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JP3106196B1 - TiAl−Ti基合金焼結接合体の製造方法 - Google Patents

TiAl−Ti基合金焼結接合体の製造方法

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Publication number
JP3106196B1
JP3106196B1 JP11164606A JP16460699A JP3106196B1 JP 3106196 B1 JP3106196 B1 JP 3106196B1 JP 11164606 A JP11164606 A JP 11164606A JP 16460699 A JP16460699 A JP 16460699A JP 3106196 B1 JP3106196 B1 JP 3106196B1
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powder
tial
based alloy
alloy
sintering
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JP11164606A
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利彦 阿部
等 橋本
吉信 斎藤
義喬 西澤
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Tohoku Steel Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Steel Co Ltd
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Abstract

【要約】 【課題】 パルス通電加圧によりTiAl合金、例えば
エンジンバルブのような傘部と軸部を持つ焼結体等を製
造する際に、該焼結体の結晶粒の粗大化を抑制し、空孔
の発生を抑え、全体に亘って緻密な組織を得る。また高
温の熱を受ける部位にTiAl合金を使用し、一部に一
体化した靭性の高いチタン基合金を用い、全体としてT
iAl合金の特性を向上させ、コスト低減と高品質の材
料を得る。 【解決手段】 Ti1−xAl(0.39≦x≦0.
59、x:原子分率)の割合からなる混合粉末若しくは
合金粉末又はこれらを主成分とする焼結用粉末と、前記
以外のTi基合金粉末又はTi基合金溶製体とを焼結と
同時に接合する。必要によりさらに1000〜1300
°CでTiAl合金部を押出し加工することを特徴とす
るTiAl−Ti基合金焼結接合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、TiとAlの混合
粉末若しくは合金粉末又はこれらを主成分とする焼結用
粉末及びTi基合金粉末又はTi基合金溶製体(鋳造、
圧延等の加工を施したもの)とを用い、これらを通電加
圧焼結すると同時に接合し、さらに押出し加工してTi
Al−Ti基合金焼結接合体とすることにより、空孔が
なく緻密な組織を持ち、高温耐食性及び高温比強度に優
れ、特に自動車用エンジンバルブ、タービンブレード、
複合パイプ、ロッカーアーム等に好適な加圧焼結方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】TiAl金属間化合物(合金)は、高温
耐食性及び高温比強度に優れているので、高温に曝され
る機械構造部品の軽量化材として利用及び開発が進めら
れている。TiAl合金は軽量であるばかりでなく、こ
のような優れた特性をもっているので、特に高温の排気
ガスに曝される自動車用エンジンバルブ、タービンブレ
ード、ロッカーアーム、複合パイプ等への利用が検討さ
れている。しかし、一般に他の鉄鋼材料やチタン合金に
比べてTiAl合金は脆いので、自動車用エンジンバル
ブの軸部先端のように、常時カムに衝突する(叩かれ
る)部分では靭性の不足が実用化上の問題となってい
る。また、合金自体の製造も容易ではない。例えばTi
Al合金の製造方法として溶解鋳造法が考えられる。こ
の場合、TiとAlは反応性が高く、水冷銅るつぼを用
いて高真空下で溶解するという極めて特殊な溶解方法を
必要である。また、原料に含まれる水素や酸素などの吸
着ガスを除去するために長時間真空に保持することが必
要であるが、実際には一旦吸着されたガスは真空処理の
みでは揮発除去されず、むしろ長時間の真空処理のため
に一方の合金成分であるAlが揮散してしまい、目的と
する成分比率が変わってしまうという問題を生じた。ま
た、TiAl合金を溶解後鋳造すると、多数の空孔が生
ずる等の欠陥を伴い、このような欠陥の除去のために時
間のかかるHIP処理をするなど、溶解鋳造法全体とし
て、品質が劣りしかも製造装置が特殊なのでコスト高に
なる欠点を有していた。
【0003】このようなことから、TiAl金属間化合
物を製造する方法として燃焼合成法を利用する方法が提
案された。これは、Ti−Al金属間化合物を構成する
元素の反応熱を利用するものであり、比較的簡単な装置
で製造エネルギーが少なくてすむという利点を有する
が、この燃焼合成法の急速な反応が大きく災いして多孔
質体となり、強度の高い材料が得られないという欠点が
あった。このように、高純度で成分偏析がなく、また緻
密な組織を有するTiAl合金(金属間化合物)を製造
することは、従来の溶解法または燃焼合成法いずれの場
合も容易でないという問題があった。
【0004】このような中で、パルス通電加圧焼結法が
提案された。これは従来の溶解法または燃焼合成法に比
べ、材料の成分偏析を減少させ、組織を緻密化し、かつ
高純度化する点で格段に優れた材料が得られることが分
かった。しかし、従来技術よりは大幅に減少したが、材
料の一部に結晶粒が粗大化した部分が依然として残存
し、例えばエンジンバルブを例に上げると、エンジンバ
ルブの傘部の下に軸が結合しており、このような長尺の
材料では、材料の途中に空孔が発生する傾向があり、全
体に亘って均一かつ緻密な組織を得る課題を十分には解
決していなかった。
【0005】また、前記エンジンバルブの軸部について
は断面積に対して長さが大きいため、型の中に焼結用粉
末を数回に分けて圧粉しながら徐々に足していく方法が
取ってみたが、これは圧粉体の途中に隙間ができたり、
密度にばらつきが生じたり全く使い物にならなかった。
このため長い型を使用し、一度に焼結用の粉末を入れ圧
粉する方法が取られた。しかし、この場合は単なる圧粉
のためにのみ焼結ストロークを長くしなければならない
という不都合を生じ、またその後の焼結では加熱電流が
無駄に消費され、さらに焼結後の焼結品の取出しが大変
であるという問題があった。
【0006】さらに、TiAl合金(金属間化合物)の
製品をパルス通電加圧法で製造する場合の大きな問題と
して、焼結品と成形用型との食いつきがある。パルス通
電加圧法による場合、成形型やパンチに電流を流して直
接通電するので短時間に焼結できる利点があるが、耐熱
性と高温強度が要求されるので、成形型等の材質は黒鉛
に限定される。ところが、黒鉛はチタン、鉄、クロムな
どと高温で反応するという問題があり、型部品や材料の
消耗が激しく効率よくかつ低コストで製造する上で著し
い制約になっている。
【0007】したがって、このような反応を防止するた
めに、成形型とは別の黒鉛シートを間に入れたり、窒化
硼素(BN)の粉を剥離(離型)材として塗布するなど
の工夫がなされている。しかし、これらも高温の焼結温
度ではTi、Alと反応するので、焼結表面がざらざら
になって製品精度が低下するとともに、焼結体が黒鉛型
に食いつきを生ずるので、型離れが良い場合で2〜3
回、通常は1回で型が壊れることが多く実用上の大きな
問題となっている。
【0008】上記黒鉛シートを使用しても焼結体と反応
を起こすし、また窒化硼素(BN)を使用した場合に、
これが高温では分解し、硬いチタン窒化やチタン硼化物
が生ずる。このため、Ti、Alとの反応が起こらない
最高温度である設定温度1100°Cで焼結した後、一
旦取出し、また別の炉で1300°Cに熱処理し、必要
な組織を得るなど手法が取られている。しかし、このよ
うな工程は煩雑であり、温度コントロールや材質の調整
が難しいという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上の問題点を解決す
るために、本発明はパルス通電加圧によりTiAl合
金、特にエンジンバルブのような傘部と軸部を持つ焼結
体、TiAl合金焼結体タービンブレードと軸部、ロッ
カーアーム等を製造する際に、該焼結体の結晶粒の粗大
化を抑制し、空孔の発生を抑え、全体に亘って緻密な組
織を得ようとするものであり、また高温の熱を受ける例
えば傘部をTiAl合金を使用し、軸部の先端に靭性の
高いチタン基合金を用いることにより、接合体全体とし
ての特性を向上させ、さらに適切な離型剤を使用するこ
とにより、焼結品と成形用黒鉛型との食いつきを防止し
て、成形用型を繰り返し使用できようにし、コスト低減
と高品質のTiAl合金を製造できる加圧焼結接合体の
製造方法及び強度及び耐久性に優れたエンジンバルブ、
タービンブレード、ロッカーアーム等の接合体を得るこ
とを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上の知見に基づいて、
本発明は、1)Ti1−xAl(0.39≦x≦0.
59、x:原子分率)の割合からなる混合粉末若しくは
合金粉末又はこれらを主成分とする焼結用粉末と、前記
以外のTi基合金(純Tiを含む。以下同様)粉末又は
Ti基合金溶製体とを焼結と同時に接合する際に、上パ
ンチ若しくはダイの下面と圧粉体の上面及び下パンチ若
しくはダイの上面と圧粉体の下面を電気的に絶縁して焼
結することを特徴とするTiAl−Ti基合金焼結接合
体の製造方法、2)TiAl粉末がメカニカルアロイン
グ粉であることを特徴とする上記1)記載のTiAl−
Ti基合金焼結接合体の製造方法、3)850〜100
0°Cで加圧焼結することを特徴とする上記1)又は
2)記載のTiAl−Ti基合金焼結接合体の製造方
法、4)Ti1−xAl(0.39≦x≦0.59、
x:原子分率)の割合からなる混合粉末若しくは合金粉
末又はこれらを主成分とする焼結用粉末と、前記以外の
Ti基合金(純Tiを含む。以下同様)粉末又はTi基
合金溶製体とを焼結と同時に接合した後、1000〜1
300°CでTiAl合金部を押出し加工することを特
徴とするTiAl−Ti合金焼結接合体の製造方法、
5)歪み速度1×10−2〜1×10−5で超塑性押出
し加工することを特徴とする上記4)記載のTiAl−
Ti基合金焼結接合体の製造方法、6)上部電極を備え
た上パンチ又はダイ、成形空間を有する上部黒鉛型又は
ダイス、下部焼結用黒鉛型又は下部電極を備えた下パン
チ若しくはダイからなる成形装置を用い、前記上部黒鉛
型又はダイスにTiとAlの混合粉末若しくは合金粉末
又はこれらを主成分とする焼結用粉末を充填し、かつそ
の焼結用粉末に連続させてTi基合金粉末又はTi基合
金溶製体とを充填又は配置して、粉末を通電加圧焼結す
ると同時にTiAl合金焼結体とTi基合金とを接合す
際に、上パンチ若しくはダイの下面と圧粉体の上面及
び下パンチ若しくはダイの上面と圧粉体の下面を電気的
に絶縁して焼結することを特徴とするTiAl−Ti基
合金焼結接合体の製造方法、7)上部電極を備えた上パ
ンチ又はダイ、成形空間を有する上部黒鉛型又はダイ
ス、下部焼結用黒鉛型又は下部電極を備えた下パンチ若
しくはダイからなる成形装置を用い、前記上部黒鉛型又
はダイスにTiとAlの混合粉末若しくは合金粉末又は
これらを主成分とする焼結用粉末を充填し、かつその焼
結用粉末に連続させてTi基合金粉末又はTi基合金溶
製体とを充填又は配置し、粉末を通電加圧焼結すると同
時にTiAl合金焼結体とTi基合金とを接合した後、
1000〜1300°CでTiAl合金部を押出し加工
することを特徴とするTiAl−Ti基合金焼結接合体
の製造方法、8)TiAlとTi基合金とを接合した
後、下部焼結用黒鉛型又は下部電極を備えた下パンチ若
しくはダイを押出し用型に置換えるか又は該押出し用型
を継足して押出し加工することを特徴とする請求項7記
載のTiAl−Ti基合金焼結接合体の製造方法、9)
上パンチ若しくはダイの下面と圧粉体の上面及び又は下
パンチ若しくはダイの上面と圧粉体の下面を電気的に絶
縁して焼結することを特徴とする上記4)、5)、7)
又は8)のそれぞれに記載のTiAl−Ti基合金焼結
接合体の製造方法、を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明を図に基づいて説明
する。図1は本発明に使用する焼結接合装置の一例を示
す断面説明図である。図1に示すように、本装置は上パ
ンチ1、成形空間を備えた上部黒鉛型2、同下部黒鉛型
3を備えている。必要により下パンチを配置することが
できる。図1はエンジンバルブの製造を例にしたもの
で、黒鉛型その他はエンジンバルブ形状の空間を備えて
いる。なお、この例はあくまで、好適な例を示すもので
あって、本発明はこの例に制限されるものではなく、例
えば、高温耐食性や高温比強度を必要とするタービンブ
レード(翼)、ロッカーアーム、複合パイプ等にも適応
できるものである。この上部黒鉛型2は後述する押出し
工程におけるダイスを兼ねている。上下部黒鉛型2、3
のみならず、上パンチ1及び下パンチも、耐熱強度を保
有させるために黒鉛製とすることができる。上部又は下
部電極(図示せず)から電気エネルギーを供給し、上記
黒鉛型を通じて焼結用粉末を加熱焼結する。
【0012】まず、下部黒鉛型3にTi基合金粉末又はT
i基合金溶製体4を充填又は配置する。この「Ti基合
金溶製体」はTi基合金粉末に対比させて述べたもの
で、Ti基合金を溶解、鋳造、圧延熱処理等の加工を施
してエンジンバルブの軸としての必要な強度をもつよう
に軸状に成形加工したものである。すなわち、エンジン
バルブ用軸等は、TiAl合金の焼結と同時に焼結して
得た焼結Ti基合金焼結体でもよいし、また上記のよう
にTi基合金溶製体であってもよい。Ti基合金として代
表てきなものを挙げると、Ti−5Al−2.5Snな
どのα型合金、Ti−6Al−4Vなどのα+β型合
金、Ti−10V−2Fe−3Alなどのβ型合金等で
あるが、これらを目的に応じて選択し使用することがで
きる。特にエンジンバルブ用軸等には強度及び靭性の高
いチタン基合金を用いる。図1ではこのようなTi基合
金溶製体4を示す。
【0013】次に、上部黒鉛型2の内部にTiとAlの
混合粉末若しくは合金粉末又はこれらを主成分とする焼
結用粉末5を充填する。上記の通りTiとAlが主成分
であるが、焼結用粉末の副成分として機械的性質および
耐食性を改善する目的で、Cr、Mo、W、Nb、M
n、V、Ni、Co、Cu、Zr、Hf、Sn、Zn、
B、TiBの一種または二種以上を、10wt%を超
えない範囲で添加することができる。また、さらに耐酸
化性を向上させる目的で、Si、P、SiC、TiC、
ZrC、VC、WC、MoCの一種または二種以上を、
20wt%を超えない範囲で添加することができる。こ
の焼結用粉末5の材料として、メカニカルアロイング粉
が好適である。焼結用原料としてはTiとAlの混合粉
末若しくは合金粉末又はこれらを主成分とする焼結粉末
が使用できるが、特にメカニカルアロイング(MA)粉
末が好適である。TiAlメカニカルアロイング(M
A)粉末は、例えば水素吸収処理した水素を3.5ma
ss%以上含有するスポンジチタンとアルミニウム粉、
粒又は片とをアルゴン雰囲気又は真空中でボールミリン
グすることによって得ることができる。この水素吸収処
理したスポンジチタンは脆化し易く、微細に粉砕されア
ルミニウムとの合金化が容易に達成される。また、焼結
の際には温度500°C近傍で脱水素化し、焼結中雰囲
気は還元性に保たれるので酸化が抑制され、焼結体の品
質がさらに向上するという特徴がある。
【0014】TiとAlの比率は、Ti1−xAl
(0.39≦x≦0.59、x:原子分率)の割合と
する。この比率以外では、高温排ガスに曝される個所、
例えばエンジンバルブの傘部等に使用する場合には耐熱
が十分でない。なお、TiとAl以外に、さらに副成分
として機械的性質および耐食性を改善する目的で、C
r、Mo、W、Nb、Mn、V、Ni、Co、Cu、Z
r、Hf、Sn、Zn、B、TiBの一種または二種
以上を、10wt%を超えない範囲で添加することがで
きる。また、さらに耐酸化性を向上させる目的で、S
i、P、SiC、TiC、ZrC、VC、WC、MoC
の一種または二種以上を、20wt%を超えない範囲で
添加することができる。そしてこれらの添加成分は併用
を妨げるものではない。上下パンチ若しくはダイ等の黒
鉛と圧粉体又は焼結体との接触部分に、反応防止剤とし
てアルミナ系または窒化硼素(BN)の離型剤6を塗布
する。この離型剤6は乾燥後ひび割れを発生したり、簡
単に剥離するものは好ましくない。離型剤6の塗布乾燥
後焼結粉末を充填し、これを圧粉とする工程で剥離しな
い十分な耐剥離(付着)強度を持つことが必要である。
【0015】この離型剤6としてアルミナ系または窒化
硼素(BN)の反応防止剤の利用は、焼結品と成形用黒
鉛型との食いつきを防止する上で極めて有効である。ま
た、この離型剤6は焼結の際の電気絶縁体としても機能
する。そして、特にこのような離型剤6を使用すること
により、離型剤が1460°C付近の高温で溶融状態に
なるまで黒鉛型と反応せず、焼結後に黒鉛型から焼結体
を容易に分離することができる。離型剤6としてのアル
ミナまたは窒化硼素(BN)の利用は、通電加圧焼結用
黒鉛型のみならず、ホットプレスなどの成形用黒鉛型を
使用した焼結体の製造に使用することができる。これに
よって、成形用黒鉛型の使用頻度を高め、コスト低減に
大きく寄与する。また、BN(窒化硼素)潤滑材は後述す
る押出しのために重要な役割をする。BN(窒化硼素)潤
滑材は黒鉛型(ダイス)2の面に塗布して使用する。
【0016】次に、上記焼結用粉末を圧粉して下部黒鉛
型2に押し込めた後、図に示す状態でパルス通電加圧焼
結を行う。焼結中雰囲気は真空(例えば真空度10−3
Pa)とし、昇温速度10〜100K/min、好まし
くは10〜40K/min、圧力45〜70MPaの条
件で、850〜1000°Cに通電加圧焼結する。加熱
温度は結晶粒の成長が生じない1000°C以下とす
る。TiAl合金焼結体が微細結晶粒を持つことは、次
工程の超塑性押出し加工で特に必要である。上部電極又
は下部電極から上下パンチを介して供給される電気エネ
ルギーは電気絶縁体であるアルミナ塗膜6が存在するた
めに、焼結用粉末5に直接供給されず、一旦下部黒鉛型
2に供給され、この黒鉛型2の加熱を通じて焼結され
る。これにより、TiとAlの混合粉末若しくは合金粉
末又はこれらを主成分とする焼結粉末の急速な合成反応
を抑止でき、例えばエンジンバルブの傘部及び軸部の結
晶粒が粗大化したり、材料の途中に空孔が発生すること
なく、全体に亘って緻密な組織が得られる効果がある。
また、本発明によればTiAlと黒鉛型との反応が防止
できる優れた効果を有する。
【0017】さらに重要なことは、この通電加圧焼結の
段階で前記Ti基合金溶製体4とTiAl焼結体は緊密に
結合していることである。後述する押出し後に接合部が
中央にくるように平板試験片を作成し、曲げ試験を行っ
たところ、破断は接合部ではなくTiAl焼結体の母材
で起き、接合部は十分な強度を保有していた。接合部の
曲げ強度は850MPaであり、TiAl焼結体の母材
と同程度の強度を有していた。上記Ti基合金溶製体4
に替えて、Ti基合金粉末をTiAl合金の焼結と同時に
焼結しても同様な結果が得られた。この場合にも黒鉛型
と接触する部分にはアルミナ系または窒化硼素(BN)
離型剤6を塗布する。
【0018】次に、通電加圧焼結によりTiAl合金を
焼結すると同時に該TiAl合金焼結体とTi基合金と
を接合した後、1000〜1300°CでTiAl合金
部をBN(窒化硼素)潤滑材を塗布したダイを通して押出
し加工する。歪み速度1×10−2〜1×10−5で超
塑性押出し加工するのが好適である。上記の通り、Ti
Al合金焼結体は微細結晶粒組織を持つので、押出し加
工は容易である。この押出し加工に際しては、図2に示
すように下部焼結用黒鉛型又は下部電極を備えた下パン
チ若しくはダイを、押出し用型7に置換えるか又は該押
出し用型を継足して押出し加工する。例えば、7mmφ
の中空部を有する下部焼結用黒鉛型3に替えて8mmφ
の中空部を有する押出し用型7に置換えて押出しを行
う。
【0019】この結果、エンジンバルブの例では高温排
ガスの最も影響を受ける傘部及び該傘部に近接する軸部
をTiAl合金焼結体製とし、これを押出し加工で傘部
と一体加工することにより該傘部と軸との高温強度を維
持し、かつカムに接触する軸部先端はTi基合金とする
ことにより靭性を高めた複合材料を得ることができる。
このようにして得たエンジンバルブの例の概略説明図を
図3に示す。符号9はエンジンバルブの傘部、これに結
合する押出し部である軸8は傘部と同材料のTiAl合
金焼結体であり、その下部軸10はTi基合金である。
前記のように、TiAl合金焼結体とTi基合金の軸接
合部は、800MPaの強度が得られている。このよう
に主としてTiとAlを主成分とすることにより、軽量
化を図ることができ、例えばエンジンの軽量化に大きく
影響する重要なものである。元来チタンアルミニウム合
金(金属間化合物)は、高温耐食性及び高温比強度に優
れているので、低コストでエンジンバルブ等の軽量化を
達成できる本発明方法は優れた効果を有する。以上、主
としてエンジンバルブを中心に説明してきたが、本発明
はこの用途に制限されることはなく、本発明係るTiA
l合金焼結体とTi基合金の接合体は、高温耐食性ある
いは高温比強度を必要とする複合パイプ、タービン翼、
ロッカーアーム等にも使用できる。そしてこの具体的事
例は、これはあくまで一例であり、この例のみに制限さ
れるものではない。すなわち、本発明の技術思想に含ま
れる他の態様または変形を包含する。
【0020】
【発明の効果】従来の耐熱鋼等に替わるものとして、さ
らにエンジンバルブ、タービン、複合パイプ、ロッカー
アーム等を軽量化することができ、例えばエンジンバル
ブについては、同傘部及び軸部をTiAl合金焼結体と
して高温排ガスへの耐熱性を高め、さらに軸部先端をT
i基合金としカムとの接触に耐え得る材料とすることに
より、エンジンバルブの耐久性を向上させることが可能
となった。また、上記の通りTiAl合金焼結とTi基
合金軸部先端とを同時に行うことができ、エネルギーコ
ストを低減させるとともに工程を簡略化し、さらにTi
Al合金軸部とTi基合金軸部先端との結合強度を維持
できるという優れた特徴と有している。さらに、離型剤
としてアルミナまたはBN(窒化硼素)を利用することに
より、焼結品と成形用黒鉛型との食いつきを防止し、黒
鉛型と反応させず、焼結後に黒鉛型から焼結体を容易に
分離することができた。これによって、非常に高い寸法
精度の焼結体を得ることができ、また成形用黒鉛型の使
用頻度を高め、コスト低減に大きく寄与するものであ
る。またこの離型剤を焼結の際の電気絶縁体として機能
させ、焼結粉末の急速な合成反応を抑止して、例えば接
合体としてのエンジンバルブや軸部の結晶粒が粗大化し
たり、材料の途中に空孔が発生することなく、全体に亘
って緻密な組織を得ることができるという優れた特徴を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】上パンチ、成形空間を備えた上部黒鉛型、同下
部黒鉛型等を備えた本装置の1例を示す断面説明図であ
る。
【図2】下部黒鉛型を取り除き、押出し用型に交換した
装置の1例を示す断面説明図である。
【図3】本発明を適用して製造したエンジンバルブの概
略説明図である。
【符号の説明】
1 上パンチ 2 上部黒鉛型 3 下部黒鉛型 4 Ti基合金軸先端部 5 TiAl合金焼結粉末又は焼結体 6 離型剤 7 押出し用型 8 押出し部のTiAl合金軸 9 TiAl合金傘部 10 Ti基合金軸先端部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F01L 3/02 F01L 3/02 G 3/24 3/24 D (72)発明者 斎藤 吉信 宮城県柴田郡村田町大字村田字西ケ丘23 東北特殊鋼株式会社内 (72)発明者 西澤 義喬 宮城県柴田郡村田町大字村田字西ケ丘23 東北特殊鋼株式会社内 審査官 山本 一正 (56)参考文献 特開 平4−118182(JP,A) 特開 平7−3306(JP,A) 特開 平9−300024(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 7/04 B22F 3/14 101

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ti1−xAl(0.39≦x≦0.
    59、x:原子分率)の割合からなる混合粉末若しくは
    合金粉末又はこれらを主成分とする焼結用粉末と、前記
    以外のTi基合金(純Tiを含む。以下同様)粉末又は
    Ti基合金溶製体とを焼結と同時に接合する際に、上パ
    ンチ若しくはダイの下面と圧粉体の上面及び下パンチ若
    しくはダイの上面と圧粉体の下面を電気的に絶縁して焼
    結することを特徴とするTiAl−Ti基合金焼結接合
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】 TiAl粉末がメカニカルアロイング粉
    であることを特徴とする請求項1記載のTiAl−Ti
    基合金焼結接合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 850〜1000°Cで加圧焼結するこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載のTiAl−Ti基
    合金焼結接合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 Ti1−xAl(0.39≦x≦0.
    59、x:原子分率)の割合からなる混合粉末若しくは
    合金粉末又はこれらを主成分とする焼結用粉末と、前記
    以外のTi基合金(純Tiを含む。以下同様)粉末又は
    Ti基合金溶製体とを焼結と同時に接合した後、100
    0〜1300°CでTiAl合金部を押出し加工するこ
    とを特徴とするTiAl−Ti合金焼結接合体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 歪み速度1×10−2〜1×10−5
    超塑性押出し加工することを特徴とする請求項4記載の
    TiAl−Ti基合金焼結接合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 上部電極を備えた上パンチ又はダイ、成
    形空間を有する上部黒鉛型又はダイス、下部焼結用黒鉛
    型又は下部電極を備えた下パンチ若しくはダイからなる
    成形装置を用い、前記上部黒鉛型又はダイスにTiとA
    lの混合粉末若しくは合金粉末又はこれらを主成分とす
    る焼結用粉末を充填し、かつその焼結用粉末に連続させ
    てTi基合金粉末又はTi基合金溶製体とを充填又は配
    置して、粉末を通電加圧焼結すると同時にTiAl焼結
    体とTi基合金とを接合する際に、上パンチ若しくはダ
    イの下面と圧粉体の上面及び下パンチ若しくはダイの上
    面と圧粉体の下面を電気的に絶縁して焼結することを特
    徴とするTiAl−Ti基合金焼結接合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 上部電極を備えた上パンチ又はダイ、成
    形空間を有する上部黒鉛型又はダイス、下部焼結用黒鉛
    型又は下部電極を備えた下パンチ若しくはダイからなる
    成形装置を用い、前記上部黒鉛型又はダイスにTiとA
    lの混合粉末若しくは合金粉末又はこれらを主成分とす
    る焼結用粉末を充填し、かつその焼結用粉末に連続させ
    てTi基合金粉末又はTi基合金溶製体とを充填又は配
    置し、粉末を通電加圧焼結すると同時にTiAl焼結体
    とTi基合金とを接合した後、1000〜1300°C
    でTiAl合金部を押出し加工することを特徴とするT
    iAl−Ti基合金焼結接合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 TiAlとTi基合金とを接合した後、
    下部焼結用黒鉛型又は下部電極を備えた下パンチ若しく
    はダイを押出し用型に置換えるか又は該押出し用型を継
    足して押出し加工することを特徴とする請求項7記載の
    TiAl−Ti基合金焼結接合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 上パンチ若しくはダイの下面と圧粉体の
    上面及び下パンチ若しくはダイの上面と圧粉体の下面を
    電気的に絶縁して焼結することを特徴とする請求項4、
    5、7又は8のそれぞれに記載のTiAl−Ti基合金
    焼結接合体の製造方法。
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