JP3024073B2 - タンパク質中のウイルスを不活性化する方法 - Google Patents
タンパク質中のウイルスを不活性化する方法Info
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Description
ことは、出発材料として使用される血漿を選択する色々
な方法が導入された後であっても、ウイルス感染のリス
クを決して免れない。多くの場合、ウイルス汚染の存在
は血清学的マーカー(アルカリ性アミノトランスフェラ
ーゼ)および特異的抗体(ヒト免疫不全ウイルス:HI
V1型および2型;C型肝炎ウイルス:HCV)の存在
を介して間接的に測定される。従って、上述の間接的イ
ンジケーターの検出可能量が現れる前に潜伏期間があ
る。ウイルスの大量増殖は感染後のこの期間(窓期間)
中に起こる。ウイルスの種類によって、このウイルス血
症段階は感染後3〜6カ月まで継続することがある。
トは感染後の最初の数週間(B型肝炎ウイルス表面抗
原:HBsAg)、HIVとHCVについては2、3週
間または1、2カ月内に検出することができる。ヒト血
漿血液製剤は、通常1000人単位を優に超えるきわめ
て多数の献血から調製されるため、いわゆる「窓期間」
にあり高いウイルス力価を有する(しかも分析的には抗
体陰性の)単位が、血漿全体の初期プールを汚染する統
計的蓋然性は高い(Alegre Amor,A.:L
a tranmission de enfermed
ades virales por producto
sSanguineos.Congreso Hema
tologia deGranda,Nov.199
4:175−178参照)。
えばポリメラーゼ鎖増幅反応(PCR)によるウイルス
ゲノムの直接的測定は目下、完成最終製品または出発血
漿の初期プールに適用される。従って検出されるには最
小汚染レベルが高いことが必要である。従って、陰性P
CR値はウイルスの完全な不在として解釈することはで
きず、同様に陽性値であってもウイルスの感染性を示す
とは限らない。従って、依然として血液製剤の製造およ
び精製の工程中にウイルスの不活性化または弱毒化の特
異的ステップを置く充分な理由がある。
に関して数多く発表され、血漿製品にウイルスが存在し
ないことを検査するために製造方法をモニターすること
に重点を置いた研究が続けられている。
(未知のウイルスの可能性のため)不可能であること、
また血液製剤の調製における優良製造基準(GPS)か
らの誤差や逸脱の可能性や、交差汚染といった観点か
ら、製造工程においてとくにウイルスの不活性化工程に
二重の特異的不活性化工程を組み入れることが現在の潮
流となっており、ウイルス伝播のリスクを大幅に軽減す
ることになっている(EEC基準(CPMP):III
/8115/89)。
ウイルスが脂質外被エンベロープを有するか否かに係わ
らず全種類を対象として第2の不活性化ステップを組み
入れることを勧告している。血漿感染ウイルスのうち、
目下最も危険と認識されているのは、ヒト免疫不全ウイ
ルスおよび肝炎ウイルス(とくにB型およびC型)であ
り、これらは公知の方法により不活性化することができ
る。
HV)またはサイトメガロウイルス(CMV)、EVウ
イルス(EBV)またはヒト免疫白血病ウイルス(HT
LV−I/II)によっても汚染されることがある。こ
れらウイルスは血漿から除かれる細胞(白血球)に強く
付着する点からみて血漿移行の可能性はわずかである。
A型肝炎ウイルスやヒトパルボウイルス(PVH B1
9)などそのほかのウイルスが血漿中に存在することが
あるが、給血者における頻度が比較的高いため後者が主
である。これら2種のウイルスは、血漿により伝播され
るものとしては物理的、化学的不活性化に対し最も抵抗
性であるが、感染が健常患者で起こる限り、そのほかの
ウイルスよりも危険は小さいとみることができる。ヒト
パルボウイルスは、免疫低下患者や治療中の妊婦(胎児
に対し)に潜在的な危険性がある(Mosquet,
N.et al.:Atteinte hematol
ogique severe lors d’une
infection a paravovirus B
19:Des injections d’antit
hrombine III sont−elles a
origine de la contaminat
ion? Therapie 1994; 49: 4
59−76参照)
いない最も抵抗性のあるウイルスを殺すことのできるそ
の他の周知の不活性化方法を第2の不活性化ステップに
追加すべきである。これらの方法はこれらのウイルスの
いくつかまたはそのモデルについて確認しておく必要が
ある。今日まで、当業界で知られているウイルス除去方
法は、物理的機序および化学的機序に基づいて不活性化
するおよび/または分画により汚染を少なくするもので
ある。最もよく確立された今日の方法は以下の順に分類
することができる。
n−ブチルとリン酸アルキル誘導体、TNBP)および
界面活性剤(Tween80またはポリソルベート、ト
リトンX−100または非イオン界面活性誘導体)によ
る処理(Horowitz,B.et al.: 不安
定血液製剤におけるウイルスの不活性化:I.リン酸ト
リ−(n−ブチル)界面活性剤の組合せによる脂質エン
ベロープウイルスの破壊。Transfusion 1
985;25:516−522参照)。 −中間または最終ステップにおいて、安定剤の存在下1
0時間、60℃での液体中での低温殺菌(Uemur
a,Y.et al.: 静注用免疫グロブリン製剤の
分画の間に行うウイルスの不活性化および除去。Vo
x.Sang.1989; 56: 155−61参
照)。 −中間ステップまたは完成最終バイアル瓶(通常)段階
の、80℃以上の温度で加熱時間を長くして行なう乾燥
加熱処理(乾燥HT)(Knevelman,A.et
al.: 濃縮第VIII凝固因子を強く乾燥加熱処
理する際の単糖類の効果。Vox.Sang.199
4; 66: 96−103参照)。 −ウイルスのナノフィルトレーション、即ちウイルスの
大きさよりも小さい均一の孔を有する膜によるウイルス
の濾過(Burnouf−Radosevich,M.
et al.,高純度濃縮第IX因子濃度および第XI
因子に適用される新しいウイルス除去法、ナノフィルト
レーション。Vox.Sang.1994; 67:
132−138参照)。 −以下のその他の方法は用いられることが少なく、ある
いは使用が中止されている。有機溶媒による乾燥加熱処
理、β−プロピオラクトン−UV(BPL−UV)、メ
チレンブルー−UVによる不活性化(Wagner,
S.J.et al.: 哺乳類の血漿中メチレンブル
ーの遺伝毒性評価: ウイルス不活性化との関連。Tr
ansfusion 1995;35(5): 407
−413参照)、中等度pHでの処理(γグロブリンの
みに適用可能)(Kempf C.et al.: 静
注用免疫グロブリン製造時のウイルス不活性化。Tra
nsfusion 1991; 31(5): 423
−27参照)。一般に、これらの方法はウイルスを弱め
たり分離したりするのに有効であるが、すべてがウイル
スを効率よく除去するわけではなく、どれも全種類のウ
イルスを完全に除いたり、顕著に弱毒化せることはでき
ない。従って、それぞれの方法には利点と欠点がある。
満たすことが理想であるが、その要件のいくつかは目下
広く用いられている不活性化方法の大部分は満たしてい
ない。このような要件として次のようなものが挙げられ
る。 1.いくつもの不活性化の方法が精製工程に適用される
場合、それらは異なる機序を介して作用すること。例え
ば、物理的方法(不活性化または分画)は化学的方法
(不活性化)と組合せるのがよい。 2.方法がいかなる種類のウイルスに対しても効果があ
ること。不活性化の方法は脂質エンベロープを持たない
ウイルスのように物理的および化学的抵抗性が高いウイ
ルスに対しては限界があるかまたは全く効果がない(こ
うしたウイルスに対してはS/D処理は無効であり、B
PL−UVまたはメチレン−ブルー−UV法および80
℃よりも低い温度による乾燥加熱処理は効果が低下す
る)。基本的には低温殺菌法はいかなる種類のウイルス
にたいしても不活性化の方法として有効であるが、安定
剤またはタンパク質の濃度がきわめて高いときにはこれ
らが保護剤として働くためその効果は阻害される。従っ
て高濃度の安定剤および/またはタンパク質を含有する
培地における大部分の熱抵抗性ウイルスの場合には、ウ
イルスの減少は顕著でない。膜によるウイルスの濾過
は、物理的および化学的抵抗性に関係なくいかなる種類
のウイルスも減少させるが、膜の孔とウイルスとの大き
さの関係に左右される。従って、いちばん小型のウイル
スは完全に除去することはできず、不幸にもこうしたウ
イルスのほとんどには脂質エンベロープがない(ヒトパ
ルボウイルス、A型肝炎ウイルスおよびポリオウイル
ス)。
または変性を誘発してはならず、あってもその効果はき
わめて小さくなければならず、いかなる場合も抗原性を
有する物質となってはならない。化学的不活性化の方法
のなかには(BPL−UV)、タンパク質の化学的変性
の原因となるものもあり、同様に乾燥または液体状態で
の熱処理(低温殺菌)は、必ずと言っていいほど該当分
子であれ付随する汚染タンパク質であれタンパク質変性
を引き起こす。 4.最終ステップで使用できること。化学的不活性化
は、メチレンブルーによる不活性化の方法を除いて(た
だしこの反応の副産物は完全に無毒というわけではない
という点に留意すべきである)、使用する化学的試薬
(S/D、BPL、チオシアネート)を分離する必要が
あるため、最終ステップでの使用は難しい。また、一部
の低温殺菌は、変性物質および/または使用する安定剤
のその後の除去に必要なため、中間ステップにおいて実
施される。乾燥加熱処理は多くの場合、最終段階または
完成バイアル瓶において適用される。基本的にナノフィ
ルトレーションは、最終完成バルク溶液において行われ
るので場合によってはその後の操作が不要になる。
毒性残留物(化学的試薬)も存在してはならない。ほと
んどの化学的処理には試薬を有効に除去するためにその
後のステップが必要である。最大許容限界値は化学的汚
染物の毒性および製剤の使用頻度に応じて決定すべきで
ある(前に述べたS/D、BPLおよびチオシアネート
の場合と同じように)。不活性化(加熱による)または
分画(微小濾過)の方法にはもちろんこれらの欠点はな
い。 6.産業規模での操作が可能であり、プロセスは完全に
再現性があって、容易に調整できる既知のパラメータで
モニターされるべきである。化学的不活性化は温度や曝
露時間に加えて製品(タンパク質、塩、安定剤および化
学的試薬)の濃度により影響される。しかし、コントロ
ールできないパラメータにより上述の不活性化薬の消費
が促進されたり(化学反応が生じる場合)、不活性化を
行う出発溶液が再現性のない条件下にある(粒子および
沈降物等の存在)場合がしばしばある。乾燥加熱処理
(完成バイアルでの)による不活性化はバイアル中の残
存水分含量により左右されるが、これはバッチごとに変
動しやすいため、このパラメータを正確にモニターする
ことはできない。
単な方法が好ましい。上記の5.ですでに述べたとお
り、化学的不活性化には毒性試薬を除去するするために
その後のステップが必要である。また、化学的不活性化
は、タンパク質の保護に高い安定性を必要とする低温殺
菌法に影響を及ぼす(FIX−、FVIII−、ATI
II−、α−PI−、IM−またはIV−γグロブリン
等の低温殺菌)。 8.不活性化の方法は、使用する材料や試薬に関して産
業規模で使用でき、費用が許容できるものでなくてはな
らない。ナノフィルトレーションは器具を1回使用する
と廃棄しなければならない例であり、1時間当たりおよ
び単位面積当たりのタンパク質のグラム単位の生産性は
低く、従って産業に用いるとタンパク質の生産が低く制
限される。最後に、脂質エンベロープのないウイルスの
不活性化については、新しい殺ウイルス法の効果や、処
理されるタンパク質に起る可能性のある変性が無害であ
ることを示そうとする多数の研究が引き続き行われてい
る(Highsmith,F.A.et al.: 架
橋デンプン−ヨードによる正常ヒト血漿中脂質エンベロ
ープモデルウイルスの不活性化。Transfusio
n 1994; 34: 322−327参照)。
VH B19)およびA型肝炎ウイルスは、ヒト血漿中
または血液製剤中に伝播される脂質エンベロープのない
主要なウイルスである。従って、第2の不活化工程は、
主にこれらのウイルスを減少させることをめざして発展
させるべきである。ヒトパルボウイルスおよびA型肝炎
ウイルスは、S/Dだけで不活化されたAHFを投与さ
れた血友病患者において検出されている。低温殺菌によ
り不活化されたAHFの注入によりヒトパルボウイルス
に感染したとの記述もある。高濃度での安定化媒質中の
タンパク質を低温殺菌してもウイルスは保護され、PV
HB19およびHAVに関しては感染性の低下は有意で
ないことが示されている。最近、アンチトロンビンII
I製剤を妊婦に投与した後の胎児における合併症の症例
がいくつか報告されている(Mosquet,N.et
al.: Atteinte hematologi
que severe lors d’une inf
ection a paravoviurus B1
9: Desinjections d’antith
orombine III sont−elles a
origine de la contaminat
ion? Therapie 1994; 49: 4
59−76参照)。これらの症例はヒトパルボウイルス
の汚染によるものであり、そのこと自体リスク−ベネフ
ィット比および代替治療の可能性に照らして禁忌の理由
となる。
により保護して変性が起きないようにした条件下でpH
を極端にアルカリ側にして殺ウイルス処理をすることよ
り、生体液に由来するタンパク質を含有する媒質中に存
在する脂質エンベロープを有するウイルスまたは有して
いないウイルスを効果的に不活性化することである。導
入部ではまずウイルス伝播のリスクを低下させるための
二重不活化ステップなど不活性化の特異的方法の使用に
ついて具体的に述べた。この導入部では理想的な不活化
方法の要件についても示し、これが引き続き当該技術の
目的であり、研究の対象であることを示した。また、脂
質エンベロープを有していないウイルスを減少させるた
めの工程が行われていない血液製剤(アンチトロンビン
III)の投与が特異的禁忌とされる例についても述べ
た。主として最終生成物(アンチトロンビンIII)に
抵抗性ウイルス(ヒトパルボウイルス)が存在する疑い
があるので治療での使用が禁忌となっている製品の場
合、現在の技術水準では脂質エンベロープのないウイル
スの効果的で低コストな除去という、本発明の基本的な
目的は達成されていない(Mosquet,N.et
al.: Atteinte hematologiq
ue severe lors d’une infe
ction a paravoviurus B19:
Des injections d’antitho
rombine III sont−elles a
origine de la contaminati
on? Therapie 1994; 49: 45
9−76参照)。
を直接の対象とする極端なアルカリpHでのウイルス不
活化方法についての記述や記録は存在しない。アルカリ
には一部のウイルスに対する潜在的な殺傷能があること
が知られているだけである。従ってクロマトカラム、限
外濾過器およびそのほかの再使用可能な器具においてバ
ッチ間の交差汚染を回避するための消毒の方法として使
用されてきているが、この方法が治療で静脈投与される
血漿タンパク質のウイルス不活化のために使用されたこ
とはない。極端なアルカリpHでの不活性化の可能性
は、本発明において述べられた方法により得られるタン
パク質の安定性および保護効果に基づくものである。全
体としてタンパク質に対する作用機序に基づくこの方法
は、全く新規なものであり、すでに述べたように現時点
で知られているいかなる方法とも異なる。
は異なり中等度の酸性pH(pH4)でのγグロブリン
中のウイルス不活性化の応用に関するものだけであり、
37℃でのインキュベーションおよびタンパク分解酵素
(ペプシン)との相乗作用により、何種かのウイルスを
効果的に減少させるものである(Kempf C.et
al.: 静脈注射用免疫グロブリン製造時のウイル
ス不活性化。Transfusion 1991; 3
1(5): 423−27参照)不安定ウイルスの感染
性は、これ以外の条件、中等度の酸pH(pH 4.2
5)で、最終製品(γグロブリンとマルトース)におい
て21℃で20日間のインキュベーション中に効果的に
減少するが、脂質エンベロープのないウイルスでは大し
た減少は認められない。しかし、本発明の主な目的(脂
質エンベロープのないウイルスの不活性化)はこれまで
充分に達成されておらず、この目的を達成するために使
用される方法(安定剤の存在下に極アルカリpHでの不
活性化)は、今までこの目的のためには適用されておら
ず、全体として本発明に絶対的な新規性を与えるもので
もある。
エンベロープを有していない(または有する)ウイルス
を不活性化できることに基づくものである。無機酸(塩
酸)または弱酸(クエン酸、酢酸等)の添加により、中
等度の酸性媒質で安定酸性タンパク質(γグロブリン)
を存在させたウイルス不活性化については、結果がすで
に発表されている。それによると、感受性ウイルスで、
主に脂質エンベロープを有するウイルス(ヒトヘルペス
ウイルスおよびマウス白血病ウイルスX−1)の場合に
大幅な不活性化が得られることが述べられている。しか
し、pH4でウイルスを大幅に減少させるためには、周
囲温度を上回る温度(37℃)でタンパク質溶液をイン
キュベートする必要がある。これにより依然として感染
性である小水疱性口内炎ウイルス(VSV)を除き、脂
質エンベロープを有するモデルウイルスを完全に不活性
化できる。
のウイルスに無効であるため、37℃でのインキュベー
ションが酸性pHと共働作用する(Kempf C.
etal.: 静脈注射用免疫グロブリン製造時のウイ
ルス不活性化。Transfusion 1991;
31(5): 423−27参照)。γグロブリンの最
終バイアル(そのマルトース賦形剤とともに)でpH
4.25で20日間21℃でウイルスの不活性化を行な
うことについても以前記載されており、ここでは物理的
および化学的抵抗性がないウイルスは完全に不活性化さ
れるが、脂質エンベロープを持たない抵抗性のあるウイ
ルス(シミアンウイルス40;レオウイルス3)は不活
性化されないことが示されている。また、ポリオウイル
スまたはA型肝炎ウイルスなど酸性媒質に対する抵抗性
のあるいくつかのウイルスが知られ、記述されている
(Roberts,Peter L. et al.:
金属キレートアフィニティークロマトグラフィーによ
る高純度FIX精製中のエンベロープおよび非エンベロ
ープウイルスの不活性化。Vox.Sang.199
4; 67(1):69−71参照)。これらの場合、
感染性の低下は実際にゼロである。
アルカリ溶液による器具(カラム、限外濾過器等)消毒
により、処理バッチ間の交差汚染を回避する殺ウイルス
効果についての従来技術の記述がある(Grun,Ja
net B. et al.:生物薬剤の精製によるウ
イルスの除去/不活性化。BioPharm 199
2;5(9):22−30)が、この方法は、治療に用
いるタンパク質について特異的にウイルス不活性化する
ために極限pH条件下で適用されたことはない。
くはそのほかの安定剤または賦形剤の非存在下で極端な
pHにした場合のアルカリ性水酸化物の殺ウイルス効果
が示されている。脂質エンベロープを持つウイルス、持
たないウイルスに関して得られた結果では、両種類のウ
イルスに対する高い殺ウイルス効果が示されている。従
って、A型ポリオウイルス(A型肝炎のモデル)および
イヌパルボウイルス(そのヒト相同ウイルスのモデル)
はいずれも不活性化することができる。極端なアルカリ
pHでの本発明による方法はも低温殺菌による不活性化
とは異なる作用機序に基づいているため、これらの方法
は相互に加えて補足することができると考えられる。
にウイルスを不活性化できるかどうかは、媒質における
タンパク質の安定性に大きく左右される。タンパク質の
なかには塩基性pHでより構造的安定性を示すものがあ
り、本発明による方法は主にこのタイプの、セリンプロ
テアーゼおよびその関連酵素にたいする阻害剤のような
中等度に安定なタンパク質を対象とし、アンチトロンビ
ン(ATIII)、プロテアーゼインヒビターのα1
(α1−アンチトリプシン)およびセリンプロテアーゼ
インヒビター分子と構造的類似性を有するヒトアルブミ
ンをあげることができる。
めには、タンパク質を安定化し、変性を回避しなければ
ならない。一般的にタンパク質を安定化するさまざまな
化合物が記述されており、その通常の目的は、低温殺菌
または加熱処理による不活性化工程中の分子の完全性を
維持し、液体標品または凍結乾燥標品のいずれかである
最終製品における生物学的活性を維持することである。
次の主なグループの多数の化合物が使用される。
ル(サッカロース、マルトース、マニトール、ソルビト
ール、デキシトリン、ポリエチレングリコール、等) − アミノ酸(リシン、グリシン、ヒスチジン、アルギ
ニン、等) − タンパク質(アルブミン)および − 有機酸またはその塩(カプリル酸、クエン酸、ED
TA、等) 無機塩も生理的濃度で賦形剤として使用されているが、
その目的は充分な等張性および(主に凍結乾燥の場合)
溶解度を得ることに限られ、主な物質としては塩化ナト
リウム、リン酸ナトリウム等である。ウイルス不活性化
のための極端なアルカリpHでのタンパク質安定化の具
体例は、本発明以前に触れられていない。従って、上述
の一般的な方法が適用可能であると考えられるかもしれ
ない。しかし、これらの方法により、ウイルスを不活性
化すべきタンパク質は充分に保護されることはない。
で不活性化するために、潜在的に毒性であったり、除去
するのが困難である外部因子を導入せずにタンパク質を
安定化することが可能となった。極限pHでの処理によ
るタンパク質安定化の理論は、推測に基づいたタンパク
質の疎水性相互作用および溶液中の高濃度の塩(塩化ナ
トリウムなど)の可逆性作用による分子サイズの変化
(折りタタミ)に基づいている。曝されている疎水性領
域がさらに多くなることにより電荷(溶媒)の反発が起
こるため、分子の収縮は生物活性部位を保存する助けと
なる。安定剤はいかなる種類の無機塩でもよく、充分な
イオン電荷を有する媒質を提供することが可能なとくに
ポリイオン性のものである(例えば、硫酸アンモニウ
ム、塩化ナトリウム等)。一方、イオン強度が増大する
とウイルスの安定性が増す可能性は少なくなる。これは
ウイルスの外被が固いタンパク質やリポタンパク質の構
造を有するため、収縮および疎水性によってそれ自体保
護されることはほとんどないないためである。
極端にアルカリpHにおいてウイルスを不活性化する方
法を記載する。このタンパク質溶液は続いて治療的に使
用するのに安定であり、ヒトもしくは動物に由来するか
または組換えDNA技術により得られるものである。通
常、不活性化処理は、その前の工程での残留汚染の危険
性を回避するために、製造工程の最終段階で適用され
る。また、処理後の不必要な沈殿または分離を回避する
ために十分な純度の画分を用いることが好ましい。
は、アンチトロンビン(ATIII)、α1プロテイナ
ーゼインヒビター(α1−PI)または血清アルブミン
について述べる。出発可溶化タンパク質溶液または画分
は、冷却エタノール、もしくはポリエチレングリコー
ル、オクタン酸、イオン交換またはアフィニティークロ
マトグラフィー、あるいは極限アルカリpHで不活性化
処理するための高純度の画分が得られるそのほかの方法
を用いてCohn、Cohn−Oncley、Kist
ler−Nischmann分画から得ることができ
る。
ことであり、大量に存在するならば賦形剤および塩を軽
減することが好ましい。タンパク質溶液中に変性剤(例
えば、エタノール)が存在する場合は、それを除去また
は大幅に削減することも必要である。これを実施する方
法は、分子排除樹脂(商業製品: Sephadex、
Sepharose、Sephacryl、Ultra
gel、Sephacel等)によるゲル濾過または好
ましくはタンパク質の大きさにより分子孔サイズが1〜
50KDの限外濾過膜(Pelliconモデル、Mi
lliporeによる)を介して水に対してダイアフィ
ルトレーションをする方法である。もう一つ別の方法
は、透析溶液の重量モル浸透圧濃度の値が好ましくは3
00mOsm/kgを下回るまで、ニトロセルロース
膜、セロファン膜またはキュプラファン膜(製品:I
DEL M−11)による従来の透析である。300m
Osm/kgの値は、タンパク質溶液のイオン強度の値
が安定剤の必要な添加量から減じられる場合はこれに限
定されない。
が、当該タンパク質の溶解度によってタンパク質濃度を
25%と0.001%との間、好ましくはウイルス不活
化処理されるタンパク質によって5%と0.1%との間
になるようにする。この溶液を0〜45℃、好ましくは
タンパク質にもよるが2〜4℃の温度に調節する。この
溶液に0.005モル〜飽和量の中性または非中性イオ
ン塩(アルカリ金属もしくはアンモニウムイオンの塩化
物または硫酸塩、あるいはカルボン酸のアルカリ塩、
等)を添加する。好ましくは実際の溶液1kgあたり1
〜4モルの塩化ナトリウムを単独またはこの溶液に充分
なイオン強度を与えることができるそのほかの塩を加え
たものと混合して添加する。必要に応じて、これら特定
物質と同時に最終製品の組成部分を形成する賦形剤また
は安定剤を添加することができる。ただしこれらはつね
に処理中の極限pHに対して抵抗性でなければならな
い。
金属水酸化物溶液(好ましくは、0.001M〜飽和)
を撹拌しながら加える。あるいは、タンパク質および媒
質と相溶性であり、ヒドロキシルイオンの充分な濃度を
提供するとともに、溶液のpHを10.0〜14.0、
好ましくはpH12〜13にすることが可能であるその
ほかのアルカリ溶液を撹拌しながら加える。溶液の温度
は0〜45℃、好ましくは2〜4℃に維持する。pHは
市販のいかなるpHメータ(Crison製、Hann
a)によっても調整できるが、正確な調整はpH10.
00でホウ酸塩緩衝液で予め行うべきである。処理中の
曝露時間はできるだけ最低限度とし、100時間以内で
インキュベーションは1秒間よりも長く、好ましくは、
最大pHおよび短い曝露での処理に対応する1〜60分
とする。インキュベーション時間が終わり次第に、好ま
しくは塩酸の添加により、または別の強いもしくは弱い
無機酸あるいは有機酸、またはpHを中性に近い値もし
くは望ましい値に低下可能なそのほかの系を用いること
により、溶液のpHを10より低くする。
を調整するが、好ましくは、溶液のイオン強度を適切に
低下させるために、望ましい最終調整液にふさわしい組
成の充分量の透析溶液を用い、滅菌した使い捨て透析カ
ートリッジ(1 DEC M−11または同等のもの)
または限外濾過膜、好ましくは1〜50kD(Mill
iporeによるPelliconモデル)を使用する
ことにより行う。調整したバルクの溶液は、0.22μ
mの膜で濾過することにより滅菌することができ、その
後にバイアルに分注して液状、または必要に応じて凍結
乾燥品の体裁とすることができる。
mlのウイルス濃縮液を温度4℃で19mlの0.1N
水酸化ナトリウム溶液に接種し、pHを12.5〜13
とすることにより試験した。表1に指定したそれぞれの
時間でサンプルを取り、細胞培養用に酸で中和した。ア
ッセイの対象としたウイルスは、ウシヘルペスウイルス
すなわちBHV(脂質エンベロープのあるウイルス)お
よびイヌパルボウイルスすなわちCPVのほかヒトポリ
オウイルス2型(いずれも脂質エンベロープのないウイ
ルス)である。培養細胞中の細胞変性効果(TCI
D50)により計算を行った。結果を表1に示す。
の3種類のウイルスでウイルスが有意に減少したため
(≧4log)、この処理は特異的不活性化ステップと
考えることができる。
監視を本発明による方法により行った。これは2種類の
ウイルス、すなわちウシヘルペスウイルスおよびイヌパ
ルボウイルスのアッセイにより行った。ウイルス不活化
の対象タンパク質は、7IU/mgタンパク質を超える
比活性を有する最終精製アンチトロンビンIII(ロッ
ト番号5139)であり、タンパク質濃度は0.8%で
あった。アッセイすべきウイルスのためにそれぞれ4
5.1gのアンチトロンビンIII溶液を取り、8.7
gの塩化ナトリウム安定剤、0.81gのクエン酸三ナ
トリウム二水和物および1.06gのマニトールをそれ
ぞれ賦形剤として述べた順に添加した。それぞれを添加
するたびに、生成物を可溶化した。次にこの溶液を氷水
浴で1.0±0.5℃に冷却すると同時にそれぞれのウ
イルスの接種材料4.5gを連続的に添加し、混合後に
10gのサンプルを取った。また、溶液のpHが12.
5±0.05になるように、2N水酸化ナトリウム1.
75mlを添加した。こうした条件下で1時間処理した
後、それぞれのアッセイを中和した。これは2N塩酸を
1.55ml加え、pHが6.7〜6.9となるのをチ
ェックして行った。この方法により得られる感染性の低
下を定量化するためにそれぞれのアッセイの最終サンプ
ルを対応する増殖細胞中に培養した。計算は細胞変性T
CID50のアッセイにより行った。結果を次の表2に示
す。
験した2種類のウイルスについて有意である(≧4lo
g)。イヌパルボウイルスの例においては、減少レベル
は実際上、タンパク質および安定剤の非存在下における
場合(実施例1)と同じであり、残存感染性は測定限界
値(8.0X102ユニット)を下回っていた。
かにするため、本発明による方法を実施して最終凍結乾
燥製品まで作成した(アンチトロンビンIII)。二回
のアフィニティークロマトグラフィーにより精製して吸
光度(A280nm)4.20、活性43.1IU/mlと
した濃縮アンチトロンビンIII85.3g(lot
05/1)に実際溶液1リットルあたり塩化ナトリウム
3モルを加えて安定化させた。次に賦形剤を加えこの溶
液1リットル当たりそれぞれ20gのクエン酸三ナトリ
ウム二水和物とマニトールを加えた。さらにこの溶液を
氷水浴で冷却し、全体の処理の間、3±1℃に維持し
た。次にpHが12.50±0.02になるまで2N水
酸化ナトリウムを加えた(Crison pHメータ
ー、pH10.00でホウ酸塩緩衝液により校正)。1
時間のインキュベート後、pHが中性に近くなるまで2
N塩酸で中和した。
リウム、クエン酸ナトリウムおよびマニトールを含有す
る全体で5倍量の透析緩衝液を用いて、10kD分子分
画の無菌限外濾過カートリッジ(モデルTFF Pre
pScale、2.5sq.ft.Millipore
製)内で一定量になるまでダイアフィルトレーションを
行った。得られた溶液を所要力価に調整し、0.22μ
m膜により滅菌濾過し、バイアルに分注して凍結乾燥し
た。最終生成物について分子変性があるかどうかを知る
ために性質を調べた。アルカリ処理中に安定剤(塩化ナ
トリウム)が与える保護は、ウイルス不活性化工程にお
ける活性の回収および比活性を測定することにより明ら
かにされた。得られた値を次の表3に示す。
る試験に基づき次のように明らかにされた。 ヘパリンアフィニティ:排出(親和性なし)=3% (ヘパリン−樹脂 溶出(親和性あり)=90% セファロース 6FF) 免疫電気泳動 ヘパリンとの交差反応:遅い形(低アフィニティー)=
4.2% 分子分布(HPLC):凝集(ポリマー) =3.
6% 電気泳動 (セルロースアセテート/アミドブラック):バンドα
2=99.6% 比活性:IU/mg総タンパク質 =7.9 (*)分子量:SDS−PAGE=58,500(単一
バンド) 還元状態下(2−ME)=68,500(単一バンド) (*)エレクトロフォーカス(等電点)=4.98 主
バンド 4.90 副次バンド (*)結果は、本発明による不活性化処理の有無に関係
なく、最終バイアル中の精製ATIIIについてはみな
同じであった。 次の表4は、不活性化の有無に関し同じ製造ロット内の
凍結乾燥バイアルから水で再構成したトロンビンIII
溶液の安定性を比較したものである。
イにより、タンパク質分子の構造的または機能的変性は
確認されなかった。
チトロンビンIIIの存在下に上述した安定剤を異なる
濃度で存在させて不活化処理を行い、生物活性の回収を
測定することにより示した(呈色基質法)。単一製造ロ
ット(no.305690)から精製アンチトロンビン
III溶液を5.00gづつ取り、下記の安定剤−塩化
ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよびマニトール−の
漸増量を表5に示したとおり添加した。安定化溶液を氷
水浴で2〜4℃に冷却後、pHが12.50±0.55
になるまで2N水酸化ナトリウムを加えた。こうした条
件下、それぞれのサンプルを1時間インキュベートし、
さらに2N塩酸で中和してpHを7.0±0.2とし
た。アンチトロンビンIIIの活性の回収は、それぞれ
のサンプルの不活化処理の前後で測定して決定した。
は塩化ナトリウムとそれより少量の、タンパク質に充分
な安定性を与えることが可能なクエン酸ナトリウムなど
そのほかの塩との混合液の保護効果を示している。最適
な安定化組成は、ATIII活性を維持するがウイルス
に対する保護効果は最小限度である組成である。これは
ウイルスを保護することがない安定剤(塩化ナトリウ
ム)の最小濃度を用いることにより達成される。この最
適な組成は、実際の溶液1リットル当たり塩化ナトリウ
ム175.5g(または塩3モル)を添加、あるいはも
っと善いのはさらにこれに前述のクエン酸三ナトリウム
二水和物(0.067モル/リットル最終溶液)を添加
することにより得られるものである。
I)のようなセリンプロテアーゼ酵素の阻害剤群のその
ほかのタンパク質のウイルス不活化を行うために同じ方
法が使えることを示すものである。この目的で、プロテ
アーゼインヒビター(α1 PI)に対する塩化ナトリ
ウムの保護効果を試験するためさまざまな安定剤濃度で
のアンチエラスターゼ活性の回収を監視した。α1PI
の出発精製溶液(比活性1.05 IU/ml:A
280nm)は8.8IU/mlのアンチエラスターゼ活性
を示した。この溶液を20.0mlづつ取り、塩化ナト
リウムの量を段階的に変えて溶液に加えることにより安
定化した。溶かした後氷水浴で2〜4℃の温度に冷却
し、pHが12.50±0.05になるまで2N水酸化
ナトリウムを加えてウイルスを不活性化した。この条件
下、1時間インキュベートした後、2N塩酸を直接添加
することによりそれぞれのサンプルを中和した。不活化
画分のサンプルを取り、それぞれのアンチエラスターゼ
活性、比活性および回収を測定した。それぞれの結果を
次の表6に示す。
顕著な保護効果を示した(測定値>100%回収および
比活性>1.5IU/ml:A280nm)
有するそのほかのタンパク質について調べた。方法は静
脈注射用の精製安定化ヒトアルブミンのアルカリ不活性
化処理によった。5%アルブミン調整溶液(カプリナー
トおよびトリプトファナート含有)を生理的食塩溶液
(0.9%)で希釈して2%および5%タンパク質の2
つの溶液を調製した。この2%溶液を2つに分け、一方
に3モル/lとなるよう塩化ナトリウムを加えた。次に
すべての溶液を氷水浴で2〜4℃の温度に冷却した。2
N水酸化ナトリウムの添加により、それぞれの溶液のp
Hが12.50±0.05となるようにし、こうした条
件下に1時間インキュベートした後、2N塩酸で中和し
てpHを7.0±0.2とした。次に、塩濃度のいちば
ん高いサンプルを、アルブミン溶液に含まれているのと
同濃度の安定剤(カプリナートおよびトリプトファナー
ト)の溶液に対して、Cuprofanカートリッジ
(製品1 DEL M−11)内でイオン強度が十分に
生理的値に低下するまで透析した。イオン強度を調整し
た後、10kD膜の限外濾過器(Millipore社
のTFF PrepScale)でそれぞれの溶液をタ
ンパク質濃度が5%になるまで濃縮した。それぞれのア
ッセイにおいてサンプルの安定剤濃度、タンパク質濃度
(5%)、等張性(0.15M塩化ナトリウム)および
pH7.0±0.2の調整を行った。最終工程は、0.
22μm滅菌膜(Millipore社のPVDF)で
ろ過して50mlのバイアル入れ、これを60±0.5
℃で10時間低温殺菌した。アッセイの各タンパク質お
よび塩の濃度の溶液および不活性化処理をしていない対
照のサンプルを採取した。最終生成物の分子組成(分子
分布HPLC)および安定性を評価した。結果を表7に
示す。
理した後の濁度の上昇を測定。
間を測定した。精製アンチトロンビンIIIの出発溶液
(比活性>6IU/mgタンパク質)を、塩化ナトリウ
ムおよびクエン酸で安定化した後、2N水酸化ナトリウ
ムを添加し、さまざまなpH、温度および曝露時間で不
活性化した。次にそれぞれの溶液を中和し、サンプルを
とってATIII活性をモニターした。それぞれの処理
後の活性の回収を計算した。処理の正確な条件および結
果を次の表8に示す。
後の治療的用途に安定であり、ヒトもしくは動物が起原
であるか、または組換えDNAの技術により得られるタ
ンパク質溶液中の最大pHで一般的にウイルスを不活性
化する方法が得られる。なお本願発明の目的のために
は、記載したプロセスの本質を変えるものでないかぎり
どのような改変をする事もできる。
Claims (10)
- 【請求項1】 イオン性塩安定剤により充分に安定させ
たタンパク質の出発溶液を0−45℃に温度調節し、ア
ルカリ媒質下pH10以上で処理した後、インキュベー
ション、酸の添加による中和、および透析またはダイア
フィルトレーションによる安定剤の除去、の各段階をへ
て、調整されウイルスが不活化された溶液を得ることを
特徴とするタンパク質の溶液中のウイルスを不活性化す
る方法。 - 【請求項2】 出発タンパク質は事前に精製され、変性
物質を含有していないことを特徴とする請求項1記載の
タンパク質中のウイルスを不活性化する方法。 - 【請求項3】 タンパク質の出発溶液はタンパク質濃度
が0.001〜25%(W/V)、好ましくは0.1〜
5%に希釈されることを特徴とする請求項1または2に
記載のタンパク質中のウイルスを不活性化する方法。 - 【請求項4】 前記タンパク質は塩化ナトリウムを添加
して安定化されるかまたは、別の中性もしくは非中性イ
オン性塩を単独あるいは塩化ナトリウムと混合して添加
して安定化されることを特徴とする請求項1乃至3に記
載のタンパク質中のウイルスを不活性化する方法。 - 【請求項5】 塩化ナトリウムまたは別のイオン性塩を
0.005モル/lから飽和となるように添加する、好
ましくは塩化ナトリウムを溶液1リットル当たり1〜4
モル添加する、ことを特徴とする請求項4記載のタンパ
ク質中のウイルスを不活性化する方法。 - 【請求項6】 安定化されたタンパク質溶液は2〜4℃
に温度調節されることを特徴とする請求項1乃至5に記
載のタンパク質中のウイルスを不活性化する方法。 - 【請求項7】 タンパク質溶液のpHが12〜13にな
るまで0.001Mから飽和の濃度のアルカリ溶液を添
加することからなる請求項1記載のタンパク質中のウイ
ルスを不活性化する方法。 - 【請求項8】 アルカリ溶液が好ましくはアルカリ金属
水酸化物(ナトリウム、カリウム等)または水溶液中に
おいて充分なヒドロキシルイオンを解離するその他の化
合物の溶液からなることを特徴とする請求項7記載のタ
ンパク質中のウイルスを不活性化する方法。 - 【請求項9】 インキュベーション段階が1秒〜100
時間、好ましくは1分〜60分かかることを特徴とする
請求項1記載のタンパク質中のウイルスを不活性化する
方法。 - 【請求項10】 塩酸あるいは無機(または有機)の強
酸もしくは弱酸の溶液を添加して、pH値を10よりも
低下させ、溶液を中性または望ましい値にすることで中
和して処理を終了させることを特徴とする請求項1記載
のタンパク質中のウイルスを不活性化する方法。
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