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JP2025013863A - (メタ)アクリル樹脂、ビヒクル組成物、スラリー組成物及び電子部品 - Google Patents

(メタ)アクリル樹脂、ビヒクル組成物、スラリー組成物及び電子部品 Download PDF

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JP2025013863A
JP2025013863A JP2024181962A JP2024181962A JP2025013863A JP 2025013863 A JP2025013863 A JP 2025013863A JP 2024181962 A JP2024181962 A JP 2024181962A JP 2024181962 A JP2024181962 A JP 2024181962A JP 2025013863 A JP2025013863 A JP 2025013863A
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meth
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weight
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丈 大塚
健司 山内
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】スラリー組成物の優れた低温分解性と、セラミックグリーンシートの高い強度とを両立でき、更なる薄膜化が可能なセラミック積層体を製造することができる(メタ)アクリル樹脂を提供する。また、該(メタ)アクリル樹脂を含むビヒクル組成物、スラリー組成物及び電子部品を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位を有し、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、(メタ)アクリル酸エステルモノマーA及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーBを含み、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーAが有するエステル置換基の炭素数をXとしたとき、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーBが有するエステル置換基の炭素数が4Xである、(メタ)アクリル樹脂である。
【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル樹脂に関する。
積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極とが交互に複数積層された積層体と、積層体を挟持するように設けられた一対の外部電極とを備えた構造が知られている。外部電極は、上記積層体の表面上に外部電極用導電性ペーストを塗布し、焼結することによって形成されている。
近年、セラミック焼成にかかるエネルギー削減のためにバインダー樹脂を除去する脱脂工程を低温化することが求められている。また、セラミック部品を軽量化、高性能化する要求が高まっており、製造過程においてセラミックグリーンシートを薄膜化し、より多層化することが求められている。
このようなセラミック成形用バインダー樹脂として、特許文献1には、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチルセルロース樹脂等を用いることが記載されており、特に、シートの薄層化のためにポリビニルブチラール樹脂またはポリビニルアセタール樹脂を用いることが記載されている。
また、特許文献2には、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、水酸基を有するメタクリル酸エステルを所定の割合として共重合して得られるメタクリル酸エステル系共重合体が記載されている。また、このようなバインダー樹脂を用いることで良好な成形性や脱脂性を発揮できるとされている。
特開2011-84433号公報 特開平10-167836号公報
セラミックグリーンシートを薄膜化するためにはバインダー樹脂に充分な強度が必要となり、強度を高めるためには一般的には分子量を高める必要がある。しかしながら、分子量を高めた場合、無機粒子とバインダーとを分散させたスラリー組成物の粘度が高くなりすぎて無機粒子の分散性が悪化し、セラミックグリーンシートに異物が生じてしまい、強度低下の原因となる。特許文献1に記載されているようにポリビニルブチラール樹脂を用いることで薄膜化は可能なものの分解温度が高く低温で脱脂できないという問題がある。また、特許文献2に記載のようなメタクリル酸エステル系共重合体は低温で脱脂できるものの樹脂自体が脆く薄膜化できないという問題がある。このため、脱脂温度の低温化と薄膜化とを両立できるバインダー樹脂が求められている。
本発明は、スラリー組成物の優れた低温分解性と、セラミックグリーンシートの高い強度とを両立でき、更なる薄膜化が可能なセラミック積層体を製造することができる(メタ)アクリル樹脂を提供することを目的とする。また、該(メタ)アクリル樹脂を含むビヒクル組成物、スラリー組成物及び電子部品を提供することを目的とする。
本開示(1)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位を有し、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、(メタ)アクリル酸エステルモノマーA及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーBを含み、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーAが有するエステル置換基の炭素数をXとしたとき、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーBが有するエステル置換基の炭素数が4Xである、(メタ)アクリル樹脂である。
本開示(2)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーAに由来する構成単位の含有量に対する(メタ)アクリル酸エステルモノマーBに由来する構成単位の含有量の比(モノマーB/モノマーA)が3以上12以下である、本開示(1)の(メタ)アクリル樹脂である。
本開示(3)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーがメタクリル酸エステルモノマーである、本開示(1)又は(2)の(メタ)アクリル樹脂である。
本開示(4)は、酢酸ブチルに溶解させた樹脂溶液のTi値が1.5以上2.5以下である、本開示(1)~(3)の何れかとの任意の組み合わせの(メタ)アクリル樹脂である。
本開示(5)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、エステル置換基の炭素数が互いに同じである分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む、本開示(1)~(4)の何れかとの任意の組み合わせの(メタ)アクリル樹脂である。
本開示(6)は、エステル置換基の炭素数が互いに同じである直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量に対する分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量の比(分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー/直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(エステル置換基の炭素数が同じ))が0.5以上2.0以下である、本開示(5)の(メタ)アクリル樹脂である。
本開示(7)は、本開示(1)~(6)の何れかの(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤とを含有する、ビヒクル組成物である。
本開示(8)は、更に水を含有し、前記水の含有量が10重量ppm以上12000重量ppm以下である、本開示(7)のビヒクル組成物である。
本開示(9)は、本開示(7)のビヒクル組成物と無機粒子と分散剤とを含有する、スラリー組成物である。
本開示(10)は、本開示(8)のビヒクル組成物と無機粒子と分散剤とを含有する、スラリー組成物である。
本開示(11)は、本開示(9)のスラリー組成物を用いてなる、電子部品である。
本開示(12)は、本開示(10)のスラリー組成物を用いてなる、電子部品である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、(メタ)アクリル酸エステルモノマーAが有するエステル置換基の炭素数をXとしたとき、(メタ)アクリル酸エステルモノマーBが有するエステル置換基の炭素数が4Xとなる関係を満たす複数の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを組み合わせて用いることにより、優れた低温分解性を発揮し得るスラリー組成物が得られることを見出した。また、このような(メタ)アクリル樹脂を無機粒子分散用のバインダーとして用いた場合に高い強度のセラミックグリーンシートを得ることができ、更なる薄膜化が可能となることを見出した。また、このような(メタ)アクリル樹脂を用いることで優れた特性を有するセラミック積層体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位を有する。上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、(メタ)アクリル酸エステルモノマーA及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーBを含む。上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーAが有するエステル置換基の炭素数をXとしたとき、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーBが有するエステル置換基の炭素数が4Xである。
上記構成を有する(メタ)アクリル樹脂とすることで、焼結時の分解過程で6員環の炭素が形成されにくくなり焼結時の残渣を少なくすることができ、さらに低温分解性に優れたものとすることができる。また、(メタ)アクリル樹脂中の(メタ)アクリル酸エステルモノマーAに由来する部分はエステル置換基の分子鎖が短くファンデルワールス力が強く働き、(メタ)アクリル樹脂中の(メタ)アクリル酸エステルモノマーBに由来する部分はエステル置換基の分子鎖が長くファンデルワールス力が弱く働き、これらの2つの部分が混在することにより引張性能の良い成形品を得ることができる。
上記(メタ)アクリル樹脂は、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位を有する。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、イソラウリル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖状アルキル基又は分岐鎖状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリ(エチレングリコール・ポリテトラメチレングリコール)モノメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、プロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリ(エチレングリコール・ポリテトラメチレングリコール)モノメタクリレート、メトキシポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、メトキシプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノメタクリレート等のポリオキシアルキレン構造を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
更に、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の極性基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレートがより好ましい。
また、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、焼結時の残渣をより少なくし、低温分解性をより向上させることができることから、メタクリル酸エステルモノマーが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(以下「直鎖モノマー」ともいう)、分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(以下「分岐モノマー」ともいう)が好ましく、得られるセラミックグリーンシートの強度を向上させるという観点から、直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含むことが好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂における直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量に対する分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量の比(分岐モノマー/直鎖モノマー)は、得られるセラミックグリーンシートの強度を向上させるという観点から、0.5以上が好ましく、2.0以下が好ましく、0.6以上がより好ましく、1.6以下がより好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーのエステル置換基の炭素数は1~18が好ましく、1~14がより好ましく、1~12が更に好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、エステル置換基の炭素数が1~4である(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含むことが好ましい。
上記エステル置換基の炭素数が1~4である(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートがより好ましい。
上記エステル置換基の炭素数が1~4である(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、エステル置換基の炭素数1~3である(メタ)アクリル酸エステルモノマーがより好ましく、エステル置換基の炭素数1~2である(メタ)アクリル酸エステルモノマーが更に好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂における上記エステル置換基の炭素数が1~4である(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量は、20重量%以上が好ましく、100重量%以下が好ましく、30重量%以上がより好ましい。
また、上記エステル置換基の炭素数が1~4である(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、炭素数1~4の直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(以下「C1~4直鎖モノマー」ともいう)と炭素数3~4の分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(以下「C3~4分岐モノマー」ともいう)を組み合わせて用いてもよい。
上記(メタ)アクリル樹脂における炭素数1~4の直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量に対する炭素数3~4の分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量の比(C3~4分岐モノマー/C1~4直鎖モノマー)は、0以上が好ましく、12以下が好ましく、3以下がより好ましい。
また、上記(メタ)アクリル樹脂におけるエステル置換基の炭素数が1~3である(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量は、0重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましく、5重量%以上が更に好ましく、70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
更に、上記(メタ)アクリル樹脂におけるエステル置換基の炭素数が1~2である(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量は、0重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましく、5重量%以上が更に好ましく、70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、エステル置換基の炭素数が4~16である(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含むことが好ましい。
上記エステル置換基の炭素数が4~16である(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、イソラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレートが好ましく、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ラウリルメタクリレートがより好ましい。
上記エステル置換基の炭素数が4~16である(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、エステル置換基の炭素数4~12である(メタ)アクリル酸エステルモノマーがより好ましく、エステル置換基の炭素数4~8である(メタ)アクリル酸エステルモノマーが更に好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂における上記エステル置換基の炭素数が4~16である(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量は、30重量%以上が好ましく、100重量%以下が好ましく、50重量%以上がより好ましく、97重量%以下がより好ましく、95重量%以下が更に好ましい。
また、上記エステル置換基の炭素数が4~16である(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、炭素数4~16の直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(以下「C4~16直鎖モノマー」ともいう)と炭素数4~16の分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(以下「C4~16分岐モノマー」ともいう)を組み合わせて用いてもよい。
上記(メタ)アクリル樹脂における炭素数4~16の直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量に対する炭素数4~16の分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量の比(C4~16分岐モノマー/C4~16直鎖モノマー)は、0以上が好ましく、3.5以下が好ましく、0.2以上がより好ましく、2.5以下がより好ましい。
また、上記(メタ)アクリル樹脂におけるエステル置換基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量は、30重量%以上が好ましく、100重量%以下が好ましく、50重量%以上がより好ましく、97重量%以下がより好ましく、95重量%以下が更に好ましい。
更に、上記(メタ)アクリル樹脂におけるエステル置換基の炭素数が4~8である(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量は、25重量%以上が好ましく、95重量%以下が好ましく、50重量%以上がより好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、エステル置換基の炭素数が17以上である(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含んでいてもよいが、エステル置換基の炭素数が17以上である(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含まないことが好ましい。
また、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、エステル置換基の炭素数が13以上である(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含んでいてもよいが、エステル置換基の炭素数が13以上である(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含まないことがより好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。また、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、アルキル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(以下「他のモノマー」ともいう)を含んでいてもよいが、他のモノマーを含まないことがより好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、得られるセラミックグリーンシートの強度を向上させるという観点から、エステル置換基の炭素数が互いに同じである直鎖モノマーと分岐モノマーとを有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂におけるエステル置換基の炭素数が互いに同じ直鎖モノマーに由来する構成単位の含有量に対する分岐モノマーに由来する構成単位の含有量の比(分岐モノマー/直鎖モノマー(エステル置換基の炭素数が同じ))は、得られるセラミックグリーンシートの強度を向上させるという観点から、0.5以上が好ましく、2.0以下が好ましく、0.6以上がより好ましく、1.7以下がより好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、(メタ)アクリル酸エステルモノマーA(以下「モノマーA」ともいう)及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーB(以下「モノマーB」ともいう)を含む。上記モノマーAが有するエステル置換基の炭素数をXとしたとき、上記モノマーBが有するエステル置換基の炭素数が4Xである。
上記の構成を採用することで、優れた低温分解性を発揮できるとともに、高い強度のセラミックグリーンシートを得ることが可能となる。
上記モノマーAとしては、エステル置換基の炭素数が1~4である(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましく、エステル置換基の炭素数が1~3である(メタ)アクリル酸エステルモノマーがより好ましく、エステル置換基の炭素数が1~2である(メタ)アクリル酸エステルモノマーが更に好ましい。
また、上記モノマーAは、直鎖モノマーであってもよく、分岐モノマーであってもよく、直鎖モノマーであることが好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂における上記モノマーAに由来する構成単位の含有量は、2重量%以上が好ましく、70重量%以下が好ましく、3重量%以上がより好ましく、65重量%以下がより好ましい。
なお、上記モノマーAに該当する(メタ)アクリル酸エステルモノマーが2種以上ある場合、上記モノマーAに由来する構成単位の含有量は、上記モノマーAに該当する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計量を意味する。
上記モノマーBは、上記モノマーAが有するエステル置換基の炭素数をXとしたとき、上記モノマーBが有するエステル置換基の炭素数が4Xであることを満たしていれば、直鎖モノマーであってもよく、分岐モノマーであってもよく、直鎖モノマー及び分岐モノマーを含むものであってもよい。
上記(メタ)アクリル樹脂における上記モノマーBに由来する構成単位の含有量は、20重量%以上が好ましく、85重量%以下が好ましく、25重量%以上がより好ましく、80重量%以下がより好ましい。
なお、上記モノマーBに該当する(メタ)アクリル酸エステルモノマーが2種以上ある場合、上記モノマーBに由来する構成単位の含有量は、上記モノマーBに該当する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計量を意味する。
上記モノマーBが直鎖モノマー及び分岐モノマーを含む場合、上記モノマーBに由来する構成単位における直鎖モノマーに由来する構成単位の含有量に対する分岐モノマーに由来する構成単位の含有量の比(分岐モノマー/直鎖モノマー)は、0.5以上が好ましく、2.0以下が好ましく、0.6以上がより好ましく、1.7以下がより好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂における上記モノマーAに由来する構成単位の含有量に対する上記モノマーBに由来する構成単位の含有量の比(モノマーB/モノマーA)は、分解性を向上させるという観点から、3以上が好ましく、12以下が好ましく、4以上がより好ましく、7以下がより好ましい。
なお、上記モノマーA及びモノマーBにおいて、エステル置換基の炭素数Xが2種以上ある場合、上記比(モノマーB/モノマーA)は、Xが同一であるものにおける比(モノマーB/モノマーA)とXが同一であるものの合計含有量との積を合算し、これをXが同一であるもの毎のモノマーA及びBの合計含有量を合算したもので除して算出する。
例えば、上記(メタ)アクリル樹脂が、Xが1であるモノマーA及びモノマーBに由来する構成単位をそれぞれ5重量%、15重量%、Xが2であるモノマーA及びモノマーBに由来する構成単位をそれぞれ10重量%、70重量%含有する場合、上記比(モノマーB/モノマーA)は(15/5×20+70/10×80)/(20+80)=6.2となる。
上記(メタ)アクリル樹脂における、上記モノマーAに由来する構成単位および上記モノマーBに由来する構成単位とは異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量は、0重量%であってもよく、1重量%以上であることが好ましく、80重量%以下であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましく、70重量%以下であることがより好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂におけるアクリルモノマーに由来する構成単位の含有量は、少ないほど低温分解性を向上させるという利点があることから、5重量%以下であることが好ましく、1重量%以下がより好ましい。下限は特に限定されないが、例えば、0重量%以上である。上記アクリルモノマーに由来する構成単位の含有量は、0~5重量%が好ましく、0~1重量%がより好ましく、0重量%が更に好ましい。
なお、上記アクリルモノマーとは、アクリル酸及びアクリル酸エステルを意味する。
上記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3万以上が好ましく、500万以下が好ましい。重量平均分子量が3万以上であると、得られる樹脂シートの引張性能が高くなる。重量平均分子量が500万以下であると、得られる樹脂シート中に(メタ)アクリル樹脂の未溶解物が生じ難くなり、引張性能が高くなる。このことから、上記範囲とすることで、得られるセラミックグリーンシートの強度をより高めることができるため、より薄膜化されたグリーンシートを製造することができる。
上記重量平均分子量(Mw)は、20万以上がより好ましく、450万以下がより好ましく、30万以上が更に好ましく、400万以下が更に好ましく、100万以上が特に好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1以上であり、5.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.5以下が更に好ましい。上記範囲であると、ビヒクル組成物中に微細な未溶解物が生じにくくなり、セラミックグリーンシートの強度をより高めることができ、また、焼成後のセラミック積層体にボイドが発生することを防止することができる。
なお、上記重量平均分子量(Mw)、上記数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算による平均分子量であり、カラムとして例えばカラムLF-804(昭和電工社製)を用いてGPC測定を行うことで得ることができる。
上記(メタ)アクリル樹脂が粒子形状である場合、樹脂粒子の平均粒子径は、溶解性の観点から、0.1μm以上が好ましく、1.0μm以下が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.9μm以下がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましく、0.8μm以下が更に好ましい。
上記平均粒子径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置により体積平均粒子径を測定することで求めることができる。
上記(メタ)アクリル樹脂粒子の粒子径のCV値は15%以下が好ましく、12%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましく、8%以下が更により好ましい。
上記範囲とすることで(メタ)アクリル樹脂の溶解性をより向上できる。溶解性が向上すると生産性が上がり、未溶解樹脂が低減することで引張性能が向上する。
下限は特に限定されず、例えば、0%である。
上記CV値は走査型電子顕微鏡を用いて(メタ)アクリル樹脂粒子を観察し、100個の粒子の粒子径の平均値と標準偏差から計算することができる。上記CV値は、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩を用いると小さくなる傾向にある。
上記(メタ)アクリル樹脂は、酢酸ブチルに溶解させた樹脂溶液のTi値が1.5以上であることが好ましく、2.5以下であることが好ましい。上記範囲とすることで無機粒子の分散性が向上し、セラミックグリーンシートの強度を高めることができる。
上記Ti値は、1.6以上がより好ましく、2.2以下がより好ましい。
上記Ti値は、BH型粘度計を用い、25℃、2rpmの条件で測定した粘度(2rpm)と、25℃、20rpmの条件で測定した粘度(20rpm)との比(粘度(2rpm)/粘度(20rpm))を算出することで求めることができる。
また、樹脂溶液としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂15重量%の酢酸ブチル溶液を用いることができる。
上記Ti値は上記モノマーAに由来する構成単位の含有量と上記モノマーBに由来する構成単位の含有量の比を調整することで好ましい範囲とすることができる。
上記(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は30℃以上が好ましく、85℃以下が好ましく、32℃以上がより好ましく、80℃以下がより好ましく、42℃以上が更に好ましく、75℃以下が更に好ましい。
上記範囲とすることで、可塑剤の添加量を少なくすることができ、また、低温分解性をより向上させることができる。
なお、上記ガラス転移温度(Tg)は、例えば、示差走査熱量計(DSC)等を用いて測定することができる。
上記(メタ)アクリル樹脂は、30℃から5℃/分で加熱した場合の90重量%分解温度が280℃以下であることが好ましく、270℃以下であることがより好ましく、260℃以下であることが更に好ましい。下限は特に限定されず、30℃以上であり、低ければ低いほど好ましい。上記90重量%分解温度は、30~280℃が好ましく、30~270℃がより好ましく、30~260℃が更に好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂を製造する方法としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルモノマー等を含む原料モノマー混合物に有機溶剤等を加えてモノマー混合液を調整し、更に、得られたモノマー混合液に重合開始剤、連鎖移動剤を添加して、上記原料モノマーを共重合させる方法が挙げられる。
重合させる方法は特に限定されず、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、界面重合、溶液重合等が挙げられる。なかでも、乳化重合が好ましい。
上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸ペンチル、酪酸ヘキシル、イソプロパノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオール、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテート、テキサノール、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、フェニルプロピレングリコール、クレゾール等が挙げられる。なかでも、酢酸ブチル、テルピネオール、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テキサノールが好ましい。また、酢酸ブチル、テルピネオール、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテートがより好ましい。なお、これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記重合開始剤としては、例えば、t-ブチルパーオキシピバレート、P-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロキシパーオキサイド、t-ブチルハイドロキシパーオキサイド、過酸化シクロヘキサノン、ジコハク酸パーオキサイド等が挙げられる。また、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]スルファトハイドレイト、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等のイミダゾール系アゾ化合物の酸混合物、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の水溶性アゾ化合物、過硫酸カリウム(ペルオキソ二硫酸カリウム)、過硫酸アンモニウム(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)、過硫酸ナトリウム(ペルオキソ二硫酸ナトリウム)等のオキソ酸類、過酸化水素、過酢酸、過ギ酸、過プロピオン酸等の過酸化物等が挙げられる。
上記重合開始剤の添加量は、原料モノマー100重量部に対して、0.03重量部以上が好ましく、4.0重量部以下が好ましく、0.05重量部以上がより好ましく、3.6重量部以下がより好ましい。上記重合開始剤の添加量は、原料モノマー100重量部に対して、0.03~4.0重量部が好ましく、0.05~3.6重量部がより好ましい。
上記連鎖移動剤としては、例えば、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、3-メルカプト-1-プロパノール、3-メルカプト-2-ブタノール、8-メルカプト-1-オクタノール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、メルカプトコハク酸、メルカプト酢酸等が挙げられる。
上記連鎖移動剤の添加量は、原料モノマー100重量部に対して、0.01重量部以上が好ましく、0.02重量部以上がより好ましく、10.0重量部以下が好ましく、5.0重量部以下がより好ましい。上記連鎖移動剤の添加量は、原料モノマー100重量部に対して、0.01~10.0重量部が好ましく、0.02~5.0重量部がより好ましい。
重合させる際の温度は、50℃以上が好ましく、90℃以下が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以下がより好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂及び有機溶剤を含む溶剤を用いてビヒクル組成物を作製することができる。
上記(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤を含む溶剤とを含有するビヒクル組成物もまた本発明の1つである。
上記ビヒクル組成物における上記(メタ)アクリル樹脂の含有量は、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい。
上記ビヒクル組成物は有機溶剤を含む溶剤を含有する。
上記有機溶剤としては、例えば、脂肪族アルコール類、グリコール類、テルペンアルコール類、芳香族アルコール類等のアルコール類、芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン類、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
上記脂肪族アルコール類としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、トリデカノール、ラウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、2-エチル-1-ヘキサノール、オクタデシルアルコール、ヘキサデセノール、オレイルアルコール、テキサノール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
上記グリコール類としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、ブチルカルビトールアセテート、テキサノール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル等が挙げられる。
上記テルペンアルコール類としては、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等が挙げられる。
上記芳香族アルコール類としては、ベンジルアルコール等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素類としては、トルエン等が挙げられる。
上記エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸ドデシル、酢酸イソアミル、酪酸ブチル、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等が挙げられる。
上記ケトン類としては、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン等が挙げられる。
なかでも、エステル類が好ましく、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸ドデシルがより好ましく、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ヘキシルが更に好ましく、酢酸ブチルが更により好ましい。
上記ビヒクル組成物における上記有機溶剤の含有量は特に限定されないが、50重量%以上が好ましく、95重量%以下が好ましく、55重量%以上がより好ましく、88.8重量%以下がより好ましい。
上記ビヒクル組成物において、溶剤は更に水を含有することが好ましい。
上記ビヒクル組成物における上記水の含有量は、10重量ppm以上が好ましく、12000重量ppm以下が好ましい。
水を上記範囲で含むことにより、分散剤との馴染みがよくなり低温分解性がより向上する。
上記ビヒクル組成物における上記水の含有量は、300重量ppm以上がより好ましく、1000重量ppm以下がより好ましく、400重量ppm以上が更に好ましく、700重量ppm以下が更に好ましい。
上記ビヒクル組成物における上記溶剤の含有量は特に限定されないが、50重量%以上が好ましく、95重量%以下が好ましく、60重量%以上がより好ましく、90重量%以下がより好ましい。
上記ビヒクル組成物を製造する方法としては、例えば、上記方法により得られた(メタ)アクリル樹脂に有機溶剤、水等を添加して攪拌混合する方法が挙げられる。
上記ビヒクル組成物、無機粒子及び分散剤を用いてスラリー組成物を作製することができる。
上記ビヒクル組成物と無機粒子と分散剤とを含有するスラリー組成物もまた本発明の1つである。
上記スラリー組成物における上記(メタ)アクリル樹脂の含有量は、3重量%以上が好ましく、10重量%以下が好ましく、5重量%以上がより好ましく、8重量%以下がより好ましい。
上記スラリー組成物における上記有機溶剤の含有量は、25重量%以上が好ましく、70重量%以下が好ましく、30重量%以上がより好ましく、60重量%以下がより好ましい。
上記スラリー組成物における水の含有量は、5重量ppm以上が好ましく、15000重量ppm以下が好ましく、10重量ppm以上がより好ましく、12000重量ppm以下がより好ましく、50重量ppm以上が更に好ましく、10000重量ppm以下が更に好ましく、7500重量ppm以下が更により好ましい。
上記スラリー組成物における上記溶剤の含有量は、25重量%以上が好ましく、70重量%以下が好ましく、30重量%以上がより好ましく、60重量%以下がより好ましい。
上記スラリー組成物は無機粒子を含有する。
上記無機粒子は特に限定されず、例えば、ガラス粉末、セラミック粉末、蛍光体粒子、珪素酸化物等、金属粒子等が挙げられる。
上記ガラス粉末は特に限定されず、例えば、酸化ビスマスガラス、ケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、亜鉛ガラス、ボロンガラス等のガラス粉末や、CaO-Al-SiO系、MgO-Al-SiO系、LiO-Al-SiO系等の各種ケイ素酸化物のガラス粉末等が挙げられる。
また、上記ガラス粉末として、SnO-B-P-Al混合物、PbO-B-SiO混合物、BaO-ZnO-B-SiO混合物、ZnO-Bi-B-SiO混合物、Bi-B-BaO-CuO混合物、Bi-ZnO-B-Al-SrO混合物、ZnO-Bi-B混合物、Bi-SiO混合物、P-NaO-CaO-BaO-Al-B混合物、P-SnO混合物、P-SnO-B混合物、P-SnO-SiO混合物、CuO-P-RO混合物、SiO-B-ZnO-NaO-LiO-NaF-V混合物、P-ZnO-SnO-RO-RO混合物、B-SiO-ZnO混合物、B-SiO-Al-ZrO混合物、SiO-B-ZnO-RO-RO混合物、SiO-B-Al-RO-RO混合物、SrO-ZnO-P混合物、SrO-ZnO-P混合物、BaO-ZnO-B-SiO混合物等のガラス粉末も用いることができる。なお、Rは、Zn、Ba、Ca、Mg、Sr、Sn、Ni、Fe及びMnからなる群より選択される元素である。
特に、PbO-B-SiO混合物のガラス粉末や、鉛を含有しないBaO-ZnO-B-SiO混合物又はZnO-Bi-B-SiO混合物等の無鉛ガラス粉末が好ましい。
上記セラミック粉末は特に限定されず、例えば、アルミナ、フェライト、ジルコニア、ジルコン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸亜鉛、チタン酸ランタン、チタン酸ネオジウム、チタン酸ジルコン鉛、窒化アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素、錫酸バリウム、錫酸カルシウム、珪酸マグネシウム、ムライト、ステアタイト、コーディエライト、フォルステライト等が挙げられる。
また、ITO、FTO、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化タングステン、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムコバルトフェライト、イットリウム安定化ジルコニア、ガドリニウムドープセリア、酸化ニッケル、ランタンクロマイト等も使用することができる。
上記蛍光体粒子は特に限定されず、例えば、蛍光体物質としては、ディスプレイ用の蛍光体物質として従来知られている青色蛍光体物質、赤色蛍光体物質、緑色蛍光体物質などが用いられる。青色蛍光体物質としては、例えば、MgAl1017:Eu系、YSiO:Ce系、CaWO:Pb系、BaMgAl1423:Eu系、BaMgAl1627:Eu系、BaMgAl1423:Eu系、BaMgAl1427:Eu系、ZnS:(Ag,Cd)系のものが用いられる。赤色蛍光体物質としては、例えば、Y:Eu系、YSiO:Eu系、YAl12:Eu系、Zn(PO:Mn系、YBO:Eu系、(Y,Gd)BO:Eu系、GdBO:Eu系、ScBO:Eu系、LuBO:Eu系のものが用いられる。緑色蛍光体物質としては、例えば、ZnSiO:Mn系、BaAl1219:Mn系、SrAl1319:Mn系、CaAl1219:Mn系、YBO:Tb系、BaMgAl1423:Mn系、LuBO:Tb系、GdBO:Tb系、ScBO:Tb系、Sr6SiCl:Eu系のものが用いられる。その他、ZnO:Zn系、ZnS:(Cu,Al)系、ZnS:Ag系、YS:Eu系、ZnS:Zn系、(Y,Cd)BO:Eu系、BaMgAl1223:Eu系のものも用いることができる。
上記金属粒子は特に限定されず、例えば、鉄、銅、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、アルミニウム、タングステンやこれらの合金等からなる粉末等が挙げられる。
また、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等との吸着特性が良好で酸化されやすい銅や鉄等の金属も好適に用いることができる。これらの金属粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記金属粒子は、金属錯体のほか、種々のカーボンブラック、カーボンナノチューブ等を使用してもよい。
上記無機粒子は、リチウム又はチタンを含有することが好ましい。具体的には例えば、LiO・Al・SiO系無機ガラス等の低融点ガラス、LiS-M(M=B、Si、Ge、P)等のリチウム硫黄系ガラス、LiCeO等のリチウムコバルト複合酸化物、LiMnO等のリチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムバナジウム複合酸化物、リチウムジルコニウム複合酸化物、リチウムハフニウム複合酸化物、ケイリン酸リチウム(Li3.5Si0.50.5)、リン酸チタンリチウム(LiTi(PO)、チタン酸リチウム(LiTi12)、Li4/3Ti5/3、LiCoO、リン酸ゲルマニウムリチウム(LiGe(PO)、Li-SiS系ガラス、LiGeS-LiPS系ガラス、LiSiO、LiMn、LiS-P系ガラス・セラミクス、LiO-SiO、LiO-V-SiO、LiS-SiS-LiSiO系ガラス、LiPON等のイオン導電性酸化物、LiO-P-B、LiO-GeOBa等の酸化リチウム化合物、LiAlTi(PO系ガラス、LaLiTiO系ガラス、LiGe系ガラス、LiLaZr12系ガラス、LiSiCl系ガラス、LiNbO等のリチウムニオブ酸化物、Li-β-アルミナ等のリチウムアルミナ化合物、Li14Zn(GeO等のリチウム亜鉛酸化物等が挙げられる。
上記無機粒子の平均粒子径は、0.01μm以上が好ましく、5μm以下が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、3μm以下がより好ましく、0.1μm以上が更に好ましく、1μm以下が更に好ましい。上記無機粒子の平均粒子径は、0.01~5μmが好ましく、0.05~3μmがより好ましく、0.1~1μmが更に好ましい。
上記平均粒子径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置により体積平均粒子径を測定することで求めることができる。
上記スラリー組成物における上記無機粒子の含有量は、20重量%以上が好ましく、90重量%以下が好ましい。上記範囲であると、充分な粘度を有し、優れた塗工性を有するものとでき、更に、無機粒子の分散性に優れるものとできる。
上記無機粒子の含有量は、25重量%以上がより好ましく、70重量%以下がより好ましく、30重量%以上が更に好ましく、60重量%以下が更に好ましく、40重量%以上が更により好ましく、55重量%以下が更により好ましい。
上記スラリー組成物は分散剤を含有する。
上記分散剤としては、例えば、脂肪酸、脂肪族アミン、アルカノールアミド、リン酸エステルが好適である。また、シランカップリング剤等を配合してもよい。
上記脂肪酸としては特に限定されず、例えば、ベヘニン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、ヤシ脂肪酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、牛脂脂肪酸、ヒマシ硬化脂肪酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。なかでも、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が好適である。
上記脂肪族アミンとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アルキル(ヤシ)アミン、アルキル(硬化牛脂)アミン、アルキル(牛脂)アミン、アルキル(大豆)アミン等が挙げられる。
上記アルカノールアミドとしては特に限定されず、例えば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、牛脂脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
上記リン酸エステルとしては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステルが挙げられる。
上記スラリー組成物における上記分散剤の含有量は、0.1重量%以上が好ましく、1.5重量%以下が好ましく、0.15重量%以上がより好ましく、1.0重量%以下がより好ましい。
上記スラリー組成物は、更に、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含んでいてもよい。
上記可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジ(ブトキシエチル)、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル、トリエチレングリコールジブチル、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールジヘキサノエート、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸ジエチル、アセチルクエン酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン、アセチルオキシマロン酸ジエチル、エトキシマロン酸ジエチル等が挙げられる。
上記界面活性剤は特に限定されず、例えば、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤が挙げられる。
上記ノニオン系界面活性剤としては特に限定されないが、HLB値が10以上20以下のノニオン系界面活性剤であることが好ましい。ここで、HLB値とは、界面活性剤の親水性、親油性を表す指標として用いられるものであって、計算方法がいくつか提案されており、例えば、エステル系の界面活性剤について、鹸化価をS、界面活性剤を構成する脂肪酸の酸価をAとし、HLB値を20(1-S/A)等の定義がある。具体的には、脂肪鎖にアルキレンエーテルを付加させたポリエチレンオキサイドを有するノニオン系界面活性剤が好適であり、具体的には例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等が好適に用いられる。なお、上記ノニオン系界面活性剤は、熱分解性がよいが、大量に添加すると無機粒子分散スラリー組成物の熱分解性が低下することがあるため、含有量の好ましい上限は5重量%である。
上記スラリー組成物の粘度は特に限定されないが、25℃においてB型粘度計を用い測定した場合の粘度が200mPa・s以上であることが好ましく、500mPa・s以上であることがより好ましく、100000mPa・s以下であることが好ましく、50000mPa・s以下であることがより好ましい。上記粘度は、200~100000mPa・sが好ましく、500~50000mPa・sがより好ましい。
上記範囲とすることで、ダイコート印刷法等により塗工した後、得られる無機粒子分散シートが所定の形状を維持することが可能となる。また、ダイの塗出痕が消えない等の不具合を防止して、印刷性に優れるものとできる。
上記スラリー組成物を作製する方法は特に限定されず、従来公知の攪拌方法が挙げられ、具体的には、例えば、上記ビヒクル組成物、上記無機粒子、上記分散剤及び必要に応じて添加される追加の溶剤、可塑剤等の他の成分を3本ロール等で攪拌する方法等が挙げられる。上記スラリー組成物の構成成分の添加順序は適宜設定することができる。
上記スラリー組成物を用いることで電子部品を作製することができる。
上記スラリー組成物を用いてなる電子部品もまた本発明の1つである。
上記電子部品としては、ダイアタッチペースト(ACP)、ダイアタッチフィルム(ACF)、TSV・TGV用ビア電極、タッチパネル、RFIDやセンサー基板の各種回路、各種ダイボンディング剤、MEMSデバイスの封止剤、太陽電池、積層セラミックコンデンサ、LTCC、シリコンコンデンサ、全固体電池等の電極材料等が挙げられる。また、上記電極回路用途以外に、抗菌部材や電磁波シールド、触媒、蛍光材料等にも用いることができる。
例えば、上記スラリー組成物を、片面離型処理を施した支持フィルム上に塗工し、有機溶剤を乾燥させ、成形することで、無機粒子分散成形物を製造することができる。
上記無機粒子分散成形物の形状は特に限定されないが、例えば、シート等の形状とすることができる。
上記無機粒子分散成形物の製造方法としては、例えば、上記スラリー組成物をロールコーター、ダイコーター、スクイズコーター、カーテンコーター等の塗工方式によって支持フィルム上に均一に塗膜を形成する方法等が挙げられる。
例えば、上記無機粒子分散成形物がシート状である場合、上記無機粒子分散成形物を製造する際に用いる支持フィルムは、耐熱性及び耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコーター、ブレードコーターなどによって支持フィルムの表面に無機粒子分散スラリー組成物を塗布することができ、得られる無機粒子分散シート形成フィルムをロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。
上記支持フィルムを形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレン等の含フッ素樹脂、ナイロン、セルロース等が挙げられる。
上記支持フィルムの厚みは、例えば、10~100μmが好ましい。
また、支持フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましく、これにより、転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
上記スラリー組成物を塗工乾燥することで無機粒子分散成形物を製造することができる。
また、上記スラリー組成物、無機粒子分散成形物を、外部電極用導電性ペーストに用いることで電子部品である積層セラミックコンデンサを製造することができる。
上記積層セラミックコンデンサを製造する方法としては、上記無機粒子分散成形物に導電性ペーストを印刷、乾燥して、誘電体シートを作製する工程、及び、前記誘電体シートを積層する工程を有する製造方法が挙げられる。
上記導電性ペーストは、導電粉末を含有するものである。
上記導電粉末の材質は、導電性を有する材質であれば特に限定されず、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、銅、モリブデン、錫及びこれらの合金等が挙げられる。これらの導電粉末は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記導電性ペーストを印刷する方法は特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、ダイコート印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。
上記積層セラミックコンデンサの製造方法では、上記導電性ペーストを印刷した誘電体シートを積層することで、生のセラミック積層体を作製し、その後、温度300~1500℃の還元雰囲気下で焼成処理を施し、これにより多数の部品素体が得られる。
次に、これら各部品素体の両端面に上記(メタ)アクリル樹脂を含む外部電極用導電性ペーストを浸漬法により塗布し、次いで、これを100~200℃で乾燥した後、還元雰囲気下、300~800℃で焼成処理を行い、部品素体の両端部に外部電極を形成する。
次に、外部電極に電解めっきを施し、外部電極上にCu皮膜、Ni皮膜、及びSn皮膜を順次形成し、これにより積層セラミックコンデンサが得られる。
本発明によれば、スラリー組成物の優れた低温分解性と、セラミックグリーンシートの高い強度とを両立でき、更なる薄膜化が可能なセラミック積層体を製造することができる(メタ)アクリル樹脂を提供できる。また、該(メタ)アクリル樹脂を含むビヒクル組成物、スラリー組成物及び電子部品を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1~19、比較例1~9)
((メタ)アクリル樹脂粒子の作製)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコを用意し、2Lセパラブルフラスコに、表1に示す配合となるようにモノマー合計100重量部を投入した。更に、水900重量部を混合し、モノマー混合液を得た。
なお、モノマーとしては、以下のものを用いた。
MMA:メチルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:1)
EMA:エチルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:2)
nPMA:n-プロピルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:3)
nBMA:n-ブチルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:4)
iBMA:イソブチルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:4)
OMA:n-オクチルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:8)
2EHMA:2-エチルヘキシルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:8)
LMA:n-ラウリルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:12)
MA:メチルアクリレート(エステル置換基の炭素数:1)
BA:ブチルアクリレート(エステル置換基の炭素数:4)
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯浴が80℃になるまで昇温した。その後、連鎖移動剤及び重合開始剤を表1に示す添加量となるように加えて重合を開始した。
重合開始から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。その後100℃のオーブンで得られた樹脂溶液を乾燥させ水を取り除いた。これにより、(メタ)アクリル樹脂粒子を得た。
なお、連鎖移動剤及び重合開始剤としては、以下のものを用いた。
<連鎖移動剤>
CT-1:3-メルカプト-1,2-プロパンジオール
<重合開始剤>
KPS:過硫酸カリウム(富士フイルム和光純薬社製)
(無機粒子分散用ビヒクル組成物の作製)
得られた(メタ)アクリル樹脂粒子10重量部に表2に示す配合の溶剤90重量部を加え、均一になるまで攪拌し、無機粒子分散用ビヒクル組成物を得た。
(無機粒子分散スラリー組成物の作製)
得られた無機粒子分散用ビヒクル組成物に対して、表2に示す配合となるように溶剤、分散剤、無機粒子を加え、高速撹拌機で混錬して、無機粒子分散スラリー組成物を得た。
溶剤は、無機粒子分散用ビヒクル組成物の作製に用いた溶剤をそのままの比率で用いた。
なお、分散剤、無機粒子としては、以下のものを用いた。
<分散剤>
ノプコスパース092(三洋化成工業社製)
<無機粒子>
チタン酸バリウム(BT-02、堺化学工業社製、平均粒子径0.2μm)
<評価>
実施例及び比較例で得られた(メタ)アクリル樹脂粒子、無機粒子分散スラリー組成物について以下の評価を行った。結果を表1及び3に示した。
(1)Ti値
得られた(メタ)アクリル樹脂粒子15重量部に酢酸ブチル85重量部を加え、攪拌しながら80℃に昇温し、80℃で12時間攪拌したまま保温し、その後、冷却して樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液について、25℃、2rpmの条件下にてBH型粘度計にてローターNo.5を用いて粘度を測定した。また、25℃、20rpmの条件下にて同様にして粘度を測定し、以下の式に基づいてTi値を算出した。
Ti値=粘度(2rpm)/粘度(20rpm)
(2)粒子径の平均値D及び粒子径のCV値
得られた(メタ)アクリル樹脂粒子を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「Regulus8220」)を用いて観察し、100個の粒子の粒子径を測定し、粒子径の平均値D[μm]と粒子径の標準偏差σから下記の式を用いてCV値を計算した。
粒子径のCV値[%] = σ/D×100
(3)重量平均分子量(Mw)
得られた(メタ)アクリル樹脂粒子について、カラムとしてLF-804(SHOKO社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)を測定した。
(4)低温分解性(TGDTA)
得られた無機粒子分散スラリー組成物をTGDTAのプラチナパンに詰め、30℃から5℃/minにて窒素雰囲気下で昇温し、溶媒を蒸発、樹脂、分散剤を熱分解させた。その後、90重量%脱脂が終了した(重量が40.4重量%を示した)時間(分)を測定した。
(5)焼結残渣(TGDTA)
得られた(メタ)アクリル樹脂粒子をTGDTAのプラチナパンに詰め、30℃から5℃/minにて窒素雰囲気下で350℃まで昇温し、2時間保持させ(メタ)アクリル樹脂粒子を熱分解させた。測定前の重量に対する測定後の重量の比率を焼結残渣として測定した。
(6)分散性
(6-1)濾過性
得られた無機粒子分散スラリー組成物を2.5mlのシリンジに2ml取り、シリンジの先端に外径0.81mm内径0.51mm長さ38mmの注射針を付け、5kgfの力をかけたときに、スラリー組成物が注射針の先からすべて出るまでの時間を測定した。
スラリー組成物が注射針の先からすべて出るまでの時間が短いと濾過性に優れているといえ、濾過性に優れる場合、無機粒子の凝集抑制効果が高く、分散性に優れるといえる。
(6-2)表面粗さ
スクリーン印刷機とスクリーン版、印刷ガラス基板を用いて、温度23℃、湿度50%の環境下にて無機粒子分散スラリー組成物の印刷を行い、100℃30分の条件下で送風オーブンにて溶剤乾燥を行った。得られた印刷パターンを用いて、表面粗さ計(サーフコム、東京精密社製)にて10か所測定した。
なお、スクリーン印刷機、スクリーン版、印刷ガラス基板として以下のものを用いた。
スクリーン印刷機(MT-320TV、マイクロテック社製)
スクリーン版(東京プロセスサービス社製、ST500、乳剤2μm、2012パターン、スクリーン枠320mm×320mm)
印刷ガラス基板(ソーダーガラス、150mm×150mm、厚み1.5mm)
表面粗さが小さいと、無機粒子の分散性に優れているといえる。
(7)パーティクル
得られた(メタ)アクリル樹脂粒子を、樹脂量が2重量%になるようにエタノールとトルエンとの混合溶剤(重量比1:1)にて希釈し、この溶液10mL中のポリビニルアセタール樹脂の粒子径分布を、パーティクルカウンター(「KL-11A」、リオン社製)を用いて測定した。溶液1mL当たりの粒子径0.5~1.0μm以上の粒子の個数を確認した。また、粒子径0.5~1.0μmの粒子について、粒子径0.75μmの真球と仮定して粒子の体積を算出し、得られた測定結果に基づいて粒子径0.5~1.0μmの粒子の割合(10-8体積%)を算出した。パーティクルが少ないと、セラミック積層体中のボイドが少なくなるため、優れているといえる。
(8)引張試験
得られた(メタ)アクリル樹脂粒子を酢酸ブチルに溶解して得られた樹脂溶液を離型処理したPETフィルムにアプリケーターを用いて塗工し、100℃送風オーブンで10分間乾燥させることで、厚み20μmの樹脂シートを作製した。方眼紙をカバーフィルムとして用い、はさみで幅1cmの短冊状の試験片を作製した。
得られた試験片について、23℃、50RH条件下でオートグラフAG-IS(島津製作所社製)を用いてチャック間距離3cm、引張速度10mm/minにて引張試験を行い、応力-ひずみ特性(降伏応力、破断伸度、引張性能(降伏応力×破断伸度))を確認した。
なお、樹脂シートの強度が高ければ、得られるセラミックグリーンシートの強度も高いと予測できる。
(9)薄膜化試験
得られた無機粒子分散スラリー組成物を離型処理したPETフィルムにアプリケーターを用いて塗工し、100℃送風オーブンで10分間乾燥させることで、乾燥後の厚みが1.0μm、2.0μm、3.0μm、4.0μm、5.0μm、6.0μm、7.0μm、8.0μm、9.0μm、10.0μmとなるようにグリーンシートを作製した。PETフィルムからグリーンシートを剥がした際に破れがないか確認し、破れのなかったもののうち厚みが最小値であるものを評価結果とした。
Figure 2025013863000001
Figure 2025013863000002
Figure 2025013863000003
本発明によれば、スラリー組成物の優れた低温分解性と、セラミックグリーンシートの高い強度とを両立でき、更なる薄膜化が可能なセラミック積層体を製造することができる(メタ)アクリル樹脂を提供できる。また、該(メタ)アクリル樹脂を含むビヒクル組成物、スラリー組成物及び電子部品を提供できる。

(実施例9~17、参考例1~8、18、19、比較例1~9)
((メタ)アクリル樹脂粒子の作製)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコを用意し、2Lセパラブルフラスコに、表1に示す配合となるようにモノマー合計100重量部を投入した。更に、水900重量部を混合し、モノマー混合液を得た。
なお、モノマーとしては、以下のものを用いた。
MMA:メチルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:1)
EMA:エチルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:2)
nPMA:n-プロピルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:3)
nBMA:n-ブチルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:4)
iBMA:イソブチルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:4)
OMA:n-オクチルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:8)
2EHMA:2-エチルヘキシルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:8)
LMA:n-ラウリルメタクリレート(エステル置換基の炭素数:12)
MA:メチルアクリレート(エステル置換基の炭素数:1)
BA:ブチルアクリレート(エステル置換基の炭素数:4)
<評価>
実施例、参考例及び比較例で得られた(メタ)アクリル樹脂粒子、無機粒子分散スラリー組成物について以下の評価を行った。結果を表1及び3に示した。

Claims (12)

  1. (メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位を有し、
    前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、(メタ)アクリル酸エステルモノマーA及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーBを含み、
    前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーAが有するエステル置換基の炭素数をXとしたとき、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーBが有するエステル置換基の炭素数が4Xである、(メタ)アクリル樹脂。
  2. (メタ)アクリル酸エステルモノマーAに由来する構成単位の含有量に対する(メタ)アクリル酸エステルモノマーBに由来する構成単位の含有量の比(モノマーB/モノマーA)が3以上12以下である、請求項1に記載の(メタ)アクリル樹脂。
  3. (メタ)アクリル酸エステルモノマーがメタクリル酸エステルモノマーである、請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル樹脂。
  4. 酢酸ブチルに溶解させた樹脂溶液のTi値が1.5以上2.5以下である、請求項1、2又は3に記載の(メタ)アクリル樹脂。
  5. (メタ)アクリル酸エステルモノマーが、エステル置換基の炭素数が互いに同じである分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む、請求項1、2、3又は4に記載の(メタ)アクリル樹脂。
  6. エステル置換基の炭素数が互いに同じである直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量に対する分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位の含有量の比(分岐鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー/直鎖エステル置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(エステル置換基の炭素数が同じ))が0.5以上2.0以下である、請求項5に記載の(メタ)アクリル樹脂。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6に記載の(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤とを含有する、ビヒクル組成物。
  8. 更に水を含有し、前記水の含有量が10重量ppm以上12000重量ppm以下である、請求項7に記載のビヒクル組成物。
  9. 請求項7に記載のビヒクル組成物と無機粒子と分散剤とを含有する、スラリー組成物。
  10. 請求項8に記載のビヒクル組成物と無機粒子と分散剤とを含有する、スラリー組成物。
  11. 請求項9に記載のスラリー組成物を用いてなる、電子部品。
  12. 請求項10に記載のスラリー組成物を用いてなる、電子部品。

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