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JP2957312B2 - 黄色ブドウ球菌の生菌数測定方法 - Google Patents

黄色ブドウ球菌の生菌数測定方法

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Publication number
JP2957312B2
JP2957312B2 JP14411891A JP14411891A JP2957312B2 JP 2957312 B2 JP2957312 B2 JP 2957312B2 JP 14411891 A JP14411891 A JP 14411891A JP 14411891 A JP14411891 A JP 14411891A JP 2957312 B2 JP2957312 B2 JP 2957312B2
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staphylococcus aureus
fluorescence
culture
fluorescence intensity
medium
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JP14411891A
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JPH04346782A (ja
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秀行 長谷川
孝夫 久津野
里佳 春日
新平 鈴木
福雄 岩谷
義己 辨野
輝行 長棟
一 浅間
勲 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi High Tech Corp
RIKEN
Original Assignee
Hitachi Electronics Engineering Co Ltd
RIKEN
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Publication date
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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生菌数の測定ならびに菌
種同定方法および該方法を実施するのに使用される特定
の選択培地に関する。更に詳細には、本発明は、特定の
選択培地を用いて検体中の黄色ブドウ球菌のみを増殖さ
せ、該菌の培養物から発せられる蛍光を捕捉することに
より該菌の生菌数を測定するための選択培地に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、微生物種の同定は、バージー(Ber
gey)のマニュアルなどに従い、培養物の形態学的および
生理学的性質を調べることにより行われている。一方、
生菌数はサンプル(検体)を10-1,10-2,・・・,
10-n倍に等倍希釈し、この希釈液の一定量を寒天平板
培地上に塗抹接種し、一定時間(例えば、24〜48時
間)培養した後、この寒天平板上に出現したコロニー数
に希釈倍率を乗じることにより求められていた。
【0003】しかし、このような全くの手作業による微
生物検査法では、2〜5日間の検査期間と、かなりの熟
練技術とを必要とし、また、技術者あるいは検査員によ
る測定差が生じることも知られている。更に、大量の培
地およびシャーレの使用および熟練技術者の高い人件費
のため、検査に要する費用も非常に高いものになってい
る。
【0004】微生物種の同定、生菌数の測定などの微生
物検査は、臨床検査、食品検査、医薬品検査などの部門
で必須であり、迅速化、省人化、自動化に対するニーズ
は高い。特に、臨床検査部門では各種の自動化機器の開
発が行われている。例えば、50rpm で回転している寒
天平板培地に、サンプル液を中心から外側に向かって塗
抹するプレータ、塗抹された寒天培地を培養し、コロニ
ーの形成された平板培地をHe-Ne レーザでコロニー計数
するスパイラルシステム社のスパイラルシステム、各種
の基質が入ったカートリッジを用い、比色法で微生物種
の同定、比濁吸光法による薬剤感受性試験を自動で行え
るAuto Microbic System, MS-II , Avantageなどのシス
テム、カートリッジの代わりにマイクロプレートを用い
たダイナテック社のMIC-2000システムなどが、アメリカ
を中心に開発されている。
【0005】しかし、これらの機器の大部分は尿路感染
などの微生物検査に用いられているに過ぎず、食品検査
のようなサンプルが混濁物であることが多い場合には測
定が不可能であり、また、十分な精度が得られなかっ
た。更に、何れの方法も、24〜48時間の培養時間を
必要とするので、迅速測定が困難である。このため、現
場の切実なニーズに十分応えられる段階には達していな
い。また、これらの自動機器、測定方法に関する研究
は、臨床医学分野、医用工学分野などで盛んに行われて
いるが、実用化されているものは極めて少ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、広範な分野で使用でき、高精度で、しかも、低コス
トで、更に検査時間が数時間程度で済む、生菌数測定・
菌種同定方法および該方法の実施に使用する特定の選択
培地を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明では、Trypticase、フィトン、N
aCl、Tween 80およびアズレオナムからなる
ことを特徴とする黄色ブドウ球菌用選択培地を提供す
る。前記培地は下記の組成、Trypticase
2.5g/l,フィトン 0.5g/l,N
aCl 5 g/l,Tween 80
1.0g/l,アズレオナム 0.25μg/
mlを有することが好ましい。また、黄色ブドウ球菌の
生菌数を培養物の蛍光強度から推定するために、Try
pticase、フィトン、NaCl、Tween 8
0およびアズレオナムからなり、前記組成の培地で黄色
ブドウ球菌を選択的に培養した後、該培地にAO−10
ドデシルブロマイドを更に添加することを特徴とする蛍
光による黄色ブドウ球菌の生菌数測定用選択培地も本発
明により提供される。
【0008】
【作用】前記選択培地を使用すると、検体中の黄色ブド
ウ球菌だけを選択的に生育させることができる。本発明
の選択培地により食中毒などの原因病原菌のうちの黄色
ブドウ球菌の存在を特異的に確認することができる。ア
ズレオナムは米国スクイブ社で開発された“モノバクタ
ム”系抗生物質であり、大腸菌およびサルモネラに対し
て特異的な抗菌活性を示すが、黄色ブドウ球菌に対して
は殆ど活性を持たない。従って、この培地に検体を接種
し、培養して、コロニーが出現すれば、それは黄色ブド
ウ球菌によるものと推定できる。
【0009】菌種の同定と共に、生菌数の推定も可能で
ある。例えば、前記選択培地で微生物を培養し、該培養
物に励起光を照射し、既知の微生物種について予め作成
された生菌数と該菌数に対応する蛍光強度との検量線に
前記測定値を当てはめることにより求める生菌数推定値
が得られる。微生物種と培地との組み合わせは予め既知
なので、この培地で該当微生物を標準的な手法により培
養し、公知の確立された方法により各培養時間毎の生菌
数を計数し、同時に、該菌数に対応する蛍光強度を測定
し、検量線を作成し、データベースとして保存する。未
知検体を選択培地で培養し、生育するものがあれば、そ
の培地の種類から菌種は容易に同定できる。それと共
に、所定の培養時間時点における蛍光強度を該当する培
地/微生物のデータベースと照合すれば、その微生物の
生菌数が即座に求められる。
【0010】しかし、黄色ブドウ球菌の場合、培養物だ
けからの蛍光では十分な測定ができないので、培養物に
A0−10ドデシルブロマイドと呼ばれる蛍光標識を添
加し、蛍光強度を測定する。添加されたA0−10ドデ
シルブロマイドは黄色ブドウ球菌と特異的に結合し、菌
数に応じた蛍光強度を示す。すなわち、A0−10ドデ
シルブロマイド自体は蛍光を発せず、黄色ブドウ球菌と
結合した場合にだけ蛍光を発するので本発明の方法にお
ける蛍光標識として使用できる。AO−10ドデシルブ
ロマイドは化学名が3,6−ビス(ジメチルアミノ)−
10−ドデシルアクリジニウムブロマイドで、分子量が
514.59の赤橙色をした結晶性粉末である。この物
質は水溶液中では無蛍光であるが、有機溶媒中では53
0nm付近に強い蛍光を示すことが知られている。
【0011】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。培地の調製法自体は特に限定されない。一般的に
当業者に周知の任意の方法により調製することができ
る。例えば、適当な順序で成分を混合し、得られた混合
物をオートクレーブなどで滅菌し、最後に適当な容器に
無菌条件下で貯蔵する。
【0012】前記のようにして調製された培地を3枚の
滅菌済シャーレに無菌条件下で分注し、各シャーレに大
腸菌、サルモネラおよび黄色ブドウ球菌をそれぞれ接種
し、37℃、大気中雰囲気で所定時間培養したところ、
黄色ブドウ球菌を接種したシャーレにだけコロニーが発
生した。これにより、本発明の培地は黄色ブドウ球菌に
対して特異的な選択性を有することが確認された。
【0013】次に、図面を参照しながら本発明の選択培
地の具体的使用例について更に詳細に説明する。図1は
本発明の選択培地を使用するためのマイクロプレート1
の一例の模式的平面図である。プレート自体の材質は特
に限定されないが、励起光の散乱が極力少なく、蛍光の
発生および受光を阻害しないような材質ならば全て使用
できる。例えば、透明ポリカーボネートなどが使用でき
る。しかし、これに限定されないことは当然である。図
示されているプレートは96穴のものである。穴の使用
態様は特に限定されない。一例として、図示されている
ように、12列の内、第1列目と第7列目に菌液または
検体を入れ、第2列目から第6列目まで、および第8列
目から第12列目までを段階希釈用として使用する。こ
の例では、第1列目から第6列目までを対照用(例え
ば、培養前の蛍光のバックグラウンド値を測定するため
のもの)として使用し、第7列目以降を培養後の蛍光測
定に使用する。A行からH行までは同一の菌あるいは培
地をいれることもできるし、A〜D行とE〜H行に2分
割し前記の各培地を入れることもできる。このような穴
の具体的使用態様は当業者には周知であり、これ以上の
説明は特に必要ないであろう。
【0014】次に、図2を参照しながら本発明の方法を
実施する際の一連の手順を説明する。先ず始めに、図1
に示されたようなマイクロプレート1を準備し、培地分
注ゾーン2で、プレートの所定の穴に所定の選択培地を
分注する。分注は手作業でも、自動機械でも何れによっ
ても実施できることは当業者に周知である。次に、菌液
分注ゾーン3で、検体(固体または液体)または菌液を
市販のブレンダーまたはストマッカーなどにより調整/
乳状化し、前記のようにプレートの第1列目と第7列目
に分注する。この分注も手作業あるいは自動機械により
行うことができる。ただし、特に限定されるわけではな
いが、培地分注と菌液分注は本発明の自動生菌数測定・
菌種同定システムには組み込まれていない。従って、本
発明のシステムを使用する者が前処理として行うべきも
のである。
【0015】その後、このプレート1は段階希釈・蛍光
プローブ添加装置4にローデイングされる。ここで、第
1列目と第7列目の菌液を例えば、10μlをそれぞれ
自動的に採取し、2列目と8列目の穴にそれぞれ注入す
る。次に、この2列目と8列目の穴からそれぞれ10μ
l量を自動的に採取し、3列目と9列目の穴にそれぞれ
注入する。以後、これを6列目と12列目まで順に繰り
返す。そうすると、100 ,10-1,10-2,10-3
10-4,10-5,10-6の7段階の希釈列が得られる。
本発明者らが実験したところでは、10-6以上の希釈は
コロニーの発生が見られず、無意味であることが確認さ
れた。
【0016】段階希釈が完了したら、プレートの対照側
の全ての穴にのみAO−10ドデシルブロマイドプロー
ブ液を分注する。前記のように、AO−10ドデシルブ
ロマイドプローブは黄色ブドウ球菌に対してのみ特異的
である。
【0017】プレートの対照側の穴にプローブ液を分注
したら、このプレートを蛍光測定装置5に移送する。こ
こで、培養前の蛍光強度を測定し、バックグラウンド値
として、データ処理・制御装置6の外部記憶装置に記憶
させる。その後、このプレートをインキュベータ7に移
し、所定時間にわたって所定条件の下で培養する。培養
後、プレートを再び蛍光プローブ添加装置に戻し、ここ
で、プレートの培養側の全ての穴にAO−10ドデシル
ブロマイドプローブ液を分注する。菌とプローブとの結
合反応を確実に行わせるために、プローブ分注後、数分
間〜10分間程度プレートを放置する。その後、蛍光測
定装置でプレートの培養側の蛍光強度を測定し、測定結
果をデータ処理・制御装置6の外部記憶装置に伝達す
る。ここで培養後の蛍光強度から培養前のバックグラウ
ンド値を引き算すると、真の蛍光強度が求められる。こ
の引き算の結果を外部記憶装置内のデータベースと照合
することにより菌種および生菌数が決定される。
【0018】前記の処理手順を図3にフローチャートと
して示す。培地分注と菌液分注の前処理10を経て、段
階希釈・プローブ分注11に入る。次いで、初期蛍光強
度測定12を行う。測定値はライン13でデータ処理・
制御装置14に伝達される。初期蛍光強度測定後、培養
14を行う。培養後、11に戻り、再びプローブ分注を
行う。その後、培養後蛍光強度測定15を行う。測定値
はライン16でデータ処理・制御装置14に伝達され
る。データ処理・制御装置14は外部記憶装置としてデ
ータベース17を有する。伝達された測定蛍光値をデー
タベースと照合し、菌数・菌種を決定し18で出力す
る。
【0019】図4に本発明の選択培地を使用できる生菌
数測定・菌種同定システム20の模式的構成を示す。図
示されたシステムは前記のように、基本的には段階希釈
・蛍光プローブ添加装置4と蛍光測定装置5とデータ処
理・制御装置6から構成されている。特に排除するわけ
ではないが、インキュベータは7は一般的に、このシス
テム20には含まれない。すなわち、このシステム20
を使用する者が自ら準備するべきものとしている。図示
された態様では段階希釈・蛍光プローブ添加装置4と蛍
光測定装置5とがあたかも別個の分離した装置のように
なっているが、両者を結合して単一のシステムとして構
成できることは当業者に自明である。図中、白抜太矢線
I 〜IVはプレートの搬送方向を示すが、I およびIVにつ
いてはシステム内で自動ハンドリング機構(図示されて
いない)により行うことができる。IIおよびIII は手作
業になる。
【0020】段階希釈・蛍光プローブ添加装置4の具体
的装置構成自体は特に限定されない。段階希釈・蛍光プ
ローブ添加の所期の目的を達成できるような装置構成で
あればよい。一例として、図示されているように、X−
Y−Z−Z´軸移動機構22を使用し、Z´軸に4連チ
ップ分注機構24を配設し、プローブ液槽26を設ける
ことができる。また、図示されていないが、チップは使
い捨てなので、チップ供給・廃棄機構も配設することが
できる。段階希釈・蛍光プローブ添加装置は密閉ボック
ス内に収容し、UV(紫外線)殺菌ランプ28によりボ
ックス内を無菌状態に維持することが好ましい。
【0021】蛍光測定装置5の具体的装置構成自体も特
に限定されない。しかし、図示されたシステム20で
は、下記の図5に示すような光学系を有する測定装置を
使用することが好ましい。図示された蛍光測定装置5は
例えば、光学系ユニット30とプレートを移動させるた
めのX−Yテーブル32を有する。この図示された光学
系ユニット30の特徴は、下記で詳細に説明するが、ホ
ルダ34に保持された光ファイバー36で蛍光を受光す
ることである。蛍光測定装置も密閉ボックス内に収容
し、UV(紫外線)殺菌ランプ28によりボックス内を
無菌状態に維持することが好ましい。また、前記のよう
に、段階希釈・蛍光プローブ添加装置4と蛍光測定装置
5を一つの密閉ボックス内に収容することもできる。
【0022】図示されたシステム20では、段階希釈・
蛍光プローブ添加装置4と蛍光測定装置5はデータ処理
・制御装置6と結ばれている。必要に応じて、拡張スロ
ットボックス40を介して結ぶこともできる。装置4と
装置5が、このデータ処理・制御装置6内に予めプログ
ラムされた手順に従って動作するように、データ処理・
制御装置6は装置4と装置5のコントローラの機能も果
たしている。データ処理・制御装置6は本体内のCPU
の他に、デーダベースを格納するHDDのような外部記
憶装置42を有することもできる。更に、制御内容を表
示したり、測定結果を出力するためのCRT44および
プリンタ46を備えることができる。
【0023】図5に図4の生菌数測定・菌種同定システ
ムの蛍光測定装置における光学系の概念構成図を示す。
光源として、例えば、キセンノンランプ50を使用し、
背後に補助ミラー52を配置し、前方にコンデンサレン
ズ54を配置すると共に、該レンズの前方に熱線吸収フ
ィルタ56を配置することにより光源系を構成してい
る。コンデンサレンズ54で平行にされた光線は特定の
波長の励起光のみを取り出すために励起光バンドパスフ
ィルタ58を通される。このフィルタはモータにより回
転され、図示されているように0〜3の4種類の波長の
励起光が得られるようになっている。しかし、このフィ
ルタ数に限定されるわけではない。励起光の波長自体は
本発明の必須要件ではないが、一般的な指標として、黄
色ブドウ球菌の場合は490nmの波長の励起光を使用す
ることが好ましい。
【0024】バンドパスフィルタ58を通過した励起光
はリレーレンズ62および可変絞り64を通過する。平
行化励起光は可変絞り64で絞られ、反射鏡66で90
°屈折される。屈折励起光は結像用レンズ68で焦点合
わせされ、マイクロプレートのウエル(穴)70内の検
体に照射される。別法として、励起光バンドパスフィル
タ58を出た励起光は光ファイバ(図示されていない)
により誘導し、検体に照射することもできる。光ファイ
バーを使用すれば、リレーレンズ、可変絞り、反射鏡お
よび結像用レンズが不要になり、励起光のエネルギー減
衰を抑制することができる。
【0025】検体から発生した蛍光は光ファイバーで受
光される。蛍光受光用光ファイバーの本数は1本以上
(例えば、6本)であればよい。光ファイバーは検体の
周囲を円形に取り囲むように配置することが好ましい。
このため、図4で簡単に示したようなホルダ34で保持
することが好ましい。垂直入射励起光に対する光ファイ
バーの保持角度は特に限定されない。蛍光を受光するの
に最大の効率を達成できるような角度であればよい。こ
のような角度は当業者が容易に決定することができる。
一般的には、45°が好ましい。
【0026】光ファイバー72で受光された蛍光は更に
蛍光側バンドパスフィルタ74および励起光側バンドパ
スフィルタ76に誘導される。フィルタ74および76
はフィルタ58と同番号のフィルタを使用しなければな
らない。フィルタ74およびフィルタ76も、図示され
ていないが、モータ60でフィルタ58と同時に駆動制
御される。蛍光側バンドパスフィルタ74は黄色ブドウ
球菌の場合には、535および540nmの蛍光を通過さ
せるものを使用することが好ましい。フィルタ76は迷
光励起光が存在していた場合に、蛍光強度の外乱要因に
ならないようにデータから除去するために使用できる。
しかし、このフィルタ76は必ずしも使用する必要はな
い。各フィルタの直後には光電子増倍管78および80
が配置されている。光電子増倍管からの電気信号は増幅
回路82および84を経て、図2および図4に示される
ようなデータ処理・制御装置に伝達される。
【0027】次に、データベースの作成法について説明
する。生菌数に関するデータは従来の寒天平板法により
得られる。例えば、希釈倍率10-6倍の検体から0.1
ml採取し、これを寒天平板に接種し37℃で大気中雰
囲気で所定時間培養する。また、希釈倍率10-7倍の検
体から0.1ml採取し、これを寒天平板に接種し同様
に37℃で大気中雰囲気で所定時間培養する。培養後、
寒天平板上に出現したコロニー数を計数する。例えば、
10-6の検体の場合、コロニーが100個出現し、10
-7の検体の場合、コロニーが10個出現した場合、10
-6の検体における菌数は、100×106 ×10=10
9 個/mlになり、10-7の検体では、10×107 ×
10=109 個/mlになる。この結果から、検体中の
生菌数は109と推定される。この測定を、例えば、培
養開始から3時間、4.5時間、6時間、7.5時間目
にそれぞれ行うと経時的な菌数の変化を示す特性曲線が
得られる。
【0028】また、これと同時に、本発明の蛍光測定シ
ステムを使用し、培養開始から3時間、4.5時間、6
時間、7.5時間目における蛍光強度を測定する。この
データから特性曲線を作成すると、時間の経過により蛍
光強度が増大する様子が確認できる。従って、前記の各
培養時間における生菌数のデータと各培養時間における
蛍光強度のデータを合わせると、生菌数に対する蛍光強
度の検量線が作成できる。これをデータベースとして蓄
積保存する。従って、未知検体の菌種が同定されれば、
その菌種の生菌数/蛍光強度検量線データベースに測定
蛍光強度を当てはめれば生菌数が得られる。
【0029】本発明の方法およびシステムで使用するデ
ータベースの作成に関する基本的概念は前記の通りであ
る。従って、本発明の方法およびシステムの信頼性は取
りも直さず、データベースの信頼性に依存する。このた
め、出来るだけ多数の培養実験を繰り返し、得られた結
果を統計処理し、バラツキの最小化を図り、可能な限り
普遍的なデータベースを構築することが好ましい。例え
ば、黄色ブドウ球菌には多数の種類の菌および変異株な
どが存在するので、培養条件および蛍光測定条件を同一
にしても、各菌または株により、同じ生菌数でも蛍光強
度に若干の変化が生じる。本発明の方法では黄色ブドウ
球菌群の中の特定の菌株までは同定できないので、検体
中に様々な黄色ブドウ球菌株が混在していたとしても、
一般的総称的な黄色ブドウ球菌の生菌数として推定され
る。
【0030】前記のような菌株の相違などのようなファ
クタに起因して、ノイズが初期菌濃度の予測値に大きく
影響することがあるので、確固としたデータベースの確
立と共に、得られた蛍光強度の実測値をファジィ理論に
より処理することもできる。具体的な変数値(蛍光強度
測定値など)と言語によって表現されるファジィ変数
(蛍光強度が「大」など)を関係づける関数をメンバー
シップ関数と呼ぶ。また、「蛍光強度変化量が大きけれ
ば、初期菌濃度は非常に大きい」などといった、事象の
関係をルールベースと呼ぶ。ファジィ理論によって、蛍
光強度の変化量から初期菌濃度を推定するには、各同定
菌種・希釈濃度ごとに蛍光強度の変化量から初期菌濃度
を推定するルールのデータベース(すなわち、ルールベ
ース)と各ファジィ変数のメンバーシップ関数を作成
し、データ処理装置内に記憶させる。この手法によれ
ば、蛍光強度の実測値に誤差が含まれていても、ファジ
ィの特徴である“あいまい性”の処理によって、期待値
からのズレをある程度平滑化・補正し、ノイズをキャン
セルして、初期菌濃度を信頼性高く実測することができ
る。このルールベースおよびメンバーシップ関数、実験
データの蓄積に伴い、順次修正・チューニングを行うこ
とによって更に測定精度を高めることが可能になる。ま
た、学習機能を追加することによって、自動的にこれら
のチューニングを行い、機能を向上させることができ
る。
【0031】前記のような基本的概念に基づいて作成さ
れた検量線の一例を図6に示す。図6は黄色ブドウ球菌
(JCM2413株)の培養における蛍光強度と生菌数
の関係を示すグラフである。白六角スポットは培養時間
に対する生菌数の経時的変化を示す特性曲線である。一
方、●は、培養時間に対する蛍光強度の経時的変化を示
す特性曲線である。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の選択培地
によれば、約8時間程度の短時間内に黄色ブドウ球菌の
菌種を同定し、あわせて、これらの菌数を測定すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の選択培地が実際に使用されるマ
イクロプレートの一例の模式的平面図である。
【図2】図2は本発明の選択培地による菌種同定・生菌
数推定方法の処理の進行を示す模式的概念図である。
【図3】図3は本発明の選択培地による菌種同定・生菌
数推定方法の処理手順の流れを示すフローチャートであ
る。
【図4】図4は本発明の選択培地による菌種同定・生菌
数推定方法の実施に使用されるシステムの一例の模式的
構成図である。
【図5】図5は図4のシステムで使用される蛍光測定の
ための光学系の模式的構成図である。
【図6】図6は黄色ブドウ球菌の培養における蛍光強度
と生菌数の関係を示す特性曲線である。
【符号の説明】
1 マイクロプレート 2 培地分注ゾーン 3 菌液分注ゾーン 4 段階希釈装置 5 蛍光測定装置 6 データ処理・制御装置 7 インキュベータ 20 生菌数測定・菌種同定システム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久津野 孝夫 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 日立電子エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 春日 里佳 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 日立電子エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 鈴木 新平 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 日立電子エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 岩谷 福雄 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 日立電子エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 辨野 義己 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究 所内 (72)発明者 長棟 輝行 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究 所内 (72)発明者 浅間 一 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究 所内 (72)発明者 遠藤 勲 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究 所内 (56)参考文献 特開 昭59−179073(JP,A) 米国特許3278393(US,A) Journal of Food P rotection,Vol.50,No 8,669−672(1987) Journal of Hygien e,Vol.80,57−67(1978) Progress in Medic ine,Vol.8,No.1,189− 194(1988) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12Q 1/00 - 3/00 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)Trypticase:2.5g/
    l,フィトン:0.5g/l,NaCl:5g/l,T
    ween80:1.0g/l及びアズレオナム:0.2
    5μg/mlからなる黄色ブドウ球菌用選択培地で被分
    析検体を培養するステップと、 (2)得られた培養物にAO−10ドデシルブロマイドを
    適量添加するステップと、 (3)AO−10ドデシルブロマイドが添加された培養物
    の蛍光強度を測定するステップと、 (4)既知の黄色ブドウ球菌について予め作成された生菌
    数と該菌数に対応する蛍光強度との検量線に前記測定値
    を当てはめることにより、被分析検体中の黄色ブドウ球
    菌の生菌数を決定するステップと、 からなることを特徴とする黄色ブドウ球菌の生菌数測定
    方法。
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Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Journal of Food Protection,Vol.50,No8,669−672(1987)
Journal of Hygiene,Vol.80,57−67(1978)
Progress in Medicine,Vol.8,No.1,189−194(1988)

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