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JP2024150172A - 加湿成形用の紙基材、紙加工品及び紙容器 - Google Patents

加湿成形用の紙基材、紙加工品及び紙容器 Download PDF

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JP2024150172A JP2023063448A JP2023063448A JP2024150172A JP 2024150172 A JP2024150172 A JP 2024150172A JP 2023063448 A JP2023063448 A JP 2023063448A JP 2023063448 A JP2023063448 A JP 2023063448A JP 2024150172 A JP2024150172 A JP 2024150172A
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友美子 石川
Yumiko Ishikawa
大信 平野
Daishin Hirano
壮 佐藤
So Sato
明裕 松下
Akihiro Matsushita
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Abstract

【課題】加湿成形による高いレベルでの成形性及び耐落下衝撃性を達成し、さらに高温高湿度環境で湿潤し振動を受けても表面の美麗性を維持できる加湿成形用の紙基材。
【解決手段】加湿成形用の紙基材であって、前記紙基材が、2層以上の紙層を有し、前記紙基材の厚みが、0.8~1.5mmであり、前記紙基材の繊維配向比が、1.40~2.50であり、前記紙基材の、一方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅と、他方の表面を構成する紙に含まれるパルプの平均繊維幅と、の両方が28.0μm以下である、ことを特徴とする加湿成形用の紙基材。
【選択図】なし

Description

本開示は、加湿成形用の紙基材、並びに該紙基材を用いてなる紙加工品及び紙容器に関する。
近年、環境への懸念などから、世界的に脱プラスチックへの取り組みが加速している。従来、合成樹脂などプラスチック材料が、トレーやボトルなどの容器、並びに食器、文具及び医療器具などに広く用いられてきたが、プラスチック製品から紙製品への代替が進められている。
紙を使用した容器などには、成形するための折り曲げ易さ、すなわち成形性(柔軟性)が必要である一方、耐落下衝撃性など成形後の強度も求められる。しかしながら、両者は紙の性質としてトレードオフの関係にあり、例えば、基材の厚みを大きくすることで耐落下衝撃性は良化するが、成形性は劣るようになる。そのため、成形性及び耐落下衝撃性が両立できる良好な紙が求められる。
一方、厚みの大きな紙基材の成形方法として、例えば特許文献1では、紙製段ボールを曲げ加工する際の加圧前にライナを加湿する工程を含む成形方法が開示されており、加工における皺や破れの発生が防止されている。
国際公開第2004/022327号
しかしながら、本発明者らの検討によると、上記文献の技術ではトレーやボトルなどの容器といった、加湿成形によってより複雑な加工を行う場合の成形性及び耐落下衝撃性の両立という観点では十分ではない。さらに、トレーやボトルなどの容器は、成形後の輸送や保管の際に高温高湿度環境といった表面が湿潤しやすい環境に晒され、さらに輸送による振動を受ける場合もある。そのような過酷な環境に晒されても表面の美麗性を維持することが可能な紙基材は未だ得られていない。
本開示は、加湿成形による高いレベルでの成形性及び耐落下衝撃性を達成し、さらに高温高湿度環境で湿潤し振動を受けても表面の美麗性を維持できる加湿成形用の紙基材を提供する。
本開示は、以下の<1>~<6>に関する
<1> 加湿成形用の紙基材であって、
前記紙基材が、2層以上の紙層を有し、
前記紙基材の厚みが、0.8~1.5mmであり、
前記紙基材の繊維配向比が、1.40~2.50であり、
前記紙基材の、一方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅と、他方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅と、の両方が28.0μm以下である、
ことを特徴とする加湿成形用の紙基材。
<2> 前記紙基材の一方の表面をA面とし、他方の表面をB面としたときに、
前記紙基材の前記A面から測定したコッブ吸水度が、前記B面から測定したコッブ吸水度以下であって、
前記A面から測定したコッブ吸水度が、10~700g/m・60秒であり、
前記B面から測定したコッブ吸水度が、10~1000g/m・60秒である、<1>に記載の加湿成形用の紙基材。
<3> <1>又は<2>に記載の加湿成形用の紙基材を用いてなる、紙加工品。
<4> <1>又は<2>に記載の加湿成形用の紙基材を用いてなる、紙容器。
<5> 前記紙容器が、ボトル型形状である、<4>に記載の紙容器。
<6> 前記紙基材の一方の表面をA面とし、他方の表面をB面としたときに、
前記紙基材の前記A面から測定したコッブ吸水度が、前記B面から測定したコッブ吸水度以下であって、
前記A面から測定したコッブ吸水度が、10~700g/m・60秒であり、
前記B面から測定したコッブ吸水度が、10~1000g/m・60秒であり、
前記A面が、前記紙容器の外表面の少なくとも一部を構成する、<5>に記載の紙容器。
本開示によれば、より高いレベルで成形性及び耐落下衝撃性を達成し、さらに高温高湿度環境で湿潤しても表面の美麗性を維持できる加湿成形用紙の基材を提供することができる。
本明細書において、数値範囲を表す「X以上Y以下」や「X~Y」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
縦方向とは紙基材における抄紙方向(MD)であり、繊維が配向する方向と同じである。また、横方向とは抄紙方向に対して垂直方向(CD)である。
本発明者らは、紙基材を2層以上の紙層を含む紙基材とし、紙基材の厚み、繊維配向比、及び紙基材の両方の表面を構成するパルプの平均繊維幅を特定の範囲内に制御することで、加湿成形による高いレベルでの成形性(以下、単に「加湿成形時の成形性」ともいう。)及び耐落下衝撃性を達成でき、さらに高温高湿度環境で湿潤し振動を受けても表面の美麗性(以下、単に「湿潤後の美麗性」ともいう。)を維持できる加湿成形用の紙基材が得られることを見出した。
紙基材の厚みを厚くすると、紙基材の強度が向上することにより耐落下衝撃性が向上するが、加湿成形時の成形性は低下する。繊維配向比を大きくすると、縦方向の剛度が大きくなって縦方向のシワが生じ、湿潤後の美麗性が低下するが、逆に繊維配向比を小さくすると、横方向の剛度が大きくなって、成形時に横方向に丸まりづらくなり、割れや変形が生じ、加湿成形時の成形性が低下する。紙基材の両方の表面を構成するパルプのうち、少なくとも一方の表面の平均繊維幅を大きくすると、加湿成形時に繊維が膨潤しやすくなるため、湿潤後の美麗性や加湿成形時の成形性が低下する。そのため、紙基材の厚み、繊維配向比、及び紙基材の両方の表面を構成するパルプの平均繊維幅を特定の範囲内に制御することで、加湿成形時の成形性、耐落下衝撃性及び湿潤後の美麗性に優れる加湿成形用の紙基材を得ることができると、本発明者らは考えている。
紙基材は、2層以上の紙層を有する。具体的には、紙基材は、好ましくは2層以上の紙層を有する多層紙又は2枚以上の原紙を貼付した合紙である。紙基材が合紙の場合は、2枚以上の原紙のそれぞれが紙層を含む。合紙を構成する原紙のそれぞれは、単層紙でも多層紙でもよい。紙基材が2層以上の紙層を有する構成であることで、各層や各原紙の原料配合や坪量、抄造条件などを任意に調整しやすくなる。
紙基材における紙層の数は、2~9層が好ましく、2~4層がより好ましく、2~3層
がさらに好ましく、2層がさらにより好ましい。
紙基材が2層以上の紙層を有する多層紙である場合は、紙基材は、後述する多層抄きで得られた多層構成の原紙である。多層紙を構成する紙層の数の上限は、特に限定されないが、通常9層以下である。紙基材は、好ましくは2層の紙層を有する多層紙である。
紙基材が2枚以上の原紙を貼付した合紙である場合は、合紙は該2枚以上の原紙の間に、さらに接着層を含む。例えば、原紙Aと接着層と原紙Bのみからなる合紙であってもよく、さらに別の原紙Cを、接着層を介して積層させた合紙であってもよい。合紙を構成する原紙の数の上限は、特に限定されないが、通常3枚以下である。紙基材は、好ましくは2枚の原紙を貼付した合紙である。
紙基材が合紙の場合、本開示の効果を損なわない範囲で、合紙に含まれる原紙は、後述する単層抄きで得られた単層紙であってもよく、後述する多層抄きで得られた多層紙であってもよい。2枚以上の原紙には、単層紙及び多層紙を併用してもよい。
加湿成形用の紙基材の厚みは、0.8~1.5mmである。厚みが0.8mm以上であると耐落下衝撃性が良好になる。一方、厚みが1.5mm以下であると加湿成形時の成形性が良好になる。上記範囲の厚みは、成形用の紙基材としては比較的厚い範囲であり、本開示ではこのような厚みの紙基材において高いレベルでの成形性及び耐落下衝撃性を達成し、さらに表面の美麗性を備えるものである。加湿成形用の紙基材の厚みは、好ましくは0.9~1.5mmであり、より好ましくは1.0~1.4mmである。
紙基材の繊維配向比は、1.40~2.50である。繊維配向比は、パルプスラリーが抄紙機のワイヤー上に流出され、脱水され、紙層が形成される過程で流れ方向(縦方向)に並ぶ傾向を示す。すなわち、繊維配向比は、繊維の配向度を示し、1以上の数値となる。繊維配向比が低ければ繊維がランダム配向していることを示し、繊維配向比が高ければ繊維が縦方向に配向していることを示す。
紙基材の繊維配向比が上記下限未満である場合、横方向の剛度が大きくなって、成形時に横方向に丸まりづらくなり、割れや変形が生じ、加湿成形時の成形性が低下しやすくなる。一方で、紙基材の繊維配向比が上記上限超えである場合、縦方向の剛度が大きくなって縦方向のシワが生じ、湿潤後の美麗性が低下しやすくなる。
紙基材の繊維配向比は、1.45~2.30であることが好ましく、1.50~2.10であることがより好ましい。
繊維配向比は、紙層又は原紙の抄紙における、パルプを含有する紙料の吐出速度と、抄紙機のワイヤー速度との比率の調整などにより制御することができる。該比率は、J/W比(ジェット/ワイヤー比)ともいう。繊維配向比を大きくするには、J/W比を大きくするなどの方法が挙げられる。
紙基材の、一方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅と、他方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅と、の両方は、28.0μm以下である。紙基材の少なくとも一方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅が上記上限超えである場合、加湿成形時に繊維が膨潤しやすくなり、湿潤後の美麗性や加湿成形時の成形性が低下する。特に、後述するA面側においては湿潤後の美麗性が低下しやすくなり、後述するB面側においては加湿成形時の成形性が低下しやすくなる。
上記パルプの平均繊維幅の測定においては、一方の表面を構成する紙層及び他方の表面を構成する紙層を分離して測定する。具体的な手段は後述する。
上記パルプの平均繊維幅は、上記一方の表面と他方の表面の両方とも27.0μm以下であることが好ましく、両方とも26.0μm以下であることがより好ましく、両方とも
21.0μm以下であることがさらに好ましい。下限は特に制限されないが、好ましくは12.0μm以上であり、より好ましくは15.0μm以上である。
例えば、パルプの平均繊維幅は、上記一方の表面と他方の表面の両方とも12.0μm~27.0μmであることが好ましく、両方とも12.0μm~26.0μmであることがより好ましく、両方とも15.0μm~21.0μmであることがさらに好ましい。
また、紙基材を構成するパルプの平均繊維幅が上記範囲であることも好ましい態様である。
パルプの平均繊維幅は、紙基材を構成するパルプのうち、針葉樹クラフトパルプの質量比率などにより制御することができる。パルプの平均繊維幅を小さくするには、紙基材を構成する針葉樹クラフトパルプの質量比率を減らすなどの方法が挙げられる。
紙基材の一方の表面をA面とし、他方の表面をB面としたときに、紙基材のA面から測定したコッブ吸水度が、B面から測定したコッブ吸水度以下であることが好ましい。紙基材のA面から測定したコッブ吸水度が、B面から測定したコッブ吸水度未満であることがより好ましい。また、A面から測定したコッブ吸水度は、10~700g/m・60秒であることが好ましく、B面から測定したコッブ吸水度は、10~1000g/m・60秒であることが好ましい。なお、紙基材のA面から測定したコッブ吸水度と、B面から測定したコッブ吸水度と、が同じ場合はどちらをA面としてもよい。
B面は、紙基材の加湿成形において水蒸気を当てる面となり得る。B面から測定したコッブ吸水度が上記範囲であることで、吸湿性が良好になり、加湿成形時の成形性をより向上させやすくなる。またA面は、紙基材を用いてなる紙加工品において、外表面の少なくとも一部を構成しうる面である。A面から測定したコッブ吸水度が上記範囲であることで、紙基材を用いてなる紙加工品の外表面の耐水性が向上し、湿潤後の美麗性をより向上させやすくなる。また、A面にラベルなどをプリントして外表面として用いる場合、加湿成形においても美麗性を維持できることから、意匠性の向上にも寄与しうる。
A面から測定したコッブ吸水度は、15~600g/m・60秒であることがより好ましく、20~500g/m・60秒であることがさらに好ましい。B面から測定したコッブ吸水度は、100~900g/m・60秒であることがより好ましく、200~800g/m・60秒であることがさらに好ましい。
B面から測定したコッブ吸水度とA面から測定したコッブ吸水度との差(B面-A面)の値は、20~900g/m・60秒であることが好ましく、300~800g/m・60秒であることがより好ましく、500~750g/m・60秒であることがさらに好ましい。上記範囲であると、加湿成形時の成形性と湿潤後の美麗性をより向上させやすい。
コッブ吸水度は、サイズ剤の添加量などにより制御することができる。コッブ吸水度を小さくするには、サイズ剤の添加量を増やすなどの方法が挙げられる。また、紙基材のA面から測定したコッブ吸水度を、B面から測定したコッブ吸水度よりも小さくするには、A面側を構成する紙層において、B面側を構成する紙層よりもサイズ剤の添加量を増やす、紙基材のA面側にオーバープリントニス(OPニス)を塗布するなどの方法が挙げられる。
紙基材の、一方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの長さ加重平均繊維長と、他方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの長さ加重平均繊維長と、の両方は、0.5~2.5mmであることが好ましく、0.6~2.4mmであることがより好ましく、0.6~1.2mmであることがさらに好ましい。
また、紙基材を構成するパルプの長さ加重平均繊維長が上記範囲であることも好ましい
態様である。
紙基材の、一方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの長さ加重平均繊維長と、他方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの長さ加重平均繊維長と、の両方が上記上限以下であることで、加湿成形時に繊維が膨潤しづらくなるため、前述したA面側においては湿潤後の美麗性を向上させることができ、前述したB面側においては加湿成形時の成形性をより向上させやすくなる。
パルプの長さ加重平均繊維長は、紙基材を構成するパルプのうち、針葉樹クラフトパルプの質量比率などにより制御することができる。パルプの長さ加重平均繊維長を小さくするには、紙基材を構成する針葉樹クラフトパルプの質量比率を減らすなどの方法が挙げられる。
紙基材の坪量は、500~1400g/mであることが好ましく、600~1300g/mであることがより好ましく、700~1200g/mであることがさらに好ましい。なお、紙基材の坪量とは、紙基材が2枚以上の原紙を貼付した合紙である場合、該2枚以上の原紙の間の接着層の重量も含む紙基材の合計の坪量である。
紙基材の全体の坪量が上記範囲であることで、紙基材の厚みを調整しやすくなり、耐落下衝撃性及び加湿成形時の成形性をより向上させやすくなる。
A面を構成する側の紙層の坪量(A面側の坪量)は、250~700g/mであることが好ましく、300~650g/mであることがより好ましく、350~600g/mであることがさらに好ましい。上記範囲であることで所望のコッブ吸水度を満足しやすく、湿潤後の美麗性をより向上させることができる。
B面を構成する側の紙層の坪量(B面側の坪量)は、250~700g/mであることが好ましく、300~650g/mであることがより好ましく、350~600g/mであることがさらに好ましい。上記範囲であることで紙基材を良好に膨潤させやすく、加湿成形時の成形性をより向上させることができる。
A面を構成する側の紙層の坪量の、B面を構成する側の紙層の坪量に対する比の値(A面/B面)は、0.5~2.0であることが好ましく、0.8~1.2であることがより好ましく、0.9~1.1であることがさらに好ましい。上記範囲であることで、加湿成形時の成形性、耐落下衝撃性及び湿潤後の美麗性をより達成しやすい。
紙層は、一般的に用いられている紙であれば特に限定されず、植物由来のパルプを主成分として含む紙であることが好ましく、木材パルプを主成分とする紙であることがより好ましい。また、紙層に含まれる原料パルプは、木材パルプが好ましく、クラフトパルプが好ましい。クラフトパルプは、原料の違いから、広葉樹クラフトパルプ(LKP)及び針葉樹クラフトパルプ(NKP)が挙げられる。また、処理状態の違いから、晒クラフトパルプ(BKP)、未晒クラフトパルプ(UKP)及び酸素漂白クラフトパルプ(OKP)が挙げられ、印刷適正の観点から、晒クラフトパルプ(BKP)が好ましい。また、古紙パルプを用いてもよい。
これらの中でも、原料パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、古紙パルプからなる群から選択される少なくとも一が好ましい。広葉樹クラフトパルプ(LKP)と古紙パルプとを併用すること、又は、針葉樹クラフトパルプ(NKP)と広葉樹クラフトパルプ(LKP)とを併用することがより好ましい。紙層に含まれるパルプは、広葉樹クラフトパルプ(LKP)と古紙パルプとを含有することがさらに好ましい。
広葉樹クラフトパルプ(LKP)と古紙パルプとを併用した場合の質量比(LKP/古紙パルプ)は、一般的な紙に用いられる比率であれば特に限定されないが、10/90~90/10が好ましく、20/80~80/20がより好ましく、30/70~70/30がさらに好ましく、40/60~60/40がよりさらに好ましい。
針葉樹クラフトパルプ(NKP)と広葉樹クラフトパルプ(LKP)とを併用した場合の質量比(NKP/LKP)は、一般的な紙に用いられる比率であれば特に限定されないが、20/80~80/20が好ましく、40/60~80/20がより好ましく、50/50~70/30がさらに好ましい。
また、広葉樹クラフトパルプ(LKP)としては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)が好ましい。
広葉樹クラフトパルプ(LKP)には、例えば、ユーカリ、タンオーク、アカシアなど公知の広葉樹の木材チップを使用することができる。また、針葉樹クラフトパルプ(NKP)には、例えば、カラマツ、エゾマツ、スギ、スラッシュパイン、ロッジポールパインなど公知の針葉樹の木材チップを使用することができる。
パルプのカナディアンスタンダードフリーネス(CSF)は、特に制限されないが、好ましくは350~700mlであり、より好ましくは400~500mlである。
なお、CSFは、JIS-P8220に準拠して標準離解機にて試料を離解処理した後、JIS-P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて測定した濾水度の値である。
紙層又は原紙の調製の際に、内添剤を添加してもよい。内添剤としては、サイズ剤、填料、紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料・顔料等が挙げられる。
紙基材のコッブ吸水度を制御しやすくする観点から、紙基材はサイズ剤を含有することが好ましい。サイズ剤は特に制限されず公知のものを用いることができる。サイズ剤は、例えば、ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体などのスチレン含有ポリマー合挙げられる。サイズ剤は、好ましくはロジン系サイズ剤である。
ロジン系サイズ剤の含有量は、所望のコッブ吸水度が得られる程度であればよい。例えば、パルプ100質量部に対し、0.05~2.00質量部が好ましい。なお、紙層中のサイズ剤の含有量は、熱分解GC/MSを用いた質量分析で測定することができる。
紙層又は原紙の抄紙においては、公知の湿式抄紙機を適宜選択して使用することができる。抄紙機としては、長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等が挙げられる。
紙層又は原紙の抄紙においては、例えば、紙料をワイヤー等に流延させ、脱水して湿紙を得て、必要に応じて複数の湿紙を重ね、この単層又は多層の湿紙をプレスし、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、複数の湿紙を重ねない場合は単層抄きの原紙が得られ、複数の湿紙を重ねる場合は多層抄きの原紙が得られる。多層抄きの原紙を得る場合は、抄紙工程中、層間接着を強化する澱粉、ポリアクリルアミドなどを層間に塗布し、抄き合わせてもよい。
澱粉を塗布する場合、澱粉の量(例えば、乾燥後の塗工量)としては、0.1~5.0g/mであることが好ましく、0.5~2.0g/mであることがより好ましい。
抄紙機によって形成された紙層又は原紙は、たとえば、フェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させることが好ましい。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
また、上記のようにして得られた紙層又は原紙に、カレンダーによる表面処理を施して厚さやプロファイルの均一化を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
紙層又は原紙の王研式平滑度(JIS P 8155:2010)は特に制限されないが、5秒以上であることが好ましく、10~1000秒がより好ましい。また、紙層又は原紙の75°光沢度も特に制限されないが、5%以上であることが好ましく、10~70%がより好ましい。
紙基材が2枚以上の原紙を貼付した合紙である場合は、さらに該2枚以上の原紙の間の接着層を含む。すなわち、紙基材が合紙である場合は、原紙と原紙とは、接着層を介して積層される。接着層は、接着性を有する材料からなる層であればよい。接着層は、ドライラミネートとウェットラミネートに適する樹脂系の接着剤であることが好ましい。ウェットラミネートに適した接着剤がより好ましい。
接着層として、接着剤を用いて原紙と原紙とを積層してもよい。接着剤として特に限定されないが、水系、溶剤系、UV系などの種類を用いることができ、その中でも、水系接着剤が好ましい。すなわち、接着層は水系接着剤により形成された水系接着剤層であることが好ましい。また、水系接着剤の中でもアクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤及びイソシアネート系接着剤からなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、接着力の制御がしやすい点と耐熱性の観点からアクリル系接着剤がより好ましい。
接着剤を用いる場合の、接着層の単位面積当たりの量(例えば、乾燥後の塗工量)としては、1~50g/mであることが好ましく、より好ましくは5~20g/mである。固形分がこの量となるように原紙上に塗工することが好ましい。
塗工には、接着剤を含有する塗工液を用いることが好ましく、接着剤を含有する塗工液に硬化剤を混合した混合塗工液を用いることがより好ましい。例えば、接着層は、水系接着剤の硬化物であることが好ましい。
接着層は、熱可塑性樹脂を含む層であってもよい。熱可塑性樹脂を用いることで、原紙上に加熱溶融した樹脂をコーティングし、もう一方の原紙を貼合することにより、容易に積層体である合紙を得ることができる。
熱可塑性樹脂層に使用される熱可塑性樹脂としては特に限定されず、公知の熱可塑性樹脂の中から、適宜選択すればよい。
合紙を製造する方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。以下の製造方法の一例を示す。
まず、A面を形成しうる紙層Aを含む原紙Aと、B面を形成しうる紙層Bを含む原紙Bと、を調製し、原紙Aの片面に上記接着層となる接着剤を塗工し、このコーティング面に原紙Bをウェットラミネートして貼合させ、合紙を得ることができる。
合紙は、前述の通り、2枚以上の原紙を含むもの(たとえば、原紙Aと原紙B)であるが、3枚以上の原紙を含むものでもよい。合紙が3枚以上の原紙を含む場合、それらの原紙同士を接着する接着層は、それぞれ異なってもよいし、同じであってもよい。
得られた紙基材を、収容物品の大きさや形状、輸送、展示への適合性を考慮し、適当な寸法に裁断してもよい。裁断は、同一形状の合紙を効率的に得る観点から、打ち抜き加工によることが好ましい。
打ち抜き加工は、高速自動打抜機、平盤打抜機、輪転打抜機を用いて行うことが好ましく、高速自動打抜機によることがより好ましい。高速自動打抜機、平盤打抜機によれば、四角形、角丸四角形、楕円形等の形状の紙基材を容易に効率的に得ることができる。
紙基材の用途は、加湿成形用であれば特に制限されず、加湿成形し、適宜さらなる加工をすることで、紙加工品として用いられてもよい。紙加工品としては、例えば、紙ボトル、紙カップ、紙トレー等の紙容器、紙ハンガー、紙ハンガーフック等の衣類掛け用具、紙皿、紙スプーン、紙フォーク、紙ナイフ、紙マドラー、紙ストロー等の紙食器が挙げられる。
紙基材は、紙容器として用いられることが好ましく、ボトル型形状である紙容器として用いられることがより好ましい。また、前述したA面が、該紙容器の外表面の少なくとも一部を構成することが好ましい。
加湿成形は、加湿して成形する公知の方法を含み、例えば、紙基材を加湿してから、プレス成形、折り曲げ成形する方法などにより、所望の形状に加工しうる。
紙基材を加湿させる方法としては、特に限定されないが、紙基材の一方の表面に水蒸気を吹き付ける方法などが挙げられる。水蒸気を吹き付けた後の紙基材の含水率は、5~30質量%であることが好ましく、5~25質量%であることがより好ましく、8~15質量%であることがさらに好ましい。
以下、各物性の測定方法について記載する。
<紙基材の厚み>
紙基材の厚み(紙厚)は、JIS P 8118:2014に準拠して、JIS P 8111:1998に規定された調湿環境下にて調湿後に測定する。測定装置には、紙厚計(社名:株式会社東洋精機製作所、型番:No.132 デジタル測厚機)を用いることができる。サンプルを10点測定し、算術平均値を採用する。
<繊維配向比>
紙基材の繊維配向比は、野村商事社製のSONIC SHEET TESTER(SST)を用いて、紙基材の縦方向の超音波伝播速度(Vmd)と、横方向の超音波伝播速度(Vcd)とを測定し、その比率(Vmd/Vcd)を繊維配向比として測定する。サンプルを10点測定し、算術平均値を採用する。
<再離解パルプの長さ加重平均繊維長、平均繊維幅>
紙基材を80℃の水に1時間漬けた後、A面を構成する紙層と、B面を構成する紙層を分割する。具体的には、各層を確認しながら、手作業で丁寧に紙層を分割する。紙層が剥がれにくい場合は、80℃の水に漬ける工程を繰り返し行う。紙基材が合紙であり、測定対象の紙層に接着剤が付着している場合は、ナイフやカッターを使用して可能な限り接着剤を取り除く。
分割した紙層を40cm角に切り出し、それをイオン交換水に浸し、濃度2%に調整した上で、24時間浸す。
24時間浸した後、JISP8220-2:2012に準拠して、標準型離解機(熊谷理機工業株式会社製)を用いて、未離解繊維がなくなるまで処理して、パルプを繊維状に離解する。
離解後のスラリー(パルプ繊維の分散液)を固形分濃度0.1質量%に調整し、パルプ固形分濃度をJISP8225:2003に準拠して算出する。離解後のスラリーを固形
分濃度0.004質量%、500gのスラリーになるよう調整し、分取量を記録する。固形分濃度及びスラリー分取量を用いてサンプルの乾燥重量を算出する。
得られたスラリーを用いて、繊維長測定機(型式Valmet FS-5 UHDベースユニット付、バルメット社製)を使用して、「長さ加重平均繊維長」、「繊維幅」を測定する。なお、測定は、ISO 16065-2:2007に準拠して行う。
また、同機器は、付属のカメラにより繊維の1本1本を検出し測定可能であり、ISO16505-2:2007規格に従って、被写界深度0.5mmの測定セル内で撮影される。同機器により、繊維長が0.01mm以上10.00mm以下の繊維長が撮影される。「繊維長」、「繊維幅」の測定には0.2mm以上7.0mm以下の繊維を選択するものとする。繊維幅は、得られたすべての繊維の繊維幅の算術平均値を平均繊維幅とする。
<コッブ吸水度>
コッブ吸水度は、JISP8140:1998に準拠して、JIS P 8111:1998に規定された調湿環境下にて調湿後に測定する。接触させる水(蒸留水を使用)の水温は23℃、接触時間は60秒とする。紙基材の一方の表面及び他方の表面のコッブ吸水度を測定する。測定装置は、日本T.M.C.株式会社製のコッブサイズ度テスターを使用する。サンプルを10点測定し、算術平均値を採用する。
以下、実施例を用いて発明を具体的に説明するが、発明の範囲が実施例の記載により限定されることはない。また、特にことわりがない限り、「部」は、「質量部」を表す。
(実施例1-1)
(紙基材)
以下の手順で2層の紙層(紙層A及び紙層B)の多層紙である紙基材を製造した。
紙層Aのパルプ原料としてLBKP(王子製紙株式会社製アカシアパルプ、ユーカリパルプ)と古紙パルプ(雑誌古紙、新聞古紙)を50:50の質量比率で混ぜ、ダブルディスクレファイナーを使用して叩解し、パルプスラリーを得た。叩解の条件は、パルプスラリーのフリーネスが400~450mlになるように、パルプ濃度、処理量及び叩解電力を調整した。
得られたパルプスラリー100部(固形分換算)に対して、硫酸バンド(朝日化学工業社製液体硫酸バンド)を1.20部(固形分換算)、内添紙力増強剤としてポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤(荒川化学工業社製PS373-20)を0.20部(固形分換算)、内添サイズ剤としてロジン系サイズ剤(荒川化学工業社製サイズパインN811M)を1.00部(固形分換算)添加し、紙層Aの紙料を調整した。
紙層Bのパルプ原料としてLBKP(王子製紙株式会社製アカシアパルプ、ユーカリパルプ)と古紙パルプ(雑誌古紙、新聞古紙)を50:50の質量比率で混ぜ、ダブルディスクレファイナーを使用して叩解し、パルプスラリーを得た。叩解の条件は、パルプスラリーのフリーネスが400~450mlになるように、パルプ濃度、処理量及び叩解電力を調整した。
得られたパルプスラリー100部(固形分換算)に対して、硫酸バンド(朝日化学工業社製液体硫酸バンド)を0.30部(固形分換算)、内添紙力増強剤としてポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤(荒川化学工業社製PS373-20)を0.20部(固形分換算)、内添サイズ剤としてロジン系サイズ剤(荒川化学工業社製サイズパインN811M)を0.10部(固形分換算)添加し、紙層Bの紙料を調整した。
紙層Aと紙層Bの紙料をそれぞれ坪量560g/mになるよう長網抄紙機を用いて、繊維配向比が1.62になるようにJ/W比を調節して抄紙し、層間スプレーで澱粉をA面とB面の層間に1.0g/m塗布し、抄き合わせることで坪量1121g/mの紙
基材を得た。
(実施例1-2)
紙層Aと紙層Bの紙料をそれぞれ坪量400g/mになるよう長網抄紙機を用いて抄紙し、坪量801g/mの紙基材とした以外は実施例1-1と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例1-3)
紙層Aと紙層Bの紙料をそれぞれ坪量320g/mになるよう長網抄紙機を用いて抄紙し、坪量641g/mの紙基材とした以外は実施例1-1と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例1-4)
繊維配向比が1.41になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例1-5)
繊維配向比が1.50になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例1-6)
繊維配向比が2.00になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例1-7)
繊維配向比が2.36になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例1-8)
紙層Aのパルプ原料としてNBKP(王子製紙株式会社製ダグラスファーパルプ、ラジアータパインパルプ、スギパルプ)とLBKPを60:40の質量比率で混ぜた以外は実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例1-9)
紙層Aのパルプ原料としてNBKPとLBKPを80:20の質量比率で混ぜた以外は実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例1-10)
紙層Bのパルプ原料としてNBKPとLBKPを60:40の質量比率で混ぜた以外は実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例1-11)
紙層Bのパルプ原料としてNBKPとLBKPを80:20の質量比率で混ぜた以外は実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例1-12)
紙層Aのパルプスラリー100部(固形分換算)に対して、硫酸バンドを1.40部(固形分換算)、ロジン系サイズ剤を1.20部(固形分換算)、紙層Bのパルプスラリー100部(固形分換算)に対して、硫酸バンドを1.30部(固形分換算)、ロジン系サイズ剤を1.10部(固形分換算)添加した以外は、実施例1-2と同様の条件で紙基材
を得た。
(実施例1-13)
紙層Aのパルプスラリー100部(固形分換算)に対して、硫酸バンドを0.30部(固形分換算)、ロジン系サイズ剤を0.10部(固形分換算)添加した以外は、実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例1-14)
紙層Bのパルプスラリー100部(固形分換算)に対して、硫酸バンドを0.20部(固形分換算)、ロジン系サイズ剤を0.04部(固形分換算)添加した以外は、実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(比較例1-1)
紙層Aと紙層Bの紙料をそれぞれ坪量200g/mになるよう長網抄紙機を用いて抄紙し、坪量401g/mの紙基材とした以外は実施例1-1と同様の条件で紙基材を得た。
(比較例1-2)
紙層Aと紙層Bの紙料をそれぞれ坪量800g/mになるよう長網抄紙機を用いて抄紙し、坪量1601g/mの紙基材とした以外は実施例1-1と同様の条件で紙基材を得た。
(比較例1-3)
繊維配向比が1.30になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(比較例1-4)
繊維配向比が2.62になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(比較例1-5)
紙層Aのパルプ原料としてNBKPとLBKPを85:15の質量比率で混ぜた以外は実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(比較例1-6)
紙層Bのパルプ原料としてNBKPとLBKPを85:15の質量比率で混ぜた以外は実施例1-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-1)
(紙基材)
以下の手順で2枚の原紙(紙層A及び紙層B)を接着剤を用いて貼付した合紙である紙基材を製造した。
紙層Aのパルプ原料としてLBKP(王子製紙株式会社製アカシアパルプ、ユーカリパルプ)と古紙パルプ(雑誌古紙、新聞古紙)を50:50の質量比率で混ぜ、ダブルディスクレファイナーを使用して叩解し、パルプスラリーを得た。叩解の条件は、パルプスラリーのフリーネスが400~450mlになるように、パルプ濃度、処理量及び叩解電力を調整した。
得られたパルプスラリー100部(固形分換算)に対して、硫酸バンド(朝日化学工業社製液体硫酸バンド)を1.20部(固形分換算)、内添紙力増強剤としてポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤(荒川化学工業社製PS373-20)を0.20部(固形分換
算)、内添サイズ剤としてロジン系サイズ剤(荒川化学工業社製サイズパインN811M)を1.00部(固形分換算)添加し、紙料を調整した。得られた紙料を長網抄紙機を用いて、繊維配向比が1.62になるようにJ/W比を調節して抄紙し、坪量560g/mの紙層Aを得た。
紙層Bのパルプ原料としてLBKP(王子製紙株式会社製アカシアパルプ、ユーカリパルプ)と古紙パルプ(雑誌古紙、新聞古紙)を50:50の質量比率で混ぜ、ダブルディスクレファイナーを使用して叩解し、パルプスラリーを得た。叩解の条件は、パルプスラリーのフリーネスが400~450mlになるように、パルプ濃度、処理量及び叩解電力を調整した。
得られたパルプスラリー100部(固形分換算)に対して、硫酸バンド(朝日化学工業社製液体硫酸バンド)を0.30部(固形分換算)、ポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤(荒川化学工業社製PS373-20)を0.20部(固形分換算)、ロジン系サイズ剤(荒川化学工業社製サイズパインN811M)を0.10部(固形分換算)添加し、紙料を調整した。得られた紙料を長網抄紙機を用いて、繊維配向比が1.62になるようにJ/W比を調節して抄紙し、坪量560g/mの紙層Bを得た。
得られた紙層Aの一方の面にアクリル系エマルジョン接着剤を5g/m塗布し、紙層Bを貼り合わせ、坪量1125g/mの合紙の紙基材を得た。
(実施例2-2)
紙層Aと紙層Bをそれぞれ坪量400g/mになるよう長網抄紙機を用いて抄紙し、坪量805g/mの紙基材とした以外は実施例2-1と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-3)
紙層Aと紙層Bをそれぞれ坪量320g/mになるよう長網抄紙機を用いて抄紙し、坪量645g/mの紙基材とした以外は実施例2-1と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-4)
繊維配向比が1.41になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-5)
繊維配向比が1.50になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-6)
繊維配向比が2.00になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-7)
繊維配向比が2.36になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-8)
紙層Aのパルプ原料としてNBKP(王子製紙株式会社製ダグラスファーパルプ、ラジアータパインパルプ、スギパルプ)とLBKPを60:40の質量比率で混ぜた以外は実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-9)
紙層Aのパルプ原料としてNBKPとLBKPを80:20の質量比率で混ぜた以外は実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-10)
紙層Bのパルプ原料としてNBKPとLBKPを60:40の質量比率で混ぜた以外は実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-11)
紙層Bのパルプ原料としてNBKPとLBKPを80:20の質量比率で混ぜた以外は実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-12)
紙層Aのパルプスラリー100部(固形分換算)に対して、硫酸バンドを1.40部(固形分換算)、ロジン系サイズ剤を1.20部(固形分換算)、紙層Bのパルプスラリー100部(固形分換算)に対して、硫酸バンドを1.30部(固形分換算)、ロジン系サイズ剤を1.10部(固形分換算)添加した以外は、実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-13)
紙層Aのパルプスラリー100部(固形分換算)に対して、硫酸バンドを0.30部(固形分換算)、ロジン系サイズ剤を0.10部(固形分換算)添加した以外は、実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(実施例2-14)
紙層Bのパルプスラリー100部(固形分換算)に対して、硫酸バンドを0.20部(固形分換算)、ロジン系サイズ剤を0.04部(固形分換算)添加した以外は、実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(比較例2-1)
紙層Aと紙層Bをそれぞれ坪量200g/mになるよう長網抄紙機を用いて抄紙し、坪量405g/mの紙基材とした以外は実施例2-1と同様の条件で紙基材を得た。
(比較例2-2)
紙層Aと紙層Bをそれぞれ坪量800g/mになるよう長網抄紙機を用いて抄紙し、坪量1605g/mの紙基材とした以外は実施例2-1と同様の条件で紙基材を得た。
(比較例2-3)
繊維配向比が1.30になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(比較例2-4)
繊維配向比が2.62になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(比較例2-5)
紙層Aのパルプ原料としてNBKPとLBKPを85:15の質量比率で混ぜた以外は実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
(比較例2-6)
紙層Bのパルプ原料としてNBKPとLBKPを85:15の質量比率で混ぜた以外は
実施例2-2と同様の条件で紙基材を得た。
<加湿成形>
実施例及び比較例で得られた紙基材を長さ122mm、幅167mmに打ち抜き、加湿成形用ブランク材とした。温度23℃、湿度50%RH環境下にて、ブランク材の含水率が10質量%となるよう、ブランク剤のB面に水蒸気を吹き付け、ブランク材の端1cm部分の一方の結合部にアクリル系エマルジョン接着剤を塗布し、所定の金型のオス型とメス型の間にブランク材を設置した後、圧力0.3kg/cm、プレス時間5秒の条件で加圧成形し、直径50mmの円筒状の紙容器を作製した。
<加湿成形時の成形性の評価>
得られた紙容器3個の外面と内面を観察して、下記の基準で評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
A:紙基材に割れ(破れや避け箇所)や凹み、折れが見られる容器が0個
B:紙基材に割れ(破れや避け箇所)や凹みが見られる容器は0個であり、折れが見られる容器が1個
C:紙基材に割れ(破れや避け箇所)や凹みが見られる容器は0個であり、折れが見られる容器が2個
D:紙基材に割れ(破れや避け箇所)や凹みが見られる容器は1個以上である、又は折れが見られる容器が3個
<落下時の耐久性の評価>
得られた紙容器の円筒の一方の開口部を水平にして、SUS版を置いた床の上に、80cmの高さから加速をつけずに落下させた。落下後の紙容器の外観を観察して、下記の基準で評価を行った。結果を表1及び表2に示す。なお「変形」とは、円筒の側面の凹み、紙基材の折れが1箇所以上見られた状態をいう。
A:3回落下させても変形が見られない。
B:3回落下させると変形が見られる。
C:2回落下させると変形が見られる。
D:1回の落下で変形が見られる。
<湿潤後の美麗性>
得られた紙容器を、温度80℃、相対湿度65%の高温高湿度環境下に1時間静置した。振動試験を実施後、紙容器の外観の観察と、手触りの確認を実施して、下記の基準で評価を行った。結果を表1及び表2に示す。振動試験は、JIS Z0232:2020に準拠して、ランダム振動、垂直90分の条件で実施した。
A:紙容器のA面の表面にシワが全く見られず、触ってもしっかり感が保たれている。
B:紙容器のA面の表面にシワは見られないが、触ると柔らかさがある。
C:紙容器のA面の表面にシワが発生するが、触っても破れることはない。
D:紙容器のA面の表面にシワが発生し、触ると一部破れが見られる。



Claims (6)

  1. 加湿成形用の紙基材であって、
    前記紙基材が、2層以上の紙層を有し、
    前記紙基材の厚みが、0.8~1.5mmであり、
    前記紙基材の繊維配向比が、1.40~2.50であり、
    前記紙基材の、一方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅と、他方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅と、の両方が28.0μm以下である、
    ことを特徴とする加湿成形用の紙基材。
  2. 前記紙基材の一方の表面をA面とし、他方の表面をB面としたときに、
    前記紙基材の前記A面から測定したコッブ吸水度が、前記B面から測定したコッブ吸水度以下であって、
    前記A面から測定したコッブ吸水度が、10~700g/m・60秒であり、
    前記B面から測定したコッブ吸水度が、10~1000g/m・60秒である、請求項1に記載の加湿成形用の紙基材。
  3. 請求項1又は2に記載の加湿成形用の紙基材を用いてなる、紙加工品。
  4. 請求項1又は2に記載の加湿成形用の紙基材を用いてなる、紙容器。
  5. 前記紙容器が、ボトル型形状である、請求項4に記載の紙容器。
  6. 前記紙基材の一方の表面をA面とし、他方の表面をB面としたときに、
    前記紙基材の前記A面から測定したコッブ吸水度が、前記B面から測定したコッブ吸水度以下であって、
    前記A面から測定したコッブ吸水度が、10~700g/m・60秒であり、
    前記B面から測定したコッブ吸水度が、10~1000g/m・60秒であり、
    前記A面が、前記紙容器の外表面の少なくとも一部を構成する、請求項5に記載の紙容器。

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