[go: up one dir, main page]

JP3011056B2 - アルミニウムおよびアルミニウム合金の加工方法 - Google Patents

アルミニウムおよびアルミニウム合金の加工方法

Info

Publication number
JP3011056B2
JP3011056B2 JP15135395A JP15135395A JP3011056B2 JP 3011056 B2 JP3011056 B2 JP 3011056B2 JP 15135395 A JP15135395 A JP 15135395A JP 15135395 A JP15135395 A JP 15135395A JP 3011056 B2 JP3011056 B2 JP 3011056B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
metal salt
weight
highly basic
basic metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP15135395A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH093475A (ja
Inventor
邦夫 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP15135395A priority Critical patent/JP3011056B2/ja
Publication of JPH093475A publication Critical patent/JPH093475A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3011056B2 publication Critical patent/JP3011056B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Extrusion Of Metal (AREA)
  • Forging (AREA)
  • Metal Extraction Processes (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム、アルミ
ニウム合金、アルミニウムクラッド鋼など(以下、「ア
ルミ材」と称す)の冷間から熱間までのあらゆる温度域
での成形加工において、スリップ等のトラブルや、加工
用工具およびアルミ材の焼付き、かじり等の表面疵の発
生を防止し、作業性や生産性の向上および製品表面品質
の向上を実現できる加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、金属を成形加工によって所望の
形状とするためには、冷間、温間、あるいは熱間におけ
る加工が行われており、それぞれの工程、金属の種類等
により、種々の加工用潤滑剤が使用されている。
【0003】従来、アルミ材の冷間加工では、低粘度鉱
油を基油として種々の油性向上剤を含む潤滑剤を原液の
ままで使用している。低粘度鉱油を基油に用いる理由
は、加工用工具とアルミ材とが直接接触する境界潤滑領
域で成形加工することにより、アルミ材特有の表面光沢
を得るためである。
【0004】アルミ材の熱間加工では、加工用工具表面
に被加工材であるアルミニウムが移着してコーティング
層が形成される。したがって、被加工材は、工具表面の
コーティング層と接触した状態で加工されることにな
り、焼付き、かじり等の表面疵が発生し易い。焼付きや
かじりなどの表面疵が発生すると、製品表面品質は著し
く低下する。一般に、アルミ材の熱間加工油としては、
鉱物油を基油とし、これに脂肪酸、油脂、脂肪酸エステ
ル等の油性向上剤、極圧剤、防錆剤、酸化防止剤等を配
合し、主として陰イオン性界面活性剤で乳化した、濃度
が 3〜10%程度のエマルションが使用されている。
【0005】特開平 2−298594号公報には、脂肪酸の石
鹸および黒鉛粉末を含有させた 180〜 300℃の温度域で
のアルミ材の温間成形加工用潤滑剤が開示されている。
しかし、黒鉛を少量含有させただけでも加工摩擦面の摩
擦係数が局所的にかなり低下するため、スリップやかみ
込み不良が発生して加工が困難になり、焼付きなどの表
面疵を防止するに十分な黒鉛を含有させることができ
ず、十分な焼付き防止効果を得るには至っていない。
【0006】また、特開平 2−145692号公報には、粘度
が 80cSt(40℃)以下の鉱物油と、所定の炭素数の脂肪
酸、油脂および脂肪酸モノエステルの中の1種以上の化
合物、その他の添加剤を含有するアルミ材の熱間圧延油
組成物が、さらに、特公平 5− 76998号公報には脂肪族
アルコールを含有する潤滑油成分と特定の分散剤成分を
必須成分として含有するアルミ用冷間圧延油組成物、特
公平 6− 31378号公報には潤滑油にアルキルペンタエリ
トリトールホスファイトその他を配合したアルミ材の冷
間加工用潤滑剤とそれを用いた冷間加工方法が記載され
ている。
【0007】これら従来の潤滑剤は、冷間、温間、熱間
それぞれの温度域で最大の潤滑性能を発揮するものの、
全ての温度域で十分な潤滑性を与えるものではない。ま
た、近年の大量生産方式の普及とアルミニウム加工品の
高品質指向から、潤滑性、表面品質性等を良好ならしめ
る加工用潤滑剤、ないしは加工方法に対する要求が益々
高くなってきているが、これらの要求のすべてを十分満
たし得る加工方法は未だ開発されていないというのが実
情であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術における問題を解決するためになされたものであり、
アルミ材を成形加工する際に、スリップやかみ込み等の
トラブルを起こすことなく、加工用工具およびアルミ材
の焼付きやかじり等の表面疵の発生を防止することによ
り工具寿命を延長し、作業効率ならびに生産性を向上さ
せ、光沢性など製品表面品質の向上を図ることができる
アルミニウムおよびアルミニウム合金の加工方法を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる目的
を達成するために、アルミ材の冷間、温間、熱間等のあ
らゆる温度域における成形加工に用いることのできる加
工用潤滑剤について組成の点から検討を加え、以下の知
見を得、本発明を完成させた。
【0010】高塩基性を有する潤滑剤は、通常用いら
れている酸性(酸価)の高い潤滑剤よりもアルミ材表面
に生成する酸化物との反応性に富み、加工時に表面に剥
離しにくい反応被膜を形成する。それにより、潤滑性が
向上する。
【0011】高塩基性の金属塩スルホネートや高塩基
性金属塩フェネート中には、コロイド状分散体を油中で
形成した粒径 150オングストローム以下の炭酸塩が存在
している。この超微細粒炭酸塩自体は潤滑性を有しない
が、潤滑性を有する高塩基性の金属塩スルホネートや金
属塩フェネートをロールとアルミ材の界面に導入させる
キャリアとしての働きを有する。
【0012】さらに、この超微細粒炭酸塩は、加工温
度、つまり加工が冷間、温間、熱間のいずれの状態で行
われるかに関わらず、加工時のアルミ材と加工用工具間
の金属間接触を物理的に抑制する作用を有している。す
なわち、この超微細粒炭酸塩を工具とアルミ材の摩擦面
の表面凹凸細部にまで導入することにより、アルミ材と
加工用工具間の直接接触を徹底的に抑制し焼付きを防止
することができる。
【0013】黒鉛はせん断すべり型の固体潤滑物であ
るが、通常用いられる潤滑油に黒鉛を含有させた潤滑剤
で高負荷加工を行うと、スリップやかみ込み不良が発生
し、加工できない。そこで、黒鉛を高塩基性金属塩スル
ホネートや高塩基性金属塩フェネートと併用すると、超
微細粒炭酸塩が摩擦界面で適度な摩擦を与える働きをし
て黒鉛の潤滑作用をコントロールするので、摩擦係数を
スリップを起こさない安定な加工に必要な最小限の値に
まで確実に低下させ、それを維持することができる。
【0014】また、ホスホン酸エステルには、高塩基
性金属塩スルホネートや高塩基性金属塩フェネートと併
用することで、アルミ材への潤滑剤組成物の付着性を飛
躍的に向上させることができるほか、高温での焼付き、
かじり等の表面疵の発生防止効果を高める効果がある。
【0015】上記の潤滑剤を用いてアルミ材の加工を行
えば、加工に必要な摩擦力を維持し、スリップやかみ込
み不良を起こすことなく加工用工具に発生する焼付き、
かじりなどの表面疵を防止し、工具寿命を大幅に延長す
ることができ、その結果良好な製品表面品質を得ること
ができる。
【0016】ここに本発明の要旨とするところは、下記
(1)〜(3)のアルミ材の加工方法にある。
【0017】(1)アルミニウムおよびアルミニウム合
金の圧延、押出し、引抜き、鍛造および矯正の加工にお
いて、組成物全量に基づいて高塩基性金属塩スルホネー
トと高塩基性金属塩フェネートの1種以上を合計で10〜
70重量%、およびホスホン酸エステルを 0.1〜15重量%
含有する潤滑剤組成物を供給することを特徴とするアル
ミニウムおよびアルミニウム合金の加工方法。
【0018】(2)アルミニウムおよびアルミニウム合
金の加工において、組成物全量に基づいて高塩基性金属
塩スルホネートと高塩基性金属塩フェネートの1種以上
を合計で10〜70重量%、および黒鉛を 0.5〜20重量%含
有する潤滑剤組成物を供給することを特徴とするアルミ
ニウムおよびアルミニウム合金の加工方法。
【0019】(3)アルミニウムおよびアルミニウム合
金の加工において、組成物全量に基づいて高塩基性金属
塩スルホネートと高塩基性金属塩フェネートの1種以上
を合計で10〜70重量%、および黒鉛を 0.5〜20重量%含
有し、更にホスホン酸エステルを 0.1〜15重量%含有す
る潤滑剤組成物を供給することを特徴とするアルミニウ
ムおよびアルミニウム合金の加工方法。
【0020】
【作用】本発明におけるアルミニウムおよびアルミニウ
ム合金には、純アルミニウム、アルミニウム合金、およ
びそれらのクラッド材などが含まれる。また、加工方法
には、冷間、温間または熱間での板材の圧延だけでな
く、管材や条材の圧延、押出し、引抜き、鍛造、矯正等
のあらゆる成形加工が含まれる。
【0021】本発明にかかる高塩基性金属塩スルホネー
トおよび高塩基性金属塩フェネートの原料となるアルキ
ル芳香族としては、鉱油の潤滑油留分、合成系化合物、
例えばアルキルベンゼン、ポリオレフィンをベンゼンに
アルキル化したもの、ジノニルナフタリン等が使用でき
る。
【0022】これらの高塩基性金属塩スルホネートと高
塩基性金属塩フェネート中には、製造する過程で析出し
た粒径 150オングストローム以下の超微細粒炭酸塩(Ca
CO3等)が含まれており、油中ではコロイド状分散体を
形成する。この炭酸塩の微粒子自体は何等の潤滑効果も
有しないが、高塩基性金属塩スルホネートと高塩基性金
属塩フェネートのもつ金属や酸化物に対する高い吸着作
用による潤滑効果をより発揮し易くさせるため、潤滑性
を有する高塩基性金属塩スルホネートと高塩基性金属塩
フェネートを摩擦界面に運ぶキャリアとしての作用を有
している。さらに、加工用工具とアルミ材間に運ばれた
金属塩微粒子により、摩擦界面での加工用工具とアルミ
材の直接接触を妨げ、焼付き、かじりを防止することが
できる。
【0023】このように、本発明においては、高塩基性
金属塩スルホネートと高塩基性金属塩フェネートの1種
以上を特定量含有させた潤滑剤組成物をアルミ材の加工
時の工具や加工前のアルミ材表面に供給することに大き
な特徴がある。
【0024】すなわち、第1にアルミ材表面に生成する
酸化被膜と反応性に富んだ高塩基性物質としての高塩基
性金属塩スルホネートおよび/または高塩基性金属塩フ
ェネートの存在により潤滑性を向上させる。
【0025】第2に、高塩基性金属塩スルホネートや高
塩基性金属塩フェネートを製造する過程で析出した粒径
150オングストローム以下の超微細粒炭酸塩(CaCO
3 等)の存在により、超微細粒炭酸塩がキャリアとして
働き摩擦表面への潤滑剤の導入性が向上すると共に、加
工用工具とアルミ材の金属間直接接触の抑制とスリップ
防止のための摩擦界面の高摩擦化が達成できる。
【0026】したがって、例えば特開平 3−151101号公
報に見られるように別途準備した粒径0.05〜0.50μm程
度の粉末状の炭酸カルシウムを油に混合分散させたもの
とは、その作用、効果が明らかに異なる。
【0027】次に、高塩基性金属塩スルホネートと高塩
基性金属塩フェネートの含有量を前記のように規定した
理由について説明する。
【0028】高塩基性金属塩スルホネートと高塩基性金
属塩フェネートの含有量は、組成物全量に基づいてそれ
らの1種以上を合計で10〜70重量%とする。含有量が10
重量%未満では、加工用工具への焼付き、かじりを十分
に防止できず、製品表面品質も劣化する。一方、70重量
%を超えると前記効果が飽和する。したがって、それら
の含有量は、組成物全量に基づいて10〜70重量%とし
た。高負荷時の焼付き、かじり防止効果の点から、好ま
しくは20〜60重量%である。
【0029】また、高塩基性金属塩スルホネートや高塩
基性金属塩フェネートの塩基価は、JIS K2501 (電位差
滴定法)による塩基価が40mgKOH/g 以上であるのが好ま
しい。 200〜500mgKOH/gのものが、特に焼付き防止能に
優れている。
【0030】すなわち、塩基価が低いと塩基性金属塩ス
ルホネートや塩基性金属塩フェネート中の超微細固体粒
子である炭酸塩(CaCO3 等)の含有量が少ないため、金
属間(工具とアルミ材間)の直接接触を物理的に防止す
るために必要な、摩擦界面への導入される炭酸塩(CaCO
3 等)の量が不足する。そのため、塩基価が低いと加工
時の加工用工具の焼付きやかじりを完全に防止すること
ができず、製品表面品質も満足するレベルに達しない。
【0031】本発明にかかる潤滑剤組成物を加工用工具
やアルミ材表面に供給する際の濃度、粘度および圧延条
件にもよるが、特に高粘度あるいは原液に近い状態で供
給するときや低負荷加工条件下では、塩基価が200mgKOH
/g未満でも十分な潤滑効果を発揮し得る。しかし、40mg
KOH/g 未満ではこの効果が得られにくいため、上記のよ
うに、好ましい塩基価を40mgKOH/g 以上とした。
【0032】一方、塩基価が500mgKOH/gを超えると、潤
滑剤として適切な粘度等の性質を有するものが現状技術
レベルでは製造できない。但し、製造技術上可能になれ
ば、この限りではない。
【0033】本発明で用いる潤滑剤組成物中に含有させ
る高塩基性金属塩スルホネートや高塩基性金属塩フェネ
ートとしては、高塩基性Caスルホネート、高塩基性Caフ
ェネート、高塩基性Mgスルホネート等が挙げられ、その
金属としてCa、Mg、Ba等のアルカリ土類やNa等のアルカ
リ金属から適宜選択すればよい。さらには、前記効果の
点で、金属がアルカリ土類、中でもCaからなる、高塩基
性Caスルホネートと高塩基性Caフェネートの1種以上を
少なくとも10重量%以上含有させるのが好ましい。
【0034】また、所定量の高塩基性金属塩スルホネー
トや高塩基性金属塩フェネートを含有させたものに、さ
らに低塩基性(塩基価 40mgKOH/g未満)の金属塩スルホ
ネートや金属塩フェネートを含有させることもできる。
この場合は、それらの金属塩の塩基価の加重平均値(そ
れぞれの値を加味した平均値)が 40mgKOH/g以上となる
ようにするのが好ましい。より好ましくは200mgKOH/g以
上とする。
【0035】本発明にかかる潤滑油組成物は、高塩基性
金属塩スルホネートと高塩基性金属塩フェネートの1種
以上を一般に使用される潤滑油基油に配合することによ
り、十分使用できるが、さらに必要に応じて、他の固体
潤滑剤、極圧添加剤、酸化防止剤、流動点降下剤、粘度
指数向上剤等を配合することができる。
【0036】潤滑油基油としては、鉱物油、合成潤滑
油、ナタネ油、ラードオイル等の油脂類、高級脂肪酸お
よびそのエステル類等が挙げられる。
【0037】固体潤滑剤の例としては、黒鉛、二硫化モ
リブデン、窒化硼素、雲母、タルク等が挙げられる。
【0038】その中で、黒鉛を含有させると摩擦係数が
極端に低下し、スリップ等のかみ込み不良の原因になる
が、本発明の加工方法では、用いる潤滑剤組成物が高塩
基性金属塩スルホネートや高塩基性金属塩フェネートを
含有しているため、黒鉛を併用しても摩擦係数が極端に
低下することはない。したがって、黒鉛を含有してもス
リップやかみ込み不良等のトラブルを発生させることな
く加工用工具の焼付きやかじりを防止し、アルミ材の表
面品質を一層向上させることができる。
【0039】黒鉛含有量としては、組成物全量に基づい
て0.5 〜20重量%とする。0.5 重量%未満では、黒鉛の
摩擦係数低減効果が不足し、一方、20重量%を超えると
潤滑剤組成物中での黒鉛の分散性、安定性が悪くなり加
工摩擦面でスリップやかみ込み不良等が発生し易くなる
からである。高圧下時の摩擦係数低減効果を一層よく発
揮させるには黒鉛含有量を10重量%超えとするのが好ま
しい。一方、低圧下率側での低負荷加工における加工安
定性を考慮した場合は、 0.5〜15重量%とするのが好ま
しい。
【0040】黒鉛の種類としては、人造もしくは天然の
ものなどが使用できる。黒鉛の平均粒径は、分散性や、
スリップ等のトラブル発生防止効果等を考慮すると、
0.1〜5μmのものが好ましい。
【0041】極圧添加剤の例としては、硫化油脂、硫化
鉱油、ジノニルポリサルファイド等の硫黄系極圧添加
剤、トリクレジルホスフェート、ジオレイルハイドロゼ
ンホスファイト、ヒドロキシメチルジ−2−エチルヘキ
シルホスホネート等のリン系極圧添加剤が挙げられる。
【0042】本発明においては、特に、リン系極圧添加
剤に属するホスホン酸エステル、例えばモノ−2−エチ
ルヘキシル2−エチルヘキシルホスホネート、ヒドロキ
シメチルジ−2−エチルヘキシルホスホネート、トリエ
チル3−ホスホノプロピオネイト等を含有する潤滑剤組
成物を用いる。
【0043】ホスホン酸とは、ホスホノ基
【0044】
【化1】
【0045】を含む酸の総称であり、従来農薬の原料中
間体として合成されるものであるが、これらのもつ防錆
防食効果を利用して水処理や洗剤添加物、紙パルプ、写
真等の分野で使用されている。
【0046】本発明で用いる潤滑剤組成物では、このホ
スホン酸のエステルを高塩基性金属塩スルホネートや高
塩基性金属塩フェネートと併用することでアルミ材への
潤滑剤組成物の付着性を飛躍的に向上させることができ
るほか、高温での焼付き、かじり等の表面疵の発生防止
効果を高めることができる。
【0047】潤滑剤組成物中でのホスホン酸エステルの
含有量は、組成物全量に基づいて 0.1〜15重量%とす
る。その含有量が、 0.1重量%未満では前記効果が不足
し、一方、15重量%を超えて含有されると前記効果が飽
和する。より好ましくは、 0.1〜 9.0重量%である。
【0048】特に、酸価が5mgKOH/g以下のホスホン酸エ
ステル、例えば化学構造が
【0049】
【化2】
【0050】で示されるヒドロキシメチルジ−2−エチ
ルヘキシルホスホネートは、高塩基性金属塩スルホネー
トや高塩基性金属塩フェネートとの混合時の化学的安定
性に優れているため本発明の効果を最大限に発揮するこ
とができるので、より好ましい。
【0051】酸化防止剤の例としては、メチレン−4,
4−ビス(2, 6−ジ−tert−ブチルフェノール)等の
ビスフェノール類、ジ−tert−ブチルクレゾ−ル等のア
ルキルフェノール類、ナフチルアミン類等が挙げられ
る。
【0052】流動点降下剤、粘度指数向上剤の例として
は、ポリメタクリレート、ポリオレフィン等が挙げられ
る。
【0053】また、黒鉛以外の固体潤滑剤の添加量は約
1〜10重量%程度、ホスホン酸エステル以外の極圧添加
剤の添加量は約 1〜15重量%程度、酸化防止剤の添加量
は約0.01〜 1.0重量%程度、流動点降下剤、粘度指数向
上剤の添加量は、それぞれ 1〜 5重量%程度である。
【0054】本発明にかかる潤滑剤の供給手段として
は、要求される粘度や濃度に応じて、圧縮空気と混合し
て噴霧状にして供給するエアーアトマイズ法や、水と混
合して供給するウォーターインジェクション法、さらに
加熱蒸気で噴霧化して供給するスチームアトマイズ法
や、予め水に分散させ、エマルジョンとして供給する方
法等の中から適宜選択すれば良く、いずれの方法でも本
発明の効果になんら変わりはない。もちろん、原液(ニ
ート)のまま供給する方法でも良いことは言うまでもな
く、その他の一般的な給油方式を使用しても良い。原液
で供給する場合には、必要に応じて本発明にかかる潤滑
剤を水溶性タイプにするなどして不燃性化して用いるこ
とを妨げない。
【0055】また、本発明にかかる潤滑剤を、圧延用ロ
ールや鍛造用金型等の加工用工具や加工前のアルミ材表
面に上記方法で直接供給しても良いし、その補強工具
(ロール)等を介して間接的に供給しても、本発明の効
果に何等変わりはない。
【0056】本発明の加工方法は、特定の潤滑剤組成物
を加工用潤滑剤として用いることで、加工時に剥離しに
くい表面皮膜の形成による潤滑性向上、摩擦表面への潤
滑剤導入性の向上および金属間の直接接触による焼付
き、かじり防止を図ることができるものである。
【0057】さらに、本発明で用いる潤滑剤組成物に含
有される高塩基性金属塩スルホネートおよび金属塩フェ
ネートは耐熱性にも優れており、温間、熱間加工時にお
いて燃焼したり、分解することが全くなく、流体か流体
に近い状態であるため、温間、熱間加工時においても優
れた潤滑性を有している。そのため、この潤滑剤組成物
を用いれば、アルミ材の冷間加工から熱間加工に至るす
べての温度域で同様の優れた潤滑効果を得ることができ
る。
【0058】
【実施例】次に具体的な実施例に基づき説明する。
【0059】まず、表1に示す本発明例No.6〜9 、11、
13〜17、比較例No.18 〜21の14種の潤滑剤組成物を準備
した。各潤滑剤は、塩基価と金属が異なる金属塩スルホ
ネート、金属塩フェネート、さらに、必要に応じて黒鉛
(平均粒径5μm)および/またはホスホン酸エステル
(ヒドロキシメチルジ−2−エチルヘキシルホスホネー
ト)をISO VG 46 で規定される粘度を有する精製鉱物油
を残部とし、ホモミキサーにより撹拌、調合したもので
ある。
【0060】(実施例1)外径570mm φ、高さ230mm の
アルミホイール素材(図1参照)の製造過程において、
鍛造加工直前に 350〜 400℃に加熱された鍛造用金型表
面に上記の各潤滑剤を原液のままスプレーノズルにより
供給し、鍛造加工終了後に、アルミホイール表面の焼付
き発生の有無、および焼付きの程度について調べた。評
価は、図1に示すアルミホイール11の外周リブ部12にお
ける表面疵(焼付き)の発生状況を肉眼で観察し、下記
の5段階で行った。なお、◎、○および□であれば、良
好とした。
【0061】◎:表面疵なし ○:焼付き発生するも軽微 □:焼付き発生,面積率 5%未満 △:焼付き発生,面積率 5〜20% ×:焼付き発生,面積率20%超え 調査結果を表2に示す。なお、鍛造用金型表面の焼付き
程度は、アルミホイール表面の焼付き程度とほぼ一致し
ていた。
【0062】表2の結果から明かなように、本発明の加
工方法によれば(No.6 〜9 、11、13 〜17)、鍛造用金
型工具及びアルミ材の表面疵(焼付き)を防止もしくは
大幅に軽減することができ、作業性や生産性および製品
品質を格段に向上させることができる。
【0063】本発明例No.6〜8 から、高塩基性Caスルホ
ネートおよび高塩基性Caフェネートと共に黒鉛を含有さ
せた潤滑剤を用いることにより耐焼付き性が向上し、し
かも本発明で規定する 0.5〜20重量%の範囲で含有させ
た場合には、黒鉛の含有量が多いほど耐焼付き性が良好
であった。
【0064】また、本発明例 No.13〜17からホスホン酸
エステルを 0.1〜15重量%の範囲内で含有させた潤滑剤
を使用した場合、特に黒鉛と共に含有させることによっ
て一層耐焼付き性が向上することがわかる。
【0065】
【0066】さらにまた、高塩基性金属塩スルホネート
と高塩基性金属塩フェネートの1種以上を合計で20重量
%以上含有したもの(本発明例No.6〜9 、11)、塩基価
が200mgKOH/g以上の高塩基性のもの(塩基価が200mgKOH
/g未満のNo.9とそれ以外の本発明例との比較)が、特に
焼付き防止効果が大きいことも示された。
【0067】本発明例No. 13、14、および15の比較か
ら、ホスホン酸エステルの含有量が、9.0 重量%以上で
は効果が飽和するので、 0.1〜 9.0重量%がより好まし
いことや、本発明例No.14 とNo.16 との比較から、酸価
の低いホスホン酸エステルがより効果が大きく、かつ潤
滑剤組成物自身の安定性にも優れていることが確認され
た。
【0068】一方、塩基価の低いCaスルホネートのみを
含有させた比較例 No.18や、高塩基性Caスルホネートの
含有量が本発明で規定する範囲より少ない比較例 No.1
9、精製鉱物油以外に黒鉛のみを含有させた比較例 No.2
0、ホスホン酸エステルのみを含有した比較例 No.21の
潤滑剤組成物を用いた場合は、焼付き防止効果が不十分
であった。
【0069】(実施例2) 4段式圧延機によりアルミニウム板(50mm×1000mm)を
冷間圧延する際に、上記No.6〜9 、11、13〜21の各潤滑
剤を予め水に分散させ、エマルション状態にしてスプレ
ーノズルにより圧延用ロールに直接供給し、冷間圧延
後、圧延用ロ−ル表面状態、アルミニウム板表面光沢
性、および圧延時のスリップやかみ込み性について調べ
た。圧延用ロール表面状態については、冷間圧延後の表
面状況を肉眼で観察し、焼付き、かじりの発生がなけれ
ば良好とした。アルミニウム板表面光沢性については、
同じく表面状況を肉眼で観察し、下記の4段階で評価し
た。なお、◎、○および△であれば、良好とした。
【0070】 ◎:光沢極めて良好 ○:光沢良好 △:光沢やや不良 ×:光沢不良(ムシレ、割れ発生) 調査結果を表3に示す。この結果から、本発明の加工方
法(No.6 〜9 、11、13 〜17)によれば、アルミニウム
板の表面光沢性や圧延用ロ−ルの表面疵の状態を大幅に
改善することができ、作業性や生産性および製品品質を
格段に向上させ得ることがわかる。
【0071】また、黒鉛を20重量%を超えて含有する潤
滑剤を用いた本発明例 No.11では、圧延用ロールの表面
疵については大幅に改善されたが、圧延時のスリップを
起こしやすくなっている。
【0072】本発明例No.6、7 、および8 の比較から、
黒鉛を10重量%以上含有する潤滑剤を用いることにより
圧延用ロールの表面疵(焼付き、かじり)を完全に防止
し、アルミニウム板表面の光沢性を一層向上させ得るこ
とがわかる。従って、黒鉛は前述したように10重量%を
超えて含有させるのがより好ましいといえる。潤滑剤へ
の高塩基性金属塩スルホネート、高塩基性金属塩フェネ
ート、ホスホン酸エステルなどの添加の効果については
実施例1の場合とほぼ同様であった。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【発明の効果】本発明方法によれば、アルミ材の加工に
おいて、冷間、熱間を問わず加工用工具の焼付きやかじ
り等の表面疵を防止できるほか、黒鉛を含有させてもス
リップやかみ込み不良等の加工時のトラブルを発生する
ことなく、加工用工具の焼付きを防止し、工具寿命の延
長に優れた効果を発揮し、光沢等の圧延製品品質、作業
効率の向上等を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミホイールの外周リム部における焼付き状
態の説明図である。
【符号の説明】
11:アルミホイール、12:リブ部、13:焼付き部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10M 125/02 C10M 125/02 137/12 137/12 159/20 159/20 // C10N 10:04 20:00 30:06 40:24 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 169/04,125/02,137/04 C10M 159/22 - 159/24 C10N 40:24 B21B 45/02 B21C 9/00 WPI/L(QUESTEL)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウムおよびアルミニウム合金の圧
    延、押出し、引抜き、鍛造および矯正の加工において、
    組成物全量に基づいて高塩基性金属塩スルホネートと高
    塩基性金属塩フェネートの1種以上を合計で10〜70重量
    %、およびホスホン酸エステルを 0.1〜15重量%含有す
    る潤滑剤組成物を供給することを特徴とするアルミニウ
    ムおよびアルミニウム合金の加工方法
  2. 【請求項2】アルミニウムおよびアルミニウム合金の加
    工において、組成物全量に基づいて高塩基性金属塩スル
    ホネートと高塩基性金属塩フェネートの1種以上を合計
    で10〜70重量%、および黒鉛を 0.5〜20重量%含有する
    潤滑剤組成物を供給することを特徴とするアルミニウム
    およびアルミニウム合金の加工方法。
  3. 【請求項3】アルミニウムおよびアルミニウム合金の加
    工において、組成物全量に基づいて高塩基性金属塩スル
    ホネートと高塩基性金属塩フェネートの1種以上を合計
    で10〜70重量%、および黒鉛を 0.5〜20重量%含有し、
    更にホスホン酸エステルを 0.1〜15重量%含有する潤滑
    剤組成物を供給することを特徴とするアルミニウムおよ
    びアルミニウム合金の加工方法。
JP15135395A 1995-06-19 1995-06-19 アルミニウムおよびアルミニウム合金の加工方法 Expired - Lifetime JP3011056B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15135395A JP3011056B2 (ja) 1995-06-19 1995-06-19 アルミニウムおよびアルミニウム合金の加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15135395A JP3011056B2 (ja) 1995-06-19 1995-06-19 アルミニウムおよびアルミニウム合金の加工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH093475A JPH093475A (ja) 1997-01-07
JP3011056B2 true JP3011056B2 (ja) 2000-02-21

Family

ID=15516701

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15135395A Expired - Lifetime JP3011056B2 (ja) 1995-06-19 1995-06-19 アルミニウムおよびアルミニウム合金の加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3011056B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4828843B2 (ja) * 2005-03-18 2011-11-30 住友軽金属工業株式会社 アルミニウム板矯正用潤滑油及びアルミニウム板の矯正方法
US8283296B2 (en) * 2006-10-11 2012-10-09 Henkel Ag & Co., Kgaa Lubricant for hot forging applications
EP3492563B1 (en) * 2016-07-28 2023-06-14 JXTG Nippon Oil & Energy Corporation Refrigerating machine oil

Also Published As

Publication number Publication date
JPH093475A (ja) 1997-01-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3272973B2 (ja) 高温塑性加工用潤滑剤
JP3011056B2 (ja) アルミニウムおよびアルミニウム合金の加工方法
JP3475983B2 (ja) 金属の圧延加工用潤滑剤組成物
JP3008823B2 (ja) 金属の塑性加工用潤滑剤組成物
US5352373A (en) Lubricating composition for use in hot rolling of steels
JP2570060B2 (ja) 鋼材の熱間圧延潤滑方法
EP1123965A1 (en) Steel and stainless steel cold rolling oil composition
JP2921436B2 (ja) チタンおよびチタン合金の圧延方法
JP3475982B2 (ja) 金属の圧延加工用潤滑剤組成物
JP2885011B2 (ja) 熱間圧延加工用潤滑剤組成物
JP2560678B2 (ja) 鋼板の熱間圧延潤滑方法
JP4094641B2 (ja) 温間熱間鍛造用型潤滑剤
JP2624122B2 (ja) 熱間圧延加工用潤滑剤組成物
JP3923106B2 (ja) 鍛造用型潤滑剤
JP4008994B2 (ja) 高温塑性加工用潤滑剤
JP2689827B2 (ja) 鋼材の冷間圧延方法
JP2791723B2 (ja) 水溶性冷間圧延油組成物
JP2666688B2 (ja) H形鋼のローラー矯正における潤滑方法
JP3124454B2 (ja) 鋼材の熱間圧延用潤滑剤組成物及び鋼材の熱間圧延方法
JP2730455B2 (ja) 鋼材の熱間潤滑方法
JP2643733B2 (ja) 圧延加工方法
JP4535719B2 (ja) 鋼材の塑性加工用処理剤、塑性加工方法及び酸化抑制方法
EP1123968A1 (en) Aluminium and aluminium alloys cold rolling oil composition
JPH07115059B2 (ja) 鋼板の熱間圧延潤滑方法
EP1123970A1 (en) Water-soluble aluminium and aluminium alloys cold rolling oil composition