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JP2844334B2 - 制電性ポリエステル繊維 - Google Patents

制電性ポリエステル繊維

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JP2844334B2
JP2844334B2 JP9271911A JP27191197A JP2844334B2 JP 2844334 B2 JP2844334 B2 JP 2844334B2 JP 9271911 A JP9271911 A JP 9271911A JP 27191197 A JP27191197 A JP 27191197A JP 2844334 B2 JP2844334 B2 JP 2844334B2
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JP
Japan
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antistatic
polyester
polyalkylene glycol
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JP9271911A
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隆 秋田
秀夫 坂倉
久 黒田
昇 今林
秀人 柿田
泰行 藤井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアルキレングリコ
ール及び有機スルホン酸金属塩が添加されたポリエステ
ルからの制電性ポリエステル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、その優れた特性か
ら衣料用のみならず産業資材用分野に至るまで広く用い
られているが、電気抵抗が高く静電気を帯び易いという
欠点を有している。そのため、この静電気を帯び易い欠
点を改善するべく種々の方法が数多く提案されており、
その一つにポリエステルに制電剤を練り込む方法があ
り、例えば特公昭46−22200号公報、特公昭47
−10246号公報、特公昭47−11280号公報に
は、ポリオキシアルキレングリコールとアルキルベンゼ
ンスルホン酸ソーダを制電剤として混入する、特開昭5
3−149247号公報には、ポリオキシアルキレング
リコールとアルキルスルホン酸ソーダを制電剤として混
入する等の提案があり、また特公昭57−4724号公
報には、制電ポリマーを繊維軸方向に筋状に分散させる
ことも提案されている。
【0003】しかしながら、従来の方法では、少量の制
電剤の配合では満足しうる十分な制電性能が得られず、
また、制電性能を向上させる目的でポリオキシアルキレ
ングリコール等の制電剤の配合量を増加すると、製糸安
定性、耐熱性等が低下するとともに、染色斑等も発生し
易いという欠点を有する。従来の方法において、制電剤
の少量の配合で十分な制電性能が発現しない原因の一つ
は、繊維中において制電剤が繊維軸方向に筋状に十分に
連続して存在しておらず、配合した制電剤が有効に機能
しないことにある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリアルキ
レングリコールと有機スルホン酸金属塩を制電剤とし、
ポリエステルの重縮合段階で配合する、いわゆる練り込
み法による制電性ポリエステル繊維の製造方法を改良、
特に制電剤として用いるポリアルキレングリコールと有
機スルホン酸金属塩の量及び紡糸方法を検討し、繊維軸
方向に連続したポリアルキレングリコールの独立相を形
成させ、配合した制電剤を有効に機能させで少量の制電
剤の配合でも高度の制電性能を発現する制電性ポリエス
テル繊維を得ることを見いだしたことに基づくものであ
り、本発明の目的は、制電性能に優れた制電性ポリエス
テル繊維を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、平均分子量
5,000以上のポリアルキレングリコール0.5〜5
重量%及び一般式RSO3M(但し、Rは炭素数3〜3
0のアルキル基、炭素数7〜40のアリール基若しくは
アルキルアリール基、Mはアルカリ金属を示す)で表さ
れる有機スルホン酸金属塩0.1〜2重量%を制電剤と
して含有するエチレンテレフタレートを主たる繰り返し
単位とするポリエステルポリマーからなる繊維であっ
て、ポリアルキレングリコールが繊維中において繊維軸
方向に配向した多数の独立相を形成し、繊維軸に対し垂
直方向の繊維横断面におけるそれぞれの独立相間の平均
間隔が0.1μm以下であり、繊維軸に対し平行方向の
繊維縦断面における1μm2あたりの繊維軸方向に配向
した独立相の総数に対する不連続の独立相の数の割合が
50%未満であることを特徴とする制電性ポリエステル
繊維、にある。
【0006】本発明の制電性ポリエステル繊維における
ポリエステルとは、エチレンテレフタレートを主たる繰
り返し単位とするポリエステルをいい、テレフタル酸ま
たはそのエステル形成性誘導体をジカルボン酸成分と
し、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導
体をジオール成分とするポリエステルが代表的なもので
あるが、ジカルボン酸成分の一部をテレフタル酸または
そのエステル形成性誘導体以外の他のジカルボン酸成分
で、またジール成分の一部をエチレングリコールまたは
そのエステル形成性誘導体以外の他のジオール成分で置
き換えたものでもよい。
【0007】他のジカルボン酸成分としては、イソフタ
ル酸、5−スルホイソフタル酸モノアルカリ金属塩、ナ
フタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフ
ェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボ
ン酸類またはそのエステル及びp−オキシ安息香酸、p
−β−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸類
またはそのエステル等が挙げられる。
【0008】また、他のジオール成分としては、1,4
−ブタンジオール、炭素数2〜10のアルキレングリコ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペン
チルグリコール、1,4−ビス(β−オキシエトキシ)
ベンゼン、ビスフェノールAのビスグリコールエーテル
等が挙げられる。
【0009】さらに、ポリエステルが実質的に線状であ
る範囲で、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカ
ルボン酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロ
パン、グリセリン等のポリオール、モノハイドリックポ
リアルキレンオキサイド、フェニル酢酸等の重合停止剤
を用いられたものでも差し支えない。
【0010】かかるポリエステルは、公知の任意の方法
で合成したものでよい。例えばポリエチレンテレフタレ
ートについて説明すれば、テレフタル酸とエチレングリ
コールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸
ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルと
エチレングリコールとをエステル交換反応させるか、ま
たはテレフタル酸にエチレンオキサイドを付加反応させ
るかして、テレフタル酸のグリコールエステルまたはそ
の低重合体を合成し、次いでこの生成物を常法により重
縮合させる方法が一般的である。
【0011】さらに、ポリエステルの合成にあたって、
公知の触媒、抗酸化剤、着色防止剤、エーテル結合副生
防止剤、難燃剤、その他の添加剤が適宜用いられたもの
であってもよい。
【0012】本発明の制電性ポリエステル繊維を構成す
るポリエステルには、平均分子量が5,000以上のポ
リアルキレングリコール0.5〜5重量%及び前記一般
式で表される有機スルホン酸金属塩0.1〜2重量%を
制電剤として含有する。本発明において、ポリエステル
に含有されるポリアルキレングリコールは、平均分子量
が5,000以上であることを必要とし、好ましくは平
均分子量10,000以上のポリアルキレングリコール
である。
【0013】平均分子量が5,000未満のポリアルキ
レングリコールでは、ポリエステルの重縮合反応系中に
添加したときにポリアルキレングリコールがポリエステ
ルの主鎖中に共重合される割合が高くなるので、繊維中
におけるポリアルキレングリコールとしての独立相の形
成が少なくなり、充分な制電性能を発揮し難くなる。ポ
リアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド
とプロピレンオキサイドの共重合体等が挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【0014】また、本発明において、ポリエステルに含
有される前記一般式で表される有機スルホン酸金属塩と
しては、炭素数3〜30のアルキルスルホン酸のナトリ
ウム塩、カリウム塩またはリチウム塩、トルエンスルホ
ン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、カ
リウム塩またはリチウム塩若しくはこれらの混合物等が
挙げられる。
【0015】本発明の制電性ポリエステル繊維において
は、制電剤の少なくとも一方のポリアルキレングリコー
ルが、繊維中において、繊維軸方向に配向した多数の独
立した相を形成しており、しかもポリアルキレングリコ
ール独立相は、高度に分散しかつ、連続した相をなして
いる。また、有機スルホン酸金属塩は、ポリアルキレン
グリコールの近傍に分布して存在している。
【0016】繊維中において、ポリアルキレングリコー
ルの独立相は、繊維軸に対し垂直方向の繊維横断面にお
けるそれぞれの独立相との間の平均間隔が0.1μm以
下であり、かつ繊維軸に対し平行方向の繊維縦断面にお
ける1μm2あたりの繊維軸方向に配向した独立相の総
数に対する不連続の独立相の数の割合が50%未満の状
態で存在している。ポリアルキレングリコール独立相間
の平均間隔が0.1μmを超える、或いは不連続の独立
相、すなわち長さが1μm未満の独立相の割合が50%
以上であると、十分な制電性能が発現されない。
【0017】以下、本発明の制電性ポリエステル繊維を
製造する方法を説明する。本発明においては、ポリアル
キレングリコールと有機スルホン酸金属塩を制電剤とし
て添加したエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単
位とするポリエステルポリマーを用いる必要がある。
【0018】ポリアルキレングリコールのポリエステル
への添加量は、0.5〜5重量%とすることが必要であ
り、好ましくは0.8〜3重量%である。添加量が0.
5重量%未満では、制電性能の発現が不充分となり、5
重量%を超えると、製糸工程での通過安定性が低下する
だけでなく、得られる繊維の強伸度等の物性が低下す
る。
【0019】ポリアルキレングリコールを添加する際に
は、熱安定性を向上させる目的で、公知の安定剤、抗酸
化剤等を少量併用することは好ましいことであり、かか
る安定剤、抗酸化剤としては、ヒンダードフェノール系
化合物、チオエーテル系化合物等が挙げられる。これら
化合物の添加量は、ポリアルキレングリコールに対し1
〜10重量%とすることが好ましい。
【0020】有機スルホン酸金属塩のポリエステルへの
添加量は、0.1〜2重量%とすることが必要であり、
好ましくは0.2〜1.5重量%である。添加量が0.
1重量%未満では、制電性能の発現が不充分となり、2
重量%を超えると、製糸工程での通過安定性が低下する
だけでなく、得られる繊維に毛羽立ち等の欠点が生ず
る。
【0021】本発明において、ポリアルキレングリコー
ルと有機スルホン酸金属塩は、各々独立にポリエステル
に添加してもよいが、混合物として添加することは、制
電性能発現の相乗効果を奏することから好ましいことで
ある。ポリアルキレングリコールと有機スルホン酸金属
塩との混合比は、重量比でポリアルキレングリコール:
有機スルホン酸金属塩=90:10〜10:90とする
ことが制電性能の相乗効果を得る上で好ましい。
【0022】ポリアルキレングリコールと有機スルホン
酸金属塩の混合物のポリエステルへの添加量は、混合物
総添加量として0.5〜5重量%、好ましくは1〜4重
量%である。総添加量が0.5重量%未満では、制電性
能の発現が不充分となり、5重量%を超えると、製糸工
程での通過安定性が低下するだけでなく、得られる繊維
の強伸度等の物性が低下したり、繊維に毛羽立ちが起こ
る等の問題を生ずる。
【0023】ポリアルキレングリコールと有機スルホン
酸金属塩の混合物の添加は、ポリエステルの重縮合反応
が完結する前の反応系に添加することが好ましく、製糸
工程での安定性を確保する上で、より好ましくは重縮合
反応の途中の系に溶融状態で添加して、重縮合反応を完
結する。
【0024】本発明においては、ポリアルキレングリコ
ールと有機スルホン酸金属塩が制電剤として添加された
ポリエステルポリマーを溶融紡糸するに当たっては、下
記要件(A)、(B)及び(C)を満足する条件にて紡
糸口金より溶融紡出する必要がある。 (A)紡糸口金の単孔の開口部面積S1と単孔部の長さ
2の積で示される単孔容積V1中をポリマーが通過する
のに要する時間が3ミリ秒以上 (B)紡糸口金の単孔からのポリマーの吐出線速度V0
が800cm/分以下 (C)吐出糸条の巻取速度(Vsp)と紡糸口金の単孔か
らのポリマーの吐出線速度V0との比(Vsp/V0)が2
00以上
【0025】ポリエステル繊維が優れた制電性能を奏す
るためには、前記したように得られた繊維中における制
電剤の分散状態が極めて重要であり、ポリエステル繊維
中において、制電剤中のポリアルキレングリコールが繊
維軸方向に配向し長い筋状に連続した独立相をなして分
散させるために次の方法をとる。
【0026】本発明においては、制電剤としてポリアル
キレングリコールと有機スルホン酸金属塩を用いるが、
本発明で用いる制電剤は、ポリエステルとはそれらの溶
融状態において非相溶性である。従い、制電剤の添加さ
れたポリエステルポリマーを溶融紡糸により紡糸口金よ
り紡出する際、紡糸口金の単孔の開口部面積S1と同面
積S1を有する単孔部の長さL2の積で示される単孔容積
1中をポリマーが通過するのに要する時間を長くする
ことにより、吐出直前における制電剤、特にポリアルキ
レングリコールとポリエステルとの相分離がより明瞭と
なり、吐出直後の繊維細化工程においてポリアルキレン
グリコールが繊維軸方向に配向されるのに好ましい状態
が形成される。
【0027】かかるポリアルキレングリコールが繊維軸
方向に配向されるのに好ましい状態の形成には、単孔容
積V1中をポリマーが通過するのに要する時間を3ミリ
秒以上とする必要があり、好ましくは10ミリ秒以上と
する。また、ポリアルキレングリコールを繊維軸方向に
高度に配向させるためには、紡糸口金の単孔からポリマ
ーを吐出させる際のポリマー吐出線速度V0を800c
m/分以下とする必要があり、好ましくは500cm/
分以下とする。
【0028】また、吐出糸条の巻取速度(Vsp)と紡糸
口金の単孔からのポリマーの吐出線速度V0との比(V
sp/V0)(すなわち、ドラフト比)を200以上とす
る必要があり、好ましくは400以上とする。
【0029】本発明において用いる紡糸口金は、前記要
件(A)、(B)及び(C)を満足する条件でポリマー
を溶融紡出しうるものであれば、その単孔の開口部の形
状が円形のみならず、非円形断面であってもよく、さら
には中空繊維を得るための形状であってもよい。
【0030】特に、本発明においては、円形断面中実繊
維用紡糸口金を用いて、制電剤の添加されたポリエステ
ルポリマーを溶融紡糸する際には、下記要件(A1)、
(B1)及び(C)を満足する条件にて溶融紡出するこ
とが好ましい。 (A1)紡糸口金の単孔の開口部面積S1と単孔部の長さ
2の積で示される単孔容積V1中をポリマーが通過する
のに要する時間が10ミリ秒以上 (B1)紡糸口金の単孔からのポリマーの吐出線速度V0
が600cm/分以下 (C)吐出糸条の巻取速度(Vsp)と紡糸口金の単孔か
らのポリマーの吐出線速度V0との比(Vsp/V0)が2
00以上
【0031】すなわち、円形断面中実繊維用紡糸口金に
おいては、単孔容積V1中をポリマーが通過するのに要
する時間を10ミリ秒以上、より好ましくは30ミリ秒
以上、単孔からのポリマーの吐出線速度V0を600c
m/分以下、より好ましくは400cm/分以下とする
ことが優れた制電性能を得、また染色斑等の極めて少な
い均一の繊維を得る上で望ましい。
【0032】このようにして得られたポリエステル繊維
は、必要に応じて延伸処理や熱処理または賦形を行って
加工糸等としたり、さらに織編物としてアルカリ減量加
工や染色加工を施す等公知の任意の加工技術を適宜適用
することができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例中の%、部及び混合比は、それぞれ重
量%、重量部及び重量比の意味であり、○、△及び×
は、それぞれ良好、やや良好及び不良を示し、また、各
特性値は、下記の方法により測定した。
【0034】[極限粘度]試料をフェノール/テトラク
ロルエタン(50/50)混合溶媒に溶解し、ウベロー
デ粘度計により25℃で測定した。
【0035】[制電性能] 経糸:ポリエチレンテレフタレート繊維糸条(50デニ
ール/18フィラメント) 緯糸:制電性ポリエステル繊維糸条(100デニール
/48フィラメント、75デニール/36フィラメン
ト) 経糸密度:40本/cm 緯糸密度:26.6本/cm、30.5本/cm の条件で製織した後、JIS L1094(1988)
参考法の摩擦帯電放電曲線測定法に拠って帯電圧、減衰
率を測定した。測定は、カネボウエンジニアリング
(株)製摩擦帯電圧測定装置EST−3を用い、温度2
0±1℃、相対湿度30±2%で実施した。試料の洗濯
処理、摩擦布の湯洗い、試料及び摩擦布の調整は、上記
JIS法に拠り、摩擦布には羊毛を用いた。
【0036】各々の試料につき、各5回測定して得た摩
擦帯電放電曲線から、30秒後の帯電圧V、60秒後の
減衰率Dを各5回の平均値として求め、この操作をさら
に各々試料につき各5回実施し、最終的な平均値として
30秒後の帯電圧V30、60秒後の減衰率D60を求め
た。なお、帯電圧の単位はボルト(V、符号はマイナス
(−))、また、減衰率は%で示した。
【0037】[透過型電子顕微鏡観察]実施例により得
られた繊維をオスミウム酸水溶液にて染色した後、メチ
ルメタクリレート/ブチルメタクリレート(70/3
0)の混合物中に包埋し、超薄切片を作成し、日本電子
(株)製JEM100CX−2透過型電子顕微鏡によ
り、繊維中の制電剤の分散状態を、ポリエチレングリコ
ールの分散状態で以て、観察し、写真で示した。ポリエ
チレングリコールの分散状態は、写真中で黒い筋状に観
察できる。
【0038】(実施例1)テレフタル酸100部及びエ
チレングリコール52部をエステル化槽に仕込み、3.
5kg/cm2の加圧下、260℃にてエステル化反応
を行い、引き続き得られた反応生成物にトリメチルホス
フェイト0.01%、三酸化アンチモン0.04%及び
二酸化チタン0.4%をエチレングリコール溶液として
加え、重合槽に移した。次いで高真空下、285℃にて
70分重縮合反応を行った時点で、分子量20,000
のポリエチレングリコール(以下PEGと略す)と平均
炭素数15のアルキルスルホン酸ナトリウム(以下RS
3Naと略す)の5:1の混合比の混合物を生成ポリ
マーに対し3.5%となるよう反応系中に溶融添加し、
引き続き所定時間重縮合反応を行ない、極限粘度0.7
6のポリエチレンテレフタレートポリマーを得た。
【0039】このポリマーを、常法によりチップ化、乾
燥した後、単孔開口部の形状が円形である中実繊維用紡
糸口金を用いて、紡糸温度280℃、巻取速度1400
m/分にて溶融紡糸した。用いた紡糸口金は、以下の単
孔を48個有するものである。 単孔開口部S1:0.283mm2 単孔部の長さL2:3.0mm 単孔容積V1:0.849mm3 紡出条件は、以下のとおりとした。 単孔容積V1中のポリマー通過時間:74.6ミリ秒 ポリマー吐出線速度V0:241cm/分 巻取速度Vspとポリマー吐出線速度V0との比(Vsp
0):581
【0040】次いで、この未延伸糸を常法に従って、延
伸、熱処理し、100デニール/48フィラメントの延
伸糸を得た。得られた延伸糸は、強度が4.3g/d、
伸度が30%で実用上なんら問題のないものであり、ま
た染色斑等のない均質なものであった。
【0041】この延伸糸を常法により製織し、織物で制
電性能を測定したところ、30秒後の平均帯電圧V30
3700V、60秒後の平均減衰率D60は57%と極め
て良好な制電性能を示した。また、製織した織物を21
%アルカリ減量した後の制電性能を測定したところ、平
均帯電圧V30は3900V、平均減衰率D60は54%
と、アルカリ減量加工後でも殆ど制電性能が低下してい
なかった。
【0042】得られた延伸糸の繊維を、繊維軸に対し垂
直方向に切断したとき、繊維横断面におけるそれぞれの
PEG独立相間の平均間隔は、0.029μmであり、
また、繊維軸に対し平行方向に切断したとき、繊維縦断
面における1μm2あたりの繊維軸方向に配向した独立
相の総数に対する不連続の独立相の数の割合は、9%で
あった。図3及び図4に繊維縦断面の透過型電子顕微鏡
写真(倍率40,000倍、視野1μm2)及び繊維横
断面の透過型電子顕微鏡写真(倍率40,000倍)を
示した。
【0043】(実施例2〜8、比較例1〜6)実施例1
におけるPEGとRSO3Naの混合物の添加量、紡糸
口金及び紡出条件を表1に記載したように変更した以外
は実施例1と同様にして、延伸糸を得て織物での制電性
能を測定した結果を表2に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】また、比較例2で得られた延伸糸の繊維
を、繊維軸に対し垂直方向に切断したとき、繊維横断面
におけるそれぞれのPEG独立相間の平均間隔は、0.
027μmであり、また、繊維軸に対し平行方向に切断
したとき、繊維縦断面における1μm2あたりの繊維軸
方向に配向した独立相の総数に対する不連続の独立相の
数の割合は、84%であった。図5及び図6に比較例2
による繊維の繊維縦断面の透過型電子顕微鏡写真(倍率
40,000倍、視野1μm2)及び繊維横断面の透過
型電子顕微鏡写真(倍率40,000倍)を示した。
【0047】(実施例9)テレフタル酸100部及びエ
チレングリコール52部をエステル化槽に仕込み、4.
0kg/cm2の加圧下、260℃にてエステル化反応
を行い、引き続き得られた反応生成物にトリメチルホス
フェイト0.01%、三酸化アンチモン0.04%及び
二酸化チタン0.46%をエチレングリコール溶液とし
て加え、重合槽に移した。次いで高真空下、285℃に
て70分重縮合反応を行った時点で、分子量20,00
0のPEGとRSO3Naの50:50の混合比の混合
物を生成ポリマーに対し2.0%となるよう反応系中に
溶融添加し、引き続き所定時間重縮合反応を行ない、極
限粘度0.75のポリエチレンテレフタレートポリマー
を得た。
【0048】このポリマーを、常法によりチップ化、乾
燥した後、単孔開口部の形状が円形である中実繊維用紡
糸口金を用いて、紡糸温度283℃、巻取速度1400
m/分にて溶融紡糸した。用いた紡糸口金は、以下の単
孔を36個有するものである。 単孔開口部S1:0.283mm2 単孔部の長さL2:3.0mm 単孔容積V1:0.849mm3 紡出条件は、以下のとおりとした。 単孔容積V1中のポリマー通過時間:56ミリ秒 ポリマー吐出線速度V0:181cm/分 巻取速度Vspとポリマー吐出線速度V0との比(Vsp
0):773
【0049】次いで、この未延伸糸を常法に従って、延
伸、熱処理し、76デニール/36フィラメントの延伸
糸を得た。得られた延伸糸は、強度が4.5g/d、伸
度が32%であり、また染色斑等のない均質なものであ
った。
【0050】この延伸糸を常法により製織し、織物で制
電性能を測定したところ、30秒後の平均帯電圧V30
4200V、60秒後の平均減衰率D60は68%と極め
て良好な制電性能を示した。また、製織した織物を14
%アルカリ減量した後の制電性能を測定したところ、平
均帯電圧V30は4500V、平均減衰率D60は64%
と、アルカリ減量加工後でも殆ど制電性能が低下してい
なかった。
【0051】(実施例10〜14、比較例7〜11)実
施例9におけるPEGとRSO3Naの混合物の混合
比、添加量、紡糸口金及び紡出条件を表3に記載したよ
うに変更した以外は実施例9と同様にして、延伸糸を得
て織物での制電性能を測定した結果を表3に示した。
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、ポリアルキレングリコ
ール及び有機スルホン酸金属塩を制電剤として用い、比
較的少ない制電剤量でありながら、繊維中におけるポリ
アルキレングリコールを繊維軸方向に長い筋状の連続相
として配向させて分散させることが可能であり、制電剤
の機能を充分に発揮させることにより、極めて優れた制
電性能を有する制電性ポリエステル繊維を提供すること
ができ、また染色斑等のない均質な制電性ポリエステル
繊維を製糸安定性良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られた制電性ポリエステル繊
維の繊維中のポリエチレングリコールの分散状態を示す
繊維縦断面の透過型電子顕微鏡写真(倍率6,000
倍)である。
【図2】比較例2により得られた制電性ポリエステル繊
維の繊維中のポリエチレングリコールの分散状態を示す
繊維縦断面の透過型電子顕微鏡写真(倍率6,000
倍)である。
【図3】実施例1により得られた制電性ポリエステル繊
維の繊維縦断面の透過型電子顕微鏡写真(倍率40,0
00倍、視野1μm2)である。
【図4】実施例1により得られた制電性ポリエステル繊
維の繊維横断面の透過型電子顕微鏡写真(倍率40,0
00倍)である。
【図5】比較例2により得られた制電性ポリエステル繊
維の繊維縦断面の透過型電子顕微鏡写真(倍率40,0
00倍、視野1μm2)である。
【図6】比較例2により得られた制電性ポリエステル繊
維の繊維横断面の透過型電子顕微鏡写真(倍率40,0
00倍)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今林 昇 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 (72)発明者 柿田 秀人 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイ ヨン株式会社中央研究所内 (72)発明者 藤井 泰行 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイ ヨン株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭53−149247(JP,A) 特開 平3−139556(JP,A) 特開 昭61−115931(JP,A) 特開 昭60−162810(JP,A) 特開 平5−311515(JP,A) 特公 昭57−4724(JP,B2) 特公 昭47−10246(JP,B1) 特公 昭47−11280(JP,B1) 特公 昭46−22200(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/92 D01F 1/09

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均分子量5,000以上のポリアルキ
    レングリコール0.5〜5重量%及び一般式RSO3
    (但し、Rは炭素数3〜30のアルキル基、炭素数7〜
    40のアリール基若しくはアルキルアリール基、Mはア
    ルカリ金属を示す)で表される有機スルホン酸金属塩
    0.1〜2重量%を制電剤として含有するエチレンテレ
    フタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルポ
    リマーからなる繊維であって、ポリアルキレングリコー
    ルが繊維中において繊維軸方向に配向した多数の独立相
    を形成し、繊維軸に対し垂直方向の繊維横断面における
    それぞれの独立相間の平均間隔が0.1μm以下であ
    り、繊維軸に対し平行方向の繊維縦断面における1μm
    2あたりの繊維軸方向に配向した独立相の総数に対する
    不連続の独立相の数の割合が50%未満であることを特
    徴とする制電性ポリエステル繊維。
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