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JP2025037680A - 塗材仕上げ工法 - Google Patents

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JP2025037680A
JP2025037680A JP2023144762A JP2023144762A JP2025037680A JP 2025037680 A JP2025037680 A JP 2025037680A JP 2023144762 A JP2023144762 A JP 2023144762A JP 2023144762 A JP2023144762 A JP 2023144762A JP 2025037680 A JP2025037680 A JP 2025037680A
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coating
composition
water
trowel
film
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亮弥 松崎
祐司 齋藤
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Aica Kogyo Co Ltd
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Aica Kogyo Co Ltd
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Abstract

【課題】錆が生じた状態の赤錆調や緑青調、及び経年変化した青銅、黒皮鉄、赤銅、真鍮等の金属調を付与する塗材仕上げ工法を提供する。
【解決手段】水系塗材組成物を鏝ビビリ波が連続して形成されるように塗付して乾燥させ、次に砂壁状塗料組成物をローラー刷毛にて配り塗りした後、鏝ビビリ波の進行方向に対して略直角方向にシゴキ塗りして乾燥させ、研磨手段にて塗材表面を研磨し、光輝顔料を含み色調が異なる水系上塗り組成物を塗付し、スポンジローラーにて塗付された水系上塗り組成物を平滑にした後乾燥させ、樹脂のガラス転移温度が10~50℃のシリコーン・アクリル共重合体樹脂エマルジョンと、成膜助剤と、を含む主剤と、シランカップリング剤を含む硬化剤とから成るトップコート組成物を塗付して仕上げることを特徴とする塗材仕上げ工法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、錆が生じた状態の赤錆調や緑青調、及び経年変化した青銅、黒皮鉄、赤銅、真鍮等の金属調を付与する塗材仕上げ工法に関する。
従来、出願人は特許文献1において、建物の外壁を、外観上、経年劣化した金属で仕上げられたような壁に仕上げることが出来る塗装仕上げ工法として、下地に必要によりシーラーを塗付して乾燥させ、この上に、アクリル樹脂系エマルジョンと、充填材と、骨材と、顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、から成り、充填材と骨材の重量比が充填材:骨材=1:2.8~15.0である水系塗材組成物を、厚み0.3mm~0.7mmのステンレスから成る金鏝にて、1m当り0.6kg~1.0kgの塗付量で、且つ、塗膜断面視にて波間隔が70~500mmの鏝波が連続して形成されるように塗付して乾燥させ、この上に前記水系塗材組成物を、前記金鏝にて1m当り0.6kg~1.0kgの塗付量で、且つ、塗膜断面視にて波間隔が1~10mmの鏝ビビリ波が連続して形成されるように塗付して乾燥させ、この上にアクリル樹脂系エマルジョンと、充填材と、骨材と、顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、から成り、充填材と骨材の重量比が充填材:骨材=1:1.3~2.7であって上記水系塗材組成物と略同色の砂壁状塗料組成物を、1m当り0.2kg~0.4kgの塗付量でローラー刷毛を使用して配り塗りした後、厚み0.3mm~0.7mmのステンレスから成る金鏝又はヘラにて、前記鏝ビビリ波の進行方向に対して略直角方向にシゴキ塗りして乾燥させ、研磨材の粒度がP60~P150の研磨手段にて塗材表面を研磨し、この上に、アクリル樹脂系エマルジョンと、光輝顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、から成り、水系塗材組成物及び砂壁状塗料組成物の色調と異なる色調の水系上塗り組成物Iを、1m当り0.01kg~0.04kgの塗付量で、ローラーの表面が天然海綿から成るローラー刷毛を使用して塗付して乾燥させ、さらに該水系上塗り組成物Iに配合した光輝顔料と色調が異なる光輝顔料と、アクリル樹脂系エマルジョンと、増粘剤と、成膜助剤と、から成る水系上塗り組成物IIを、1m当り0.01kg~0.04kgの塗付量で、ローラーの表面が天然海綿から成るローラー刷毛を使用して塗付して仕上げることを特徴とする塗材仕上げ工法を開示している。
特開2022-015015号公報
しかしながら、特許文献1記載の塗材仕上げ工法により仕上げた塗膜表面には小さな凹凸が存在しており、テーブルや棚等の家具の天板に施工した際には、置いた物が安定しない場合やザラザラした触感に不快感を覚える場合がある、という課題があった。また、塗膜表面の引っかき硬度が不足する場合がある、という課題があった。
そこで本発明が解決しようとする課題は、錆が生じた状態の赤錆調や緑青調、及び経年変化した青銅、黒皮鉄、赤銅、真鍮等の金属調を付与でき、塗膜表面が平滑であり十分な引っかき硬度を有する塗材仕上げ工法を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、下地に必要によりシーラーを塗付して乾燥させ、
この上に、アクリル樹脂系エマルジョンと、充填材と、骨材と、顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、を含み、充填材と骨材の重量比が充填材:骨材=1:2.8~15.0である水系塗材組成物を、
厚み0.3~0.7mmのステンレスから成る金鏝にて、塗付量0.6~1.0kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が70~500mmの鏝波が連続して形成されるように塗付して乾燥させ、
この上に前記水系塗材組成物を、前記金鏝にて塗付量0.6~1.0kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が1~10mmの鏝ビビリ波が連続して形成されるように塗付して乾燥させ、
この上に、アクリル樹脂系エマルジョンと、充填材と、骨材と、顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、を含み、充填材と骨材の重量比が充填材:骨材=1:1.3~2.7であって上記水系塗材組成物と略同色の砂壁状塗料組成物を、
ローラー刷毛にて塗付量0.2~0.4kg/mで配り塗りした後、厚み0.3~0.7mmのステンレスから成る金鏝又はヘラにて、前記鏝ビビリ波の進行方向に対して略直角方向にシゴキ塗りして乾燥させ、
研磨材の粒度がP60~P150の研磨手段にて塗材表面を研磨し、
この上に、アクリル樹脂系エマルジョンと、光輝顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、を含み、水系塗材組成物及び砂壁状塗料組成物の色調と異なる色調の水系上塗り組成物Iを、
ローラーの表面が天然海綿から成るローラー刷毛にて、塗付量0.01~0.04kg/mで塗付し、塗材表面全体にスポンジローラーを転動させた後乾燥させ、
この上に、該水系上塗り組成物Iに配合した光輝顔料と色調が異なる光輝顔料と、アクリル樹脂系エマルジョンと、増粘剤と、成膜助剤と、を含む水系上塗り組成物IIを、
ローラーの表面が天然海綿から成るローラー刷毛にて、塗付量0.01~0.04kg/mで塗付し、塗材表面全体にスポンジローラーを転動させた後乾燥させ、
この上に、樹脂のガラス転移温度が10~50℃のシリコーン・アクリル共重合体樹脂エマルジョンと、成膜助剤と、を含む主剤と、シランカップリング剤を含む硬化剤とから成るトップコート組成物を塗付して仕上げることを特徴とする塗材仕上げ工法を提供する。
本発明の塗材仕上げ工法は、塗膜の表面の意匠が肉眼視においてあたかも金属が長い時間を経て、部分的に鉄錆や銅錆が生じた状態の赤錆調、緑青調等の塗材表面や、経年変化した青銅、黒皮鉄、赤銅、真鍮等の金属で仕上げられたような状態とすることができる、という効果がある。
また、本発明の塗材仕上げ工法で形成した塗膜表面は平滑であるため、建物の外壁面や内壁面だけでなく、テーブルや棚等の家具の天板にも施工することができる、という効果がある。
また、本発明の塗材仕上げ工法では、トップコートにシリコーン・アクリル共重合体樹脂エマルジョンと、成膜助剤と、を含む主剤と、シランカップリング剤を含む硬化剤とから成るトップコート組成物を塗付して仕上げるため、該トップコート組成物が空気中の水分だけでなく、既に塗付された水系塗材組成物、砂壁状塗料組成物、水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物IIの塗膜中の微細な水分が硬化剤として作用しうる状態、つまりは該塗膜に十分に含侵した状態で硬化することで塗膜表面は表面からある程度の範囲で極めて硬くなる、という効果がある。また、生活の中で使用する多くの汚染物質に対して良好な耐汚染性を有する、という効果がある。
本発明の塗材仕上げ工法によって仕上げられた実施例1(黒皮鉄調)の塗膜表面(300×390mm)の平面写真である。 本発明の塗材仕上げ工法に使用する、ローラーの表面が天然海綿から成るローラー刷毛(直径約45mm、長さ150mm)の正面写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の塗材仕上げ工法は、下地に必要によりシーラーを塗付して乾燥させ、この上に、アクリル樹脂系エマルジョンと、充填材と、骨材と、顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、を含み、充填材と骨材の重量比が充填材:骨材=1:2.8~15.0である水系塗材組成物を、厚み0.3~0.7mmのステンレスから成る金鏝にて、塗付量0.6~1.0kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が70~500mmの鏝波が連続して形成されるように塗付して乾燥させ、この上に前記水系塗材組成物を、前記金鏝にて塗付量0.6~1.0kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が1~10mmの鏝ビビリ波が連続して形成されるように塗付して乾燥させ、この上に、アクリル樹脂系エマルジョンと、充填材と、骨材と、顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、を含み、充填材と骨材の重量比が充填材:骨材=1:1.3~2.7であって上記水系塗材組成物と略同色の砂壁状塗料組成物を、ローラー刷毛にて塗付量0.2~0.4kg/mで配り塗りした後、厚み0.3~0.7mmのステンレスから成る金鏝又はヘラにて、前記鏝ビビリ波の進行方向に対して略直角方向にシゴキ塗りして乾燥させ、研磨材の粒度がP60~P150の研磨手段にて塗材表面を研磨し、この上に、アクリル樹脂系エマルジョンと、光輝顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、を含み、水系塗材組成物及び砂壁状塗料組成物の色調と異なる色調の水系上塗り組成物Iを、ローラーの表面が天然海綿から成るローラー刷毛にて、塗付量0.01~0.04kg/mで塗付し、塗材表面全体にスポンジローラーを転動させた後乾燥させ、この上に、該水系上塗り組成物Iに配合した光輝顔料と色調が異なる光輝顔料と、アクリル樹脂系エマルジョンと、増粘剤と、成膜助剤と、を含む水系上塗り組成物IIを、ローラーの表面が天然海綿から成るローラー刷毛にて、塗付量0.01~0.04kg/mで塗付し、塗材表面全体にスポンジローラーを転動させた後乾燥させ、この上に、樹脂のガラス転移温度が10~50℃のシリコーン・アクリル共重合体樹脂エマルジョンと、成膜助剤と、を含む主剤と、シランカップリング剤を含む硬化剤とから成るトップコート組成物を塗付して仕上げることを特徴とする塗材仕上げ工法であり、使用する水系塗材組成物、砂壁状塗料組成物、水系上塗り組成物I、水系上塗り組成物II、及びトップコート組成物には、他に必要に応じて消泡剤や分散剤等を配合することができる。
まず、本発明の塗材仕上げ工法に使用する水系塗材組成物、砂壁状塗料組成物、水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物IIについて説明する。
<アクリル樹脂系エマルジョン>
本発明に使用する水系塗材組成物、砂壁状塗料組成物、水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物IIを構成するアクリル樹脂系エマルジョンには、アクリル酸エステル系共重合樹脂、酢酸ビニル・アクリル酸エステル系共重合樹脂、シリコン変性アクリル樹脂等のアクリル樹脂系エマルジョンを使用することができる。アクリル樹脂とするアクリル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、n-アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、等を使用することができる。
他の不飽和単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、及びクロトン酸等のカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸や、クロトン酸、イタコン酸;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、2(3)-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、アリルアルコール、多価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等の水酸基含有単量体;(メタ)アクリルアミドや、マレインアミド等のアミド基含有単量体;2-アミノエチル(メタ)アクリレートや、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等のアミノ基含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレートや、アリルグリシジルエーテル、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物と活性水素原子を有するエチレン性不飽和単量体との反応により得られるエポキシ基含有単量体やオリゴノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、3-(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、及び3-(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有単量体;その他、酢酸ビニル、塩化ビニル、更には、エチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、ジアルキルフマレート等を使用することができる。
アクリル樹脂系エマルジョン中の樹脂のガラス転移温度は-30~40℃が好ましい。ガラス転移温度が-30℃未満の場合は仕上がり表面にタックが生じて汚れやすくなる場合があり、40℃超の場合は成膜不良となる場合がある。ここでいうガラス転移温度は、示差走査熱量計(Differentialscanning calorimetry、DSC)によって測定される値である。水系塗材組成物、及び砂壁状塗料組成物の樹脂固形分は各組成物100重量部中5~20重量部が好ましく、5重量部未満では粘着性、塗付作業性が低下する場合があり、20重量部超では粘度が上昇し塗付作業性が低下する場合がある。また、水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物IIの樹脂固形分は各組成物100重量部中20~40重量部が好ましく、20重量部未満では粘度が低下して光輝顔料の貯蔵安定性及び組成物の塗付作業性が低下する場合があり、40重量部超では樹脂光沢が過剰となって意匠性が低下する場合がある。市販のアクリル樹脂系エマルジョンとしては、アクロナールPS743(固形分:55重量%、BASF社製、商品名)がある。
<充填材>
本発明に使用する水系塗材組成物、及び砂壁状塗料組成物を構成する充填材は、平均粒径D50(重量による積算50%の粒径)が100μm未満のものを言い、組成物の粘度や塗付作業性の調整を目的として配合し、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、硅砂粉等が使用でき、重質炭酸カルシウムが安価でコスト的負担を軽減させることができる。充填材の配合量は水系塗材組成物においては組成物全体100重量部中3~20重量部が好ましく、より好ましくは4~12重量部である。3重量部未満では下地の色が透けるなどの隠蔽性が不足する場合があり、20重量部超では塗材粘度が高くなって塗付作業性が不良となる場合がある。4重量部未満では色調によっては隠蔽性が低下する場合があり、12重量部超では冬季等の低温度下では塗付作業性が低下する傾向にある。砂壁状塗料組成物においては組成物全体100重量部中10~25重量部が好ましく、より好ましくは13~21重量部であり、10重量部未満では下地の色が透けるなどの隠蔽性が不足する場合があり、25重量部超では塗材粘度が高くなって塗付作業性が不良となる場合がある。13重量部未満では色調によっては隠蔽性が低下する場合があり、21重量部超では冬季等の低温度下では塗付作業性が低下する傾向にある。
<骨材>
本発明に使用する水系塗材組成物、及び砂壁状塗料組成物を構成する骨材は、平均粒径D50(重量による積算50%の粒径)が100μm以上のものを言い、厚みをつけて塗付できるようにすることを目的として配合する。また、砂壁上塗料組成物においては、水系塗材組成物により形成された塗膜表面を平滑とするために配合する。骨材としては平均粒径が100μm以上であればその粒子径は任意に選択することができ、例えば硅砂、ガラス、シリカ、タルク、重質炭酸カルシウムなどが使用可能である。市販の平均粒径が200μmの重質炭酸カルシウムとしてはK-250(旭鉱末株式会社製、商品名)がある。骨材の配合量は水系塗材組成物においては組成物全体100重量部中40~60重量部が好ましく、40重量部未満では厚みをつけて塗付することができない場合があり、60重量部超では作業性が低下する場合がある。砂壁状塗料組成物においては組成物全体100重量部中20~40重量部が好ましく、20重量部未満では厚みをつけて塗付することができない場合があり、40重量部超では作業性が低下する場合がある。
<充填材と骨材の重量比>
本発明に使用する水系塗材組成物、及び砂壁状塗料組成物をそれぞれ構成する上記充填材と上記骨材の重量比は、水系塗材組成物においては充填材:骨材=1:2.8~15.0が好ましく、骨材の比率が2.8未満では塗材として厚みをつけて塗付することができない場合があり、15.0超では塗付作業性が不十分となる場合がある。同様に砂壁状塗料組成物における充填材:骨材の重量比は、充填材:骨材=1:1.3~2.7が好ましく、骨材の比率が1.3未満では砂壁状塗料として厚みをつけて塗付することができない場合や研磨により塗膜表面を平滑とすることが困難となる場合があり、2.7超では隠ぺい性が低下する場合がある。ここでいう「塗材として」と「砂壁状塗料として」の違いであるが、具体的には「塗材として」とは塗付量0.6~1.0kg/mである際、と言い換えることができ、「砂壁状塗料として」とは塗付量0.2~0.4kg/mである際、と言い換えることができる。
なお、砂壁状塗料組成物においては、充填材と骨材の重量比が、充填材:骨材=1:1.3~2.7となるような、好ましい充填材の平均粒径と骨材の平均粒径の組み合わせは、充填材の平均粒径D50が0.1~50μmであり、骨材の平均粒径D50が100~300μmである場合である。
<顔料>
本発明に使用する水系塗材組成物、及び砂壁状塗料組成物を構成する顔料には、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(弁柄)、クロム酸鉛、黄鉛、黄色酸化鉄等の無機系顔料等が使用できる。中でも酸化チタンは下地の隠蔽性に優れ、白色であるため主たる顔料として使用することができる。
<光輝顔料>
本発明に使用する水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物IIを構成する光輝顔料は、表面が金属又は金属酸化物で被覆されたガラスフレーク顔料であり、該金属としては、銀やニッケル、該金属酸化物としては酸化チタンを挙げることができる。金属又は金属酸化物で被覆されたガラスフレーク顔料は、鱗片状のガラスフレークを基材として、表面が金属又は金属酸化物で被覆された光輝顔料である。基材がガラスであるため透明であり、比較的厚みがある光輝顔料であるため、複層塗膜において、粒子感を発現し、虹色干渉を生じない特徴がある。光輝顔料は、金属又は金属酸化物が被覆された状態における平均粒子径が、形成される塗膜の光輝感や仕上がりの点から5~90μmの範囲内であることが好ましい。該平均粒子径は、長径を意味する。厚さは、光輝顔料の塗料中における安定性や形成される塗膜の仕上がりの点から、0.1~10μmの範囲内であることが好ましい。市販品としては例えば、メタシャインシリーズ(日本板硝子株式会社製、商品名)、Firemistシリーズ(ディアイシー社製、商品名)等を使用することができる。
光輝顔料の配合量は各組成物全体100重量部中0.5~10重量部が好ましく、0.5重量部未満では光輝顔料による金属光沢感が得られない場合があり、10重量部超では光輝顔料の分散が不均一となる場合がある。
<増粘剤>
本発明に使用する水系塗材組成物、砂壁状塗料組成物、水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物IIを構成する増粘剤は、鏝塗り作業性や保水性の向上を目的として配合し、水溶性セルロースエーテル、ウレタン変性ポリエーテル、ポリカルボン酸等が使用できる。水溶性セルロースエーテルとしてはhiメトローズ90SH15000(信越化学株式会社製、商品名)がある。増粘剤の配合量は各組成物全体100重量部中0.1~5.0重量部が好ましく、0.1重量部未満では十分な増粘効果が得られず塗材の厚みが付けられなかったりダレが生じたりする場合があり、5.0重量部超では塗付作業性が低下する場合がある。
<成膜助剤>
本発明に使用する水系塗材組成物、砂壁状塗料組成物、水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物IIを構成する成膜助剤には、エマルジョンのポリマー粒子の融着を促進し、ポリマーによる均一な皮膜を形成させることを目的で配合し、エチレングリコールジエチルエーテル、ベンジルアルコール、ブチルセロソルブ、エステルアルコール等を使用することができる。成膜助剤の配合量は組成物全体100重量部中0.5~10重量部が好ましく、0.5重量部未満では低温での成膜が不十分となる場合があり、10重量部超では塗材の表面に汚れが付着し易くなる場合がある。
本発明の塗材仕上げ工法に使用する水系塗材組成物、砂壁状塗料組成物、水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物IIには、上記の他に必要に応じて消泡剤、分散剤、防腐剤、防藻防カビ剤、凍結防止剤等を配合することができる。
本発明の塗材仕上げ工法に使用する水系塗材組成物の粘度は620~680Pa・sであることが好ましく、砂壁状塗料組成物の粘度は60~120Pa・sであることが好ましく、水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物IIの粘度は0.7~1・3Pa・sであることが好ましい。各範囲の下限未満であるとダレが生じて意匠性が損なわれる場合があり、各範囲の上限超であると塗付作業性が不良となる場合がある。尚、気温が低いために増粘する場合には、下記の評価試験を満足する範囲で各組成物100重量部に対して0重量部超15重量部以下の水を加え、粘度が前記範囲となるように調整しても良い。
次に、本発明の塗材仕上げ工法に使用するトップコート組成物について説明する。
本発明に使用するトップコート組成物は、樹脂のガラス転移温度が10~50℃のシリコーン・アクリル共重合体樹脂エマルジョンと、成膜助剤と、を含む主剤と、シランカップリング剤を含む硬化剤とから成る。
ここでいうガラス転移温度は、示差走査熱量計(Differential scanning calorimetry、DSC)によって測定される値である。ガラス転移温度が10℃未満では本発明の塗材仕上げ工法で形成する塗膜の引っかき硬度が不足する場合があり、50℃超では同塗膜の下地追従性が低下する場合がある。
本発明のトップコート組成物の主剤に含まれるシリコーン・アクリル共重合体樹脂エマルジョンは、主鎖がシリコーン樹脂であり、少なくとも側鎖または末端のいずれかに有機重合体基であるアクリル基を有するシリコーン・アクリル共重合体樹脂のエマルジョンである。本発明では水系塗材組成物、砂壁状塗料組成物、水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物II(以下、テクスチュアを付与する組成物)にアクリル樹脂系エマルジョンを含んでいるため、このアクリル樹脂と相溶させる目的で有機重合体基はアクリル基が好ましい。また、テクスチュアを付与する組成物との付着を強固なものとするため、トップコート組成物の硬化剤としてシランカップリング剤を使用し、トップコート組成物として塗付する直前に、シリコーン・アクリル共重合体樹脂エマルションと、成膜助剤と、を含む主剤と、シランカップリング剤を含む硬化剤とを均一に混合し、後述する研磨手段にて研磨された水系上塗り組成物IIの表面に塗付する。
本発明のトップコート組成物の硬化剤に含まれるシランカップリング剤は、水分により加水分解されるものであればどのようなものでも使用でき、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランや、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を使用することができる。
シリコーン・アクリル共重合体樹脂エマルジョン中の固形分であるシリコーン・アクリル共重合体樹脂は、トップコート組成物全体100重量部中15~45重量部が好ましく、より好ましくは25~35重量部である。15重量部未満では本発明の塗材仕上げ工法で形成する塗膜の耐摩耗性が低下する場合があり、45重量部超では下地から生じる水分に係る蒸気透過性が低下し、塗膜に膨れが生じる場合がある。25重量部未満では同耐摩耗性が低下する傾向があり、35重量部超では同蒸気透過性が低下する傾向がある。
トップコート組成物の主剤に含まれる成膜助剤は上記成膜助剤と同様のものを使用することができ、成膜助剤の配合量は組成物全体100重量部中0.5~10重量部が好ましく、0.5重量部未満では低温での成膜が不十分となる場合があり、10重量部超ではトップコート組成物の塗膜表面に汚れが付着し易くなる場合がある。
トップコート組成物の硬化剤に含まれるシランカップリング剤の配合量は、トップコート組成物全体100重量部中1~10重量部が好ましく、より好ましくは3~8重量部である。1重量部未満ではテクスチュアを付与する組成物とトップコート組成物との密着性が低下する場合があり、10重量部超では主剤と硬化剤の相溶性が不良となる場合がある。3重量部未満では同密着性が低下する傾向があり、8重量部超では同相溶性が不良となる傾向がある。
トップコート組成物には、上記シリコーン・アクリル共重合体樹脂エマルジョン、成膜助剤、及びシランカップリング剤の他にこれらと相溶性のよい有機溶媒を配合することができ、さらには消泡剤やレベリング剤等の添加剤を配合することが出来る。
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールの誘導体、及び、ジアセトンアルコール等が挙げられ、これらの1種、もしくは2種以上が用いられる。さらに、親水性の有機溶媒と併用してトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等も用いることができる。なお、使用する有機溶媒についてはトップコート組成物を塗付する際に使用するローラー刷毛等の塗装具の部材等を溶解させないものを使用することが望ましい。
トップコート組成物の固形分の含有量は、組成物全体100重量部中25~55重量部が好ましく、より好ましくは35~45重量部である。この範囲内であると塗膜硬度の発現及び塗付作業性が良好となる。
本発明の塗材仕上げ工法に使用するトップコート組成物の粘度は500~4000mPa・sであることが好ましい。500mPa・s未満であるとダレが生じて意匠性が損なわれる場合があり、4000mPa・s超であると塗付作業性が不良となる場合がある。尚、気温が低いために増粘する場合には、組成物100重量部に対して0重量部超50重量部以下の水を加え、粘度が前記範囲となるように調整しても良い。
続いて、本発明の塗材仕上げ工法について説明する。
本発明の塗材仕上げ工法は、モルタル下地、コンクリート下地、プレキャスト・コンクリートパネル(PCパネル)下地、窯業系サイディング下地、塗装下地、合板下地、及びMDF(Mediumdensity fiberboard、中密度繊維板)下地等に施工することができる。該塗装下地としては、アクリル樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、及びエポキシ樹脂系等の塗装が挙げられる。また、合板やMDFから成る家具にも施工可能であり、例えば、テーブル、棚、箪笥、椅子、ベンチ等が挙げられる。十分な付着性を確保するために各下地に適したシーラーを塗付できるが、下地に直接本発明の塗材仕上げ工法に使用する水系塗材組成物を塗付した際の下地との付着性が十分である場合は、シーラーは不要である。使用できるシーラーとしては、JS-800(水系アクリル樹脂シーラー、アイカ工業株式会社製、商品名)、JS-410(溶剤型塩化ゴム系下塗り材、アイカ工業株式会社製、商品名)、JS-90(水系アクリル樹脂系下塗り材、アイカ工業株式会社製、商品名)等が挙げられる。
本発明の塗材仕上げ工法は、最初に上記の各下地の上、又はシーラーを塗付した場合は乾燥させたこの上に、上記説明により構成される水系塗材組成物を、厚み0.3mm~0.7mmのステンレスから成る金鏝にて、塗付量0.6~1.0kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が70~500mmの鏝波が連続して形成されるように塗付して乾燥させ、次にこの上に同水系塗材組成物を、同金鏝にて塗付量0.6~1.0kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が1~10mmの鏝ビビリ波が連続して形成されるように塗付して乾燥させる。鏝ビビリ波とは、塗付量0.6~1.0kg/mであるため、実際の施工に当っては金鏝のエッジが立った状態で該金鏝を移動させる態様となり、その際金鏝が振動する状態となって、所謂ビビった状態で塗膜表面が凹凸状となる状態を表したものである。
次に、上記説明により構成される砂壁状塗料組成物を、ローラー刷毛にて塗付量0.2~0.4kg/mで配り塗りした後、同金鏝又は厚み0.3~0.7mmのステンレスから成るヘラにて、前記鏝ビビリ波の進行方向に対して略直角方向にシゴキ塗りして乾燥させる。
次に、研磨材の粒度がP60~P150の研磨手段にて塗材表面を研磨する。ここで研磨手段とは、直接的にはJISR 6251に規定する研磨布、JIS R 6252に規定する研磨紙、JIS R 6253に規定する耐水研磨紙、及びJIS R 6256に規定する研磨ベルトを指すが、研磨材の粒度がP60~P150であれば、どのような形態であってもよいという意義である。
次に、水系上塗り組成物I及び水系上塗り組成物IIを塗付するが、水系上塗り組成物Iを塗付する前に上記研磨手段で研磨した塗材表面に研磨粉が付着している場合は、布ウエス等に水を含ませて水拭きして乾燥させるか、高圧空気等にて塗膜表面の研磨粉を除去するとよい。
水系上塗り組成物Iは、水系塗材組成物及び砂壁状塗料組成物の色調と異なる色調であり、ローラーの表面が天然海綿から成るローラー刷毛にて、塗付量0.01~0.04kg/mで塗付する。該水系上塗り組成物Iが乾燥する前にスポンジローラーを塗膜表面に転動させ、余分な該水系上塗り組成物Iを取り除くことで塗材表面を平滑にする。
該水系上塗り組成物Iの乾燥後、さらに水系上塗り組成物Iに配合した光輝顔料と色調が異なる光輝顔料を含む水系上塗り組成物IIを、ローラーの表面が天然海綿から成るローラー刷毛にて塗付量0.01~0.04kg/mで塗付する。該水系上塗り組成物IIが乾燥する前にスポンジローラーを塗膜表面に転動させ、余分な該水系上塗り組成物IIを取り除くことで塗材表面を平滑にする。
前記ローラーの表面が天然海綿から成るローラー刷毛は、図2に示すようなローラー刷毛であり、天然海綿独特の大小さまざまな径の気孔が形成されていると共に、ローラー刷毛の表面の凹凸が大きく、その高低差は大きいところで20mm程度の部分があって、該高低差に係る凹凸の効果でローラー刷毛の直径が一つのローラー刷毛で20~50mm程度に変化している。したがって表面は柔らかいが一見ゴツゴツした状態のローラー刷毛である。該ローラー刷毛を使用することで、光輝顔料が不均一に塗付されて、これが、塗膜の表面の意匠が肉眼視においてあたかも金属が長い時間を経て、部分的に錆が発生したような、赤錆調、緑青調等の塗材表面や、経年変化した青銅、黒皮鉄、赤銅、真鍮等の金属で仕上げられたような状態となる一つの要因と成っている。ローラー刷毛の市販品としては、アイカ海綿ローラーJR-225H(アイカ工業株式会社製、商品名)がある。
また、前記スポンジローラーは、特に水性塗料の塗付に用いられるスポンジ製のローラーであって、施工用の柄を取り付けて使用するものであり、該スポンジがきめ細やかなため、均一な仕上がりとすることができるものである。本発明では、余分な水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物IIを施工性良く取り除き、形成する塗膜の表面を平滑にするために適当である。スポンジローラーの形としては、円柱型のものや凹凸を有するものがあるが、本発明においては凹凸のない円柱型のものが好ましい。スポンジローラーの市販品としては、JR-75(アイカ工業株式会社製、商品名)がある。勿論、他の施工道具であっても該スポンジローラーと同様の作用を有すれば使用できる。
また、本発明における「塗膜表面が平滑である」とは、テーブルや棚等の略水平な箇所で物をガタつかせることなく安定して置くことができ、指触でザラザラした触感がなく不快感を覚えない、という程度のものであり、マイクロサイズやナノサイズの凹凸が一切ないという程の意味ではない。具体的には0.3mm以上の凹凸がないことを意味する。
最後に、上記説明により構成されるトップコート組成物を塗付して仕上げる。トップコート組成物の塗付量は0.1~0.2kg/mが好ましく、短毛のローラー刷毛等で1回塗付する。なお、下地の塗膜表面への吸い込みが激しい場合には、重ねて2回塗付するとよい。この場合、1回目は塗付量0.08~0.15kg/mで塗付し、続けて0.05~0.12kg/mで塗付するとよい。トップコート組成物は、塗膜表面の硬度を向上させると共に、例えば生活汚染物質によって塗膜が着色する等、汚染されることを防止する。
本発明の塗材仕上げ工法は、水系塗材組成物、砂壁状塗料組成物、水系上塗り組成物I、水系上塗り組成物II、及びトップコート組成物を使用し、水系塗材組成物と砂壁状塗料組成物の色調は略同一であり、水系上塗り組成物Iは、水系塗材組成物及び砂壁状塗料組成物の色調と異なった色調であり、さらに水系上塗り組成物IIは該水系上塗り組成物Iに配合している光輝顔料と色調が異なる光輝顔料を配合しており、水系上塗り組成物Iと水系上塗り組成物IIの色調は異なるものである。これら色調の変化と塗膜のテクスチュアにより、本発明の塗材仕上げ工法が施工された下地は、肉眼視においてあたかも金属が長い時間を経て、部分的に鉄錆や銅錆が生じた状態の赤錆調、緑青調等になり、また、経年変化した青銅、黒皮鉄、赤銅、真鍮等の金属で仕上げられたような状態となる、という効果がある。
以下、実施例にて具体的に説明する。
<材料の作製>
表1の配合に従って、実施例及び比較例の水系塗材組成物、砂壁状塗料組成物、水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物IIを作製した。下記評価項目において意匠性についての評価は、水系塗材組成物と砂壁状塗料組成物については顔料を同一にすることで同色とし、水系上塗り組成物Iは水系塗材組成物及び砂壁状塗料組成物と色調が異なる光輝顔料を配合し、水系上塗り組成物IIは水系上塗り組成物Iと色調が異なる光輝顔料を配合して作製した。
表1において、アクリル樹脂系エマルジョンとしてアクロナールPS743(固形分:55重量%、樹脂のガラス転移温度:30℃、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの共重合体、BASF社製、商品名)を使用し、充填剤Aとして硅砂粉#300(平均粒径D50:25μm、株式会社トウチュウ製、商品名)を、充填材Bとして重質炭酸カルシウムBF-200(平均粒径D50:10μm、備北粉化工業株式会社製、商品名)を、充填材Cとして重質炭酸カルシウムSFT-2000(平均粒径D50:20μm、三共製粉株式会社製、商品名)を使用し、骨材Aとして東北硅砂7号(比重:1.5、平均粒径D50:150μm、東北硅砂株式会社製、商品名)を、骨材Bとして重質炭酸カルシウムK-250(平均粒径D50:200μm、旭鉱末株式会社製、商品名)を使用し、顔料として酸化チタンR-820(石原産業株式会社製、商品名)を使用し、光輝顔料としてメタシャインシリーズ(日本板硝子株式会社製、商品名)を使用し、増粘剤として水溶性セルロースエーテルhiメトローズ90SH-15000(信越化学株式会社製、商品名)を使用し、成膜助剤としてテキサノールCS-12(チッソ株式会社製、商品名)を使用した。この他には消泡剤及び分散剤を添加したが、これらは水系塗材用の市販品より適宜選択されるものを使用した。これらの原料を均一に混合分散させ、実施例及び比較例の水系塗材組成物、砂壁状塗料組成物、水系上塗り組成物I、及び水系上塗り組成物IIとした。
トップコート組成物は、主剤としてJC-40A(シリコーン・アクリル共重合体樹脂エマルジョン60重量部(固形分:45重量%)、成膜助剤3重量部、水22重量部、その他添加剤15重量部、アイカ工業株式会社製、商品名)100重量部に対し、硬化剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部を塗付直前に添加し、均一に混合して使用した。
表2、3に実施例及び比較例における色調の組み合わせを示した。また、水系上塗り組成物I及び水系上塗り組成物IIの塗付後に塗材表面全体にスポンジローラーを転動させたか否か、及びトップコート組成物の使用の有無についても示した。
<評価方法>
上記の実施例及び比較例について、以下の評価を行った。尚、特に記載のない限り、試験体の作製、養生、評価試験は23℃、50%RHの環境下にて行った。
<意匠性>
JIS A 5430規定のフレキシブルボード(150×210mm、厚さ10mm)の上に、シーラーとして水系アクリル樹脂シーラーJS-500(固形分:40質量%、アイカ工業株式会社製、商品名)を塗付量0.075kg/mで塗付して12時間養生した。乾燥後、水系塗材組成物を厚み0.5mmのステンレス製金鏝にて塗付量0.8kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が70~500mmの鏝波が連続して形成されるように塗付して乾燥させた。次に、同一の水系塗材組成物を、同ステンレス製金鏝にて塗付量0.8kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が1~10mmの鏝ビビリ波が連続して形成されるように塗付して乾燥させた。次に、砂壁状塗料組成物を、塗付量0.3kg/mでローラー刷毛を使用して配り塗りした後、同ステンレス製金鏝にて鏝ビビリ波の進行方向に対して略直角方向にシゴキ塗りして乾燥させた。次に、研磨材の粒度がP80の研磨紙にて塗材表面を研磨し、その後水系上塗り組成物Iを塗付量0.02kg/mで塗付し、塗材表面全体にスポンジローラーを転動させた後乾燥させた。さらに水系上塗り組成物IIを塗付量0.02kg/mで塗付し、塗材表面全体にスポンジローラーを転動させた後乾燥させた。最後にトップコート組成物を塗付量0.15kg/mで塗付して仕上げた。その塗膜表面の意匠が肉眼視で、あたかも金属が長い時間を経て、部分的に錆が発生した状態又は経年変化した金属で仕上げられた状態であるものを〇と、そうでないものを×と評価した。実施例1によって仕上げられた塗膜は、肉眼視において黒皮鉄調、実施例2は同緑青調、実施例3は同真鍮調、実施例4は同赤銅調となった。
<ゼロスパン引張伸び>
下地としてJIS A 5430規定のフレキシブルボード(100×100mm、厚さ10mm)を使用し、2枚の木口同士を突き付け、その裏面を養生テープで仮止めした。下地のオモテ面にシーラーとして溶剤型塩化ゴム系下塗り材JS-410(アイカ工業株式会社製、商品名)を塗付量0.2kg/mで塗付して、4時間以上乾燥させた後、水系塗材組成物を厚み0.5mmのステンレス製金鏝にて塗付量0.8kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が70~500mmの鏝波が連続して形成されるように塗付して乾燥させる。次に、同一の水系塗材組成物を、同ステンレス製金鏝にて塗付量0.8kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が1~10mmの鏝ビビリ波が連続して形成されるように塗付して乾燥させる。次に、砂壁状塗料組成物を、塗付量0.3kg/mでローラー刷毛を使用して配り塗りした後、同ステンレス製金鏝にて鏝ビビリ波の進行方向に対して略直角方向にシゴキ塗りして乾燥させる。次に、研磨材の粒度がP80の研磨紙にて塗材表面を研磨し、その後水系上塗り組成物Iを塗付量0.02kg/mで塗付し、塗材表面全体にスポンジローラーを転動させた後乾燥させた。さらに水系上塗り組成物IIを塗付量0.02kg/mで塗付し、塗材表面全体にスポンジローラーを転動させた後乾燥させた。最後にトップコート組成物を塗付量0.15kg/mで塗付して仕上げ、14日間養生して試験体とした。裏面の仮止めの養生テープをはがし、万能試験機(インストロン社製)にて試験体の両端を2mm/分で引張り、突きつけ部にピンホールが発生した距離が0.5mm以上のものを○と、0.5mm未満のものを×と評価した。
<生活物質に対する耐汚染性>
下地としてJISA 5430規定のフレキシブルボード(80mm×265mm、厚さ4mm)を使用し、シーラーとして溶剤型塩化ゴム系下塗り材(JS-410、アイカ工業株式会社製、商品名)を塗付量0.2kg/mで塗付し、4時間以上養生した。乾燥後、水系塗材組成物を厚み0.5mmのステンレス製金鏝にて塗付量0.8kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が70~500mmの鏝波が連続して形成されるように塗付して乾燥させた。次に、同一の水系塗材組成物を、同ステンレス製金鏝にて塗付量0.8kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が1~10mmの鏝ビビリ波が連続して形成されるように塗付して乾燥させた。次に、砂壁状塗料組成物を、塗付量0.3kg/mでローラー刷毛を使用して配り塗りした後、同ステンレス製金鏝にて鏝ビビリ波の進行方向に対して略直角方向にシゴキ塗りして乾燥させた。次に、研磨材の粒度がP80の研磨紙にて塗材表面を研磨し、その後水系上塗り組成物Iを塗付量0.02kg/mで塗付し、塗材表面全体にスポンジローラーを転動させた後乾燥させた。さらに水系上塗り組成物IIを塗付量0.02kg/mで塗付し、塗材表面全体にスポンジローラーを転動させた後乾燥させた。最後にトップコート組成物を塗付量0.15kg/mで塗付して仕上げ、14日間養生して試験体とした。各試験体の塗膜面にJISK 6902の耐汚染性試験に準拠し、各種の生活汚染物質を滴下し、滴下16時間後に該生活汚染物質をふき取り評価した。評価は以下の5段階で行い、1以外のものを良好と判断した。
5:乾いた綿布で拭けば汚染物質が除去でき塗膜に変化なし
4:水拭きで汚染物質が除去でき塗膜に変化なし
3:中性洗剤水で汚染物質が除去でき塗膜に変化なし
2:エタノールで汚染物質が除去でき塗膜に変化なし
1:汚染が著しく塗膜につや及び色の変化あり
<引っかき硬度>
上記のゼロスパン引張伸びを評価した際の試験体を使用し、JISK 5600-5-4 塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第4節:引っかき硬度(鉛筆法)に準拠し、塗膜に欠陥が生じない鉛筆硬度を引っかき硬度とした。人の爪の硬度に相当する2H以上であれば十分な引っかき硬度を有するものと評価した。
<塗膜表面平滑性>
上記の意匠性の評価で作成した塗板を水平な場所に置き、該塗板の異なる5箇所において、指触による凹凸の有無の確認、及び市販の紙コップ(約205cc)を置いた際にガタつかずに安定するかを確認した。凹凸が無く紙コップがガタつかずに安定なものを〇と、凹凸が有るか紙コップがガタつくものを×と評価した。
<評価結果>
評価結果を表4、5に示す。


Claims (1)

  1. 下地に必要によりシーラーを塗付して乾燥させ、
    この上に、アクリル樹脂系エマルジョンと、充填材と、骨材と、顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、を含み、充填材と骨材の重量比が充填材:骨材=1:2.8~15.0である水系塗材組成物を、
    厚み0.3~0.7mmのステンレスから成る金鏝にて、塗付量0.6~1.0kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が70~500mmの鏝波が連続して形成されるように塗付して乾燥させ、
    この上に前記水系塗材組成物を、前記金鏝にて塗付量0.6~1.0kg/m、且つ、塗膜断面視にて波間隔が1~10mmの鏝ビビリ波が連続して形成されるように塗付して乾燥させ、
    この上に、アクリル樹脂系エマルジョンと、充填材と、骨材と、顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、を含み、充填材と骨材の重量比が充填材:骨材=1:1.3~2.7であって上記水系塗材組成物と略同色の砂壁状塗料組成物を、
    ローラー刷毛にて塗付量0.2~0.4kg/mで配り塗りした後、厚み0.3~0.7mmのステンレスから成る金鏝又はヘラにて、前記鏝ビビリ波の進行方向に対して略直角方向にシゴキ塗りして乾燥させ、
    研磨材の粒度がP60~P150の研磨手段にて塗材表面を研磨し、
    この上に、アクリル樹脂系エマルジョンと、光輝顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、を含み、水系塗材組成物及び砂壁状塗料組成物の色調と異なる色調の水系上塗り組成物Iを、
    ローラーの表面が天然海綿から成るローラー刷毛にて、塗付量0.01~0.04kg/mで塗付し、塗材表面全体にスポンジローラーを転動させた後乾燥させ、
    この上に、該水系上塗り組成物Iに配合した光輝顔料と色調が異なる光輝顔料と、アクリル樹脂系エマルジョンと、増粘剤と、成膜助剤と、を含む水系上塗り組成物IIを、
    ローラーの表面が天然海綿から成るローラー刷毛にて、塗付量0.01~0.04kg/mで塗付し、塗材表面全体にスポンジローラーを転動させた後乾燥させ、
    この上に、樹脂のガラス転移温度が10~50℃のシリコーン・アクリル共重合体樹脂エマルジョンと、成膜助剤と、を含む主剤と、シランカップリング剤を含む硬化剤とから成るトップコート組成物を塗付して仕上げることを特徴とする塗材仕上げ工法。

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