JP3068270U - 履物用プラスチックシャンク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】中底３０下面の踵部分からふまず部全体に
至る面積の少なくとも半分以上を覆うプラスチック製の
帯板１で形成する。この帯板１を踵部分からふまず部に
かけて湾曲する略アーチ状に屈曲する。肉厚の中央部分
から周囲に向けて次第に薄くなる周囲縁２を設ける。帯
板１の上面を略平面状に形成する。帯板１の長手方向に
沿って補強板５を埋設する。補強板５を金属材で形成す
る。帯板１のふまず部方向の先端がわに、帯板１の最大
幅を有する幅広部４を形成する。 【効果】薄く柔らかい中底を、ヒールの付いたサンダル
やパンプスに装着することが可能になる。極めて屈曲性
に富むヒール付履物を提供できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、例えば、ヒールの付いたパンプスやヒールの付いたサンダルなどに 装着するのに好適な履物用プラスチックシャンクに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

靴用のシャンクは、一般に踏まず芯とも称されるもので、もともとは靴のふま ず部に当たる中底と表底との間に挿入される補強芯で、足のふまずアーチ部の荷 重の支持と、形状の保持をしている。更に、歩行の際の衝撃的荷重を適度な弾力 性で分散吸収する役目も果している。このシャンクの多くは鋼鉄製で、ふまずア ーチに合わせて成形し、焼き入れをした板バネを、中底に組み込んで使用するの が一般的である。ヒールの高い婦人靴では、硬いバッカード（シャンクボード） にハトメでかしめられて強靭なふまず部を形成した中底として供給されている （株式会社ぜんしん発行 靴の商品知識 改定17版参照）。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、従来のシャンクは後付けで中底に固定するか、あるいは中底にシャ ンクを組み込む構造になるので、シャンクを使用するヒール付靴の中底には、シ ャンクの取り付けに耐え得る強度を有する硬質の中底が使用されている。したが って、従来のシャンクでは、薄く柔らかい材質を中底として使用することは、強 度上不可能であった。

【０００４】 そこで本考案は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、ヒールの付いた サンダルやパンプスにも薄く柔らかい中底を使用することが可能になる履物用プ ラスチックシャンクの提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上述の目的を達成すべく本考案の第１の手段は、中底３０下面の踵部分から、 ふまず部全体に至る面積の少なくとも半分以上を覆うプラスチック製の帯板１で 形成され、肉厚の中央部分から周囲に向けて次第に薄くなる周囲縁２を設けると 共に、帯板１の上面を略平面状に形成し踵部分からふまず部にかけて湾曲する略 アーチ状に屈曲したことにある。

【０００６】 また、第２の手段は、帯板の内部に、帯板１の長手方向に沿った補強板５を埋 設する。

【０００７】 更に、第３の手段は、補強板５を金属材で形成したことにある。

【０００８】 そして、第４の手段は、帯板１の、ふまず部方向の先端がわに、帯板１の最大 幅を有する幅広部４を形成したことを課題解消のための手段とする。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下、本考案を図示例に基づいて説明する。

【００１０】 本考案履物用シャンクは、主にヒールの付いたサンダルやパンプスに装着する もので、これらの中底下面の踵部分から、ふまず部全体に至る面積の少なくとも 半分以上を覆うプラスチック製の帯板１で形成している（図６参照）。この帯板 １は、長手方向に沿った中央部が肉厚状に形成され、この中央部から周囲に向け て次第に薄くなる周囲縁を設けている（図３参照）。また、帯板１の上面は、ほ ぼ平面状に形成されており、帯板１の断面形状は下面が湾曲状を成している。こ の帯板１を、踵部分から、ふまず部にかけて湾曲する略アーチ状に屈曲する（図 ２参照）。帯板１の屈曲角度はヒールの高さに応じて任意に設定されるものであ る。

【００１１】 図示の帯板１は、長手方向に沿って補強板５を埋設している（図１参照）。こ の補強板５は、主に鋼鉄などの金属材を使用する他、グラスフィバーやカーボン ファイバー等の強靭な材質を補強板５に使用することも可能である。

【００１２】 一方、帯板１に使用するプラスチック材は、曲げ強度、衝撃強度などの機械的 性質に優れたものを使用し、更に、耐熱性、耐寒性に優れたものが好ましい。ま た、金属材の強度、耐熱性、寸法安定性に匹敵する特性を有するF.R.P やF.R.T. P 等を使用することで、補強板５を使用しない実施も可能である。

【００１３】 帯板１の幅は、通常使用されている鉄製シャンクのおよそ2.5 倍以上の幅を有 しており、例えば、女性用の履物には、長さ約14.5cm、幅約4.6cm の帯板１を使 用している。このプラスチック製の帯板１は、任意な成形が可能であり、踵の膨 らみや土踏まずの曲面に沿った緩やかな曲面形状に形成することができる。また 、帯板１の踵部分上面に、踵の曲面に沿った緩やかなカーブを描く湾曲凹部３を 形成することで、薄く柔らかい中底３０を使用した際の違和感を解消することが できる（図１参照）。

【００１４】 更に、帯板１の幅は、ふまず部方向の先端部において最も広くなる幅広部４を 形成している。この幅広部４は、薄く柔らかい中底３０に、広く馴染むように形 成した部分で、幅広部４の先端は僅かに湾曲しながら広がっている。

【００１５】 本考案を装着する中底３０は、甲皮１０と裾テープ２０と中底３０とが一体に 縫着される、所謂、カリフォルニア式と称される製法で使用されるタイプの薄く 柔らかい材質である（図４参照）。図示の中底３０は、スポンジを中物３１とし て内包した状態を示しており、裾テープ２０に吊り込まれた中底３０の下面に中 底裏３２が表出している（図５参照）。この表出した中底裏３２に帯板１の上面 を接着する（図６参照）。そして、本考案プラスチックシャンクを接着した中底 ３０を、表底５０にゴム圧着にて固定する。

【００１６】 尚、本考案プラスチックシャンクは、主に婦人靴として用いられるヒールの付 いたパンプスやヒール付のサンダルなどへの装着に好適であるが、ヒールが付い た履物であれば紳士靴や他の履物等にも装着可能である。また、本考案プラスチ ックシャンクを接着する中底３０は、薄く柔らかい中底３０に限られない。

【００１７】

【考案の効果】

本考案は、上述の如き構成により当初の目的を達成した。

【００１８】 すなわち、中底３０下面の踵部分から、ふまず部全体に至る面積の少なくとも 半分以上を覆うプラスチック製の帯板１で形成され、肉厚の中央部分から周囲に 向けて次第に薄くなる周囲縁２を設けると共に、帯板１の上面を略平面状に形成 し踵部分から、ふまず部に沿って湾曲する略アーチ状に屈曲したことにより、本 考案プラスチックシャンクを中底３０と馴染ませた状態で接着し、薄く柔らかい 中底３０を強化することができる。この結果、ヒールの付いたサンダルやパンプ スにもカリフォルニア式製法で使用される薄く柔らかい中底を使用することが可 能になった。

【００１９】 また、帯板１の内部に、帯板１の長手方向に沿った補強板５を埋設することで 、帯板１の強度を高め、更に、この補強板５金属材で形成することで、従来の金 属製のシャンク以上の強度と安定性を実現した。

【００２０】 そして、帯板１の、ふまず部方向の先端がわに、帯板１の最大幅を有する幅広 部４を形成したことにより、薄く柔らかい材料の中底３を確実に保持して中底３ の強度を高めることができる。

【００２１】 このように本考案によると、薄く柔らかい中底を、ヒールの付いたサンダルや パンプスに装着することが可能になり、屈曲性に富むヒール付履物を提供するこ とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案プラスチックシャンクの一実施例を示す
一部切り欠き斜視図である。

【図２】本考案プラスチックシャンクの一実施例を示す
側面図である。

【図３】図２に示す矢視III-III 線断面図である。

【図４】本考案プラスチックシャンクを使用した一実施
例を示す斜視図である。

【図５】図４に示す矢視 V-V 線断面図である。

【図６】本考案プラスチックシャンクを中底に接着する
状態を示す分解斜視図である。

【符号の説明】

１ 帯板 ２ 周囲縁 ３ 湾曲凹部 ４ 幅広部 ５ 補強板 １０ 甲皮 ２０ 裾テープ ３０ 中底 ３１ 中物 ３２ 中底裏 ４０ 表底 ５０ ヒール

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 中底下面の踵部分から、ふまず部全体に
   至る面積の少なくとも半分以上を覆うプラスチック製の
   帯板で形成され、肉厚の中央部分から周囲に向けて次第
   に薄くなる周囲縁を設けると共に、帯板の上面を略平面
   状に形成し、踵部分からふまず部にかけて湾曲する略ア
   ーチ状に屈曲したことを特徴とする履物用プラスチック
   シャンク。
2. 【請求項２】 前記帯板の内部に、帯板の長手方向に沿
   った補強板を埋設した請求項１記載の履物用プラスチッ
   クシャンク。
3. 【請求項３】 前記補強板は、金属材で形成された請求
   項１又は２記載の履物用プラスチックシャンク。
4. 【請求項４】 前記帯板において、ふまず部方向の先端
   がわに、帯板の最大幅を有する幅広部を形成した請求項
   １乃至３いずれか記載の履物用プラスチックシャンク。