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JP3074160B2 - 悪性腫瘍用画像化剤 - Google Patents

悪性腫瘍用画像化剤

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Publication number
JP3074160B2
JP3074160B2 JP10024453A JP2445398A JP3074160B2 JP 3074160 B2 JP3074160 B2 JP 3074160B2 JP 10024453 A JP10024453 A JP 10024453A JP 2445398 A JP2445398 A JP 2445398A JP 3074160 B2 JP3074160 B2 JP 3074160B2
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JP
Japan
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chelator
solution
antibody
conjugate
concentration
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JP10024453A
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デイビッド・ケイ・ジョンソン
パトリック・イー・ロジャーズ
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Abbott Laboratories
Original Assignee
Abbott Laboratories
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Publication date
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Application filed by Abbott Laboratories filed Critical Abbott Laboratories
Publication of JPH10330289A publication Critical patent/JPH10330289A/ja
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般に種々の診断およ
び治療技術に有用な抗体および抗体断片の金属結合結合
体に関する。とりわけ本発明は、放射性金属/キレータ
ー/抗腫瘍抗体結合体の水溶液を用いた悪性腫瘍の画像
化剤に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近
年、放射性同位体および他の金属イオンとモノクローナ
ル抗体との結合体からなる医薬を得ようとする努力の中
で重大な進歩がなされてきている。モノクローナル抗体
が選択された抗原性エピトープに極めて特異的に結合す
ることができることにより、特定の金属イオンを標的の
組織に選択的に向けることができる手段が提供される。
放射性同位体金属イオンと、腫瘍や他の疾患関連抗原に
選択的に結合することができるモノクローナル抗体との
結合体は、癌などの病的状態の診断および治療のための
診断画像化および放射線治療に用いるのにとりわけ有用
である。
【0003】抗体/金属イオン結合体を細胞毒性放射線
の治療学的送り出し(delivery)のために用いる場合に
は、金属は一般にイットリウムのようなβ粒子放出体か
ら選択する。オーダー(Oder)らのInt.J.Radiation
Oncology Biol.Phys.,12、277〜81(198
6)には、90イットリウムをキレート化した抗フェリチ
ンポリクローナル抗体を用いた肝細胞癌の治療が記載さ
れている。ブックスバウム(Buchsbaum)らのInt.J.N
ucl.Med.Biol.,Vol.12、No.2、79〜82頁(1
985)には、CEAに対するモノクローナル抗体を88
イットリウムで放射標識することが開示されており、こ
れを用いて結腸直腸癌を位置決めし治療する可能性が示
唆されている。ニコロッティ(Nicolotti)らのEPO出
願第174,853号明細書(1986年3月19日公
開)には、金属イオンと抗体断片とからなる結合体が開
示されている。その開示によれば、サブクラスIgGの
モノクローナル抗体を酵素的に処理してFc断片を除
き、H鎖を結合しているジスルフィド結合を還元的に開
裂する。ついでインビボの診断または治療に使用するた
めに、放射性核種金属イオンに結合させたキレート化剤
にFab'断片を結合させる。
【0004】抗体結合体を診断的放射性画像化(ラジオ
イムノシンチグラフィー)の目的に用いる場合には、γ
線放出性放射性同位体を選択するのが好ましい。ゴール
デンバーグ(Goldenberg)らのN.Eng.J.Med.,29
、1384〜88(1978)には診断的画像化実験が
開示されており、そこでは知られた腫瘍関連抗原である
癌胎児性抗原(CEA)に対する抗体を131ヨウ素で標識
し、これを癌患者に注射している。48時間後、患者を
γシンチレーションカメラでスキャニングし、γ線の放
出パターンにより腫瘍の位置決めを行っている。ガンソ
ー(Gansow)らの米国特許第4,454,106号明細書
には、インビボ放射性画像化診断法にモノクローナル抗
体/金属イオン結合体を用いることが開示されている。
【0005】ガンソーらの米国特許第4,472,509
号明細書には、放射性金属をモノクローナル抗体に結合
させるためにジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)キ
レート化剤を用いることが開示されている。この特許は
とりわけ、非結合および不定に(adventitiously)結合し
た(キレート化していない)、すなわち非キレート結合に
より結合した金属を放射性医薬から除くための精製技術
に関するものであるが、放射性同位体医薬の調製のため
の技術分野で認識された手順の説明となる。そのような
一般的な手順によれば、標的組織関連抗原に特異的に反
応する抗体を、タンパク質結合官能性および金属結合官
能性を有する選択された多量の2官能性キレート化剤と
反応させてキレーター/抗体結合体を得ている。抗体を
キレーターと結合させる場合に過剰量のキレート化剤を
抗体と反応させるが、その特定の比は試薬の性質および
抗体当たりのキレート化剤の所望の数により異なる。ガ
ンソーらは、キレーターの抗体に対する比が100:1
〜600:1であることが、1分子当たりに約0.5〜
1.5個のキレート化剤を結合させるためのシステムに
特に有用であることを開示している。しかし、該文献で
はまた、抗体の免疫活性に悪影響を与えないように、1
抗体当たり余りにも多くのキレーターを加えないよう注
意しなければならないと忠告されている。キレーターを
抗体に結合させた後、反応混合物を精製して過剰の分解
キレーターを除く。ガンソーらの文献には、ゲル樹脂
(1ml)とともにクエン酸塩(50mM)および塩化ナト
リウム(200mM)を含む溶液を3回代えたものに対し
て48時間にわたり透析することにより結合体混合物を
精製することが開示されている。該文献にはまた、任意
の第一透析工程が開示されており、この工程は、「キレ
ートまたはタンパク質上に存在しているかもしれない残
留鉄を除くために」アスコルビン酸(30mM)およびエ
チレンジアミン四酢酸(EDTA)キレート化剤(5mM)
の希釈溶液に対して行ってよい。
【0006】ついで精製キレーター/抗体結合体は、活
性金属標識に結合させるかまたは後で使用するときまで
貯蔵しておく。金属標識の溶液は、知られた方法に従っ
て放射性同位体発生剤または促進剤などから得ることが
できる。ついで金属キレート化は、抗体の生物活性また
は特異性を損なわないように一般に約3.2〜約9の範
囲のpHの水溶液中で行う。クエン酸やグリシンのよう
な弱キレート化酸および塩基は、バッファーとして用い
る。金属イオンは一般に金属のハロゲン化物、硝酸塩ま
たは過塩素酸塩のような金属塩のかたちで導入される
が、塩化物が特に好ましい。該文献はまた、金属塩は実
行可能な限りできるだけ高い濃度で使用すると示唆して
いるが、また放射性の金属を用いるときには健康および
安全性の点での考慮からキレート結合部位当たり1金属
当量未満の金属濃度を使用することを勧めている。
【0007】ガンソーらは、一般にこうして調製した金
属イオン/キレーター/抗体結合体は、遊離のおよび非
キレート結合により結合した金属を除くためにインビボ
での投与に先立って精製する必要があると述べている。
その特許には、イオン交換とゲル濾過クロマトグラフィ
ーとの組合わせを含む種々の方法が開示されている。好
ましい手順には、結合体を含有する水溶液を2層クロマ
トグラフィーに通すことが含まれ、この2層のうち第一
の層はアニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂およびキレ
ートイオン交換樹脂よりなる群から選ばれたものであ
り、第二の層はサイジングマトリックスである。そのよ
うな手順からは、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン
酸(MES)(20mM)および塩化ナトリウム(200m
M)からなるバッファー(pH6.0)に対して透析したと
きにインジウム損失が6%未満である溶液が得られる。
【0008】抗体および抗体断片を金属キレート化残基
で共有結合的に標識することについて、上記開示の一般
法の多くの変法が知られている。そのような方法には、
標識が、クレジュカレク(Krejcarek)らのBiochem.Bi
ophys.Res.Commun.,77、581(1977)に開示さ
れているように混合酸無水物により行なわれるもの、フ
ナトビッチ(Hnatowich)らのJ.Immunol.Methods、
、147(1983)に開示されているように2環式無
水物により行なわれるもの、またはパックストン(Paxt
on)らのCancer Res.,45、5694(1985)に開
示されているように活性エステルにより行なわれるもの
が含まれる。
【0009】そのような金属キレート標識抗体は種々の
研究において患者に投与され、ある種の特性がヒトにお
けるこれらの結合体の所作の特徴として技術分野におい
て認識されるに至っている。最も一般的に観察されてい
ることは、金属キレート標識抗体が、131ヨウ素のよう
な非金属同位体で標識した抗体に比べて肝臓に集積する
度合が大きいということである[ラーソン(Larson)らの
Nucl.Med.Biol.,15、231(1988)参照]。こ
の現象は、肝臓における腫瘍の沈積の検出をしばしば妨
げるので、金属標識抗体の臨床学的有用性を制限するも
ののうち最も重要なものとなっている。なお肝臓は、多
くのタイプの癌において転位拡散の最も主要な部位であ
る[ラーソンらの上記文献;ベッティ(Beatty)らのCanc
er Res.,46、6494(1986);ベッティらのJ.
Surg.Onc.,36、98(1987);およびアブデル−
ナビ(Abdel−Nabi)らのRadiology、164、617
(1987)参照]。
【0010】他の特徴は、金属キレート標識抗体の薬動
学に関するものである。一般的に観察されていること
は、抗体が2相血清クリアランス動力学を示すことであ
り、注入した投与量の一部の放射能が比較的急速に消失
し(α相)、ついで残る放射能のはるかに遅いクリアラン
スが続く(β相)[フナトビッチらのJ.Nucl.Med.,
、849(1985);マレー(Murray)らのCancer R
es.,48、4417(1988);およびマレーらのJ.N
ucl.Med.,28、25(1987)参照]。注入した放射
能の分布容量は患者の血漿容量を上回り、血清クリアラ
ンス(t1/2)および分布容量はともに投与した抗体の投与
量に依存する[マレーらのCancerRes.,47、4417
(1988);およびカラスキロ(Carrasquillo)らのJ.
Nucl.Med.,29、39(1988)参照]。腫瘍部位の
検出の感度も同様に投与量に依存することが示されてい
る[カロスキロらのJ.Nucl.Med.,29、39(198
8);およびアブデル−ラビらのRadiology、164、6
17(1987)参照]。
【0011】これらのデータは、注入した標識免疫グロ
ブリンが血漿区画にのみ留どまるものではなく(この場
合には単一相血清動力学および血漿容量に近似する分布
容量が期待される)、むしろ他の別の区画にも分布し
て、肝臓のような非標的器官へ抗体が非特異的に蓄積す
ることを示している。これらの区画はある場合には飽和
できるものであるので、投与量への依存が観察される。
抗体のヒト生体内分布の多区画動力学モデルが構成され
ている[イーガン(Egan)らのCancer Res.,47、33
28(1987)参照]。
【0012】ガンソーらの方法は、技術分野の他の研究
者達の方法のように、インビボ投与のための金属イオン
/キレート化剤/抗体結合体の調製に関連して幾つかの
純度に関する懸念により抑制されている。標的組織に送
り出される活性金属(結合体溶液中に遊離の非キレート
結合により結合したものかまたはキレート化した形で存
在する他の金属不純物とは区別されるものとして)の量
を最大にすることは自明である。非標的組織へ送り出さ
れる活性金属の量が最小になるようにすることも同様で
ある。診断的画像化手順においても、バックグラウンド
シグナルを最小にしたいとの要求からこのことは当ては
まる。細胞毒性放射線治療手順においては、このことは
非標的組織への細胞毒性効果に関連した懸念によるもの
である。他の別の懸念は、タンパク質が生体内に導入さ
れた場合の抗原作用を最小にするために、これらの手順
において抗体結合体の量を最小にしたいとの要求に関す
るものである。
【0013】活性金属の最大量を標的組織に向けようと
する目的は、多くの因子により影響を受ける。これらの
因子の中でまず第一に挙げられるのが抗体の特異性およ
び活性である。結合体の基礎となる抗体または抗体断片
は、標的組織に対する高い結合活性および選択性を有し
ていなければならない。さらに抗体により特異的に標的
とされる抗原は、他の組織に対し標的にした組織に高い
特異性を有するように選択されなければならない。
【0014】抗原が標的組織に対し高度に特異的であり
抗体がその抗原に対し高い活性および選択性を有すると
するならば、結合体を構成している抗体の免疫活性が、
キレーター/抗体結合体の生成工程または金属キレート
化工程中に起こるある種の化学的変化によって弱められ
ないことが次の関心事となる。免疫活性の部分的または
全喪失となる化学的変化は、高い温度、極度に酸性また
はアルカリ性のpHまたは他の化学的処理の結果として
起こる。そのような変化は、極端な場合は抗体分子の変
性となる。変性よりもひどくない変化は、2官能性キレ
ート化剤のタンパク質結合基が、抗体の特異的結合領域
が変化されまたは立体的に妨害されるような仕方でアミ
ノ酸残基または抗体上の糖鎖と反応し結合する場合に起
こる。ある一定のキレーター/抗体系においてキレータ
ーの抗体への置換レベルが高くなればなるほど、そのよ
うな免疫活性の喪失が起こる可能性は高くなる。
【0015】活性金属の標的組織への送り出しを最大に
したいということは、活性金属の非標的組織への送り出
しを最小にしたいということである。事実は、標的組織
に行った活性金属は、キレート化剤によりその組織に特
異的な抗体にほとんど常に結合する。これとは対照的
に、非標的組織に送られる活性金属の大部分は遊離の金
属、標的組織に送り出されなかった抗体に共有結合的に
結合した金属、または生体内で抗体から遊離していく非
キレート結合により結合した金属である。溶液中で非キ
レート結合により結合しているかまたは遊離の活性金属
は、患者に投与されるや否や速やかに血清トランスフェ
リンに結合し、その後主として肝臓および骨髄に分布す
るようになり、放射性金属の非標的部位への有害な蓄積
となるのがしばしばである。インビボ投与のための放射
性同位体調製物中に遊離の金属が存在することは、その
ような金属が肝臓や他の非標的器官に蓄積することによ
る毒性作用がそのような放射性同位体医薬を使用するこ
との主要な制限となっている場合にとりわけ懸念とな
る。
【0016】インビボ投与のためのすべての調製物に関
して、ある量の活性金属を送り出すのに利用した抗体の
量を最小にすることが特に望まれている。このことは、
活性金属を送り出すために使用した抗体および抗体断片
の抗原性および医薬調製物それ自体に対する免疫反応の
可能性に関する懸念からくるものである。各抗体に結合
した金属イオンの量を増加させることにより導入抗体の
量を最小にしようとする努力は、キレート化剤の置換レ
ベルが高められると抗体の特異的結合活性が変性もしく
は喪失される傾向にあることにより制限される傾向にあ
る。
【0017】上記種々の懸念において重要な因子は、キ
レーター/抗体結合体との結合に利用できる放射性金属
調製物中に極めて高濃度の不純物が認められることに関
するものである。本発明に関係があるものとしてフナト
ビッチらのJ.Immunol.Methods、65、147(19
83)の開示があり、その開示によれば、キレーターの
抗体に対する比が1:1で25mCi/mgという臨床
学的に用いられる一般的な特異活性レベルまで標識した
抗体/キレーター組成物は、利用できるキレート化部位
のわずか4%が111インジウム原子により占められるに
すぎない。放射性金属調製物中で高められたレベルで存
在する金属不純物は、キレーター/抗体結合体上の結合
部位に対して活性標識金属と有効に競合する。そのよう
な不純物が存在することにより、一定量の純粋な金属標
識を単にキレート化するのに必要なものよりはるかに多
量のキレーター/抗体結合体を使用することが必要とな
る。特定量の活性金属のキレート化を確実にするために
金属溶液の増加量を加える必要があるということは望ま
しくない。なぜなら、そのようにすることで遊離のおよ
び非キレート結合により結合した金属の存在量が大きく
なるからであり、一般にこれら金属は生体内に投与する
前にキレート化するかまたは結合体溶液から除かなけれ
ばならない。充分な標識をキレート化するために非常に
増加した量のキレーター/抗体結合体を使用することも
また、投与量の抗原性が増加することから望ましくな
い。
【0018】結合体溶液でキレート化するに先立って放
射性金属の溶液を精製する努力は、キレーター/抗体結
合体中の遊離のキレーター基が標識前にキレート化する
程度を小さくする努力として開示されている。メアーズ
(Meares)らのAnal.Biochem.,142、68(198
4)には、基質反応性基としてイソチオシアネートおよ
びブロモアセトアミド誘導体を有する2官能性EDTA
類似体の調製が開示されている。キレーター/抗体結合
体は111インジウムおよび他の金属イオンで標識されて
いた。該文献にはまた、結合体生成およびカップリング
手順を行うときに金属の混入が最小になるように入念な
注意が開示されている。そのような注意には高純度の
水、金属を含まないバッファー塩および酸で洗浄したガ
ラス器具を使用することが含まれ、混入する金属の濃度
を制限するのに有用である。混入する金属はキレート化
部位について所望の金属と競合する。該文献にはまた、
市販の111InCl3溶液をアニオン交換クロマトグラフィ
ーで該溶液中に存在する混入金属の多くを除くことによ
り精製することが開示されている。
【0019】一つの手順に従って、メアーズらは、ED
TAのブロモアセトアミド類似体の調製および10:1
のモル比でのマウスモノクローナル抗トランスフェリン
レセプター抗体溶液との反応を開示している。37℃で
2時間インキュベートした後、反応混合物を除き、0.
1Mクエン酸アンモニウム(pH6)で調製したセファデ
ックスG−50−80遠心分離カラムに加え、ゲル濾過
工程を行って未結合のキレーターを除いた。精製したキ
レーター/抗体生成物の濃度は9.5×10-5Mであ
り、これからキレーター/抗体比が1.3:1でキレータ
ー濃度が1.24×10-4Mであった。
【0020】担体を含まない111インジウム貯蔵溶液
を、クエン酸アンモニウムバッファー溶液に111InCl3
溶液を加えることによって調製した。111InCl3溶液
は、2MHClで平衡化したBio−Rad AG1−X4ア
ニオン交換カラム中で処理することによって精製してお
いたものである。111インジウム溶液の二つの10μl
アリコートをEDTA/抗体溶液の5μlアリコートと
混合し、5〜80分間インキュベートした。遊離または
非キレート結合により結合した金属を結合体溶液から除
くために、インジウム/キレーター/抗体結合体の試料
に対してEDTA攻撃手順を行った。結合体溶液の1μ
lアリコートを、Na2EDTA攻撃溶液(10mM)の5
μlアリコートと接触させた。このように処理した溶液
をついで薄層クロマトグラフィー(TLC)手順にかけ、
それによって抗体結合金属を遊離およびキレーター結合
金属から分離し非特異的に結合したインジウムの量を決
定した。該文献の報告するところによれば、TLCプレ
ート上を移動していった未結合インジウムの量はわずか
に全インジウムの3〜5%であり、従って金属キレート
化手順の放射化学的収率は95〜97%であった。
【0021】メアーズらは、金属イオンの添加を抗体/
キレーター結合体を調製した後に最後にすべきである手
順において、添加金属イオンが急速かつ定量的に結合す
ることができるように、タンパク質結合キレート化基の
濃度は10-5Mよりも大きいのが好ましいと述べてい
る。該文献にはまた、15mg/ml(10-4M)を超過
する抗体濃度で好ましい条件が達成されると述べられて
いる。グッドウイン(Goodwin)らのJ.Nuc.Med.,
、493〜502(1985)には、ミアレスらの後続
の仕事が開示されており、上記ミアレスらの方法に従っ
てブロモアセトアミドベンジル−EDTAをマウスの主
要組織適合抗原遺伝子複合体同種抗原IAkに特異的な
マウスモノクローナル抗体に結合させた。抗体は1.5
×10-4Mの濃度で存在し、これからキレーターの抗体
に対する比が3.3:1でキレーター濃度が5×10-4
であった。
【0022】抗体/キレーター結合体の小さな(10〜
50μl)アリコートを精製クエン酸111インジウムの5
0μlアリコートとpH5.0で組み合わせることによ
り放射性標識を行った。キレーター/抗体結合体へのイ
ンジウムのキレート化は、5分以内に完了すると述べら
れていた。該文献はまた、EDTAでの1000倍以上
の攻撃によってもインジウム標識を該結合体から除くこ
とはできないことを指摘していた。標識の有効性および
放射化学的収率をメアーズらのEDTA攻撃/薄層クロ
マトグラフィー手順により測定したところ、85〜95
%の範囲の放射化学的収率を示した。幾つかの実験にお
いては、未結合金属をEDTAにて追跡しながら錯体形
成した(complexed)。他の実験においては、未結合金属
を含むインジウム/キレーター/抗体溶液を、0.1%
ヒト血清アルブミン、0.1Mクエン酸ナトリウムおよ
び0.01M EDTA(遊離の金属を結合したが静脈注
射の前には除かなかった)を含むリン酸バッファー通常
生理食塩水中で希釈した。未結合キレーターを溶液に加
えることの背後にある理論は、そのような試薬が遊離ま
たは非キレート結合により結合した金属とキレートを生
成し、得られたキレートが生体内に投与されたときに循
環系から腎臓を通って速やかに排出されることであるこ
とが理解できる。該文献は、インジウム/キレーター/
抗体結合体について動物の生体内分布の研究を開示して
いる。24時間後の器官分布の研究により、抗原陽性マ
ウスでは脾臓での取り込みが器官1g当たり約100%
投与量を越えていたが、抗原陰性マウスおよび結合体が
正常なマウスIgGからなる系では脾臓での取り込みは
より低いものであることが示された。該文献は、インジ
ウムキレートが放射性ヨウ素に比べて安定性を増加させ
ること、およびそのような安定性により標的濃度が増加
するだけでなく非特異的な血液および肝臓活性が高くな
ることを言及していた。
【0023】本発明に関係があるものとしてゾグビ(Zo
ghbi)らのInvest.Radiol.,21、710(1986)が
あるが、これは111インジウムの精製手順に関するもの
である。該文献は、市販のインジウムの純度に大きな変
化性があること、およびDTPA(リガンドの能力をは
るかに下回る)のようなキレーターによりキレート化し
たインジウムの量に変化性があることは亜鉛、鉄および
アルミニウムのようなカチオン性の汚染物が市販のイン
ジウム調製物中に存在することおよびキレーターがイン
ジウムに特異的でない事実によって説明できると言及し
ている。該文献の報告によれば、該文献に開示された溶
媒抽出手順に従って精製した111インジウムは、精製し
なかった111インジウムに比べて111In−DTPA−モ
ノクローナル抗体の活性において3倍以上の増加を示
す。
【0024】ガンソーらの後の文献には、インジウム/
キレーター/抗体結合体溶液のための種々のキレート化
工程後精製手順が開示されている。ブレクビール(Brec
hbiel)らのInorg.Chem.,25、2772(1986)お
よびエステバン(Eateban)らのJ.Nucl.Med.,28
861(1987)には、モノクローナル抗体B72.3
から未結合の111インジウムを除くための幾つかの異な
る手順が比較されている。ブレクビールらは、(1)グッ
ドウインらのEDTA追跡法、(2)ゲルカラムクロマト
グラフィー、(3)高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)および(4)ゲルカラムクロマトグラフィーとHPL
C精製の組合わせを比較している。該文献には、局在化
および腎臓を通過させることによりすべての未反応111
インジウムを除くには遊離のEDTAを混合物に単に加
えるだけでは不充分であり、金属は肝臓に局在化する傾
向があると述べられている。結合体溶液の精製のために
好ましい方法は、セファデックスG−50カラムに通し
ついでTSK−3000サイジングカラム上でHPLC
精製することであると述べられていた。架橋キレート化
残基のような「高分子量」凝集体を除くにはHPLCで処
理することが唯一の方法であると述べられていた。該文
献は、可能な最も強力なキレート化剤を穏やかなカップ
リング法および最良の精製法を組み合わせて用いること
を勧めている。
【0025】エステバンらのJ.Nucl.Med.,28、8
61(1987)は、ガンソーらの追加精製および生体内
分布の研究の記載にB72.3モノクローナル抗体を提
供した。2官能性DTPAおよびEDTAを用いたキレ
ーター/抗体結合体を種々の置換比で生成した。抗体−
キレート免疫活性はモル比により有為に変化し、結合体
は非修飾IgGに比べたときに1:1の比で免疫活性を1
00%保持することがわかった。キレーターの抗体に対
する比が3:1かまたはそれ以上になると免疫活性の5
0%以上が失われる結果となった。生体内分布の研究
は、キレーターの抗体に対する比が1:1のインジウム
標識結合体を用いて行った。該文献は、過剰のEDTA
を用いると結合体溶液中の遊離の金属をキレート化し
て、この不充分な精製では腫瘍の肝臓に対する比が1.
6:1未満であるのに対して、HPLCで精製した標識
結合体を用いると腫瘍の肝臓に対する比が4.6:1の結
果となるというブレクビールらの文献の言及を確かなも
のにした。
【0026】本発明に関係があるのは、各抗体分子中に
導入することのできるキレート化基の最大数を系統的に
確立しようとする努力に関する文献である。ペイク(P
aik)らのJ.Nucl.Med.,24、1158(198
3)およびJ.Nucl.Med.,24、932(1983)に
は、それぞれ2環式DTPA無水物のモノクローナル抗
体への結合の最適化、およびヒト血清アルブミンに対す
るモノクローナル抗体へのDTPAの混合無水物結合の
最適化が開示されている。しかしながら、111インジウ
ムは担体遊離の形で容易に得られるので、抗体1分子当
たり1キレート化基を越える置換レベルを導入すること
に関し、一般に当業者はほとんど必要性を感じなかっ
た。
【0027】金属イオン溶液の標識前精製または標識後
追跡または金属イオン/キレーター/抗体結合体溶液の
精製を含むこれら種々の手順は時間がかかり、ヒトに使
用する注入可能な放射性医薬にとって最も重要な立体性
および非発熱性を保持するような条件下で行うことは困
難である。さらに、そのような抗体放射性標識手順が日
常的に行なわれるべき場所は一般に病院の核薬局である
が、そのような施設は、HPLCおよびゲルクロマトグ
ラフィーのような最も好ましいが最も複雑な後精製法を
行う装置も訓練された人員も共に不足していることがし
ばしばである。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明は、ラジオイムノ
シンチグラフィーに用いる放射性金属/キレーター/抗
体結合体溶液からなる画像化剤に関する。本発明の画像
化剤は、放射性金属/キレーター/抗体結合体溶液から
なり、該溶液は遊離もしくは非キレート結合により結合
した金属イオンを5%未満含み、キレート化後の精製の
必要のないラジオイムノシンチグラフィーに用いるため
のインビボ投与に適した111インジウム/キレーター/
抗体結合体水溶液であって、インジウムイオンのキレー
ト化のために選択された条件下で下記溶液をインキュベ
ートし、その際、下記第一の溶液の下記第二の溶液に対
する容量比を5:1よりも大きくし、インキュベートを
30分間未満行うことにより調製される: (i)キレーターの濃度が10-4Mよりも大きく、下記手
順により製造される第一の溶液 (a)キレーター/抗体結合体の溶液を、弱キレート化バ
ッファー中での濃度が0.01Mよりも大きい濃度の未
結合キレート化剤の溶液に12時間以上接触させ、
(b)該未結合キレート化剤の溶液からキレーター/抗
体結合体を分離し、ついで(c)抗体に結合したキレート
化基の濃度を10-4Mよりも大きくなるように調節す
る、および(ii)放射能が30mCi/mlよりも大きい
ことを特徴とする市販の111インジウム塩の第二の溶
液。第一の溶液の第二の溶液に対する容量比は、5:1
から20:1が好ましく、7:1から15:1が最も好ま
しい。上記方法により調製した111インジウム/キレー
ター/抗体結合体溶液は、ヌードマウスへの静注後48
時間で該マウスの肝臓、脾臓および腎臓の組織1g当た
りわずかに10%のインジウムを送り出すに過ぎないと
いう能力により特徴付けられる。
【0029】本発明の画像化剤は、0.5cmまたはそ
れ以上の直径の腫瘍塊を1個またはそれ以上有する患者
に投与したときに、放射性の陽性の蓄積として該病変を
一貫して画像化することができ、血清放射能クリアラン
ス曲線が投与のときから3日間にわたって本質的に単一
相的であることを特徴とする。本発明の画像化剤はま
た、0.5cmまたはそれ以上の直径の腫瘍塊の悪性病
変を1個またはそれ以上有する患者に投与したときに、
(a)放射性の陽性の蓄積として該病変を一貫して画像化
することができ、(b)分布した初期容量が患者の循環血
漿容量に近似しており、(c)該結合体の血清半減期が2
0時間〜60時間であり、(d)血清放射能クリアランス
曲線が投与のときから3日間にわたって本質的に単一相
的であり、(e)分布の初期容量および血清クリアランス
曲線が抗体の投与量とは独立していることを特徴とす
る。
【0030】本発明の画像化剤に用いる結合体溶液の出
発物質であるキレーター/抗体結合体溶液は、遊離の金
属および非キレート結合により結合した金属が低レベル
であり遊離のキレーターが高レベルである結果として金
属標識結合能が向上している。該キレーター/抗体結合
体溶液は、キレーターの濃度が約10-4Mを越えるもの
であり、高い金属結合能で特徴付けられ、放射性金属の
溶液とともにキレート化条件下でインキュベートしたと
きに遊離の金属イオンを速やかにキレート化して高い放
射化学的収率を達成することができる。このようなキレ
ーター/抗体結合体溶液は、一般に有意のレベルの金属
不純物を含むものである。
【0031】本発明の画像化剤に用いる結合体溶液の出
発物質であるキレーター/抗体結合体溶液は、市販の塩
化インジウム組成物とともにキレート化の条件下で30
分またはそれ未満の時間インキュベートしたときに放射
化学的収率が95%を越えるインジウム/キレーター/
抗体結合体の溶液を得ることができることがわかった。
そのような組成物は、一般にヒトのインビボ投与に適し
たものとするためにさらに精製する必要がない。キレー
ターの濃度が10-4Mを越えるキレーター/抗体結合体
を選択したのは、以下の発見に基づくものである。まず
第一に、一定の条件下で標識したいかなるキレーター/
抗体結合体についても、その条件下でキレーターの臨界
濃度が存在し、その濃度を下回ると有効な放射性標識を
行うことができず、その濃度を上回ると満足な放射性標
識収率が達成される。この閾値濃度範囲は予期に反して
狭く、抗体結合キレート化基の濃度が2倍相異すること
が完全に許容できる放射化学的収率(>90%)と完全に
許容できない収率(20〜30%)との相異に対応するこ
とがしばしばである。第二に、さらに一層予期に反する
ことであるが、この結合キレーターの臨界閾値濃度は、
キレーター/抗体結合体を調製するのに同じキレーター
を用いたとしても抗体結合体毎に変わる。従って、いか
なる抗体系にも適用できる一般的手順から満足のいく放
射化学的収率を確かに得るためには、種々の抗体につい
て観察されるキレーターの臨界濃度の範囲から大きくは
み出る抗体結合キレーターの濃度を選択しなければなら
ない。本発明者らの行った研究に基づいて、10-4Mが
キレーターのそのようなモル濃度を構成するものと思わ
れる。
【0032】キレーター/抗体結合体溶液をインジウム
金属塩溶液と1工程で反応させてヒトへのインビボ投与
に適したインジウム/キレーター/抗体結合体溶液を得
ることができるということは、複雑で費用と時間がかか
る標識後の精製工程およびヒト投与に適したものとする
ため従来は必要とされていた除去キレーターの添加を省
くことができるという点で従来技術に比べて大きな利点
である。さらに本発明の画像化剤に用いる結合体溶液の
出発物質であるキレーター/抗体結合体溶液は、インジ
ウム金属塩化物の溶液と反応させたときに、生体内への
投与において注入した試験動物の肝臓、脾臓および腎臓
に送り出すインジウムレベルが低いインジウム/キレー
ター/抗体結合体を生成させることができる。
【0033】本発明の画像化剤に用いる結合体溶液の出
発物質であるキレーター/抗体結合体の溶液は、111
ンジウム以外の金属イオン調製物とともにインキュベー
トしたときも向上した性質を示すであろうことが予期さ
れる。特定のキレーターの濃度および必要なインキュベ
ート時間は特定のキレーターの金属結合親和性および異
なる金属イオン調製物中に存在する金属不純物の同一性
および濃度により変わるかもしれないが、該キレーター
/抗体結合体溶液が他の金属との結合過程で向上した放
射化学的収率を示すであろうことが予期される。金属を
含まないキレーターの濃度が高いキレーター結合体溶液
は、高い放射性結合収率を達成できることのみならず、
特定量の活性金属を送り出すのに必要な抗体または抗体
断片の量を最小にすることができることからも有用であ
る。そういったことは、外来のタンパク質に繰り返し接
触させることが有害な免疫応答を引き起こしやすい場合
に重要な関心事となる。
【0034】遊離のキレーター濃度が高い上記キレータ
ー/抗体結合体溶液は、抗体活性および特異性を保持し
ながら、溶液中のキレーター/抗体結合体の濃度を最大
にし、1抗体当たりのキレーターの置換レベルを可能な
限り最大にすることにより調製することができる。結合
体濃度の最大化は主として抗体の溶解性に依存してお
り、一般に最大濃度は10-4Mに近づく。しかしなが
ら、正確な濃度は抗体およびキレーター系の特定の性質
に依存する。キレーター/抗体結合体の濃度を最大とす
るならば、一般に1抗体当たりのキレート化残基の平均
数も最大にする必要がある。しかし、抗体の置換レベル
を最大にするに際して、抗体の活性および特異性が保持
できるよう特別の注意を払わなければならない。
【0035】キレート化基による化学的修飾のあいだで
の免疫活性の失い易さは抗体により非常に異なり、従っ
て抗体の免疫活性を失うことなしに導入し得る金属結合
基の最大数も抗体毎に変わるであろうことは当業者には
認識されるであろう。にもかかわらず、上記で示した制
約内においてすべての抗体組成物についてある種の態様
が好ましいといえる。好ましい組成物には、1抗体分子
当たり平均2〜15のキレート化基を含有するものが含
まれ、抗体当たり3〜5のキレーターを含有する組成物
が特に好ましい。そのような組成物は、標識を容易にす
るために弱キレート化バッファー中、高い抗体濃度で保
持される。好ましい組成物は、0.01〜0.1Mクエン
酸バッファー(pH6.0)中で5mg/ml〜20mg/
mlの濃度の抗体または抗体断片を含有する。
【0036】抗体 本発明に有用な抗体には、IgA、IgD、IgE、IgG
およびIgMを含む種々のタイプのものが含まれる。こ
れらの抗体は、腫瘍抗原、組織適合性抗原および他の細
胞表面抗原、細菌、真菌、ウイルス、酵素、毒素、医薬
および他の生物学的に活性な分子を含む種々の抗原決定
基に対して向けられてよい。本発明の重要な側面は腫瘍
の検出および治療に関するものであり、腫瘍関連抗原に
特異的に反応する抗体は本発明に特に関係の深いもので
ある。抗体が特異的に反応する腫瘍関連抗原にはザルク
ベルク(Zalcberg)およびマッケンジー(MacKenzie)の
J.Clin.Oncology、Vol.3、876〜82頁(198
5)に記載の抗原が含まれ、たとえば癌胎児性抗原(CE
A)、TAG−72のようなムチン、ヒト乳脂肪小球体
(human milk fat globule)抗原およびIL−2レセプタ
ーやトランスフェリンレセプターのようなレセプターが
含まれるが、これらに限られるものではない。そのよう
な抗原を認識する抗体はモノクローナルまたはポリクロ
ーナルであってよく、またモリソン(Morrison)らのPr
oc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.,81、6851〜55
(1984)に記載されているような組換え技術により製
造されてよい。
【0037】本明細書において「抗体」とは抗体分子の断
片をもいうものであり、半抗体やFab、Fab'またはF
(ab)2断片を含む。ニコロッティらのEPO特許出願第
147,583号明細書(1986年3月19日公開)に
は、全抗体を処理して2本のH鎖の部位特異的開裂を行
い、H鎖のカルボキシル末端のFc部分を除く方法が開
示されている。1分子当たり平均2〜5のキレート化基
を収容することができる抗体が本発明に使用するのに適
しているが、抗体は1分子当たり平均2〜15ものキレ
ート化基を含むことができなければならない。好ましい
抗体には、抗体の免疫活性に有害な作用を及ぼすことな
く1抗体当たり平均3〜5のキレーターを収容すること
ができるものが含まれる。
【0038】キレート化剤 広範囲のキレート化剤を本発明の画像化剤において用い
ることができる。特定のキレート化剤の選択は結合させ
る金属イオンの同一性を含む多くの因子に依存するが、
一般に数多くのキレート化剤が本発明に用いるのに適し
ている。そのようなキレート化剤は結合効率の高いもの
でなければならず、ジエチレントリアミン五酢酸(DT
PA)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の2官
能性誘導体が含まれる。p−アミノフェニル置換基がポ
リアミン骨格のメチレン炭素に付着したDTPAの2官
能性誘導体がブレクビールらのInorg.Chem.,25、2
772〜81(1986)に記載されている。p−アミノ
フェニルタンパク質反応性置換基を有する2官能性誘導
体がサンドバーグ(Sundberg)らのJ.Med.Chem.,
、1304(1974)に記載されている。DTPAお
よびEDTAの特に好ましい2官能性誘導体が、本発明
者らの共願にかかる米国特許出願第014,517号明
細書(1987年2月13日出願)に記載されている。
【0039】本発明に有用と思われる他のキレート化剤
には、環状キレート化剤のシクロヘキサン−1,2−tra
ns−ジアミン四酢酸[クロール(Kroll)らのNature、
80、919〜20(1957)参照];6−(p−ニトロベ
ンジル)−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ
ンN,N',N'',N'''−四酢酸(p−ニトロベンジル−T
ETA)などの大環状キレート化剤[モイ(Moi)らのAna
l Biochem.,148、249〜253(1985)参照];
6座配位子のN,N'−ジピリドキシル−エチレンジアミ
ン−N,N'−二酢酸(PLED)[グリーン(Green)らの
Int.J.Nucl.Med.Biol.,12、381〜86(19
85)参照]およびN,N'−エチレン−ビス[2−(o−ヒ
ドロキシフェニル)グリシン](EHPG)およびN,N'−
ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,
N'−二酢酸(HBED)[タリアフェルロ(Taliaferro)
らのInorg.Chem.,23、1188〜92(1984)参
照]が含まれる。本発明に用いるに好ましいキレート化
剤には、8−ヒドロキシキノリンキレート化単位に基づ
く多座キレーターおよびトリス(2−アミノエチル)アミ
ン(TREN)に基づく骨格構造を有する多座キレーター
[本発明者らの共願にかかる米国特許第100,390号
明細書(1987年9月24日出願)参照]が含まれる。
【0040】基質反応官能性 本発明に有用な2官能性キレート化剤は、標識しようと
する抗体分子中に存在する少なくとも1個の官能基との
特異的な結合反応に関与し得る基質反応性残基を含んで
いる。基質反応性残基は、ポリペプチド骨格を構成して
いるアミノ酸の側鎖基と反応してよい。そのような側鎖
基には、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基のカル
ボキシル基、リジン残基のアミノ基、チロシンおよびヒ
スチジンの芳香族基およびシステイン残基のスルフヒド
リル基が含まれる。
【0041】抗体によって与えられるカルボキシル側鎖
基は、可溶性カルボジイミド反応によって2官能性キレ
ート化剤のアミン基質反応性残基と反応してよい。抗体
によって与えられるアミノ側鎖基は、イソチオシアネー
ト、イソシアネートまたはハロトリアジン基質反応性残
基と反応してキレーターのポリペプチドへの結合を行っ
てよい。別法として、抗体上のアミノ側鎖基は、ジアル
デヒドやイミドエステルのような2官能性試薬によりア
ミン基質反応性残基を有する2官能性キレート化剤に結
合させてもよい。抗体により与えられる芳香族基は、ジ
アゾニウム誘導体によりキレート化剤に結合させてよ
い。抗体分子上のスルフヒドリル基は、マレイミドまた
はヨードアセトアミドのようなハロアルキル基質反応性
基と反応させてよい。そのような反応に適した遊離のス
ルフヒドリル基は、免疫ブロブリンタンパク質のジスル
フィド結合から得ることができ、または化学的誘導体化
によって導入することができる。免疫グロブリンのH鎖
領域内で得られた遊離のスルフヒドリル基への結合は、
免疫グロブリンの抗原結合部位を妨害するものではない
が、抗体が補体を活性化できないようにするかもしれな
い。
【0042】ポリペプチド骨格を介して抗体/キレータ
ー結合を生成するための別の方法は、ロッドウエル(Ro
dwell)らの米国特許第4,671,958号明細書に記載
されたような方法に従って糖タンパク質の炭水化物側鎖
と共有結合を形成することである。従って、抗体の炭水
化物側鎖を選択的に酸化してアルデヒドを生成し、つい
でこのアルデヒドがアミン基質反応性基と反応してシッ
フ塩基を生成するか、またはヒドラジン、セミカルバジ
ドもしくはチオセミカルバジドと反応してそれぞれ対応
するヒドラゾン、セミカルバゾンもしくはチオセミカル
バゾンを生成してよい。前以て酸化する必要なく炭水化
物または多糖に結合させるのに有用な他の基質反応性残
基はジヒドロキシボリル残基である。この残基は1,2
−cis−ジオールを含有する基質と反応性で5員環のホ
ウ酸エステルを生成し、従ってこの基を含有する炭水化
物、多糖および糖タンパク質と用いるのに適している。
【0043】本発明の方法に従ったキレート化剤に有用
な基質反応性残基には、アミノ(−NH2)、ジアゾニウ
ム(−NN+)、イソチオシアネート(−NCS)、イソシ
アネート(−NCO)、ヒドラジン(−NHNH2)、セミ
カルバジド(−NHCONHNH2)、チオセミカルバジ
ド(−NHCSNHNH2)、クロロアセトアミド、ブロ
モアセトアミドおよびヨードアセトアミドを含むハロア
セトアミド(−NHCOCH2X)、アジド(−N3)、カル
ボキシレート(−CO2H)、アミノアルキル尿素(−NH
CONH(CH2)nNH2)、アミノアルキルチオ尿素(−
NHCSNH(CH2)nNH2)、カルボキシアルキル尿素
(−NHCONH(CH2)nCO2H)およびカルボキシア
ルキルチオ尿素(−NHCSNH(CH2)nCO2H)、マ
レイミド、クロロトリアジン、ブロモトリアジンおよび
ヨードトリアジンを含むハロトリアジンおよびメタ−
(ジヒドロキシボリル)フェニルチオ尿素(−NHCSN
HC6 4B(OH)2)が含まれる。キレート化剤を抗体に
結合させるのに適した他の反応性残基には、ジスルフィ
ド、ナイトレン、スルホンアミド、カルボジイミド、塩
化スルホニル、ベンズイミデート、−COCH3、およ
び−SO3Hが含まれる。本発明の特定の適用のために
好ましい基質反応性残基は、抗体の性質および一定の結
合を形成した結果としての生物学的活性の失い易さによ
り選択される。
【0044】本発明に有用な基質反応性残基は種々の手
段により与えられてよいが、フェニル基上のメタ位、好
ましくはパラ位に配向しているときに特に効果的である
ことがわかっている。フェニル基は、本発明のキレート
化剤骨格に脂肪族スペーサー基により付着している。ス
ペーサー基は1〜10個の炭素原子からなっていてよく
直鎖または分枝鎖のアルキル基または置換アルキル基で
あってよい。ただし、そのような分枝鎖または置換基は
金属結合部位または基質反応性基を妨害するものであっ
てはならない。にもかかわらず、直鎖アルキルリンカー
が好ましく、C1アルキルリンカーが特に好ましい。上
記方法に従い、抗体をキレート化剤の基質反応性残基と
反応させる。各抗体は1個より多くのキレート化剤と結
合しているのが好ましく、キレーターの抗体に対する比
は2:1〜5:1であるのが好ましく、3:1〜5:1であ
るのが特に好ましい。しかしながら、抗体上の置換の最
大限は、糖鎖の性質または抗体分子上の反応性アミノ酸
側鎖の数および位置により制限される。結合体タンパク
質はその生物学的活性を保持していることが望ましいの
で、置換の程度は標的の糖鎖または抗体の一次配列およ
び三次配列の両方におけるアミノ酸の性質および位置な
らびにそれらが抗原結合部位に関与する程度に従って制
限されるであろう。
【0045】金属捕捉(スカベンジング)工程 本発明の画像化剤に用いる結合体溶液を調製するに際
し、抗体/キレーター結合体溶液の放射性標識に先立っ
て、遊離の金属イオン、および非キレート結合により結
合し、キレート化している金属イオンを該結合体溶液か
ら除去する。このことは、抗体−キレーター結合体溶液
を、弱キレート化バッファー系中で、高濃度の未結合
(結合体を形成していない、遊離の)キレート化剤に接触
させて混在する金属イオンを除去し、キレート形成部分
を金属標識溶液中の金属と結合し得るようにすることを
含む。結合体を形成していないキレート化剤に接触させ
た後、キレーター/抗体結合体を未結合キレート化剤か
ら分離する。
【0046】キレーター/抗体結合体溶液を未結合キレ
ート化剤に接触させる工程の間中、結合体溶液中の金属
イオン、または意図的に導入された抗体の特異的なキレ
ート化部位、または本来、金属との結合性を有する免疫
グロブリン分子の結合部位のいずれかを介して抗体と非
キレート結合により結合している金属イオンが、キレー
ト化剤と低分子量の結合体を形成することにより、捕捉
され得るような条件を選ぶ。次いで、分子の大きさの相
異等に基く適当な方法でこれらを抗体−キレーター結合
体から分離する。好ましい態様では、除去と分離の両方
が行なわれる便利な手段として、遊離のキレート化剤の
バッファー溶液に対する透析を採用するが、上記の目的
には、ジアフィルトレーション(diafiltration)または
サイズ排除クロマトグラフィーのような他の方法を用い
ることもできる。
【0047】スカベンジャーとして用いられるキレート
化剤は、それが抗体と結合したキレート形成基と有効に
競合し得るよう、充分な熱力学的および動力学的安定性
を有する金属結合体を形成するものでなければならな
い。不純物金属の性質は通常、不明であるために、抗体
と結合しているキレート化剤と同じスカベンジャーを用
いる方法が好ましい。即ち、EDTA−抗体結合体の場
合には、スカベンジャーとして遊離のEDTAを用い、
DTPA−抗体結合体の場合には、遊離のDTPAを用
いる、等々である。
【0048】混在する金属の、抗体−結合キレート形成
基部位から非結合体化キレート化剤への移行効果を最大
にするためには、後者の未結合キレート化剤を大過剰に
用いることが好ましい。スカベンジャーキレーターの有
用な濃度は0.01M〜5Mまたはそれ以上である。金
属イオンの除去に十分な熱力学的能力を得るために、未
結合キレート化剤溶液の濃度は、結合体のキレーター濃
度の次数より少なくとも1次、高次数であることが好ま
しく、2次、高次数であることがより好ましい。未結合
キレート化剤の濃度が高いほど、遊離の、または非キレ
ート結合により結合した金属を結合体溶液から迅速に除
去し得る。未結合キレート化剤の最高濃度は、キレート
化剤の溶解度によってのみ制限される。しかしながら、
同時に、未結合キレート化剤の濃度が高くなる程、結合
体溶液の未結合キレート化剤溶液からの分離が大層で時
間のかかる工程となる。従って、実用性を考慮し、未結
合キレート化剤の最高濃度は制限される。未結合キレー
ト化剤溶液の濃度は、0.05M〜1Mの濃度域である
ことが好ましく、0.1Mが最も好ましい。
【0049】キレーター/抗体結合体を未結合キレート
化剤に接触させる抽出工程の好適な作用時間は、未結合
キレート化剤溶液の濃度に依存する。低濃度の未結合キ
レート化剤溶液の場合には、長時間、キレーター/抗体
結合体溶液に接触させる必要があるが、抽出時間は短く
てすむ。高濃度の未結合キレート化剤溶液の場合には、
キレーター/抗体結合体溶液から遊離の、および非キレ
ート結合により結合した金属イオンを一掃するのに必要
な時間は短くなるが、抽出工程に長時間を要する。未結
合キレート化剤溶液の濃度が1Mまたはそれ以上である
場合には、キレーター/抗体溶液の溶液を未結合キレー
ト化剤溶液に接触させることからなる一掃工程は、12
時間程度で行われる。未結合キレート化剤の濃度が濃度
範囲の低い方の値である場合には、一掃工程は、72時
間またはそれ以上を要するであろう。本発明方法におい
ては、濃度0.1Mの未結合キレート化剤溶液を用い、
該溶液をキレーター/抗体結合体に48時間接触させる
ことが好ましい。
【0050】金属捕捉工程は、弱キレート化バッファー
系で行なわれる。そのようなバッファー系は、金属イオ
ンを沈殿させずに溶液中に維持するのに十分なキレート
化強度を有する必要があるが、未結合キレート化剤と金
属イオンを競合する程、強力であってはならない。ED
TAおよびDTPAキレート化系に用いるのに好ましい
バッファーは、通常、金属結合形成定数が106から1
12の範囲のものであり、形成定数が109から1012
であることが特に好ましい。キレーター/抗体結合体の
形成、あるいは未結合キレート化剤一掃溶液の作成に用
いたキレート化剤が、本発明の米国出願と同時になされ
た米国特許出願第100,390号明細書(1987年9
月24日出願)に開示のキレーターのように、形成定数
が非常に高いキレーターである場合には、弱キレート化
溶液は高い形成定数を有していてもよい。EDTAおよ
びDTPAキレート化剤と一緒に用いるのに特に好まし
い、弱キレート化バッファーには、クエン酸、酢酸、ニ
トリロトリアセテートおよびグリシンが含まれる。その
ようなバッファーにとって適切な濃度は、0.01Mか
ら0.5Mの範囲であり、0.01から0.1Mの範囲で
あることが特に好ましい。溶液のpHは4〜10の範囲
であってよいが、特に好適なpHは、反応工程中に存在
する成分の実体に依存して変化し、当業者ならばそれを
決定することができる。
【0051】金属捕捉工程は、2℃から45℃の高温の
間で行うことができるが、抗体の生物学的活性の変性と
損失を避けるために、低い温度で行うことが好ましい。
2℃から8℃の温度域で処理することが特に好ましい。
未結合キレート化剤溶液に接触させてキレーター/抗体
結合体溶液を一掃した後、未結合キレート化剤溶液から
キレーター/抗体結合体を分離する必要がある。この分
離工程は、当業者に既知の様々な方法で行うことができ
るが、透析法が好ましい。クロマトグラフィーによる方
法、およびその他の、分離にサイズの相違を利用する方
法で代用することもできる。必要とされる分離の程度
は、ある程度、キレーター/抗体結合体を接触させた未
結合キレート化剤の濃度に依存する。分離に透析を用い
る場合、未結合キレート化剤を十分な程度にまで除去す
るのに、通常、最低24時間を要する。キレーター/抗
体結合体を0.1Mの未結合キレート剤に接触させて一
掃した場合、未結合キレート化剤から結合体溶液を分離
するのに24時間から144時間が必要である。
【0052】本発明の1実施態様においては、キレータ
ー濃度が10-4M以上であることを特徴とするキレータ
ー/抗体結合体溶液を、以下の工程に従って調製する。
(a)キレーター/抗体結合体溶液を、弱キレート化バッ
ファー中で、濃度0.01M以上の未結合キレート化剤
溶液に12時間以上接触させ、(b)未結合キレート化剤
の溶液から、キレーター/抗体結合体を分離し、次い
で、(c)抗体結合キレート化剤基の濃度を10-4M以上
に調節する:ここに、捕捉段階は、透析により行うこと
が好ましい。これは、(a)で処理されたキレーター/抗
体結合体溶液のキレーター濃度が10-4M以上の好適な
ものであることを特徴とする場合に関する。そのような
場合には、通常、抗体キレート形成基の濃度を約10-4
M以上に調節する必要がない。しかしながら、接触およ
び分離段階に他の手段を用いる場合には、抗体と結合し
たキレート化基の濃度が10-4M以下になるような希釈
度で接触および分離段階を行うことが好ましい。そのよ
うな場合には、本発明にかかる、予想外の改善された性
質を示す溶液を得るために、結合体溶液の濃度を10-4
M以上に調節する必要があろう。
【0053】金属イオン類 本発明の画像化剤は、様々な診断、治療、あるいは他の
応用分野で、広範な金属と結合させて用いることができ
る。本発明の画像化剤に用いる結合体溶液の出発物質で
あるキレーター/抗体結合体溶液の金属結合活性および
特異性は、結合体を形成している特定のキレート化剤に
依存しており、一般に、該結合体と結合し易い金属は3
価またはそれ以上の金属である。その理由は、1価また
は2価の金属は、一般に本発明の目的に適う、十分に安
定な結合体を形成しないからである。
【0054】本発明は総体的に放射性金属イオンのキレ
ート化に関連しているが、本発明の画像化剤に用いる結
合体は様々な非放射性金属と結合させて用いることがで
きることはいうまでもない。本発明に従って結合体を形
成する放射性金属イオンには、診断用シンチグラフィー
に有用なガンマ線放射性同位元素が含まれる。半減期
2.8日の111インジウムがとりわけ好ましいが、その他
の適当なガンマ線放射体には、67ガリウム、68ガリウム
および99mテクネチウムがある。放射性治療用の細胞毒
性物質として用いられるガンマ線放射体も本発明方法に
とって有用である。そのような放射体には、46スカンジ
ウム、47スカンジウム、48スカンジウム、67銅、72ガリ
ウム、73ガリウム、90イットリウム、97ルテニウム、
100パラジウム、101mロジウム、109パラジウム、153
マリウム、186レニウム、188レニウム、189レニウム、
198金、212ラジウム、および212鉛が含まれる。本発明
に有用な他の金属イオンには、212ビスマス等のアルフ
ァ線放射体、68ガリウムや89ジルコニウムのような陽電
子放射体、テルビウムやヨーロピウムのようなランタニ
ド元素系列の蛍光性元素、ルテニウムのごとき遷移元
素、およびガドリニウムや鉄等の常磁性物質が含まれ
る。
【0055】本発明の画像化剤に用いられる結合体溶液
の出発物質である、高濃度に遊離のキレーターを含有す
るキレーター/抗体結合体溶液は、高い結合収率で金属
溶液と速やかに結合体を形成し、溶液中に低濃度の遊離
金属を残存させるという点において極めて有益である。
このようなことから、該結合体溶液は、相当、低純度の
111インジウムの放射化学溶液(市販品から入手可)と3
0分またはそれ以下の間インキュベートすると、95%
以上の放射性結合収率を日常的に達成することができ
る。インジウム以外の金属との特異的結合は、当然、こ
の金属の場合とは異なるであろう。加えて、おそらくよ
り重要な点であるが、そのような他の金属の溶液中に
は、市販品から入手し得る111インジウム溶液とは異な
る金属不純物が異なる程度に含有されているであろう。
その結果、放射性金属溶液が高濃度に金属不純物を含有
している場合には、95%以上の放射化学的収率で放射
性標識されたキレーター/抗体結合体を生産するには、
遊離キレーター基がより高濃度の結合体溶液が必要とな
るであろう。
【0056】金属イオンの結合体形成 キレート化剤/金属イオン結合体の形成法は、当業者に
周知である。一般に、キレート化剤と金属イオンとの錯
体は、キレート化剤/基質結合体と金属イオンとを、結
合体が物理学的に安定なバッファー溶液中でインキュベ
ートすることにより形成される。適当なバッファーに
は、クエン酸、酢酸またはグリシン等の、金属と弱い結
合性を有するものが含まれる。基質の弱い結合部位では
なく、キレート化官能基に確実に金属イオンが結合する
のに適当な濃度、温度およびpHは、当業者が選択し得
るであろう。全ての溶液が金属不純物を含有していない
ことが特に望ましい。本発明には、ポリクローナルまた
はモノクローナル等あらゆる抗体を用いることができ、
また、その方法が抗体の免疫反応性を損なわない限り、
当業者既知の任意の方法で調製された抗体−キレーター
結合体を用いて実施することができる。即ち、キレート
形成基が、混合無水物反応、活性エステル反応または環
状無水物手順のいずれかの方法により、抗体と結合(カ
ップリング)したDTPAのアミド誘導体である組成物
は、キレート形成基が、抗体と、対応するイソチオシア
ナート誘導体との反応で調製された、EDTAまたはD
TPAのベンジルチオウレア誘導体である組成物と同様
に用いられる。本明細書に記載の概念、方法および工程
はまた、広範囲に及ぶ他のタンパク質および生物学的に
活性な基質を111インジウムおよび他の金属および放射
性金属により、高い放射化学的収率で放射活性に標識す
ることにも適用し得ることは、当業者にとって明らかで
ある。従って、以下の実施例は単なる例示にすぎず、本
発明を限定することを意図したものではない。
【0057】
【実施例】つぎに本発明を実施例に基づいてさらに詳し
く説明するが、本発明はこれらに限られるものではな
い。実施例1 癌胎児性抗原(CEA)に対するモノクローナル抗体をキ
レーターDTPAのベンジルイソチオシアネート誘導体
で高レベルのキレーター置換まで誘導体化した。得られ
た抗体-キレーター結合体を精製し、混在する金属を除
去し、111インジウム標識する組成物を形成した。この
組成物により達成された111インジウム標識化された抗
体の放射化学的収率を、3種類の市販源から得られた塩
111インジウムを用いて繰り返し標識化することによ
り評価した。
【0058】本明細書において引用する米国特許出願第
014,517号(出願日:1987年2月13日、出願
係属中)の詳述にしたがって、CEAに対するIgG1
ウスモノクローナル抗体と、DTPAのベンジルイソチ
オシアネート誘導体であるN−(カルボキシメチル)−N
−(2−アミノエチル)−N'−(カルボキシメチル)−N'
−(2'−ビス(カルボキシメチル)アミノ)エチル)(4−
イソチオシアネートフェニル)アニリン・三塩酸塩とを
反応させた。得られた結合体を0.05Mのクエン酸塩
バッファーに溶解したDTPAの0.1M溶液(pH6.
0)に対して約2℃〜約8℃で24時間、さらに0.05
Mのクエン酸塩(pH6.0)に対して24時間、透析し
た。次いで、結合体溶液の濃度を5mg/mlに調整
し、酸で洗浄したガラス製バイアルに微量採取し、各
々、ゴム栓により密封した。前述の係属中出願明細書に
開示された方法により結合体の1つのアリコートを分析
したところ、抗体1分子当たり平均13のDTPA基を
含み、誘導体化されていない抗体の免疫反応性を全て保
持していることが示された。
【0059】抗体/キレーター結合体を含有するバイア
ルを2〜8℃で貯蔵し、その後146日間にわたり、バ
イアルを貯蔵庫から定期的に取り出し、3つの入手源:
ニュー・イングランド・ニュークリア(New England
Nuclear)、ビラリカ、マサチューセッツ(NENと略記
する)、メディ+フィジックス(Medi+Physics)、リッ
チモンド、カリフォルニア(MPと略記する)、およびア
トミック・エナージー・オブ・カナダ・リミテッド(At
omic Energy of Canada,Ltd.)、カナダ、オンタリオ
(AECと略記する)のうちの1つから入手した塩化111
インジウム(本明細書の全実施例において用いる場合、
約30〜100mCi/mlの濃度範囲)5nCiを注
射器により入れて標識化した。このバイアル中で、室温
で30分間インキュベートした後、メアーズ等(アナリ
ティカル・バイオケミストリー(Anal.Biochem.)、第
142巻、第68頁、1984年)による記載にしたが
って、DTPA追跡後、薄層クロマトグラフィ(TLC)
により、111インジウム標識化された抗体の収率を測定
した。このように全部で14の標識化を行った。結果を
表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】14の標識化にわたり、111インジウム標
識化された抗体の平均放射化学的収率は97.3%(SE
=1.6%)であり、米国特許出願第014,517号(出
願日:1987年2月13日、出願係属中)の実施例1
0に記載のELISA試験は、標識化されたいずれの製
造物においても免疫反応性の損失を示さなかった。
【0062】実施例2 特異性および特性がシュロム等(インターナショナル・
ジャーナル・オブ・キャンサー(Int.J.Cancer)、第
29巻、第539頁、1982年)により詳述されてい
るモノクローナル抗体B72.3を、DTPAのベンジ
ルイソチオシアネート誘導体により誘導し、精製して混
在する金属を除去し、111インジウム標識化に適してい
る組成物を形成した。実施例1にしたがって、111イン
ジウム標識化を繰り返し行い、次いで、平均放射化学的
収率を測定した。
【0063】米国特許出願第014,517号(出願日:
1987年2月13日、出願係属中)の実施例13に詳
述されている方法にしたがって、IgG1マウスモノクロ
ーナル抗体B72.3と、実施例1のDTPAのベンジ
ルイソチオシアネート誘導体とを反応させた。カップリ
ング反応に用いられた抗体に対するキレート化剤のモル
比は7.5:1であった。得られた結合体を0.05Mの
クエン酸塩バッファーにDTPAを溶解した0.1M溶
液(pH6.0)に対して2〜8℃で24時間、次いで、
さらに、0.05Mのクエン酸塩(pH6.0)に対して2
4時間、透析した。次いで、結合体溶液の濃度を5mg
/mlに調整し、バイアル1つ当たり1.0mlの試料
を、酸で洗浄したガラス製バイアルに採取した。次い
で、このバイアルをゴム栓で密封し、2〜8℃で貯蔵し
た。得られたB72.3組成物の1つのバイアルの分析
は、抗体1分子当たり平均5つのDTPA基を含有し、
前述の係属中出願に記載されたELISA法により測定
すると、誘導体化されていないB72.3の免疫反応性
の約60%を維持していることを示した。製造後58日
間にわたり、定期的に貯蔵庫からバイアルを取り出し、
塩化111インジウム(AEC)5mCiを注射器により入
れることにより、この組成物を試験した。室温で30分
間インキュベーションした後、メアーズ等の方法にした
がって、抗体に一体化された111インジウムの量を測定
した。このように全部で9つの標識化を行った。結果を
表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】111インジウム標識化されたB72.3の平
均放射化学的収率は95.5%(SD=1.5%)であり、
ELISA試験は、予備標識化(prelabelling)値に対
する標識化された製造物の抗体免疫反応性の損失を示さ
なかった。
【0066】実施例3 実施例2の組成物を、抗体1分子当たりキレーター5の
置換レベルで明らかな免疫反応性のわずかな損失を避け
るために、さらに最適化した。反応に用いられた抗体に
対するキレーターのモル比が5:1であった以外は実施
例2の記載にしたがって、モノクローナル抗体B72.
3と、DTPAのベンジルイソチオシアネート誘導体と
の結合を行った。実施例2の方法にしたがって、得られ
た結合体を精製し、バイアルに採取した。引き続き分析
を行ったところ、この組成物が抗体1分子当たり平均3
つのDTPA基を含有し、誘導体化されていないB7
2.3の免疫反応性の100%を維持していることが示
された。実施例2の記載にしたがって塩化111インジウ
ムにより標識化した場合、メアーズ等の方法にしたがっ
て試験すると、この組成物の放射化学的収率は94〜9
7%であった。
【0067】実施例3 111 インジウムにより実施例3の組成物を標識化し、精
製せずに、ヒト結腸直腸癌細胞株LS174Tの異種移
植片を施されたヌードマウスに注射した。次いで、注射
後48時間の111インジウム活性の生体内分布を測定
し、これらのデータを、抗体と結合していない111イン
ジウムを除去するために標識化後に精製を行った111
ンジウム標識化B72.3組成物を用いて得られた文献
値と比較した。この実施例で用いたマウスは、コルチャ
ー(Colcher)等(キャンサー・リサーチ(Cancer Re
s.)、第44巻、第5744頁、1984年)および前述
の係属中特許出願に記載されている。111インジウム標
識化した、比活性1μCi/μgの実施例3のB72.
3組成物のアリコートを、マウス1匹当たり抗体1μg
の投与量で、皮下LS174T腫瘍を施されたヌードマ
ウスの尾部静脈に注射した。48時間後、マウスを殺
し、ガンマーカウンターで計数することにより、種々の
組織の放射活性を測定した。これらのデータを表3に示
す。
【0068】
【表3】
【0069】(1)表示値は、n=10の平均値(±SD)
である。(2) エステバン(Esteban)等(ジャーナル・オブ・ニュー
クリア・メディシン(J.Nucl.Med.)、第28巻、第8
61頁、1987年)によるデータ。表示値は、n=3
または4の平均値(±SEM)である。111In標識化
は、DTPAのベンジルイソチオシアネート誘導体によ
り行った。(3) ブラウン(Braun)等(キャンサー・リサーチ(Cancer
Res.)、第47巻、第1149頁、1987年)による
データ。表示値は、n=5の平均値(±SD)である。
111In標識化は、DTPAの二環式無水物により行っ
た。
【0070】表3のデータから、本発明の画像化剤に用
いる111インジウム標識化B72.3組成物は、標識化後
精製を広範に行う技術として知られている111インジウ
ム標識化B72.3組成物により得られた生体内分布に
匹敵するかまたはそれよりも優れている生体内分布を呈
することがわかった。血液レベルは3つの組成物の全て
が同等であり、腫瘍摂取値は、標準偏差値において示さ
れるようにこのような腫瘍に固有の高い可変性を有す
る。細網内皮細胞系の器官(主として、肝臓および脾臓)
内への摂取は本発明の組成物が最も低く、これらの器官
内への高い摂取量はシンチグラフィ研究において厳しい
バックグラウンド問題を生じるので、本発明による組成
物は優れている。両方の従来技術組成物にみられる比較
的高い腎臓活性の原因は不明瞭であるが、これは、抗体
から分離され、内因性金属イオンの再吸収に通常含まれ
る機構により腎臓に保持されているインジウム活性を示
しているのかもしれない。
【0071】実施例5 免疫反応性を損失せずに、この個々のIgG分子に導入
され得るキレート化基の数を最適にするため、腎細胞癌
に存在する抗原を認識する、ベセラ(Vessella)等(キャ
ンサー・リサーチ、第45巻、第6131頁、1985
年)に詳述されているモノクローナル抗体A6Hと、D
TPAのベンジルイソチオシアネートとを、モル比を変
化させて反応させた。得られた結合体から混入している
金属を除去し、次いで、111インジウム標識化組成物を
形成した。次いで、結合体の、111インジウム標識化A
6Hの受容可能な放射化学的収量を数値化するため、標
識化試験を行った。
【0072】0.1MのKH2PO4/0.1MのNaHC
3バッファー(pH8.5)中、IgG1マウスモノクロー
ナル抗体を、DTPAのベンジルイソチオシアネート誘
導体の量を変化させながら、37℃で3時間反応させ
た。次いで、得られた抗体−DTPA結合体を、0.0
5Mのクエン酸塩バッファーに溶解したDTPAの0.
1M溶液(pH6.0)に対して2〜8℃で48時間、次
いで、0.05Mのクエン酸塩(pH6.0)に対して2〜
8℃で6日間、透析した。各結合体の濃度を5mg/m
lに調整し、次いで、メアーズ等(アナリティカル・バ
イオケミストリー、第142巻、第68頁、1984
年)の57コバルト結合アッセイによるIgG1分子当たり
のキレーターの平均数の評価、および固定された腎細胞
癌細胞を施した微量力価プレート上でのELISAアッ
セイによる免疫反応性の評価により、各調製物を評価し
た。また、実施例1の方法にしたがって、塩化111イン
ジウム(AEC)による標識化試験を行った。これらのデ
ータを表4に示す。
【0073】
【表4】
【0074】抗体に対するキレーターのモル比が25:
1および50:1で得られた結合体はいずれも、次に精
製せずに用いることのできる組成物を提供することが明
らかである。
【0075】実施例6 実施例5に記載の最適な方法により、ヒト肺腺癌細胞株
CALU−3に対して産生されたIgG1マウスモノクロ
ーナル抗体を採取した。0.1MのKH2PO4/0.1M
のNaHCO3バッファー(pH8.5)中、抗体を、DT
PAのベンジルイソチオシアネート誘導体の量を変化さ
せながら反応させた。得られた抗体−DTPA結合体
を、0.05Mのクエン酸に溶解したDTPAの0.1M
溶液(pH6.0)に対して2〜8℃で48時間透析し
た。次いで、各結合体の濃度を5mg/mlに調整し、
各々、57コバルト結合アッセイ法、固定化されたCAL
U−3細胞を被覆したプレート上でのELISAアッセ
イ法、および実施例1の方法にしたがった塩化111イン
ジウムによる標識化試験によって評価した。抗体に対す
るキレーター結合体(6.0:1)の放射化学的収率を、
メアーズ等の方法にしたがって測定した。これらのデー
タを表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】実施例7 CEAに対するIgG1マウスモノクローナル抗体のF
(ab')2断片を、実施例1にしたがって抗体の全てを標
識化するのに用いたDTPAのベンジルイソチオシアネ
ート誘導体により誘導体化した。得られた断片結合体を
精製し、混入する金属を除去し、高い放射化学的収率の
111インジウムによる標識化に適している組成物を形成
した。
【0078】0.1MのKH2PO4/NaHCO3バッフ
ァー(pH8.5)中、濃度5mg/mlの断片と、ベン
ジルイソチオシアネート誘導体とをモル比40:1で、
37℃で3時間反応させた。次いで、得られた断片−D
TPA結合体を、0.05Mのクエン酸塩バッファーに
溶解したDTPAの0.1M溶液(pH6.0)に対して2
〜8℃で48時間透析した。次いで、キレーター−抗体
断片結合体の濃度を5mg/mlに調整した。分析の結
果は、結合体が自然の(すなわち、非誘導体化)断片の免
疫反応性の全てを維持し、F(ab')21分子当たり平均
8つのキレート化基を含むことを示した。実施例1に記
載の条件下、塩化111インジウムによる標識化試験の結
果、メアーズ等のTLC法にしたがって試験すると、
111インジウム標識化断片の放射化学的収率は95%で
あった。
【0079】参考例1 実施例3の記載にしたがって製造したB72.3−DT
PA組成物を、111インジウム標識化B72.3を含む注
射溶液調製用「冷」キットに形成した。ここで、冷キット
とは、それ自体は放射活性がないが、患者に注射をする
直前に適切な放射性同位元素と混合される組成物を意味
する。実施例3の結合組成物は、非発熱化した(depyro
genated)バッファーおよびガラス器具を用いて無菌条件
下で製造した。得られた溶液を、無菌条件下、酸洗浄
し、ベイクし、オートクレイブ中で殺菌した容量5ml
のガラス製バイアル中に充填した。充填量はバイアル1
つ当たり0.6mlであり、結合体の濃度は10mg/
mlであった。次いで、水酸化ナトリウム溶液により洗
浄することにより非発熱化し、オートクレイブ中で殺菌
したゴム栓により、各バイアルを密封した。次いで、こ
のゴム製の栓を金環によりバイアルに密封した。次い
で、放射性同位元素販売主により得られる塩化111イン
ジウムとの結合に用いる場合、このようにして製造され
た各バイアルは、111インジウム標識化B72.3の単回
投与用製剤に適している冷キットを構成した。3か月に
わたり、11個のキットで111インジウム溶液の5mC
i試料を用いて、標識化試験を行い、メアーズ等の方法
にしたがって、放射化学的収率を測定した。これらのデ
ータを表6に示す。
【0080】
【表6】
【0081】放射性同位元素供給器は、実施例1に略記
されている。11個の標識化の全てにおける111インジ
ウムB72.3の平均放射化学的収率は96.5%(SD
=2%)であった。各111インジウム標識化された投薬剤
を、USPウサギ発熱試験により発熱性を、物質の微量
試料を培養することにより無菌性を、試験した。11個
の製剤の全てが無菌性であり、非発熱性であることがわ
かった。
【0082】参考例2 実施例1の記載にしたがって製造されたDTPAイソチ
オシアネート誘導体との抗−CEAモノクローナル抗体
結合体を、111インジウム標識化抗−CEAの注射溶液
を得るための「熱」キットに調製した。ここで、熱キット
とは、放射活性型で使用者に提供される放射性医薬を示
す。したがって、使用者によって放射性核種により標識
化しなければならない冷キットとは違って、熱キット
は、核薬局による患者への投与の最小限の操作を含む。
一般に熱キットは中央で大規模に製造され、要求に応じ
て末端消費者に分配されるであろう。これは逆に、放射
性標識化物質が、適度な期間、貯蔵されるのに充分な安
定性を有していることを必要とする。貯蔵寿命7日間に
製造物が約3回の半減期による放射活性減衰を被るの
で、111インジウム熱キットの適度な生産計画として
は、1週間に1ロットの製造が適当である。したがっ
て、標識化後7日間にわたり、免疫反応性およびインジ
ウム標識の結合安定性を維持する111インジウム標識化
抗−CEAのホットキット製剤化を改良することが目的
である。
【0083】この研究に用いた抗−CEA−DTPA結
合体は抗体1分子当たり平均4つのDTPA基を含んで
いた。この結合体を、0.05Mのクエン酸/0.1Mの
重炭酸ナトリウムバッファー(pH6.0)中に透析し、
濃度を5mg/mlに調整した。次いで、塩化111イン
ジウムの添加および室温で30分間のインキュベートに
より、この結合体を111インジウムにより標識化した。
得られた111インジウム標識化抗−CEA製剤を、充填
量1.0ml/バイアルで、バイアルに微量採取した。
初期比活性は抗体5mg当たり22.32mCiであっ
た。熱キットが高い初期比活性を必要とし、111InCl3
の添加量を増大させると結合溶液に対する酸性度が上昇
するので、pHの低下の結果として生じる免疫活性の損
失を防止するため、結合体溶液中に重炭酸ナトリウムバ
ッファーを合わせることが必要であった。メアーズ等の
キレーター攻撃/TLCアッセイ法およびELISA法
により、各々、標識化直後ならびに1日、2日、3日、
5日および7日後の、抗体に特異的に結合した111イン
ジウムの割合およびその免疫反応性を測定した。これら
のデータを表7に示す。
【0084】
【表7】
【0085】この調製物の標識化効率および免疫反応性
は、溶液中、2〜8℃で7日間保存しても変わらないま
まであったので、ならびに7日後の比活性(4.01mC
i/5mg)は許容範囲内のままであったので、本製造
例の製剤は注入用量の111インジウム抗−CEA抗体を
供給するための実行可能な熱キットを構成している。
【0086】実施例8 DTPAのベンジルイソチオシアネート誘導体との抗−
CEA結合体を調製し、混入する金属イオンを除去し、
放射性金属標識化用の組成物に配合した。次いで、得ら
れた組成物をガンマ線を放出する放射性核種、67ガリウ
ムで標識した。抗−CEA−DTPA結合体を実施例1
記載のようにして調製し、精製した。得られた物質は、
IgG 1分子あたり平均5個のDTPA基を含んでお
り、本来の抗−CEA抗体の免疫反応性のすべてを保持
していた。この結合体の溶液0.1mlを0.5mCiの
67ガリウムと混合し、得られた溶液を室温でインキュベ
ートすることにより、結合体[0.05Mクエン酸バッフ
ァー(pH6.0)中、5mg/mlの濃度で]を塩化67
リウム(ニュー・イングランド・ニュークリア)で標識
した。この溶液の一部を標識化の1時間後および24時
間後に取り、111インジウム標識の結合体を試験する
際に用いたと同じキレーター攻撃/TLC法を用いて67
ガリウム標識した抗体の放射化学的収率を測定した。こ
れらの結果を表8に示す。
【0087】
【表8】
【0088】標識化の24時間後に得られる95%の放
射化学的収率は、Bio-Rad TSK250サイジングカ
ラムのHPLCで確認した。許容性の67ガリウム標識し
た抗−CEA組成物が得られ、この組成物は標識化後に
さらに精製することなく使用するのに適していると結論
づけられる。
【0089】実施例9 111 インジウム標識した抗体の放射化学的収率に及ぼす
抗体結合したキレート化基の濃度の影響を、B72.3
と、および抗−CEA抗体とDTPAのベンジルイソチ
オシアネート誘導体によって得られる結合体について測
定した。抗−CEAおよびB72.3結合体は、それぞ
れ実施例1および2の記載のようにして調製し、精製し
た。抗−CEA−DTPA結合体は、IgG 1分子あた
り平均5個のDTPA基を含んでおり、0.05Mクエ
ン酸バッファー(pH6.0)中、初期濃度5mg/ml
であった(DTPAのモル濃度=1.56×10-4M)。
B72.3−DTPA結合体は、IgG 1分子あたり平
均3個のDTPA基を含んでおり、0.05Mクエン酸
バッファー(pH6.0)中、初期濃度10mg/mlであ
った(DTPAのモル濃度=1.88×10-4M)。0.0
5Mクエン酸塩(pH6.0)を希釈液とし、それぞれの
結合体の連続2倍希釈を行った。得られた溶液からそれ
ぞれ0.1mlずつ取り、塩化111インジウム(NEN)を
加え、室温で30分間インキュベートすることによって
111インジウム標識した。塩化111インジウムの添加量
は、B72.3については9μl(1.2mCi)、抗−C
EA抗体については4.5μl(0.6mCiの111インジ
ウム活性を使用)であった。次いで、それぞれの濃度で
得られる放射化学的収率をキレーター攻撃/TLC法で
測定した。これらの結果を表9および表10に示す。
【0090】
【表9】
【0091】
【表10】
【0092】標識した抗体の収率が劇的に低下する狭い
限界のキレーター濃度範囲がそれぞれの結合体について
存在するというのは注目すべきことである。また、この
限界濃度が、B72.3のもの(約2×10-5M)と抗−
CEA抗体のもの(約4×10-6M)とでは有意に異なる
というのも注目すべきことである。この相違がそれぞれ
の結合体に加えた111インジウム量(1.2mCiと0.6
mCi)のわずかな差異に由来するとはまず考えられな
い。悪性疾患を処置あるいは治療するためにヒト対象の
小さい悪性病巣を画像化するのは、最近の癌治療の第1
の目的である。悪性病巣すなわち腫瘍がごく初期の段階
で検出することができたら、手術、化学療法、放射線照
射、またはその他の方法による治療を行うことができ
る。結合体の放射活性画像化の部分に代えて細胞毒ある
いは治療剤を置換することにより、癌の治療に有用な新
たな治療法となる。本発明によれば、直径0.5cm以
上の腫瘍部分の小さな悪性病巣が画像化される。
【0093】放射活性が正常な肝組織に蓄積し、従って
検出を阻害する傾向にあるので、放射性標識した金属キ
レート抗体を用いて肝臓に存在する悪性病巣を画像化す
ることは特に困難である。しかし、本発明の画像化剤
は、この問題を回避することが示され、そして1または
それ以上の悪性病巣を有する患者に投与したときには、
陽性の放射活性蓄積としてこれら病巣を画像化する一貫
した能力を特徴とする。また、これらの画像化剤は、投
与したときから3日間にわたって実質的に単一相性の血
清放射活性クリアランス曲線を示す。また、これらの画
像化剤は、抗体用量に依存しない血清クリアランス曲線
および初期の分布容量;患者中で約20〜60時間の血
清半減期;および患者の循環血漿量に近い初期の分布容
量を特徴とする。
【0094】肝臓に存在するか、または身体の他の部位
に見出され、そしてCEAを発現する悪性病巣において
は、実施例1の方法に従って調製した111インジウム/
DTPA−イソチオシアネート/抗−CEA抗体結合体
の溶液を、選択の画像化剤として用いることができる。
約1000ng/cc以下の血清CEAレベルの患者を
画像化するのが好ましく、血清CEAレベルが500n
g/cc以下であればさらに好ましい。これらの病巣を
画像化する方法は、患者に画像化剤を投与し、患者を最
新のあるいは通常のスキャン手段でスキャンし、次いで
該病巣あるいは腫瘍を同定する工程からなる。CEA結
合体の溶液は、不適切に取り扱ったとき、特に凍結と解
凍を行ったときにそのヒト患者での活性を失う。満足な
結果を得るためには本発明の画像化剤および治療剤はす
べて適切な取り扱いが必要であると考えられる。
【0095】以下の試験例に示すとおり、金属キレート
標識された抗体を患者に投与して臨床学的放射性免疫検
出法を行った。試験例1 表11の患者1にS状結腸腺癌を取り除くための手術を
した。手術の初期時に、腹部のコンピータ連動断層撮影
(CT)スキャンは転移性疾病について陰性であった。術
後、患者は血清CEAレベル7.6ng/ccを有して
いた。最初の手術から約3か月後、患者の血清CEAレ
ベルは23.5ng/ccに達したが、CTスキャンは
如何なる腫瘍部位に関しても陰性のままであった。実施
例1の方法によって製造した111インジウム/DTPA
−イソチオシアネート/抗−CEA抗体結合体溶液5.
0mgを20分間かけて患者に注射した。患者の核スキ
ャンは、肝臓の左葉に腫瘍部位を示した。これはMRI
スキャンにより立証され、その後、手術により取り除い
た。術後CEAレベルは1.3ng/ccにまで低下し
た。
【0096】試験例2〜9 表11に、患者1〜9の臨床歴を示す。各患者の疾患の
進行度は、試験例1に記載の患者1とほぼ同じであり、
漸次的である。各患者の癌を取り除く最初の手術の後、
各患者の術後血清CEAレベルは正常レベルに戻った。
最初の手術後、しばらくすると、血清CEAレベルは正
常レベルよりも上昇し始めた。血清CEAレベルの上昇
のために新しい腫瘍があると思われるが、慣用のスキャ
ニング法は、新しい腫瘍部位を同定することはできなか
った。これらの患者に本発明の111インジウム/DTP
A−イソチオシアネート/抗−CEA抗体結合体溶液か
らなる画像化剤を投与し、新しい腫瘍部位を同定した。
新しく同定された腫瘍は手術またはバイオプシーにより
確認された。
【0097】
【表11】
【0098】試験例10 1000ng/cc以下のCEAレベルを有する患者だ
けをこの方法を用いて画像化することが好ましいけれ
ど、CEAレベル2546ng/ccを有する患者4を
試験した。この患者は、S状結腸の腺癌に起因する迅速
な進行性疾病を有していることが知られていた。主とし
て発見されたことは、免疫複合体の形成による非常に短
期の血清半減期(表12)であり、肝臓および脾臓におけ
る放射能の蓄積の上昇であった。それにもかかわらず、
スキャンによる陰影欠損のような多数の肝臓の病変が見
られ、後にバイオプシーにより確認した。
【0099】試験例11 患者1〜9の血清クリアランス消失時間および分布量を
算出し、結合体の動態を特徴付けた。結果を表12に示
す。
【0100】
【表12】
【0101】血清からの放射性標識されたモノクローナ
ル抗体結合体溶液の消失は、平均半減期38時間を有す
る消失動態を呈する。血清CEAレベルが500ng/
cc以下である場合、消失半減期は投与された用量によ
り影響されなかった。以上のことから、個々の用法に適
合させるための本発明の種々の変化および変形は、当業
者には理解されるであろう。
フロントページの続き (72)発明者 パトリック・イー・ロジャーズ アメリカ合衆国イリノイ60030、グレイ スレイク、ウエスト・ヒッコリー17542 番 (56)参考文献 特開 昭61−72723(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 51/00 C07K 16/30 G01N 33/536 G01N 33/574 CA(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射性金属/キレーター/抗腫瘍抗体結
    合体の溶液からなり、0.5cmまたはそれ以上の直径
    の腫瘍塊の悪性病変を1個またはそれ以上有する患者に
    2.5〜20mgの全抗体の投与量にて投与したときに
    放射性の陽性の蓄積として該病変を一貫して画像化する
    ことができ、血清放射能クリアランス曲線が投与のとき
    から3日間にわたって本質的に単一相的である画像化剤
    であって、該放射性金属/キレーター/抗腫瘍抗体結合
    体の溶液が放射性金属を含む第一の溶液をキレーター/
    抗腫瘍抗体結合体の第二の溶液でキレート化することに
    よって生成されたものであり、該第二の溶液が、工程: (a)キレーターに結合した抗腫瘍抗体の濃度が10-4
    〜1Mの濃度であるキレーター/抗腫瘍抗体結合体の第
    二の溶液を、バッファー中の未結合キレート化剤の溶液
    に、該キレーター/抗腫瘍抗体結合体から所望でない金
    属イオンを実質的に除去するのに充分な時間、暴露し、
    その際、該未結合キレート化剤の溶液の濃度が、0.0
    1Mよりも大きく、かつバッファー中のキレーターに結
    合した抗腫瘍抗体の濃度の少なくとも10倍であり、そ
    の際、該バッファーが所望でない金属イオンを溶液中に
    保持するのに充分な強度を有し、かつ該所望でない金属
    イオンを該キレーター/抗腫瘍抗体結合体から該未結合
    のキレート化剤へ移動させるのに適したものであり、 (b)該未結合のキレート化剤の溶液から該キレーター
    /抗腫瘍抗体結合体を分離および回収し、ついで (c)回収した該キレーター/抗腫瘍抗体結合体中のキ
    レーターに結合した抗腫瘍抗体の濃度を10-4〜1Mに
    調節し、その際、該キレーター/抗腫瘍抗体結合体は所
    望でない金属イオンを実質的に含まないものであるによ
    り製造されたものであることを特徴とする画像化剤。
  2. 【請求項2】 放射性金属/キレーター/抗腫瘍抗体結
    合体の溶液からなり、0.5cmまたはそれ以上の直径
    の腫瘍塊の悪性病変を1個またはそれ以上有する患者に
    2.5〜20mgの全抗体の投与量にて投与したとき
    に、 (i)放射性の陽性の蓄積として該病変を一貫して画像
    化することができ、 (ii)分布した初期容量が患者の循環血漿容量に近似し
    ており、 (iii)該結合体の血清半減期が20時間〜60時間で
    あり、 (iv)血清放射能クリアランス曲線が投与のときから3
    日間にわたって本質的に単一相的であり、 (v)分布の初期容量および血清クリアランス曲線が抗
    体の投与量とは独立している画像化剤であって、 該放射性金属/キレーター/抗腫瘍抗体結合体の溶液が
    放射性金属を含む第一の溶液をキレーター/抗腫瘍抗体
    結合体の第二の溶液でキレート化することによって生成
    されたものであり、該第二の溶液が、工程: (a)キレーターに結合した抗腫瘍抗体の濃度が10-4
    〜1Mの濃度であるキレーター/抗腫瘍抗体結合体の第
    二の溶液を、バッファー中の未結合キレート化剤の溶液
    に、該キレーター/抗腫瘍抗体結合体から所望でない金
    属イオンを実質的に除去するのに充分な時間、暴露し、
    その際、該未結合キレート化剤の溶液の濃度が、0.0
    1Mよりも大きく、かつバッファー中のキレーターに結
    合した抗腫瘍抗体の濃度の少なくとも10倍であり、そ
    の際、該バッファーが所望でない金属イオンを溶液中に
    保持するのに充分な強度を有し、かつ該所望でない金属
    イオンを該キレーター/抗腫瘍抗体結合体から該未結合
    のキレート化剤へ移動させるのに適したものであり、 (b)該未結合のキレート化剤の溶液から該キレーター
    /抗腫瘍抗体結合体を分離および回収し、ついで (c)回収した該キレーター/抗腫瘍抗体結合体中のキ
    レーターに結合した抗腫瘍抗体の濃度を10-4〜1Mに
    調節し、その際、該キレーター/抗腫瘍抗体結合体は所
    望でない金属イオンを実質的に含まないものであるによ
    り製造されたものであることを特徴とする画像化剤。
  3. 【請求項3】 悪性病変が肝臓内にある請求項1または
    2記載の画像化剤。
  4. 【請求項4】 放射性金属が111インジウムである請求
    項3記載の画像化剤。
  5. 【請求項5】 抗体が抗癌胎児性抗原(CEA)抗体で
    あり、悪性病変がCEAを表す請求項4記載の画像化
    剤。
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