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JP3081853B2 - 地合の良好な水流交絡不織布およびその製造法 - Google Patents

地合の良好な水流交絡不織布およびその製造法

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JP3081853B2
JP3081853B2 JP1707892A JP1707892A JP3081853B2 JP 3081853 B2 JP3081853 B2 JP 3081853B2 JP 1707892 A JP1707892 A JP 1707892A JP 1707892 A JP1707892 A JP 1707892A JP 3081853 B2 JP3081853 B2 JP 3081853B2
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fiber
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water
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JP1707892A
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恭行 奥
昌伸 松岡
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は地合が良好で、ドレープ
性、風合い、通気性および強度に優れた不織布およびそ
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、織布に代わり不織布が多くの分野
で広く用いられてきている。低コストで生産性が高いこ
とから、従来の織布の代用物としての用途、あるいは織
布では得られない性能を付与できることから、機能性不
織布としての用途が考えられる。さらに、従来、紙パル
プを素材とした分野にも不織布の機能性を生かし、高性
能材料としての供給が盛んとなってきた。
【0003】その中でも、高圧柱状水流を用い繊維を3
次元的に交絡し、織布のような風合いをもった、いわゆ
るスパンレース不織布あるいは水流交絡不織布の開発が
盛んとなり、多くの商品が上市されるに至っている。水
流交絡(スパンレース)法は、ウェブの加工方法の一つ
であるため、加工を行う前に、ウェブを供給する必要が
ある。ウェブ製造法は、カード法、エアレイ法の乾式
法、メルトブロー法、スパンボンド法、湿式抄造法等が
挙げられる。
【0004】カード法は繊維長の長い繊維を用いること
ができるが、均一なウェブ化が困難で、高圧柱状水流で
加工され、得られた不織布も、地合が悪く、透過光で観
察すると、斑模様が見られ、肌触りや風合いの点に問題
を残す。エアレイ法は、やはり繊維長の長い繊維を用い
ると地合が悪くなり、得られた不織布は、肌触りや風合
いの点に問題を残す。
【0005】スパンボンド法で得たウェブを用いると、
強度は大きいものの、地合が悪く、繊維が連続的につな
っがており、繊維の自由末端が少なく、3次元交絡に
は、大きなエネルギーを必要とし、他のウェブとの相互
交絡による複合化が困難である。メルトブロー法では、
微細な繊維のウェブ化が可能であるが、地合が悪く、生
産速度が遅く、強度が弱く、また高価であるという問題
がある。
【0006】湿式抄造法は、生産速度が上記の方法に比
べて速く、同一装置で、繊度、種類の異なる複数の繊維
を任意の割合で混合できる。すなわち、繊維の形態に
も、ステープル状、パルプ状等選択の幅は広く、用いる
ことができる繊維径も、いわゆる極細繊維から、太い繊
維まで使用可能で、他の方法に比べ極めて良好な地合の
ウェブが得られる方法である。このようなことから、極
めて応用範囲の広いウェブ形成法と考えられる。
【0007】特開平2−6651号公報に開示された方
法では繊維径7〜25μm、繊維径(D)と繊維長
(L)の比(L/D、アスペクト比)の値が800〜2
000の短繊維ウェブを高圧の柱状水流で3次元的に交
絡させた湿式不織布が開示されている。
【0008】この不織布は、これまでの湿式不織布の欠
点である、繊維長の短いことで、強度が弱いという欠点
を改善したものとして注目される。すなわち、上記のア
スペクト比の範囲の湿式ウェブを用いた水流交絡不織布
は、繊維の自由切断末端が多く、交絡時に自由に動くこ
とができる繊維が多数、存在し、均一に多数の繊維が交
絡することから、強度が発現していると述べている。
【0009】しかし、この明細書の従来の技術の中で、
水中に繊維を均一に分散させるためには一般に繊維長は
3〜7mm程度ものが要求され、繊維長が7mmを超える湿
式ウェブを加工した不織布は地合が悪いと述べている。
また、比較例2で示されているように、スラリー状態で
の繊維のもつれが、交絡後の不織布のドレープ性の低
下、強度不足の原因であるとしている。
【0010】また、同様に湿式抄造ウェブを用いた例と
して特開平3−14695号公報では、好ましい繊維長
は15mm以下と述べられているが、ここで、比較例1に
見られるように、繊維長が長くなり交絡が困難になった
というよりも、繊維がもつれやはり地合の低下が、強度
低下の原因と考えられる。
【0011】このことから、アスペクト比が大きくな
り、交絡時における繊維の動きが抑制される要因より、
地合が悪くなり繊維の動きが抑制されたため、不織布の
ドレープ性、強度等の性能が低下したと考えることがで
きる。
【0012】一方、乾式法、特にカード法によるウェブ
を用いる場合、好ましい繊維長は20〜100mmとされ
ている。カード法による場合は、適度な自由切断末端を
有する(交絡に有効に利用できる)繊維長の長い繊維を
用いることができる。そのため単に交絡による強度の他
に、繊維長が湿式法に比べ長く、一本の繊維の交絡の範
囲が広範囲に及び強度が発現していると考えられる。
【発明が解決しようとする課題】
【0013】本発明は、湿式抄造法と乾式ウェブの長所
を生かし、湿式抄造法により、地合が良好、繊維長が長
いウェブを製造し、これを用い高強度で、ドレープ性、
風合いが良好な、通気性の良い、均一な不織布を提供す
ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
につき鋭意検討した。その結果、湿式抄造ウェブから製
造され、繊度0.3デニール(以下、dと略記)以上の
繊維を含有し、これら繊維が特定のアスペクト比を有
し、3次元的に交絡し、特定の空隙径を有することで、
地合が良好で、強度、ドレープ性、風合い、通気性等に
優れた不織布が得られることを見いだした。また、湿式
抄造法により、特定のアスペクト比を有する繊維を注意
深く抄造することにより、地合の良好なウェブを製造
し、3次元交絡することで上記不織布を製造できること
を見いだした。
【0015】すなわち、本発明は、水溶性バインダーを
含む湿式抄造ウェブが単層あるいは積層され、ウェブ内
および層間の繊維が3次元交絡し、単層内あるいは層間
で実質的に剥離しない不織布において、次の条件を満足
する地合の良好な水流交絡不織布である。繊度0.3
デニール以上の繊維からなり、且つ0.3デニール以
上の繊維の内で繊維長(L)と繊維径(D)の比(L/
D、アスペクト比)が2000より大きい繊維を水流交
絡不織布の重量の10〜90重量%含有する。平均空
隙径に対する最大空隙径の値が5倍以内である。
【0016】また、繊度0.3デニール以上で、アスペ
クト比が2000以下の繊維を水中に分散した後、アス
ペクト比が2000より大きい繊維を水中に分散する
か、両者を同時に分散し、これらの繊維がもつれない
水溶性バインダーを含むスラリーを調整し、湿式抄造法
を用い抄造し、得られたウェブを、単層あるいは複数枚
積層し、また、他の不織布と積層し、支持体に載せ、
シート上方から高圧柱状水流を噴射し、繊維を3次元的
に交絡し、乾燥することを特徴とする水流交絡不織布の
製造法である。
【0017】以下、本発明の詳細な説明を行う。また、
地合の良好な水流交絡不織布を、以後本文中では、不織
布と略記する。本発明の不織布で用いられる繊維は、繊
度が0.3d以上である。さらに好ましくは0.3〜5
dである。0.3dより細いと、本発明の不織布の利用
分野から考えると強度が弱く、また、緻密で通気性が悪
くなり好ましくない。5dを超えると、繊維径が大きい
ので不織布の表面性が悪くなり好ましくない。また、後
述するが、本発明のアスペクト比の範囲では繊維長が非
常に大きなものとなってしまい、地合が良好なウェブの
抄造が困難である。
【0018】用いる繊維はアスペクト比が2000より
大きいものを特定の割合で用いることが好ましい。この
繊維以外は2000以下のものを用いる。以下、アスペ
クト比が2000より大きな繊維を高L/D繊維、20
00以下の繊維を低L/D繊維と略記する。
【0019】本発明では、高L/D繊維を不織布重量に
対し、10〜90重量%含有することが好ましい。10
重量%未満の場合、不織布の強度が弱いだけでなく、繊
維の切断末端が不織布表面に多数露出し、触感が悪くな
る。
【0020】高L/D繊維を10重量%以上含有するこ
とで、不織布の強度は大きなものとなり、触感も改善さ
れる。それは、高L/Dと低L/D繊維間の交絡のみな
らず、高L/D繊維間での交絡が充分に行われるためと
考えられる。高L/D繊維が90重量%を超えても、強
度アップの効果は10〜90重量%の範囲に比べ少な
い。低L/D繊維を10重量%以上含有させることで、
抄造が容易になることからも、高L/D繊維は10〜9
0重量%の範囲が好ましいものである。
【0021】ただし、高L/D繊維の繊維長は上記の条
件を満たす場合でも50mm以下が好ましい。50mmより
長い繊維は低L/Dの繊維と混合しても、繊維がもつれ
抄造が困難である。
【0022】高L/D繊維と低L/D繊維を用いる理由
をさらに詳細に述べる。水流交絡法による不織布の強度
は、交絡の状態と、繊維長、アスペクト比のバランスに
より決まると考えらる。しかし、乾式法の場合の交絡に
良好な繊維長が20〜100mmであることを考え合わ
せ、本発明の繊維長、アスペクト比の範囲であれば、繊
維長が長い方、アスペクト比が大きい方が、不織布の強
度は大きくなる。この繊維長の範囲で、繊維長がアスペ
クト比が大きくなったにもかかわらず、強度が低下する
原因としては、ウェブの地合の低下が挙げられる。
【0023】一般的に、繊維長が短いほど、繊維の自由
末端が多く、繊維間の絡みは多くなるが、繊維が短いた
め、交絡できる繊維は、その繊維の極近くの繊維に限ら
れる。逆に繊維長が長くなると、自由末端は少なくなる
が、繊維長が長いため、交絡可能な繊維の範囲が広い。
このように、交絡の度合は、繊維長と自由末端に左右さ
れる。しかし、乾式のウェブでは、20mm以上の繊維長
が有効なことから、繊維の自由末端の数の差による強度
差よりも繊維長の差による強度差の方が大きいと思われ
る。
【0024】また、この他に、交絡時に繊維が動きやす
い方が、交絡がより容易で、発現する強度も大きなもの
となる。この繊維の動きやすさは、繊維のアスペクト比
のみならず、ウェブの繊維配列、すなわち地合に大きく
影響されると考えられる。すなわち、アスペクト比が2
000を超えるようなものであっても、地合の良好なウ
ェブをもってすれば、さらに良好な不織布が得られるの
である。反対に地合の悪いウェブは、繊維の動きが抑制
されるため、繊維長の割には強度が発現しないのであ
る。
【0025】以上の理由から、アスペクト比が2000
以下の繊維のみからなる場合、用いる繊維の繊維長が短
いため、地合の良好さである程度の強度の不織布は得ら
れるものの、十分とは言えない。2000より大きな繊
維、すなわち高L/D繊維を含有させるとより優れた不
織布が得られると考えられる。
【0026】しかしながら、アスペクト比が5000を
超えるもの、あるいは繊維長が50mmを超えるものは、
現在の技術レベルでは、湿式抄造が困難で、ウェブの地
合が悪くなり、繊維の自由な動きが抑制され、交絡が強
固に行えない。このような交絡の弱い部分があるため、
逆に強度が低下するだけでなく、交絡むらにより不織布
の均一性がそこなわれ、地合が低下することで、風合
い、ドレープ性等が劣ったものとなる。
【0027】本発明では、高L/D繊維に、低L/D繊
維を含有させることで、強度が大きく、地合が良好な水
流交絡不織布が得られることが見いだされた。高L/D
繊維だけを分散することは可能ではあるが、繊維がもつ
れないよう、離解分散に注意を払う必要がある。すなわ
ち、離解中に繊維に与えるシェア、分散後の撹拌状態に
注意しなくてはならないし、分散濃度を低下させる必要
があった。
【0028】本発明では、高L/D繊維に低L/D繊維
を特定の割合で混合させることで、高L/D繊維がもつ
れにくくなり、分散が容易になるだけでなく、分散状態
が安定し、地合の良好なウェブの製造が可能になった。
このウェブを用いた水流交絡不織布は、地合が良好であ
り、強度も大きなものが得られるのである。すなわち、
低L/D繊維を用いることで分散濃度がアップすること
ができるだけでなく、低L/D繊維が高L/D繊維の繊
維間に入り込み、分散状態が安定するという効果もあ
る。また、低L/D繊維が含有されていても、本発明の
範囲であれば強度が、大きい不織布が得られるのであ
る。
【0029】本発明で用いる繊維としては、ポリエステ
ル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリ
ル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ナイロン繊
維、ウレタン繊維等の有機合成繊維、また、再生繊維、
半合成繊維、天然繊維等の繊維が挙げられる。
【0030】ポリエステル系繊維とは、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、これらポ
リマーの変性ポリマー等のホモポリマーおよびコポリマ
ーからなる繊維をいう。
【0031】ポリオレフィン系繊維とは、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリスチレン、これらの変性ポリマ
ー等のホモポリマーおよびコポリマーからなる繊維等、
ポリアクリロニトリル系繊維とは、アクリル繊維、モダ
クリル繊維等、ポリビニルアルコール系繊維とはポリビ
ニルアルコールからなる繊維等、ナイロン繊維とは、ナ
イロン6、ナイロン66等のポリマーからなる繊維をい
う。
【0032】半合成繊維とはアセテート繊維等の繊維、
再生繊維とは、レーヨン等の再生セルロース繊維やコラ
ーゲン、アルギン酸、キチン質等を溶液にしたものを紡
糸したものをいう。天然繊維とは、麻、コットン等のセ
ルロース系繊維、羊毛、絹等の蛋白質系繊維をいう。
【0033】また本発明で用いる繊維の断面形状は、
円形、楕円形のみならず三角、Y型、T型、U型、星
型、ドッグボーン型等いわゆる異型断面形状をとるもの
であってもよい。
【0034】本発明で用いる繊度0.3d以上の繊維
は、比較的剛性が低いもののほうが繊維が動き曲がり捻
れやすく、交絡が容易である。アスペクト比の小さな繊
維の場合、比較的剛性の大きな繊維は、繊維は動くもの
の、繊維を曲げたり捻れさせることが困難で、繊維の交
絡より、ウェブから脱落する傾向が大きく、交絡には不
向きである。
【0035】しかし、高L/D繊維は、剛性が大きな繊
維でも、曲げることが可能で、より高い水圧で交絡を行
えば交絡は可能である。また、高L/D繊維を含有させ
たウェブでは低L/D繊維の脱落が抑制されるという予
想外の効果もある。交絡の過程で、溶出あるいは接点が
外れるようなバインダー成分で繊維を固定したウェブを
用いると、交絡はより高い水圧で行うことが可能にな
る。
【0036】当然、以上の繊維以外に、本発明で限定さ
れた以外の繊維を不織布内に少量含有させることは可能
であるが、本発明の不織布の性能を阻害する範囲であっ
てはならない。
【0037】次に本発明の不織布の空隙径につき説明を
行う。空隙径はASTM F-316記載のバブルポイント法およ
びミーンフローポイント法により、最大空隙径、平均空
隙径として測定される。
【0038】平均空隙径と最大空隙径を比較すること
で、不織布の均一さを評価することができる。交絡の度
合により、これら空隙径は変化する。例えば、交絡が強
固に行なわれると、これらの空隙径は小さくなり、逆に
交絡が弱いと、空隙径は大きくなる。すなわち、地合、
坪量のふれに起因する交絡のむらがあると、空隙径の分
布範囲は広くなるのである。空隙径の平均が特定の値を
示したからといって、交絡が有効に行われたと判断する
ことはできない。よって、平均空隙径と最大空隙径の差
が小さいほど、不織布は均一で、言い換えれば交絡が均
一に行われていると考えることができる。
【0039】平均空隙径に対して最大空隙径が5倍以内
の範囲であることで、繊維の交絡が均一に行なわれたこ
とが確認される。最大空隙径が平均空隙径の5倍を超え
ると、不織布が均一性を欠き、地合が悪く、交絡にむら
があり、不織布の強度が劣り、不織布のドレープ性、肌
触りが劣ったものとなる。このように、不織布の最大、
平均空隙径を測定することで交絡状態、不織布の地合、
均一性だけでなく、これらに由来する肌触り、ドレープ
性の評価が可能になる。
【0040】次に本発明の不織布の製造方法につき説明
を行う。本発明で用いる繊維は、アスペクト比が大き
く、離解、分散工程で、繊維がもつれないよう特に注意
を払う必要がある。前に述べたように、湿式抄造し得ら
れたウェブでの繊維のもつれによる地合の低下は不織布
の性能に大きく影響を及ぼす。
【0041】本発明の方法では、低L/D繊維を用いる
ため、高L/D繊維のみを用いた場合より、繊維の分散
性が改善されている。すなわち、アスペクト比の小さい
繊維が、大きな繊維の間に入り、これらの繊維がもつれ
るのが抑制されると考えられる。低L/D繊維が、一種
の緩衝剤のような役目を果たしていると考えられる。こ
のため、初期分散のみならず、スラリーの分散状態が安
定して良好に保たれているのである。
【0042】高L/D繊維の離解が比較的容易な場合
は、繊維の水中への混合順に特に制限はないが、離解が
困難で、繊維がもつれやすい場合は、よりアスペクト比
の小さい繊維のほうから順に投入する方が、繊維がもつ
れにくい。先に分散した、低L/D繊維が、離解し分散
しようとする高L/D繊維間隔に順次入るためと考えら
れる。
【0043】また、繊維を離解する前に予め水溶液中に
分散剤を均一に分散する方法や、1%程度の分散剤の溶
液中に繊維を予め浸しておくことが、繊維の離解を促進
する上で、好ましく、また、離解後のもつれを防止する
上で効果的である。離解、分散は回転式の物を用いるこ
とが可能である。このとき、回転物の羽に注意する必要
がある。羽は繊維が絡んで、まとわりつき易い部分であ
るので、アスペクト比の小さい繊維を分散するときよ
り、肉厚タイプのものが好ましい。さらに最も繊維長の
大きい繊維の繊維長に対し、1/3以上の厚みをもち、
丸みを帯びたものが好ましい。
【0044】撹拌については、繊維がもつれないために
も、離解のための撹拌は速やかに行うことが好ましい。
もし、短時間の撹拌では繊維の離解が不十分な場合は瞬
間的に撹拌速度を速め、未離解の繊維束に衝撃を与え、
離解を促進する方法が好ましい。あくまで撹拌速度は一
時的に速めるだけで、撹拌時間が長くなると繊維間での
結束が形成され好ましくない。一度で離解がなされない
ときは、撹拌の速度を緩やかにした後、再び短時間撹拌
を速めるという工程を繰り返す方法が好ましい。さら
に、未離解繊維に断続的にシェアを与える目的で、ビー
ターで短時間処理するのも効果がある。
【0045】次に離解した繊維を分散する場合、繊維の
もつれを防ぐため、繊維の分散を保持し、できるだけ緩
やかな撹拌のもとに行う。予め離解したスラリーを、必
要であれば、さらに水を加えで濃度を下げ、ついで速や
かに粘剤を加え分散を保持する。この間、撹拌は前述し
た通りできるだけ緩やかに行う。このようにして、均一
に分散したスラリーを調製するが、ここで言う均一と
は、撹拌中に繊維のもつれや凝集(フロック)が実質的
に見られない状態を指す。
【0046】このように調製したスラリーを湿式抄造法
を用い抄造し、ウェブを形成させることができる。この
ウェブを、連続的に高圧水流で3次元交絡しても良い。
また、ウェブにバインダーを付与し、抄造後、乾燥し、
いったん巻取った後、3次元交絡を行っても良い。バイ
ンダー付与の場所は、繊維状のものであればスラリー
中、液状のものであれば抄造後、乾燥する前に付与する
方法が好ましい。ウェブの乾燥方法は、ヤンキードライ
ヤー、多筒式のシリンダードライヤー、エアードライヤ
ー等を用い、通常の乾燥法で乾燥することができる。
【0047】ここで、用いるバインダーとは、液状、繊
維状のものがある。繊維状のものとしては、主体となる
繊維との絡みを利用したもの、繊維との接着性を利用し
たものがある。
【0048】液状のものについては、交絡の過程で溶解
するものが好ましい。よって、水溶性のものが好まし
い。また、これらの水溶性バインダーを繊維状にし、主
体繊維とともに抄造する方法も好ましい方法である。液
状のバインダー付与量は、シート重量に対し、1〜10
重量%が好ましい。1重量%より少ないと、シート強度
が弱く、10重量%より多いと、繊維間の接着が強すぎ
て、接着を切断し、新たな3次元交絡を行うことが困難
である。そのため、積層を行ったとき、層間での交絡も
弱く、層間剥離が生じる。
【0049】繊維状のバインダーは、交絡の過程で、主
体となる繊維との結合が離れ、新たに3次元交絡が発現
するものが好ましい。
【0050】そのためにバインダーの付与量は、接着性
のものの場合は、シート重量に対し3〜20重量%が好
ましい。3重量%より少ないと、抄造後の強度が得られ
ない。20重量%を超えると、繊維の動きが抑制され、
交絡が強固に行うことができない。また、積層後、層間
剥離が生じる。
【0051】繊維との絡みを利用するものの場合は、構
造が枝分れ状の構造をとり、枝分れ部分が、本発明の主
体繊維の繊度、アスペクト比をとる場合、量に制限はな
いが、この範囲を外れる場合はやはり、3〜20重量%
の範囲が好ましい。
【0052】バインダーを用いたシートを交絡する場
合、この工程で、地合が乱れることはなく、地合が良好
な不織布が得られる。おそらく、接着が離れると即座に
交絡が行われるためと推測される。
【0053】このようにして得られたウェブあるいはシ
ートを用い、高圧柱状水流で3次元交絡を行う。交絡方
法は、ウェブあるいはシートを単層あるいは複数枚積層
し、50〜200メッシュ程度の支持体上に載せ、上方
から水流を噴射し、繊維の3次元交絡を行う。
【0054】以下に交絡を強固にかつ目的に応じ適正に
行うための条件を述べる。水流を噴射するためのノズル
の径は10〜500μmの範囲が好ましい。ノズルの間
隔は10〜1500μmが好ましい。
【0055】これらのノズルは抄造方向に対し、直交方
向は加工を行うシートの幅をカバーする範囲が必要で、
抄紙方向に対しては、ウェブの種類、坪量、加工速度、
水圧を考慮し、十分な交絡が得られる範囲でノズルヘッ
ドの数を変え、用いることができる。また、交絡回数も
任意に選ぶことができる。
【0056】水圧は10〜250kg/cm2の範囲で用い
ることが好ましい。さらに好ましくは50〜250kg/
cm2の範囲である。10kg/cm2未満では十分な繊維の交
絡は得られない。250kg/cm2より大きいとウェブか
らの繊維の脱落が著しく、シートの破損が生じる。ただ
し、坪量の大小、繊維の剛性の大小で、交絡する水圧の
上限が変化することを付け加え述べでおく。本発明の条
件では、坪量が50g/m2以上の場合、少なくとも1列
以上のノズルから140kg/cm2の圧力で交絡を行うこ
とが強度の面から効果があった。
【0057】ウェブの搬送速度は5〜200m/分の範
囲で用いることが可能である。搬送速度が遅いと、ウェ
ブに当たる水流でウェブが破損する可能性があり、ま
た、生産効率上好ましくない。搬送速度が速すぎると、
ウェブに交絡に必要なエネルギーを与えることができな
いため、交絡を強固に行うことができない。
【0058】ノズルを段階的に並べ、水圧を加工初期か
ら終盤にかけて順次圧力を上げて行くことで、ウェブに
与えるダメージを少なくし、交絡を適正に行うことがで
きる。また、面質が向上する点からも好ましい。同様
に、ノズル径またはノズル間隔を、もしくは両方を順次
小さくすることは、交絡を適正に行うことができ、不織
布の面質が向上する点から好ましい。
【0059】また、ノズルのヘッダーを回転運動させる
こと、左右に振動させること、あるいはウェブの支持ワ
イヤーを左右に振動させることで、さらに面質を改良す
ることができる。さらに、交絡後、ノズルとウェブの間
に40〜100メッシュの金網を挿入し、柱状水流を散
水化しウェブに噴射することでも面質改良を行うことが
できる。
【0060】交絡方法は片面のみ、あるいは両面交絡を
行うことができる。また、交絡を行った後、さらにウェ
ブ等を積層し、交絡を行うことも可能である。
【0061】このようにして得られ三次元交絡処理を施
されたウェブは、交絡中あるいは交絡後に、余分な水分
を吸引あるいはウェットプレスなどの方法で取り除いた
後、エアードライヤー、エアースルードライヤー、ある
いはサクションドラムドライヤー等を用い、乾燥を行う
ことができる。
【0062】さきに述べた繊維状バインダーを含有する
不織布は、強度を向上させる目的で、バインダー成分の
融点以上の温度で乾燥させることもできる。また、交絡
後のウェブに全面あるいは部分的に熱と圧力を加えるこ
とでも同様の効果がある。ただし、より柔らかい不織布
を得る必要がある場合は、バインダーの融点以下で乾燥
させることが必要である。
【0063】当然、該不織布に乾式不織布などの他の不
織布、パルプシート、本発明の請求項から外れる繊維を
含有する湿式不織布等を片面、両面、サンドイッチで交
絡することは可能であるが、本発明の目的を阻害する範
囲であってはならないのは言うまでもない。
【0064】以上のような方法で得られた、本発明の地
合の良好なスパンレース不織布は折り曲げ加工、樹脂含
浸加工、撥水加工等の後加工を施すことが可能で、これ
により新たな性能を付与することができる。
【0065】本発明の不織布の用途としては、医療、衛
生材料用が考えられる。ドレープ性に富み、ソフトで肌
触りが良く、繊維径、交絡水圧、支持体を変えること
で、空隙径をコントロールできる。また、パルプ層を積
層することでバリヤー性を付与でき、マスク、サージカ
ル用ガウン等の用途に好適である。
【0066】また、通気性が良いことから、液体用、気
体用のプレフィルターとしての用途に好適である。
【0067】さらに、風合いが良いこと、地合が良いこ
とから合成皮革用の基材としての用途に好適で、弾性高
分子を含浸することも可能である。また、3次元交絡時
に、繊度が微細ないわゆる極細繊維からなるウェブを積
層し、交絡を行うことで、高級なスエード調人工皮革の
基材としての用途に好適である。以上、本発明の不織布
の利用の一例を示したが、用途はこれらに限定されるも
のではないことを述べておく。
【0068】
【作用】本発明の不織布は、地合の良好な湿式ウェブを
用い、かつ特定の大きなアスペクト比を有し、さらに、
特定の空隙径を有するものである。地合が良好なので交
絡が均一に行われており、繊維長が長いので、非常に大
きな不織布強度を有している。また、地合が均一なこと
から、肌触りがよく、風合い、通気性、強度に優れた、
従来の不織布では得られなかった良好な不織布である。
【0069】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
実施例において記載の部、%はすべて重量によるもので
ある。
【0070】実施例で示された厚みは、見かけ上の厚み
を測定した。引張強度は幅20mm、長さ150mmの試料
を、スパン100mm、速度200mm/分で試料を引っ張
ったときに、試料が破断するまでの最大荷重値で、縦方
向(ウェブが搬送された方向)、横方向(搬送に対し直
角方向)を測定した。剛軟度はJIS−L1096に記
載された45度カンチレバー法を用い測定し縦横の平均
値を示した。
【0071】通気性として、JIS−B9908の形式
1により風速5.3cm/秒で測定した圧力損失を求め
た。また、不織布の空隙径はASTM−F−316記載
のバブルポイント法およびミーンフローポイント法によ
り最大空隙径(MAX)、平均空隙径(MFP)を求めた。
【0072】また、不織布の地合は、透過光にかざした
ものを目視により、◎が大変良い、○良い、△やや悪
い、×悪いの4段階で評価した。不織布の触感は手触り
および少し揉んで見て、手に引っかかりや、違和感の程
度により判断した。◎が大変良い、○良い、△やや悪
い、×悪いの4段階で評価した。
【0073】実施例1 高L/D繊維として繊度1.5d、繊維長29mmのポリ
エチレンテレフタレート(PET)繊維(繊維径12μ
m、L/D=2.4×103)85部、低L/D繊維とし
て、同じ繊度で繊維長20mmのPET繊維(L/D=
1.7×103)15部を1%ノニオン系分散剤溶液中
に含浸した。ついで熱水可溶性ポリビニルアルコール
(PVA)繊維(VPW107−1、クラレ社製、熱水
で溶解後、水に再溶解する温度は20℃)3部をパルパ
ー中で分散し、往復反転式撹拌機(アジター、島崎製作
所製)を装備したチェストに移した。
【0074】分散剤中に含浸したPET繊維のうち、低
L/D繊維をパルパーに移し、水を加えた後、短時間高
速撹拌し、繊維の束の離解を行った。ついで、高L/D
繊維を投入し、同様に離解を行った。このスラリーをチ
ェストにうつし、さらに水を加え、アジターで緩やかに
撹拌しながら、超高分子ポリアクリルアミド0.1%溶
液(粘剤)を混合した。このようにして、均一なスラリ
ーを調整した。該スラリーを用い、円網抄紙機で幅50
cm、坪量41g/m2のウェブ抄造し、ヤンキードライヤ
ーを用い110℃で乾燥を行った。
【0075】該シートを2枚積層し、ノズルヘッドを3
ヘッド用い柱状水流で交絡を行った。第1ヘッドのノズ
ルはノズル径120μm、ノズル間隔0.6mm、2列で
水圧80kg/cm2、第2ヘッドはノズル径120μm、ノ
ズル間隔0.3mm、1列で水圧140kg/cm2、第3ヘ
ッドはノズル径100μm、ノズル間隔0.3mm、1列
で水圧150kg/cm2である。
【0076】積層シートを強化ポリエステル製で平織り
の100メッシュの支持体上に積載し、水中にサチュレ
ートした後、上記の水流下、積層シートを通過させ、繊
維を強固に交絡させた。交絡後のシートを反転し、裏面
にも同様の処理を行った。但し、水圧は第1ヘッドから
順に140、150、80kg/cm2で行った。交絡の速
度は15m/分で行った。この交絡ウェブをサクション
スルードライヤーを用い、110℃で乾燥を行い、不織
布を得た。得られた不織布は実質的に無孔であった。
【0077】実施例2 高L/D繊維として繊度1.5d、繊維長38mmのPE
T繊維(繊維径12μm、L/D=3.2×103)60
部、低L/D繊維として、同じ繊度で繊維長10mmのP
ET繊維(L/D=0.8×103)40部を用い、実
施例1と同様の方法で、不織布を製造した。結果を表1
に示す。
【0078】実施例3 高L/D繊維として繊度1.5d、繊維長45mmのPE
T繊維(L/D=3.8×103)15部、低L/D繊
維として同じ繊度で、繊維長10mmのPET繊維(L/
D=0.8×103)70部と繊維長20mmのPET繊
維(L/D=1.7×103)15部を用い、実施例1
と同様の方法で、不織布を製造した。但し、繊維分散の
順番は繊維長10mm、20mm、45mmの順に行った。結
果を表1に示す。
【0079】実施例4 高L/D繊維として繊度0.4d、繊維長20mmのPE
T繊維(繊維径6.5μm、L/D=3.1×103)5
0部、低L/D繊維として、同じ繊度で繊維長10mmの
PET繊維(L/D=1.5×103)50部を用い、
実施例1と同様の方法で、不織布を製造した。結果を表
1に示す。
【0080】実施例5 高L/D繊維として繊度0.4d、繊維長30mmのPE
T繊維(繊維径6.5μm、L/D=4.6×103)2
0部、低L/D繊維として同じ繊度で繊維長5mmのPE
T繊維(L/D=0.8×103)80部を用い、実施
例1と同様の方法で、不織布を製造した。結果を表1に
示す。
【0081】実施例6 高L/D繊維として、繊度4d、繊維長45mmのPET
繊維(繊維径20μm、L/D=2.5×103)50部
と、低L/D繊維として繊度0.4d、繊維長10mmの
PET繊維(L/D=1.5×103)50部を用い、
実施例1と同様の方法で不織布を製造した。結果を表1
に示す。
【0082】実施例7 実施例1と同じ配合で、離解分散を肉厚20mmで丸刃の
羽を装着したベルマー型チェストを用い行った。繊維が
十分に離解したことを確認し、その後、撹拌速度を落
し、粘剤を投入し均一な分散状態を保持した。実施例1
と同様の方法で不織布を得た。結果を表1に示す。異な
る分散方法でも良好な不織布が得られた。
【0083】比較例1 繊度1.5d、繊維長38mmのPET繊維(繊維径12
μm、L/D=2.4×103)を、カードを用いウェブ
を形成後、クロスラッパーを用い製造したウェブを実施
例1と同じ条件で交絡を行い、不織布を製造した。結果
を表1に示す。 縦横比の少ない、不織布を得ることが
できたが、同じ繊維長の、湿式ウェブを用いたものに比
べると、地合は悪く、触感も所々ごつごつした所が見ら
れた。これらは坪量にむらがあるためと考えられる。ま
た、試料片の間の強度差も大きいものであった。
【0084】比較例2 繊度1.5d、繊維長38mmのPET繊維(繊維径12
μm、L/D=3.2×103)5部、繊維長1.5d、
繊維長10mmのPET繊維(L/D=0.8×103
95部を用い、実施例1と同様の方法で、不織布を製造
した。結果を表1に示す。表に示されているように、L
/Dが小さく、繊維が短いため、繊維が脱落し、坪量の
減少が大きく、交絡が不十分で、強度が大きい不織布は
得ることができなかった。また、繊維の自由末端が不織
布表層に現れたのが原因と考えられる、ちくちくとした
感じがあった。
【0085】比較例3 繊度0.1d、繊維長5mmのPET繊維(繊維径3μ
m、L/D=1.7×103)を用い、実施例1と同様の
方法で、不織布を製造した。結果を表1に示す。 繊維
径が細く、L/Dが小さいため強度が小さい。また、圧
力損失が大きく、本発明の目的とするところの不織布を
得ることができなかった。
【0086】
【0087】
【0088】
【表1】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】実施例 高L/D繊維として繊度0.5d、繊維長20mmのポリ
プロピレン(PP)繊維(繊維径8.8μm、L/D=
2.3×103)70部、低L/D繊維として同じ繊度
で、繊維長10mmのPP繊維(L/D=1.1×1
3)30部を用い、実施例1と同様の方法で、不織布
を製造した。結果を表に示す。
【0093】実施例 高L/D繊維として繊度0.5d、繊維長20mmのアク
リル(AN)繊維(繊維径8μm、L/D=2.5×1
3)20部、低L/D繊維として同じ繊度で繊維長1
5mmのAN繊維(L/D=1.9×103)20部と繊
維長7mmのAN繊維(L/D=0.9×103)20
部、同じ繊度で繊維長5mmのAN繊維(L/D=0.6
×103)20部を用い、実施例1と同様の方法で、不
織布を製造した。結果を表に示す。
【0094】実施例1 高L/D繊維として繊度1.5d、繊維長25mmのレー
ヨン繊維(繊維径12μm、L/D=2.1×103)1
5部、低L/D繊維として同じ繊度で繊維長10mmのレ
ーヨン繊維(L/D=0.83×103)85部にさら
にPVA繊維(VPW107−1)3部を水中に加え、
高分子ポリアクリルアミド(粘剤)0.1%溶液を添加
し、なぎなた式のビーターを用い、繊維の離解分散を行
った。さらに、このスラリーをアジターを装着したチェ
ストに移し、さらに水で希釈し、粘剤を加え、分散状態
を保った。実施例1と同様に抄造、乾燥し、得られたシ
ートを2枚積層し、交絡を行い、不織布を得た。結果を
に示す。
【0095】比較例 繊度1.5d、繊維長38mmのレーヨン繊維からなる4
0g/m2のカードウェブを2枚積層し、実施例1と同じ
条件で交絡を行った。結果を表3に示す。カードウェブ
で得られたウェブは地合が悪く、その結果、強度、ドレ
ープ性、触感が、湿式のウェブを用いたものより劣って
いた。
【0096】
【表2】
【0097】実施例1 繊度3d、繊維長5mmでポリエチレン、ポリプロピレン
からなる分割性繊維(DF−2、大和紡社製、16分割
可能、分割後の繊維径5〜6μm)をノニオン性の分散
剤を用い、パルパーで攪拌し分割させ、坪量41g/m2
のウェブを抄造した。このシートと実施例10のPP繊
維の41g/m2のウェブを積層し、実施例1と同様の方
法で交絡を行った。交絡は分割繊維の層から行った。こ
の不織布を用い分割繊維の側で、手垢で汚れた眼鏡のレ
ンズを拭いた。汚れはきれいに落ち、レンズに傷も全く
見られない。繊維の脱落も見られなかった。また、中性
洗剤で洗浄後も再使用可能であった。
【0098】実施例1 実施例4で得られた湿式抄造ウェブを3枚積層し、実施
例1と同じ条件で坪量120g/m2の不織布を得た。こ
の不織布に30%DMF溶液のポリウレタンエラストマ
ーに黒色顔料をポリウレタン残さ量に対し3%加え、ナ
イフコーター20g/m2になるよう、コーティングし、
乾式凝固し、銀面調の合成皮革を得ることができた。弾
力性に富み、触感に優れており、天然皮革調の光沢が発
現した。
【0099】
【発明の効果】特定の繊維径、一定値より大きいアスペ
クト比を有する繊維を特定の割合以上含有し、これらの
繊維が3次元的に交絡し、特定の空隙径を有すること
で、地合が良好で、ドレープ性、触感に優れ、強度が大
きい不織布を得ることができる。さらに特定の繊維長の
繊維を用いることがさらに好ましい。アスペクト比や繊
維長がたとえ本発明の範囲であっても、地合が良好でな
いものは、空隙径の範囲からはずれ、ドレープ性、触
感、強度も劣ったものとなる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性バインダーを含む湿式抄造ウェブ
    が単層あるいは積層され、ウェブ内および層間の繊維が
    3次元交絡し、単層内あるいは層間で実質的に剥離しな
    い不織布において、次の条件を満足する地合の良好な水
    流交絡不織布。繊度0.3デニール以上の繊維からな
    り、且つ0.3デニール以上の繊維の内で繊維長
    (L)と繊維径(D)の比(L/D、アスペクト比)が
    2000より大きい繊維を水流交絡不織布の重量の10
    〜90重量%含有する。平均空隙径に対する最大空隙
    径の値が5倍以内である。
  2. 【請求項2】 繊度0.3デニール以上で、アスペクト
    比が2000以下の繊維を水中に分散した後、アスペク
    ト比が2000より大きい繊維を水中に分散するか、両
    者を同時に分散し、これらの繊維がもつれない、水溶性
    バインダーを含むスラリーを調整し、湿式抄造法を用い
    抄造し、得られたウェブを、単層あるいは複数枚積層
    し、また、他の不織布と積層し、支持体に載せ、シー
    ト上方から高圧柱状水流を噴射し、繊維を3次元的に交
    絡し、乾燥することを特徴とする水流交絡不織布の製造
    法。
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