JP2002105613A - 表面平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
表面平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法Info
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- JP2002105613A JP2002105613A JP2000299088A JP2000299088A JP2002105613A JP 2002105613 A JP2002105613 A JP 2002105613A JP 2000299088 A JP2000299088 A JP 2000299088A JP 2000299088 A JP2000299088 A JP 2000299088A JP 2002105613 A JP2002105613 A JP 2002105613A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 鋼板を溶融亜鉛めっき浴中で浸漬めっきした
後、合金化熱処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製
造において、めっき浴Al濃度を変化させずに、表面粗度
の小さい表面平滑性に優れためっき鋼板を得る。 【解決手段】 合金化熱処理の昇温速度V(℃/s)とそ
の保持温度T(℃)が、めっき浴中のAl濃度 [Al](質量
%)に応じて、下記の関係を満たす。 [Al]≦0.115%の場合: T≧ 530−4V、 0.115%<[Al]≦0.135%の場合: T≧ 430+V、 [Al]>0.135%の場合: T≦ 490 または T≧ 610−2V。
後、合金化熱処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製
造において、めっき浴Al濃度を変化させずに、表面粗度
の小さい表面平滑性に優れためっき鋼板を得る。 【解決手段】 合金化熱処理の昇温速度V(℃/s)とそ
の保持温度T(℃)が、めっき浴中のAl濃度 [Al](質量
%)に応じて、下記の関係を満たす。 [Al]≦0.115%の場合: T≧ 530−4V、 0.115%<[Al]≦0.135%の場合: T≧ 430+V、 [Al]>0.135%の場合: T≦ 490 または T≧ 610−2V。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗装性等に影響を
及ぼす表面平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法に関する。
及ぼす表面平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛
めっき鋼板を熱処理してZnめっき層と素地鋼板との間に
相互拡散を行わせ、めっき層をFe−Zn金属間化合物に変
化させた亜鉛系めっき鋼板であり、通常は前処理した鋼
板を溶融亜鉛めっき浴に導入して浸漬めっきを施した
後、めっき浴出側に設けた合金化炉にて熱処理を行うこ
とにより、溶融亜鉛めっきライン内で連続的に製造され
る。
めっき鋼板を熱処理してZnめっき層と素地鋼板との間に
相互拡散を行わせ、めっき層をFe−Zn金属間化合物に変
化させた亜鉛系めっき鋼板であり、通常は前処理した鋼
板を溶融亜鉛めっき浴に導入して浸漬めっきを施した
後、めっき浴出側に設けた合金化炉にて熱処理を行うこ
とにより、溶融亜鉛めっきライン内で連続的に製造され
る。
【0003】近年、自動車の耐久性の要求が厳しくなる
につれ、自動車用防錆鋼板として亜鉛めっき系表面処理
鋼板、特に合金化溶融亜鉛めっき鋼板の需要が増大して
いる。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、塗装仕上がり外観
が良好で、塗膜密着性が良く、塗装下地鋼板としての耐
食性に優れ、抵抗溶接での電極の消耗が少なく、溶接作
業が容易である、といった特長があり、溶接により組立
てられ、塗装が施される自動車外板用素材に適した性能
を有するからである。
につれ、自動車用防錆鋼板として亜鉛めっき系表面処理
鋼板、特に合金化溶融亜鉛めっき鋼板の需要が増大して
いる。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、塗装仕上がり外観
が良好で、塗膜密着性が良く、塗装下地鋼板としての耐
食性に優れ、抵抗溶接での電極の消耗が少なく、溶接作
業が容易である、といった特長があり、溶接により組立
てられ、塗装が施される自動車外板用素材に適した性能
を有するからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、合金化熱処理
後の溶融亜鉛めっき鋼板の表面には、合金化反応の進行
に伴って微小な表面凹凸が発生することがあり、問題と
なっている。この表面凹凸が増大し、表面粗度が増加す
ると、その後の塗装時に、表面欠陥の原因となる気泡や
混入異物の発生起点となったり、プレス成形時に摩擦係
数の増加をもたらし、加工性劣化の原因となることがあ
るためである。従って、この表面凹凸を最小限に抑える
ことが望まれている。
後の溶融亜鉛めっき鋼板の表面には、合金化反応の進行
に伴って微小な表面凹凸が発生することがあり、問題と
なっている。この表面凹凸が増大し、表面粗度が増加す
ると、その後の塗装時に、表面欠陥の原因となる気泡や
混入異物の発生起点となったり、プレス成形時に摩擦係
数の増加をもたらし、加工性劣化の原因となることがあ
るためである。従って、この表面凹凸を最小限に抑える
ことが望まれている。
【0005】従来から、浦井ら:鉄と鋼、VOL.81 (199
5) p.70-75 や、荒井ら:CAMP-ISIJVOL.5 (1992) p.164
9-1652等に報告されているように、合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の表面粗度を低減するには、めっき工程において
溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度を低下させることが有効で
あることが知られている。
5) p.70-75 や、荒井ら:CAMP-ISIJVOL.5 (1992) p.164
9-1652等に報告されているように、合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の表面粗度を低減するには、めっき工程において
溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度を低下させることが有効で
あることが知られている。
【0006】しかし、めっき浴中Al濃度は、表面粗度に
対してだけでなく、塗装後に飛石等による衝撃で塗膜が
剥離するチッピングと呼ばれる現象や、プレスなどの加
工時に皮膜が欠落するパウダリングやフレーキングと呼
ばれる現象の起こり易さ、更にはめっき浴中で発生して
めっき時に鋼板に付着して製品欠陥の原因となるドロス
と呼ばれる異物の発生・付着のしやすさといった、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板の多様な性能に影響を及ぼすこと
が知られている。
対してだけでなく、塗装後に飛石等による衝撃で塗膜が
剥離するチッピングと呼ばれる現象や、プレスなどの加
工時に皮膜が欠落するパウダリングやフレーキングと呼
ばれる現象の起こり易さ、更にはめっき浴中で発生して
めっき時に鋼板に付着して製品欠陥の原因となるドロス
と呼ばれる異物の発生・付着のしやすさといった、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板の多様な性能に影響を及ぼすこと
が知られている。
【0007】そのため、実際の製造では、単に表面粗度
を下げる目的のためだけに浴中Al濃度を下げるわけには
ゆかず、表面粗度以外の要因から、めっき浴中Al濃度が
決定される場合が多い。従って、表面粗度の低下は、予
め決めた浴中Al濃度の条件下で、浴中Al濃度以外のパラ
メータの制御によって達成することが求められる。本発
明は、めっき浴中のAl濃度に頼らず、表面粗度が小さく
表面平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造す
るための方法を提供するものである。
を下げる目的のためだけに浴中Al濃度を下げるわけには
ゆかず、表面粗度以外の要因から、めっき浴中Al濃度が
決定される場合が多い。従って、表面粗度の低下は、予
め決めた浴中Al濃度の条件下で、浴中Al濃度以外のパラ
メータの制御によって達成することが求められる。本発
明は、めっき浴中のAl濃度に頼らず、表面粗度が小さく
表面平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造す
るための方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の表面凹凸の発生状況に及ぼす影響に
ついて、めっき浴中Al濃度だけでなく他の種々の製造条
件も含めて詳細に調査した結果、めっき後の合金化処理
時の加熱条件を適正に管理することにより、その他の性
能確保の必要性からめっき浴中のAl濃度が決められた条
件下において、浴中Al濃度に頼らずに、表面粗度を低下
させることができることを見出した。
融亜鉛めっき鋼板の表面凹凸の発生状況に及ぼす影響に
ついて、めっき浴中Al濃度だけでなく他の種々の製造条
件も含めて詳細に調査した結果、めっき後の合金化処理
時の加熱条件を適正に管理することにより、その他の性
能確保の必要性からめっき浴中のAl濃度が決められた条
件下において、浴中Al濃度に頼らずに、表面粗度を低下
させることができることを見出した。
【0009】本発明は、鋼板を溶融亜鉛めっき浴中で浸
漬めっきした後、合金化熱処理を行う合金化溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法に関する。本発明の方法は、合金化
熱処理の昇温速度V(℃/s)とその保持温度T(℃)
が、溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度 [Al](質量%) に応じ
て、下記 (1)〜(3) のいずれかの関係を満たすことを特
徴とする。
漬めっきした後、合金化熱処理を行う合金化溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法に関する。本発明の方法は、合金化
熱処理の昇温速度V(℃/s)とその保持温度T(℃)
が、溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度 [Al](質量%) に応じ
て、下記 (1)〜(3) のいずれかの関係を満たすことを特
徴とする。
【0010】(1) [Al]≦0.115%の場合:T≧ 530−4
V、(2) 0.115%<[Al]≦0.135%の場合:T≧ 430+V、
(3) [Al]>0.135%の場合:T≦ 490 または T≧ 610
−2V。
V、(2) 0.115%<[Al]≦0.135%の場合:T≧ 430+V、
(3) [Al]>0.135%の場合:T≦ 490 または T≧ 610
−2V。
【0011】本発明を完成するに至った知見について次
に説明する。なお、以下の説明において、%は特に指定
しない限り質量%である。本発明者らは、表面粗度に及
ぼす製造条件の影響を種々のめっき浴中Al濃度について
調査した。その結果、確かに浴中Al濃度が上昇するに伴
って表面粗度は全体的には増加傾向を示すが、めっき後
の合金化時の熱処理条件、特に合金化初期の昇温速度と
保持温度を管理すると、浴中Al濃度が高くても表面粗度
の増加を極めて小さく抑えることが可能であることに気
づいた。しかも、これらの影響は、浴中Al濃度の変化に
対して一様ではなく、浴中Al濃度によって複雑に変化
し、場合によっては逆転さえするため、表面凹凸の低減
には、めっき浴中Al濃度に応じた非常に厳密な合金化熱
処理条件の管理が必要であることが明らかとなった。
に説明する。なお、以下の説明において、%は特に指定
しない限り質量%である。本発明者らは、表面粗度に及
ぼす製造条件の影響を種々のめっき浴中Al濃度について
調査した。その結果、確かに浴中Al濃度が上昇するに伴
って表面粗度は全体的には増加傾向を示すが、めっき後
の合金化時の熱処理条件、特に合金化初期の昇温速度と
保持温度を管理すると、浴中Al濃度が高くても表面粗度
の増加を極めて小さく抑えることが可能であることに気
づいた。しかも、これらの影響は、浴中Al濃度の変化に
対して一様ではなく、浴中Al濃度によって複雑に変化
し、場合によっては逆転さえするため、表面凹凸の低減
には、めっき浴中Al濃度に応じた非常に厳密な合金化熱
処理条件の管理が必要であることが明らかとなった。
【0012】合金化熱処理条件の影響は、めっき浴中Al
濃度によって、浴中Al濃度0.115 %以下、0.115 %超〜
0.135 %以下、0.135 %超の3つの領域に区分けでき、
これらの領域ごとに次のように影響が異なることが分か
った。
濃度によって、浴中Al濃度0.115 %以下、0.115 %超〜
0.135 %以下、0.135 %超の3つの領域に区分けでき、
これらの領域ごとに次のように影響が異なることが分か
った。
【0013】まず、めっき浴中Al濃度=0.115 %以下の
低Al濃度の領域でめっきした場合は、後工程の合金化熱
処理条件において、合金化昇温速度が増加するほど表面
粗度が低減することが明らかとなった。また、合金化保
持温度については、全般的には保持温度が高くなるほど
表面粗度が低減する傾向が見られたが、昇温速度も考慮
すれば必ずしも高ければよいと言うわけではなく、表面
粗度が最も低減する条件としては、合金昇温速度が40℃
/s以上で、且つ保持温度が 490〜530 ℃の範囲が適正で
ある。
低Al濃度の領域でめっきした場合は、後工程の合金化熱
処理条件において、合金化昇温速度が増加するほど表面
粗度が低減することが明らかとなった。また、合金化保
持温度については、全般的には保持温度が高くなるほど
表面粗度が低減する傾向が見られたが、昇温速度も考慮
すれば必ずしも高ければよいと言うわけではなく、表面
粗度が最も低減する条件としては、合金昇温速度が40℃
/s以上で、且つ保持温度が 490〜530 ℃の範囲が適正で
ある。
【0014】次に、めっき浴中Al濃度=0.115 〜0.135
%の中Al濃度の領域でめっきした場合は、合金化昇温速
度の影響については、小さいほど表面粗度が低減する傾
向が認められ、浴中Al濃度=0.115 %以下の低Al濃度の
場合とは逆の結果となる。一方、合金化保持温度につい
ては、保持温度が高くなるほど表面粗度が低下する傾向
が見られる。
%の中Al濃度の領域でめっきした場合は、合金化昇温速
度の影響については、小さいほど表面粗度が低減する傾
向が認められ、浴中Al濃度=0.115 %以下の低Al濃度の
場合とは逆の結果となる。一方、合金化保持温度につい
ては、保持温度が高くなるほど表面粗度が低下する傾向
が見られる。
【0015】最後に、めっき浴中Al濃度=0.135 %以上
の高Al濃度の領域でめっきした場合は、それ以下 (低ま
たは中) の浴中Al濃度の領域とは全く異なり、合金化保
持温度が 490〜530 ℃の温度範囲で最も表面粗度が増加
するため、表面粗度を低く抑えるには、合金化保持温度
を490 ℃以下と低くするか、または逆に、やや低減効果
は落ちるが、合金化保持温度を530 ℃以上と高くし、か
つ昇温速度を40℃/s以上とすることが有効である。
の高Al濃度の領域でめっきした場合は、それ以下 (低ま
たは中) の浴中Al濃度の領域とは全く異なり、合金化保
持温度が 490〜530 ℃の温度範囲で最も表面粗度が増加
するため、表面粗度を低く抑えるには、合金化保持温度
を490 ℃以下と低くするか、または逆に、やや低減効果
は落ちるが、合金化保持温度を530 ℃以上と高くし、か
つ昇温速度を40℃/s以上とすることが有効である。
【0016】これらの結果に基づいて、それぞれの浴中
Al濃度の領域ごとに合金化昇温速度と合金化保持温度に
ついて、表面粗度を低減させうる範囲を求めて関数化し
た結果、上記 (1)〜(3) に規定した適正範囲を得るに至
った。
Al濃度の領域ごとに合金化昇温速度と合金化保持温度に
ついて、表面粗度を低減させうる範囲を求めて関数化し
た結果、上記 (1)〜(3) に規定した適正範囲を得るに至
った。
【0017】これからわかるように、めっき浴中のAl濃
度の増加に伴って全般的に表面粗度が増加すること自体
は従来から知られているとおりであるが、その増加傾向
は、後工程の合金化熱処理時の昇温速度や保持温度の組
み合わせ方で大きく異なる。しかも、どのめっき浴中Al
濃度の領域でも同じ合金化熱処理条件の範囲が良いとい
うわけではなく、上記のように適正条件が逆転する場合
もある。そのため、本発明では、上記(1) 〜(3) に規定
するように、めっき浴中のAl濃度が低、中、高の領域ご
とに異なる合金化熱処理条件を採用する。それにより、
浴中Al濃度を低減させるという従来の手段に頼らずに、
他の要因から決められた所定の浴中Al濃度を保持したま
ま、合金化熱処理条件を適正範囲に設定することによっ
て、表面粗度の小さい表面平滑性に優れた合金化溶融亜
鉛めっき鋼板を安定して製造することが可能となる。
度の増加に伴って全般的に表面粗度が増加すること自体
は従来から知られているとおりであるが、その増加傾向
は、後工程の合金化熱処理時の昇温速度や保持温度の組
み合わせ方で大きく異なる。しかも、どのめっき浴中Al
濃度の領域でも同じ合金化熱処理条件の範囲が良いとい
うわけではなく、上記のように適正条件が逆転する場合
もある。そのため、本発明では、上記(1) 〜(3) に規定
するように、めっき浴中のAl濃度が低、中、高の領域ご
とに異なる合金化熱処理条件を採用する。それにより、
浴中Al濃度を低減させるという従来の手段に頼らずに、
他の要因から決められた所定の浴中Al濃度を保持したま
ま、合金化熱処理条件を適正範囲に設定することによっ
て、表面粗度の小さい表面平滑性に優れた合金化溶融亜
鉛めっき鋼板を安定して製造することが可能となる。
【0018】合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面粗度が、
めっき浴中Al濃度や合金化熱処理時の昇温速度と保持温
度によってさまざまに変化する原因の詳細は不明である
が、表面粗度の増減には多くの因子が絡み合っており、
製造条件によって各因子の寄与率がさまざまに変化する
ため、複雑な変化挙動を示すことが考えられる。
めっき浴中Al濃度や合金化熱処理時の昇温速度と保持温
度によってさまざまに変化する原因の詳細は不明である
が、表面粗度の増減には多くの因子が絡み合っており、
製造条件によって各因子の寄与率がさまざまに変化する
ため、複雑な変化挙動を示すことが考えられる。
【0019】より詳しく説明すると、合金化溶融亜鉛め
っき鋼板の表面粗度増加の機構には、鋼板表面での合金
化反応の不均一性や、Fe−Zn金属間化合物結晶粒子のサ
イズ変化等、複数の要因が関与する。更に合金化過程で
現れる金属間化合物の種類にも、めっき初期に出現する
Fe−Al金属間化合物層やその後の合金化反応で主相とな
っていくFe−Zn金属間化合物があり、更にFe−Zn金属間
化合物にもζ相、δ1相、Γ相、Γ1 相等、複数の相が
存在し、それらが発生、消滅して合金化反応は進行して
いく。しかも、各相毎に形成自由エネルギーによる相の
安定度や相中のFeやZn原子の拡散速度が、その時点の温
度やどの相と接しているかによって変わってくるはずで
ある。そのため、表面粗度の変化の原因である板面内の
合金化反応の不均一性や金属間化合物相の結晶粒サイズ
の大小と一口に言っても、浴中Al濃度や合金化時の昇温
速度や保持温度で、さまざまに変化するものと考えら
れ、本発明で規定しているような複雑な関係を示したも
のと考えられる。
っき鋼板の表面粗度増加の機構には、鋼板表面での合金
化反応の不均一性や、Fe−Zn金属間化合物結晶粒子のサ
イズ変化等、複数の要因が関与する。更に合金化過程で
現れる金属間化合物の種類にも、めっき初期に出現する
Fe−Al金属間化合物層やその後の合金化反応で主相とな
っていくFe−Zn金属間化合物があり、更にFe−Zn金属間
化合物にもζ相、δ1相、Γ相、Γ1 相等、複数の相が
存在し、それらが発生、消滅して合金化反応は進行して
いく。しかも、各相毎に形成自由エネルギーによる相の
安定度や相中のFeやZn原子の拡散速度が、その時点の温
度やどの相と接しているかによって変わってくるはずで
ある。そのため、表面粗度の変化の原因である板面内の
合金化反応の不均一性や金属間化合物相の結晶粒サイズ
の大小と一口に言っても、浴中Al濃度や合金化時の昇温
速度や保持温度で、さまざまに変化するものと考えら
れ、本発明で規定しているような複雑な関係を示したも
のと考えられる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の方法によれば、合金化熱
処理の昇温速度V(℃/s)とその保持温度T(℃)を、
溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度 [Al](質量%) に応じて下
記の表1に規定する範囲内とすることにより、合金化熱
処理中の表面粗度の増大を抑えることができる。
処理の昇温速度V(℃/s)とその保持温度T(℃)を、
溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度 [Al](質量%) に応じて下
記の表1に規定する範囲内とすることにより、合金化熱
処理中の表面粗度の増大を抑えることができる。
【0021】
【表1】 表1の(a) に示した範囲は、本発明で規定する最も広い
合金化熱処理条件の範囲であり、この範囲内であれば、
少なくとも許容できる水準まで表面粗度の増大が抑制さ
れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができ
る。
合金化熱処理条件の範囲であり、この範囲内であれば、
少なくとも許容できる水準まで表面粗度の増大が抑制さ
れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができ
る。
【0022】さらに表面粗度を低減させたい場合には、
合金熱処理の昇温速度と保持温度をを上記(b) または
(c) に規定する好ましい範囲またはより好ましい範囲に
する。上記(b) に規定する範囲の条件で合金化熱処理を
行うと、表面粗度が良好な合金化溶融亜鉛めっき鋼板を
製造することができる。さらに、上記(c) に規定する範
囲では、めっき浴中Al濃度[Al]が0.135 %以下であれ
ば、表面粗度が極めて良好な製品が得られる。
合金熱処理の昇温速度と保持温度をを上記(b) または
(c) に規定する好ましい範囲またはより好ましい範囲に
する。上記(b) に規定する範囲の条件で合金化熱処理を
行うと、表面粗度が良好な合金化溶融亜鉛めっき鋼板を
製造することができる。さらに、上記(c) に規定する範
囲では、めっき浴中Al濃度[Al]が0.135 %以下であれ
ば、表面粗度が極めて良好な製品が得られる。
【0023】本発明において、めっき浴中のAl濃度と
は、浴中のドロスなどに濃化しているAl成分を含まな
い、Znめっき浴中に原子状態で溶解しているAlの質量%
濃度である。めっき浴中のAl濃度は、めっき浴中のAlの
活量測定などから直接測定する方法が望ましいが、簡易
的には、浴中ドロスを極力含まないように採取しためっ
き浴サンプルの組成分析値を用いて、めっき浴Al濃度=
見かけの総Al濃度−見かけの総Fe濃度+0.03%の式から
算出されるめっき浴Al濃度を用いてもよい。こうして求
めたAl濃度により判定した場合でも、本発明による効果
は認められた。
は、浴中のドロスなどに濃化しているAl成分を含まな
い、Znめっき浴中に原子状態で溶解しているAlの質量%
濃度である。めっき浴中のAl濃度は、めっき浴中のAlの
活量測定などから直接測定する方法が望ましいが、簡易
的には、浴中ドロスを極力含まないように採取しためっ
き浴サンプルの組成分析値を用いて、めっき浴Al濃度=
見かけの総Al濃度−見かけの総Fe濃度+0.03%の式から
算出されるめっき浴Al濃度を用いてもよい。こうして求
めたAl濃度により判定した場合でも、本発明による効果
は認められた。
【0024】めっき浴中Al濃度について、本発明の目的
である表面粗度の抑制効果を得るという観点から、上記
のようにAl濃度を3つの領域に分けているが、Al濃度の
上限と下限は特に制限されない。実際には、表面粗度以
外の製品性能や製造上の理由からめっき浴中Al濃度は制
限を受けることが多く、こうして決まった浴中Al濃度に
応じて、上記の範囲内で合金化熱処理条件を設定すれば
よい。
である表面粗度の抑制効果を得るという観点から、上記
のようにAl濃度を3つの領域に分けているが、Al濃度の
上限と下限は特に制限されない。実際には、表面粗度以
外の製品性能や製造上の理由からめっき浴中Al濃度は制
限を受けることが多く、こうして決まった浴中Al濃度に
応じて、上記の範囲内で合金化熱処理条件を設定すれば
よい。
【0025】溶融亜鉛めっき浴中にAlを添加する主な目
的は、目付量制御性や合金化度制御性の向上である。浴
中Al濃度が低すぎると、合金化が著しく速くなるため、
合金化度の制御が困難となるだけでなく、めっき直後に
かなり合金化が進行してしまうので、亜鉛が溶融状態で
なければできないガスワイピングによる目付量制御も困
難となる。そのため、通常の溶融亜鉛めっき浴では、浴
中Al濃度の下限は実質的に0.100 %付近である。
的は、目付量制御性や合金化度制御性の向上である。浴
中Al濃度が低すぎると、合金化が著しく速くなるため、
合金化度の制御が困難となるだけでなく、めっき直後に
かなり合金化が進行してしまうので、亜鉛が溶融状態で
なければできないガスワイピングによる目付量制御も困
難となる。そのため、通常の溶融亜鉛めっき浴では、浴
中Al濃度の下限は実質的に0.100 %付近である。
【0026】逆に、Al濃度が高すぎると、合金化反応が
著しく遅くなり、十分な合金化度を得るには、合金化保
持時間を非常に長くする必要が生じる。しかし、合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の製造に一般に用いられている連続
溶融めっきラインでの合金化炉長は有限であり、長い合
金化保持時間を確保するためには、鋼帯の通板速度を遅
くしなければならなくなるが、そうすると生産性が低下
するため、通常の生産性を得るためには、めっき浴中の
Al濃度は0.150 %付近が上限となる。
著しく遅くなり、十分な合金化度を得るには、合金化保
持時間を非常に長くする必要が生じる。しかし、合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の製造に一般に用いられている連続
溶融めっきラインでの合金化炉長は有限であり、長い合
金化保持時間を確保するためには、鋼帯の通板速度を遅
くしなければならなくなるが、そうすると生産性が低下
するため、通常の生産性を得るためには、めっき浴中の
Al濃度は0.150 %付近が上限となる。
【0027】合金化保持温度とは、次のように規定され
る。表面粗度は、一旦めっき表面が溶融亜鉛からFe−Zn
金属間化合物相に完全に変化し、固相となった後は、多
少熱処理時間やその際のヒートパターンが変わってもほ
とんど変化しない。従って、本発明では便宜上、合金化
「保持」温度との用語を用いているが、昇温後は必ずし
も「等温」保持する必要はない。本発明における合金化
保持温度は、めっき表面から溶融亜鉛の液相が無くなっ
て完全に固相となるまでの間の鋼板温度域全体を意味
し、昇温後の最高到達温度から冷却途中に固相が消滅す
るのであれば、その固相の消滅時点までの鋼板温度を意
味する。このように規定される合金化保持温度Tが一定
でなく、変動幅がある場合、上記の(a) 〜(c) に示した
各範囲は、その最高または最低のいずれか、好ましくは
最高到達板温度として求めた合金化保持温度で上記の範
囲内に入っていればよいが、望ましくはこの保持温度T
の大部分 (保持時間の80%以上、特に90%以上) 、特に
望ましくは保持温度Tの全部(即ち、Tの最高温度と最
低温度の両方の温度) が、上記範囲内である。
る。表面粗度は、一旦めっき表面が溶融亜鉛からFe−Zn
金属間化合物相に完全に変化し、固相となった後は、多
少熱処理時間やその際のヒートパターンが変わってもほ
とんど変化しない。従って、本発明では便宜上、合金化
「保持」温度との用語を用いているが、昇温後は必ずし
も「等温」保持する必要はない。本発明における合金化
保持温度は、めっき表面から溶融亜鉛の液相が無くなっ
て完全に固相となるまでの間の鋼板温度域全体を意味
し、昇温後の最高到達温度から冷却途中に固相が消滅す
るのであれば、その固相の消滅時点までの鋼板温度を意
味する。このように規定される合金化保持温度Tが一定
でなく、変動幅がある場合、上記の(a) 〜(c) に示した
各範囲は、その最高または最低のいずれか、好ましくは
最高到達板温度として求めた合金化保持温度で上記の範
囲内に入っていればよいが、望ましくはこの保持温度T
の大部分 (保持時間の80%以上、特に90%以上) 、特に
望ましくは保持温度Tの全部(即ち、Tの最高温度と最
低温度の両方の温度) が、上記範囲内である。
【0028】本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法においては、めっき浴中のAl濃度に応じて、合金化
熱処理時の昇温速度と保持温度を上述の範囲に制御する
以外の方法は任意であり、従来より公知の各種の方法が
適用できる。
方法においては、めっき浴中のAl濃度に応じて、合金化
熱処理時の昇温速度と保持温度を上述の範囲に制御する
以外の方法は任意であり、従来より公知の各種の方法が
適用できる。
【0029】例えば、本発明の製造方法に適用される母
材鋼板の種類は任意であり、鋼種として例えば、極低炭
素鋼、低炭素鋼、BH鋼、高張力鋼等が適用できる。鋼
板の種類は、冷間圧延鋼板が好適であるが、熱間圧延鋼
板でも構わない。
材鋼板の種類は任意であり、鋼種として例えば、極低炭
素鋼、低炭素鋼、BH鋼、高張力鋼等が適用できる。鋼
板の種類は、冷間圧延鋼板が好適であるが、熱間圧延鋼
板でも構わない。
【0030】めっき浴の化学組成については、Znおよび
少量のAlを含有し、残部は不可避的不純物からなる浴が
基本であるが、Pb, Sn, Sb等の合金元素を数%程度まで
含有させても本発明の目的は達成できる。めっき後はガ
スワイピング等の公知の方法でめっき付着量 (目付量)
が調整された後、合金化炉で本発明で規定する昇温速度
および保持温度に加熱されて合金化される。目付量は特
に制限されないが、通常は25〜90 g/m2 程度である。合
金化のための加熱方法は任意であるが、例えば高周波誘
導加熱方式や燃焼ガスなどを熱源とする加熱方式などが
好適である。
少量のAlを含有し、残部は不可避的不純物からなる浴が
基本であるが、Pb, Sn, Sb等の合金元素を数%程度まで
含有させても本発明の目的は達成できる。めっき後はガ
スワイピング等の公知の方法でめっき付着量 (目付量)
が調整された後、合金化炉で本発明で規定する昇温速度
および保持温度に加熱されて合金化される。目付量は特
に制限されないが、通常は25〜90 g/m2 程度である。合
金化のための加熱方法は任意であるが、例えば高周波誘
導加熱方式や燃焼ガスなどを熱源とする加熱方式などが
好適である。
【0031】合金化熱処理後は、通常は溶融めっきや合
金化熱処理中に発生した歪を除去するために調質圧延等
を施して製品となる。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は塗装
性に優れているので、塗装されることが多い。その場
合、溶融めっきライン内でリン酸亜鉛処理といった塗装
下地処理を行ったり、さらにはプライマー塗装まで行う
こともある。また、耐食性の向上のためにクロメート処
理またはノンクロム防食処理をライン内で施すことも可
能である。さらに、このめっき鋼板を塗装してプレコー
ト鋼板として製品化する場合には、ライン内で適当な塗
装が施されることもある。
金化熱処理中に発生した歪を除去するために調質圧延等
を施して製品となる。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は塗装
性に優れているので、塗装されることが多い。その場
合、溶融めっきライン内でリン酸亜鉛処理といった塗装
下地処理を行ったり、さらにはプライマー塗装まで行う
こともある。また、耐食性の向上のためにクロメート処
理またはノンクロム防食処理をライン内で施すことも可
能である。さらに、このめっき鋼板を塗装してプレコー
ト鋼板として製品化する場合には、ライン内で適当な塗
装が施されることもある。
【0032】
【実施例】めっき母材鋼板として、C:0.002 %、Si:
0.005 %、Mn:0.05%、P:0.01%、S:0.01%、Ti:
0.04%、残部:Feおよび不可避不純物の化学組成を持つ
板厚0.8 mmの極低炭素鋼の冷延鋼板を用いた。この母材
鋼板を10%NaOH水溶液中でアルカリ洗浄した後、溶融め
っきシミュレータを用いて、10%H2−90%N2雰囲気中で
850 ℃×60秒の還元焼鈍と続いて溶融亜鉛めっきを行っ
た。溶融亜鉛めっきは、種々の浴中Al濃度に調整しため
っき浴に浸漬することにより行った。めっき後、ガスワ
イピングにより目付量を片面当たり約50 g/m2 に調整し
て、溶融亜鉛めっき鋼板を得た。
0.005 %、Mn:0.05%、P:0.01%、S:0.01%、Ti:
0.04%、残部:Feおよび不可避不純物の化学組成を持つ
板厚0.8 mmの極低炭素鋼の冷延鋼板を用いた。この母材
鋼板を10%NaOH水溶液中でアルカリ洗浄した後、溶融め
っきシミュレータを用いて、10%H2−90%N2雰囲気中で
850 ℃×60秒の還元焼鈍と続いて溶融亜鉛めっきを行っ
た。溶融亜鉛めっきは、種々の浴中Al濃度に調整しため
っき浴に浸漬することにより行った。めっき後、ガスワ
イピングにより目付量を片面当たり約50 g/m2 に調整し
て、溶融亜鉛めっき鋼板を得た。
【0033】この後、このめっき鋼板を高周波誘導加熱
方式の合金化炉内で、種々の昇温速度 (10℃/s、30℃/
s、および50℃/s) と種々の保持温度 (470 ℃、510 ℃
および550 ℃、本実施例では、ほぼ最高到達温度に相当
する、加熱帯を出たところの温度を保持温度とする) に
て加熱し、合金化熱処理を行った。合金化熱処理時間
は、合金化処理後、各サンプルのめっき皮膜組成を湿式
皮膜分析により決定し、めっき皮膜中のFe濃度(以下、
合金化度と称す)が約10%となる合金化完了時間を外挿
して求め、こうして求めた時間だけ合金化熱処理を行っ
た。
方式の合金化炉内で、種々の昇温速度 (10℃/s、30℃/
s、および50℃/s) と種々の保持温度 (470 ℃、510 ℃
および550 ℃、本実施例では、ほぼ最高到達温度に相当
する、加熱帯を出たところの温度を保持温度とする) に
て加熱し、合金化熱処理を行った。合金化熱処理時間
は、合金化処理後、各サンプルのめっき皮膜組成を湿式
皮膜分析により決定し、めっき皮膜中のFe濃度(以下、
合金化度と称す)が約10%となる合金化完了時間を外挿
して求め、こうして求めた時間だけ合金化熱処理を行っ
た。
【0034】得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板につい
て、表面凹凸の発生度合いを測定するため、接触針式の
3次元表面粗度計を用いて、算術平均表面粗度(Ra)を測
定した。この表面粗度(Ra)値に基づいて、めっき浴中の
Al濃度の領域 (低、中、高)ごとに、表2に示す基準で
表面粗度を評価した。表面粗度は、めっき浴中Al濃度の
増大に伴い多少なりとも増加していくため、それぞれの
浴中Al濃度領域ごとに、表2に示す判定基準を設定し、
表面粗度の低減効果を判定した。表2に示した判断基準
の記号が△〜◎であれば、表面粗度の抑制効果は合格
(許容水準以上)である。
て、表面凹凸の発生度合いを測定するため、接触針式の
3次元表面粗度計を用いて、算術平均表面粗度(Ra)を測
定した。この表面粗度(Ra)値に基づいて、めっき浴中の
Al濃度の領域 (低、中、高)ごとに、表2に示す基準で
表面粗度を評価した。表面粗度は、めっき浴中Al濃度の
増大に伴い多少なりとも増加していくため、それぞれの
浴中Al濃度領域ごとに、表2に示す判定基準を設定し、
表面粗度の低減効果を判定した。表2に示した判断基準
の記号が△〜◎であれば、表面粗度の抑制効果は合格
(許容水準以上)である。
【0035】
【表2】 表面粗度(Ra)の測定値と表2に基づく評価の結果を、め
っき浴中のAl濃度および合金化熱処理の昇温速度 (V)
と保持温度 (T) と一緒に、次の表3にまとめて示す。
っき浴中のAl濃度および合金化熱処理の昇温速度 (V)
と保持温度 (T) と一緒に、次の表3にまとめて示す。
【0036】
【表3】 表3からわかるように、本発明に従って、めっき浴中Al
濃度のレベルごとに、合金化時の昇温速度と保持温度を
適正に制御することにより、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の表面粗度を低下させることができる。具体的には、表
1の(a) に示した本発明の範囲では、評価が少なくとも
△ (可) 以上の表面粗度が得られ、表1の(b) に示した
好ましい範囲では○ (良好) 以上の表面粗度が、表1の
(c) に示したより好ましい範囲では◎ (極めて良好) の
表面粗度が得られる。ただし、浴中Al濃度が0.135 %よ
り高濃度になると、◎の極めて良好な表面粗度を得るこ
とはできなくなる。
濃度のレベルごとに、合金化時の昇温速度と保持温度を
適正に制御することにより、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の表面粗度を低下させることができる。具体的には、表
1の(a) に示した本発明の範囲では、評価が少なくとも
△ (可) 以上の表面粗度が得られ、表1の(b) に示した
好ましい範囲では○ (良好) 以上の表面粗度が、表1の
(c) に示したより好ましい範囲では◎ (極めて良好) の
表面粗度が得られる。ただし、浴中Al濃度が0.135 %よ
り高濃度になると、◎の極めて良好な表面粗度を得るこ
とはできなくなる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、鋼板を溶融亜鉛めっき
浴への浸漬めっき後に合金化熱処理する合金化溶融亜鉛
めっき鋼板の製造において、任意のめっき浴中Al濃度条
件で溶融めっきを施した後、後工程の合金化熱処理時の
昇温速度と保持温度を、めっき工程における浴中Al濃度
に応じて適正範囲に制御することにより、表面粗度が抑
制された合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することがで
きる。従って、従来のように浴中Al濃度を低減させず
に、塗装後の耐食性、外観、塗膜密着性が良好な、表面
平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安定して製
造することが可能となる。
浴への浸漬めっき後に合金化熱処理する合金化溶融亜鉛
めっき鋼板の製造において、任意のめっき浴中Al濃度条
件で溶融めっきを施した後、後工程の合金化熱処理時の
昇温速度と保持温度を、めっき工程における浴中Al濃度
に応じて適正範囲に制御することにより、表面粗度が抑
制された合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することがで
きる。従って、従来のように浴中Al濃度を低減させず
に、塗装後の耐食性、外観、塗膜密着性が良好な、表面
平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安定して製
造することが可能となる。
フロントページの続き (72)発明者 石垣 一 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA22 AB14 AB28 AB42 AB44 AC73 AE03 AE12 AE18 AE27
Claims (1)
- 【請求項1】 鋼板を溶融亜鉛めっき浴中で浸漬めっき
した後、合金化熱処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の製造において、合金化熱処理の昇温速度V(℃/s)と
その保持温度T(℃)が、溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度
[Al](質量%)に応じて、下記の関係を満たすことを特徴
とする、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 [Al]≦0.115%の場合: T≧ 530−4V、 0.115%<[Al]≦0.135%の場合: T≧ 430+V、 [Al]>0.135%の場合: T≦ 490 または T≧ 610−2V。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000299088A JP2002105613A (ja) | 2000-09-29 | 2000-09-29 | 表面平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000299088A JP2002105613A (ja) | 2000-09-29 | 2000-09-29 | 表面平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002105613A true JP2002105613A (ja) | 2002-04-10 |
Family
ID=18780945
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000299088A Withdrawn JP2002105613A (ja) | 2000-09-29 | 2000-09-29 | 表面平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002105613A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007254808A (ja) * | 2006-03-23 | 2007-10-04 | Jfe Steel Kk | 表面外観の優れたクロメートフリー処理溶融亜鉛めっき鋼板 |
JP2010013695A (ja) * | 2008-07-03 | 2010-01-21 | Nippon Steel Corp | 外観品位に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法およびそれに用いられる合金化加熱設備 |
JP2010084214A (ja) * | 2008-10-02 | 2010-04-15 | Nippon Steel Corp | 外観品位に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
JP2010156030A (ja) * | 2009-01-05 | 2010-07-15 | Nippon Steel Corp | 外観品位に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
-
2000
- 2000-09-29 JP JP2000299088A patent/JP2002105613A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007254808A (ja) * | 2006-03-23 | 2007-10-04 | Jfe Steel Kk | 表面外観の優れたクロメートフリー処理溶融亜鉛めっき鋼板 |
JP2010013695A (ja) * | 2008-07-03 | 2010-01-21 | Nippon Steel Corp | 外観品位に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法およびそれに用いられる合金化加熱設備 |
JP2010084214A (ja) * | 2008-10-02 | 2010-04-15 | Nippon Steel Corp | 外観品位に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
JP2010156030A (ja) * | 2009-01-05 | 2010-07-15 | Nippon Steel Corp | 外観品位に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20071204 |