は第3に、C:0.25〜
0.35wt%、Si:0.1wt%以下、Mn:0.
1〜0.5wt%、P:0.01wt%以下、S:0.
01wt%以下、Ni:7〜12wt%、Al:0.0
1〜0.1wt%、B:0.0003〜0.003wt
%、N:0.01wt%以下を含有し、さらに、Nb:
0.01〜0.05wt%、Ti:0.01〜0.1w
t%、Zr:0.01〜0.1%、Ca:0.001〜
0.01wt%の1種または2種以上を含有し、残部F
eおよび不可避的不純物からなる冷間鍛造性および耐遅
れ破壊特性に優れた高強度ボルト用鋼を提供するもので
ある。
0.35wt%、Si:0.1wt%以下、Mn:0.
1〜0.5wt%、P:0.01wt%以下、S:0.
01wt%以下、Ni:7〜12wt%、Al:0.0
1〜0.1wt%、B:0.0003〜0.003wt
%、N:0.01wt%以下を含有し、さらに、Nb:
0.01〜0.05wt%、Ti:0.01〜0.1w
t%、Zr:0.01〜0.1%、Ca:0.001〜
0.01wt%の1種または2種以上を含有し、残部F
eおよび不可避的不純物からなる冷間鍛造性および耐遅
れ破壊特性に優れた高強度ボルト用鋼を提供するもので
ある。
【0012】さらにまた、本発明は第4に、C:0.2
5〜0.35wt%、Si:0.1wt%以下、Mn:
0.1〜0.5wt%、P:0.01wt%以下、S:
0.01wt%以下、Ni:7〜12wt%、Al:
0.01〜0.1wt%、B:0.0003〜0.00
3wt%、N:0.01wt%以下を含有し、さらに、
Cu:0.01〜0.3wt%、Cr:0.01〜0.
3wt%、Mo:0.01〜0.3%、W:0.01〜
0.5wt%、V:0.01〜0.1wt%の1種また
は2種以上、およびNb:0.01〜0.05wt%、
Ti:0.01〜0.1wt%、Zr:0.01〜0.
1%、Ca:0.001〜0.01wt%の1種または
2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なる冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボ
ルト用鋼を提供するものである。
5〜0.35wt%、Si:0.1wt%以下、Mn:
0.1〜0.5wt%、P:0.01wt%以下、S:
0.01wt%以下、Ni:7〜12wt%、Al:
0.01〜0.1wt%、B:0.0003〜0.00
3wt%、N:0.01wt%以下を含有し、さらに、
Cu:0.01〜0.3wt%、Cr:0.01〜0.
3wt%、Mo:0.01〜0.3%、W:0.01〜
0.5wt%、V:0.01〜0.1wt%の1種また
は2種以上、およびNb:0.01〜0.05wt%、
Ti:0.01〜0.1wt%、Zr:0.01〜0.
1%、Ca:0.001〜0.01wt%の1種または
2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なる冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボ
ルト用鋼を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態について
具体的に説明する。本発明の高強度ボルト用鋼は、C:
0.25〜0.35wt%、Si:0.1wt%以下、
Mn:0.1〜0.5wt%、P:0.01wt%以
下、S:0.01wt%以下、Ni:7〜12wt%、
Al:0.01〜0.1wt%、B:0.0003〜
0.003wt%、N:0.01wt%以下を基本組成
とする。
具体的に説明する。本発明の高強度ボルト用鋼は、C:
0.25〜0.35wt%、Si:0.1wt%以下、
Mn:0.1〜0.5wt%、P:0.01wt%以
下、S:0.01wt%以下、Ni:7〜12wt%、
Al:0.01〜0.1wt%、B:0.0003〜
0.003wt%、N:0.01wt%以下を基本組成
とする。
【0014】このように各成分を規定した理由は以下の
とおりである。 C:0.25〜0.35wt% Cは焼入性を向上させ、かつ、必要な強度を得るために
必要な元素であるが、0.25wt%未満では所望の強
度を確保することができず、一方0.35wt%を超え
ると、冷間鍛造性が劣化する。したがって、0.25〜
0.35wt%とする。
とおりである。 C:0.25〜0.35wt% Cは焼入性を向上させ、かつ、必要な強度を得るために
必要な元素であるが、0.25wt%未満では所望の強
度を確保することができず、一方0.35wt%を超え
ると、冷間鍛造性が劣化する。したがって、0.25〜
0.35wt%とする。
【0015】Si:0.1wt%以下 本発明ではSiは不純物元素であり、耐遅れ破壊特性向
上の観点から、0.1wt%以下に制限することが必要
である。
上の観点から、0.1wt%以下に制限することが必要
である。
【0016】Mn:0.1〜0.5wt% Mnは熱間延性および焼入性確保の観点から必要である
が、0.1wt%未満ではこのような効果が不十分であ
り、0.5wt%を超えると冷間鍛造性および耐遅れ破
壊特性が劣化する。したがって、0.1〜0.5wt%
とする。
が、0.1wt%未満ではこのような効果が不十分であ
り、0.5wt%を超えると冷間鍛造性および耐遅れ破
壊特性が劣化する。したがって、0.1〜0.5wt%
とする。
【0017】P:0.01wt%以下 Pは不純物元素であり、耐遅れ破壊特性確保の観点から
0.01wt%以下に制限することが必要である。
0.01wt%以下に制限することが必要である。
【0018】S:0.01wt%以下 Sも不純物元素であり、耐遅れ破壊特性確保の観点から
0.01wt%以下に制限することが必要である。
0.01wt%以下に制限することが必要である。
【0019】Ni:7〜12wt% Niは、焼き入れ性の向上、水素の侵入抑制による耐遅
れ破壊特性向上のために必要な元素である。しかし、7
wt%未満ではこれらの効果が不十分となり、一方12
wt%を超えるとその効果が飽和するとともに経済性が
損なわれる。したがって、7〜12wt%の範囲とす
る。
れ破壊特性向上のために必要な元素である。しかし、7
wt%未満ではこれらの効果が不十分となり、一方12
wt%を超えるとその効果が飽和するとともに経済性が
損なわれる。したがって、7〜12wt%の範囲とす
る。
【0020】Al:0.01〜0.1wt% Alは、脱酸元素として必要であり、さらに鋼中に含ま
れる不純物元素であるNと結合し、B窒化物の生成を抑
制して旧オーステナイト粒界に偏析するBを確保するた
めに必要である。しかし、0.01%未満ではこのよう
な効果が不十分であり、0.1%を超えて添加しても効
果が飽和する。したがって、0.01〜0.1wt%の
範囲とする。
れる不純物元素であるNと結合し、B窒化物の生成を抑
制して旧オーステナイト粒界に偏析するBを確保するた
めに必要である。しかし、0.01%未満ではこのよう
な効果が不十分であり、0.1%を超えて添加しても効
果が飽和する。したがって、0.01〜0.1wt%の
範囲とする。
【0021】B:0.0003〜0.003wt% Bは焼き入れ性を確保するため、および旧オーステナイ
ト粒界に偏析させて耐遅れ破壊特性を向上させるために
添加する。しかし、0.0003wt%未満ではこのよ
うな効果が不十分であり、0.003wt%を超えると
炭化物を生成して耐遅れ破壊特性を劣化させる。したが
って、0.0003〜0.003wt%の範囲とする。
ト粒界に偏析させて耐遅れ破壊特性を向上させるために
添加する。しかし、0.0003wt%未満ではこのよ
うな効果が不十分であり、0.003wt%を超えると
炭化物を生成して耐遅れ破壊特性を劣化させる。したが
って、0.0003〜0.003wt%の範囲とする。
【0022】N:0.01wt%以下 Nは不純物元素であり、耐遅れ破壊特性確保の観点から
0.01wt%以下に制限することが必要である。
0.01wt%以下に制限することが必要である。
【0023】本発明では、選択成分として、以下の
(A)群、(B)群のうち一方、または両方を添加して
もよい。 (A)群:Cu:0.01〜0.3wt%、Cr:0.
01〜0.3wt%、Mo:0.01〜0.3%、W:
0.01〜0.5wt%、V:0.01〜0.1wt%
の1種または2種以上。
(A)群、(B)群のうち一方、または両方を添加して
もよい。 (A)群:Cu:0.01〜0.3wt%、Cr:0.
01〜0.3wt%、Mo:0.01〜0.3%、W:
0.01〜0.5wt%、V:0.01〜0.1wt%
の1種または2種以上。
【0024】(B)群:Nb:0.01〜0.05wt
%、Ti:0.01〜0.1wt%、Zr:0.01〜
0.1%、Ca:0.001〜0.01wt%の1種ま
たは2種以上。
%、Ti:0.01〜0.1wt%、Zr:0.01〜
0.1%、Ca:0.001〜0.01wt%の1種ま
たは2種以上。
【0025】Cu:0.01〜0.3wt% Cuは強度確保のために添加する。しかし、0.01w
t%未満ではこのような効果が不十分となり、0.3w
t%を超えると耐遅れ破壊特性を劣化させる。したがっ
て、0.01〜0.3wt%の範囲とする。
t%未満ではこのような効果が不十分となり、0.3w
t%を超えると耐遅れ破壊特性を劣化させる。したがっ
て、0.01〜0.3wt%の範囲とする。
【0026】Cr:0.01〜0.3wt% Crは強度確保のために添加する。しかし、0.01w
t%未満ではこのような効果が不十分となり、0.3w
t%を超えると耐遅れ破壊特性、冷間鍛造性を劣化させ
る。したがって、0.01〜0.3wt%の範囲とす
る。
t%未満ではこのような効果が不十分となり、0.3w
t%を超えると耐遅れ破壊特性、冷間鍛造性を劣化させ
る。したがって、0.01〜0.3wt%の範囲とす
る。
【0027】Mo:0.01〜0.3wt% Moは強度確保のために添加する。しかし、0.01w
t%未満ではこのような効果が不十分となり、0.3w
t%を超えると耐遅れ破壊特性、冷間鍛造性を劣化させ
る。したがって、0.01〜0.3wt%の範囲とす
る。
t%未満ではこのような効果が不十分となり、0.3w
t%を超えると耐遅れ破壊特性、冷間鍛造性を劣化させ
る。したがって、0.01〜0.3wt%の範囲とす
る。
【0028】W:0.01〜0.5wt% Wは焼き入れ性向上、強度確保のために添加する。しか
し、0.01wt%未満ではこのような効果が不十分と
なり、0.5wt%を超えると耐遅れ破壊特性、冷間鍛
造性を劣化させる。したがって、0.01〜0.5wt
%の範囲とする。
し、0.01wt%未満ではこのような効果が不十分と
なり、0.5wt%を超えると耐遅れ破壊特性、冷間鍛
造性を劣化させる。したがって、0.01〜0.5wt
%の範囲とする。
【0029】V:0.01〜0.1wt% Vは強度確保のために添加する。しかし、0.01wt
%未満ではこのような効果が不十分となり、0.1wt
%を超えると耐遅れ破壊特性、冷間鍛造性を劣化させ
る。したがって、0.01〜0.1wt%の範囲とす
る。
%未満ではこのような効果が不十分となり、0.1wt
%を超えると耐遅れ破壊特性、冷間鍛造性を劣化させ
る。したがって、0.01〜0.1wt%の範囲とす
る。
【0030】Nb:0.01〜0.05wt% Nbは鋼中に含まれる不純物元素であるNと結合し、B
窒化物の生成を抑制して旧オーステナイト粒界に偏析す
るBを確保するとともに、Nbの窒化物、炭化物により
オーステナイト粒を微細化して耐遅れ破壊特性を向上さ
せるために添加する。しかし、0.01wt%未満では
このような効果が得られず、0.05wt%を超えると
冷間鍛造性を劣化させる。したがって、0.01〜0.
05wt%の範囲とする。
窒化物の生成を抑制して旧オーステナイト粒界に偏析す
るBを確保するとともに、Nbの窒化物、炭化物により
オーステナイト粒を微細化して耐遅れ破壊特性を向上さ
せるために添加する。しかし、0.01wt%未満では
このような効果が得られず、0.05wt%を超えると
冷間鍛造性を劣化させる。したがって、0.01〜0.
05wt%の範囲とする。
【0031】Ti:0.01〜0.1wt% Tiは鋼中に含まれる不純物元素であるNと結合し、B
窒化物の生成を抑制して旧オーステナイト粒界に偏析す
るBを確保するとともに、Tiの窒化物、炭化物により
オーステナイト粒を微細化して耐遅れ破壊特性を向上さ
せるために添加する。しかし、0.01wt%未満では
このような効果が得られず、0.1wt%を超えると冷
間鍛造性を劣化させる。したがって、0.01〜0.1
wt%の範囲とする。
窒化物の生成を抑制して旧オーステナイト粒界に偏析す
るBを確保するとともに、Tiの窒化物、炭化物により
オーステナイト粒を微細化して耐遅れ破壊特性を向上さ
せるために添加する。しかし、0.01wt%未満では
このような効果が得られず、0.1wt%を超えると冷
間鍛造性を劣化させる。したがって、0.01〜0.1
wt%の範囲とする。
【0032】Zr:0.01〜0.1wt% Zrは鋼中に含まれる不純物元素であるNと結合し、B
窒化物の生成を抑制して旧オーステナイト粒界に偏析す
るBを確保するとともに、Zrの窒化物、炭化物により
オーステナイト粒を微細化して耐遅れ破壊特性を向上さ
せるために添加する。しかし、0.01wt%未満では
このような効果が得られず、0.1wt%を超えると冷
間鍛造性を劣化させる。したがって、0.01〜0.1
wt%の範囲とする。
窒化物の生成を抑制して旧オーステナイト粒界に偏析す
るBを確保するとともに、Zrの窒化物、炭化物により
オーステナイト粒を微細化して耐遅れ破壊特性を向上さ
せるために添加する。しかし、0.01wt%未満では
このような効果が得られず、0.1wt%を超えると冷
間鍛造性を劣化させる。したがって、0.01〜0.1
wt%の範囲とする。
【0033】Ca:0.001〜0.01wt% Caは鋼中に含まれる不純物元素であるSと結合し、M
nS、FeS介在物および固溶S量を低減して耐遅れ破
壊特性を向上させると同時に、CaS化合物によりオー
ステナイト粒を微細化して耐遅れ破壊特性を向上させる
ために添加する。しかし、0.001%未満ではこのよ
うな効果が不十分であり、0.01wt%を超えると冷
間鍛造性を劣化させる。したがって、0.001〜0.
01wt%の範囲とする。
nS、FeS介在物および固溶S量を低減して耐遅れ破
壊特性を向上させると同時に、CaS化合物によりオー
ステナイト粒を微細化して耐遅れ破壊特性を向上させる
ために添加する。しかし、0.001%未満ではこのよ
うな効果が不十分であり、0.01wt%を超えると冷
間鍛造性を劣化させる。したがって、0.001〜0.
01wt%の範囲とする。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。表
1に示す組成を有する鋼(No.1〜15は本発明鋼、
No.16〜22は比較鋼である)を製造し、直径22
mmの丸棒に圧延した。これらを焼鈍後、冷間鍛造でM
22のボルトに成形し、焼入れ焼戻し後、1400N/
mm2 以上の強度にした。
1に示す組成を有する鋼(No.1〜15は本発明鋼、
No.16〜22は比較鋼である)を製造し、直径22
mmの丸棒に圧延した。これらを焼鈍後、冷間鍛造でM
22のボルトに成形し、焼入れ焼戻し後、1400N/
mm2 以上の強度にした。
【0035】
【表1】
【0036】このようにして成形したボルトについて遅
れ破壊試験を行った。遅れ破壊試験では、表1に示す鋼
から成形したボルト各20本ずつ溶接構造用鋼板(SM
570)にナット回転角法にて最大荷重まで締付け、
3.5%食塩水で乾湿繰り返しの試験を9ケ月間実施
し、破断の有無を調べた。
れ破壊試験を行った。遅れ破壊試験では、表1に示す鋼
から成形したボルト各20本ずつ溶接構造用鋼板(SM
570)にナット回転角法にて最大荷重まで締付け、
3.5%食塩水で乾湿繰り返しの試験を9ケ月間実施
し、破断の有無を調べた。
【0037】また、冷間鍛造性についても調べた。冷間
鍛造性についてはボルト成形時の割れ発生や変形抵抗大
による焼付き発生などの不都合が生じた場合を冷間鍛造
性不良とした。冷間鍛造性不良と判定された場合には遅
れ破壊試験を実施しなかった。
鍛造性についてはボルト成形時の割れ発生や変形抵抗大
による焼付き発生などの不都合が生じた場合を冷間鍛造
性不良とした。冷間鍛造性不良と判定された場合には遅
れ破壊試験を実施しなかった。
【0038】なお、引張試験は、ボルトから平行部径1
0mmの引張試験片を切り出し、その試験片によって実
施した。これらの結果を表2にまとめて示す。
0mmの引張試験片を切り出し、その試験片によって実
施した。これらの結果を表2にまとめて示す。
【0039】
【表2】
【0040】この表に示すように、本発明鋼であるN
o.1〜15はいずれも冷間鍛造でき、かつ、1400
N/mm2 以上の高強度で遅れ破壊が生じていなかっ
た。これに対して、比較鋼No.16〜22は、冷間鍛
造性、引張強さ、遅れ破壊特性のいずれかが劣ってい
た。
o.1〜15はいずれも冷間鍛造でき、かつ、1400
N/mm2 以上の高強度で遅れ破壊が生じていなかっ
た。これに対して、比較鋼No.16〜22は、冷間鍛
造性、引張強さ、遅れ破壊特性のいずれかが劣ってい
た。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、冷間鍛
造が可能でかつ遅れ破壊特性に優れた1400N/mm
2 以上の高強度を有するボルト用鋼が提供される。ま
た、本発明の鋼は特殊な処理を施す必要がないので安価
に製造することができる。従って、自動車の軽量化や建
築物の締結コスト低減に寄与することができるなど産業
上極めて大きな意義を有する。
造が可能でかつ遅れ破壊特性に優れた1400N/mm
2 以上の高強度を有するボルト用鋼が提供される。ま
た、本発明の鋼は特殊な処理を施す必要がないので安価
に製造することができる。従って、自動車の軽量化や建
築物の締結コスト低減に寄与することができるなど産業
上極めて大きな意義を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−176747(JP,A) 特開 平7−40330(JP,A) 特開 昭57−181366(JP,A) 特開 昭59−6356(JP,A) 特開 昭59−182950(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60
Claims (4)
- 【請求項1】 C:0.25〜0.35wt%、Si:
0.1wt%以下、Mn:0.1〜0.5wt%、P:
0.01wt%以下、S:0.01wt%以下、Ni:
7〜12wt%、Al:0.01〜0.1wt%、B:
0.0003〜0.003wt%、N:0.01wt%
以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる
冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト
用鋼。 - 【請求項2】 C:0.25〜0.35wt%、Si:
0.1wt%以下、Mn:0.1〜0.5wt%、P:
0.01wt%以下、S:0.01wt%以下、Ni:
7〜12wt%、Al:0.01〜0.1wt%、B:
0.0003〜0.003wt%、N:0.01wt%
以下を含有し、さらに、Cu:0.01〜0.3wt
%、Cr:0.01〜0.3wt%、Mo:0.01〜
0.3%、W:0.01〜0.5wt%、V:0.01
〜0.1wt%の1種または2種以上を含有し、残部F
eおよび不可避的不純物からなる冷間鍛造性および耐遅
れ破壊特性に優れた高強度ボルト用鋼。 - 【請求項3】 C:0.25〜0.35wt%、Si:
0.1wt%以下、Mn:0.1〜0.5wt%、P:
0.01wt%以下、S:0.01wt%以下、Ni:
7〜12wt%、Al:0.01〜0.1wt%、B:
0.0003〜0.003wt%、N:0.01wt%
以下を含有し、さらに、Nb:0.01〜0.05wt
%、Ti:0.01〜0.1wt%、Zr:0.01〜
0.1%、Ca:0.001〜0.01wt%の1種ま
たは2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物
からなる冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強
度ボルト用鋼。 - 【請求項4】 C:0.25〜0.35wt%、Si:
0.1wt%以下、Mn:0.1〜0.5wt%、P:
0.01wt%以下、S:0.01wt%以下、Ni:
7〜12wt%、Al:0.01〜0.1wt%、B:
0.0003〜0.003wt%、N:0.01wt%
以下を含有し、さらに、Cu:0.01〜0.3wt
%、Cr:0.01〜0.3wt%、Mo:0.01〜
0.3%、W:0.01〜0.5wt%、V:0.01
〜0.1wt%の1種または2種以上、およびNb:
0.01〜0.05wt%、Ti:0.01〜0.1w
t%、Zr:0.01〜0.1%、Ca:0.001〜
0.01wt%の1種または2種以上を含有し、残部F
eおよび不可避的不純物からなる冷間鍛造性および耐遅
れ破壊特性に優れた高強度ボルト用鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03970696A JP3246316B2 (ja) | 1996-02-27 | 1996-02-27 | 冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03970696A JP3246316B2 (ja) | 1996-02-27 | 1996-02-27 | 冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト用鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09235658A JPH09235658A (ja) | 1997-09-09 |
JP3246316B2 true JP3246316B2 (ja) | 2002-01-15 |
Family
ID=12560456
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03970696A Expired - Fee Related JP3246316B2 (ja) | 1996-02-27 | 1996-02-27 | 冷間鍛造性および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト用鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3246316B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4975261B2 (ja) * | 2005-03-08 | 2012-07-11 | Jfe条鋼株式会社 | 耐遅れ破壊特性に優れた高強度鋼の製造方法 |
-
1996
- 1996-02-27 JP JP03970696A patent/JP3246316B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09235658A (ja) | 1997-09-09 |
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