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JP2025004830A - 電子写真部材、定着装置及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

電子写真部材、定着装置及び電子写真画像形成装置 Download PDF

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JP2025004830A
JP2025004830A JP2023104682A JP2023104682A JP2025004830A JP 2025004830 A JP2025004830 A JP 2025004830A JP 2023104682 A JP2023104682 A JP 2023104682A JP 2023104682 A JP2023104682 A JP 2023104682A JP 2025004830 A JP2025004830 A JP 2025004830A
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康弘 宮原
Yasuhiro Miyahara
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Abstract

Figure 2025004830000001
【課題】用紙に対する表面層との耐摩耗性を向上させながら、高い画像光沢度、及び良好な画質が得られつつ、静電オフセットの防止をすることが可能な電子写真部材の提供。
【解決手段】少なくとも、基層と、弾性層と、フッ素樹脂を含む表面層と、をこの順に有する電子写真部材であって、該フッ素樹脂は、PFAを含み、該表面層は、透過型X線回折法を用いて得られる配向度が35%以下であり、該表面層は、該フッ素樹脂の球晶を複数個含み、該表面層からサンプリングした試料を測定試料として、示差走査熱量計を用いて昇温速度20℃/分として測定を行ったときの吸熱曲線において、昇温過程における吸熱量が21J/g以上であり、該弾性層と該表面層との間に更に第二の樹脂層を有し、該第二の樹脂層がイオン導電剤を含み、かつ、該第二の樹脂層の表面抵抗率が1×1014Ω/□以上であることを特徴とする電子写真部材。
【選択図】図3

Description

本開示は、電子写真画像形成装置の定着装置に用いられる電子写真部材、定着装置、及び電子写真画像形成装置に関する。
プリンタ、コピー機、ファクシミリ等の電子写真画像形成装置の定着装置に用いられる定着部材として、フィルム形状やローラ形状のものがある。これらの定着部材として、耐熱樹脂製又は金属製のフィルム若しくはローラ形状の基材上に、必要に応じて耐熱ゴム等からなる弾性層が形成され、そして定着部材の表面層にはトナーに対して優れた離型性を有するフッ素樹脂を含むものが知られている。ここで、表層に含有させるフッ素樹脂としては、耐熱性に優れる、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好ましく用いられる。
また、近年、ランニングコストの低減や省エネルギーの観点から定着部材の長寿命化が求められている。特に、定着部材の離型層は用紙端部による摩耗が発生しやすく、定着部材の寿命に大きな影響を与える。
特許文献1には、芯金にPFAを被覆したあと、PFAの融点以上に加熱し、その後徐冷することでPFAの結晶化度を高め、耐久性を向上する技術が提案されている。
また、特許文献2には、球晶の大きさの小さいフッ素樹脂を主成分とするチューブを耐熱性樹脂層上に被着することにより形成した離型性樹脂層(離型層)を用いることで高い表面平滑性と高い結晶化度を得ることが提案されている。
特開2007-093650号公報 特開2000-010430号公報
本開示の少なくとも一の態様は、表面の耐摩耗性に優れ、静電オフセットが生じ難い電子写真部材の提供に向けたものである。また、本開示の少なくとも一の態様は、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する定着装置の提供に向けたものである。さらに、本開示の少なくとも一の態様は、高品位な電子写真画像を安定して形成することができる電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本開示の少なくとも一の態様によれば、
少なくとも、基層と、弾性層と、フッ素樹脂を含む表面層と、をこの順に有する電子写真部材であって、
該フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含み、
該表面層は、透過型X線回折法を用いて得られる配向度が35%以下であり、
該表面層は、該フッ素樹脂の球晶を複数個含み、
該表面層からサンプリングした試料を測定試料として、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度20℃/分として測定を行ったときの吸熱曲線において、昇温過程における吸熱量が21J/g以上であり、
該弾性層と該表面層との間に更に第二の樹脂層を有し、該第二の樹脂層がイオン導電剤
を含み、かつ、該第二の樹脂層の表面抵抗率が1×1014Ω/□以上
である電子写真部材が提供される。
また、本開示の少なくとも一の態様によれば、
電子写真画像形成装置における定着装置であって、
該定着装置は、定着部材と、該定着部材に対向して配置された加圧部材と、を具備し、
該定着部材及び該加圧部材の少なくとも一方が、上記の電子写真部材である、定着装置が提供される。
さらに、本開示の少なくとも一の態様は、
定着装置を備える電子写真画像形成装置であって、
該定着装置は、定着部材と、該定着部材に対向して配置された加圧部材と、を具備し、
該定着部材及び該加圧部材の少なくとも一方が、上記の電子写真部材である、電子写真画像形成装置が提供される。
さらに、本開示の少なくとも一の態様によれば、少なくとも、基層と、弾性層と、フッ素樹脂を含む表面層と、をこの順に有する電子写真部材であって、該フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含み、該表面層は、該フッ素樹脂の球晶を複数個含み、該表面層からサンプリングした試料を測定試料として、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度20℃/分として測定を行ったときの吸熱曲線において、昇温過程における吸熱量が21J/g以上であり、該弾性層と該表面層との間に更に第二の樹脂層を有し、該第二の樹脂層がイオン導電剤を含み、かつ、該第二の樹脂層の表面抵抗率が1×1014Ω/□以上、である電子写真部材が提供される。
本開示の少なくとも一の態様によれば、表面の耐摩耗性に優れ、静電オフセットが生じ難い電子写真部材を得ることができる。また、本開示の少なくとも一の態様によれば、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する定着装置を得ることができる。さらに、本開示の少なくとも一の態様によれば、高品位な電子写真画像を安定して形成することができる電子写真画像形成装置を得ることができる。
画像形成装置の模式図 定着装置の模式図 定着フィルムの模式図 表面電位測定装置の模式図 本開示に係る電子写真部材によって奏される静電オフセットの防止効果の説明図である。
本明細書中、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限および上限を含む数値範囲を意味する。また、数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。また、本開示において「Ω/□」は「Ω/square」を意味する。
以下、本開示の実施態様について詳細に説明する。なお、本開示の技術的範囲は以下の説明に限定されるものではない。
本発明者らの検討によれば、特許文献1のようなPFAの結晶化度を高める系や、特許文献2のような球晶を含む系においては、トナーが定着部材の表面層に静電的に付着する静電オフセットが発生することがあった。これは、多結晶状態のPFAは結晶粒界部分で電子の移動が妨げられ、帯電しやすい。そのため、多結晶状態のPFAを含む表面層を備
える電子写真部材は、例えば、紙と表層との間の摺擦や、電子写真部材と他の部材との当接によって、その表面層には電荷が蓄積されやすいことによるものと考えられる。
そこで、本発明者らは、表面層の耐摩耗性を損なうことなしに、静電オフセットの発生を防止することができる電子写真部材を得るべく検討を重ねた。その結果、以下の構成を有する電子写真部材が、優れた耐摩耗性と、静電オフセットの安定的な防止と、を両立し得ることを見出した。
<構成>
少なくとも、基層と、弾性層と、フッ素樹脂を含む表面層と、をこの順に有する電子写真部材であって、
該フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含み、
該表面層は、透過型X線回折法を用いて得られる配向度が35%以下であり、
該表面層は、該フッ素樹脂の球晶を複数個含み、
該表面層からサンプリングした試料を測定試料として、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度20℃/分として測定を行ったときの吸熱曲線において、昇温過程における吸熱量が21J/g以上であり、
該弾性層と該表面層との間に更に第二の樹脂層を有し、該第二の樹脂層がイオン導電剤を含み、かつ、該第二の樹脂層の表面抵抗率が1×1014Ω/□以上、である電子写真部材。
<電子写真部材>
本開示の少なくとも一つの態様である電子写真部材は、例えば定着部材である。例えば、電子写真部材は定着ベルトである。また、電子写真部材は、エンドレス形状を有する電子写真ベルトであってもよい。電子写真部材は、少なくとも、基層と、弾性層と、フッ素樹脂を含む表面層と、をこの順に有する。すなわち、電子写真部材は基層と、該基層上の弾性層と、該弾性層上の表面層とを有する。基層、弾性層及び表面層の各層の間、並びに基層の内周面側及び表面層の外周面側には、必要に応じて他の層が設けられていてもよい。
定着部材41は図2、図3に示すとおり、例えば定着フィルム41である。定着部材41は、基層41dと、弾性層41cと、表面層41aとを有する。表面層41aは、例えばトナーなどに対し離型性を有する離型層となりうる。表面層41aは、電子写真部材の外表面を形成しうる。なお、表面層41aは、弾性層41cの表面に不図示の接着層で接着されていてもよい。また、基層41dの内周面側には不図示の内面摺動層を備えていてもよい。
本開示に係る電子写真部材が、PFAの結晶を含むことで電荷が蓄積されやすい表面層を有するにも関わらず、静電オフセットを防止できる理由を本発明者らは以下のように推測している。
図5に示したように、電子写真画像の定着工程において、表面層41aの外表面41a-Sが、記録材505の矢印507方向への移動によって摺擦されると、表面層41aの記録材505と接触している外表面41a-Sの近傍が負に帯電し、表面層41aの外表面41a-Sとは反対側の表面側が正に帯電する。そして、表面層41a内での分極に対応して、第二の樹脂層41b中のイオン導電剤のアニオンが表面層41aに近い側に移動し、カチオンが第二の樹脂層41bの表面層41aから離れた側に移動する。その結果、表面層41aの外表面41a-S側に生じた負電荷が、第二の樹脂層41b内で分極したカチオンによって緩和され、電子写真部材全体として電荷が中和されるためであると考えられる。
上記した電荷中和のメカニズムの正しさは以下の実験結果からも明らかであると考えられる。本発明者らは、本開示に係る電子写真ベルトとして、以下の電子写真ベルトを用意した。基層41d、該基層上の弾性層41c、イオン導電剤を含む第二の樹脂層(接着層)41b、及び表面層41aとの積層構造を有し、弾性層の表面抵抗率を、1×1014Ω/□とし、表面層の表面抵抗率を、1×1015Ω/□とし、第二の樹脂層の表面抵抗率を1×1014Ω/□とした。
この電子写真ベルトの外表面41a-Sを除電したのち、外表面から10mmの間隙を空けてコロナ放電器のグリッド部を配置し、該コロナ放電器に-5kVの印加電圧を15秒印加した。コロナ放電器への電圧の印加停止を起点(0秒)として、外表面の電位を0.1秒間隔で測定した。その結果、電位が最も高かったのは、放電停止から10秒後の-620Vであった。
一方、第二の樹脂層41bにイオン導電剤を含有させなかった、対照例としての電子写真ベルトについて同様の測定を行った。その結果、対照例としての電子写真ベルトにおいては、電位が最も高かったのは、放電停止から10秒後の-750Vであった。
すなわち、本開示に係る電子写真ベルトは、表面層及び弾性層が絶縁性であるにも関わらず、表面層の外表面41a-Sが帯電しにくくなっていたことが分かった。このことから、本開示に係る定着部材によって奏される静電オフセットの防止効果は、表面層の電荷を逃がすことによって得られているのではなくて、電荷中和(電荷緩和)によって得られているものと考えられる。
また、本開示に係る電子写真ベルトにおいては、イオン導電剤が、接着層に含有されていることにより、表面層41aの外表面41a-Sにブリードし難い。そのため、静電オフセットの防止効果をより長期に亘って維持し得るものである。
以下に各層について具体的に説明する。
<基層>
基層41dの材質としては特に制限されず、周知の材料が使用できる。例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス(SUS)、ニッケルのような金属及び合金、並びに、ポリイミドのような耐熱性樹脂が用いられる。好ましくはステンレスである。基層41dの厚さとしては、特に限定されるものではないが、例えば、強度、柔軟性、熱容量の観点から、20μm以上100μm以下とすることが好ましく、20μm以上50μm以下とすることがより好ましい。
基層41dの外表面には、弾性層41cとの接着性を付与するために表面処理を施してもよい。表面処理には、ブラスト処理、ラップ処理、研磨のような物理的処理、酸化処理、カップリング剤処理、プライマー処理のような化学的処理を、一つ又は複数種類組み合わせて用いることが可能である。
基層41dの表面に、シリコーンゴムを含む弾性層41cを設ける場合には、基層41dと弾性層41cとの接着性を向上させるために、基層41dの表面に対してプライマー処理を施すことが好ましい。プライマー処理に用いるプライマーとしては、例えば、有機溶剤中に、シランカップリング剤、シリコーンポリマー、水素化メチルシロキサン、アルコキシシラン、反応促進触媒、ベンガラのような着色剤が、適宜配合分散された塗料が挙げられる。
プライマーは、基層41dの材質、弾性層41cの種類又は架橋反応の形態によって適宜選択可能である。特に、弾性層41cが不飽和脂肪族基を多く含む場合には、不飽和脂
肪族基との反応により接着性を付与するために、ヒドロシリル基を含有するプライマーが好適に用いられる。弾性層41cがヒドロシリル基を多く含む場合には、不飽和脂肪族基を含有するプライマーが好適に用いられる。
プライマーとしてはそのほかにも、アルコキシ基を含有するものも挙げられる。プライマーは市販品を用いることができる。また、プライマー処理は、このプライマーを基層41dの外表面(弾性層41cとの接着面)に塗布し、乾燥又は焼成させる工程を含む。
<内面摺動層>
基層41dの内周面側には内面摺動層を備えていてもよい。内面摺動層としては、ポリイミド樹脂のような高耐久性、高耐熱性を併せ持つ樹脂が適している。内面摺動層は摺擦されて徐々に摩耗していくことから、使用耐久を通じて摺動層として働くことが十分可能な厚みを設けることが好ましい。一方でヒータからの熱供給を妨げない厚みが好ましい。そのため、厚みは5~20μmが好ましく、10~15μmがより好ましい。内面摺動層は、公知の塗布法などを用いて形成すればよい。
<弾性層>
弾性層41cには、電子写真部材で公知のものを使用すればよく、特に制限されない。弾性層41cは、耐熱性に優れるシリコーンゴムを含有することが好ましい。また、シリコーンゴムの原料としては、付加硬化型の液状シリコーンゴムが好ましく用いられる。弾性層41cは、例えば、基層41dの外表面に付加硬化型の液状シリコーンゴムを塗工し、加熱硬化することで形成しうる。塗工方法は特に制限されず、公知の方法を用いればよい。
弾性層41cの厚さは、定着部材の表面硬度、及び、形成する定着ニップ部の幅を考慮して、適宜設計可能であり、100μm以上500μm以下が好ましく、200μm以上400μm以下がさらに好ましい。
シリコーンゴムとしては、例えば、後述する付加硬化型の液状シリコーンゴム混合物の硬化物を用いることができる。弾性層41cは液状シリコーンゴム混合物を公知の方法で塗布・加熱することにより、形成しうる。
液状シリコーンゴム混合物は、通常、下記成分(a)~(d)を含む:
成分(a):不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン;
成分(b):ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン;
成分(c):触媒;
成分(d):熱伝導性フィラー
以下、各成分について説明する。
成分(a)
不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンは、ビニル基などの不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンであり、例えば、下記式(1)及び(2)に示すものが挙げられる。不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンは、直鎖型であることが好ましい。
Figure 2025004830000002
式(1)中、mは0以上の整数を示し、nは3以上の整数を示す。また、構造式(1)中、Rは、各々独立して、不飽和脂肪族基を含まない1価の非置換又は置換炭化水素基を表し、ただし、Rのうちの少なくとも1つはメチル基を表し、Rは、各々独立して、不飽和脂肪族基を表す。
Figure 2025004830000003
式(2)中、nは正の整数を示し、Rは、各々独立して、不飽和脂肪族基を含まない1価の非置換又は置換炭化水素基を表し、ただし、Rのうちの少なくとも1つはメチル基を表し、Rは、各々独立して、不飽和脂肪族基を表す。
式(1)及び(2)において、R及びRが表すことのできる、不飽和脂肪族基を含まない1価の非置換又は置換炭化水素基としては、例えば、以下の基を挙げることができる。
・非置換炭化水素基
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)。
アリール基(例えば、フェニル基)。
・置換炭化水素基
置換アルキル基(例えば、クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-シアノプロピル基、3-メトキシプロピル基)。
式(1)及び(2)で示されるオルガノポリシロキサンは、鎖構造を形成するケイ素原子に、直接結合したメチル基を少なくとも1つ有する。しかしながら、合成や取扱いが容易であることから、R及びRそれぞれの50%以上がメチル基であることが好ましく、すべてのR及びRがメチル基であることがより好ましい。
また、式(1)及び(2)中の、R及びRが表すことのできる不飽和脂肪族基としては、例えば、以下の基を挙げることができる。すなわち、不飽和脂肪族基としては、ビニル基、アリル基、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基等を挙げることができる。これらの基の中でも、合成や取扱いが容易かつ安価で、架橋反応も容易に行われることから、R及びRはいずれもビニル基であることが好ましい。
成分(a)としては、成形性の観点から、粘度は1000mm/s以上50000mm/s以下であることが好ましい。1000mm/sより低いと弾性層20cに必要
な硬度に調整するのが難しくなり、50000mm/sより高いと混合物の粘度が高くなりすぎて塗工が難しくなる。粘度(動粘度)は、JIS Z 8803:2011に基づき、毛管粘度計や回転粘度計等を用いて測定することができる。
成分(a)の配合量は、弾性層20cの形成に用いる液状シリコーンゴム混合物を基準として、耐久性の観点から55体積%以上、伝熱性の観点から65体積%以下とすることが好ましい。
成分(b)
ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサンは、触媒の作用により、成分(a)の不飽和脂肪族基と反応し、硬化シリコーンゴムを形成する架橋剤として機能する。
成分(b)としては、Si-H結合を有するオルガノポリシロキサンであれば、いずれのものも用いることができる。特に、成分(a)の不飽和脂肪族基との反応性の観点から、1分子中における、ケイ素原子に結合した水素原子の数が平均3個以上のものが好適に用いられる。
成分(b)の具体例としては、例えば、下記式(3)に示す直鎖状のオルガノポリシロキサン及び下記式(4)に示す環状オルガノポリシロキサンを挙げることができる。
Figure 2025004830000004
式(3)中、mは0以上の整数を示し、nは3以上の整数を示し、Rは、各々独立して、不飽和脂肪族基を含まない1価の非置換又は置換炭化水素基を表す。
Figure 2025004830000005
式(4)中、mは0以上の整数を示し、nは3以上の整数を示し、Rは、各々独立して、不飽和脂肪族基を含まない1価の非置換又は置換炭化水素基を表す。
式(3)及び(4)中のR及びRが表すことのできる不飽和脂肪族基を含まない1価の非置換又は置換炭化水素基としては、例えば、上述した構造式(1)中のRと同様の基を挙げることができる。これらの中でも、合成や取扱いが容易で、優れた耐熱性が容易に得られることから、R及びRそれぞれの50%以上がメチル基であることが好ましく、すべてのR及びRがメチル基であることがより好ましい。
成分(c)
シリコーンゴムの形成に用いる触媒としては、例えば、硬化反応を促進するためのヒドロシリル化触媒を挙げることができる。ヒドロシリル化触媒としては、例えば、白金化合物やロジウム化合物などの公知の物質を用いることができる。触媒の配合量は適宜設定することができ、特に限定されない。
成分(d)
弾性層41cはフィラーを含んでいてもよい。フィラーは、熱伝導性、耐熱性及び弾性率を制御するために添加するものである。熱伝導性フィラーとしては、金属、金属化合物、炭素繊維を挙げることができる。高熱伝導性フィラーが更に好ましく、その具体例としては、以下の材料が挙げられる。
金属ケイ素(Si)、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)、酸化鉄(Fe)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化チタン(TiO)、シリカ(SiO)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、カーボンブラック(C)、カーボンナノチューブ(C)、気相成長法炭素繊維、PAN系(ポリアクリロニトリル)炭素繊維、ピッチ系炭素繊維。
また、弾性層は、反応制御剤(阻害剤)を含んでもよい。反応制御剤を含むことで、反応開始時間を制御することができる。反応制御剤としては、特に制限されず公知の物質を用いることができるが、例えばメチルビニルテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパーオキサイドが挙げられる。
弾性層41cの第二の樹脂層41bに対向する側の表面で測定される表面抵抗率は、1×1014Ω/□以上であることが好ましい。第2の樹脂層を電気抵抗の高い2つの層(表面層、及び弾性層)で挟むことによって、第2の樹脂層内に、表面層の分極に対応した分極状態を効率的に生じさせることができる。弾性層41cの表面抵抗率は、例えば、1×1014~1×1016Ω/□が好ましい。
<第二の樹脂層>
電子写真部材は、表面層と弾性層との間に更に第二の樹脂層41bを有する。第二の樹脂層41bとしては特に限定されないが、表面層と弾性層とを接着することができるものが好ましく、例えば接着剤の硬化物を含むことが好ましい。すなわち、第二の樹脂層は、接着層であることが好ましい。接着剤は、溶液型接着剤であってもよく、ホットメルト型接着剤であってもよい。
接着剤としては特に限定されず、公知の接着剤を用いることができるが、シリコーンゴム接着剤を用いることが好ましく、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を用いることがより好ましい。付加硬化型シリコーンゴム接着剤はシリコーンゴムの未架橋成分を有する。弾性層がシリコーンゴムを含有する場合、弾性層もまた、未架橋成分を有する。この場合、加熱することによって、表面層の内面と、弾性層の未架橋成分とが接着剤中の未架橋成分と反応して結合することで、表面層と弾性層をより強固に接着することができる。
付加硬化型シリコーンゴム接着剤としては、例えばビニル基、SiH基、及びエポキシ基からなる群から選択される一以上の官能基を有するものが挙げられる。ビニル基を有する場合、弾性層に含まれうる未架橋成分であるSiH基と反応する。SiH基を有する場合、弾性層に含まれうる未架橋成分であるビニル基と反応する。エポキシ基を有する場合、エポキシ基が開環し、OH基となり、表面層内面に含まれうるOH基と水素結合する。
具体的には、東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合したSE1819CVが挙げられる。
第二の樹脂層は、イオン導電剤を含む。第二の樹脂層がイオン導電剤を含むことで、表面層が帯電した際に、電荷が第二の樹脂層に移動し、表面層の帯電を抑えることができる
。すなわち、電荷中和効果を発揮する。カーボンブラックのような電子導電性の導電剤を用いると、導電剤の凝集などによる電荷リークや、電荷中和のムラが生じ、静電オフセットを防止しにくくなる。
第二の樹脂層の表面抵抗率は、1×1014Ω/□以上である。
第二の樹脂層の表面抵抗率が1×1014Ω/□未満であると、電荷リークや電荷中和のムラが生じ、静電オフセットを防止しにくくなる。第二の樹脂層の表面抵抗率は、5×1014Ω/□以上であることが好ましく、1×1015Ω/□以上であることがより好ましい。第二の樹脂層の表面抵抗率は、例えば1×1014~1×1017Ω/□、5×1014~1×1017Ω/□、1×1015~1×1016Ω/□とすることができる。
第二の樹脂層の表面抵抗率は、第二の樹脂層を作製する際のイオン導電剤の添加量によって調整することができる。また、第二の樹脂層の表面抵抗率は、後述の方法によって測定することができる。
第二の樹脂層の厚みは、接着性と伝熱性との兼ね合いから1μm以上5μm以下が好ましい。上記範囲であると、トナー溶融ムラを抑制しやすくなり、表面層と弾性層の界面の剥がれを抑制しやすくなるため、良好な画質を得やすくなる。第二の樹脂層の厚みは、好ましくは2μm以上4μm以下である。
第二の樹脂層の厚みは、塗布時の厚み(リング塗布等によるギャップ調整)や余剰な接着剤を扱く条件(圧力、速度)によって調整することができる。また、第二の樹脂層の厚みの測定方法は、後述する。
第二の樹脂層におけるイオン導電剤の含有割合は、1.0~24.0質量%であることが好ましい。また、2.0~20.0質量%であることがより好ましく、2.5~10.0質量%であることがさらに好ましい。イオン導電剤の含有割合が1.0質量%未満であると、静電オフセットを抑制しにくくなり、24.0質量%を超えると、表面層と第二の樹脂層との接着性が低下する場合がある。
また、第二の樹脂層が接着剤の硬化物を含む場合、接着剤の硬化物100質量部に対して、イオン導電剤の含有量は、1.0~30.0質量部が好ましい。また、2.0~16.7質量部であることがより好ましく、2.4~9.1質量部であることがさらに好ましい。1.0質量部未満では静電オフセットを抑制しにくくなり、30.0質量部を超えると、表面層と第二の樹脂層との接着性が低下する場合がある。
イオン導電剤としては特に限定されず、公知のイオン導電剤を用いることができる。例えば、第四級アンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩などを用いることができる。イオン導電剤のアニオンとしては、例えば過塩素酸アニオン、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、トリフルオロメタンスルホネートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオンなどが挙げられる。イオン導電剤としては、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドが好ましい。
<表面層>
表面層41aは、フッ素樹脂を含む。フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を含む。表面層41aは、PFAからなることが好ましい。
PFAはパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)とテトラフルオロエチレン(TFE)の共重合体である。PFAを含む表面層41aの形成手段としては、弾性層41cの表面にPFAを主成分とする分散液(水系分散塗料)又は粉体塗料を塗装し、これ
を融点以上に加熱して成膜する方法が挙げられる。または、別途押出成形にて製造されたPFAチューブを弾性層41cの表面に被覆する等といった方法も挙げられる。表面層41aは、例えばPFAチューブである。
PFAとしては、特に制限されず、公知のものを使用しうる。パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)とテトラフルオロエチレン(TFE)との共重合比率(モル比)(PAVE/TFE)は、1.5/98.5~4.5/95.5が好ましく、1.5/98.5~4.0/96.0がより好ましい。PFAは市販のものを用いてもよい。具体的には、AP-230(商品名、ダイキン工業社製)や、末端基が完全フッ素化されたPFAであるAP-231SH(商品名、ダイキン工業社製)などが挙げられる。
PFAであることは、例えば、FT-IRのATRスペクトルにおいて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に特徴的なピークの存在を確認すると共に、PTFEには出現しない、994cm-1付近の小さなピークの存在を確認することにより、確認することができる。
まず、PTFEに特徴的なピークとしては、1200cm-1(CF逆対称伸縮)、1150cm-1(CF対称伸縮)、640cm-1(CF面外変角(ワギング))、555cm-1(CF面内変角(はさみ))、505cm-1(CF面内変角(ロッキング))がある。また、PFAに特徴的な、994cm-1付近のピークの位置は、パーフルオロアルキルビニルエーテル部分の炭素鎖の長さによって変化する。パーフルオロプロポキシ基の場合は、994cm-1に出現し、パーフルオロエトキシ基の場合は、1090cm-1に出現し、また、パーフルオロメトキシ基の場合は、881cm-1に出現する。
表面層41aからサンプリングした試料を測定試料として、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度20℃/分として測定したときの吸熱曲線において、昇温過程における吸熱量が21J/g以上である。
一般に、サンプリングした試料を測定試料としたDSC測定での昇温過程は、測定の目的に応じて2度以上行う場合もある。昇温過程を2度以上行う場合、1度目の昇温過程における吸熱量が21J/gであると、上記「昇温過程における吸熱量が21J/g以上である」を満たすといえる。したがって、以下「昇温過程における吸熱量」を「1度目の昇温過程における吸熱量」という場合がある。
また、DSC測定での昇温過程における吸熱量は、PFAの結晶融解による吸熱量である。吸熱量の値をPFAの完全結晶融解熱(92.9J/g)で除することにより、PFAの結晶化度を算出することができる。吸熱量が21J/g以上であることにより、用紙に対する耐摩耗性が良好となる。
また、昇温過程における吸熱量は27J/g以下であることが好ましい。吸熱量が27J/g以下であると、紙の凹凸への追従性がより良好となり、良好な画質が得られるようになるため好ましい。昇温過程における吸熱量は、21~27J/gであることが好ましく、22~27J/gであることがより好ましく、25~27J/gであることがさらに好ましい。
吸熱量を21J/g以上とする方法としては、定着部材の製造工程において、表面層41aを形成後にPFAの融点以上の温度に加熱したのち、冷却速度を制御することによりPFAの結晶化を促進する方法が挙げられる。
具体的な方法としては特に限定されないが、以下のような表面層の加熱処理の方法を用いることが可能である。
なお、本開示におけるDSCによる測定に関して、特に言及がない場合は、日本産業規
格(JIS)K7121-2012に準拠するものとする。
表面層を形成した後、電子写真部材全域を加熱するため、例えば330℃以上まで加熱可能な直立型かつ円筒状の加熱筒を用いる。加熱筒の内部には例えば熱電対を取り付けたバンドヒーターを設置し、定着部材の加熱温度を制御する。加熱温度はPFAの融解温度以上350℃以下が好ましい。加熱の時間は、表面層の温度が所望の温度に十分到達しうる温度であればよく、例えば、1~20分、1~10分、2~5分などが挙げられる。
加熱完了後、加熱筒の冷却速度を制御することにより、定着部材の冷却速度を制御する。例えば加熱筒の外周にエアの給気ノズルを設け、エアの流量を調整することで冷却速度を制御することができる。PFAの結晶化温度域での冷却速度が遅いほど、PFAの結晶化を促進することができ、吸熱量が21J/g以上となるように冷却速度を調整することが好ましい。冷却速度の制御は、表面層の温度がPFAの結晶化温度域を下回るまで行うことが好ましい。冷却速度は吸熱量21J/g以上に制御しうる範囲であればよく、特に制限されないが、好ましくは5~60℃/分であり、より好ましくは10~30℃/分である。
表面層41aは、透過型X線回折法を用いて得られる配向度が35%以下であることが好ましい。配向度が35%以下であることにより、柔軟性が良好となり紙の凹凸に追従することができ、トナー溶融ムラが抑制され、画質が良好な定着画像を得ることができる。配向度は、33%以下であることがより好ましく、32%以下であることがさらに好ましい。配向度の下限は特に限定されず、例えば、0%である。本開示における好ましい配向度の範囲としては、例えば、0~35%、0~33%、0~32%、5~35%、さらには、25~35%である。
表面層の配向度は、表面層の加熱処理工程における温度によって調整することができる。配向度の測定方法は後述する。
表面層41aは、フッ素樹脂の球晶を複数個含む。表面層41aがフッ素樹脂の球晶を複数個含むことによって、後述の球晶の面積平均径D3を小さくすることができる。表面層41aにフッ素樹脂の球晶を複数個含ませる方法としては、例えば表面層の加熱処理を行う方法が挙げられる。フッ素樹脂の球晶の存在は、後述の方法によって確認することができる。
表面層41aの外表面における球晶の面積平均径をD3としたとき、D3は40μm以下であることが好ましい。D3が40μm以下であることにより、表面平滑性が良好となり、画像光沢度の高い定着画像を得ることができる。D3が小さいほど表面平滑性が良好となる。一方で球晶のラメラ構造の間隙に存在するPFAの非晶部を減少させ、結晶化度の低下を抑制し耐摩耗性をより向上させる観点から、D3は5μm以上であることが好ましい。表面層の外表面とは、電子写真部材の外表面を形成する面を指す。
D3は、5~40μmであることが好ましく、10~35μmであることがより好ましく、20~34μmであることがさらに好ましい。D3の値は、PFAの結晶成長速度に対し、球晶核の発生頻度を高くすることによって小さくすることができると考えられ、例えば、球晶の核剤となる物質を表面層41aの内面側すなわち弾性層と対向する面の近傍に存在させる方法が挙げられる。これにより、内面側において球晶核の発生頻度が高くなる。球晶核を起点として球晶が成長し、ほかの球晶と接したところで結晶成長が止まるため、球晶核の発生頻度が高いと内面側において形成される球晶径が小さくなる。表面層41aにおいては、内面側において形成される球晶径が小さいほど、外表面における球晶径が小さくなる。これは、まず内面側において球晶が形成した後、その表面上に分子が付着し外表面に向かって結晶化が進むためであると考えられる。したがって、内面側において
球晶核の発生頻度が高いと、D3は小さくなりやすい。核剤となる物質を表面層の内面側に存在させるためには、例えば、表面層41aの作製にPFAチューブを用い、その内面に照射条件を制御したエキシマレーザー光を照射する方法が挙げられる。エキシマレーザー処理においては、PFAチューブ内表面のフッ素原子が脱離し、炭化や酸素との反応によるカルボニル基の生成などの反応が起きる。その結果、内表面における元素比率が変化する。これにより発生する炭素分が核剤となるため、この方法により核剤を内面側に存在させることができる。
また、表面層41aの厚みは50μm以下であることが好ましい。厚みが50μm以下であると、表面層の内面側における核剤のD3への影響がより大きくなり、表面平滑性をより良好にすることができる。表面層の厚みは、より好ましくは10~50μmであり、さらに好ましくは15~50μmである。表面層41aの厚みは、マイクロメータを用いて測定できる。
上記範囲とするための具体的な方法としては以下の方法を用いることが可能である。ここでは表面層41aの作製にPFAチューブを用いた例を挙げるが、本開示に係る表面層が、PFAチューブを用いて形成されたものに限定されるものではない。
PFAチューブは、例えば、溶融させたPFAを円筒状のダイから押し出すことによって作製することができる。このようなPFAチューブは、押し出される過程で急冷され結晶化が急速に進行するため、押し出し方向に結晶が配向し、また結晶化度が低い状態となっている。PFAチューブを弾性層41cの表面に被覆し表面層41aとしたのち、表面層の加熱処理を行うことにより、結晶化度を高めることができ、また表面層の表面に球晶が形成される。結晶化度を高めることで1度目の昇温過程における吸熱量を前述の範囲に制御しやすくなる。
また、加熱処理によって、併せてPFAチューブの分子配向が緩和され、押出方向に配向されていた分子鎖がランダムになる。このため、厚み方向の熱伝導率を向上させることができる。この時、透過型X線回折法を用いて得られるPFAチューブの配向度は35%以下となっている。
PFAチューブの内面は、予め、ナトリウム処理やエキシマレーザー処理、アンモニア処理等を施すことで、弾性層41c又は第二の樹脂層に対する濡れ性及び接着性を向上させることができる。エキシマレーザー処理を用いてPFAチューブの内面を処理することが好ましい。
エキシマレーザー処理としては、紫外光を吸収する化合物をPFAチューブ内面に付着させたのち、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光などの紫外線レーザー光を照射することが好ましい。紫外光を吸収する化合物としては公知のものを用いることができる。例えば、安息香酸ナトリウムなど紫外光を吸収する化合物と公知のフッ素系界面活性剤を混合した水溶液を作製し、PFAチューブ内面に塗布して自然乾燥させる。
エキシマレーザー処理においては、PFAチューブ内表面のフッ素原子が脱離し、炭化や酸素との反応によるカルボニル基の生成などの反応が起きる。その結果、表面層の弾性層と対向する側の表面における元素比率が変化し、C-F/2-Oを上述の範囲に制御しやすくなる。
本開示では、エキシマレーザー光の照射条件を制御し、PFAチューブ内表面の炭化を進行させることにより、表面層の弾性層と対向する側の表面における元素比率を前述の範囲とすることが好ましい。エキシマレーザー光の照射条件としては、通常であれば濡れ性
及び接着性向上の観点から選択され、1ショットあたりの照射量又はショット数を調整する。本開示では、通常必要であるよりもショット数を多くすることにより、PFAチューブ内表面の炭化を十分に進行させることが好ましい。例えば、エキシマレーザー光の照射量は、好ましくは100~600mJ/cm/パルス、より好ましくは200~400mJ/cm/パルスである。ショット数は好ましくは3~10であり、より好ましくは6~8である。
PFAチューブを弾性層の表面に被覆する手段は特に制限されず、公知の手段を採用しうる。例えば、フッ素樹脂チューブを外側から拡張し、被覆する方法(拡張被覆法)を用いることができる。PFAチューブを外側から真空拡張し被覆する真空拡張被覆法などを用いることができる。
電子写真部材の表面に対し、10mmの間隙を有するようにコロナ放電器のグリッド部を配置し、次いで、前記電子写真部材を60rpmで回転させつつ、コロナ放電器に-5kVの印加電圧を15秒印加した際の表面電位が-700V以上であることが好ましい。当該表面電位が-700V以上(絶対値が700V以下)であることにより、紙後端が通過する際に、紙後端と表面層間で放電が発生しにくく、静電オフセットがより防止されやすくなる。-700V未満であると、紙後端が通過する際に、紙後端と表面層間で放電が発生し電位がゼロになり、その結果、ネガに帯電したトナーが表面層に付着し、2周目にオフセットする。当該表面電位の下限は、-650Vであることがより好ましく、-600Vであることがさらに好ましい。当該表面電位の上限は特に限定されないが、例えば-500Vであってよく、-550Vであってよい。当該表面電位は、例えば好ましくは-700~-500V、-650~-500V、-600~-500V、-600~-550Vである。
当該表面電位は、第二の樹脂層を作製する際のイオン導電剤の添加量によって調整することができる。当該表面電位の測定方法は後述する。
表面層の表面抵抗率は、1×1014Ω/□以上であることが好ましい。表面層の表面抵抗率が1×1014Ω/□未満であると、電荷リークや電荷中和のムラが生じ、静電オフセットを防止しにくくなる。表面層の表面抵抗率は、5×1014Ω/□以上であることが好ましく、1×1015Ω/□以上であることがより好ましい。表面層の表面抵抗率は、例えば1×1014~1×1017Ω/□、5×1014~1×1017Ω/□、1×1015~1×1017Ω/□とすることができる。
表面層の表面抵抗率は、フッ素樹脂中の導電性添加剤の量に依存する。そのため、表面層が、導電性添加剤を含まないことが好ましい。また、表面層の表面抵抗率は、後述の方法によって測定することができる。
<電子写真画像形成装置>
図1は、本実施形態の電子写真画像形成装置(以下、「画像形成装置」ともいう)の一例であるカラー電子写真プリンタの断面図であり、記録材の搬送方向に沿った断面図である。本実施形態では、カラー電子写真プリンタを単に「プリンタ」という。
図1に示すプリンタ1は、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色の画像形成部10を備えている。感光ドラム(感光体)11は、帯電器12によってあらかじめ帯電される。その後、感光ドラム11は、レーザスキャナ13によって露光され、静電潜像を形成される。静電潜像は、現像器14によってトナー像になる。感光ドラム11のトナー像は、一次転写ブレード17によって、像担持体である例えば中間転写ベルト31に順次転写される。転写後、感光ドラム11に残ったトナーは、クリーナ15によって除去される。この結果、感光ドラム11の表面は、清浄になり、次の画像形成に備えられる。
一方、記録材Pは、給紙カセット20、又はマルチ給紙トレイ25から、矢印3の方向に1枚ずつ送り出されてレジストローラ対23に送り込まれる。レジストローラ対23は、記録材Pを一旦受け止めて、記録材が斜行している場合、真っ直ぐに直す。そして、レジストローラ対23は、中間転写ベルト31上のトナー像と同期を取って、記録材Pを中間転写ベルト31と二次転写ローラ35との間に送り込む。中間転写ベルト上のカラーのトナー像は、転写体である例えば二次転写ローラ35によって記録材Pに転写される。その後、記録材Pのトナー像は、記録材Pが定着装置40によって、加熱加圧されることで記録材に定着される。
電子写真画像形成装置は、定着装置40を備える。次に、電子写真画像形成装置における定着装置について説明する。定着装置は、定着部材と、該定着部材に対向して配置された加圧部材と、を具備する。図2は、定着装置40の概略構成図であり、フィルム加熱方式の加熱装置(テンションレスタイプ)の例である。本実施例ではこのような加熱装置を用いたが、ローラ対方式やフィルム方式の加熱装置でも実施可能である。
43は加熱体としてのセラミックヒーター(以下、ヒータと記す)である。ヒータ43は図面に垂直方向を長手とする細長薄板状のセラミック基板と、この基板面に具備させた通電発熱抵抗体層を基本構成とする。ヒータ43は、発熱抵抗体層に対する通電により全体に急峻な立ち上がり特性で昇温する、低熱容量のヒータである。また、記録材の長手幅サイズに応じて、通電領域を切り替える構成となっている。
本開示の少なくとも一つの態様に係る電子写真部材は、例えば定着部材として用いることができる。定着フィルム41は熱を伝達する加熱部材としての円筒状(エンドレス)の耐熱性の定着部材であり、上記のヒータ43を含む支持部材(ヒーターホルダ)にルーズに外嵌させてある。定着フィルム41の構造は図3に示すとおりであり、少なくとも、表面層41a、弾性層41c、及び基層41dを含む3層複合構造を有した定着フィルムである。
加圧ローラ44は加圧部材としての耐熱性弾性加圧ローラであり、芯金と、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴム、あるいはシリコーンゴムの発泡体からなる弾性層とを有する。芯金の両端部は回転自由に軸受け支持させて配設されている。なお、本開示の少なくとも一つの態様に係る電子写真部材は、例えば加圧部材として用いることもできる。すなわち、定着部材及び加圧部材の少なくとも一方が上記電子写真部材であることが好ましい。例えば、加圧部材は、定着フィルム41と同様の構成とすることもでき、加圧部材は、表面層41a、弾性層41c、及び基層41dを含む3層複合構造を有することができる。
この加圧ローラ44の上側に上記の定着フィルム41・ヒータ43を、加圧ローラ44に並行に配置し、不図示の押付部材で押圧させる。このようにすることで、定着フィルム41を介してヒータ43の下面と加圧ローラ44の上面とを弾性層の弾性に抗して圧接させて加熱部としての所定幅の定着ニップ部を形成できる。
加圧ローラ44は不図示の駆動手段により矢印で示す反時計回り方向に所定の回転周速度にて回転駆動される。この加圧ローラ44の回転駆動による加圧ローラ44と定着フィルム41との、定着ニップ部における圧接摩擦力により円筒状の定着フィルム41に回転力が作用する。そして該定着フィルム41がヒータ43の下向き面に密着して摺動しながら矢印で示す時計回り方向に従動回転状態になる。支持部材(ヒーターホルダ)46は円筒状定着フィルム41の回転ガイド部材でもある。
加圧ローラ44が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム41が従動回転状態になり、またヒータ43に通電がなされて該ヒータが迅速に昇温して所定の温度に立ち上がり温度調節された状態となる。かかる状態において、定着ニップ部の定着フィルム41と加圧ローラ44との間に未定着トナー像Tを担持した記録材Pが導入される。そして、定着ニップ部において記録材Pのトナー像担持側面が定着フィルム41の外面に密着して定着フィルム41と一緒に定着ニップ部に挟持搬送されていく。この挟持搬送過程においてヒータ43で加熱された定着フィルム41の熱により記録材Pが加熱され、記録材P上の未定着トナー像Tが記録材P上に加熱・加圧されて溶融定着される。定着ニップ部を通過した記録材Pは定着フィルム41の面から曲率分離して排出搬送されていく。
45は接触式温度計(サーミスタ)であり、ヒータ43によって加熱された定着フィルム41の温度を計測し、その検出結果を不図示の温度制御手段に渡す構成となっている。46はヒーターホルダであり、高温に発熱したヒータ43を保持する部材である。
以下、本開示を実施例と比較例を用いて更に詳細に説明するが、本開示の態様はこれらに限定されない。
本開示における各物性の測定方法を以下に示す。
<表面層のフッ素樹脂の配向状態の評価>
まず、電子写真部材から表面層を単離した。具体的には、カミソリを弾性層と基層の間に挿入し、基層から弾性層と表面層との積層体を剥ぎ取った。剥ぎ取った弾性層と表面層の積層体をシリコーン溶解剤(商品名:eソルブ21RS;(株)カネコ化学製)中に浸し、超音波洗浄装置(商品名:ブランソニック(型式2510J-DTH);日本エマソン株式会社製)の水槽内に入れ、60分超音波を印加し、弾性層を溶解させた。
その後、積層体を取り出し、水洗、トルエンで払拭、エタノールで払拭を行い、表面層のみを単離した。
表面層の配向度は、広角X線回折法による配向度の算出により求めた。配向試料は、デバイ環に沿って強度分布を有し、配向度の測定にはX線回折像を利用した。繊維試料台を用いて、2θを18°付近のピークに固定し、360°回転(β回転)させ、デバイ環に沿っての強度分布を測定した。得られた強度分布から、下記式を用いて表面層の配向度を求めた。
H={(360-ΣW/360)}×100
式中、Hは配向度(%)を示し、Wは半値幅を示す。半値幅は、β回転角0~180°に出るピークと、180°~360°に出るピークの、計2つの2θ=18°付近由来のピークの半値幅を示す。
X線回折装置はリガク社製の回転対陰極型X線回折装置RINT2500型(X線:CuKα)を用いて、管電圧40kV、管電流15mAの条件で測定した。
<吸熱量の測定>
吸熱量は、示差走査熱量分析装置(商品名:Q2000、TA Instruments社製)を用いて測定した。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いた。具体的には、上記の通り単離した表面層4mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れた。リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いた。測定は、測定範囲25℃以上400℃以下の間で、昇温速度20℃/minで行った。400℃まで昇温させ5分間保持し、続いて降温速度20℃/minで25℃まで降温させた。このとき、吸熱ピークを含む温度-吸熱量曲線とベースラインとで囲われた面積を吸熱量とした。
<球晶の面積平均径D3の測定>
まず、上記の通り電子写真部材から表面層を単離した。そして単離した表面層の外表面を偏光顕微鏡(商品名:ECLIPSE LV100NDA、株式会社ニコン製)で観察し、球晶の観察画像を得た。観察の際の条件は、透過照明に切り替え、アナライザーと透過照明用ポラライザーを直交させてクロスニコルに調整し、20倍の対物レンズを使用した。透過型偏光顕微鏡を用いることにより、球晶の構造を確認できる観察画像を得ることができる。これにより、表面層がフッ素樹脂の球晶を複数個含むことを確認できる。
次に、得られた球晶の観察画像から、200個の球晶の輪郭を手動で抽出した。抽出の条件は、個々の球晶にマルテーゼクロスと呼ばれる十字の影が現れることから、観察画像におけるそれぞれのマルテーゼクロスの境界線を球晶の輪郭として抽出する条件とした。それぞれの球晶の面積を市販の画像処理ソフト(ImageJ)を用いて算出した。200個の球晶の面積と、それぞれの面積から算出した円相当径から、球晶の面積平均径D3を算出した。
<表面層の表面抵抗率の測定方法>
表面層の表面抵抗率は、日本産業規格(JIS)K 6271―1:2022に準拠した方法で実施した。具体的には、高抵抗抵抗率計(商品名:ハイレスターUX MCP-HT800;日東精工アナリテック社製)を用い、リングプローブ(商品名:UR-SS;日東精工アナリテック社製)を用いて、表面層の外表面における表面抵抗率を測定した。測定条件としては、DC500Vを20秒間印加したのちに測定を行った。
<第二の樹脂層の表面抵抗率の測定方法>
イオン導電剤を含む第二の樹脂層を、電子写真部材から単離し、日本産業規格(JIS)K 6271-1:2022に準拠した方法で実施した。具体的には、電子写真ベルトの弾性層と基層との間にカミソリを挿入して、基層から。弾性層、第二の樹脂層、及び表面層からなる複層体を分離させた。そして、該複層体の弾性層の側から、カミソリで弾性層を少しずつそぎ落としていき、第二の樹脂層の弾性層に対向する側の表面を露出させた。こうして露出させた第二の樹脂層の表面において、高抵抗抵抗率計(商品名:ハイレスターUX MCP-HT800;日東精工アナリテック社製)と、リングプローブ(商品名:UR-SS;日東精工アナリテック社製)を用いて表面抵抗率を測定した。測定条件としては、DC500Vを、20秒間印加したのちに測定することにより得られる値を表面抵抗率とした。なお、第二の樹脂層の厚みは、下記に記載した方法で測定された厚みを用いた。
<弾性層の表面抵抗率の測定>
電子写真ベルトから単離した弾性層について、その第二の樹脂層に対向する側の表面の表面抵抗率を、日本産業規格(JIS)K 6271―1:2022に準拠した方法で実施した。具体的には、電子写真ベルトの弾性層と基層との間にカミソリを挿入して、基層から。弾性層、第二の樹脂層、及び表面層からなる複層体を分離させた。次いで、該複層体の第二の樹脂層と表面層との界面にカミソリを挿入し、該複層体から表面層を除去した。次いで、弾性層と第二の樹脂層とからなる複層体の第二の樹脂層の側から、カミソリで第二の樹脂層を少しずつそぎ落としていき、弾性層の第二の樹脂層に対向する側の表面を露出させた。こうして露出させた弾性層の表面における表面抵抗率を測定した。高抵抗抵抗率計(商品名:ハイレスターUX MCP-HT800;日東精工アナリテック社製)と、リングプローブ(商品名:UR-SS;日東精工アナリテック社製)を用いて表面抵抗率を測定した。測定条件としては、DC500Vを、20秒間印加したのちに測定することにより得られる値を表面抵抗率とした。
<第二の樹脂層の厚みの測定方法>
厚みの測定に関しては電子写真部材の断面出しを行い、顕微鏡で断面観察をすることにより確認した。断面出しはイオンミリング(日立製IM4000)を用いて、電圧1.5
kV、スイング角度±30°、30往復/分の条件で4時間ミリングを行い断面出しを行った。断面の観察に関しては、コンフォーカル顕微鏡(レーザーテック製H1200)で100倍の状態で観察した4回の結果の算術平均値より算出した。
<表面電位の測定方法>
表面電位計測のため、まずは電子写真部材の電荷の除去を行った。エタノールを染み込ませたベンコット(小津産業(株)製)を用いて電子写真部材の表面を拭い、電荷除去を行った(以下、この行為を「表面の除電」ともいう)。次に、図4に示すように、軸を介してモーターで電子写真部材を回転させながら、コロナ帯電器で表面を帯電させ、表面電位計で帯電電位の計測を行い、表面電位を測定した。具体的には、以下の手順とした。
まず、定着部材502を軸受け(不図示)に固定した。その後、ベルトの軸方向とは垂直な方向で、ある位相の電子写真部材の表面(位相Aとする)に対し、10mmの間隙を有するようにコロナ放電器グリッド501を配置した。位相Aから180°周方向に回転した位相(位相Bとする)において、電子写真部材の軸方向の中央部に対し、電子写真部材の軸方向とは垂直な方向に8mmの間隙を有するように表面電位計のプローブ503を配置した。この状態において電子写真部材を回転させ、電子写真部材の周方向の表面電位が±10V以下となっている場合に計測を開始した。±10V以下ではない場合は、10V以下になるまで再度表面の除電を行った。
その後、ベルトを60rpmで回転させつつ、コロナ放電器に-5kVを印加して電子写真部材の表面を帯電させ、表面電位の計測を行った。この際、表面電位を0.1秒間隔で取得し、コロナ帯電器によって電子写真部材に-5kV印加してから、14.0~15.0秒間の平均表面電位を、コロナ放電器に-5kVの印加電圧を15秒印加した際の表面電位とした。
<溶融ムラの評価>
紙上に形成されたトナー像を定着させたあとのトナーの溶融状態を観察することで、電子写真部材の紙への追従性の指標、及び電子写真部材を用いた場合の画質の指標とすることができる。
耐摩耗性の評価と同様のフィルム加熱方式の定着装置40を用いて、温度10℃相対湿度50%の環境下、溶融ムラ評価画像を10枚連続して定着した。紙は、A4サイズの再生紙(商品名:リサイクルペーパー GF-R100;キヤノン株式会社製、厚さ92μm、坪量66g/m、古紙配合率70%、ベック平滑度23秒(日本産業企画 JIS
P8119に準拠した方法で計測))を用いた。溶融ムラ評価画像とは、シアントナーとマゼンタトナーとを100%濃度で形成した10mm×10mmのパッチ画像を、紙面中央部付近に配置した画像である。
溶融ムラの目安は、以下の通りである。2色が形成された画像部で十分に熱と圧力が加わることでトナーが溶融し混色する。特に紙凹凸の凹部において、熱が加わっていても圧力が加わっていない場合には、トナーの粒界が定着後に残存するため、十分に混色しない状態で溶融ムラが生じる。溶融ムラが生じると、混色が不十分となるため、画質が低下する傾向にある。そのため、画像形成域の溶融状態を観察し、溶融ムラを評価することで、紙への追従性及び画質を評価することができる。
溶融ムラ評価画像を10枚連続して印刷した後、10枚目のサンプルを抜き取り、画像形成部を光学顕微鏡で観察し溶融ムラを評価した。評価基準は以下のとおりである。下記の評価基準で評価がA~Cであれば、本開示の効果が得られているものと判断した。
(評価基準)
A:紙繊維の凹部においてもトナー粒界が全く見えず、凹部凸部共に混色している状態。B:紙繊維の凹部においてもトナー粒界がほぼ見えず、凹部凸部共に混色している状態。
C:紙繊維の凹部において一部トナー粒界が観察されるものの、凹部凸部共におおむね混色している状態。
D:紙繊維の凸部のみが混色され、凹部ではトナー粒界が多く観察される状態。
<耐摩耗性の評価>
耐摩耗性の評価は、作製した定着フィルムを組み込んでなる図2に記載のフィルム加熱方式の定着装置40を用いて行った。加圧力を一端側が156.8N、総加圧力が313.6N(32kgf)となるようにした状態で、加圧ローラ表面の移動スピード(周速)が320mm/secになるように回転駆動させ、定着フィルムの通紙部表面温度が170℃に制御された状態で同一サイズの紙(A4横,GF-C068)を70枚/分で連続通紙した。下記の評価基準で評価がA~Cであれば、本開示の効果が得られているものと判断した。
(評価基準)
A:50万枚通紙しても表面層の削れがほとんど見られない
B:20万枚通紙しても表面層の削れがほとんど見られないが、50万枚通紙すると用紙端部による表面層の軽微な削れが見られる
C:20万枚通紙すると用紙端部による表面層の軽微な削れが見られ、50万枚通紙すると用紙端部による表面層の明確な削れが見られる
D:20万枚通紙すると用紙端部による表面層の明確な削れが見られる
<静電オフセットの評価>
作製した電子写真部材を用いて図2に示される定着装置を作製し、評価を行った。評価条件は以下のとおりである。
試験環境;室温25度、湿度10%
プロセス速度;150mm/sec
通紙条件;
本体、定着部材、加圧部材を全てイオナイザーで除電
上記試験環境で10日間放置したCS-068(日本製紙(株)製、68g紙)の格子画像100枚通紙
Office70(日本製紙(株)製、70g紙)のハーフトーン両面5枚通紙
画像形成装置としてiR-ADV C3835F(キヤノン(株)製)を用いた。上記ハーフトーン両面5枚通紙で得られた5枚の紙を目視で観察して、静電オフセットの有無を下記基準で評価した。
(評価基準)
ランクA:トナーオフセットがない。
ランクB:トナーオフセットがごく軽微に確認される
ランクC:トナーオフセットが軽微に確認される
ランクD:トナーオフセットが明瞭に確認される
<剥がれ評価>
作製した電子写真部材を用いて図2に示される定着装置を作製し、評価を行った。評価条件は以下のとおりである。
試験環境;室温25度、湿度50%
プロセス速度;150mm/sec
通紙条件;
CS-068(日本製紙(株)製、68g紙、A4サイズ)上に格子画像を形成し、連続通紙する
10万枚ごとにGC-C081(日本製紙(株)社製、68g紙、SRA3サイズ)を通紙し、このときに表面層と弾性層間の界面の剥がれにより発生するオフセットの有無を
確認した。ここで、オフセットが確認できた時点での通紙枚数を評価基準として、以下の通り評価した。
(評価基準)
ランクA:80万枚以上トナーオフセットが発生しない
ランクB:80万枚未満でトナーオフセットが発生
<画像光沢度の評価>
画像光沢度の評価は、耐摩耗性の評価と同様のフィルム加熱方式の定着装置40を用いて行った。温度23℃相対湿度50%の環境下、定着フィルムの通紙部表面温度が160℃に制御された状態で黒ベタ画像を定着した。紙は、A4サイズの紙(商品名:GFC-081(81.0g/m);キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。出力された画像の60°グロスを光沢計(日本電色工業製ハンディ型光沢計PG-1M)にて測定し、その平均値を下記の基準にて評価した。なお、60°グロスとは、JIS規格では、屈折率1.567であるガラス表面において60°の入射角の場合の反射率10%を光沢度100(%)として定義される値である。下記の評価基準で評価がA~Cであれば、本開示の効果が得られているものと判断した。
(評価基準)
A:グロスが10以上
B:グロスが8以上10未満
C:グロスが6以上8未満
D:グロスが6未満
<実施例1>
本実施例では、図3に示されるような定着フィルムを作製した。
(PFAチューブの内面処理)
ネオフロンPFA:AP-231SH(ダイキン工業株式会社製)を原材料として押し出し成型することにより得られた、厚み20μmのPFAチューブを用いた。安息香酸ナトリウムを5質量%、サーフロンS-113(フッ素系界面活性剤、AGCセイミケミカル株式会社製)を1質量%となるように調製した水溶液をPFAチューブの内側の表面全域に塗布し、自然乾燥したあと、300mJ/cm/パルスのKrFエキシマレーザー光を6ショット照射し、内面処理済みのPFAチューブを得た。
(基層)
内径が24mmで、厚みが30μmのSUSを基層として用いた。
(内面摺動層の形成)
まず、芳香族テトラカルボン酸二無水物あるいはその誘導体と、芳香族ジアミンとの略等モル量を非プロトン系の極性有機溶媒中で反応させてポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体溶液を、リングコート法により基層の内周面に塗布し、電気炉にて溶媒を乾燥後、260~400℃で1時間程度加熱して内面摺動層を形成した。内面摺動層の厚みは12μmとした。
(プライマー層及び弾性層の形成)
内面摺動層を形成した基層に対し、以下の手順でプライマー層及び弾性層を形成した。
基層上にヒドロシリル系のシリコーンプライマー(DY39-051 A/B;ダウ・東レ社製)を塗工し、200℃にて5分間加熱硬化した。そのプライマー層上に下記成分(a)~(d)を混合した液状付加硬化型シリコーンゴム混合物を厚さ250μmにて塗工し、200℃にて30分間加熱硬化して、厚み250μmのシリコーンゴム弾性層を形成した。
(シリコーンゴム混合物)
成分(a):不飽和脂肪族基を有する直鎖型オルガノポリシロキサン
成分(b):ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン
成分(c):触媒
成分(d):熱伝導性フィラー
まず、成分(a)として分子鎖両末端にのみ不飽和脂肪族基であるビニル基を有し、その他不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基としてメチル基を有するシリコーンポリマーを100質量部準備した。このシリコーンポリマー(商品名:DMS-V35、Gelest社製、粘度5000mm/s)を以降「Vi」と称する。
次いで、このViに成分(d)として、アルミナ(商品名:アミナビーズCB―P10、昭和電工株式会社製)を370質量部添加し、自公転ミキサー(シンキー社製、ARV-5000)にセットし、600rpmで2分攪拌混合して混合物1を得た。
次いで、硬化遅延剤である1-エチニル-1-シクロヘキサノール(東京化成工業株式会社製)0.2質量部を同重量のトルエンに溶解したものを、混合物1中に添加して混合物2を得た。
次いで、成分(c)としてヒドロシリル化触媒(白金触媒:1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、および2-プロパノールの混合物)0.1質量部を、混合物2中に添加して混合物3を得た。
さらに、成分(b)としてシロキサン骨格が直鎖状で、ケイ素に結合した活性水素基を側鎖にのみ有するシリコーンポリマー(商品名:HMS-301、Gelest社製、粘度30mm/s、以降「SiH」と称する)を、1.1質量部計量した。これを、混合物3に添加し、十分に混合することで、液状付加硬化型シリコーンゴム混合物を得た。
(接着層の塗布)
100部の付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1819CV、東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合)に対し、イオン導電剤として下記式(1)の構造を有するFC-4400(スリーエムジャパン(株)製)を5.0部混合させた混合液を調製した。そして、上記弾性層を形成した後、リングコート法を用いて、弾性層の表面に厚みが3μmになるように当該混合液を略均一に塗布した。
(n-C(CH)N・N(SOCF (1)
(表面層の形成)
混合液を塗布した後、上記内面処理済みのPFAチューブを、外側から真空拡張し被覆する方法(真空拡張被覆法)により接着剤上に被覆し、表面層とした。
具体的には、接着剤が塗布された弾性層形成後のワークの外径よりも大きな内径を有する外筒の内面にPFAチューブを真空状態で吸着させて拡径し、ワークをその中に挿入した後、真空を解除することで接着剤上に被覆した。PFAチューブと弾性層との間の余分な接着剤と空気をOリング等で扱き落とした後、電気炉等の加熱手段にて接着剤を硬化・接着させ、第二の樹脂層を形成した。具体的には、電気炉を用い200℃で2分加熱した。その後、両端部を所望の長さ(336.5mm)に切断した。
(表面層の加熱処理)
両端部を所望の長さに切断した後、内径がφ42mmの加熱筒に挿入し、加熱筒内部のバンドヒーターによって全域を加熱処理した。加熱温度は330℃とし、表面層の実体温度がPFAの融解温度以上となるように加熱処理した。
加熱時間は表面層の実体温度が所望の加熱処理温度に十分到達可能な時間として、加熱
筒に定着フィルムを投入後3分間とした。投入して3分経過後、加熱筒を20℃/分の速度で200℃まで冷却した。その後、加熱筒から常温(25℃)雰囲気下へ取り出し、定着フィルムを得た。
作製した定着フィルムの吸熱量、D3、表面抵抗率、配向度、帯電電位の値を上述の方法によって求めた。さらに、上述の評価方法を用いて、作製した定着フィルムの評価を行った。これらの結果を表1及び2に示す。
<実施例2>
イオン導電剤の添加量を1.0部に変更した以外は実施例1と同様にして、定着フィルムを得た。
<実施例3>
イオン導電剤の添加量を30.0部に変更した以外は実施例1と同様にして、定着フィルムを得た。
<実施例4>
第二の樹脂層の厚みを0.5μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、定着フィルムを得た。
<実施例5>
第二の樹脂層の厚みを6.0μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、定着フィルムを得た。
<実施例6>
イオン導電剤の添加量を0.5部に変更した以外は実施例1と同様にして、定着フィルムを得た。
<実施例7>
イオン導電剤の添加量を32.0部に変更した以外は実施例1と同様にして、定着フィルムを得た。
<実施例8>
PFAチューブの内面処理において、KrFエキシマレーザー光のショット数を2ショットに変更した以外は実施例1と同様にして、定着フィルムを得た。
<比較例1>
イオン導電剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、定着フィルムを得た。
<比較例2>
表面層の加熱処理において、加熱筒に定着フィルムを投入して3分経過後、加熱筒を200度まで冷却することなく、加熱筒から常温(25℃)雰囲気下へ取り出して自然冷却したこと以外は実施例1と同様にして、定着フィルムを得た。
<比較例3>
PFAチューブ被覆後に加熱処理をしなかったこと以外は実施例1と同様にして、定着フィルムを得た。
<比較例4>
付加硬化型シリコーンゴム接着剤に対し、イオン導電剤の代わりにカーボンブラック粒
子(商品名:デンカブラック、デンカ(株)社製)を1部混合した混合液を用いて作製したこと以外は実施例1と同様にして、定着フィルムを得た。
実施例2~8、比較例1~4において、作製した定着フィルムの吸熱量、D3、表面抵抗率、配向度、及び帯電電位の値を上述の方法によって求めた。また、実施例1と同様の評価方法を用いて。作製した定着フィルムの評価を行った。これらの結果を表1及び2に示す。
Figure 2025004830000006
なお、表中、例えば、「1E+15」は、「1.0×1015」を意味する。
また、比較例3における「D3」の欄の「※」は、球晶が観察できなかったことを意味する。
Figure 2025004830000007
このように、実施例1~8に記載される方法で作製された電子写真部材を定着ベルトとして用いた場合、溶融ムラ、耐摩耗性、静電オフセット、耐久性、画像光沢度の評価でA~Cランクであり、いずれの評価でもDランクの状態にはならなかった。
これに対し、比較例1~4に記載される方法で作製された電子写真部材を定着ベルトとして用いた場合、Dランクが発生する項目があった。
本開示は、以下の構成に関する。
[構成1]
少なくとも、基層と、弾性層と、フッ素樹脂を含む表面層と、をこの順に有する電子写真部材であって、
該フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含み、
該表面層は、透過型X線回折法を用いて得られる配向度が35%以下であり、
該表面層は、該フッ素樹脂の球晶を複数個含み、
該表面層からサンプリングした試料を測定試料として、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度20℃/分として測定を行ったときの吸熱曲線において、昇温過程における吸熱量が21J/g以上であり、
該弾性層と該表面層との間に更に第二の樹脂層を有し、該第二の樹脂層がイオン導電剤を含み、かつ、該第二の樹脂層の表面抵抗率が1×1014Ω/□以上
であることを特徴とする電子写真部材。
[構成2]
前記電子写真部材の外表面に対し、10mmの間隙を有するようにコロナ放電器のグリッド部を配置し、次いで、前記電子写真部材を60rpmで回転させつつ、該コロナ放電器に-5kVの印加電圧を15秒印加した際の表面電位が-650V以上である、構成1に記載の電子写真部材。
[構成3]
前記表面層の表面抵抗率が、1.0×1015Ω/□以上である、構成1又は2に記載の電子写真部材。
[構成4]
前記弾性層の表面抵抗率が、1.0×1015Ω/□以上である、構成1~3のいずれかに記載の電子写真部材。
[構成5]
前記表面層の外表面における前記球晶の面積平均径をD3としたとき、D3が40μm以下である、構成1~4のいずれかに記載の電子写真部材。
[構成6]
前記第二の樹脂層におけるイオン導電剤の含有割合が、1.0~24.0質量%である、構成1~5のいずれかに記載の電子写真部材。
[構成7]
前記第二の樹脂層の厚みが、1μm以上5μm以下である、構成1~6のいずれかに記載の電子写真部材。
[構成8]
前記第二の樹脂層が、付加硬化型シリコーンゴム接着剤の硬化物を含む、構成1~7のいずれかに記載の電子写真部材。
[構成9]
前記電子写真部材が、エンドレス形状を有する電子写真ベルトである、構成1~8のいずれかに記載の電子写真部材。
[構成10]
前記電子写真部材が、定着ベルトである構成9に記載の電子写真部材。
[構成11]
電子写真画像形成装置における定着装置であって、
該定着装置は、定着部材と、該定着部材に対向して配置された加圧部材と、を具備し、
該定着部材及び該加圧部材の少なくとも一方が、構成1~10のいずれかに記載の電子写真部材である、ことを特徴とする定着装置。
[構成12]
定着装置を備える電子写真画像形成装置であって、
該定着装置は、定着部材と、該定着部材に対向して配置された加圧部材と、を具備し、
該定着部材及び該加圧部材の少なくとも一方が、構成1~10のいずれかに記載の電子写真部材である、ことを特徴とする電子写真画像形成装置。
[構成13]
少なくとも、基層と、弾性層と、フッ素樹脂を含む表面層と、をこの順に有する電子写真部材であって、
該フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含み、
該表面層は、該フッ素樹脂の球晶を複数個含み、
該表面層からサンプリングした試料を測定試料として、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度20℃/分として測定を行ったときの吸熱曲線において、昇温過程における吸熱量が21J/g以上であり、
該弾性層と該表面層との間に更に第二の樹脂層を有し、該第二の樹脂層がイオン導電剤を含み、かつ、該第二の樹脂層の表面抵抗率が1×1014Ω/□以上、
であることを特徴とする電子写真部材。
10:画像形成部、11:感光ドラム、12:帯電器、13:レーザスキャナ、14:現像器、15:クリーナ、17:一次転写ブレード、20:給紙カセット、25:マルチ給紙トレイ、23:レジストローラ対、31:中間転写ベルト、35:二次転写ローラ、40:定着装置、41:定着フィルム、41a:表面層、41b:接着層(第二の樹脂層)、41c:弾性層、41d:基層、43:ヒータ、44:加圧ローラ、45:接触式サーミスタ、46:ヒーターホルダ、501:コロナ放電器グリッド、502:定着部材、503:表面電位計のプローブ、P:記録材、T:トナー

Claims (13)

  1. 少なくとも、基層と、弾性層と、フッ素樹脂を含む表面層と、をこの順に有する電子写真部材であって、
    該フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含み、
    該表面層は、透過型X線回折法を用いて得られる配向度が35%以下であり、
    該表面層は、該フッ素樹脂の球晶を複数個含み、
    該表面層からサンプリングした試料を測定試料として、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度20℃/分として測定を行ったときの吸熱曲線において、昇温過程における吸熱量が21J/g以上であり、
    該弾性層と該表面層との間に更に第二の樹脂層を有し、該第二の樹脂層がイオン導電剤を含み、かつ、該第二の樹脂層の表面抵抗率が1×1014Ω/□以上、
    であることを特徴とする電子写真部材。
  2. 前記電子写真部材の外表面に対し、10mmの間隙を有するようにコロナ放電器のグリッド部を配置し、次いで、前記電子写真部材を60rpmで回転させつつ、該コロナ放電器に-5kVの印加電圧を15秒印加した際の表面電位が-650V以上である、請求項1に記載の電子写真部材。
  3. 前記表面層の表面抵抗率が、1.0×1015Ω/□以上である、請求項1に記載の電子写真部材。
  4. 前記弾性層の表面抵抗率が、1.0×1015Ω/□以上である、請求項1に記載の電子写真部材。
  5. 前記表面層の外表面における前記球晶の面積平均径をD3としたとき、D3が40μm以下である、請求項1に記載の電子写真部材。
  6. 前記第二の樹脂層におけるイオン導電剤の含有割合が、1.0~24.0質量%である、請求項1に記載の電子写真部材。
  7. 前記第二の樹脂層の厚みが、1μm以上5μm以下である、請求項1に記載の電子写真部材。
  8. 前記第二の樹脂層が、付加硬化型シリコーンゴム接着剤の硬化物を含む、請求項1に記載の電子写真部材。
  9. 前記電子写真部材が、エンドレス形状を有する電子写真ベルトである、請求項1に記載の電子写真部材。
  10. 前記電子写真部材が、定着ベルトである請求項9に記載の電子写真部材。
  11. 電子写真画像形成装置における定着装置であって、
    該定着装置は、定着部材と、該定着部材に対向して配置された加圧部材と、を具備し、
    該定着部材及び該加圧部材の少なくとも一方が、請求項1~10のいずれか一項に記載の電子写真部材である、ことを特徴とする定着装置。
  12. 定着装置を備える電子写真画像形成装置であって、
    該定着装置は、定着部材と、該定着部材に対向して配置された加圧部材と、を具備し、
    該定着部材及び該加圧部材の少なくとも一方が、請求項1~10のいずれか一項に記載の電子写真部材である、ことを特徴とする電子写真画像形成装置。
  13. 少なくとも、基層と、弾性層と、フッ素樹脂を含む表面層と、をこの順に有する電子写真部材であって、
    該フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含み、
    該表面層は、該フッ素樹脂の球晶を複数個含み、
    該表面層からサンプリングした試料を測定試料として、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度20℃/分として測定を行ったときの吸熱曲線において、昇温過程における吸熱量が21J/g以上であり、
    該弾性層と該表面層との間に更に第二の樹脂層を有し、該第二の樹脂層がイオン導電剤を含み、かつ、該第二の樹脂層の表面抵抗率が1×1014Ω/□以上、
    であることを特徴とする電子写真部材。
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