JP2848529B2 - 外用剤 - Google Patents
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Description
芽形成促進作用、抗潰瘍作用を有する次式(I): で示されるα−トコフェロールビタミンA酸エステルを
活性成分として含有する外用剤に関する。
ロールビタミンA酸エステルの取り扱いを容易にし、か
つ安定性を損なうことなく外用製剤を調製し得る製剤原
体にも関する。
A酸エステルは、化学名をトコフェリルレチノエート
(以下トコフェリルレチノエートと記す)と称される公
知の化合物である(特公昭49−26632)。この式(I)
で示されるトコフェリルレチノエート(以下、化合物
(I)と記す場合もある)は抗潰瘍作用を有する点よ
り、消化管潰瘍治療薬への応用が提案され(特公昭60−
26770)、さらに皮膚劣化防止作用を期待し、化粧料の
成分としての使用が提案されている(特開昭51−17313
7)。
提案されている(特開昭61−207332)。
剤としての剤型は、軟膏剤、ローション剤、リニメント
剤あるいはエアゾール剤の製剤形態を取り得るものであ
り、その製剤化にあたっては、従来行なわれている製剤
学的に汎用される方法が使用されている。例えば軟膏の
製造に当っては、製造原料として油性物質例えば流動パ
ラフィン、ワセリン、シリコーン油、脂肪族高級アルコ
ール類、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類、植物油、ひ
まし油、ラノリン及びその誘導体、スクワレン、スクワ
ランなど;乳化剤・分散剤例えば多価アルコールエステ
ル型非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン系非イ
オン性界面活性剤など;湿潤剤例えばグリセリン、プロ
ピレングリコール、ソルビット、アミノ酸など;安定剤
例えば酸化防止剤、防腐剤など;それ以外のもの例えば
ポリエチレングリコール、ポリエチレン、懸濁化剤など
から適宜選択し、化合物(I)と組合せて用い、各成分
の混合、乳化、分散などの工程を経て行なうものであ
る。
れる実用的な皮膚疾患治療外用剤の開発を鋭意追求して
いたが、化合物(I)が粘稠性であるために、通常の製
剤化技術では臨床的に所望の治療効果を発揮する外用剤
への製剤化が困難なものであることに気が付いた。たと
えば、化合物(I)が粘稠性物質であるため、含有量調
整時の秤量等における取り扱いが困難であるうえに、そ
の製剤化にあたっては加熱操作を加え化合物(I)自体
の粘性を低下させた後、通常の製剤化技術を施す必要が
ある。ところが化合物(I)は科学的安定性が低く酸化
・分解されやすい性質を有しているが故に、製剤化工程
での高温操作により、トコフェリルレチノエートが変化
して、製剤中で当初目的とした化合物(I)の濃度を有
効に確保することが困難になる。
ていた。
の調製にあたって、化合物(I)自体の粘性を前もって
低下させた製剤原体を得ることができるならば、外用剤
としての製剤化時に、化合物(I)の異性化・酸化分解
を引き起すような高温操作を必要とせず、また化合物
(I)の化学的な安定性も確保し得るのではないかと考
えた。
あり、かつ安定に化合物(I)を含有する低粘性の製剤
原体作製について検討を行ない、併せて該製剤原体を基
本処方とした皮膚に対し刺激性がなく、化合物(I)の
有する薬効を最も有効に発揮し得る外用製剤の調製につ
いての検討を行なった。
ム、シクロヘキサン、アセトン等の適当な有機溶媒ある
いは動・植物油に良好に溶解する性質がある点に着目
し、これら溶媒等に化合物(I)を溶解せしめ、低粘性
を確保した製剤原体を調製する方法を検討した。しかし
ながらかかる方法にあっては、所望の低粘性製剤原体が
得られるものの、有機溶媒を用いた場合にあっては外用
剤として製剤化された時にその残留濃度とともに、毒
性、皮膚刺激性が問題となり、臨床的に適用し得る製剤
とはなり得ないものであった。また、動・植物油を用い
た場合にあっても、製剤原体自体が時間の経過とともに
酸敗し、結果として製剤自体の安定性が欠如し、好まし
い製剤とはなり得ないものであった。
原体用溶媒を検討した結果、油性原料に化合物(I)を
混和し、さらに抗酸化剤として特にジブチルヒドロキシ
トルエンを配合してなる配合処方が、前記条件を満たす
製剤原体となることを見い出し、本発明を完成した。ま
た本発明者らは、この製剤原体を基本処方とし、軟膏
剤、クリーム剤、ローション剤等の外用製剤とした場合
に、特にクリーム剤の態様にある外用剤が目的とする褥
瘡、熱傷、創傷等の皮膚疾患治療剤として有効な外用剤
となることを確認し、本発明を完成するに至った。
エートを安定に含有し、なおかつ外用製剤の作製を著し
く容易にするための製剤原体の提供にあり、詳細には、 A.製剤原体全重量に対して (a)次式(I): で示されるα−トコフェロールビタミンA酸エステル2.
0ないし40.0重量%、 (b)ジブチルヒドロキシトルエン0.01ないし5.0重量
%、および (c)油性原料 を含有する外用製剤原体; を提供することである。
あり、詳細には、 製剤全重量を基準として: (a)前記式(I)で示されるα−トコフェロールビタ
ミンA酸エステル0.05ないし5.0重量%、 (b)ジブチルヒドロキシトルエン0.002ないし0.2重量
%、および (c)油性原料 を少なくとも配合した皮膚疾患治療外用剤; を提供することである。
く提供される外用製剤原体を用いて調製されることが望
ましい。
ション剤のいずれかの態様にある皮膚疾患治療外用剤が
提供される。
は: B.製剤全重量に対して; (a)化合物(I)0.05ないし5.0重量%、 (b)ジブチルヒドロキシトルエン、および (c)油性原料 を配合してなる軟膏剤が提供される。
具体的には: C.製剤全重量に対して; (a)化合物(I)0.05ないし5.0重量%、 (b)ジブチルヒドロキシトルエン、 (c)油性原料、 (d)油、 (e)ワックス、 (f)界面活性剤、および (g)水 を配合してなるクリーム剤が提供される。
は、具体的には: D.製剤全重量に対して; (a)化合物(I)0.05ないし5.0重量%、 (b)ジブチルヒドロキシトルエン、 (c)油性原料、 (d)油、 (e)ワックス、 (f)界面活性剤、および (g)水 を配合してなるローション剤が提供される。
た如く、その化学名をトコフェリルレチノエートとい
い、肉芽形成促進作用、抗潰瘍作用を有する点より消化
管潰瘍治療薬、皮膚劣化防止作用の点より化粧品の成分
としての適用が試みられており、最近は皮膚疾患治療剤
としての提供も検討されている。
ないか、またはわずかに特異なにおいがあり、光および
空気に対して不安定である。またエタノールにやや溶け
難く、メタノールには溶け難い。水にはほとんど溶けな
い。化合物(I)は、酢酸エチル、クロロホルム、シク
ロヘキサン、アセトン等の有機溶媒、またダイズ油、ゴ
マ油等の植物油にはよく混和するが、これらを溶媒とし
て製剤化することは前記したように得策ではない。また
化合物(I)を適当な化粧用原料基剤に直接混和し、外
用剤化させる方法においては、化合物(I)の粘性を低
下させるために高温操作を行なう場合に、その熱により
主薬たる化合物(I)の酸化分解が生じ易く、目的濃度
を確保できないことから、この方法をもって皮膚疾患治
療剤としての製剤化を図ることは困難である。
傷等に基づく皮膚疾患の治療を目的として、肉芽形成促
進作用を有する皮膚疾患治療外用剤が数多く提案されて
来ている。これら外用剤の薬理効果は、活性成分として
含有される薬物が所有する抗潰瘍作用、組織角化防止作
用あるいは創傷面治癒促進作用等により、皮膚潰瘍面に
新たな皮膚組織を形成させ、治療効果を発揮させようと
するものであり、その製剤形態としては軟膏剤が主流を
占めている。
疱、斑、潰瘍、びらん等に該当するものであり、これら
原発疹に対する治療という面からみた場合には、油脂軟
膏基剤、乳剤性軟膏基剤あるいは水溶性軟膏基剤に基づ
く軟膏剤の形態にあるものが好ましいとされているから
である。これら3種の軟膏剤にあっては、そこに配合さ
れる活性成分の治療効果のみならず、使用される基剤自
体にもそれぞれ特有の効果を有するものであって、例え
ば油脂性基剤における特性は、皮膚の軟化とともに痂皮
を除去し、表皮の形成をうながす作用を基本的に有して
いる。また乳剤性軟膏基剤にはO/W型の親水軟膏ならび
にW/O型の吸水軟膏の2種類があるが、その適用はいず
れも乾燥性の皮膚疾患に対し用いられるものであり、逆
に湿潤性の疾患、すなわち水疱、びらん、潰瘍などに適
用した場合には、滲出物を吸収してしまい、症状を悪化
させる欠点がみられるが、深部潰瘍部への浸透性に優れ
るという利点を有する。一方、水溶性軟膏基剤は親水軟
膏と異なり、水溶性、吸水性は乳剤性軟膏より強いた
め、水疱、びらん等の湿潤面に使用され、水分や分泌物
を吸収し、病変部を乾燥させる作用を有しれいるが、吸
水性が強すぎ病巣面が乾燥しすぎてしまい、亀裂を生
じ、逆に症状を悪化させるおそれも多々みられている。
その適用症状に応じ使用される外用剤自体のタイプが種
々異なるものであり、上記の如き基剤の特性を考慮しつ
つ、かつ化合物(I)の有する肉芽形成促進作用、抗潰
瘍作用を有効に発揮する皮膚疾患治療外用剤としての製
剤化を企画した場合には、種々のタイプの外用剤を調製
し得る製剤化検討を行うのが良いと考えられる。
分として含有する外用剤を調製し得る製剤原体について
の配合処方を検討した結果、前記の如き基本的処方に基
づく外用製剤原体が、目的とする各種の外用剤を調製し
得る製剤原体として極めて有効なものであることを新規
に見い出したのである。加えて、かかる製剤原体処方
は、単に軟膏剤へ応用し得るばかりでなく、クリーム剤
あるいはローション剤へも応用し得る。
原体、およびこの製剤原体処方を基本とする外用剤に関
する。本発明によれば化合物(I)を油性原料に溶解せ
しめ、さらに抗酸化剤としてジブチルヒドロキシトルエ
ン(以下BHTと記すこともある。)を配合することによ
り、化合物(I)の製剤化時における安定性を損なうこ
となく、外用剤への製剤化を可能ならしめる有効手段を
提供したのである。
ィン、スクワラン、スクワレン、中鎖脂肪酸トリグリセ
リド、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチ酸イソプロ
ピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等が好ましく、中
でも化合物(I)の極性状態(ほとんど無極性である)
と合致する流動パラフィンが溶解性の面で特に好まし
い。また、流動パラフィンでも前記した特開昭61−2073
32号に開示されている流動パラフィンと比較し、低分子
量成分である軽質流動パラフィンがとり分け好ましく、
その粘度が低いために粘稠性である化合物(I)を混和
した時に、化合物(I)の粘度を下げ、取り扱いを簡便
なものとすることができる。この軟質流動パラフィン製
品としては、臨床適用されたときに刺激性の原因となる
不飽和物質の混入が少ない高純度品であるモレスコバイ
オレス (松村石油)が適当である。
ことから、抗酸化剤としてジブチルヒドロキシトルエ
ン、ブチルヒドロキシアニソール、dl−α−トコフェロ
ール、中でもジブチルヒドロキシトルエンを添加するこ
とによって特に優位に安定性を維持することができる。
性原料、好ましくは軽質流動パラフィン−ジブチルヒド
ロキシトルエンの配合処方に特徴があり、かかる組合せ
により化合物(I)の外用剤としての製剤化時に問題と
なる物理的性質、化学的性質が解決された。得られた製
剤原体の使用により、後記する軟膏剤、クリーム剤ある
いはローション剤への製剤化が容易になり、特に臨床上
有用である皮膚疾患治療クリーム剤の開発が可能になっ
たのである。
リーム剤、ローション剤の態様にある外用剤について説
明する。
ないし35重量%、より好ましくは20ないし30重量%、 (b)ジブチルヒドロキシトルエン0.01ないし5.0重量
%、好ましくは0.05ないし4.0重量%、より好ましくは
0.07ないし2.0重量%、および (c)軽質流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、
中鎖脂肪酸トリグリセリド、パルミチン酸イソプロピ
ル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチル
ドデシル等の油性原料、好ましくは軽質流動パラフィン
(モレスコバイオレス :松村石油) を配合してなるものである。
パラフィンは、日本薬局方に収載される製剤原体であ
り、同様局方に収載される流動パラフィンと比較しそこ
に含有される炭化水素化合物の炭素原子数が低いもので
ある。その中でも純度が高く、かつ皮膚刺激性の低いも
の(モレスコバイオレス :松村石油)が好ましく使用
される。抗酸化剤としては例えばジブチルヒドロキシト
ルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、dl−α
−トコフェロール等の抗酸化剤を挙げることができる
が、中でもBHTが抗酸化力、低刺激性等の点で好まし
く、0.01ないし5.0重量%の範囲(化合物(I)の配合
量により調整される)の配合量で化合物(I)の確実な
安定性が保証される。
得られた製剤原体を用い、目的とする皮膚疾患治療外用
剤へ製剤化した場合に、十分効果を発揮するのに十分な
量であるとともに、該製剤原体が目的とする製剤化に適
用しうるものである必要があり、本発明者らの検討の結
果、前記した配合量が好ましいことが判明した。
合物(I)−BHT−油性原料、好ましくは軽質流動パラ
フィンの配合処方からなるものであって、かかる組合せ
により化合物(I)自体の安定性が確保された製剤原体
は、その取り扱い面が優れるが故に、後記する軟膏剤、
クリーム剤あるいはローション剤への製剤化検討を容易
にするとともに特に臨床上有用であるクリーム剤の実現
を可能ならしめたのである。
剤である軟膏剤、クリーム剤あるいはローション剤を提
供するのであるが、これら製剤の調製にあたっては、上
記のようにして調製された製剤原体を用いるのが好まし
い。
Aで得られる製剤原体の配合量は目的とする製剤が皮膚
疾患治療剤として有効に効果を発揮する化合物(I)の
製剤中での含有量により決定される。本発明者らの検討
によれば、化合物(I)自体が所有する肉芽形成促進作
用、抗潰瘍作用からみて、化合物(I)が製剤全重量を
基準として0.05ないし5.0重量%、好ましくは0.1ないし
3.0重量%、より好ましくは0.2ないし1.0重量%に相当
する量が配合されれば充分効果が発揮されることが判明
した。したがって、以下の説明においては、前記Aで得
られる製剤原体を基本処方とし、その原体中に化合物
(I)として含有する換算量で説明することとする。
成分の配合量が確保されていれば充分であり、必ずしも
前記Aで得られた製剤原体そのものを使用しなくても良
いことは言うまでもない。
0.05ないし5.0重量%、好ましくは0.1ないし3.0重量
%、より好ましくは0.2ないし1.0重量%、および (b)残余が油あるいは水溶性高分子化合物、好ましく
は白色ワセリンあるいはマクロゴール を配合してなる製剤である。
には親油性軟膏(疎水性軟膏)あるいは親水性軟膏の2
種類があり、それぞれタイプの異なる軟膏剤とすること
ができるが、疎水性軟膏を所望する場合には上記油とし
て白色ワセリン、親水軟膏を所望する場合にはマクロゴ
ールを利用するのが好ましい。マクロゴールにあって
は、その稠度をマクロゴール400、マクロゴール4000等
を適当量配合して調整することができる。
する疎水性あるいは親水性軟膏を調製することができ
る。上記の如く調製されるワセリン基剤あるいはマクロ
ゴール基剤の軟膏剤は、皮膚刺激性のない、親和性の優
れた製剤として極めて良好なものである。
0.05ないし5.0重量%、好ましくは0.1ないし3.0重量
%、より好ましくは0.2ないし1.0重量%、 (b)ワックス、1ないし20重量% (c)油1ないし25重量%、 (d)界面活性剤0ないし10重量%、および (e)残余水 を配合してなるクリーム剤である。
型(O/W)であるクリーム剤の態様が特に好ましく、上
記ワックスとしては自己乳化型ワックスや鯨ロウ、モク
ロウ、サラシミツロウ等のワックスが挙げられ、自己乳
化型ワックス(ポラワックスGP−200)を使用する場合
にあってはこのもの自体が界面活性作用を有するため、
あらためて界面活性剤の添加を必要としない。また、上
記油としてミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オ
クチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル等脂肪酸エ
ステルが好ましく、これらのうち1種もしくは2種以上
組み合せて加えることができる。上記油についてはその
目的を達するために十分な量でよく、クリーム剤全量に
対して通常1ないし25重量%の範囲で配合される。さら
に、界面活性剤としては非イオン型界面活性剤が好まし
く、Span類、Tween類の中から1種、もしくは2種以上
を組み合わせて配合される。配合量についてはその目的
を十分に達する量でよく、クリーム剤全重量に対して0
ないし10重量%の範囲内で配合することができる。
より得られる製剤原体−ワックス−油−界面活性剤−水
より成るものであるが、通常のクリーム剤に配合される
成分、すなわち保湿剤、保存剤等を適宜加えることがで
きる。
したO/W型の各種のクリーム剤を調製することができ
る。そしてこの配合処方にあっては、褥瘡面への適用の
際に、褥瘡に生じた血腫を溶解させるという他の外用製
剤には見られない特異的な薬効を示し、なおかつ疾患部
位にのみに化合物(I)を良好に放出させ得る製剤であ
る。
が高いものが上記作用に優れることが判明した。
て、0.05ないし5.0重量%、好ましくは0.1ないし3.0重
量%、より好ましくは0.2ないし1.0重量%、 (b)ワックス1ないし10重量%、 (c)油、0.1ないし2重量%、 (b)残部水 を配合してなるローション剤であり、化合物(I)の物
性を考慮した場合、乳剤性ローション剤の形態が好まし
い。
クスGP−200)が好ましく使用され、ポラワックスGP−2
00のみでも十分乳化作用を期待できる。また、上記油と
してはミリスチン酸イソプロピル、ミルスチン酸オクチ
ルドデシル、パルミチン酸イソプロピル等脂肪酸エステ
ルが好ましく、1種もしくは2種以上を組合せて使用さ
れる。
よく、ローション剤全重量に対して通常0.1ないし2重
量%の範囲内で配合される。本発明の外用剤においては
従来知られた外用剤に使用される他の成分を配合するこ
とができる。すなわち、溶解剤、増粘剤、保湿剤、乳化
剤等の中より目的に応じて適宜組合せ、必要量配合する
ことができる。また、保存剤としてパラオキシ安息香酸
メチル、エチル、プロピル等のパラベン類や、クロロブ
タノール、ベンジルアルコール等より目的に応じて1種
もしくは2種以上を組み合せて配合することができる。
た製剤原体を用い、従来行われている公知の製法にて行
うことができる(詳細は後記実施例参照)。
およびローション剤の態様にある外用剤を実施例にて説
明する。
溶剤に対する溶解性試験 化合物(I)トコフェリルレチノエートの各種溶剤に
対する溶解性を、化合物(I)1gを溶解するのに必要な
溶剤の量で比較検討を行なった。
ほとんど溶けないか、もしくは溶解し難いことがわか
る。一方有機溶媒、あるいは植物油、化粧用原料基剤に
対しては、良好なる溶解性を示す。したがって、化合物
(I)の製剤原体を作成する際には、有機溶媒、植物油
もしくは化粧用原料基剤が良い溶剤となることが予想さ
れる。ところが先に述べた通り、有機溶媒にあっては保
存時の蒸発、またその毒性、製品化された時の残留濃度
が問題となり、植物油においては製剤自体の酸敗による
安定性が問題となり使用することができない。よって軟
質流動パラフィンは、第1表に示された良好なる溶解性
の面からも、化合物(I)の溶剤として満足のできるも
のといえる。
を対照に測定試験を行った。
コーン)にて40℃、50℃、60℃の設定条件下における粘
度測定を行った。なお、比較対照として40℃条件下にお
ける白色ワセリンの粘度測定も合せて行った。
固有粘度を持つニュートン流動を示す。また60℃におい
てでさえ約25,000センチポアズもの粘稠性を示し、さら
に40℃においては同温の白色ワセリンと比較した場合に
化合物(I)の粘度は白色ワセリンの約200倍もの粘稠
性を示す。
に混合溶解して製した製剤原体は(粘度は約200センチ
ポアズ)、上記粘性の問題を解決したということで価値
のあるものである。
した後、この溶解液を同温に加温した化合物(I)に加
え、かきまぜながら徐々に冷却し、化合物(I)を25%
含有する製剤原体を得た。
Aと記すときもある)を配合する製剤原体を作成した。
調製法は前記処方例1の製法に準じた。
ントレートを配合する製剤原体を作成した。調製法は前
記処方例1の製法に準じた。
前記処方例1の製法に準じた。
に、前記実施例3で得られた4処方の製剤原体について
検討した。すなわち、各処方の製剤原体をスクリュー管
に約5g量り採り、40、50℃下に6ヵ月、60℃下に2ヵ月
の苛酷条件にて放置し、各測定ポイントにてα−トコフ
ェリルレチノエート含量をHPLC法にて測定した。また併
せて、製剤原体の外観変化の観察も行った。
流動パラフィン中での安定性は比較的良好なもの(処方
例4)であるが、抗酸化剤の配合(処方例1:BHT、処方
例2:BHA)によりさらにその安定性が向上していること
がわかる。抗酸化剤についてその効力を比較すると、BH
Tが特に優れた作用を示した。外観についても、BHTを配
合した処方例1については外観変化は認められなかった
が、他の処方例では比較的早い時期に見られた。
用し、抗酸化剤として特にBHTを配合してなる製剤原体
(処方例1)は、過酷条件下での安定性が確保されてい
るので、室温下において長期にわたりその安定性が確保
されることが推定された。
水性軟膏を調整した。
に加温した化合物(I)25%含有製剤原体を加え、遮光
下、真空状態にて均一に混合する。次いで同条件にて混
合しながら室温まで冷却し、化合物(I)を0.5%含有
する疎水性軟膏剤を得た。
水性軟膏を調整した。
温、熔融させたのち、同温に加温した化合物(I)25%
含有製剤原体を加え、以下実施例5と同様に操作し、化
合物(I)を0.5%含有する親水性軟膏剤を得た 実施例7:クリーム剤の調製(I) 実施例3の処方例1にて得られた製剤原体を用いてク
リーム剤を調整した。
(B)を約70℃に加温、混合したのち(A)に加え、遮
光下、真空状態にて混合する。次いで同条件下において
混合しながら室温まで冷却し、化合物(I)を0.5%含
有するクリーム剤を得た。
リーム剤を調整した。
し混合する。次に(B)と(D)を約70℃にて加温、熔
融したのち先の混合物に加え、遮光下、真空状態にて混
合する。次いで同条件下にて混合しながら室温まで冷却
し、化合物(I)を0.5%含有するクリーム剤を得た。
ーション剤を調整した。
を約70℃に加温、混合したのち(A)に加え、遮光下、
真空状態において混合する。次いで同条件下にて混合し
ながら室温まで冷却し、化合物(I)を0.5%含有する
ローション剤を得た。
性軟膏、クリーム剤(I)、クリーム剤(II)、ローシ
ョン剤の各製剤中からの化合物(I)の放出性を検討し
た。
った。上記外用製剤各3gをリン酸−エタノール混液(0.
01Mリン酸緩衝液(pH6.0):エタノール=2:8)500ml
(37℃500)の溶液面に接するように置かれた人工膜
(ミリポアフィルター:FSLWO4700、ポアサイズ3.0μ
m)上に塗布し、緩衝液を150rpmで撹拌し、人工膜を通
して緩衝液中に放出された化合物(I)を吸光度法によ
り経時的に測定した。
プ(I)で示されるクリーム製剤が特に放出能に優れ、
臨床適用された場合に有効な薬剤となることが予想され
る。
効性検討試験 方法; 褥瘡、熱傷潰瘍、放射線潰瘍、外傷性潰瘍、下腿潰
瘍、糖尿病性潰瘍、静脈瘤症候群、一般難治性皮膚潰瘍
患者を対照に、前記実施例より得られた疎水性軟膏、親
水性軟膏、クリーム剤(I)、クリーム剤(II)の有効
性を検討した。
毒後、上記外用剤を病巣の広さに応じて適当量をリント
布またはガーゼにのばし貼付した。
用は良好であるが、疎水性、親水性両軟膏剤にあっては
創傷面の血腫除去作用が悪く、そのために表皮形成が遅
れる傾向が見られる。ところが一方クリーム製剤でも特
に水分含量の多い製剤であるクリーム剤(I)では血腫
除去作用、それに伴う表皮形成作用も良好であり、試験
薬剤中特に優れる臨床効果を示した。また特に深部潰瘍
部に適応し易い製剤としてクリーム剤(I)は他の軟膏
に比較し、好ましいものであった。
本製剤は有効性と共にまた安全性にも優れることが判明
した。
の血液中濃度、尿・糞中排泄および組織内濃度 方法: ラット背部中央をバリカンで剪毛し、さらに皮膚剥離
を行なう損傷皮膚動物群と皮膚剥離を行なわない正常皮
膚群を作成した。後述の調製法により作成された14Cで
ラベルしたトコフェリルレチノエート含有軟膏剤を密封
塗布投与方により24時間密封塗布した。各々の試験項目
について、次の操作により化合物(I)の濃度測定を行
なった。
軟膏剤5および50mg/kg体重を投与し、投与後1,4,8時
間、1,2,3,4,5,7,10,15,25,30日に血液を採取した。採
取した血液を濾紙に吸収させ、風乾後燃焼法により放射
能測定を行なった。
れた尿および糞を採取する。採取は尿・糞ともに投与後
0〜6、6〜24時間毎に以降24時間毎に行なった。尿は
適宜希釈し、tT−21シンチレーターを加え放射能を測定
し、糞は燃焼法により測定した。
2,6,24,72,120時間に脳、眼球、顎下腺、心、肺、腎、
脾、精巣、小腸(回腸)、筋肉、脂肪、皮、血液、血
漿、投与部位の各組織を採取し、燃焼法により放射能を
測定した。
軟膏を作製した。
ても放射能は検出限界以下であり、両投与部位からの血
液中への移行はみられなかった。
検出されなかった。また24時間以降糞中に検出されたが
その排泄量はごくわずかなものであった。
外の組織で放射能は全く検出されなかった。
するのみで全身に移行することはないものと考えられ
る。
の投与部位における刺激性、投与部位からの薬物吸収に
伴う全身作用が問題となるが、化合物(I)を含有する
製剤においては適用部位における刺激性は認められてお
らず、また実施例12における試験からも明らかなように
化合物(I)の全身への移行は認められていない。
は、適用部位にのみ滞留し、その適用部位において優れ
た薬効を示し、適用部位からの吸収に伴う全身作用−副
作用−の発現が見られないということで、安全性の面か
らも極めて有用な外用剤であるといえる。
リーム剤(I)はトコフェリルレチノエートの有する肉
芽形成促進作用と、クリーム製剤に由来する血腫除去効
果がうまく相まって他の製剤態様よりも創傷面治癒促進
効果に優れたものである。
を損なうことなく外用剤の調製を極めて容易にならしめ
ただけでなく、皮膚疾患に有用なる治療剤として特に深
部潰瘍にも適応し得るクリーム剤を初めとする軟膏剤、
ローション剤を提供するということで大いに意義のある
ものといえる。
Claims (5)
- 【請求項1】(a)次式(I): で示されるα−トコフエロールビタミンA酸エステル
2.0ないし40.0重量%、 (b)ジブチルヒドロキシトルエン 0.01ないし5.0重
量%、および (c)軽質流動パラフイン を含有することを特徴とする外用製剤原体。 - 【請求項2】製剤の全重量を基準として: (a)請求項1記載の式(I)で示されるα−トコフエ
ロールビタミンA酸エステル 0.05ないし5.0重量%、 (b)ジブチルヒドロキシトルエン 0.002ないし0.2重
量%、および (c)軽質流動パラフイン を含有することを特徴とする皮膚疾患治療用外用剤。 - 【請求項3】製剤の全重量を基準として: (a)請求項1記載の式(I)で示されるα−トコフエ
ロールビタミンA酸エステル 0.05ないし5.0重量%、 (b)ジブチルヒドロキシトルエン 0.002ないし0.2重
量%、 (c)軽質流動パラフイン 0.1ないし6.0重量%、 (d)自己乳化型ワツクス 5ないし50重量%、 (e)中鎖脂肪酸エステル 1ないし5重量%、および (f)水 を含有することを特徴とする皮膚疾患治療用外用剤。 - 【請求項4】請求項1記載の製剤原体を使用して得られ
る請求項2又は3記載の皮膚疾患治療用外用剤。 - 【請求項5】クリーム剤の形態にある請求項2ないし4
のいずれかに記載の皮膚疾患治療用外用剤。
Priority Applications (1)
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JP1041727A JP2848529B2 (ja) | 1989-02-23 | 1989-02-23 | 外用剤 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH02221221A JPH02221221A (ja) | 1990-09-04 |
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JP2017210450A (ja) * | 2016-05-27 | 2017-11-30 | 日油株式会社 | 皮膚外用組成物 |
-
1989
- 1989-02-23 JP JP1041727A patent/JP2848529B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH02221221A (ja) | 1990-09-04 |
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