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JP2823249B2 - 無機質基材用プライマー - Google Patents

無機質基材用プライマー

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JP2823249B2
JP2823249B2 JP1166159A JP16615989A JP2823249B2 JP 2823249 B2 JP2823249 B2 JP 2823249B2 JP 1166159 A JP1166159 A JP 1166159A JP 16615989 A JP16615989 A JP 16615989A JP 2823249 B2 JP2823249 B2 JP 2823249B2
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silyl group
primer
vinyl polymer
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直民 安藤
康 加藤
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Kaneka Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は無機質基材用プライマーに関する。さらに詳
しくは、特定のシリル基含有ビニル系重合体および含有
されていてもよい硬化触媒からなる組成物をベースとす
る無機質基材用プライマーに関する。
〔従来の技術〕
近年、住宅用の無機質板状物として、表面が緻密なセ
メント押出成形板から多孔質のALCまで幅広く開発され
ている。
一般に無機質板状物などの無機質基材はプラスチック
製基材などに比べて吸水性が非常に高く、強アルカリ性
であるなどの特性があり、無機質基材に塗装する際には
プライマーを塗布してそれらを調整してから上塗を行な
う方法がとられている。
前記のごときプライマーとして使用されているものの
うちで、比較的好ましい特性を有するものとしてエポキ
シ系プライマーがある。
〔発明が解決しようする課題〕
しかし、前記エポキシ系プライマーのばあい、無機質
基材の中でも表面が緻密なものに対しては基材へのアン
カー効果が充分でなく密着性が劣り、一方、ALCのよう
な多孔質のものでは表面が脆弱なためにプライマーが低
収縮性または弾力性を有することなどが要求されている
が、エポキシ系プライマーは硬いうえに低収縮ともいえ
ないという欠点を有している。
また、プライマー塗装は工場ラインで行なわれるだけ
でなく、現場塗装もされ、冬場には5℃程度という低温
でも使用されることがあるが、エポキシ系プライマーで
はこのような低温での硬化性はよくなく、エポキシ系プ
ライマーにかわる低温硬化性のよいプライマーの開発が
望まれている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは前記エポキシ系プライマーにおける問題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。
すなわち、本発明は、 主鎖が実質的にビニル系重合体鎖からなり、末端およ
び(または)側鎖に加水分解性基と結合したケイ素含有
基を1分子中に少なくとも1個有し、ガラス転移点(T
g)が10℃以下のシリル基含有ビニル系重合体、主査が
実質的にビニル系重合体鎖からなり、末端および(また
は)側鎖に加水分解性基と結合したケイ素含有基を1分
子中に少なくとも1個有し、ガラス転移点(Tg)が30℃
以下のシリル基含有ビニル系重合体および含有されてい
てもよい硬化触媒からなる組成物をベースとする無機質
基材用プライマー に関する。
〔実施例〕
本発明のプライマーのベースとなる組成物の成分とし
て、主鎖が実質的にビニル系重合体鎖からなり、末端お
よび(または)側鎖に加水分解性基と結合したケイ素含
有基(以下、加水分解性シリル基ともいう)を1分子中
に少なくとも1個有し、ガラス転移点(Tg)が10℃以下
のシリル基含有ビニル系重合体、主査が実質的にビニル
系重合体鎖からなり、末端および(または)側鎖に加水
分解性基と結合したケイ素含有基を1分子中に少なくと
も1個有し、ガラス転移点(Tg)が30℃以下のシリル基
含有ビニル系重合体が使用される。
前記シリル基含有ビニル系重合体の主鎖が実質的にビ
ニル系重合体鎖からなるとは、主鎖にウレタン結合やシ
ロキサン結合などからなるセグメントのように、ビニル
系単量体単位からなるセグメント以外のセグメントが、
シリル基含有ビニル系重合体にビニル系重合体としての
特性を実質的に損わない範囲で含有されていてもよいと
いう意味であり、一般に主鎖を構成する原子の50原子%
程度以下の範囲でビニル系単量体単位からなるセグメン
ト以外のセグメントが含まれていてもビニル系重合体と
しての特性が実質的に損われることはない。このように
主鎖が実質的にビニル系重合体からなるため、耐久性、
耐薬品性などに優れるプライマーとなる。また、プライ
マーを塗布した上にアクリルウレタン、アクリルシリコ
ンまたは一液アクリルなどの上塗塗料が塗装されるばあ
いにプライヤーとの密着性が極めてよいという効果がえ
られる。
前記加水分解性基と結合したケイ素含有基とは、ケイ
素原子(Si)に結合した基(X)が加水分解によりSiOH
とXHに分解しうるような基を含む基のことであり、この
ような基がシリル基含有ビニル系重合体に含まれている
ため、水が存在しさえすればシラノール基が生成し、シ
ロキサン結合が生成しうるという特徴が生じる。
また、前記シリル基含有ビニル系重合体の末端および
(または)側鎖に加水分解性シリル基を1分子中に少な
くとも1個有するとは、該重合体の主鎖の末端や側鎖に
1分子当り少なくとも1個、好ましくは2個以上の加水
分解性シリル基を有するということである。1分子当り
少なくとも1個の加水分解性シリル基を有するため、水
分の存在下で高分子量化またはゲル化し、化学的に安定
なシロキサン結合を生成して硬化物の耐薬品性などを向
上させる。また、加水分解性シリル基は無機質基材への
親和性がよく、かつ水分の存在によって架橋反応をおこ
すので塗膜は無機質の基材に対しても密着性がよく、器
材が吸水性のものであってもその水分によって悪影響を
受けず、フクレや剥離を生じないという効果がえられ
る。
なお、前記シリル基含有ビニル系重合体に存在する加
水分解性シリル基1個当りの分子量としては、1,000〜2
0,000程度であるのが耐薬品性や密着性などの点から好
ましい。
前記シリル基含有ビニル系重合体の分子量などにはと
くに限定はなく、通常2,000〜30,000程度のもの、好ま
しくは3,000〜25,000程度のものが使用される。
また、該重合体のガラス転移点(Tg)が10℃以下とい
うように低くなると重合体が低収縮性であるという特徴
が生じ、Tgが30℃以下というように高くなると耐薬品
性、耐水性、基材の補強性が向上するという特徴が生じ
る。
前記のごときシリル基含有ビニル系重合体は、たとえ
ばビニル系モノマーと加水分解性シリル基含有モノマー
(以下、シリル基含有モノマーともいう)との共重合に
よりえられ、この際、主鎖や側鎖の一部にウレタン結合
やシロキサン結合などにより形成されたセグメントを含
むように重合させてもよい。
前記ビニル系モノマーにはとくに限定はないが、その
具体例としては、たとえばメチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)ア
クリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ト
リフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオ
ロプロピル(メタ)アクリレート、ポリカルボン酸(マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸など)と炭素数1〜20
の直鎖または分岐のアルコールとのジエステルまたはハ
ーフエステルなどの不飽和カルボン酸のエスエル;スチ
レン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレン
スルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン
などの芳香族炭化水素系ビニル化合物;酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエ
ステルやアリル化合物;(メタ)アクリロニトリルなど
のニトリル基含有ビニル化合物;グリシジル(メタ)ア
クリレートなどのエポキシ基含有ビニル化合物;ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、アミノ
エチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル化合
物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α
−エチルアクリルアミド、メタクリルアミド、クロトン
アミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−
ビニルピロリドン、N−ブトキシメチル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル
アクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどのアミド
基含有ビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロ
ール(メタ)アクリルアミド、アロニクス5700(東亜合
成化学工業(株)製)、Placcel FA−1、Placcel FA−
4、Placcel FM−1、Placcel FM−4(ダイセル化学工
業(株)製)などの水酸基含有ビニル化合物;(メタ)
アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、それ
らの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩な
ど)、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、酸無水
物またはその塩;ビニルメチルエーテル、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエ
ン、イソプレン、マレイミド、N−ビニルイミダゾー
ル、ビニルスルホン酸などのその他のビニル化合物など
があげられる。
シリル基含有ビニル系重合体としてTgが10℃以下とい
うように低いTgのものを製造するばあいには、ビニル系
モノマーとしてブチルアクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレートなどのようにそのホモポリマー
のTgが低いビニルモノマーを多く使用すればよく、また
Tgが30℃以上というように高いTgのものを製造するばあ
いには、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、スチレンなどのようにそのホモポリマーのTgが高い
ビニルモノマーを多く使用すればよい。
また、前記シリル基含有モノマーにもとくに限定はな
いが、その具体例としては、たとえば などがあげられる。
前記シリル基含有モノマーとビニル系モノマーとから
シリル基含有ビニル系重合体を製造する方法にはとくに
限定はなく、たとえば特開昭54−36395号公報、同57−3
6109号公報、同58−157810号公報に示される方法などに
したがって製造しうるが、アゾビスイソブチロニトリル
などのアゾ系ラジカル開始剤を用いた溶液重合が開始剤
の取扱いが容易であり、また重合反応生成混合物がその
まま利用できるという点から最も好ましい。
前記製造に際し、必要に応じてn−ドデシルメルカプ
タン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプ
タン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカ
プトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルメチルジエトキシシラン、(CH3O)3Si−S−
S−Si(OCH3、(CH3O)3Si−S8−Si(OCH3
どの連鎖移動剤を用いて分子量を調節することができ
る。
とくに加水分解性シリル基を分子中に有する連鎖移動
剤、たとえばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ンを用いればシリル基含有ビニル系重合体の末端に加水
分解性シリル基を導入することができる。
重合溶剤としては、炭化水素類(トルエン、キシレ
ン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなど)、酢酸エステ
ル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アルコール類
(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブ
タノールなど)、エーテル類(エチルセロソルブ、ブチ
ルセロソルブ、セロソルブアセテートなど)、ケトン類
(メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルア
セトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケト
ン、アセトンなど)のごとき非反応性の溶剤であればと
くに限定はなく使用しうる。
本発明のプライマーのベースとなる組成物の他の成分
として、前記シリル基含有ビニル系重合体の硬化触媒が
使用されうる。該硬化触媒を使用するばあい、使用しな
いばあいと比較してシリル基含有ビニル系重合体の硬化
が促進される。とくに冬場の5℃程度というような低温
においても硬化が促進され、容易に架橋が形成され、プ
ライマーとしての物性発現が速いという顕著な効果がえ
られる。
前記硬化触媒の具体例としては、たとえばジブチルス
ズジラウレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチ
ルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレエート、オ
クチル酸スズなどの有機スズ化合物;リン酸やモノメチ
ルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチル
ホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノデシル
ホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフ
ェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェー
ト、ジデシルホスフェートなどのリン酸エステル、アル
キルチタン酸塩;有機アルミニウム;マレイン酸、パト
ルエンスルホン酸などの酸性化合物;ヘキシルアミン、
ジ−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシ
ルアミン、ドデシルアミンなどのアミン類;水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物などが
あげられる。これらの硬化触媒は単独で用いてもよく、
2種以上併用してもよい。
本発明においては、前記シリル基含有ビニル系重合体
および含有されていてもよい硬化触媒から本発明のプラ
イマーのベースとなる組成物が調製される。
硬化触媒が使用されるばあい、前記組成物におけるシ
リル基含有ビニル系重合体と硬化触媒との配合割合は、
硬化触媒の種類などによっても異なり一概には規定でき
ないが、加水分解性シリル基含有ビニル系重合体100部
(重量部、以下同様)に対して通常0.01〜20部、好まし
くは0.01〜10部程度である。
また、シリル基含有ビニル系重合体が、Tg10℃以下の
シリル基含有ビニル系重合体とTg30℃以上のシリル基含
有ビニル系重合体とを含むように調製されるがこのばあ
いには、とくにALCのように多孔質の無機質基材に適用
したばあい、Tg10℃以下のシリル基含有ビニル系重合体
は低収縮性などの特性をよくするために、またTg30℃以
上のシリル基含有ビニル系重合体は補強性や耐水性など
をよくするために有効となり、好ましい。
このばあいのTg10℃以下のシリル基含有ビニル系重合
体とTg30℃以上のシリル基含有ビニル系重合体との使用
割合は重量比で1/9〜8/2程度が好ましい。
なお、Tgは下記Foxの式で計算することができる。
(式中、Tgiはi成分のTg,miはi成分の重量分率を表わ
す。) 前記シリル基含有ビニル系重合体および含有されてい
てもよい硬化触媒からなる組成物の調製法にもとくに限
定はなく、これらを通常の方法により混合して調製すれ
ばよい。この際、要すればトルエン、キシレンなどの炭
化水素類;酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;メタノー
ル、イソプロパノールなどのアルコール類;その他エー
テル類;ケトン類などの溶剤を使用してもよい。
前記組成物には脱水剤を配合してもよく配合しなくて
もよいが、繰返し使用しても問題のない安定性や長期に
わたる安定性を確保するためには脱水剤を配合するほう
が好ましい。
このような脱水剤の具体例としては、たとえばオルト
ギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オ
ルト酢酸エチル、メチルトリメトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメ
トキシシラン、メチルシリケート、エチルシリケートな
どの加水分解性エステル化合物があげられる。
前記説明では前記加水分解性エステル化合物は組成物
の調製時に配合しているが、シリル基含有ビニル系重合
体の重合前に加えて溶剤と兼用させてもよく、重合終了
後に加えておいてもよく、さらにはこの組成物を用いて
本発明のプライマーを調製する際に配合してもよい。
前記組成物には密着性改良成分として、1分子中に少
なくとも1個の加水分解性基と結合したケイ素含有基を
有するアミン(以下、シリル基含有アミンともいう)の
1種または2種以上を含有させることができる。該シリ
ル基含有アミンを含有させることができる。該シリル基
含有アミンを含有させるばあいには、たとえば本発明の
プライマーをセメント押出成形板のように緻密な表面を
有する無機質基材に適用したばあいにも密着性が著しく
改善されるという効果がえられる。
前記シリル基含有アミンの具体例としては、たとえば
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ
−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカッ
プリング剤;前記アミノ基を含むシランカップリング剤
とエチレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒ
ドリン、エポキシ化大豆油、油化シェルエポキシ(株)
製のエピコート828、エピコート1001などのエポキシ基
を含む化合物などとの反応物などがあげられる。
また、前記シリル基含有アミンの使用量は、シリル基
含有ビニル系重合体100部に対して1〜500部程度が好ま
しく、5〜200部程度がさらに好ましい。
前記シリル基含有アミンをシリル基含有ビニル系重合
体と併用するばあい、炭素数1〜4のアルキルアルコー
ルを添加すると、容器に入れた組成物を繰返し用いたり
長期にわたって使用する際の安定化、保存中の増粘や硬
化の防止に有効である。該炭素数1〜4のアルキルアル
コールの具体例としては、たとえばメタノール、エタノ
ール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブタノール、sec−ブタノールなどがあげられ
る。該アルキルアルコールの使用量は、シリル基含有ア
ミン100部に対して1〜200部程度が好ましく、5〜100
部程度がさらに好ましい。
前記シリル基含有アミンは前記説明では前記組成物調
製時に配合しているが、本発明のプライマー調製時に配
合してもよいことは当然のことである。
このようにして調製された本発明に用いる組成物は、
一般に通常の塗装方法、たとえば刷毛塗りやスプレー塗
装に適した樹脂濃度と、溶液粘度または希釈液粘度を有
するものである。
本発明のプライマーは前記組成物のみから構成されて
いてもよいが、用途に応じて各種顔料、染料、沈降防止
剤、レベリング剤などの添加剤;ニトロセルロース、セ
ルロースアセテートブチレートなどの繊維素;アルキド
樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩素化プロピ
レン樹脂、塩化ゴム、ポリビニルブチラールなどの樹脂
を添加して調製してもよい。とくに顔料の添加は、プラ
イマーを塗装した部分を識別するうえで有効である。
たとえば、本発明のプライマーがALC用のプライマー
として使用されるばあいにはTgが10℃以下のシリル基含
有ビニル系重合体とTgが30℃以上のシリル基含有重合体
の割合が重量比で1/9〜8/2程度に配合したものをベース
樹脂とし、酸化チタンなどで着色したもののごとき処方
のプライマーが、低収縮性と耐水性、基材の補強性のバ
ランスを改善するという点から好ましい。セメント押出
成形板用のプライマーとして使用されるばあいにはシリ
ル基含有ビニル系重合体100部に対してシリル基含有ア
ミンを5〜200部を添加し、そして使用する該シリル基
含有アミンを100部を基準として炭素数1〜4のアルキ
ルアルコールを5〜100部添加し、酸化チタンなどで着
色したこののごとき処方のプライマーが、基材への密着
性がよい、保存中の粘度の安定性がよいなどの点から好
ましい。
このようにして調製された本発明のプライマーは、一
般に刷毛塗りやスプレー塗装などの一般の塗装法に適し
た樹脂固形分濃度と、溶液粘度または希釈液粘度をもつ
という特性を有するものであるが、含有せしめられる成
分の種類や量、用途などによりこれらの特性も変化する
ため、前記特性の範囲をはずれるものであってもよいこ
とは当然のことである。
前記のごとき本発明のプライマーは無機質基材に塗装
され、無機質器材の吸水性などの調製がはかられる。
本発明のプライマーはシリル基含有ビニル系重合体を
ベースとするため、この重合体に存在する加水分解性シ
リル基が水分により加水分解してSiOH基が生成し、無機
質基材表面に存在するSiOH基と反応することにより、強
固な結合が生成するため、たとえばセメント押出成形板
のように緻密なものに対しても密着性が良好である。ま
た、前記加水分解性シリル基の加水分解およびそののち
おこるシロキサン結合の生成は、冬場の5℃程度という
ような低温下においてもおこるため、たとえば従来のエ
ポキシ系プライマーにおける低温下で使用できないとい
う問題が解消される。さらに、シリル基含有ビニル系重
合体の主鎖がビニル系重合体鎖というエポキシ系樹脂に
比してやわらかい主鎖からなるため、ALCのように多孔
質で脆弱な表面に適用してもエポキシ系プライマーのば
あいのような問題が生じない。
前記無機質基材の具体例としては、たとえばコンクリ
ート、モルタル、ALC、気泡コンクリート、煉瓦、瓦、
スレート、ケイ酸カルシウム板、陶磁器、タイル、石
材、木片セメント板、セメント押出成形板、スラグ、石
こうセメント板などがあげられる。
本発明のプライマーの塗装方法にはとくに制限はな
く、またその塗布量は塗装される無機質基材表面の緻密
性、吸水性などやプライマーの組成などによっても異な
り一概に規定できないが、たとえばセメント押出成形板
のように緻密な表面の基材では一般に固形分で10〜100g
/m2程度、ALCのように多孔質表面の基材では一般に固形
分で50〜200g/m2程度である。
以上のように本発明のプライマーを塗装した無機質基
材は、耐薬品性、補強性、耐水性または上塗材との密着
性に優れたものとなり、長期耐久性に優れた外装材など
として好適に使用しうる。
つぎに本発明のプライマーを実施例に基づき説明す
る。
合成例1〜3 撹拌装置、温度計、チッ素導入管、滴下ロート、冷却
管を備えた反応器にキシレン360gを仕込み、110℃に加
熱した。そののち、ブチルアクリレート295g、メチルメ
タクリレート579g、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン117g、アクリルアミド9g、アゾビスイソブ
チロニトリル8.5gを溶かした溶液を、反応器に3時間か
けて連続添加した。モノマー添加終了後、別に用意した
アゾビスイソブチロニトリル2gとトルエン140gとの溶液
をさらに1時間かけて添加し、さらに1時間後重合を行
ない、シリル基含有ビニル樹脂(a−1)の溶液をえ
た。
えらえた樹脂溶液の不揮発分濃度は63%であった。ま
た該樹脂のGPC法による数平均分子量は15,000であっ
た。シリル基含有ビニル樹脂をPWC 5%、塗装固形分濃
度50%となるように酸化チタン(石原産業(株)製のCR
−90)を分散させ、白エナメルを調製した。分散はガラ
スビーズを用い、ペイントシェーカーで2時間行なっ
た。
一方、単量体およびアゾビスイソブチロニトリルの使
用割合を第1表に示すように変更した他は前記(合成例
1)と同様にして2種の加水分解性シリル基含有ビニル
樹脂(a−2)、(a−3)の溶液をえ、白エナメルを
調製した。
合成例4 撹拌装置、温度計、チッ素導入管、冷却管を備えた反
応器にキシレン100g、メタノール80g、エピコート828
(油化シェルエポキシ(株)製のビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂)56g、A1100(日本ユニカー(株)製のγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン)64gを仕込み、常
温で30分、そののち70℃で2時間反応させてシリル基含
有アミンの溶液(a−4)をえた。なお、(a−4)は
メタノールやキシレンを含んだ反応液を示す。
えられた反応物を赤外スペクトル分析法により分析し
たところ、910cm-1のエポキシ基の吸収は消滅してい
た。
参考例1〜4および比較参考例1 JIS R 5201の標準砂を用いて作製したモルタル板に、
合成例1〜3でえられた白エナメル10部にジオクチルス
ズマレエートを第2表に記載の量加えたものおよび市販
されているエポキシ系プライマーのそれぞれを、乾燥後
の厚さが約10μmになるように塗装し、ただしに5℃で
養生した。2時間後に塗装サンプルを水に全没し、5℃
で1日保存したのち外観の変化の有無を目視観察した。
結果を第2表に示す。
実施例1〜2、参考例5〜7および比較例 ALC板(日本テストパネル工業(株)製)の全面に、
第3表に示したプライマーを乾燥後の厚さが約10μmに
なるように塗布し、常温で7日間放置したのち水にサン
プルを全没させ、下記凍結融解性試験を行ない、外観の
変化(ワレの発生)の有無を目視観察し、異常の発生し
たサイクル数および5サイクル後の重量変化率を測定し
た。結果を第3表に示す。
凍結融解性試験は−20℃で3時間、60℃で3時間を1
サイクルとして行なった。
参考例8〜11および比較参考例2 押出セメント板((株)ノザワ製の商品名アスロッ
ク)に第4表に示した組成のプライマーを乾燥後の厚さ
が約10μmになるように塗布し、常温で7日間放置した
のち水にサンプルを全没させ、実施例1〜2、参考例5
〜7と同様にして凍結融解性試験を行ない、ブリスター
またはワレの発生の有無を目視観察してこれらの発生し
たサイクル数を求めた。また、50サイクルを終了した時
点で密着性試験を行なった。結果を第4表に示す。
なお、第4表中のA1120は、N−β−アミノエチル−
γ−アミノプロピルトリメトキシシランである。また、
密着性は1mlゴバン目のセロハンテープ剥離法で評価し
た。
〔発明の効果〕 本発明のプライマーを使用すると、従来のエポキシ系
プライマーを用いたばあいの欠点であるALCのように多
孔質で脆弱な表面に適用したばあい、塗膜はワレが生じ
やすく耐久性に劣るという欠点や、セメント押出成形板
のように表面が緻密なものへの密着が不充分であるとい
う欠点や、低温で使用できないなどの欠点を解消するこ
とができる。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主鎖が実質的にビニル系重合体鎖からな
    り、末端および(または)側鎖に加水分解性基と結合し
    たケイ素含有基を1分子中に少なくとも1個有し、ガラ
    ス転移点(Tg)が10℃以下のシリル基含有ビニル系重合
    体、主鎖が実質的にビニル系重合体鎖からなり、末端お
    よび(または)側鎖に加水分解性基と結合したケイ素含
    有基を1分子中に少なくとも1個有し、ガラス転移点
    (Tg)が30℃以上のシリル基含有ビニル系重合体および
    含有されていてもよい硬化触媒からなる組成物をベース
    とする無機質基材用プライマー。
  2. 【請求項2】加水分解性基と結合したケイ素含有基を分
    子中に少なくとも1個有するアミンを少なくとも1種含
    有する請求項1記載のプライマー。
  3. 【請求項3】炭素数1〜4のアルキルアルコールを含む
    請求項2記載のプライマー。
  4. 【請求項4】顔料を含有する請求項1または2記載のプ
    ライマー。
  5. 【請求項5】無機質基材がALCである請求項1記載のプ
    ライマー。
  6. 【請求項6】無機質基材がセメント押出成形板である請
    求項2記載のプライマー。
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