JP2541389B2 - 低降伏比高張力鋼の製造方法 - Google Patents
低降伏比高張力鋼の製造方法Info
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- JP2541389B2 JP2541389B2 JP3053683A JP5368391A JP2541389B2 JP 2541389 B2 JP2541389 B2 JP 2541389B2 JP 3053683 A JP3053683 A JP 3053683A JP 5368391 A JP5368391 A JP 5368391A JP 2541389 B2 JP2541389 B2 JP 2541389B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築、土木等の鋼構造
物に使用される降伏比が75%以下で、引張強度が60Kgf
/mm2以上の低降伏比高張力鋼の製造方法に関する。
物に使用される降伏比が75%以下で、引張強度が60Kgf
/mm2以上の低降伏比高張力鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高層建築物等の鋼構造物では、地
震等に対する構造物の安全性を向上させるために、塑性
変形能の優れた低降伏比高張力鋼の使用が定着してきて
いる。高強度と低降伏比を同時に満足させるための、低
降伏比60Kgf/mm2級高張力鋼の製造方法に関しては、特
開平2−93020号、特開平2−213411号等の
報告がある。これらの従来技術では、熱間圧延した鋼を
(α+γ)二相域に加熱あるいは保持して焼入処理ある
いは直接焼入処理を行なうプロセスを採用している。
震等に対する構造物の安全性を向上させるために、塑性
変形能の優れた低降伏比高張力鋼の使用が定着してきて
いる。高強度と低降伏比を同時に満足させるための、低
降伏比60Kgf/mm2級高張力鋼の製造方法に関しては、特
開平2−93020号、特開平2−213411号等の
報告がある。これらの従来技術では、熱間圧延した鋼を
(α+γ)二相域に加熱あるいは保持して焼入処理ある
いは直接焼入処理を行なうプロセスを採用している。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】このような二相域か
らの熱処理は降伏比を低下させるのには有効であること
が知られているが、特開平2−93020号でも述べて
いるように、このようなプロセスの採用は強度が低下し
やすい問題がある。以上の問題に対して、特開平2−9
3020号ではNbの添加を活用することで対処している
が、降伏比はせいぜい75〜85%程度である。また、特開
平2−213411号では、強度低下を懸念するため、
降伏比の低減が80%程度とするのが限界であり、その製
造プロセスは工業的には著しく複雑である。
らの熱処理は降伏比を低下させるのには有効であること
が知られているが、特開平2−93020号でも述べて
いるように、このようなプロセスの採用は強度が低下し
やすい問題がある。以上の問題に対して、特開平2−9
3020号ではNbの添加を活用することで対処している
が、降伏比はせいぜい75〜85%程度である。また、特開
平2−213411号では、強度低下を懸念するため、
降伏比の低減が80%程度とするのが限界であり、その製
造プロセスは工業的には著しく複雑である。
【0004】以上の様にこれらの従来技術では、強度低
下を懸念するため低降伏比の限界があることおよび低降
伏比のためにNb等の合金元素を必須としていることが問
題となり、さらに、著しく複雑な製造プロセスを適用せ
ざるを得ないことについても何らかの対策が必要とな
る。
下を懸念するため低降伏比の限界があることおよび低降
伏比のためにNb等の合金元素を必須としていることが問
題となり、さらに、著しく複雑な製造プロセスを適用せ
ざるを得ないことについても何らかの対策が必要とな
る。
【0005】本発明は従来技術のこれらの問題を解決す
るためなされたもので、特殊な合金元素の添加が不要で
あり、且つ製造プロセスをより簡便化し、その様な条件
下で降伏比が75%以下、引張強度が60Kgf/mm2以上であ
る低降伏比高張力鋼を安定して得られる製造方法を提供
せんとするものである。
るためなされたもので、特殊な合金元素の添加が不要で
あり、且つ製造プロセスをより簡便化し、その様な条件
下で降伏比が75%以下、引張強度が60Kgf/mm2以上であ
る低降伏比高張力鋼を安定して得られる製造方法を提供
せんとするものである。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、上記の
従来技術の問題点を解決するために鋭意検討し、引張強
度60Kgf/mm2以上の低降伏比高張力鋼の製造において、
従来の常識以上のSiを大量に添加することが有効である
ことを解明した。
従来技術の問題点を解決するために鋭意検討し、引張強
度60Kgf/mm2以上の低降伏比高張力鋼の製造において、
従来の常識以上のSiを大量に添加することが有効である
ことを解明した。
【0007】大量のSi添加は、熱処理において低降伏比
に有効であるフェライトの生成を促進する効果があると
ともに、焼戻処理においては炭化物生成を抑制する効果
がある。炭化物生成の抑制は、引張強度の低下を抑制す
ることになり、高強度化を達成できる。しかもフェライ
ト生成が安定して得られるため、降伏強度は低くするこ
とが可能であり、その結果として、安定した低降伏比化
の達成が可能であることが本発明者等により確認され
た。
に有効であるフェライトの生成を促進する効果があると
ともに、焼戻処理においては炭化物生成を抑制する効果
がある。炭化物生成の抑制は、引張強度の低下を抑制す
ることになり、高強度化を達成できる。しかもフェライ
ト生成が安定して得られるため、降伏強度は低くするこ
とが可能であり、その結果として、安定した低降伏比化
の達成が可能であることが本発明者等により確認され
た。
【0008】また、熱処理においてはSi量の増加と共
に、適切な熱処理温度の選択を行なわないと、上記の効
果が得られないことがわかり、熱処理条件に関しても詳
細な検討を行なったところ、Si量と熱処理温度の間に因
果関係が認められ、最適な熱処理温度として、Si量を因
子とする 式:{(1555+33×Si%)/2}±40℃が求め
られた。
に、適切な熱処理温度の選択を行なわないと、上記の効
果が得られないことがわかり、熱処理条件に関しても詳
細な検討を行なったところ、Si量と熱処理温度の間に因
果関係が認められ、最適な熱処理温度として、Si量を因
子とする 式:{(1555+33×Si%)/2}±40℃が求め
られた。
【0009】以上の本発明の内容は具体的には、以下に
示す通りである。
示す通りである。
【0010】即ち請求項1の発明法は、重量%で、C:
0.06〜0.20%、Si:0.4〜1.5%、M
n:0.7〜2.0%、P:0.020%以下、S:
0.020%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純
物よりなる鋼を熱間圧延のまま、{(1555+33×
Si%)/2}±40℃に加熱し、焼入を行い、700
℃以下の温度で焼戻処理を行うことを基本的特徴として
おり、この様な構成で引張強度60Kgf/mm2以上
で、且つ降伏比75%以下の低降伏比高張力鋼を安定的
に得ることが可能となる。また請求項2の発明では、重
量%で、C:0.06〜0.20%、Si:0.82〜
1.5%、Mn:0.7〜2.0%、P:0.020%
以下、S:0.020%以下を含有し、残部がFe及び
不可避不純物よりなる鋼を、熱間圧延後焼入処理を行っ
た後、{(1555+33×Si%)/2}±40℃に
加熱し、焼入を行い、700℃以下の温度で焼戻処理を
行うことを特徴としており、同様な低降伏比高張力鋼を
得ようとするものである。
0.06〜0.20%、Si:0.4〜1.5%、M
n:0.7〜2.0%、P:0.020%以下、S:
0.020%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純
物よりなる鋼を熱間圧延のまま、{(1555+33×
Si%)/2}±40℃に加熱し、焼入を行い、700
℃以下の温度で焼戻処理を行うことを基本的特徴として
おり、この様な構成で引張強度60Kgf/mm2以上
で、且つ降伏比75%以下の低降伏比高張力鋼を安定的
に得ることが可能となる。また請求項2の発明では、重
量%で、C:0.06〜0.20%、Si:0.82〜
1.5%、Mn:0.7〜2.0%、P:0.020%
以下、S:0.020%以下を含有し、残部がFe及び
不可避不純物よりなる鋼を、熱間圧延後焼入処理を行っ
た後、{(1555+33×Si%)/2}±40℃に
加熱し、焼入を行い、700℃以下の温度で焼戻処理を
行うことを特徴としており、同様な低降伏比高張力鋼を
得ようとするものである。
【0011】更に請求項3の発明では、以上の様な成分
組成を含む他に、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、
Ti、B等の成分の選択的添加をその構成に含むもので
あって、その具体的構成としては、重量%で、C:0.
06〜0.20%、Si:0.4〜1.5%、Mn:
0.7〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.0
20%以下を含むと共に、Cu:0.1〜1.2%、N
i:0.1〜2.0%、Cr:0.1〜2.0%、M
o:0.05〜1.0%、Nb:0.005〜0.04
0%、V:0.01〜0.10%、0%、Ti:0.0
05〜0.10%、B:0.0005〜0.0020%
の1種または2種以上を含有し、残部がFe及び不可避
不純物よりなる鋼を熱間圧延のまま、{(1555+3
3×Si%)/2}±40℃に加熱し、焼入を行ない、
700℃以下の温度で焼戻処理を行なうというものであ
る。加えて請求項4の発明では、ほぼ同様な成分組成を
有するものであり、その具体的構成は、重量%で、C:
0.06〜0.20%、Si:0.82〜1.5%、M
n:0.7〜2.0%、P:0.020%以下、S:
0.020%以下を含むと共に、Cu:0.1〜1.2
%、Ni:0.1〜2.0%、Cr:0.1〜2.0
%、Mo:0.05〜1.0%、Nb:0.005〜
0.040%、V:0.01〜0.〜0.10%、T
i:0.005〜0.10%、B:0.0005〜0.
0020%の1種または2種以上を含有し、残部がFe
及び不可避不純物よりなる鋼を、熱間圧延後焼入処理を
行った後、{(1555+33×Si%)/2}±40
℃に加熱し、焼入を行ない、700℃以下の温度で焼戻
処理を行なうというものである。
組成を含む他に、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、
Ti、B等の成分の選択的添加をその構成に含むもので
あって、その具体的構成としては、重量%で、C:0.
06〜0.20%、Si:0.4〜1.5%、Mn:
0.7〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.0
20%以下を含むと共に、Cu:0.1〜1.2%、N
i:0.1〜2.0%、Cr:0.1〜2.0%、M
o:0.05〜1.0%、Nb:0.005〜0.04
0%、V:0.01〜0.10%、0%、Ti:0.0
05〜0.10%、B:0.0005〜0.0020%
の1種または2種以上を含有し、残部がFe及び不可避
不純物よりなる鋼を熱間圧延のまま、{(1555+3
3×Si%)/2}±40℃に加熱し、焼入を行ない、
700℃以下の温度で焼戻処理を行なうというものであ
る。加えて請求項4の発明では、ほぼ同様な成分組成を
有するものであり、その具体的構成は、重量%で、C:
0.06〜0.20%、Si:0.82〜1.5%、M
n:0.7〜2.0%、P:0.020%以下、S:
0.020%以下を含むと共に、Cu:0.1〜1.2
%、Ni:0.1〜2.0%、Cr:0.1〜2.0
%、Mo:0.05〜1.0%、Nb:0.005〜
0.040%、V:0.01〜0.〜0.10%、T
i:0.005〜0.10%、B:0.0005〜0.
0020%の1種または2種以上を含有し、残部がFe
及び不可避不純物よりなる鋼を、熱間圧延後焼入処理を
行った後、{(1555+33×Si%)/2}±40
℃に加熱し、焼入を行ない、700℃以下の温度で焼戻
処理を行なうというものである。
【0012】以下、添加元素と製造プロセスに分け、こ
れらの限定理由につき説明する。
れらの限定理由につき説明する。
【0013】《添加元素》C:0.06%〜0.20% Cは鋼の常温強度を安定して確保するための有効な元素
であり、0.06%未満では、所定の十分な強度を得るのが
困難であり、また、0.20%を超える添加では溶接性が劣
化するため、C量は0.06%〜0.20%とした。
であり、0.06%未満では、所定の十分な強度を得るのが
困難であり、また、0.20%を超える添加では溶接性が劣
化するため、C量は0.06%〜0.20%とした。
【0014】Si:0.4%〜1.5% Siは本発明において最も重要な添加元素であり、YS
の上昇を抑え、TSを上昇させる効果があり、その結果
として降伏比を安定して低下させるために必須の元素で
ある。このようなSiの効果を発揮するためには、0.
4%以上の添加が必要であり、1.5%を超える添加で
は溶接性が劣化するため、添加範囲は0.4%〜1.5
%とした。但し後述する実験より、熱間圧延後一旦焼入
処理を行う場合については、TSの上昇と共に、YSも
上昇してしまい、降伏比を低下させることができなくな
るため、0.82%を下限として添加させることにし
た。
の上昇を抑え、TSを上昇させる効果があり、その結果
として降伏比を安定して低下させるために必須の元素で
ある。このようなSiの効果を発揮するためには、0.
4%以上の添加が必要であり、1.5%を超える添加で
は溶接性が劣化するため、添加範囲は0.4%〜1.5
%とした。但し後述する実験より、熱間圧延後一旦焼入
処理を行う場合については、TSの上昇と共に、YSも
上昇してしまい、降伏比を低下させることができなくな
るため、0.82%を下限として添加させることにし
た。
【0015】Mn:0.7%〜2.0% Mnは強度確保の上で有効な元素であり、0.7%以上の添
加が必要である。また、2.0%を超える添加では溶接性
が劣化するため、0.7%〜2.0%の範囲とした。
加が必要である。また、2.0%を超える添加では溶接性
が劣化するため、0.7%〜2.0%の範囲とした。
【0016】P:0.020%以下、S:0.020%以下 P、Sは不純物元素であり、延靱性の低下、加工性、溶接
性の低下等の問題の原因となる元素であり、できるだけ
低減するのが望ましい。しかしながら、著しく低減する
のはコストの上昇を招くため、顕著な材質劣化しない量
の上限として0.020%以下と規定した。
性の低下等の問題の原因となる元素であり、できるだけ
低減するのが望ましい。しかしながら、著しく低減する
のはコストの上昇を招くため、顕著な材質劣化しない量
の上限として0.020%以下と規定した。
【0017】Cu:0.1%〜1.2% Cuは強度上昇に有効な元素であるとともに、耐食性も向
上させる効果があり、その効果を発揮するためには、0.
1%以上の添加が必要であり、また、1.2%を超える添加
では熱間加工性が低下し、コストアップにもなるので、
添加範囲は0.1%〜1.2%とした。
上させる効果があり、その効果を発揮するためには、0.
1%以上の添加が必要であり、また、1.2%を超える添加
では熱間加工性が低下し、コストアップにもなるので、
添加範囲は0.1%〜1.2%とした。
【0018】Ni:0.1%〜2.0% Niは強度上昇に有効な元素であるとともに、低温靱性も
向上させる効果があり、その効果を発揮するためには、
0.1%以上の添加が必要であり、2.0%を超える添加では
コストアップにもなるので、添加範囲は0.1%〜2.0%と
した。
向上させる効果があり、その効果を発揮するためには、
0.1%以上の添加が必要であり、2.0%を超える添加では
コストアップにもなるので、添加範囲は0.1%〜2.0%と
した。
【0019】Cr:0.1%〜2.0% Crは強度上昇に有効な元素であるとともに、耐食性も向
上させる効果があり、その効果を発揮するためには、0.
1%以上の添加が必要であり、また、2.0%を超える添加
では溶接性が劣化するとともに、コストアップにもなる
ので、添加範囲は0.1%〜2.0%とした。
上させる効果があり、その効果を発揮するためには、0.
1%以上の添加が必要であり、また、2.0%を超える添加
では溶接性が劣化するとともに、コストアップにもなる
ので、添加範囲は0.1%〜2.0%とした。
【0020】Mo:0.05%〜1.0% Moは強度上昇に有効な元素であり、その効果を発揮する
ためには、0.05%以上の添加が必要であり、また、1.0
%を超える添加では溶接性が劣化するとともに、コスト
アップにもなるので、添加範囲は0.05%〜1.0%とし
た。
ためには、0.05%以上の添加が必要であり、また、1.0
%を超える添加では溶接性が劣化するとともに、コスト
アップにもなるので、添加範囲は0.05%〜1.0%とし
た。
【0021】Nb:0.005%〜0.040% Nbは析出強化により強度上昇に有効な元素であり、その
効果を発揮するためには、0.005%以上の添加が必要で
あり、また、0.040%を超える添加では溶接性および溶
接部靱性を劣化させるので、添加範囲は0.005%〜0.040
%とした。
効果を発揮するためには、0.005%以上の添加が必要で
あり、また、0.040%を超える添加では溶接性および溶
接部靱性を劣化させるので、添加範囲は0.005%〜0.040
%とした。
【0022】V:0.01%〜0.10% Vは析出強化により強度上昇に有効な元素であり、その
効果を発揮するためには、0.01%以上の添加が必要であ
り、また、0.10%を超える添加では溶接性および溶接部
靱性を劣化させるので、添加範囲は0.01%〜0.10%とし
た。
効果を発揮するためには、0.01%以上の添加が必要であ
り、また、0.10%を超える添加では溶接性および溶接部
靱性を劣化させるので、添加範囲は0.01%〜0.10%とし
た。
【0023】Ti:0.005%〜0.10% Tiは析出強化により強度上昇に有効な元素であるととも
に、TiNを形成し結晶粒の微細化にも有効であるが、そ
の効果を発揮するためには、0.005%以上の添加が必要
であり、また、0.10%を超える添加では溶接性および溶
接部靱性を劣化させるので、その添加範囲は0.005%〜
0.10%とした。
に、TiNを形成し結晶粒の微細化にも有効であるが、そ
の効果を発揮するためには、0.005%以上の添加が必要
であり、また、0.10%を超える添加では溶接性および溶
接部靱性を劣化させるので、その添加範囲は0.005%〜
0.10%とした。
【0024】B:0.0005%〜0.0020% Bは焼入性を向上させることにより強度上昇に有効な元
素であり、その効果を発揮するためには、0.0005%以上
の添加が必要であり、また、0.0020%を超える添加では
溶接性および溶接部靱性を劣化させるので、添加範囲は
0.0005%〜0.0020%とした。
素であり、その効果を発揮するためには、0.0005%以上
の添加が必要であり、また、0.0020%を超える添加では
溶接性および溶接部靱性を劣化させるので、添加範囲は
0.0005%〜0.0020%とした。
【0025】《製造プロセス》 ・{(1555+33×Si%)/2}±40℃に加熱し焼入処理
を行う 安定して低降伏比化を達成するためには、高Si鋼を適用
すると共に、上述した様に適切な熱処理温度の選択が必
要である。{(1555+33×Si%)/2}−40℃未満で
は、強度が低下し、高強度が得られず、{(1555+33×
Si%)/2}+40℃を超える場合には、低降伏比化が安
定して達成できないので、熱処理温度は、{(1555+33
×Si%)/2}±40℃の範囲とした。
を行う 安定して低降伏比化を達成するためには、高Si鋼を適用
すると共に、上述した様に適切な熱処理温度の選択が必
要である。{(1555+33×Si%)/2}−40℃未満で
は、強度が低下し、高強度が得られず、{(1555+33×
Si%)/2}+40℃を超える場合には、低降伏比化が安
定して達成できないので、熱処理温度は、{(1555+33
×Si%)/2}±40℃の範囲とした。
【0026】・700℃以下の温度での焼戻処理 700℃を超える温度での焼戻処理では、部分的にオース
テナイト変態することが懸念され、所定の特性が得られ
ないと共に、顕著な靱性の低下があるので、焼戻温度は
700℃以下とした。
テナイト変態することが懸念され、所定の特性が得られ
ないと共に、顕著な靱性の低下があるので、焼戻温度は
700℃以下とした。
【0027】
【実施例】以下本発明法の具体的実施例につき説明す
る。
る。
【0028】下記表1に供試鋼の化学成分を示す。この
うち符号A〜Eの供試鋼は本発明法によって製造される
鋼であり、符号F、Gの供試鋼は本発明で規定している
Si量を下回っており、規定範囲外になっている。
うち符号A〜Eの供試鋼は本発明法によって製造される
鋼であり、符号F、Gの供試鋼は本発明で規定している
Si量を下回っており、規定範囲外になっている。
【0029】
【表1】
【0030】又下記表2に各厚みの鋼板を製造した時の
条件とその引張特性を合わせて示す。このうち符号A−
1、 A−2と表示した供試鋼は、表1の供試鋼Aを用
いて製造したことを示す。
条件とその引張特性を合わせて示す。このうち符号A−
1、 A−2と表示した供試鋼は、表1の供試鋼Aを用
いて製造したことを示す。
【0031】
【表2】
【0032】本発明法によって製造されたA−1、B、
C、D、Eの供試鋼は、全て引張強度が60Kgf/m
m2以上であり、かつ降伏比が75%以下になってお
り、本発明の目的を満足している。又供試鋼A−2は、
本発明法によって製造された供試鋼A−1の比較例であ
り、製造条件の焼入の温度範囲が本発明の規定範囲外
になっている。そのため、引張強度も低く60Kgf/
mm2以下であり、降伏比も75%を超えている。
C、D、Eの供試鋼は、全て引張強度が60Kgf/m
m2以上であり、かつ降伏比が75%以下になってお
り、本発明の目的を満足している。又供試鋼A−2は、
本発明法によって製造された供試鋼A−1の比較例であ
り、製造条件の焼入の温度範囲が本発明の規定範囲外
になっている。そのため、引張強度も低く60Kgf/
mm2以下であり、降伏比も75%を超えている。
【0033】一方、供試鋼F、Gは、化学成分が元々本
発明の規定範囲外であるため、製造条件が本発明の規定
を満足しているにも拘らず、高い降伏比を示す。尚、供
試鋼Fは、本発明法によって製造された供試鋼A−1、
B、Cの比較例である。
発明の規定範囲外であるため、製造条件が本発明の規定
を満足しているにも拘らず、高い降伏比を示す。尚、供
試鋼Fは、本発明法によって製造された供試鋼A−1、
B、Cの比較例である。
【0034】
【発明の効果】本発明法の実施により、従来、非常に困
難であった工業規模で安定して75%以下の降伏比を達成
できる60Kgf/mm2級以上の高強度を有する高張力鋼の製
造が可能になり、その鋼を鋼構造物に適用することで、
構造物の安全性の一層の向上が期待できるようになる。
難であった工業規模で安定して75%以下の降伏比を達成
できる60Kgf/mm2級以上の高強度を有する高張力鋼の製
造が可能になり、その鋼を鋼構造物に適用することで、
構造物の安全性の一層の向上が期待できるようになる。
フロントページの続き (72)発明者 石川 博 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−99817(JP,A) 特開 平4−32513(JP,A) 特開 平3−219012(JP,A) 特開 平3−162518(JP,A)
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.06〜0.20%、
Si:0.4〜1.5%、Mn:0.7〜2.0%、
P:0.020%以下、S:0.020%以下を含有
し、残部がFe及び不可避不純物よりなる鋼を熱間圧延
のまま、 {(1555+33×Si%)/2}±40
℃に加熱し、焼入を行い、700℃以下の温度で焼戻処
理を行うことを特徴とする低降伏比高張力鋼の製造方
法。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.06〜0.20%、
Si:0.82〜1.5%、Mn:0.7〜2.0%、
P:0.020%以下、S:0.020%以下を含有
し、残部がFe及び不可避不純物よりなる鋼を、熱間圧
延後焼入処理を行った後、{(1555+33×Si
%)/2}±40℃に加熱し、焼入を行い、700℃以
下の温度で焼戻処理を行うことを特徴とする低降伏比高
張力鋼の製造方法。 - 【請求項3】 重量%で、C:0.06〜0.20%、
Si:0.4〜1.5%、Mn:0.7〜2.0%、
P:0.020%以下、S:0.020%以下を含むと
共に、Cu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜2.0
%、Cr:0.1〜2.0%、Mo:0.05〜1.0
%、Nb:0.005〜0.040%、V:0.01〜
0.〜0.10%、Ti:0.005〜0.10%、
B:0.0005〜0.0020%の1種または2種以
上を含有し、残部がFe及び不可避不純物よりなる鋼を
熱間圧延のまま、 {(1555+33×Si%)/
2}±40℃に加熱し、焼入を行ない、700℃以下の
温度で焼戻処理を行なうことを特徴とする低降伏比高張
力鋼の製造方法。 - 【請求項4】 重量%で、C:0.06〜0.20%、
Si:0.82〜1.5%、Mn:0.7〜2.0%、
P:0.020%以下、S:0.020%以下を含むと
共に、Cu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜2.0
%、Cr:0.1〜2.0%、Mo:0.05〜1.0
%、Nb:0.005〜0.040%、V:0.01〜
0.から0.10%、Ti:0.005〜0.10%、
B:0.0005〜0.0020%の1種または2種以
上を含有し、残部がFe及び不可避不純物よりなる鋼
を、熱間圧延後焼入処理を行った後、 {(1555+33×Si%)/2}±40℃に加熱
し、焼入を行ない、700℃以下の温度で焼戻処理を行
なうことを特徴とする低降伏比高張力鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3053683A JP2541389B2 (ja) | 1991-02-27 | 1991-02-27 | 低降伏比高張力鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3053683A JP2541389B2 (ja) | 1991-02-27 | 1991-02-27 | 低降伏比高張力鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04272129A JPH04272129A (ja) | 1992-09-28 |
JP2541389B2 true JP2541389B2 (ja) | 1996-10-09 |
Family
ID=12949619
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3053683A Expired - Lifetime JP2541389B2 (ja) | 1991-02-27 | 1991-02-27 | 低降伏比高張力鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2541389B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
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CN115216594A (zh) * | 2022-08-05 | 2022-10-21 | 鞍钢集团北京研究院有限公司 | 一种1000MPa级低屈强比钢材热处理方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03219012A (ja) * | 1989-11-08 | 1991-09-26 | Kawasaki Steel Corp | 溶接性の良好な低降伏比高張力鋼の製造方法 |
JP2706159B2 (ja) * | 1989-11-20 | 1998-01-28 | 川崎製鉄株式会社 | 溶接性の良好な低降伏比高張力鋼の製造方法 |
JPH0432513A (ja) * | 1990-05-29 | 1992-02-04 | Kawasaki Steel Corp | 溶接の施工性及び判別性に優れる低降伏比高張力調質鋼板の製造方法 |
JPH0499817A (ja) * | 1990-08-17 | 1992-03-31 | Kawasaki Steel Corp | 低降伏比高張力鋼の製造方法 |
-
1991
- 1991-02-27 JP JP3053683A patent/JP2541389B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04272129A (ja) | 1992-09-28 |
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