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JP3016122B2 - 塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製法 - Google Patents

塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製法

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JP3016122B2
JP3016122B2 JP7265461A JP26546195A JP3016122B2 JP 3016122 B2 JP3016122 B2 JP 3016122B2 JP 7265461 A JP7265461 A JP 7265461A JP 26546195 A JP26546195 A JP 26546195A JP 3016122 B2 JP3016122 B2 JP 3016122B2
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JP
Japan
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less
plating
steel sheet
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plating film
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JP7265461A
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恭行 丹野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication of JP3016122B2 publication Critical patent/JP3016122B2/ja
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  • Coating With Molten Metal (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の車体等に
用いられる合金化溶融亜鉛めっき鋼板、特に自動車車体
外板用に適した、塗装性に優れ、鮮映性の高い塗装を施
すことができる合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方
法とに関する。
【0002】
【従来の技術】溶融亜鉛めっき後に熱処理してめっき皮
膜をZn−Fe合金とした合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、優
れた塗装後耐食性や溶接性を示すため、自動車用防錆鋼
板としてその需要が近年増加傾向にある。
【0003】自動車車体外板に適用する場合、塗装後に
鮮映な仕上がり外観が要求されるため、合金化溶融亜鉛
めっき鋼板の表面は平滑である方が好ましい。合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の表面粗さを小さくする方法として、
母材鋼板の表面粗さを規定したものがある (例えば、特
開平4−285149号公報) 。しかし、合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の表面の粗さや平滑性は、めっき皮膜の合金化に
よって生成した表面合金相の結晶凹凸に支配され、母材
鋼板の表面粗さの影響は小さいため、この方法はあまり
有効ではない。
【0004】また、溶融亜鉛めっきの皮膜中Al量やその
後の合金化温度を規定し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
表面粗さを小さくしたものも公知である (特開平3−21
1264号公報) 。しかし、これは合金化温度が低いため、
摺動性を劣化させる軟質なζ相がめっき表面に残存す
る。
【0005】一方、亜鉛めっき槽に侵入する時の鋼板温
度を高くしたものもある (特開平4−83860 号公報) 。
しかし、侵入板温が上昇すると、アウトバースト反応
(母材粒界異常反応) が増加し、表面の粗さはかえって
増加する。
【0006】さらに、深絞り性に優れ、自動車車体用に
よく使用される極低炭素Ti添加鋼を母材とする合金化溶
融亜鉛めっき鋼板について、母材へのCu添加とめっき皮
膜のAl量を規定することにより表面平滑性を向上させる
ことも提案されている(特開平6−17216 号公報) 。し
かし、母材にCuを添加すると、めっき皮膜が厚くなり、
加工性が劣化する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗装
性に優れ、鮮映な塗装仕上がりが得られ、さらに耐パウ
ダリング性、摺動性といった他の特性も良好な合金化溶
融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供することで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者はまず母材鋼板の表面粗さを変化させて合
金化溶融亜鉛めっき鋼板を試作した結果、母材鋼板の表
面粗さがめっき表面の平滑性に及ぼす影響は小さいこと
がわかり、合金化反応を制御することが重要であるとの
結論を得た。
【0009】合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面には、合
金化過程で合金相結晶が形成される際に部分的に合金相
結晶が異常成長することにより、ミクロ凹凸と呼ばれる
表面凹凸が形成され、これがめっきの外観の不均一化や
表面粗さの増大を生じ、塗装性を低下させる。ミクロ凹
凸が形成される原因は、合金化熱処理時に亜鉛との界面
付近の鋼中粒界から異常に早い鉄拡散が起こるいわゆる
アウトバースト反応によるものであり、この反応により
反応周辺のZnを取り込んで凸状に合金相が形成されると
推定される。従って、粒界からの鉄の拡散を抑制するこ
とができれば、ミクロ凹凸の形成が制御され、表面粗さ
の小さい均一な外観のめっき皮膜が得られる。
【0010】この観点から検討を重ねた結果、母材の鋼
中にBを添加すると、粒界の清浄性が低下し、鉄の拡散
が制御されること、さらに鋼中にTiおよびNbを添加する
と、母材結晶粒が細粒化して粒界反応の起点が増加し、
周辺のZnの取り込みが減少するため、凸状合金相の成長
が抑制されることを見出した。しかし、単に母材の鋼中
にB、Ti、Nbを添加するだけでは、アウトバースト反応
を十分に抑制することはできず、めっき外観の均一性や
表面粗さの向上はなお不十分であった。
【0011】そこでさらに検討したところ、めっき前の
鋼板の焼鈍過程において一定範囲の前酸化を行った後、
還元焼鈍してから溶融亜鉛めっきを行い、次いで比較的
高めの温度で熱処理を行ってめっき層を合金化させる
と、アウトバースト反応が著しく抑制され、合金化が均
一に進行して、めっき外観が均一で、表面粗さが小さ
く、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られ
ることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】母材にTi、Nb、Bを添加した合金化溶融亜
鉛めっき鋼板は、特開平4−80349号に記載されてい
る。この公報には、母材鋼板の熱間圧延および冷間圧延
条件、焼鈍後のめっき槽への侵入板温、合金化温度をそ
れぞれ特定範囲とすることにより、耐パウダリング性に
優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造されることが記
載されている。しかし、焼鈍中に前酸化を行うことや、
合金化温度を高めに設定することは記載されておらず、
まためっき鋼板の塗装性についても考慮していない。
【0013】ここに、本発明の要旨は、重量%で、C:
0.008 %以下、 Si:0.02%未満、Mn:0.7 %以下、
P:0.05%以下、S:0.01%以下、 N:0.005 %
以下、Al:0.10%以下、 Ti:0.04%以下、Nb:0.03
%以下、 B:0.0003〜0.0020%、残部Feおよび不可
避的不純物より成る組成の鋼板上に、Fe:7〜15%、A
l:0.05〜0.50%、残部Znおよび不可避的不純物より成
る組成の、目付量が70g/m2以下、外観均一性 (めっき皮
膜の厚み方向断面積の欠陥がない場合の理論断面積に対
する比) が90%以上のめっき皮膜を有することを特徴と
する、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板であ
る。
【0014】本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、上
記組成の鋼板に、焼鈍後に溶融亜鉛めっきおよび合金化
熱処理を施すことにより、Fe:7〜15%、Al:0.05〜0.
50%、残部Znおよび不可避的不純物より成る組成の目付
量70g/m2以下のめっき皮膜を形成することにより製造さ
れるが、その際に焼鈍を前酸化とその後の還元焼鈍によ
り行い、この時の前酸化量とめっき後の合金化熱処理温
度が次式を満たすようにする。
【0015】0.45B<A< 0.7B T> 530−5A+50C ここで、 A:前酸化量 (g/m2) B:めっき皮膜中Fe量 (g/m2) C:めっき皮膜中Al濃度 (wt%) T:合金化熱処理温度 (℃) 。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼
板は、前述したように母材がTi、NbおよびBを含有する
特定の鋼組成を有し、さらにめっき皮膜の組成および付
着量も上記のように制限される。その理由についてまず
説明する。なお、以下の説明において、鋼組成およびめ
っき皮膜組成に関する%は全て重量%である。
【0017】母材鋼組成 C:Cは鋼中に必然的に含有される。しかし、Cが多く
なると鋼板の強化には寄与するが、Cは鋼中でTi、Nbと
結合して TiC、NbC の化合物を形成するため、それだけ
Ti、Nbの添加量が多くなり、コスト的に不利となる。そ
のため、C含有量を0.008 %以下に制限する。好ましく
は 0.002〜0.005 %である。
【0018】Si:本発明では母材にSiを添加しなくても
よい。しかし、添加する場合、0.02%以上になると、め
っき前の焼鈍の際にSiが鋼板表面に濃化するため、鉄地
と亜鉛めっき層の密着性が著しく低下する。このため、
Si含有量は0.02%未満とする。好ましくは0.015 %以下
である。
【0019】Mn:MnはSの固着のため必要であるが、多
いとr値の低下が著しい。特に、0.7 %を超えると1.5
以上のr値を得るのが困難となるので、0.7 %以下に制
限する。好ましいMn含有量は 0.1〜0.4 %である。
【0020】P、S、N:鋼中のP、S、Nはいずれも
Tiと結合して、TiPFe 、TiS 、TiN の金属間化合物を形
成し、固溶Tiを消費する。そのため、Cを固定するため
のTiが余分に必要になるので、Pは0.05%以下、Sは0.
01%以下、Nは0.005 %以下とする。
【0021】Ti:Tiは鋼中のNを固定してTiN を形成
し、深絞り性に悪影響を及ぼす固溶Nを減少させる。ま
た、NbおよびCとともにTiC 、NbC として析出し、結晶
粒を細粒化させる。しかし、その含有量が多すぎると、
過剰のTiによって深絞り性が劣化するようになるので、
Ti含有量を0.04%以下とする。Ti含有量が少なすぎても
上記効果が不十分となるので、好ましくはTiを 0.005〜
0.03%の量で添加する。
【0022】Nb:上述したように、Nbも細粒化の効果が
あり、Tiと一緒に複合添加すると細粒化の効果が一層増
加する。多すぎるとコストが増大するため、Nb含有量は
0.03%以下とする。Nbが含有量が少なすぎても細粒化が
不十分となるので、0.003 %以上のNbを添加することが
好ましい。
【0023】B:本発明によれば、B添加によって鋼中
粒界にBが偏析し、この粒界に偏析したBがめっき層の
合金化時の鉄の異常粒界拡散を抑制するため、粒界を起
点としたアウトバースト反応が抑制される。この効果を
得るには、0.0003%以上のBの添加が必要である。しか
し、B添加の量が多いとコストが増大するため、B含有
量の上限は0.0020%とし、好ましくは0.0009%以下であ
る。
【0024】めっき皮膜 目付量:めっきが厚目付の場合、合金化に伴ってアウト
バースト反応が起こっても、めっき量が多いため、めっ
きの流動性により、めっき陥没部にZnが侵入し、めっき
陥没が抑制される。一方、めっきが薄い場合には、この
ようなめっきの流動性によるめっき陥没の抑制効果が期
待できない。この抑制効果が期待できない目付量の上限
が70g/m2であることが判明した。従って、本発明では、
めっき流動性が低く、アウトバースト反応によるミクロ
凹凸が形成され易い、目付量が70g/m2以下の合金化溶融
亜鉛めっき鋼板に対して適用する。
【0025】Fe:めっき皮膜中のFeは、合金化処理によ
る相互拡散により鋼板素地から拡散したFeである。この
Feが7%未満では、合金化めっき皮膜の表層にZn相が残
存するため、溶融性、摺動性が劣化する。また、存在す
る初期鉄−亜鉛合金相であるζ相が粗大で、めっき外観
を損なう。一方、Feが15%を超えると耐パウダリング性
が劣化する。よって、めっき皮膜中のFe量を7〜15%と
する。好ましくは9〜12%である。
【0026】Al:Alは、溶融亜鉛浴中に添加されたAlに
由来するものであって、浴中の添加量に依存した量でめ
っき皮膜中に含まれる。めっき皮膜中のAlが0.05%未満
では、鋼板表面とZnとの反応が激しく、ドロスの発生量
が増加し、作業性が劣化すると同時に、めっきの密着性
が低下し、耐パウダリング性が劣化する。一方、Alが0.
5%を超えると、合金化熱処理工程における合金化速度
が著しく低下し、操業が阻害される。また、めっきと鋼
板の間に形成されるFe−Al相が強固になり、母材粒内か
らの鉄拡散がほとんど行われず、結果として粒界からの
鉄拡散のみとなり、アウトバースト反応の場合と同様に
なって、めっき外観を損なう。よって、めっき皮膜中の
Al量を0.05〜0.5 %とする。好ましくは 0.1〜0.3 %で
ある。
【0027】なお、Alはめっき皮膜中に富化する傾向が
あり、浴中Al濃度に比べて皮膜中のAl濃度は最高で約2
倍程度まで高くなる。従って、溶融亜鉛浴に上記範囲よ
り低目のAlを添加して、めっき皮膜中に0.05〜0.5 %の
範囲の所定量のAlが含有されるようにする。合金化熱処
理中には、めっき皮膜中のAl含有量は実質的に変動しな
い。
【0028】本発明の方法によれば、上記組成の鋼板
に、焼鈍後に溶融亜鉛めっきと合金化熱処理を施すこと
により、上記組成および目付量のめっき皮膜を形成する
が、その際に焼鈍を前酸化とその後の還元焼鈍により行
い、この時の前酸化量とめっき後の合金化熱処理温度を
特定範囲にする。それにより、めっき外観の均一性が90
%という、外観均一性が高く、塗装性に優れた合金化溶
融亜鉛めっき鋼板が得られる。次にこの点について詳し
く説明する。
【0029】めっき外観均一性 めっき外観均一性は、本発明では、めっき皮膜の厚み方
向断面積の、欠陥がない場合の理論断面積に対する比、
として規定される。具体的には、SEM (走査式電子顕
微鏡) によるめっき皮膜の厚み方向の断面観察におい
て、複数の地点においてそれぞれ500 μm長さ当たりの
めっき断面積を画像解析により測定し、その平均値を算
出する。一方、目付量とめっきの比重から欠陥がない場
合の理論断面積を算出する。画像解析で求めた断面積と
理論断面積との比を、外観均一性の指標とする。即ち、
この比が100 %であれば、欠陥がなくめっき表面が完全
に平滑であることを意味する。
【0030】本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、こ
うして求めためっき外観均一性が90%以上である。この
ようにめっき外観が均一で平滑性が高いと、電着塗装に
よる塗装性が向上し、塗装後鮮映性が後述する実施例に
記載した測定法で0.8 以上と、鮮映な仕上がり外観を有
する塗装を施すことが可能となる。
【0031】製造工程 本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、従来より実用化
されている連続溶融亜鉛めっきラインを用いて、上記組
成の鋼板を焼鈍工程→溶融亜鉛めっき工程→合金化熱処
理工程を通過させることにより製造される。使用する鋼
板は、焼鈍工程の前に、常法 (例、アルカリ脱脂、アル
カリ脱脂+酸洗) により表面を洗浄するのが普通であ
る。
【0032】焼鈍工程:焼鈍工程は、前酸化と還元焼鈍
とにより行う。前酸化で鋼板表面に酸化皮膜を形成し、
その後に還元炉で焼鈍することにより、酸化皮膜を還元
して、純粋な還元鉄層を形成する。合金化はこの還元鉄
層から行われるため、還元鉄が多いほどアウトバースト
反応が抑制される。また、合金化度、即ち、めっき皮膜
のFe量が多くなるほど、還元鉄の量を多くする必要があ
る。しかし、前酸化で生成した酸化鉄が多すぎると、焼
鈍時の還元不足や還元ムラを生じさすくなり、めっきの
ハジキムラを生じて、めっき外観を損なうと同時に、め
っき密着性も劣化する傾向がある。
【0033】本発明の方法では、焼鈍工程の前酸化量
(前酸化で生じためっき皮膜表面の酸化鉄の量) が、目
的とするめっき皮膜中のFe量 (合金化度) に対して次の
式を満たすようにすることで、アウトバースト反応を
効果的に抑制することができ、合金化後に均一な外観の
めっき皮膜が得られる。
【0034】0.45B<A< 0.7B ・・・ ここで、 A:前酸化量 (g/m2) B:めっき皮膜中Fe量 (g/m2) なお、めっき皮膜の前酸化量は、実施例中にて説明する
ように、重量法、X線回折法などにより測定できる。好
ましくは前酸化量Aは、 0.5B<A< 0.6Bである。
【0035】式で規定される前酸化量は、例えばFe量
が10%、目付量が60g/m2のめっき皮膜 (Fe量=6g/m2)
の場合で 2.7〜4.2 g/m2となる。従来より焼鈍工程にお
いて還元焼鈍前に鋼板表面の不純物を加熱除去する目的
で使用されてきた無酸化炉でも、鋼板表面のごく薄い酸
化皮膜は形成されるが、その量はせいぜい0.1 g/m2程度
である。従って、上記範囲内の前酸化量の酸化皮膜を還
元焼鈍前に形成するには、このような無酸化炉に比べ
て、温度および/または空燃比を増大させる必要があ
る。炉内の安定性と前酸化量の制御の容易さを考慮する
と、主として温度を変化させる方が好ましい。例えば、
温度 500〜800 ℃、空燃比 8.0〜9.5 の範囲、好ましく
は温度 600〜750 ℃、空燃比 8.5〜9.5 の範囲で鋼板を
加熱することにより、上記範囲の前酸化量を得ることが
できる。但し、加熱条件はこれに制限されるものではな
い。前酸化は、例えば、ガス燃焼炉、直火加熱炉などを
用いて実施することができる。
【0036】還元焼鈍は、前酸化で生じた酸化鉄皮膜を
完全に還元して還元鉄にすることができ、かつ再結晶焼
鈍が達成されるような条件下で行う。例えば、5〜25%
H2+N2雰囲気中、温度 750〜850 ℃で25〜60秒の加熱を
行うことにより目的とする還元焼鈍を達成することがで
きる。その後、鋼板は大気に触れることなく冷却され、
溶融亜鉛めっき浴に導入される。
【0037】溶融亜鉛めっき工程:めっき条件は特に制
限されない。但し、上述したように、浴中のAl濃度は、
めっき皮膜のAl量が0.05〜0.50%となるように調整す
る。めっき浴侵入時の板温は480 〜500 ℃の範囲が好ま
しい。めっきの目付量は、ガスワイピング等の慣用手段
により70g/m2以下にする。
【0038】合金化熱処理工程:本発明によれば、合金
化熱処理工程を、次の式で規定されるように、前酸化
量とめっき皮膜中Al濃度により依存した比較的高めの温
度で行う。それにより、外観が均一でムラのないめっき
皮膜が得られる。その理由としては、高温で合金化させ
ることにより、温度上昇による鉄の拡散が粒内からも促
進され、粒界と粒内の鉄拡散速度差が小さくなるためと
考えられる。
【0039】T> 530−5A+50C ・・・ ここで、 A:前酸化量 (g/m2) C:めっき皮膜中Al濃度 (wt%) T:合金化熱処理温度 (℃) 合金化熱処理温度Tが、式を満足しないと、温度が低
すぎるため、合金処理ムラが発生しやすくなり、低温処
理に伴う粗大なζ相が成長するようになって、めっき外
観も損なわれる。好ましくは、T> 540−5A+50Cで
ある。
【0040】合金化熱処理温度の上限は特に制限されな
いが、高すぎると耐パウダリング性が低下し、またコス
ト的にも不利であるので、式で規定される下限温度よ
り50℃高い温度以下、好ましくはこの温度より30℃高い
温度以下とすればよい。合金化熱処理は、合金化反応に
よってめっき皮膜のFe量が7〜15%の範囲内の所定の値
になるまで行う。
【0041】こうして製造された合金化溶融亜鉛めっき
鋼板は、その後、ライン内で化成処理を施してもよい。
化成処理には、塗装密着性を高めるりん酸塩処理、耐食
性を高めるクロメート処理などがあり、その両者を併用
することもできる。自動車車体用の場合、その後ユーザ
ー側でプレス成形などの加工が施された後、電着塗装が
行われるが、他の用途に使用する場合には、さらに化成
処理後にライン内で薄膜の樹脂塗装を施して、プレコー
ト鋼板とすることもできる。
【0042】
【実施例】表1に示す組成を有するA〜Dの各鋼 (A鋼
はB無添加の比較用の鋼) を溶製し、熱間圧延を行って
板圧3.2 mmの熱延板を得た。巻取り温度は 500〜650 ℃
であった。次いで、15% HCl水溶液で酸洗後、これを厚
さ0.8 mmとなるまで冷間圧延を行った。この冷延板を10
0 ×220 mmに切断後、前処理としてNaOH水溶液中で電解
脱脂を行い、前酸化用の加熱炉で加熱した後、溶融亜鉛
めっきシミュレーターを用いて還元焼鈍および溶融亜鉛
めっきを施した。
【0043】前酸化は、加熱雰囲気中の酸素濃度を変化
させた加熱炉において鋼板を室温から15℃/secで 650℃
まで加熱することにより行い、その後N2ガス中で室温ま
で急速冷却した。一緒に前酸化した同じ鋼組成の試験片
を用いて、インヒビター入り塩酸で生成した酸化皮膜を
溶解し、溶解前後の重量差から前酸化量を求めた。
【0044】還元焼鈍は、25%H2−75%N2雰囲気中、85
0 ℃に60秒間加熱することにより行った。溶融亜鉛めっ
きは、Alを添加した溶融亜鉛浴を用い、浴温460 ℃、浸
漬時間1秒の条件で行った。浴へのAl添加量は、試験N
o.14 〜17を除いて0.15%であった。目付量は、60g/m2
前後に調整した。皮膜が凝固した後、めっき鋼板を表2
に示す温度の塩浴にて5〜60秒間加熱し、合金化処理を
行った。
【0045】得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の目付
量は重量から、めっき皮膜中のFeおよびAl含有量は、イ
ンヒビター入り塩酸でめっき皮膜を溶解し、溶液中のFe
およびAl濃度を原子吸光で測定することにより求めた。
表2には、こうして求めた前酸化量と上記式を満たす
前酸化量範囲、目付量、およびめっき皮膜中のFeおよび
Al含有量、ならびに合金化熱処理温度と式を満たす温
度範囲を示す。
【0046】なお、連続ラインにおける実際の操業にあ
っては、前酸化量とめっき皮膜中のFeおよびAl含有量は
次のようにして測定できる。前酸化量は、事前に温度、
空燃比、雰囲気を変化させて行った予備実験結果から検
量線を作成し、この検量線から求める。めっき皮膜中の
Fe量は、合金相をX線回折で測定するオンライン合金化
度計で測定する。めっき皮膜中のAl量は、Zn浴中のAl添
加量に依存するため、Zn浴中Al%とめっき皮膜中のAl%
との関係 (検量線) を作成しておき、操業中のZn浴中Al
%を蛍光X線て測定し、この測定値から検量線により皮
膜中のAl量を求める。
【0047】上記の方法で得た合金化溶融亜鉛めっき鋼
板のめっき皮膜の外観均一性は、上述したように、SE
Mにおけるめっき皮膜の厚み方向における断面観察にお
いて、ランダムに選択した3箇所の地点で長さ500 μm
当たりのめっき断面積を画像解析により測定し、その平
均値と、目付量およびめっき比重から算出した欠陥がな
い場合のめっき皮膜の理論断面積との比 (断面積比) と
して求めた。めっき比重の値としては、Fe 9〜12%の合
金化層はほぼ完全にδ1 相からなるため、δ1相の比重
7.25を採用した。良好な塗装性を確保するには、この断
面積比として求めた外観均一性が90%以上でなければな
らない。
【0048】塗装性 (電着塗装性) は、りん酸塩処理を
施した合金化溶融亜鉛めっき鋼板に、自動車用の通常の
カチオン電着塗料 (日本ペイント社製U−80) を電圧22
0 V、電着時間2分で塗装し、その後170 ℃×20分で塗
装の焼き付けを行った。塗装膜厚は20μmであった。そ
の際、塗装表面に発生したクレーター状の欠陥を5cm平
方で数え、クレーター状欠陥数が1個以下を塗装性良好
(○) 、1個超を塗装性不良 (×) と評価した。
【0049】塗装後鮮映性は、りん酸塩処理、カチオン
電着塗装、中塗り塗装、上塗り塗装を施し、合計膜厚を
90μmとしたサンプルを用い、簡易鮮映性計 (PGD)
にて測定した。この測定値が0.8 以上であれば、鮮映性
良好と評価できる。
【0050】耐パウダリング性は、直径90mmに打ち抜い
たサンプルを円筒絞りし、縦壁部のめっき剥離量の測定
値を耐パウダリング性の指標とした。剥離量が10 mg/コ
以下であれば、耐パウダリング性が良好であると評価で
きる。
【0051】摺動性は、摺動面積100mm2、引抜測度200m
/min、押さえ圧4KNで平面摺動試験を行い、次式にて摩
擦係数を求めた。摩擦係数が0.25以下を摺動性良好
(○) 、0.25超を摺動性不良 (×) とした。 摩擦係数=引抜荷重/押さえ圧 表2に、これらの試験結果を併せて示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】表2からわかるように、母材鋼板がBを
含有していないと、前酸化量や合金化熱処理温度が本発
明の条件を満たしていても、めっき外観が不均一とな
り、塗装性が著しく低下する。即ち、母材鋼組成はTi、
Nbの添加だけでは不十分である。しかし、鋼組成やめっ
き皮膜組成が本発明の範囲内であっても、前酸化量また
は合金化熱処理温度の一方が本発明の条件を満たさない
と、やはり断面積比90%以上というめっき外観均一性の
要件を満たすことができず、塗装性と塗装後鮮映性が低
下する。さらに、めっき皮膜のFe量およびAl量や目付量
が本発明の範囲を外れた場合にも、試験した特性の少な
くとも1つが低下した。
【0055】これに対し、母材鋼組成とめっき皮膜の組
成および目付量が本発明の範囲内であって、しかも製造
時の前酸化量および合金化熱処理温度も本発明で規定す
る条件を満たすと、上記の断面積比が90%以上という良
好なめっき外観均一性を備え、塗装性および塗装後鮮映
性が良好で、しかも耐パウダリング性や摺動性も良好に
保持された合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができ
た。
【0056】このように、本発明の合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板は、めっき外観が均一で表面粗さが小さいため、
合金化熱処理後の表面調質圧延も容易に実施できる上、
塗装性に優れており、鮮映な塗装仕上がりを与えること
ができる。同時に、めっき皮膜の耐パウダリング性や摺
動性も良好で、プレス成形を容易に実施できる。従っ
て、特に自動車外板用に適しているが、用途はこれに限
られるものではなく、建材用、家電製品などにも利用で
きる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.008 %以下、 Si:0.02%未満、 Mn:0.7 %以下、 P:0.05%以下、 S:0.01%以下、 N:0.005 %以下、 Al:0.10%以下、 Ti:0.04%以下、 Nb:0.03%以下、 B:0.0003〜0.0020%、残部Feお
    よび不可避的不純物より成る組成の鋼板上に、Fe:7〜
    15%、Al:0.05〜0.50%、残部Znおよび不可避的不純物
    より成る組成の、目付量が70g/m2以下、外観均一性 (め
    っき皮膜の厚み方向断面積の欠陥がない場合の理論断面
    積に対する比) が90%以上のめっき皮膜を有することを
    特徴とする、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼
    板。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C:0.008 %以下、 Si:0.02%未満、 Mn:0.7 %以下、 P:0.05%以下、 S:0.01%以下、 N:0.005 %以下、 Al:0.10%以下、 Ti:0.04%以下、 Nb:0.03%以下、 B:0.0003〜0.0020%、残部Feお
    よび不可避的不純物より成る組成の鋼板に、焼鈍後に溶
    融亜鉛めっきおよび合金化熱処理を施すことにより、F
    e:7〜15%、Al:0.05〜0.50%、残部Znおよび不可避
    的不純物より成る組成の目付量70g/m2以下のめっき皮膜
    を形成することからなり、前記焼鈍を前酸化とその後の
    還元焼鈍とにより行い、その際の前酸化量とめっき後の
    合金化熱処理温度が次式を満たすことを特徴とする方
    法。 0.45B<A< 0.7B T> 530−5A+50C ここで、 A:前酸化量 (g/m) B:めっき皮膜中Fe量 (g/m2) C:めっき皮膜中Al濃度 (wt%) T:合金化熱処理温度 (℃)
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