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JP2025006770A - 光源装置及びクリーニング方法 - Google Patents

光源装置及びクリーニング方法 Download PDF

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JP2025006770A JP2023107755A JP2023107755A JP2025006770A JP 2025006770 A JP2025006770 A JP 2025006770A JP 2023107755 A JP2023107755 A JP 2023107755A JP 2023107755 A JP2023107755 A JP 2023107755A JP 2025006770 A JP2025006770 A JP 2025006770A
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Akihisa Nagano
和彦 信田
Kazuhiko Shinoda
芙貴 佐藤
Fuki Sato
則孝 芦澤
Noritaka Ashizawa
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Ushio Inc
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Ushio Denki KK
Ushio Inc
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Abstract

Figure 2025006770000001
【課題】放射光の導入側の圧力の変化による光源側の圧力の変化を抑制することが可能な光源装置及びクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一形態に係る光源装置は、第1の真空チャンバと、光源部と、デブリ低減装置とを具備する。前記光源部は、前記第1の真空チャンバ内で光源となるプラズマを発生させる。前記デブリ低減装置は、前記プラズマから放散されるデブリを低減するデブリ低減装置であって、前記第1の真空チャンバと前記プラズマから放射される放射光が導入される第2の真空チャンバとをつなぎ前記放射光を通過させる真空路を形成し、前記真空路を遮るように前記第1の真空チャンバの圧力及び前記第2の真空チャンバの圧力よりも圧力が高くなる高圧力領域を発生させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、プラズマを光源に用いた光源装置及びクリーニング方法に関する。
従来、プラズマを光源として放射光を発生させる光源装置が開発されている。例えばプラズマ原料の種類やプラズマを発生させるための励起エネルギーを適宜選択することで、X線領域の放射光が得られる。このような放射光のうち、例えば波長の短いX線は、X線写真撮影、非破壊検査、X線解析、X線分光等の様々な用途に使用される。また、近年では、軟X線領域にある波長13.5nmの極端紫外光(以下、「EUV(Extreme Ultra Violet)光」ともいう)が、露光光や検査光として使用されている。
一般にEUV光源装置としては、DPP(Discharge Produced Plasma)光源装置、LDP(Laser Assisted Discharge Produced Plasma)光源装置、及びLPP(Laser Produced Plasma)光源装置が挙げられる。
DPP光源装置は、EUV放射種を含む気体状のプラズマ原料(放電ガス)が供給された電極間に高電圧を印加して、放電により高密度高温プラズマを生成し、そこから放射される極端紫外光を利用するものである。
LDP光源装置は、DPP光源装置が改良されたものであり、例えば、放電を発生させる電極(放電電極)表面にEUV放射種を含む液体状の高温プラズマ原料(例えば、Sn(スズ)やLi(リチウム)等)を供給し、当該原料に対してエネルギービーム(例えば、電子ビームやレーザビーム等)を照射して当該原料を気化し、その後、放電によって高温プラズマを生成するものである。
LPP光源装置は、EUV放射種をレーザビーム等により励起して高温プラズマを生成するものである。この方式の光源装置としては、EUV放射用ターゲット材料である微小な液滴状に噴出されたスズ(Sn)、または、リチウム(Li)等のドロップレットに対して、レーザ光を集光することにより当該ターゲット材料を励起してプラズマを発生させるものが知られている。また、LPP方式の光源装置として、回転体の表面にEUV放射種を含む液体状の高温プラズマ原料を供給し、回転体の表面にエネルギービーム(レーザビーム)を照射してプラズマを発生さる装置も知られている。
なお、これらの光源装置で生成されるプラズマからは、デブリが高速で放散される。このデブリには、高温プラズマ原料の粒子や、プラズマの発生に伴いスパッタリングされる放電電極の材料粒子等が含まれる。このようなデブリがEUV光等の放射光を利用する利用装置に到達すると、利用装置内に設けられた反射膜等の光学素子を損傷することや汚染することが考えられる。このため、光源装置には、プラズマから放散されるデブリが利用装置に侵入しないように、プラズマと利用装置との間でデブリを捕捉するデブリ低減装置(DMT(Debris Mitigation Tool)とも言う)が設けられる。
このように、プラズマを光源として放射光を発生させる光源装置では、プラズマを発生させる光源側の空間の圧力を維持することが重要となる。例えば特許文献1には、アパーチャ部材を用いて光源側の圧力を維持するDPP方式の光源装置が記載されている。この光源装置では、放電によりプラズマを発生する放電空間とEUV光集光部が設けられる集光空間との間にアパーチャ部材が設けられる。またアパーチャ部材の下流側には、プラズマからのデブリを低減するためのガスカーテンが形成される。このような構成により、集光空間と放電空間との間で圧力差を維持し、効率よくデブリを低減することが可能となっている(特許文献1の明細書段落[0027]、[0033]図1等)。
ところで、放射光が導入される導入側の空間の圧力については、圧力の変更が求められる場合がある。例えば特許文献2には、極端紫外線等を照射する照射装置において、光線が照射される光学要素をクリーニングする方法が記載されている。この方法では、照射装置の稼働中に、水素やハロゲンを含む反応相手を光学要素の近傍に供給し、光線によりラジカルとなった反応相手を利用して光学要素に付着したデブリ等がクリーニングされる(特許文献1の明細書段落[0114]-[0116]図1等)。この方法では、反応相手を供給する場合や供給を停止した場合に、光学要素が設けられた空間の圧力が変化することが考えられる。この他にも、装置のメンテナンスや条件の変更等に応じて放射光の導入側の圧力が変えられる場合があり得る。
特開2007-179881号公報 特表2006-529057号公報
このように、放射光が導入される導入側の圧力を変更すると、それに伴い、光源側の圧力が変化する可能性がある。この場合、光源側でのプラズマの発生条件等が崩れ、放射光の発光が不安定になるおそれがある。このため、放射光の導入側の圧力の変化による光源側の圧力の変化を抑制する技術が求められている。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、放射光の導入側の圧力の変化による光源側の圧力の変化を抑制することが可能な光源装置及びクリーニング方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る光源装置は、第1の真空チャンバと、光源部と、デブリ低減装置とを具備する。
前記光源部は、前記第1の真空チャンバ内で光源となるプラズマを発生させる。
前記デブリ低減装置は、前記プラズマから放散されるデブリを低減するデブリ低減装置であって、前記第1の真空チャンバと前記プラズマから放射される放射光が導入される第2の真空チャンバとをつなぎ前記放射光を通過させる真空路を形成し、前記真空路を遮るように前記第1の真空チャンバの圧力及び前記第2の真空チャンバの圧力よりも圧力が高くなる高圧力領域を発生させる。
この光源装置では、デブリ低減装置により、プラズマを発生させる第1の真空チャンバと、プラズマからの放射光が導入される第2の真空チャンバとをつなぐ真空路が形成される。さらに真空路を遮るように、第1の真空チャンバの圧力及び第2の真空チャンバの圧力よりも圧力が高い高圧力領域が形成される。これにより、例えば第2の真空チャンバでの圧力の変化が高圧力領域により吸収される。このため、放射光の導入側の圧力の変化による光源側の圧力の変化を抑制することが可能となる。
前記デブリ低減装置は、前記高圧力領域と前記第2の真空チャンバとの間で前記真空路のコンダクタンスを下げるコンダクタンス低減部を有してもよい。
これにより、例えば第2の真空チャンバの圧力に影響を受けずに高圧力領域を維持することが可能となり、導入側の圧力の変化を十分に吸収することが可能となる。
前記コンダクタンス低減部は、前記真空路に配置される複数のホイルと前記複数のホイルを固定する固定部材とを有する固定式ホイルトラップであってもよい。
これにより、固定式ホイルトラップによりデブリを低減することが可能となる。
前記デブリ低減装置は、前記高圧力領域と前記第1の真空チャンバとの間に設けられ、前記真空路の経路方向と交差する断面が前記高圧力領域よりも大きい筒状部材を有してもよい。
これにより、例えば高圧力領域の圧力を短い距離で低下させることが可能となり、第1の真空チャンバの圧力に維持することが可能となる。
前記デブリ低減装置は、複数のホイルと、前記複数のホイルを放射状に支持する回転部材とを有する回転式ホイルトラップを有してもよい。この場合、前記筒状部材は、前記回転式ホイルトラップを囲む回転式ホイルトラップカバーであってもよい。
これにより、回転式ホイルトラップによりデブリを低減することが可能となる。
前記デブリ低減装置は、前記第2の真空チャンバの圧力が少なくとも前記高圧力領域の圧力以下の範囲で変化する際に、前記第1の真空チャンバの圧力を実質的に変化させなくてもよい。
これにより、例えば第2の真空チャンバの圧力が変化しても、第1の真空チャンバの圧力を十分に維持することが可能となる。
前記高圧力領域の圧力は、前記第1の真空チャンバの圧力の6倍以上の圧力であってもよい。
これにより、例えば導入側の圧力の変化を確実に吸収することが可能となる。
前記光源装置は、さらに、前記第2の真空チャンバの圧力を変化させるバッファガスを導入する導入口と、前記第2の真空チャンバの圧力を調整する圧力調整機構とを具備してもよい。
これにより、例えば第2の真空チャンバの圧力を容易に調整することが可能となり、様々な運転モードを実現することが可能となる。
前記高圧力領域は、前記バッファガスが導入される領域であってもよい。この場合、前記導入口は、前記高圧力領域につながる第1の導入口を含んでもよい。
これにより、例えば高圧力領域を実現しつつ第2の真空チャンバの圧力を変化させることが可能となる。
前記光源装置は、さらに、前記第2の真空チャンバを具備してもよい。この場合、前記導入口は、前記第2の真空チャンバに設けられる第2の導入口を含んでもよい。
これにより、例えば第2の真空チャンバの圧力を容易に変化させることが可能となる。
前記バッファガスは、前記放射光により電離する電離ガスであってもよい。この場合、前記光源装置は、通常運転と、前記電離ガスによるクリーニング運転とが可能であってもよい。
これにより、例えば放射光を安定して発生させたまま、第2の真空チャンバに設けられた光学素子等をクリーニングすることが可能となる。
前記クリーニング運転は、前記通常運転時の圧力である第1の圧力に維持された第2の真空チャンバに前記電離ガスを導入し、前記第2の真空チャンバの圧力を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力まで上昇させ、前記第2の圧力を維持した状態で、前記第2の真空チャンバ内に配置されたターゲットに対し、前記放射光により電離した前記電離ガスによるスパッタを行う運転であってもよい。
これにより、例えば第2の真空チャンバに設けられた光学素子等を所望のレートでスパッタすることが可能となる。
前記第2の圧力は、6Pa以上であってもよい。
これにより、例えば所望のレートでのスパッタを行うことが可能となる。
前記通常運転時の前記第1の真空チャンバの圧力は、前記放射光が安定する第3の圧力に設定されてもよい。この場合、前記第2の圧力は、前記第3の圧力の3倍以上の圧力であってもよい。
これにより、例えば比較的高いレートでのスパッタを行うことが可能となる。
前記電離ガスは、希ガスであってもよい。
これにより、例えば各チャンバ内の部材が電離ガスにより腐食されるといった事態を回避できるとともに、各チャンバから排気されるガスを容易に処理することが可能となる。
前記光源装置は、さらに、前記第2の真空チャンバと、前記第2の真空チャンバに設けられ前記放射光の光量を検出する光量モニタとを具備してもよい。この場合、前記通常運転及び前記クリーニング運転は、前記光量モニタの検出結果に基づいて切り替えて実行されてもよい。
これにより、例えば光学素子の汚染に合わせてクリーニングを行うことが可能となる。
前記圧力調整機構は、前記導入口から導入される前記バッファガスの流量を調整する流量調整バルブ、又は、前記第2の真空チャンバの排気量を調整する排気量調整バルブの少なくとも一方であってもよい。
これにより、例えば第2の真空チャンバの圧力を精度よく調整することが可能となる。
前記放射光は、EUV光であってもよい。
これにより、例えばメンテナンスが容易で光量が安定したEUV光源装置を実現することが可能となる。
前記光源部は、前記第1の真空チャンバ内に放電領域を挟んで配置された一対の回転電極と、前記一対の回転電極にプラズマ原料を供給する原料供給部と、前記一対の回転電極のうち一方の回転電極の前記放電領域に面した部位に前記プラズマ原料を気化するエネルギービームを入射するエネルギービーム入射部と、前記一対の回転電極に前記エネルギービームにより気化した前記プラズマ原料をプラズマ化する電圧を印加する電圧源とを有してもよい。
前記光源部は、前記第1の真空チャンバ内に配置された回転体と、前記回転体にプラズマ原料を供給する原料供給部と、前記回転体に供給された前記プラズマ原料をプラズマ化するエネルギービームを入射するエネルギービーム入射部とを有してもよい。
本発明の一形態に係るクリーニング方法は、前記光源装置を用いて行われるクリーニング方法であって、以下の工程を備える。
前記プラズマを発生させた状態で、通常運転時の圧力である第1の圧力に維持された第2の真空チャンバに前記放射光により電離する電離ガスを導入し、前記第2の真空チャンバの圧力を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力まで上昇させる圧力上昇工程。
前記第2の圧力を維持した状態で、前記第2の真空チャンバ内に配置されたターゲットに対し、前記放射光により電離した前記電離ガスによるスパッタを行うスパッタ工程。
これにより、放射光の導入側の圧力の変化による光源側の圧力の変化を抑制することが可能となり、電離ガスを導入してスパッタを行う場合でも安定して放射光を発生させることが可能となる。これにより、第2の真空チャンバに設けられた光学素子等を容易にクリーニングすることが可能となる。
前記光源装置は、さらに、前記第2の真空チャンバと、前記第2の真空チャンバに設けられ前記放射光の光量を検出する光量モニタとを有してもよい。この場合、前記光量モニタが検出した光量が第1の閾値よりも低くなった場合に、前記圧力上昇工程と前記スパッタ工程とを実行してもよい。さらに、前記光量モニタが検出した光量が前記第1の閾値以上の第2の閾値よりも高くなった場合に、前記第2の真空チャンバの圧力を前記第1の圧力になるまで下降させる圧力下降工程を備えてもよい。
これにより、例えば光学素子の汚染に合わせてクリーニングを行うことが可能となる。
前記スパッタ工程は、前記第2の圧力を維持した状態で、前記放射光の光量を前記通常運転時の前記放射光の光量から変化させる工程を含んでもよい。
これにより、例えばスパッタレート等を細かく制御することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、放射光の導入側の圧力の変化による光源側の圧力の変化を抑制すること。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本発明の一実施形態に係る光源装置の構成例を示す模式図である。 光源装置に搭載されたデブリ低減装置の構成例を示す模式図である。 回転式ホイルトラップの構成例を示す模式的な断面図である。 回転式ホイルトラップの構成例を示す模式的な正面図である。 回転式ホイルトラップカバーの構成例を示す模式的な断面図である。 回転式ホイルトラップカバーの構成例を示す模式的な正面図である。 固定式ホイルトラップの構成例を示す模式的な断面図である。 固定式ホイルトラップの構成例を示す模式的な正面図である。 固定式ホイルトラップカバーの構成例を示す模式的な断面図である。 固定式ホイルトラップカバーの構成例を示す模式的な正面図である。 デブリ低減装置の構成例を示す模式的な断面図である。 光源装置内の圧力のシミュレーション結果を示すグラフである。 第1の真空チャンバ及び第2の真空チャンバの圧力の関係を示すグラフである。 スパッタの実験に用いたサンプルの配置例を示す模式図である。 スパッタレートと圧力との関係を示すグラフである。 スパッタレートと圧力とサンプル位置との関係を示すグラフである。 スパッタレートとプラズマの発光周波数との関係を示すグラフである。 光源装置の動作例を示すフローチャートである。 スパッタが生じるスパッタ領域について説明する模式図である。 遮光板を利用した光学系の構成例を示す模式図である。 遮光板を利用した光学系の他の構成例を示す模式図である。 LPP方式の光源部の構成例を示す模式図である。 LPP方式の光源部の他の構成例を示す模式図である
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[光源装置の概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る光源装置の構成例を示す模式図である。図1は、光源装置100を設置面から所定の高さの位置で水平方向に沿って切断した場合の模式的な断面を、Z方向の正方向側から見た場合の図である。以下、X方向を左右方向(X軸の正側が右側、負側が左側)、Y方向を奥行方向(Y軸の正側が手前側、負側が奥側)、Z方向を上下方向(Z軸の正側が上側、負側が下側)として説明を行う。もちろん、本技術の適用について、光源装置100が使用される向き等が限定される訳ではない。
光源装置100は、LDP方式のEUV光源装置であり、極端紫外光(EUV光1)を放射する。EUV光1の波長は、例えば13.5nmである。
光源装置100は、例えば半導体デバイス製造におけるリソグラフィ装置の光源装置、又はリソグラフィに使用されるマスクの検査装置の光源装置として使用可能である。例えば、光源装置100がマスク検査装置用の光源装置として使用される場合、プラズマPから放射されるEUV光1の一部が取り出され、マスク検査装置に導光される。そして、マスク検査装置により、光源装置100から放射されるEUV光1を検査光として、マスクのブランクス検査又はパターン検査が行われる。
本実施形態では、EUV光1は、プラズマから放射される放射光の一例である。なお、放射光の種類は限定されない。本発明は、例えばEUV光1以外の軟X線領域の光や、よりエネルギーの高い硬X線等が放射される場合にも適用可能である。
光源装置100は、第1の真空チャンバ10、第2の真空チャンバ20、光源部30、及びデブリ低減装置40を有する。第1の真空チャンバ10は、光源部30がプラズマPを発生させる真空チャンバである。第2の真空チャンバ20は、プラズマPから放射されるEUV光1が導入される真空チャンバである。デブリ低減装置40は、第1の真空チャンバ10と第2の真空チャンバ20との間でプラズマPから放散されるデブリを低減する装置である。
[第1の真空チャンバ]
第1の真空チャンバ10は、光源部30が有する種々の機構を収容する筐体である。第1の真空チャンバ10は、例えば直方体又は円筒型の形状を有し、金属等の剛体により構成される。もちろん第1の真空チャンバ10の具体的な形状や材料等は限定されない。
第1の真空チャンバ10の内部は、図示しない真空ポンプにより所定圧力以下の減圧雰囲気に維持される。第1の真空チャンバ10の左側の側壁10aには、フィードスルーFA及びFBが配置される。フィードスルーFA及びFBは、第1の真空チャンバ10の内部の減圧雰囲気を維持しつつ、第1の真空チャンバ10の内部に電線等を挿入することを可能とするシール部材である。
第1の真空チャンバ10の手前側の側壁10bには、透明窓11が配置される。透明窓11は、後述するレーザビームLBに対して透明な材料により構成される。透明窓11の材料や形状等の具体的な構成は限定されない。また第1の真空チャンバ10の右側の側壁10cには、第2の真空チャンバ20と接続するための貫通孔12が設けられる。また本実施形態では、第1の真空チャンバ10の内部に、貫通孔12を覆うようにデブリ低減装置40が配置される。
[第2の真空チャンバ]
第2の真空チャンバ20は、例えばEUV光1が入射する光学素子21等を収容する筐体である。光学素子21は、例えばEUV光1を集光するための集光ミラーや、EUV光1の光路を曲げるための反射ミラー等である。また例えば、EUV光1を利用する利用装置(マスク検査装置やリソグラフィ装置等)と、光源装置とを接続する容器として、第2の真空チャンバ20が構成されてもよい。第2の真空チャンバ20は、例えば直方体又は円筒型の形状を有し、金属等の剛体により構成される。もちろん第2の真空チャンバ20の具体的な形状や材料等は限定されない。
第2の真空チャンバ20の内部は、図示しない真空ポンプにより所定圧力以下の減圧雰囲気に維持される。第2の真空チャンバ20の左側の側壁20aには、第1の真空チャンバ10の貫通孔12と連通する貫通孔22が配置される。また例えば、第2の真空チャンバ20には、光学素子21を通ったEUV光1を出射する出射口(図示省略)等が適宜設けられる。
なお、光源装置100は、必ずしも第2の真空チャンバ20を備える必要は無い。例えば利用装置側に第2の真空チャンバ20が設けられてもよい。この場合、EUV光1を導入するために利用装置に設けられた真空チャンバ等が、第2の真空チャンバとして用いられる。
[光源部]
光源部30は、第1の真空チャンバ10内で光源となるプラズマPを発生させる。光源部30は、放電モジュール31、制御部32、パルス電力供給部33、レーザ源34、集光レンズ35、及び可動ミラー36を有する。このうち、制御部32、パルス電力供給部33、レーザ源34、集光レンズ35、及び可動ミラー36は、第1の真空チャンバ10の外に設けられる。
放電モジュール31は、第1の真空チャンバ10内でプラズマPを発生させるための放電を行うモジュールである。放電モジュール31は、コンテナCA及びCB、放電電極EA及びEB、並びにモータMA及びMBを有する。このうち、コンテナCA及びCB、放電電極EA及びEBは、第1の真空チャンバ10の内部に配置される。
コンテナCA及びCBは、プラズマ原料を貯留するための容器である。本実施形態では、コンテナCA及びCBは導電性を有する材料により構成される。コンテナCAにはプラズマ原料SAが貯留される。また、コンテナCBにはプラズマ原料SBが貯留される。プラズマ原料SA及びSBは、加熱された液相の原料である。本実施形態では、プラズマ原料SA及びSBとしてスズ(Sn)が用いられる。あるいはリチウム(Li)等の、プラズマを発生させることが可能な他の原料が用いられてもよい。
放電電極EA及びEBは、円板形状を有する。放電電極EA及びEBは、例えばモリブデン(Mo)、タングステン(W)またはタンタル(Ta)等の高融点金属により構成される。放電電極EA及びEBの具体的な材料は限定されない。
例えば放電電極EAがカソード(陰極)として使用され、放電電極EBがアノード(陽極)として使用される。放電電極EA及びEBは互いに離隔して配置される。また、放電電極EA及びEBは、放電電極EA及びEBの各々の周縁部の一部が近接するように配置される。放電電極EA及びEBの周縁部が互いに最も接近した位置の間隙が、放電電極EA及びEBによる放電領域Dとなる。
また、放電電極EAは、放電電極EAの下部がコンテナCAに貯留されたプラズマ原料SAに浸されるように配置される。同様に放電電極EBも、下部がプラズマ原料SBに浸されるように配置される。
モータMAは、放電電極EAを回転させる。モータMAは回転軸JAを有する。モータMAの基体部は第1の真空チャンバ10の左側の外部に配置され、基体部に接続された回転軸JAが、第1の真空チャンバ10の外部から内部に延びる。回転軸JAの第1の真空チャンバ10の内部側の端部は、放電電極EAの中心(円形面の中心)に接続される。
回転軸JAと第1の真空チャンバ10の壁の間の隙間は、シール部材PAで封止される。シール部材PAとして、例えばメカニカルシールが用いられる。シール部材PAにより、第1の真空チャンバ10内の減圧雰囲気が維持されつつ、回転軸JAが回転自在に支持される。
同様に、モータMBは回転軸JBを有し、回転軸JBは放電電極EBの中心に接続される。また、回転軸JBと第1の真空チャンバ10の壁の間の隙間は、シール部材PBで封止される。
なお、放電電極EA及びEBは、各々の軸線(回転軸の延在方向)が平行でないように配置される。具体的は、図1に示すように、放電電極EAは手前側(図1の下側)を右側に、奥側(図1の上側)を左側に傾けた状態で配置される。一方で、放電電極EBは手前側を左側に、奥側を右側に傾けた状態で配置される。回転軸JA及びJBの奥行方向(図1の上下方向、Z方向)における間隔も、モータMA及びMB側が狭く、放電電極EA及びEB側が広くなっている。さらに、放電電極EB、モータMB及び回転軸JBは、放電電極EA、モータMA及び回転軸JAに対して若干左側に配置される。
制御部32は、光源部30の各部の動作を制御する。例えば制御部32により、モータMA及びMBの回転駆動が制御され、放電電極EA及びEBが所定の回転数で回転する。また、制御部32により、パルス電力供給部33の動作、及びレーザ源34によるレーザビームの照射タイミング等が制御される。
例えばCPU、GPU、DSP等のプロセッサ、ROMやRAM等のメモリ、HDD等の記憶デバイス等、コンピュータの構成に必要なハードウェアを有するコントローラにより、制御部32が実現される。具体的には、コントローラのCPUが本技術に係るプログラム(例えばアプリケーションプログラム)を実行することで、機能ブロックとして制御部32が実現される。
パルス電力供給部33は、放電電極EA及びEBへパルス電力を供給することにより、放電領域Dで放電を発生させる。パルス電力供給部33には給電線QA及びQBが接続される。給電線QAはフィードスルーFAを介して第1の真空チャンバ10の内部に挿入され、コンテナCAに接続される。給電線QBはフィードスルーFBを介して第1の真空チャンバ10の内部に挿入され、コンテナCBに接続される。
レーザ源34は、プラズマ原料SA及びSBを気化させるエネルギービームを出射する。レーザ源34は、第1の真空チャンバ10の外部に配置される。レーザ源34としては、例えばNd:YVO(Neodymium-doped Yttrium Orthovanadate)レーザ装置が用いられる。この場合、レーザ源34により、波長1064nmの赤外領域のレーザビームLBが出射される。もちろん、プラズマ原料SA及びSBを気化させることが可能であれば、レーザ源34の装置の種類や、照射されるレーザビームLBの波長等、レーザ源34の具体的な構成は限定されない。
集光レンズ35は、第1の真空チャンバ10の外部の、レーザビームLBの光路上に配置される。レーザ源34により出射されたレーザビームLBが集光レンズ35に入射することで、レーザビームLBのスポット径が調整される。
可動ミラー36は、第1の真空チャンバ10の外部の、レーザビームLBの光路上に配置される。ここでは、可動ミラー36は、レーザビームLBの光路上の、集光レンズ35の後ろ側に配置される。従って、集光レンズ35を通過したレーザビームLBが、可動ミラーに入射する。
可動ミラー36に入射したレーザビームLBは、可動ミラー36により反射され、第1の真空チャンバ10の透明窓11を通過する。そして、第1の真空チャンバ10の内部の、放電領域Dの近傍の放電電極EAの周縁部にレーザビームLBが到達する。なお、可動ミラー36の姿勢を変えることにより、放電電極EAに対するレーザビームLBの照射位置を調整することが可能である。
このように、光源部30では、第1の真空チャンバ10内に放電領域Dを挟んで放電電極EA及びEBが配置される。また放電電極EA及びEBには、コンテナCA及びCBから、プラズマ原料SA及びSBがそれぞれ供給される。本実施形態では、放電電極EA及びEBは、一対の回転電極に相当し、コンテナCA及びCBは、原料供給部に相当する。
またレーザ源34、集光レンズ35、及び可動ミラー36により、放電電極EA及びEBのうち一方の放電電極EAの放電領域Dに面した部位にレーザビームLBが入射される。これにより、放電電極EAの回転に伴い放電領域Dの近傍に輸送された液相のプラズマ原料SAは、気相のプラズマ原料SAとなる。同様に、放電電極EBにより輸送されたプラズマ原料SBも、放電領域Dにおいて気相のプラズマ原料SBとなる。本実施形態では、レーザ源34、集光レンズ35、及び可動ミラー36を用いて、エネルギービーム入射部が実現される。また、レーザビームLBは、プラズマ原料を気化するエネルギービームに相当する。
またパルス電力供給部33により、放電電極EA及びEBにレーザビームLBにより気化したプラズマ原料をプラズマ化する電圧(パルス電力)が印加される。これにより、放電電極EA及びEBの間の放電領域Dで放電が生じる。この放電により、放電領域Dに存在する気相のプラズマ原料SA及びSBが電流により加熱励起され、プラズマPが発生する。本実施形態では、パルス電力供給部33は、電圧源に相当する。
放電領域Dにおいて発生したプラズマPからはEUV光1が放射される。放射されたEUV光1の一部(右向きの光)は、後述するデブリ低減装置40を通過して第2の真空チャンバ20の内部に導入される。図1には、EUV光1の光路の一例が、破線の矢印で図示されている。プラズマPは、本技術に係る光源の一実施形態に相当する。
なお本実施形態では、第1の真空チャンバ10の内部は、所定圧力以下の減圧雰囲気に維持されている。これにより、プラズマ原料SA及びSBを加熱励起するための放電を良好に発生させることが可能となる。また、EUV光1の減衰を抑制することが可能となる。
また、プラズマPからは、EUV光1とともにデブリが高速で様々な方向に放散される。デブリには、プラズマ原料SA、SBであるスズ粒子が含まれる。また、デブリには、プラズマPの発生に伴いスパッタリングされる放電電極EA及びEBの材料粒子が含まれる。具体的には、デブリには、高速で移動するイオン、中性原子及び電子が含まれる。これらのデブリは、プラズマPの収縮および膨張過程を経て、大きな運動エネルギーを得る。デブリの一部は、デブリ低減装置40に向けて放散される。
[デブリ低減装置]
図2は、光源装置100に搭載されたデブリ低減装置40の構成例を示す模式図である。図2には、光源装置100をXZ平面で切断した場合の断面を、手前側から見た状態が図示されている。なお図2では、放電モジュール31以外の光源部30の構成については図示を省略している。また、放電モジュール31についても、構成を省略して図示している。
デブリ低減装置40は、プラズマPから放散されるデブリを低減する装置である。デブリ低減装置40は、第1の真空チャンバ10内で発生したプラズマPから第2の真空チャンバ20に向かうEUV光1の光路と重なるように配置される。また、デブリ低減装置40は、EUV光の光路上でデブリを捕捉するための機構を備える。すなわち、デブリ低減装置40は、プラズマPからのEUV光1を通過させる一方で、プラズマPからのデブリを捕捉するように構成される。デブリ低減装置40は、DMT(Debris Mitigation Tool)と呼ばれることもある。
本実施形態では、デブリを捕捉するための機構として、ホイルトラップ(後述する回転式ホイルトラップ43及び固定式ホイルトラップ45)が用いられる。ホイルトラップは、複数のホイルを用いてプラズマPからのデブリを捕捉するデブリトラップである。ホイルトラップでは、複数のホイルが離間して配置される。このため、ホイルの間を通してEUV光1を通過させることが可能である。ホイルトラップを用いることで、例えばmmサイズの大きなデブリから、原子サイズの小さなデブリまでを捕捉することが可能となる。
さらに、デブリ低減装置40は、第1の真空チャンバ10と第2の真空チャンバ20とをつなぎEUV光1を通過させる真空路13を形成する。ここで、真空路13とは、例えば2つの独立した真空チャンバをリークさせることなく接続して排気経路を構成する構造のことである。例えば真空路13でつながる2つの真空チャンバのうち、一方の真空チャンバだけを排気した場合、他方の真空チャンバは必ず真空路13(排気経路)を介して排気されることになる。
デブリ低減装置40の内部には、このような真空路13が形成される。第1の真空チャンバ10の内部空間及び第2の真空チャンバ20の内部空間は、この真空路13によってリークすることなく連通する。また真空路13は、EUV光1を通過させる通路としても機能する。このため、真空路13には、少なくともEUV光1を遮ることなく通過させる直線状の経路が含まれる。ここでは、EUV光1が通過する直線状の経路の方向を真空路13の経路方向と記載する。図2には、真空路13の経路方向が点線の矢印を用いて模式的に図示されている。
さらにデブリ低減装置40は、真空路13を遮るように第1の真空チャンバ10の圧力及び第2の真空チャンバ20の圧力よりも圧力が高くなる高圧力領域14を発生させる。ここで真空路13を遮る領域とは、例えば真空路13の経路方向と交差するような真空路13の断面を完全に覆うような領域を意味する。従って、真空路13を通過するには、必ず高圧力領域14を通過する必要がある。デブリ低減装置40は、このような高圧力領域14を真空路13の途中に発生させることが可能なように構成される。図2には、高圧力領域14となる部分が、ドットを用いたハッチングの領域により模式的に図示されている。
高圧力領域14は、上記したように第1の真空チャンバ10及び第2の真空チャンバ20のどちらの圧力よりも、内部の圧力を高く維持することが可能な領域である。すなわち、高圧力領域14では、バッファガス2(雰囲気ガス)の圧力(密度)を各真空チャンバの圧力よりも高くすることができる。デブリ低減装置40は、基本的に高圧力領域14が発生した状態で用いられる。
例えば、一方の真空チャンバの圧力が変化したとする。この場合、高圧力領域14があることで、その圧力の変化が吸収される。このため、一方の真空チャンバの圧力の変化が他方の真空チャンバに伝わりにくくなる。すなわち、高圧力領域14は、第1の真空チャンバ10の圧力と、第2の真空チャンバ20の圧力とを分離する領域であるともいえる。
高圧力領域14を形成するための構成として、デブリ低減装置40には、筒状部材41と、コンダクタンス低減部42とが設けられる。
筒状部材41は、真空路13となる空間を囲む筒状の部材であり、高圧力領域14と第1の真空チャンバ10との間に設けられる。筒状部材41は、高圧力領域14に接続される開口部(回転式ホイルトラップカバー44の出射側開口部KO)と、第1の真空チャンバ10に接続される開口部(回転式ホイルトラップカバー44の入射側開口部KI)とを有し、真空路13を形成する。
筒状部材41としては、真空路13の経路方向と交差する断面が高圧力領域14よりも大きい部材が用いられる。つまり、筒状部材41は、第1の真空チャンバ10側で高圧力領域14が形成する真空路13の太さを拡大する部材である。このような構成により、高圧力領域14から筒状部材41側に流出するバッファガス2は、後述する回転式ホイルトラップ43に巻き込まれながら広い空間に拡散され、第1の真空チャンバ10を排気する真空ポンプ(第1の真空ポンプ54)により排気される。このため、例えば高圧力領域14の圧力を短い距離で低下させることが可能となる。すなわち、筒状部材41を通過する間に真空路13の圧力が急激に低下する。これにより、第1の真空チャンバ10の圧力は、高圧力領域14の圧力の影響をほとんど受けることなく維持される。
コンダクタンス低減部42は、高圧力領域14と第2の真空チャンバ20との間で真空路13のコンダクタンスを下げる部材である。コンダクタンス低減部42は、真空路13を形成する筒状の構造を持ち、高圧力領域14に接続される開口部(固定式ホイルトラップ45の入射端)と、第2の真空チャンバ20に接続される開口部(固定式ホイルトラップ45の出射端)とを有する。これら2つの開口部の間には、他の真空路13と比べて真空のコンダクタンスを低下させる部材が配置される。
真空のコンダクタンスとは、バッファガス2の流れやすさを表すパラメータであり、例えば排気抵抗の逆数に対応する。コンダクタンスが低いほど排気抵抗は高くなり、バッファガス2は流れにくくなる。従って、コンダクタンス低減部42は、バッファガス2を流れにくくする部材であると言える。コンダクタンス低減部42を設けることで、第2の真空チャンバ20と高圧力領域14との間でバッファガス2が流れにくくなる。この結果、第2の真空チャンバ20の圧力に影響を受けずに高圧力領域14を維持することが可能となり、導入側の圧力の変化を十分に吸収することが可能となる。
ここで、デブリを捕捉するための構成について説明する。図2に示すように、デブリ低減装置40は、回転式ホイルトラップ43と、回転式ホイルトラップカバー44と、固定式ホイルトラップ45と、固定式ホイルトラップカバー46とを有する。
回転式ホイルトラップ43は、複数のホイルを回転させて複数のホイルがデブリと能動的に衝突する作用を加えたホイルトラップである。回転式ホイルトラップ43は、RFT(Rotating Foil Trap)ともいう。回転式ホイルトラップカバー44は、回転式ホイルトラップ43の外周を覆うように構成された筒状のカバーである。回転式ホイルトラップ43及び回転式ホイルトラップカバー44は、第1の真空チャンバ10側に配置される。
固定式ホイルトラップ45は、複数のホイルの位置が固定されたホイルトラップである。固定式ホイルトラップ45は、SFT(Static Foil Trap)ともいう。固定式ホイルトラップカバー46は、固定式ホイルトラップ45を覆うカバーである。固定式ホイルトラップカバー46は、固定式ホイルトラップ45を回転式ホイルトラップカバー44に接続する部材としても機能する。なお、回転式ホイルトラップカバー44と固定式ホイルトラップカバー46とが必ずしも完全につながっている必要はなく、例えば、高圧力領域14の圧力を維持することが可能な範囲であれば、多少隙間が存在していてもよい。固定式ホイルトラップ45及び固定式ホイルトラップカバー46は、第2の真空チャンバ20側に配置される。
上記した真空路13、筒状部材41、及びコンダクタンス低減部42は、デブリを捕捉するためのこれらの構成を利用して実現される。本実施形態では、回転式ホイルトラップカバー44、固定式ホイルトラップカバー46、及び固定式ホイルトラップ45を接続して構成される中空の領域が、真空路13となる。また、回転式ホイルトラップカバー44が、筒状部材41として機能する。また、固定式ホイルトラップ45が、コンダクタンス低減部42として機能する。従って、回転式ホイルトラップカバー44から固定式ホイルトラップ45までの空間に高圧力領域14が形成される。各ホイルトラップ等の具体的な構成については後に詳しく説明する。
[バッファガスの導入口]
光源装置100には、バッファガス2を導入する導入口47が設けられる。バッファガス2は、第2の真空チャンバ20の圧力を変化させるガスとして機能する。バッファガス2の導入口47は、一つだけ設けられてもよいし、複数の導入口47が設けられてもよい。導入口47には、バッファガス2を通す配管が接続され、配管にはバッファガス2の流量を調整する流量調整バルブが取付けられる。
本実施形態では、高圧力領域14は、デブリ低減装置40においてバッファガス2が導入される領域であり、デブリ低減装置40には、高圧力領域14につながる導入口47が設けられる。これにより、高圧力領域14に対して直接バッファガス2が供給され、高圧力領域14の圧力を高い状態で容易に維持することが可能となる。この導入口47は、例えば固定式ホイルトラップカバー46に設けられる。図2では、高圧力領域14につながる導入口47が点線の円により模式的に図示されている。本実施形態では、高圧力領域14につながる導入口47は、第1の導入口に相当する。
また、第2の真空チャンバ20にバッファガスの導入口(図示省略)が設けられてもよい。この場合、第2の真空チャンバ20に対して直接バッファガス2が供給されるため、第2の真空チャンバ20の圧力を容易に変化させることが可能となる。本実施形態では、第2の真空チャンバ20に設けられる導入口は、第2の導入口に相当する。
このように、光源装置100は、EUV光1(プラズマP)が発生する第1の真空チャンバ10と、EUV光1を利用するための光学素子等が収容された第2の真空チャンバ20とを、デブリ低減装置40が形成する真空路13を介して接続した構造を備える。またデブリ低減装置40(高圧力領域14)、又はデブリ低減装置40よりも下流側(第2の真空チャンバ20側)に、バッファガス2の導入口47が設けられる。
バッファガス2としては、希ガスが用いられる。典型的には、バッファガス2は、アルゴンガスである。アルゴンガスは、他の原子との化合物を構成しにくい不活性ガスである。従ってアルゴンガスは、例えば水素ガスやハロゲンガス等の活性ガスと異なり、チャンバ内の金属等を腐食するといった心配がない。また、アルゴンガスは、不活性化等の処理をしなくても排気することが可能であるため、活性ガスを排気するような場合と比べて、排気システムの小型化や低コスト化が可能である。
さらに、EUV領域の光は、アルゴン原子(Ar)を励起および電離させることが知られている。そのため、EUV光1を照射することでアルゴンプラズマを生成することが可能となる。このように、アルゴンガス(バッファガス2)は、EUV光1により電離する電離ガスである。この現象を利用して、光源装置100では、後述するクリーニング運転等が行われる。
なお、アルゴン原子は、13.5nmの波長に関しても若干の吸収があるものの、30nm-80nmの光と比べると、吸収量が一桁低い。このため、アクティニック波長となる13.5nmの減衰は少なく、アルゴンガスをバッファガス2として用いた場合でも十分な光量を確保することが可能である。
[仕切り板]
図2に示すように、第1の真空チャンバ10には、デブリ低減装置40と放電モジュール31との間に、第1の仕切り板16及び第2の仕切り板17が設けられる。
第1の仕切り板16は、デブリ低減装置40(回転式ホイルトラップカバー44)よりも平面サイズが大きい板状の部材であり、デブリ低減装置40のプラズマPに向けられる側を覆うように配置される。第1の仕切り板16は、第2の仕切り板17が取付けられる開口部16aを有する。第1の仕切り板16は、例えば液相のプラズマ原料の蒸気(ここではスズ蒸気)が、デブリ低減装置40側の空間や第2の真空チャンバ20等に回り込むことを制限する。
第2の仕切り板17は、第1の仕切り板16に設けられた開口部16aを覆う板状の部材であり、第1の仕切り板16のプラズマPに向けられる側に固定される。第2の仕切り板17は、第2の真空チャンバ20に導入するEUV光1を通す開口部17aと、所定の計測機器(第1の光量モニタ25a)に導入するEUV光1を通す開口部17bとを有する。第2の仕切り板17は、放電により発生するプラズマPからデブリ低減装置40に加わる熱負荷を低減するとともに、デブリ低減装置40に向かうデブリ量を制限する。
[排気システム]
図2に示すように、光源装置100は、第1の真空チャンバ10に接続された第1の真空バルブ50及び第1の真空計51と、第2の真空チャンバ20に接続された第2の真空バルブ52及び第2の真空計53を有する。
第1の真空チャンバ10には、排気孔18と、計測孔19とが設けられる。第1の真空バルブ50は、排気孔18に接続され、第1の真空チャンバ10を第1の真空ポンプ54につなぐバルブである。第1の真空計51は、計測孔19に接続され、第1の真空チャンバ10の圧力を検出する。また、第2の真空チャンバ20には、排気孔28と、計測孔29とが設けられる。第2の真空バルブ52は、排気孔28に接続され、第2の真空チャンバ20を第2の真空ポンプ55につなぐバルブである。第2の真空計53は、計測孔29に接続され、第2の真空チャンバ20の圧力を検出する。
このように、光源装置100は、第1の真空チャンバ10及び第2の真空チャンバ20は、それぞれが個別に排気される。また各真空チャンバをつなぐ真空路13には、上記した高圧力領域14が形成され、バッファガスの流れが制限される。これにより、第1の真空チャンバ10及び第2の真空チャンバ20は、真空路13で接続されているものの、それぞれの内部空間を独立に排気する差動排気が可能となる。
本実施形態では、主に第2の真空チャンバ20の圧力が調整される。このため、光源装置100には、第2の真空チャンバ20の圧力を調整する圧力調整機構が設けられる。圧力調整機構は、例えば第2の真空チャンバ20から流出するバッファガス2の量、又は、第2の真空チャンバ20に流入するバッファガス2の量を調節する機構である。
例えば、導入口47から導入されるバッファガス2の流量を調整する流量調整バルブ(図示省略)が、圧力調整機構として用いられる。この場合、例えばバッファガス2の流量を増やすことで第2の真空チャンバ20に流入するバッファガス2の流量が増え、第2の真空チャンバ20の圧力を上昇させることが可能である。
また例えば、第2の真空チャンバ20の排気量を調整する第2の真空バルブ52が、圧力調整機構として用いられる。この場合、例えば排気量を減らすことで第2の真空チャンバ20から流出するバッファガス2の流量が減り、結果として第2の真空チャンバ20の圧力を上昇させることが可能である。本実施形態では、第2の真空バルブ52は、排気量調整バルブに相当する。
なお、圧力調整機構として、バッファガスの流量調整バルブと、第2の真空バルブ52との両方が用いられてもよいし、どちらか一方が用いられてもよい。また、第2の真空チャンバ20の圧力を調整可能な機構であれば、上記以外の機構が用いられもよい。圧力調整機構を用いることで、例えば第2の真空チャンバの圧力を容易に調整することが可能となり、様々な運転モードを実現することが可能となる。
[光量モニタ]
光源装置100は、EUV光1の光量を検出する光量モニタを有する。ここでは、第1の光量モニタ25aと、第2の光量モニタ25bとが設けられる。第1の光量モニタ25aは、第1の真空チャンバ10の右側の側壁10cに接続され、回転式ホイルトラップ43を通過したEUV光1を検出する。従って、第1の光量モニタ25aは、プラズマPからのEUV光1の光量、すなわちプラズマPの発光強度を検出するセンサとして機能する。
第2の光量モニタ25bは、第2の真空チャンバ20に設けられEUV光1の光量を検出する。例えば、光学素子21(ここでは筒形の集光ミラー)を通過したEUV光が照射される位置に第2の光量モニタ25bが設けられる。これに限定されず、例えば反射ミラー等を使って分岐させたEUV光1を検出してもよい。これにより、第2の光量モニタ25bは、集光ミラーや反射ミラーを介して導光されたEUV光1の光量を検出することが可能となる。
例えば集光ミラーや反射ミラーの表面がデブリにより汚染されると、EUV光の反射率が低下し、集光されるEUV光1や反射されるEUV光1の光量が低下する。従って、第2の光量モニタ25bの検出結果は、集光ミラーや反射ミラーの汚染の度合いを表すパラメータとして機能する。この点を利用して、第2の光量モニタ25bの検出結果は、クリーニング運転を行うかどうかの判定に用いられる。
[デブリ低減装置の各部の構成]
以下では、デブリ低減装置40を構成する各部の構成について具体的に説明する。
[回転式ホイルトラップ]
図3は、回転式ホイルトラップ43の構成例を示す模式的な断面図である。図4は、回転式ホイルトラップ43の構成例を示す模式的な正面図である。図3及び図4に示すように、回転式ホイルトラップ43は、複数のホイル(ブレード)Fと、中心支柱60と、外側リング61とを有する。また中心支柱60は、回転軸を中心に回転する軸部材63に接続される。
複数のホイルFは、薄膜または薄い平板である。中心支柱60は、複数のホイルFを放射状に支持する部材である。外側リング61は、中心支柱60に同心に配置され、中心支柱60から放射状に延びる各ホイルFの先端に接続される。本実施形態では、中心支柱60は、回転部材に相当する。各ホイルFは、ほぼ等しい角間隔をおいて中心支柱60の周りに放射状に配置される。この時、各ホイルFは、中心支柱60の中心軸線C0を含む平面上にある。回転式ホイルトラップ43の材料は、例えば、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)などの高融点金属である。
図4に示すように、回転式ホイルトラップ43の複数のホイルFは、プラズマP(発光点)から第2の真空チャンバ20に向かうEUV光1を遮らないように、EUV光1の光線方向に平行に配置される。すなわち、各ホイルFが中心支柱60の中心軸線C0を含む平面上に配置された回転式ホイルトラップ43は、中心支柱60の中心軸線C0の延長線上にプラズマP(発光点)が存在するように配置される(図11参照)。これにより、中心支柱60および外側リング61を除けば、EUV光は各ホイルFの厚みの分のみ遮光され、回転式ホイルトラップ43を通過するEUV光1の割合(透過率ともいう)を最大にすることが可能となる。
[回転式ホイルトラップカバー]
図5は、回転式ホイルトラップカバー44の構成例を示す模式的な断面図である。図6は、回転式ホイルトラップカバー44の構成例を示す模式的な正面図である。回転式ホイルトラップカバー44は、回転式ホイルトラップ43の外周部を包囲して、回転式ホイルトラップ43から飛散するデブリを捕集する。回転式ホイルトラップカバー44を設けることで、回転式ホイルトラップ43により捕捉されたデブリが第1の真空チャンバ10の内部に飛散するのを防止することが可能となる。
以下では、EUV光1が入射する側(プラズマPに向けられる側)を入射側と記載し、その反対側を出射側と記載する。回転式ホイルトラップカバー44は、入射側開口部KI、出射側開口部KO、及び出射側開口部KO'を備える。
入射側開口部KIは、回転式ホイルトラップ43に入射するEUV光が遮光されない位置に設けられる。出射側開口部KOは、第2の仕切り板17の開口部17aを通過して入射側開口部KIに侵入するEUV光1が遮光されない位置に設けられる。出射側開口部KOを通過したEUV光1は、第2の真空チャンバ20に導入される光となる。出射側開口部KO'は、第2の仕切り板17の開口部17bを通過して入射側開口部KIに侵入するEUV光1が遮光されない位置に設けられる。出射側開口部KO'を通過したEUV光1は、第1の光量モニタ25aに導入される光となる。
また回転式ホイルトラップカバー44の出射側の面には、回転式ホイルトラップ43の回転軸となる軸部材63を通す貫通孔64が設けられる。なお貫通孔64の端部は、例えば第1の真空チャンバ10の内壁等に接続され、解放端にはならない。また回転式ホイルトラップカバー44の下部には、デブリを排出するための排出管65が設けられる。
回転式ホイルトラップ43により捕捉されたデブリの少なくとも一部は、遠心力により回転式ホイルトラップ43のホイルF上を径方向に移動し、ホイルFの端部から離脱して、回転式ホイルトラップカバー44の内面に付着する。回転式ホイルトラップカバー44は、図示しない加熱手段(カバー加熱部)や、EUV光の放射に伴う輻射によって加熱され、当該加熱により回転式ホイルトラップカバー44の内面に付着したデブリは固化せず、液相状態を保持する。回転式ホイルトラップカバー44の内面に付着したデブリは、重力により回転式ホイルトラップカバー44の下部に集まり、排出管65を介して回転式ホイルトラップカバー44の外に排出されて廃原料となる。廃原料となったデブリは、図示しないデブリ収容部に収容される。
回転式ホイルトラップカバー44の内部空間は、回転式ホイルトラップ43を収容することが可能なサイズである。これは、第2の真空チャンバ20につながる出射側開口部KOの直径に比べて、十分に大きいサイズとなる。このように、出射側開口部KOから見ると、真空路13となる空間の広さ(経路方向と交差する断面積)が急激に広がることになる。これに加え、回転式ホイルトラップの回転の効果も相まって、バッファガス2の圧力を急激に低下させることが可能となっている。
[固定式ホイルトラップ]
図7は、固定式ホイルトラップ45の構成例を示す模式的な断面図である。図8は、固定式ホイルトラップ45の構成例を示す模式的な正面図である。固定式ホイルトラップ45は、複数のホイルFを固定したホイルトラップFTであり、回転式ホイルトラップ43の下流側に配置され、回転式ホイルトラップ43を通過したデブリを捕捉する。固定式ホイルトラップ45は、第1の真空チャンバ10の貫通孔12から取り出されるEUV光1の光線束(EUV取出光)が通る中心経路を基準に配置される。中心経路は、例えばプラズマPの発光点と貫通孔12の中心点とを結ぶ経路である。
図7は、EUV光の中心経路に沿って固定式ホイルトラップ45を切断した図である。また図8は、EUV光の中心経路の方向から固定式ホイルトラップ45を見た図である。図7および図8に示すように、固定式ホイルトラップ45は、真空路13に配置される複数のホイルFと、複数のホイルFを固定する固定枠66とを備える。本実施形態では、固定枠66は、固定部材に相当する。
図8に示すように、複数のホイルFは、EUV光1の中心経路の方向から見て、それぞれ等間隔に配置される。また、固定枠66は、例えば、正面から見て矩形状となっている。なお、固定枠66の外形は、任意の形状であってよい。さらに、複数のホイルFは、図7に示すように、中心経路に沿って切断した断面では、EUV光の光線方向に伸びるように放射状に配置される。
固定式ホイルトラップ45の複数のホイルFは、固定式ホイルトラップ45が配置された空間を細かく分割することにより、その部分のコンダクタンスを下げる働きをする。例えば固定式ホイルトラップ45には、高圧力領域14からバッファガス2が供給される。バッファガス2は、固定式ホイルトラップ45を流れにくいため、ホイルFの間に滞留しやすくなる。
回転式ホイルトラップ43で捕捉できなかった高速のデブリは、固定式ホイルトラップ45に滞留したガスとの衝突確率が上がるために速度が低下する。また、ガスとの衝突によりデブリの進行方向も変わる。固定式ホイルトラップ45は、このようにして速度が低下して進行方向が変わったデブリを、ホイルFまたは固定枠66により捕捉する。このように、回転式ホイルトラップ43と固定式ホイルトラップ45とを設けることで、デブリを十分に捕捉することが可能となる。
また、固定式ホイルトラップ45は、そのコンダクタンスが低いため、第2の真空チャンバ20へのバッファガス2の流出、及び、第2の真空チャンバ20からのバッファガス2の流入を制限する。これにより、例えば高圧力領域14のバッファガス2が漏れにくくなるとともに、第2の真空チャンバ20の圧力変化も、高圧力領域14の圧力に影響を与えにくくなる。これにより、第2の真空チャンバ20の圧力に係わらず、高圧力領域14を維持することが可能となる。
[固定式ホイルトラップカバー]
図9は、固定式ホイルトラップカバーの構成例を示す模式的な断面図である。図10は、固定式ホイルトラップカバーの構成例を示す模式的な正面図である。固定式ホイルトラップカバー46は、固定式ホイルトラップ45を包囲するカバーであり、固定式ホイルトラップ45を回転式ホイルトラップカバー44に接続する部材である。固定式ホイルトラップカバー46は、開口部67及び導入口47が設けられた支持板68と、支持板68の外縁からEUV光1出射側に延びる包囲部69とを有する。
支持板68は、固定式ホイルトラップ45が固定される板である。包囲部69は、固定式ホイルトラップ45の側面を囲むように形成される。支持板68に設けられた開口部67は、EUV光1の入射口である。また支持板68の内部には、開口部67と連通するように、バッファガス2を導入するための導入口47が設けられる。ここでは、開口部67を挟んで互いに反対側となる位置に2つの導入口47が設けられる。導入口47からバッファガス2が供給されることで、開口部67を構成する空間は、高圧力領域14となる。
図11は、デブリ低減装置40の構成例を示す模式的な断面図である。図11に示すデブリ低減装置40は、上記した回転式ホイルトラップ43、回転式ホイルトラップカバー44、固定式ホイルトラップ45、及び固定式ホイルトラップカバー46を組み立てて構成される。
具体的には、回転式ホイルトラップカバー44の内部に、回転式ホイルトラップ43が配置される。また回転式ホイルトラップカバー44の後方には、出射側開口部KOと開口部67とが重なるように、固定式ホイルトラップカバー46の支持板68が接続される。また固定式ホイルトラップカバー46の内部では、支持板68の開口部67を覆うように固定式ホイルトラップ45の固定枠66が接続される。また、固定式ホイルトラップカバー46の後端は、図示しないフランジ等を介して、第2の真空チャンバ20の貫通孔22に接続される。
このような構成により、デブリ低減装置40内部の高圧力領域14を通る真空路13により、第1の真空チャンバ10と第2の真空チャンバ20とが接続される。以下では、デブリ低減装置40を用いた場合の、光源装置100内の圧力について具体的に説明する。
[光源装置内の圧力]
図12は、光源装置内の圧力のシミュレーション結果を示すグラフである。このシミュレーションには、図11に示すデブリ低減装置40のモデルを形成し、モデルにおける圧力の分布を算出した。図12には、EUV光1の中心経路Oに沿った圧力のプロファイルを図示している。グラフの横軸は、中心経路Oに沿った距離である。ここでは、プラズマPから第2の真空チャンバ20内の測定端までの距離Dに対する相対距離を用いている。グラフの縦軸は、各位置での圧力[Pa]である。
またグラフ上の点Oaは、プラズマPの発生位置に対応する。点Obは、真空路13の入射端(回転式ホイルトラップカバー44の入射側開口部KI)に対応する。点Ocは、高圧力領域14(支持板68の開口部67)に対応する。点Odは、真空路13の出射端(固定式ホイルトラップ45の後端)に対応する。
図12には、第2の真空チャンバ20の圧力P2を0.7Paに設定した場合の圧力プロファイル(実線のグラフ)と、P2を5Paに設定した場合の圧力プロファイル(点線のグラフ)とが示されている。なお、いずれのグラフにおいても第1の真空チャンバ10を排気する第1の真空ポンプ54の排気量およびバッファガス2の流量は一定値に設定してシミュレーションを行った。結果として第1の真空チャンバ10の圧力P1は3Paになった。
例えば、点Ocを中心とする斜線の領域では高い圧力が維持される。この斜線の領域が、高圧力領域14である。例えば回転式ホイルトラップカバー44の入射側開口部KIと、固定式ホイルトラップカバー46の開口部67とが形成する領域が、高圧力領域14となる。このシミュレーションから、P2=0.7Paとした場合に、点Oa近傍の圧力に対して高圧力領域14の圧力Phは18Pa以上になる。
高圧力領域14から第2の真空チャンバ20側の点Odまでは、固定式ホイルトラップ45が設けられ、圧力が略一様に低下する。また、高圧力領域14から第1の真空チャンバ10側の点Obまでは、回転式ホイルトラップ43を含む回転式ホイルトラップカバー44が設けられるが、この場合も点Obにかけて圧力が低下する。なお圧力の勾配が屈曲している部分は、回転式ホイルトラップ43の入射側の端部に対応する。点Obに至るまでの圧力の減少は、回転式ホイルトラップカバー44内にバッファガス2が急激に広がることで生じる。
ここで、第2の真空チャンバ20の圧力P2が0.7Paである状態から、P2が5Paである状態に圧力が増加したとする。高圧力領域14の圧力Phは、P2の増加に伴い多少増加する。ここでは、Phの増加量は、0.5Pa程度であり、P2の増加量(4.3Pa)に比べると1/8程度となる。このように、Phの変化量は、P2の変化量に比べて十分に小さい。つまり、第2の真空チャンバ20の圧力P2の変化は、高圧力領域14と回転式ホイルトラップ43でのガス拡散効果により、ほとんど吸収されてしまい、第1の真空チャンバ10には伝わりにくい。
さらに、P2が増加しても、高圧力領域14から第1の真空チャンバ10側の圧力の分布はほとんど変化しない。例えば点Oaから点Obまでの圧力(プラズマPからデブリ低減装置40の入射端までの圧力)は、P2の増減に係わらず略一定(3Pa程度)である。これは、第2の真空チャンバ20の圧力P2によらず、第1の真空チャンバ10の圧力P1が略一定であることを意味する。
このように、デブリ低減装置40では、真空路13を遮るように高圧力領域14を発生させることで、P1とP2とを分離することが可能となる。この結果、EUV光の導入側の圧力P2の変化による光源側の圧力P1の変化を抑制することが可能となる。
またデブリ低減装置40でのデブリ捕捉能力を踏まえて、高圧力領域14の圧力Phは、第1の真空チャンバ10の圧力P1の6倍以上の圧力に設定することが好ましい。これにより、プラズマPからのデブリを十分に捕捉しつつ、第1の真空チャンバ10の圧力P1を確実に維持することが可能となる。
図13は、第1の真空チャンバ10及び第2の真空チャンバ20の圧力の関係を示すグラフである。図13には、光源装置100において実測した第1の真空チャンバ10の圧力P1と、第2の真空チャンバ20の圧力P2との関係が示されている。グラフの縦軸はP1であり、横軸はP2である。ここでは、P1がおよそ2Paとなるように第1の真空チャンバ10の排気量を一定にした状態で、第2の真空チャンバ20の圧力P2を変化させた。
図13のグラフに示すように、第2の真空チャンバ20の圧力P2を20Pa以下の範囲で変化させても、第1の真空チャンバ10の圧力P1は2Pa前後の値を示すことがわかった。すなわち、デブリ低減装置40を挟んで下流側は、圧力が高いにも関わらず、プラズマPが発生している上流側の空間の圧力は設定値からほとんど変化しない。つまり、第2の真空チャンバ20の圧力P2の高い・低いにかかわらず、プラズマPが発生している第1の真空チャンバ10の圧力P1を一定にできていることが分かった。
また図13に示す圧力を測定する際には、高圧力領域14に供給されるバッファガス2の流量を図12に示すシミュレーションで用いた流量と同程度に設定した。このため、高圧力領域14の圧力Phは、20Pa程度となっている。従って、デブリ低減装置40は、第2の真空チャンバの圧力P2が少なくとも高圧力領域Phの圧力以下の範囲で変化する際に、第1の真空チャンバ10の圧力を実質的に変化させないと言える。これにより、例えば第2の真空チャンバの圧力が変化しても、第1の真空チャンバの圧力を十分に維持することが可能となる。
[EUV光とバッファガスによるスパッタ]
ここまでは、主に、光源装置100における圧力の特性について説明した。以下では、光源装置100においてEUV光1とバッファガス2により生じるスパッタについて説明する。
一般に、EUV光1を扱う光学系は、プラズマPから放散されるデブリや、炭素系の付着物(カーボンコンタミ)により汚染され、性能が低下する可能性がある。またチャンバ内を飛翔する高速のデブリが光学系に衝突することで、光学系の表面に設けられた反射膜等が削られる可能性もある。この対策として、高速のデブリについては、例えばバッファガス2と衝突させて低減する方法が知られている。また光学系に付着したデブリやカーボンコンタミは、活性ガス等のラジカルを利用して除去する方法が知られている。
本発明者は、バッファガス2であるアルゴンガスの圧力分布と、デブリ低減装置40(DMT)とを利用して、デブリ低減装置40より下流の光学素子21等を保護する方法を検討した。この方法は、例えば、低速のデブリを回転式ホイルトラップ43で捕捉し、高速のデブリをバッファガス2で減速して固定式ホイルトラップ45で捕捉するものである。
一方で、デブリ低減装置40により捕捉されなかったデブリが、第2の真空チャンバ20に侵入することもあり得る。この場合、デブリ低減装置40の下流の光学素子21に高速のデブリが衝突して光学素子21がスパッタされるといった可能性がある。そこで、デブリによる光学素子21のスパッタが抑制されることを期待して、光学素子21の周辺のアルゴンガスの圧力(第2の真空チャンバ20の圧力)を上げたところ、逆に光学素子21に対するスパッタが促進されることが分かった。
このように、本発明者は、アルゴンガスを導入することでスパッタが生じる点を見出した。これは、EUV光1により電離(イオン化)したアルゴンガスが光学素子21に衝突することで、光学素子21の表面がスパッタされたものと考えられる。例えば、EUV光1が照射されることでアルゴンガスが電離してプラズマ(EUV誘起プラズマ)が形成される。EUV誘起プラズマが形成されると、アルゴンイオンが光学素子21に向かって加速され、光学素子21の表面にイオンが衝突してスパッタが発生する。イオンが加速される原因としては、EUV誘起プラズマと光学素子21との間に電位差が生じているためであると考えられる。このように、バッファガス2として、EUV光1により電離する電離ガス(ここではアルゴンガス)を用いることで、電離ガスによるスパッタを実現することができる。以下では、スパッタの実験結果について説明する。
[スパッタの実験]
図14は、スパッタの実験に用いたサンプルの配置例を示す模式図である。図14A及び図14Bに示すように、実験ではデブリ低減装置40の下流側に配置されるステージ26上にスパッタ用のサンプル27を配置した。ここでは、ルテニウム(Ru)の薄膜を形成したサンプル27として、サンプル27に対するスパッタレートを測定した。ルテニウムの薄膜は、例えばEUV光1を反射する反射面等に用いられる材料である。
図14Aでは、EUV光1の中心経路Oに対してステージ26の傾斜角度を約20°に設定した。またEUV光1を放射するプラズマPが発生する第1の真空チャンバ10の圧力P1(デブリ低減装置40の図中左側のエリアの圧力)は、約2Paとした。またサンプル27が配置される第2の真空チャンバ20の圧力P2(デブリ低減装置40の図中左側のエリアの圧力)は、約0.5Paから約11Paの範囲で設定した。
また図14Aに示すように、ステージ26には、EUV光1が照射されるように5つのサンプル27を配置した。以下では、これらのサンプル27をプラズマPに近い側から順番に、Sample1、Sample2、Sample3、Sample4、Sample5と記載する。プラズマPとSample1のプラズマP側の端部との距離は、約35cmとした。またSample1~Sample5の間隔は約5cmとした。
図14Bでは、EUV光1の中心経路Oに対してステージ26の傾斜角度を約25°から約45°の間で設定した。また第1の真空チャンバ10の圧力P1は、図14Aと同様に約2Paとした。また第2の真空チャンバ20の圧力P2は、約13Paから約19Paの範囲で設定した。ステージ26には、EUV光1が照射されるように1つのサンプル27(Sample6と記載する)を配置した。プラズマPとSample6のプラズマP側の端部との距離は、図14AのSample1の場合と同様に、約35cmとした。
図15は、スパッタレートと圧力との関係を示すグラフである。グラフの横軸は、第2の真空チャンバ20の圧力P2[Pa]である。また、グラフの縦軸は、スパッタレートである。なおスパッタレートの単位には、nm/Gpulseを用いている。これはプラズマPの発光回数(電力パルスの回数)が1×109回である場合にスパッタされる膜厚(nm)を表している。
図15に示す各ポイントのうち、右端のポイント以外は、図14Aに示すSample1について、スパッタレートを評価したものであり、傾斜角が約20°での結果である。また、右端のポイントは、図14Bに示すSample6について、傾斜角を約25°に設定してスパッタレートを評価した結果である。なお、いずれのポイントも、プラズマPからの距離は、約35cmとした。
図15に示すように、第2の真空チャンバ20の圧力P2が、6Pa以下の場合には、ルテニウム薄膜に対するスパッタレートは、圧力を変えても大きく変化せず、およそ5nm/Gpulse以下となる。これに対し、P2が6Pa以上になると、圧力の増加に伴い、スパッタレートが上昇することが確認された。
図16は、スパッタレートと圧力とサンプル位置との関係を示すグラフである。図16には、図14Aに示す5つのサンプル27(Sample1~Sample5)について、第2の真空チャンバ20の圧力P2を0.7Pa、2.0Pa、5.5Pa、及び11Paにした場合のスパッタレートが角柱を用いた棒グラフにより図示されている。なお、P2=11Paの条件については、Sample1、Sample3、及びSample5のデータだけを示している。
例えば、Sample1についてのスパッタレートは、P2が5.5Paまでの範囲ではスパッタレートが低いが、P2=11Paの場合には、それまでの値と比べスパッタレートが大幅に増大する。同様に、Sample3及びSample5についても、P2が5.5Pa以下の範囲では、スパッタレートが低いが、P2=11Paの場合には、スパッタレートの大幅な増大が見られる。ここから、図15に示すデータと同様に、一定の圧力以下では、十分なスパッタレートが得られず有意なスパッタが生じないことがわかる。
また例えば、P2=0.7Paの場合、プラズマPに近いSample1でスパッタレートが最も大きく、プラズマPから離れるほどスパッタレートが低下し、例えばSample5ではスパッタレートは略0となる。すなわち、プラズマPから離れるほどスパッタレートが低下することがわかる。これは、スパッタレートが全体に低い他の圧力(P2=2.0PaやP2=5.5Pa)でも同様である。またスパッタレートが増大する圧力(P2=11Pa)でも、プラズマPから離れるほどスパッタレートが低下する。ここから、圧力P2に関係なく、プラズマPからの距離が大きいほどスパッタレートが低下することがわかる。
図17は、スパッタレートとプラズマの発光周波数との関係を示すグラフである。図17には、プラズマP(EUV光1)の発光周波数に対するスパッタレートの周波数依存性を示す。ここでは、図14Bに示すSample6について、発光周波数を3000Hz及び6000Hzにしてスパッタレートを測定した。なお、第2の真空チャンバ20の圧力P2は約13Paとし、サンプル27の傾斜角は約25°とした。
図17に示すように、発光周波数が3000Hzの場合に比べ、6000Hzの場合には、スパッタレートが上昇した。すなわち、発光周波数に応じてスパッタレートが上昇することが確認できた。一般に、発光周波数を上げると、EUV光1の平均パワー(光量)が増加し、EUV光1により電離するアルゴンの総数、すなわち、EUV光1により生成されたアルゴンイオンの総数が増加する。図17では、このような理由でスパッタレートが上昇したものと考えられる。
例えば、発光周波数を低く設定している場合、P2の値を発光周波数が高い場合と同じ圧力に設定するとスパッタの速度が遅くなる。このような場合には、P2を高くして、クリーニングのスピードを確保することができる。逆に、P2の調整が難しい場合等には、発光周波数を調整して、スパッタレートを変えることもできる。
[スパッタによるクリーニング運転]
EUV光1により電離した電離ガス(バッファガス2)によるスパッタ現象は、光源装置100においては第2の真空チャンバ20に設けられた光学素子21の表面を削る効果がある。すなわち、スパッタを利用することで、光学素子21に付着したデブリやカーボンコンタミを除去し、光学素子21をスパッタクリーニングすることが可能となる。
本発明者は、この点に着目し、光源装置100に対して、EUV光1を利用装置等に供給する通常運転に加え、バッファガス2である電離ガスによるクリーニング運転を行う機能を持たせた。すなわち、光源装置100は、通常運転と、クリーニング運転とが可能である。
通常運転は、例えばプラズマP(EUV光1)を安定的に発生させて、利用装置等にEUV光1を供給する運転である。すなわち通常運転は、光源装置100の本来の目的であるEUV光1の光源としての動作を行う運転である。以下では、通常運転時の第2の真空チャンバ20の圧力P2を通常圧力P2nと記載する場合がある。本実施形態では、通常圧力P2nは第1の圧力に相当する。
通常運転時の第1の真空チャンバ10の圧力P1は、EUV光1が安定する圧力P0に設定される。P0は、典型的にはプラズマPが安定して生成される圧力であり、例えば2Pa程度である。なおP0の具体的な値は限定されない。例えばプラズマ原料の種類や、放電の条件等に応じて、プラズマPを安定して生成可能な圧力がP0に設定されてよい。本実施形態では、EUV光1が安定する圧力P0は、第3の圧力に相当する。
クリーニング運転は、通常運転とは異なり、スパッタによる光学素子のクリーニングを行う運転である。光源装置100では、通常運転とクリーニング運転とが適宜切り換えて実行される。以下では、クリーニング運転時の第2の真空チャンバ20の圧力P2をクリーニング圧力P2cと記載する場合がある。本実施形態では、クリーニング圧力P2cは、第2の圧力に相当する。
上記したように光源装置100では、第1の真空チャンバ10の圧力P1を維持したまま、第2の真空チャンバ20の圧力P2(光学素子21の周辺の圧力)だけを変えることが可能である。この特性を利用することで、プラズマP側の圧力P1を変えずに、光学素子21に対するスパッタ量をコントロールすることが可能となる。
例えば第2の真空チャンバ20に設けられた光学素子21が光源であるプラズマPより飛来するデブリ等で汚染された場合には、第1の真空チャンバ10において光源の点灯動作を行ったまま、第2の真空チャンバ20の圧力P2を変化させることで、光学素子21に付着したデブリ等をスパッタ現象により削り、光学素子21をクリーニングすることが可能である。このように、光源装置100では、例えばEUV光1を安定して発生させたまま、第2の真空チャンバ20に設けられた光学素子21等をクリーニングすることができる。
図15及び図16等を参照して説明したように、バッファガス2によるスパッタは、第2の真空チャンバ20の圧力P2が一定の圧力よりも高い場合に発生する。従ってその圧力よりも低い圧力では、スパッタはほとんど生じない。このため、通常圧力P2nには、スパッタが生じない圧力を設定し、クリーニング圧力P2cには、P2nよりも高く、有意なスパッタが生じる圧力を設定することになる。
すなわちクリーニング運転は、通常運転時の圧力である通常圧力P2nに維持された第2の真空チャンバ20にバッファガス2を導入し、第2の真空チャンバ20の圧力を通常圧力P2nよりも高いクリーニング圧力P2cまで上昇させ、クリーニング圧力P2cを維持した状態で、第2の真空チャンバ20内に配置された光学素子21に対し、EUV光1により電離したバッファガス2によるスパッタを行う運転である。
このように、クリーニング運転では、第2の真空チャンバ20の圧力P2を通常圧力P2nからクリーニング圧力P2cに上昇させてスパッタが行われる。この方法では、例えば第2の真空チャンバ20の排気量等を調整するだけで、容易にクリーニング運転を行うことが可能である。
なお、第2の真空チャンバ20の圧力が変化する場合でも、デブリ低減装置40の高圧力領域14の作用により、第1の真空チャンバ10の圧力P1はほとんど変化せず、EUV光1が安定する圧力P0に維持される。従って、クリーニング運転を開始する場合や、通常運転に戻る場合において、第1の真空チャンバ10の排気量等を調整する必要は無い。
本実施形態では、クリーニング圧力P2cは、6Pa以上に設定される。例えば図15を参照すると、6Pa以上であれば、スパッタレートが圧力に応じて上昇することがわかる。従って、6Pa以上の範囲でクリーニング圧力P2cを設定することで、例えば所望のスパッタレートでのスパッタを行うことが可能となる。
またクリーニング圧力P2cは、第1の真空チャンバ10に設定されるEUV光1が安定する圧力P0の3倍以上の圧力に設定されることが好ましい。例えばP2cがP0と同程度の圧力では、十分なスパッタレートを実現することが難しいが、3倍以上の圧力とすることで比較的高いスパッタレートを実現することができる。これにより、光学素子21のクリーニング時間を短縮するといったことが可能となる。
一方で、第2の真空チャンバ20の通常圧力P2nは、例えばEUV光1が安定する圧力P0と同程度の圧力に設定される。この場合、スパッタレートを十分に下げることが可能であり、通常運転時には有意なスパッタが生じないような状態を維持することができる。これにより、通常運転中に不必要に光学素子21がスパッタされるといった事態を回避することが可能となる。
クリーニング運転では、第2の真空チャンバ20をクリーニング圧力P2cに維持した状態で、光学素子21がスパッタされる。例えばクリーニング圧力P2cに応じたスパッタレートと、目的とするスパッタ量とに基づいてスパッタ時間が算出される。そしてスパッタ時間だけ、クリーニング圧力P2cが維持される。あるいは、光学素子21の特性(反射光の光量等)が汚染前の状態に戻るまで、クリーニング圧力P2cを維持するといったことも可能である。
またスパッタ工程には、クリーニング圧力P2cを維持した状態で、EUV光1の光量を通常運転時のEUV光1の光量から変化させる工程が含まれてもよい。例えば、図17を参照して説明したように、EUV光1の光量(平均パワー)を変化させた場合にもスパッタレートの調整が可能である。従って、この工程では、EUV光1の光量を変化させることが可能な任意のパラメータが調整される。
例えば、図17の場合と同様に、発光周波数を調整してもよい。この場合、スパッタレートを増加させる場合には、発光周波数を増加させればよい。また、レーザビームLBの照射強度を調整してもよいし、放電電極EA及びEBに印加するパルス電力(充電エネルギー)を調整してもよい。レーザビームの照射強度やパルス電力は、その値を増加させることで、スパッタレートを増加させることが可能である。
また、スパッタ工程において、スパッタレートを変化させる他の条件が適宜変更されてもよい。例えば、光学素子21の位置をプラズマに近づけることで、スパッタレートを増加させてもよい。また、図14A及び図14Bでの実験から、サンプル27の傾斜角度を変えることでスパッタレートを調整できることがわかった。すなわち、スパッタレートを調整するために、光学素子21等に対するEUV光1の照射角度を調整してもよい。この場合、照射角度を浅くすることで、スパッタレートを下げることができる。この他、スパッタ工程において調整されるパラメータの種類は限定されない。
[光源装置の動作]
図18は、光源装置100の動作例を示すフローチャートである。図18に示す処理は、本実施形態に係るクリーニング方法を実行するための処理である。以下では、第2の真空チャンバ20に設けられた光学素子21をクリーニングする場合を例に挙げて説明する。
クリーニング運転を行うかどうかの判定には、光学素子21を通過したEUV光1の光量を検出する第2の光量モニタ25b(図2参照)の検出結果が用いられる。すなわち、図18に示す処理では、通常運転及びクリーニング運転が、第2の光量モニタ25bの検出結果に基づいて切り替えて実行される。
図18に示す処理は、光源装置100のコントローラ等を用いて自動的に行われてもよい。この場合、第2の光量モニタ25bの検出結果をもとに、圧力等が自動的に制御される。また、光源装置100のユーザが第2の光量モニタ25bの検出結果を確認することで、圧力等の制御を手動で行うようにしてもよい。また第2の光量モニタ25bの検出結果を読み込んだコントローラから、ユーザに対してクリーニング運転を行うための指示を出力するようにしてもよい。
まず、通常運転が実行される(ステップ101)。通常運転では、第1の真空チャンバ10の圧力P1は、EUV光1を安定する圧力P0に設定される。また第2の真空チャンバ20の圧力P2は、通常圧力P2nに設定される。これにより、安定したEUV光1を利用装置等に供給することができる。
次に、クリーニング運転を開始するか否かが判定される(ステップ102)。具体的には、第2の光量モニタ25bが検出した光量(光学素子21を通過したEUV光1の光量)が、所定の閾値(開始判定閾値)よりも低いか否かが判定される。開始判定閾値は、例えば通常運転において利用装置等に供給されるEUV光1の光量の下限値である。この他、開始判定閾値の設定方法は限定されない。本実施形態では、開始判定閾値は、第1の閾値に相当する。
例えば光量が開始判定閾値以上である場合、光学素子21の汚れは許容できる範囲であるとして、クリーニング運転を開始しないと判定される(ステップ102のNo)。この場合、ステップ101に戻り通常運転が継続される。
一方、光量が開始判定閾値よりも低い場合、光学素子21の汚れは許容できないレベルに達したものとして、クリーニング運転を開始すると判定される(ステップ102のYes)。この場合、第2の真空チャンバ20の圧力を上昇させる圧力上昇工程が実行される(ステップ103)。
圧力上昇工程は、プラズマPを発生させた状態で、通常運転時の圧力である通常圧力P2nに維持された第2の真空チャンバ20にEUV光1により電離する電離ガス(バッファガス2)を導入し、第2の真空チャンバ20の圧力P2を通常圧力P2nよりも高いクリーニング圧力P2cまで上昇させる工程である。例えば、第2の真空チャンバ20の排気量が少なくして、P2=P2cとなるように第2の真空バルブ52が調整される。また例えば、第2の真空チャンバ20に流入するバッファガス2の流量が増加するように流量調整バルブが調整されてもよい。
第2の真空チャンバ20の圧力がクリーニング圧力に到達すると、光学素子21をスパッタするスパッタ工程が実行される(ステップ104)。スパッタ工程は、クリーニング圧力P2cを維持した状態で、第2の真空チャンバ20内に配置されたターゲットである光学素子21に対し、EUV光1により電離したバッファガス2によるスパッタを行う工程である。ここでは、第2の真空チャンバ20をクリーニング圧力P2cに維持することで、P2cに応じたスパッタレートで、光学素子21の表面がスパッタされ、デブリ等が除去される。
また、スパッタ工程では、クリーニング圧力P2cを維持した状態で、EUV光1の光量を通常運転時のEUV光1の光量から変化させる工程(光量調整工程)が実行されてもよい。光量調整工程は、例えば所望のスパッタレートが得られるように、EUV光1の光量を変化させることが可能なパラメータ(EUV光1の発光周波数、レーザビームLBの輝度、及びパルス電力等)を調整する工程である。
光量調整工程を導入することで、例えばクリーニング圧力P2cだけではスパッタレートの調整が難しいような場合でも、所望のスパッタレートを実現することが可能となる。なお、スパッタレートを調整する方法は限定されない。例えば光学素子21の位置(プラズマPからの距離)や、姿勢(EUV光1の照射角度)等が調整されてもよい。
このように、図18に示す処理では、第2の光量モニタ25bが検出した光量が開始判定閾値よりも低くなった場合に、圧力上昇工程とスパッタ工程とが実行される。これにより、光学素子21のクリーニングが必要になったタイミングで、クリーニング運転(圧力上昇工程及びスパッタ工程)を行うことが可能となる。また不必要なクリーニング運転を回避することも可能となる。
スパッタ工程が実行されると、クリーニング運転を終了するか否かが判定される(ステップ105)。具体的には、第2の光量モニタ25bが検出した光量が、所定の閾値(終了判定閾値)よりも高いか否かが判定される。終了判定閾値は、上記した開始判定閾値以上の値に設定される。本実施形態では、終了判定閾値は、第2の閾値に相当する。
例えば通常運転において利用装置等に供給されるEUV光1の光量の適正値が終了判定閾値に設定される。これによりEUV光1の光量を適正値に戻すことが可能となる。あるいは、EUV光1の光量の上限値が終了判定閾値に設定されてもよい。また、開始判定閾値と同じ値が終了判定閾値に設定されてもよい。この他、終了判定閾値の設定方法は限定されない。
第2の光量モニタ25bが検出した光量が終了判定閾値よりも低い場合、光学素子21の汚れが残っているとして、クリーニング運転を終了しないと判定される(ステップ105のNo)。この場合、ステップ104に戻りスパッタ工程が継続される。
一方、光量が終了判定閾値よりも高い場合、光学素子21が許容できるレベルにまでクリーニングされたものとして、クリーニング運転を終了すると判定される(ステップ105のYes)。この場合、第2の真空チャンバ20の圧力を下降させる圧力下降工程が実行される(ステップ106)。
圧力下降工程は、第2の光量モニタ25bが検出した光量が終了判定閾値よりも高くなった場合に、第2の真空チャンバ20の圧力P2を通常圧力P2nになるまで下降させる工程である。例えば、第2の真空チャンバ20の排気量が多くして、P2=P2nとなるように第2の真空バルブ52が調整される。また例えば、第2の真空チャンバ20に流入するバッファガス2の流量が減少するように流量調整バルブが調整されてもよい。
この工程は、例えば第2の真空バルブ52や流量調整バルブを通常運転時の状態に戻す工程であると言える。なお、スパッタ工程において、EUV光1の光量を変化させるパラメータや、光学素子21の位置・姿勢等を調整した場合には、通常運転時の状態に戻される。これにより、クリーニング運転を終了し、通常運転に戻ることが可能となる。
第2の真空チャンバ20の圧力P2が通常圧力P2nに戻ると、光源装置100の運転を停止するか否かが判定される(ステップ107)。例えばメンテナンス等で運転を停止する場合(ステップ107のYes)、光源装置100が停止される。また運転を停止しない場合(ステップ107のNo)、ステップ101に戻り通常運転が再開される。
このように、クリーニング運転では、光学素子21が置かれたデブリ低減装置40より下流の圧力(第2の真空チャンバ20の圧力P2)を変化させる運転である。これに対し、光源装置100は、デブリ低減装置40より下流の圧力を変えても、デブリ低減装置40より上流にあるプラズマPの発光点がある空間の圧力(第1の真空チャンバ10の圧力P2)が変わらない。つまり、クリーニング運転を行う場合でも、光源側では、主要な動作条件を変える必要がない。これにより、クリーニング運転が終了した場合には、速やかに通常運転に復帰することが可能となる。
[スパッタ領域とマスクの利用]
図19は、スパッタが生じるスパッタ領域について説明する模式図である。ここでは、EUV光1が照射されたバッファガス2によるスパッタが生じる領域(スパッタ領域70)を確認するために行った実験について模式図を用いて説明する。なおスパッタ領域70とは、スパッタ現象により実際にサンプル27の表面がエッチングされる領域のことである。
図19の左側の図は、スパッタされる前のサンプル27の状態を示す模式図である。実験では、第2の真空チャンバ20に導入されるステージ26に板状のサンプル27をボルトで固定した。サンプル27としては、表面が酸化さているタングステン(W)の薄膜を使用した。サンプル27の表面に形成された酸化タングステンは、金属光沢がなく黒色であった。ここでは、酸化タングステンの色を暗いグレーで模式的に図示している。
次に、図19の中央の図に示すように、サンプル27の一部がEUV光1の光路と重なるように第2の真空チャンバ20に導入し、P2=13Paとしてスパッタを行った。図中の点線の範囲は、EUV光1の光路を表している。実験では、サンプル27の設置場所をEUV光1の光路(EUV光1の照射範囲)の端に設定し、不純物を発生するような遮光部材を使わずに、サンプル27の左半分にだけEUV光1が照射されるようにした。
図19の右側の図は、スパッタされた後のサンプル27の状態を示す模式図である。EUV光1が照射されていないサンプル27の右半分では、酸化タングステンの黒色が残った。一方で、EUV光1が照射されたサンプル27の左半分では、金属光沢が確認された。つまり、EUV光1が照射された部位では、酸化タングステンがエッチングされたことになる。ここでは、酸化タングステンが除去されて露出したタングステンの色を明るいグレーで模式的に図示している。また、サンプル27において明るいグレーの領域が、スパッタ領域70となる。
このように、EUV光1が照射される領域が、スパッタによるエッチングが生じるスパッタ領域70となることが分かった。また、第2の真空チャンバ20の内部であっても、EUV光1が照射されない領域では、スパッタによるエッチングがほとんど発生しないことが分かった。つまり、EUV光1の照射を制限することで、スパッタ領域70を制限することが可能となる。以下では、遮光板を利用してEUV光1の照射を制限する構成について説明する。
図20は、遮光板を利用した光学系の構成例を示す模式図である。図20に示す光学系24aは、プラズマPから放射されデブリ低減装置40を通過したEUV光1を集光する光学系である。デブリ低減装置40の左側は、プラズマPが発生する第1の真空チャンバ10内の空間であり、デブリ低減装置40の右側は、光学系24aが配置される第2の真空チャンバ20内の空間である。
光学系24aは、筒形の集光ミラー71aと、遮光板72aとを有する。集光ミラー71aは、第2の真空チャンバ20に設けられる光学素子21の一例である。また光学系24aは、例えば図2を参照して説明した光源装置100に、遮光板72aを追加した構成となっている。
集光ミラー71aは、内側に回転対称な筒状の反射面を有し、反射面の中心軸がEUV光1の中心経路Oと一致するように配置される。また集光ミラー71aは、中心経路Oを軸として回転可能に支持される。遮光板72aは、板状の部材であり、デブリ低減装置40を通過して集光ミラー71aに向かうEUV光の一部を遮光する。ここでは、集光ミラー71aにおいてEUV光1が入射する領域の上半分を覆うように遮光板72aが配置される。なお、EUV光1が入射する領域の2/3の領域を覆うような遮光板72aや、3/4の領域を覆うような遮光板72aが用いられてもよい。
光学系24aでは、デブリ低減装置40を通過したEUV光1のうち、遮光板72aにより遮光されずに集光ミラー71aに入射したEUV光1が集光される。この場合、集光ミラー71aにおいてEUV光1が照射される反射面では、バッファガス2によるエッチングが生じる。このため、時間の経過とともに反射面の劣化が生じる可能性がある。一方で、遮光板72aにより遮光された反射面では、バッファガス2によるエッチングが生じないため、劣化の無い反射面を維持することができる。
例えば、それまでEUV光1を反射していた反射面の特性が悪化した場合には、集光ミラー71aを回転させて劣化の無い反射面を使用することができる。また集光ミラー71aは、中心経路Oを軸に回転されるため、集光ミラー71aの回転によりEUV光1の光路は変更されない。これにより、集光ミラー71aの交換等を行わなくても、集光性能を維持することが可能となり、例えばメンテナンス期間を延長するといったことが可能となる。
図21は、遮光板を利用した光学系の他の構成例を示す模式図である。図21に示す光学系24bは、例えば第1の真空チャンバ10に設けられ、プラズマPから放射されたEUV光1を集光する光学系である。光学系24bは、凹型の集光ミラー71bと、遮光板72bとを有する。
集光ミラー71bは、例えば回転曲面により構成される凹状の反射面を有し、反射面をプラズマPに向けて配置される。また集光ミラー71bは、反射面の中心軸Cの周りに回転可能に支持される。なお、集光ミラー71bは、中心軸Cの周りに回転した場合にEUV光1の集光位置が変化しないような構成であれば、複数のミラーで構成されてもよい。遮光板72bは、プラズマPから集光ミラー71bに向かうEUV光の一部を遮光する。ここでは、集光ミラー71bの下半分の反射面を覆うように遮光板72bが配置されるが、遮光板72bが覆う反射面の範囲は限定されない。
例えばプラズマPが発生する第1の真空チャンバ10においても、プラズマPの発光条件等によっては、集光ミラー71bのような光学素子を劣化させるようなスパッタが発生することが考えられる。光学系24bでは、例えば集光ミラー71bの反射面の特性が悪化した場合、図20の場合と同様に、集光ミラー71bを回転させて劣化の無い反射面を使用することができる。これにより、集光ミラー71bの交換等を行わなくても、集光性能を維持することが可能となる。
以上、本実施形態に係る光源装置100では、デブリ低減装置40により、プラズマPを発生させる第1の真空チャンバ10と、プラズマPからのEUV光1が導入される第2の真空チャンバ20とをつなぐ真空路13が形成される。さらに真空路13を遮るように、第1の真空チャンバ10の圧力P1及び第2の真空チャンバ20の圧力P2よりも圧力が高い高圧力領域14が形成される。これにより、例えば第2の真空チャンバ20での圧力の変化が高圧力領域14により吸収される。このため、EUV光1の導入側の圧力P2の変化による光源側の圧力P1の変化を抑制することが可能となる。
一般に、プラズマPから放射されるEUV光1等の放射光は、真空状態に維持された通路を通して利用装置に導入される。このため通路の途中に設けられた光学系のメンテナンスや利用装置側の条件変更等により、導入側の圧力を変化させると、それがプラズマP周辺の圧力の変化につながることが考えられる。この場合、プラズマPの発光条件が変化し、EUV光1等の放射光が不安定になる可能性がある。
本実施形態に係る光源装置100では、デブリ低減装置40の内部に、差動排気を可能にする高圧力領域14が形成される。これにより、EUV光1の導入側となる第2の真空チャンバ20の圧力P2の変化が、高圧力領域14のバッファガス2の流量により吸収され、プラズマPが発生する光源エリアとなる第1の真空チャンバ10の圧力P1に影響を与えない。もちろん、高圧力領域14を発生させるデブリ低減装置40では、プラズマPからのデブリを低減する機能も維持される。
これにより、第2の真空チャンバ20へのデブリの侵入を抑制するとともに、第2の真空チャンバ20の圧力P2の変化によりEUV光1が不安定になるといった事態を十分に回避することが可能となる。このため、例えば光学系のメンテナンスや利用装置側の条件変更等を行うために、第2の真空チャンバ20の圧力P2を変化させるような場合でも、EUV光1の発光動作を安定して行うことが可能となる。これにより、光源装置100やそれを利用する利用装置の操作性やメンテナンス性を向上することが可能となる。
さらに、本実施形態では、EUV光1を安定して供給しつつ第2の真空チャンバ20の圧力P2を変化させることができるという光源装置100の特性を利用して、第2の真空チャンバ20に設けられた光学素子21のスパッタによるクリーニングが行われる。
スパッタによるクリーニングでは、例えば第2の真空チャンバ20の圧力を増減させることでスパッタレートを変化させることが可能である。例えば、光学素子21等を損傷させたくない場合には、スパッタされにくい条件で装置が稼働される。また光学素子21等の汚染が許容レベルを超えた場合には、あえてスパッタを行う圧力に設定することで、汚れた表面をエッチングしてクリーニングすることが可能となる。
また、第1の真空チャンバ10において発光出力(EUV光1の光量)を増減させてもスパッタレートの調整が可能である。また光学素子21の位置や姿勢を変えることで、スパッタのむら等を改善することが可能である。また光学素子21の前方に遮蔽物を置いてスパッタしたい部分を限定するといったことも可能である。
このようなスパッタ現象を発生させる電離ガスとしては、EUV光1に対して比較的吸収の少ない希ガス(典型的にはアルゴンガス)が用いられる。すなわち、電離ガスは、EUV光1の光量をほとんど低下させないため、バッファガス2として利用することができる。逆に言えば、バッファガス2として利用可能なガスを、そのままスパッタを発生させる電離ガスとして利用することが可能となる。これにより、光学素子等のクリーニングを行うために、専用のガスを用意するといった必要がなくなり、システムの構成をシンプルにするとともに、装置コストやランニングコストを抑えることが可能となる。
例えばEUV光1の光学系をクリーニングする方法として、爆発性の高いガスや反応性が強いガスを用いた化学洗浄を行う方法がある。例えば、特許文献2では、金属の蒸気を用いた極端紫外光光源において、ホイルトラップやそれ以降の下流側に、水素ガスやハロゲンガスなどの反応ガスが供給される。そして光源から発生する真空紫外光や、専用の紫外光光源から発生する紫外光等を用いて反応性ガスを励起し、光学要素が洗浄される。
しかしながら、水素ガスは爆発性があるため使用することが危険である。また、ハロゲンガスは反応性が高く取り扱いが難しいガスである。このため、設備の安全の確保や装置容器の耐食などを確保するために、専門家による操作や設備のコストが必要となる。例えば反応性ガスを安全に、また装置に悪影響を及ぼすことなく排気するには、排気装置の前に反応性ガスを処理する装置を設ける必要がある。また光源や利用装置の内部に設けられる部材は、反応性ガスにより腐食される。このため、腐食に対する装置内部のメンテナンスや、反応性ガスに耐食性のある材料やコーティングを用いる必要がある。
また特開2007-13054号公報には、EUV光源を備える投影露光装置において、不活性ガスを利用して光学系を洗浄する方法が記載されている。この方法は、窒素ガス等の不活性ガスを冷却し、液体または固体になった不活性ガスを光学素子に噴射してその衝撃により付着した汚染物質をクリーニングする方法である。
しかしながら、窒素ガス等を液体あるいは固体にするには、少なくとも-50℃以下に冷却することが必要であり、この冷却には膨大な量の液体窒素など冷却媒体を必要する。また、金属の蒸気を用いた極端紫外光光源等では、光源から飛来する金属が、低温になっている箇所で冷却され固化することが考えられる。このように金属が固化すると光学経路や光源内部に設置している部材にさまざまな悪影響を及ぼす。また、気化している金属が冷却されると微小な金属粒子を発生させる可能性がある。このような金属粒子が真空排気系に入ると、排気系の寿命を大きく縮める要因となり得る。
これに対し、本発明者が見出したスパッタ現象では、希ガス等の不活性な電離ガス(バッファガス2)によるスパッタ(エッチング)が可能である。このように、不活性ガスを用いているので、安全に操作することが可能な光源装置100を実現できる。また、光源装置100では、反応性ガスを処理する機構や、反応性ガスを取り除く機構等は不要となる。このため反応性ガスを用いる装置等と比べて、装置コストを大幅に下げることが可能となる。また装置構成がシンプルになり、装置をコンパクトに構成することが可能となる。また電離ガスは活性ガスのような腐食を発生させない。このため、容器等の材質の選択幅が比較的広くなり、装置コストを抑えることが可能となる。
また冷却した不活性ガスを利用するような方法と違い、電離ガスを液体や固体に変えるための冷却設備等を設ける必要がなく、装置コストを下げることや、装置構成をシンプルにすることができる。また装置内には、極端に低温になるような箇所は存在しないため、スズ等の金属が集中的に固化するといった問題や、排気系に影響を与える金属粒子が増加するといった問題は発生しない。
また上記したように、電離ガスには、EUV光1に対して吸収の少ないガスを用いることができる。これにより、EUV光1を減光せずに、デブリ低減装置40の下流の部材をクリーニングすることが可能となる。この結果、例えば比較的高いスパッタレートが実現可能となり、短い時間でクリーニングを完了することが可能となる。
<その他の実施形態>
本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
上記の実施形態では、レーザビームLB及び放電によりプラズマ原料をプラズマ化するLDP方式の光源部が用いられた。光源部の種類は限定されず、プラズマから放射光を発生させる形式であれば、任意の形式が用いられてよい。
図22は、LPP方式の光源部の構成例を示す模式図である。図22には、レーザビームLBによりプラズマ原料を直接プラズマ化するLPP方式の光源部80が模式的に図示されている。光源部80は、第1の真空チャンバ10内に配置された回転体81と、回転体81にプラズマ原料Sを供給するコンテナCと、回転体81に供給されたプラズマ原料Sをプラズマ化するレーザビームLBを入射するレーザ源82とを有する。光源部80では、コンテナCは、原料供給部に相当し、レーザ源82は、エネルギービーム入射部に相当する。
回転体81は、プラズマPが生成される領域までプラズマ原料Sを輸送する。ここでは、円盤状の回転体81の主面にレーザビームLBが照射される。この照射位置が、プラズマPが発生する位置となる。図22に示すように、回転体81は、鉛直方向に沿って回転可能に支持される。なお回転体81は、鉛直方向から傾斜した状態で配置されてもよい。また回転体81の形状は円盤形状に限定されず、例えば多角形形状の回転体等が用いられてもよい。回転体81は、例えばタングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)等の高融点金属を用いて構成される。
コンテナCは、回転体81の下部が浸漬するように設けられ、回転体81に液体状のプラズマ原料Sを供給する。例えば回転体81の表面にはコンテナCに収容されたプラズマ原料Sが付着する。この状態で回転体81が回転することにより、レーザビームLBの照射位置にプラズマ原料Sが供給される。そして照射位置にレーザビームLBが入射することで、プラズマPが生成され、EUV光等の放射光が放射される。
このように、回転体81の一部をコンテナCに浸漬させるタイプの光源部80は、例えば光源モジュールの薄型化を図ることが可能である。またLPP方式では、図1を参照して説明したLDP方式の光源部とは異なり、回転体が1つだけでよく、またパルス電力を供給するための設備も不要である。これにより、装置を小型化することや、装置コストを抑制することが可能となる。
図23は、LPP方式の光源部の他の構成例を示す模式図である。図23に示す光源部90には、第1の真空チャンバ10内に設けられ、液体状のプラズマ原料Sを貯留した状態で回転する回転ドラム91が設けられる。光源部90は、回転ドラム91に貯留されたプラズマ原料SをレーザビームLBによりプラズマ化するLPP方式の光源モジュールである。
回転ドラム91は、上方に開口し液体状のプラズマ原料Sを貯留する貯留部92を有する。貯留部92には、図示しない原料供給部から、液体又は固体の状態でプラズマ原料Sが供給される。また回転ドラム91には、貯留部92に供給されるプラズマ原料Sを液体状態で維持するために、図示しない加熱機構が設けられる。加熱機構としては、電熱線等を利用して回転ドラム91を直接加熱するヒータが用いられる。また、輻射等を利用して外側から回転ドラム91を加熱するヒータ等が用いられてもよい。
回転ドラム91は、円盤状の基体93と当該基体93の一方の面に基体93の周縁に沿って形成された円環状の外壁部94とを有する。回転ドラム91では、基体93と外壁部94により囲まれた領域が液体状のプラズマ原料Sを貯留する貯留部92となる。回転ドラム91の貯留部92が形成される面とは反対側の面には、所定の回転軸を中心に回転する軸部材95が、回転ドラム91の中心軸と回転軸とが一致するように連結される。軸部材95は、図示を省略したモータにより回転駆動される。
回転軸を中心に回転ドラム91を連続的に回転すると、貯留部92に供給された液体状のプラズマ原料Sは、遠心力により外壁部94の内周面94a側に移動し、内周面94aに沿って分布する。また内周面94aに分布する液体状のプラズマ原料Sの膜厚は、回転体の回転速度に応じて調整される。
このように、回転ドラム91は、貯留部92の内周面94aに液体状のプラズマ原料Sを貯留する。また、貯留部92の内周面94aには、液体状のプラズマ原料Sをプラズマ化するレーザビームLBが照射される。これにより、レーザビームLBの照射位置にプラズマPが発生し、EUV光等の放射光が放射される。回転体として回転ドラム91を用いたタイプの光源部90では、例えば多量のプラズマ原料を貯留するコンテナ等を設ける必要がない。このため、プラズマ原料の加熱に要する電力等を抑制することができる。
上記の実施形態では、回転式ホイルトラップと固定式ホイルトラップとの両方を備えるデブリ低減装置について説明した。デブリ低減装置の構成は限定されず、例えば装置内に形成される真空路を遮るように高圧力領域を発生させることが可能な構成であれば、任意の構成が用いられてよい。
例えば、デブリ低減装置の第2の真空チャンバ側に配置する部材として、固定式ホイルトラップに代えて、コンダクタンスを下げるような他の部材が用いられてもよい。例えばメッシュ構造やハニカム構造によりコンダクタンスを下げる部材等が用いられてもよい。またEUV光のビーム径が小さい場合には、真空路を細くしてコンダクタンスを下げる部材等が用いられてもよい。
また例えば、デブリ低減装置の第1の真空チャンバ側には、回転式ホイルトラップ及び回転式ホイルトラップカバーを配置しなくてもよい。この場合、回転式ホイルトラップカバーのように、経路方向に交差する断面を急激に広げる筒状部材を設けることで、高圧力領域を維持することが可能となる。
また上記の実施形態では、スパッタを発生させる電離ガスとして、バッファガスを利用する構成について説明した。これに限定されず、例えばバッファガスと、電離ガスとが異なる種類のガスであってもよい。
例えば、バッファガスには窒素やヘリウム等の不活性ガスを使用し、電離ガスにはアルゴンガス等の希ガスを使用してもよい。この場合、例えば通常運転時には、バッファガス(窒素やヘリウム等)で高圧力領域等を発生させておき、クリーニング運転を行う場合にだけ、第2の真空チャンバに電離ガス(アルゴン等)を放出するようにしてもよい。このように電離ガスを必要な場合に導入する構成であっても、電離ガスによるスパッタを利用して光学素子等のクリーニングが可能である。
図1及び図2等を参照して説明した光源装置100では、第1の真空チャンバ10の内部にデブリ低減装置30を設けられた。デブリ低減装置を設ける部位は限定されない。例えば、第1の真空チャンバ及び第2の真空チャンバの外部にデブリ低減装置を設けてもよい。この場合、第1の真空チャンバの外壁と第2の真空チャンバの外壁とをつなぐようにデブリ低減装置が設けられる。また、第2の真空チャンバの内部にデブリ低減装置が設けられてもよい。
上記の実施形態では、真空路上に高圧力領域を発生させるデブリ低減装置を搭載した光源装置を用いて、プラズマからの放射光と電離ガスとを利用したスパッタを行う方法について説明したが、放射光と電離ガスとを利用したスパッタを行うための装置の構成は限定されない。
例えば、光源装置において、デブリ低減装置は、必ずしも真空路を形成しなくてもよい。この場合、プラズマが発生する空間(第1の真空チャンバ)と放射光が導入される空間(第2の真空チャンバ)とをつなぐ真空路がデブリ低減装置とは別部材により構成される。なおデブリ低減装置は、放射光の光路上に適宜配置される。このような光源装置であっても、放射光が導入される空間に電離ガスを放出することで、放射光と電離ガスとを利用したスパッタを行うことが可能である。
この他、スパッタを行うための光源装置の構成や、光源装置に搭載されるデブリ低減装置の構成は限定されず、例えば放射光が照射される領域に電離ガスを放出することが可能な任意の装置を利用して、上記したスパッタ現象を発生させることが可能である。
本開示において、「Aより大きい」「Aより小さい」といった「より」を使った表現は、Aと同等である場合を含む概念と、Aと同等である場合を含なまい概念の両方を包括的に含む表現である。例えば「Aより大きい」は、Aと同等は含まない場合に限定されず、「A以上」も含む。また「Aより小さい」は、「A未満」に限定されず、「A以下」も含む。
本技術を実施する際には、上記で説明した効果が発揮されるように、「Aより大きい」及び「Aより小さい」に含まれる概念から、具体的な設定等を適宜採用すればよい。
以上説明した本技術に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
P…プラズマ
1…EUV光
2…バッファガス
10…第1の真空チャンバ
13…真空路
14…高圧力領域
20…第2の真空チャンバ
21…光学素子
30、80、90…光源部
40…デブリ低減装置
41…筒状部材
42…コンダクタンス低減部
44…回転式ホイルトラップカバー
45…固定式ホイルトラップ
47…導入口
100…光源装置

Claims (23)

  1. 第1の真空チャンバと、
    前記第1の真空チャンバ内で光源となるプラズマを発生させる光源部と、
    前記プラズマから放散されるデブリを低減するデブリ低減装置であって、前記第1の真空チャンバと前記プラズマから放射される放射光が導入される第2の真空チャンバとをつなぎ前記放射光を通過させる真空路を形成し、前記真空路を遮るように前記第1の真空チャンバの圧力及び前記第2の真空チャンバの圧力よりも圧力が高くなる高圧力領域を発生させるデブリ低減装置と
    を具備する光源装置。
  2. 請求項1に記載の光源装置であって、
    前記デブリ低減装置は、前記高圧力領域と前記第2の真空チャンバとの間で前記真空路のコンダクタンスを下げるコンダクタンス低減部を有する
    光源装置。
  3. 請求項2に記載の光源装置であって、
    前記コンダクタンス低減部は、前記真空路に配置される複数のホイルと前記複数のホイルを固定する固定部材とを有する固定式ホイルトラップである
    光源装置。
  4. 請求項1に記載の光源装置であって、
    前記デブリ低減装置は、前記高圧力領域と前記第1の真空チャンバとの間に設けられ、前記真空路の経路方向と交差する断面が前記高圧力領域よりも大きい筒状部材を有する
    光源装置。
  5. 請求項4に記載の光源装置であって、
    前記デブリ低減装置は、複数のホイルと、前記複数のホイルを放射状に支持する回転部材とを有する回転式ホイルトラップを有し、
    前記筒状部材は、前記回転式ホイルトラップを囲む回転式ホイルトラップカバーである
    光源装置。
  6. 請求項1に記載の光源装置であって、
    前記デブリ低減装置は、前記第2の真空チャンバの圧力が少なくとも前記高圧力領域の圧力以下の範囲で変化する際に、前記第1の真空チャンバの圧力を実質的に変化させない
    光源装置。
  7. 請求項1に記載の光源装置であって、
    前記高圧力領域の圧力は、前記第1の真空チャンバの圧力の6倍以上の圧力である
    光源装置。
  8. 請求項1に記載の光源装置であって、さらに、
    前記第2の真空チャンバの圧力を変化させるバッファガスを導入する導入口と、前記第2の真空チャンバの圧力を調整する圧力調整機構とを具備する
    光源装置。
  9. 請求項8に記載の光源装置であって、
    前記高圧力領域は、前記バッファガスが導入される領域であり、
    前記導入口は、前記高圧力領域につながる第1の導入口を含む
    光源装置。
  10. 請求項8に記載の光源装置であって、さらに、
    前記第2の真空チャンバを具備し、
    前記導入口は、前記第2の真空チャンバに設けられる第2の導入口を含む
    光源装置。
  11. 請求項1から10のうちいずれか一項に記載の光源装置であって
    前記バッファガスは、前記放射光により電離する電離ガスであり、
    前記光源装置は、通常運転と、前記電離ガスによるクリーニング運転とが可能である
    光源装置。
  12. 請求項11に記載の光源装置であって、
    前記クリーニング運転は、前記通常運転時の圧力である第1の圧力に維持された第2の真空チャンバに前記電離ガスを導入し、前記第2の真空チャンバの圧力を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力まで上昇させ、前記第2の圧力を維持した状態で、前記第2の真空チャンバ内に配置されたターゲットに対し、前記放射光により電離した前記電離ガスによるスパッタを行う運転である
    光源装置。
  13. 請求項12に記載の光源装置であって、
    前記第2の圧力は、6Pa以上である
    光源装置。
  14. 請求項12に記載の光源装置であって、
    前記通常運転時の前記第1の真空チャンバの圧力は、前記放射光が安定する第3の圧力に設定され、
    前記第2の圧力は、前記第3の圧力の3倍以上の圧力である
    光源装置。
  15. 請求項11に記載の光源装置であって、
    前記電離ガスは、希ガスである
    光源装置。
  16. 請求項11に記載の光源装置であって、さらに、
    前記第2の真空チャンバと、前記第2の真空チャンバに設けられ前記放射光の光量を検出する光量モニタとを具備し、
    前記通常運転及び前記クリーニング運転は、前記光量モニタの検出結果に基づいて切り替えて実行される
    光源装置。
  17. 請求項8に記載の光源装置であって、
    前記圧力調整機構は、前記導入口から導入される前記バッファガスの流量を調整する流量調整バルブ、又は、前記第2の真空チャンバの排気量を調整する排気量調整バルブの少なくとも一方である
    光源装置。
  18. 請求項1に記載の光源装置であって、
    前記放射光は、EUV光である
    光源装置。
  19. 請求項1に記載の光源装置であって、
    前記光源部は、
    前記第1の真空チャンバ内に放電領域を挟んで配置された一対の回転電極と、
    前記一対の回転電極にプラズマ原料を供給する原料供給部と、
    前記一対の回転電極のうち一方の回転電極の前記放電領域に面した部位に前記プラズマ原料を気化するエネルギービームを入射するエネルギービーム入射部と、
    前記一対の回転電極に前記エネルギービームにより気化した前記プラズマ原料をプラズマ化する電圧を印加する電圧源とを有する
    光源装置。
  20. 請求項1に記載の光源装置であって、
    前記光源部は、
    前記第1の真空チャンバ内に配置された回転体と、
    前記回転体にプラズマ原料を供給する原料供給部と、
    前記回転体に供給された前記プラズマ原料をプラズマ化するエネルギービームを入射するエネルギービーム入射部とを有する
    光源装置。
  21. 光源装置を用いて行われるクリーニング方法であって、
    前記光源装置は、
    第1の真空チャンバと、
    前記第1の真空チャンバ内で光源となるプラズマを発生させる光源部と、
    前記プラズマから放散されるデブリを低減するデブリ低減装置であって、前記第1の真空チャンバと前記プラズマから放射される放射光が導入される第2の真空チャンバとをつなぎ前記放射光を通過させる真空路を形成し、前記真空路を遮るように前記第1の真空チャンバの圧力及び前記第2の真空チャンバの圧力よりも圧力が高くなる高圧力領域を発生させるデブリ低減装置とを有し、
    前記プラズマを発生させた状態で、通常運転時の圧力である第1の圧力に維持された第2の真空チャンバに前記放射光により電離する電離ガスを導入し、前記第2の真空チャンバの圧力を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力まで上昇させる圧力上昇工程と、
    前記第2の圧力を維持した状態で、前記第2の真空チャンバ内に配置されたターゲットに対し、前記放射光により電離した前記電離ガスによるスパッタを行うスパッタ工程と
    を備えるクリーニング方法。
  22. 請求項21に記載のクリーニング方法であって、
    前記光源装置は、さらに、前記第2の真空チャンバと、前記第2の真空チャンバに設けられ前記放射光の光量を検出する光量モニタとを有し、
    前記光量モニタが検出した光量が第1の閾値よりも低くなった場合に、前記圧力上昇工程と前記スパッタ工程とを実行し、
    さらに、前記光量モニタが検出した光量が前記第1の閾値以上の第2の閾値よりも高くなった場合に、前記第2の真空チャンバの圧力を前記第1の圧力になるまで下降させる圧力下降工程を備える
    クリーニング方法。
  23. 請求項21に記載の光源装置であって、
    前記スパッタ工程は、前記第2の圧力を維持した状態で、前記放射光の光量を前記通常運転時の前記放射光の光量から変化させる工程を含む
    クリーニング方法。
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