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JP2023162591A - アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法、アンモニア系成分発生材、及び、アンモニア系成分徐放材 - Google Patents

アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法、アンモニア系成分発生材、及び、アンモニア系成分徐放材 Download PDF

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JP2023162591A
JP2023162591A JP2022073025A JP2022073025A JP2023162591A JP 2023162591 A JP2023162591 A JP 2023162591A JP 2022073025 A JP2022073025 A JP 2022073025A JP 2022073025 A JP2022073025 A JP 2022073025A JP 2023162591 A JP2023162591 A JP 2023162591A
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ammonium
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JP2022073025A
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徹 脇原
Toru Wakihara
健太 伊與木
Kenta Iyoki
コロマ ラケル シマンカス
Coloma Rachel Shimankas
正守 竹村
Masamori Takemura
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University of Tokyo NUC
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University of Tokyo NUC
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Abstract

Figure 2023162591000001
【課題】
アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法、アンモニア系成分発生材、及びアンモニア系成分徐放材を提供する。
【解決手段】
アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法であって、前記アンモニア系成分含有液を、非晶質アルミノケイ酸塩に接触させ、アンモニア系成分を前記非晶質アルミノケイ酸塩に吸着させるステップを有する、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法、この方法を利用するアンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法、アンモニア系成分発生材、及びアンモニア系成分徐放材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液(本明細書等において、「アンモニア及び/又はアンモニウムイオン」を、「アンモニア系成分」や「NH系成分」と記載することがある。)からアンモニア系成分を除去する方法、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法、アンモニア系成分発生材、並びに、アンモニア系成分徐放材に関する。
従来、河川、湖沼等の富栄養化を避けるため、産業廃水や生活廃水等から含窒素化合物や含リン化合物を除去し、水を浄化する技術が開発されてきた。
例えば、特許文献1には、アンモニアを含む原水をゼオライトに接触させることによりアンモニアをゼオライトに吸着させてアンモニアを含まない処理水を得る工程と、アンモニアを吸着したゼオライトに塩酸水溶液を接触させることによりゼオライトからアンモニアを脱着させ、これによりアンモニア濃縮液を得ると共にゼオライトを再生させる工程とを包含することを特徴とする水質浄化方法が記載されている。
また、特許文献1には、副生したアンモニア濃縮液に対して生物学的硝化脱窒法による処理を施し、窒素ガスとして大気に放出することも記載されている。
本発明に関連して、非特許文献1には、共沈法により得られた非晶質アルミノケイ酸塩や、そのカチオン交換能が記載されている。
特開2007-111597号公報
Chem Asian J.2020,15,2029-2034
上記のように、特許文献1には、ゼオライトを用いた水質浄化方法が記載されている。
ゼオライトは、結晶質のアルミノケイ酸塩であって、天然ゼオライト、合成ゼオライトに分類される。
天然ゼオライトは比較的安価であるが、品質が一定でなかったり、吸着性能等に劣ったりするという欠点がある。
一方、合成ゼオライトは、吸着性能等に優れるものが多いが、天然ゼオライトに比べて高価であり、吸着材が大量に必要になるような用途には向いていない。
したがって、大量の廃水を浄化するような場合には、合成ゼオライトと同等の吸着性能を有し、かつ、安価な吸着材を用いて、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去し得る方法が求められていた。
また、近年、循環型社会の構築の観点から、廃水等から回収されたアンモニア系成分を燃料や肥料等として利用するための技術開発が行われており、このような用途に適した吸着材や、この吸着材を用いたアンモニア系成分発生材やアンモニア系成分徐放材が求められていた。
本発明は、このような状況下でなされたものであり、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法、アンモニア系成分発生材、及び、アンモニア系成分徐放材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、アンモニア系成分を吸着し得る吸着材について鋭意検討した。その結果、非晶質アルミノケイ酸塩は、比較的安価であり、かつ、アンモニア系成分を十分に吸着し得るものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕~〔10〕のアンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法、〔11〕、〔12〕のアンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法、〔13〕のアンモニア系成分発生材、〔14〕のアンモニア系成分徐放材、が提供される。
〔1〕アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法であって、前記アンモニア系成分含有液を、非晶質アルミノケイ酸塩に接触させ、アンモニア系成分を前記非晶質アルミノケイ酸塩に吸着させるステップを有する、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法。
〔2〕前記非晶質アルミノケイ酸塩が、X線回折法により測定される結晶化度が20%以下のものである、〔1〕に記載の、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法。
〔3〕前記非晶質アルミノケイ酸塩が、ケイ素元素とアルミニウム元素の元素比(Si/Al)が、0.5~10のものである、〔1〕又は〔2〕に記載の、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法。
〔4〕前記非晶質アルミノケイ酸塩が、交換可能なカチオンを含むものである、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
〔5〕前記非晶質アルミノケイ酸塩が、下記式(1)を満たすものである、〔4〕に記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
Figure 2023162591000002
〔式中、αは、非晶質アルミノケイ酸塩に含まれる、交換可能な1価のカチオンの物質量(mol)を表し、βは、非晶質アルミノケイ酸塩に含まれる、交換可能な2価のカチオンの物質量(mol)を表し、γは、非晶質アルミノケイ酸塩に含まれる、アルミニウム原子の物質量(mol)を表す。〕
〔6〕前記交換可能なカチオンが、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔4〕又は〔5〕に記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
〔7〕前記非晶質アルミノケイ酸塩が、27Al-MAS-NMRを測定したときに、4配位アルミニウム原子を示すピークが観測されるものである、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法。
〔8〕前記非晶質アルミノケイ酸塩が、27Al-MAS-NMRを測定したときに、6配位アルミニウム原子を示すピークが観測される、又は、前記ピークが観測されないものであり、4配位アルミニウム原子を示すピークの面積と6配位アルミニウム原子を示すピークの面積の合計に対して、4配位アルミニウム原子を示すピークの面積の割合が、50~100%である、〔7〕に記載の、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法。
〔9〕前記アンモニア系成分含有液を構成する溶媒が、水、又は、水を70容量%以上含有する混合溶媒である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法。
〔10〕前記アンモニア系成分含有液のpHが2~12である、〔9〕に記載の、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法。
〔11〕アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法であって、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の方法を行うことにより、アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩を生成させるステップを有する、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法。
〔12〕さらに、前記アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩から、アンモニア系成分を遊離させるステップを有する、〔11〕に記載の、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法。
〔13〕アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩で構成されたアンモニア系成分発生材。
〔14〕アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩で構成されたアンモニア系成分徐放材。
本発明によれば、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法、アンモニア系成分発生材、及び、アンモニア系成分徐放材が提供される。
実施例で用いた非晶質アルミノケイ酸塩の27Al-MAS-NMRスペクトルである。縦軸は信号強度(任意単位)を表し、横軸は化学シフトの基準として、硝酸アルミニウムの27Alの共鳴を0ppmに設定したときの化学シフト(δ)を表す。 実施例で用いた非晶質アルミノケイ酸塩の27Al-MAS-NMRスペクトルである。縦軸は信号強度(任意単位)を表し、横軸は化学シフトの基準として、硝酸アルミニウムの27Alの共鳴を0ppmに設定したときの化学シフト(δ)を表す。
以下、本発明を、1)アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法、2)アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法、及び、3)アンモニア系成分発生材又はアンモニア系成分徐放材、に項分けして詳細に説明する。
1)アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法
本発明の「アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法」(以下、「本発明のアンモニア系成分除去方法」と記載することがある。)は、アンモニア系成分含有液を、非晶質アルミノケイ酸塩に接触させ、アンモニア系成分を前記非晶質アルミノケイ酸塩に吸着させるステップを有するものである。
〔非晶質アルミノケイ酸塩〕
本発明のアンモニア系成分除去方法においては、吸着材として非晶質アルミノケイ酸塩が使用される。
非晶質アルミノケイ酸塩とは、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、及び酸素(O)を主な構成元素とし、Si-O-Al結合を有する、無定型のアルミノケイ酸塩である。非晶質アルミノケイ酸塩は、通常、[Al(O)4/2で表される部分構造を有するため、さらに、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等のカチオンを含み、電気的なバランスが保たれている。
このカチオンは交換可能な状態で存在しているため、本発明のアンモニア系成分除去方法においては、このカチオンとアンモニウムイオンの交換等の現象が起こり、アンモニア系成分は非晶質アルミノケイ酸塩に吸着される。
このように、非晶質アルミノケイ酸塩に含まれる、アルミニウム原子を中心とする部分構造の量や種類は、アンモニア系成分の除去効率に影響する。したがって、後述するように、非晶質アルミノケイ酸塩中の、アルミニウム原子を中心とする部分構造に着目することで、アンモニア系成分をより効率よく除去することができる。
カチオン交換は、ゼオライト(結晶質アルミノケイ酸塩)でも起きる現象である。しかしながら、非晶質アルミノケイ酸塩は、合成ゼオライトに比べて安価で、かつ、効率よく合成し得るものであるため、吸着材として非晶質アルミノケイ酸塩を使用する本発明のアンモニア系成分除去方法は、大量の廃水を処理するような場合に好適に用いられる。
また、ゼオライトにおけるカチオン交換においては、通常、カチオンはゼオライトの細孔内に収容されるため、細孔内の疎水性が高い場合は、カチオン交換が効率よく起きないおそれがある。
一方、非晶質アルミノケイ酸塩は、親水的で、かつ、一定の形状の細孔を有していないため、このような問題が起こり難い。
非晶質アルミノケイ酸塩は、X線回折法により測定される結晶化度が20%以下のものが好ましい。結晶化度が20%以下の非晶質アルミノケイ酸塩は、より安価で、かつ効率よく合成することができる。また、そのような非晶質アルミノケイ酸塩は、カチオン交換性に優れる傾向がある。
これらの理由により、非晶質アルミノケイ酸塩の結晶化度は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。結晶化度の下限値は特にないが、通常は結晶性成分をほとんど含んでいないため、0%以上である。
したがって、本発明のアンモニア系成分除去方法においては、通常、結晶化度が0~20%の非晶質アルミノケイ酸塩が好適に用いられる。
結晶化度は、実施例に記載の方法に従って求めることができる。
非晶質アルミノケイ酸塩は、ケイ素元素とアルミニウム元素の元素比(Si/Al)が、0.5~10のものが好ましい。
ケイ素元素とアルミニウム元素の元素比(Si/Al)が10以下の非晶質アルミノケイ酸塩は、アルミニウム原子を中心とする部分構造を多く含むものであるため、カチオン交換性、及び、アンモニア系成分の吸着能力に優れる傾向がある。
同様の理由により、ケイ素元素とアルミニウム元素の元素比(Si/Al)は、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。
一方、アルミニウム原子が多過ぎる非晶質アルミノケイ酸塩においては、一部のアルミニウム原子は、アルミノケイ酸塩骨格に組み込まれないため、交換可能なカチオンの増加に寄与しない。ケイ素元素とアルミニウム元素の元素比(Si/Al)が0.5以上であることで、交換可能なカチオンの増加に寄与しないアルミニウム原子の量を減らすことができる。
同様の理由により、ケイ素元素とアルミニウム元素の元素比(Si/Al)は、0.8以上がより好ましく、1以上がさらに好ましい。
非晶質アルミノケイ酸中のケイ素元素とアルミニウム元素の元素比(Si/Al)は、誘導結合プラズマ-発光分光分析を行うことで算出することができる。
上記のように、通常、非晶質アルミノケイ酸塩は交換可能なカチオンを含む。
そのような非晶質アルミノケイ酸塩は、下記式(1)を満たすものが好ましい。
Figure 2023162591000003
式(1)中、αは、非晶質アルミノケイ酸塩に含まれる、交換可能な1価のカチオンの物質量(mol)を表し、βは、非晶質アルミノケイ酸塩に含まれる、交換可能な2価のカチオンの物質量(mol)を表し、γは、非晶質アルミノケイ酸塩に含まれる、アルミニウム原子の物質量(mol)を表す。
式(1)を満たす非晶質アルミノケイ酸塩は、4配位アルミニウム原子を中心とするアニオン性の部分構造を多く含む傾向があるため、カチオン交換性、及び、アンモニア系成分の吸着能力に優れる傾向がある。
同様の理由により、非晶質アルミノケイ酸塩は、下記式(2)を満たすものがより好ましく、下記式(3)を満たすものがより好ましい。
Figure 2023162591000004
α、β、γの値は、例えば、誘導結合プラズマ-発光分光分析を行うことで求めることができる。
交換可能なカチオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、亜鉛イオン、有機カチオン等が挙げられる。
アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンが挙げられる。
アルカリ土類金属イオンとしては、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンが挙げられる。
有機カチオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン等の4級アンモニウムイオン、テトラフェニルホスホニウム等の4級ホスホニウムイオン等が挙げられる。
これらの中でも、交換可能なカチオンは、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、リチウムイオン、カリウムイオン又はナトリウムイオンがより好ましい。
アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを含む非晶質アルミノケイ酸塩は、カチオン交換性、及び、アンモニア系成分の吸着能力により優れる傾向がある。
非晶質アルミノケイ酸塩は、27Al-MAS-NMR(27Al-magic angle spinning-NMR)を測定したときに、4配位アルミニウム原子を示すピークが観測されるものが好ましい。
27Al-MAS-NMRを測定したときに、4配位アルミニウム原子を示すピークが観測される非晶質アルミノケイ酸塩は、4配位アルミニウム原子を中心とするアニオン性の部分構造を多く含むものであるため、カチオン交換性、及び、アンモニア系成分の吸着能力に優れる。
非晶質アルミノケイ酸塩は、27Al-MAS-NMRを測定したときに、6配位アルミニウム原子を示すピークが観測されるものであってもよいし、このピークが観測されないものであってもよい。
6配位アルミニウム原子を中心とする部分構造としては、[Al(O)6/2]が挙げられる。このような部分構造は電気的に中性であり、4配位アルミニウム原子を中心とするアニオン性の部分構造とは異なり、電気的なバランスを保つためのカチオンが存在しない。したがって、アンモニア系成分の除去をより効率よく行うためには、6配位アルミニウム原子を中心とする部分構造がより少ないことが好ましい。
なお、本発明のアンモニア系成分除去方法において用いられる非晶質アルミノケイ酸に関しては、化学シフトの基準として、硝酸アルミニウムの27Alの共鳴を0ppmに設定すると、4配位アルミニウム原子を示すピークは、54ppm付近に観測され、6配位アルミニウム原子を示すピークは、0ppm付近に観測される。
4配位アルミニウム原子を示すピークの面積の割合は、4配位アルミニウム原子を示すピークの面積と6配位アルミニウム原子を示すピークの面積の合計に対して、好ましくは50~100%、より好ましくは70~100%、さらに好ましくは90~100%である。
4配位アルミニウム原子を示すピークの面積の割合が、4配位アルミニウム原子を示すピークの面積と6配位アルミニウム原子を示すピークの面積の合計に対して50%以上の非晶質アルミノケイ酸塩は、カチオン交換性、及び、アンモニア系成分の吸着能力により優れている。
27Al-MAS-NMRは、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
非晶質アルミノケイ酸塩の形状は特に限定されない。例えば、本発明のアンモニア系成分除去方法においては、粉末状、ビーズ状、ペレット状等の形状のものを使用することができる。
非晶質アルミノケイ酸塩は、非特許文献1に記載の方法に従って合成することができる。
具体的には、ケイ酸ナトリウム、水酸化ナトリウムを含有する水溶液と、硫酸アルミニウム、硫酸を含有する水溶液とを混合することにより、非晶質アルミノケイ酸塩を合成することができる。
このとき、混合液のpHが7付近になるように、原料液中の水酸化ナトリウムや硫酸の量を調整することが好ましい。
原料液の混合方法は特に限定されない。両原料液を一気に混合してもよいが、カチオン交換性、及び、アンモニア系成分の吸着能力により優れる非晶質アルミノケイ酸塩が得られ易いことから、非特許文献1等に記載の共沈法により非晶質アルミノケイ酸塩を合成することが好ましい。
〔アンモニア系成分含有液〕
アンモニア系成分含有液は、アンモニア系成分が溶媒に溶解してなるものであって、本発明のアンモニア系成分除去方法における処理対象である。
アンモニア系成分含有液を構成する溶媒の少なくとも1種は水であることが好ましい。アンモニア系成分含有液が水を含むことで、本発明のアンモニア系成分除去方法を効率よく行うことができる。
好ましい溶媒は、水、又は、水を70容量%以上含有する混合溶媒が挙げられる。前記混合溶媒は、水を80容量%以上含有するものが好ましく、90容量%以上含有するものがより好ましい。
アンモニア系成分含有液を構成する溶媒が混合溶媒であるとき、水以外の溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、s-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のジオール系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸等の有機酸溶媒;等が挙げられる。
アンモニア系成分含有液中のアンモニア系成分の濃度は、通常0.2~300mM、好ましくは1~150mM、より好ましくは1.5~70mMである。
アンモニア系成分含有液のpHは、好ましくは2~12、より好ましくは2~10、さらに好ましくは2~8である。
本発明のアンモニア系成分除去方法においては、アンモニア系成分含有液中の水素イオン濃度が増加するにしたがって、アンモニア系成分をより効率よく除去できる傾向がある。
したがって、アンモニア系成分含有液中のアンモニア系成分をより効率よく除去するために、必要に応じてアンモニア系成分含有液のpHを適切な値に調節することが好ましい。
アンモニア系成分含有液としては、農業廃水、工業廃水、下水道処理水、河川水等が挙げられる。
〔アンモニア系成分除去方法〕
本発明のアンモニア系成分除去方法においては、アンモニア系成分含有液を非晶質アルミノケイ酸塩に接触させ、アンモニア系成分を非晶質アルミノケイ酸塩に吸着させるステップを有する。
アンモニア系成分含有液を非晶質アルミノケイ酸塩に接触させる方法は特に限定されない。その具体例としては、例えば、容器内に、アンモニア系成分含有液と非晶質アルミノケイ酸塩を入れ、内容物を撹拌する方法や、管内に非晶質アルミノケイ酸塩を詰め、この中を、アンモニア系成分含有液を通過させる方法等が挙げられる。
アンモニア系成分含有液を非晶質アルミノケイ酸塩に接触させる際の温度は、通常0~90℃、好ましくは10~40℃、より好ましくは20~30℃である。
アンモニア系成分含有液を非晶質アルミノケイ酸塩に接触させる際の接触時間は、通常1~30分、好ましくは2~20分、より好ましくは3~10分である。
本発明のアンモニア系成分除去方法においては、アンモニア系成分含有液中のアンモニア系成分の濃度が100mM以下の場合、非晶質アルミノケイ酸塩の使用量は、アンモニア系成分含有液1Lに対して、通常0.1~200g、好ましくは0.3~150gである。
上記のように、ゼオライトにおけるカチオン交換においては、通常、カチオンはゼオライトの細孔内に収容されるが、本発明のアンモニア系成分除去方法に用いられる非晶質アルミノケイ酸塩は、一定の形状の細孔を有していない。
このため、ゼオライトによるアンモニア系成分の吸着現象と、非晶質アルミノケイ酸塩によるアンモニア系成分の吸着現象は異なるものであると考えられる。
例えば、実施例で示されるように、ゼオライトによるアンモニア系成分の吸着実験では、pH依存性が観られないのに対して、非晶質アルミノケイ酸塩によるアンモニア系成分の吸着実験ではpH依存性が観られた。
したがって、前述のように、本発明のアンモニア系成分除去方法においては、必要に応じてアンモニア系成分含有液のpHを適切な値に調節することで、アンモニア系成分含有液中のアンモニア系成分をより効率よく除去することができる。
2)アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法
本発明のアンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法(以下、「本発明のアンモニア系成分回収方法」と記載することがある。)は、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法であって、前記「本発明のアンモニア系成分除去方法」を行うことにより、アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩を生成させるステップを有するものである。
本発明のアンモニア系成分回収方法は、本発明のアンモニア系成分除去方法と同様に、アンモニア系成分含有液を、非晶質アルミノケイ酸塩に接触させ、アンモニア系成分を非晶質アルミノケイ酸塩に吸着させるステップを有するものである。
すなわち、廃水等の処理液に注目して一連の作業を行う発明が、「本発明のアンモニア系成分除去方法」であり、資源であるアンモニア系成分に注目して一連の作業を行う発明が、「本発明のアンモニア系成分回収方法」である。
したがって、「本発明のアンモニア系成分除去方法」を実施することで、「本発明のアンモニア系成分回収方法」の効果を得ることができる場合があり、また、「本発明のアンモニア系成分回収方法」を実施することで、「本発明のアンモニア系成分除去方法」の効果を得ることができる場合がある。
本発明のアンモニア系成分回収方法においては、通常、固液分離処理を行い、アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩を溶媒から分離させる。次いで、必要に応じて、アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩を洗浄、乾燥した後、非晶質アルミノケイ酸塩が吸着したアンモニア系成分を利用する。
非晶質アルミノケイ酸塩が吸着したアンモニア系成分は、例えば肥料成分として利用することができる。
非晶質アルミノケイ酸塩が吸着したアンモニア系成分を肥料成分として利用する場合、アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩を肥料としてそのまま用いることができる。
本発明のアンモニア系成分回収方法は、さらに、アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩から、アンモニア系成分を遊離させるステップを有していてもよい。
このステップを有することで、アンモニアガスやアンモニア水等を得ることができる。
アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩から、アンモニア系成分を遊離させる方法としては、加熱、カチオン(ただし、アンモニウムイオンを除く)の添加等が挙げられる。これらは組み合わせて用いてもよい。
加熱は、空気中で行ってもよいし、水中で行ってもよい。
空気中で、加熱によりアンモニア系成分を遊離させる場合、加熱温度は、通常250~650℃、好ましくは300~350℃である。加熱時間は、通常1~10時間、好ましくは3~6時間である。
カチオンを添加することでアンモニア系成分を遊離させる場合、加えるカチオンの量(mol)は、非晶質アルミノケイ酸塩中のアルミニウム原子の量に対して、2倍以上が好ましく、5倍以上がより好ましい。加えるカチオンの量の上限値は特にないが、通常、20倍以下である。
カチオンを添加する場合、例えばアンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩を水中に浸漬させ、カチオンを含む塩や塩基を加える方法が挙げられる。
カチオンを含む塩としては、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。
カチオンを含む塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
カチオンを添加することでアンモニア系成分を遊離させる場合、処理温度は、通常0~100℃、好ましくは5~50℃である。その処理時間は特に限定されないが、通常5~60分、好ましくは5~20分である。
3)アンモニア系成分発生材又はアンモニア系成分徐放材
本発明のアンモニア系成分発生材は、アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩で構成されたものである。
すなわち、本発明のアンモニア系成分発生材は、「本発明のアンモニア系成分回収方法」の中で説明した、「アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩」と同様のものである。
本発明のアンモニア系成分発生材は、長期間に亘って、徐々にアンモニア系成分が遊離するものであってもよい。すなわち、本発明のアンモニア系成分発生材は、アンモニア系成分徐放材であってもよい。
本発明のアンモニア系成分発生材は、肥料として用いることができる。
本発明のアンモニア系成分発生材を肥料として用いる場合、アンモニア系成分を5~10質量%含有するものが好適に用いられる。
本発明のアンモニア系成分発生材は、アンモニアの発生材として用いることができる。
アンモニアは燃焼しても二酸化炭素が生成しないため、燃料としての利用が検討されている。本発明のアンモニア系成分発生材は、アンモニアを使用するまではそのままの状態で保管することができ、必要な時にアンモニアを取り出すことができるため有用である。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
〔X線回折〕
UltimaIV(株式会社リガク製、CuKα線使用、電圧40kV、電流40mA、スキャンステップ0.02°、スキャン速度2°/min)を用いて、X線回折測定を行い、2θ=20~30°の範囲にあるピークの面積よりアルミノケイ酸塩の結晶化度を求めた。
〔元素分析〕
iCAP DUO-6300(Thermo Fisher SCIENTIFIC社製)を用いて、誘導結合プラズマ-発光分光分析(ICP-AES)を行い、アルミノケイ酸塩の組成を求め、Si/Al元素比、及びNa/Al元素比を算出した。
27Al-MAS-NMR〕
JNM-ECA 500(JEOL社製)を用いて、試料を14kHzで回転させながら、パルス長3.2マイクロ秒、緩和時間5秒、共鳴周波数130.3MHzの条件で測定を行ない、アルミニウムの状態を調べた。
化学シフトの基準として、硝酸アルミニウムの27Alの共鳴を0ppmに設定すると、4配位アルミニウム原子に由来するシグナルは54ppm付近に観測され、6配位アルミニウム原子に由来するシグナルは0ppm付近に観測された。
《合成例》
以下の合成例1~5では、非特許文献1に記載の方法に従って、非晶質アルミノケイ酸塩を合成した。得られた非晶質アルミノケイ酸塩を「α-β-γ」と表す。ここで、αは、製法を表し〔CP(共沈法)又はAO(一気に混合)〕、βは、交換可能な金属イオンを表し、γは、用いた原料液のSi/Al原子比を表す。
〔合成例1〕CP-Na-1の合成
硫酸を含む硫酸アルミニウム水溶液と水酸化ナトリウムを含むケイ酸ナトリウム水溶液をそれぞれ原料液として用いて、共沈法により、前記硫酸アルミニウム水溶液と前記ケイ酸ナトリウム水溶液をSi/Al原子比が1となるように混合し、非晶質アルミノケイ酸塩(CP-Na-1)を合成し、これを単離した。
なお、原料液中の硫酸と水酸化ナトリウムの量は、混合後にpHが7になるように調節した。
〔合成例2〕CP-Na-2の合成
Si/Al原子比が2となるように原料液中の成分濃度を変化させて、硫酸アルミニウム水溶液とケイ酸ナトリウム水溶液を混合したこと以外は、合成例1と同様にして非晶質アルミノケイ酸塩(CP-Na-2)を得た。
〔合成例3〕CP-Na-3の合成
Si/Al原子比が3となるように原料液中の成分濃度を変化させて、硫酸アルミニウム水溶液とケイ酸ナトリウム水溶液を混合したこと以外は、合成例1と同様にして非晶質アルミノケイ酸塩(CP-Na-3)を得た。
〔合成例4〕CP-Na-5の合成
Si/Al原子比が5となるように原料液中の成分濃度を変化させて、硫酸アルミニウム水溶液とケイ酸ナトリウム水溶液を混合したこと以外は、合成例1と同様にして非晶質アルミノケイ酸塩(CP-Na-5)を得た。
〔合成例5〕AO-Na-3
共沈法を使用せず、合成例3で用いた原料液を一気に混合したこと以外は、合成例3と同様にして非晶質アルミノケイ酸塩(AO-Na-3)を得た。
〔実験で用いた試料〕
以下の実験では、合成例1~5で得られた非晶質アルミノケイ酸塩以外に、下記のゼオライトを吸着材として使用した。
Natural-MOR:新東北化学工業株式会社製モルデナイト型ゼオライト(製品名:ゼオフィル2460#)
Na-MOR-18:東ソー株式会社製モルデナイト型ゼオライト(製品名:HSZ-600シリーズ642NAA)
H-MOR-15:東ソー株式会社製モルデナイト型ゼオライト(製品名:HSZ-600シリーズ620HOA)
H-FAU-5.5:東ソー株式会社製Y型ゼオライト(製品名:HSZ-300シリーズ320HOA)
各吸着材の物性を第1表に示す。
Figure 2023162591000005
〔被処理水に含まれるアンモニア系成分の濃度測定、及び吸着材の吸着量の算出〕
Analytical Chemistry 119(2019) 115627、Journal of the Electrochemical Society 167(2020) 134519に記載の方法に従って、吸着材で処理する前後において、被処理水に含まれるアンモニア系成分の濃度を測定した。
次いで、以下の式に基づいて、アンモニア系成分の除去効率と、吸着材1gあたりのアンモニア系成分の吸着量を算出した。
アンモニア系成分の除去効率(%)=(C-C)/C×100
吸着材1gあたりのアンモニア系成分の吸着量(mg/g)=18×(C-C)V/m
:処理前のアンモニア系成分の濃度(mM)
:処理後のアンモニア系成分の濃度(mM)
V:被処理水の量(L)
m:吸着材の質量(g)
〔塩化アンモニウム水溶液を用いた実験〕
被処理水として、1.5mM塩化アンモニウム水溶液(pH5.6)を調製した。
撹拌装置を備えた容器に、被処理水と、被処理水1Lあたり2gの吸着材を入れ、内容物を20℃で、5分間撹拌した。
次いで、吸着材を濾別し、濾液を得た。
上記の方法に従って、吸着材で処理する前後の被処理水に含まれるアンモニア系成分の濃度を測定し、アンモニア系成分の除去効率と、吸着材1gあたりのアンモニア系成分の吸着量(mg/g)を算出した。
結果を第2表に示す。
Figure 2023162591000006
第2表に示されるように、吸着材として非晶質アルミノケイ酸塩を使用した実施例1~5では、吸着材としてゼオライトを使用した比較例1~3と同程度に、1.5mM塩化アンモニウム水溶液中のアンモニア系成分を除去することができている。
〔産業廃水を用いた実験1〕
産業廃水(溶媒はほぼ水のみ、アンモニア系成分の濃度約75mM、pH10.3)を入手し、これを被処理水として用いたこと、及び、吸着材の量を、被処理水1Lあたり20gに変更したこと以外は、「塩化アンモニウム水溶液を用いた実験」と同様にして吸着処理を行った。結果を第3表に示す。
Figure 2023162591000007
第3表に示されるように、吸着材として非晶質アルミノケイ酸塩を使用した実施例6~10では、吸着材としてゼオライトを使用した比較例4、5と同程度に、濃度約75mMの産業廃水中のアンモニア系成分を除去することができている。
〔産業廃水を用いた実験2〕
吸着材の量を、被処理水1Lあたり70gに変更したこと以外は、「産業廃水を用いた実験1」と同様にして吸着処理を行った。結果を第4表に示す。
Figure 2023162591000008
第4表に示されるように、実施例11~15においては、実施例6~10よりも吸着材の量を多くしたことで、吸着材1gあたりのアンモニア系成分の吸着量は低下しているものの、被処理水からより多くのアンモニア系成分を除去することができている。
〔産業廃水を用いた実験3〕
上記産業廃水50mLに1.0M硫酸1.85mLを加えてpHを7.4に調節した溶液と、上記産業廃水50mLに1.0M硫酸2.10mLを加えてpHを3.8に調節した溶液を、それぞれ調製した。
被処理水としてこれらの溶液を用いたこと以外は、「産業廃水を用いた実験1」と同様にして吸着処理を行った。結果を第5表に示す。
Figure 2023162591000009
第5表に示されるように、実施例16~19においては、実施例6、8と同量の吸着材を用いているにも関わらず、より多くのアンモニア系成分を除去することができている。
このように、吸着材として非晶質アルミノケイ酸塩を使用する場合、被処理水のpHを調節することでアンモニア系成分の吸着量を制御することができる。
一方、吸着材としてゼオライトを使用する場合、被処理水のpHを変化させてもアンモニア系成分の吸着量はほとんど変わらない。
〔アンモニア系成分の吸脱着試験〕
[アンモニア系成分の吸着試験(1回目)]
撹拌装置を備えた容器に、55mM塩化アンモニウム水溶液(pH5.3)100mL、吸着材(CP-Na-3)1.0gを入れ、内容物を20℃で、5分間撹拌した。次いで、濾過を行い、濾液と吸着材を分離した。
濾液については、上記の方法に従ってアンモニア系成分の濃度を測定し、吸着材1gあたりのアンモニア系成分の吸着量(mg/g)を算出した。
吸着材については、純水100mLでの洗浄処理を3回行った後、下記のアンモニア系成分の脱着試験(1回目)を行った。
[アンモニア系成分の脱着試験(1回目)]
撹拌装置を備えた容器に、1.0M塩化カリウム水溶液25mL、上記の吸着試験後(洗浄後)の吸着材を入れ、内容物を20℃で、10分間撹拌した。次いで、濾過を行い、濾液と吸着材を分離した。
濾液については、上記の方法に従ってアンモニア系成分の濃度を測定し、吸着材1gあたりのアンモニア系成分の脱着量(mg/g)を算出した。
吸着材については、純水100mLでの洗浄処理を3回行った後、下記のアンモニア系成分の吸着試験(2回目)を行った。
[アンモニア系成分の吸着試験(2回目)とその後の試験]
撹拌装置を備えた容器に、55mM塩化アンモニウム水溶液(pH5.3)100mL、上記の脱着試験後(洗浄後)の吸着材を入れ、内容物を20℃で、5分間撹拌した。次いで、濾過を行い、濾液と吸着材を分離した。
濾液については、上記の方法に従ってアンモニア系成分の濃度を測定し、吸着材1gあたりのアンモニア系成分の吸着量(mg/g)を算出した。
吸着材については、純水100mLでの洗浄処理を3回行った。
以下、アンモニア系成分の脱着試験(1回目)と、アンモニア系成分の吸着試験(2回目)と同様の処理を繰り返し行い、アンモニア系成分の吸着量と脱着量を算出した。結果を第6表に示す。
Figure 2023162591000010
第6表に示されるように、アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩をカリウムイオンと共存させることで、アンモニア系成分の遊離が確認された。特に、2回目の吸脱着試験以後は、吸着量も脱着量も安定していた。
これらのことから、非晶質アルミノケイ酸塩は、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を除去する方法や、アンモニア系成分含有液からアンモニア系成分を回収する方法において、繰り返し利用可能であることが分かる。
また、アンモニア系成分を吸着した非晶質アルミノケイ酸塩は、アンモニア系成分発生材として利用し得ることが分かる。

Claims (14)

  1. アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法であって、
    前記アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液を、非晶質アルミノケイ酸塩に接触させ、アンモニア及び/又はアンモニウムイオンを前記非晶質アルミノケイ酸塩に吸着させるステップを有する、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
  2. 前記非晶質アルミノケイ酸塩が、X線回折法により測定される結晶化度が20%以下のものである、請求項1に記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
  3. 前記非晶質アルミノケイ酸塩が、ケイ素元素とアルミニウム元素の元素比(Si/Al)が、0.5~10のものである、請求項1に記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
  4. 前記非晶質アルミノケイ酸塩が、交換可能なカチオンを含むものである、請求項1に記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
  5. 前記非晶質アルミノケイ酸塩が、下記式(1)を満たすものである、請求項4に記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
    Figure 2023162591000011
    〔式中、αは、非晶質アルミノケイ酸塩に含まれる、交換可能な1価のカチオンの物質量(mol)を表し、βは、非晶質アルミノケイ酸塩に含まれる、交換可能な2価のカチオンの物質量(mol)を表し、γは、非晶質アルミノケイ酸塩に含まれる、アルミニウム原子の物質量(mol)を表す。〕
  6. 前記交換可能なカチオンが、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
  7. 前記非晶質アルミノケイ酸塩が、27Al-MAS-NMRを測定したときに、4配位アルミニウム原子を示すピークが観測されるものである、請求項1に記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
  8. 前記非晶質アルミノケイ酸塩が、27Al-MAS-NMRを測定したときに、6配位アルミニウム原子を示すピークが観測される、又は、前記ピークが観測されないものであり、4配位アルミニウム原子を示すピークの面積と6配位アルミニウム原子を示すピークの面積の合計に対して、4配位アルミニウム原子を示すピークの面積の割合が、50~100%である、請求項7に記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
  9. 前記アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液を構成する溶媒が、水、又は、水を70容量%以上含有する混合溶媒である、請求項1に記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
  10. 前記アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液のpHが2~12である、請求項9に記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを除去する方法。
  11. アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを回収する方法であって、
    請求項1~10のいずれかに記載の方法を行うことにより、アンモニア及び/又はアンモニウムイオンを吸着した非晶質アルミノケイ酸塩を生成させるステップを有する、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを回収する方法。
  12. さらに、前記アンモニア及び/又はアンモニウムイオンを吸着した非晶質アルミノケイ酸塩から、アンモニア及び/又はアンモニウムイオンを遊離させるステップを有する、請求項11に記載の、アンモニア及び/又はアンモニウムイオン含有液からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを回収する方法。
  13. アンモニア及び/又はアンモニウムイオンを吸着した非晶質アルミノケイ酸塩で構成されたアンモニア及び/又はアンモニウムイオン発生材。
  14. アンモニア及び/又はアンモニウムイオンを吸着した非晶質アルミノケイ酸塩で構成されたアンモニア及び/又はアンモニウムイオン徐放材。
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